説明

電解処理における膜厚測定方法及び膜厚測定装置

【課題】電解処理対象物を破壊することなく、測定によって電解処理に悪影響を及ぼすこともなく、特に膜厚を電解処理中にリアルタイムにモニタリングする方法及び装置を提供する。
【解決手段】電解処理される対象物に磁気センサを配設し、電解処理中に磁束密度分布を計測し、磁束密度分布から電解処理対象物の表面電流密度を算出し、表面電流密度から対象物の膜厚を算出し、電解処理の実施中に対象物の膜厚をリアルタイムに測定する。磁束密度分布のデータを電解処理後に演算することによって、対象物の膜厚を電解処理後に計測することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解処理中に磁束密度分布を測定することにより、電解処理対象物に形成される膜厚を計測する膜厚測定方法及び膜厚測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の発明によってICが開発され、より微細化されたLSIやULSIが開発されている。これらのエレクトロニクス機器の微細化において、めっき技術は重要な役割を果たしている。具体的には、めっき技術は、LSIやULSIにおける銅配線の形成や、半導体チップのバンプを形成するために使用される。
【0003】
めっきの膜厚を測定する方法には、試料を切断し断面の皮膜層の厚さを顕微鏡で測定する顕微鏡測定法、めっき皮膜を陽極として電解液中で電解を行い、電解に要した電気量と時間、溶融金属量から膜厚を測定する電解式膜厚測定法等がある。しかし、これらの方法は、めっきを破壊する必要があるため問題である。
【0004】
めっき膜を破壊せずに膜厚を測定する方法としては、X線を照射して放射される蛍光X線の強度を測定してめっき厚さを求める蛍光X線法がある。
【0005】
また、めっきの膜厚を電解めっき中にリアルタイムにモニタリングする方法として、電位分布を測定する方法がある(非特許文献1)。この電位分布測定方法では、めっき対象物は円形のシリコンウェハである。シリコンウェハの外周部に取り付けられた電極により電位を測定し、逆解析を利用して、ウェハ全体のめっきの膜厚分布を測定する。
【非特許文献1】阿部馨督、天谷賢治、青木繁、「逆解析を利用しためっき膜厚のモニタリング」、境界要素法論文集、日本計算数理工学会、2004年12月、Vol.21、p.23−26
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
LSIウェハの電解めっきを行った際、ウェハが円形の場合、円の外側が円の中心に比べて、めっきの膜厚が大きくなってしまう傾向にある。このため、めっきの膜厚を均一にするために、後から無駄な部分を削る必要がある。これを避ける為に、めっきの膜厚をめっきの実施中にリアルタイムに管理することが課題となっている。また、めっき膜厚のリアルタイムの管理によって、めっきの品質管理を容易にする等の利点がある。
【0007】
X線照射によるめっき膜厚測定方法は、めっきの実施中にめっきの膜厚をリアルタイムに計測することはできない。
【0008】
非特許文献1に記載の方法は、めっきの膜厚をリアルタイムに計測する方法であるが、測定のために電流を流すようになっているので、めっき膜生成に悪影響を及ぼしてしまう。また、電位測定はウェハ外周部でのみ行われるため、ウェハ中心部での計測誤差が大きい等の問題点がある。
【0009】
本発明は上述のような事情によりなされたものであり、本発明の目的は、LSIウェハ等の電解処理対象物を破壊することなく、測定によって電解処理に悪影響を及ぼすこともなく、特に膜厚を電解処理中にリアルタイムにモニタリングする方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は電解処理における膜厚測定方法に関し、本発明の上記目的は、電解処理される対象物の近傍に磁気センサを配設し、前記磁気センサにより電解処理中の磁束密度の分布を計測し、前記磁束密度の分布から前記対象物の表面電流密度を求め、前記表面電流密度から前記対象物の膜厚を算出し、前記対象物の膜厚を測定することにより達成される。
【0011】
本発明の上記目的は、前記磁束密度の分布から前記表面電流密度を求める方法がビオサバールの積分方程式であることにより、或いは前記磁束密度の分布から前記表面電流密度を求める方法がマクスウェル方程式であることにより、或いは前記表面電流密度と膜厚成長速度の比例関係より前記膜厚を測定することにより、或いは前記比例関係がファラデーの法則であることにより、或いは前記比例関係の比例定数を実験によって求めることにより、或いは前記電解処理中にリアルタイムに前記対象物の膜厚を測定することにより、より効果的に達成される。
【0012】
さらに本発明の上記目的は、前記磁気センサを1つ配設し、前記対象物をスキャンして前記磁束密度の分布を計測することにより、或いは前記対象物が円板で回転している場合、前記対象物の中心から外周縁に向かって一列に、かつ外側に向かって順に間隔が小さくなるように前記磁気センサを複数配設することにより、或いは前記対象物が円板で回転している場合、前記対象物の中心から外周縁に向かって一列に、かつ等間隔に前記磁気センサを複数配設することにより、或いは前記対象物が円板で回転していない場合、前記対象物の中心から放射状に前記磁気センサを配設するか、或いは前記対象物に前記磁気センサを格子状に配設することにより、或いは前記対象物が矩形板である場合、前記対象物に対して格子状に、前記磁気センサを複数配設することにより、より効果的に達成される。
【0013】
また、本発明は電解処理における膜厚測定装置に関し、本発明の上記目的は、電解処理される対象物の近傍に配設された磁束密度分布を計測する磁気センサと、前記磁気センサの信号である磁束密度の分布から前記対象物の表面電流密度を求め、前記表面電流密度から前記対象物の膜厚を算出する解析装置とを設け、前記対象物の膜厚を測定することにより達成される。
【0014】
本発明の上記目的は、前記磁気センサの信号をデジタル変換し、前記解析装置がデジタルの膜厚を求めることにより、或いは前記磁束密度の分布から前記表面電流密度を求める手段がビオサバールの積分方程式を実行することにより、或いは前記磁束密度の分布から前記表面電流密度を求める手段がマクスウェル方程式を実行することにより、或いは前記表面電流密度と膜厚成長速度の比例関係より前記膜厚を測定することにより、或いは前記比例関係がファラデーの法則であることにより、或いは前記比例関係の比例定数を実験によって求めることにより、或いは前記電解処理中にリアルタイムに前記対象物の膜厚を測定することにより、より効果的に達成される。
【0015】
さらに本発明の上記目的は、前記対象物が円板で回転している場合、前記対象物の中心から外周縁に向かって一列に、かつ外側に向かって順に間隔が小さくなるように前記磁気センサを複数配設することにより、或いは前記対象物が円板で回転している場合、前記対象物の中心から外周縁に向かって一列に、かつ等間隔に前記磁気センサを複数配設することにより、或いは前記対象物が円板で回転していない場合、前記対象物の中心から放射状に前記磁気センサを配設するか、或いは前記対象物に前記磁気センサを格子状に配設することにより、或いは前記対象物が円板で回転している場合、前記磁気センサを1つ配設し、前記磁気センサを前記対象物の中心から外周縁に向かってスキャンするスキャン機構を設けることにより、或いは前記対象物が円板で回転している場合、前記磁気センサを回転ロッドに取り付け、前記円板上を扇状にスキャンするスキャン装置を設けることにより、或いは前記対象物が矩形板である場合、前記対象物に対して格子状に、前記磁気センサを複数配設することにより、より効果的に達成される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の電解処理における膜厚測定方法及び膜厚測定装置によれば、磁気センサを用いて磁束密度分布を計測し、磁束密度分布から電流密度分布を計算することによって、電解処理される対象物の膜厚を測定することが可能である。磁気センサは電解処理槽の外部から非接触で配設されるため、本発明における電解処理膜の膜厚測定方法及び装置は、電解処理に悪影響を及ぼさずに膜厚を正確に測定することができる。なお、電解処理中にリアルタイムに膜厚の測定をすることが可能である。
【0017】
また、磁気センサは電解処理される対象物の表面近傍に自由に配設できるので、電解処理される対象物の全域で均等な計測精度を得ることができる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明では、電解処理装置として電解めっき装置に、電解槽の外側から電解処理対象物の近傍に磁気センサを配設することにより、磁気センサからの磁束密度分布に応じた信号を処理し、電解めっき処理中にめっき膜の膜厚をリアルタイムに計測する。本発明は電解めっきだけでなく、電解エッチングにおける膜厚測定にも同様に用いることができ、これらの処理を合わせて電解処理とする。また、測定した磁束密度分布のデータをメモリに記憶しておき、電解処理の後に演算することにより、電解処理の後に膜厚を算出することも可能である。
【0019】
電解めっき装置は、陽極はめっき膜を形成する金属から成り、電解槽は電解液で満たされ、陰極はめっき膜が形成される固体の対象部から成る。ここでは、陰極の対象物が、シリコンでできたLSIウェハの場合を説明する。電源から電流を流すと、陽極の金属は陽イオンとなり電解液中に溶解し、陰極で電子を受け取り、LSIウェハの表面に金属が析出して、めっき膜となる。
【0020】
図1は、本発明の電解めっき膜厚測定装置を装備した電解めっき装置の構成図である。陰極1は円板のLSIウェハ、陽極2はめっき膜を形成する円板状金属で、円筒状の電解槽3は電解液で満たされている。陰極1のLSIウェハの表面には、電解槽の外側にLSIウェハと非接触の状態で、磁気センサ4が中心から外周縁に向かって一列に、かつ外側に向って順に間隔が小さくなるように複数個配設されている。磁気センサ4は、電解めっき中にLSIウェハに流れる電流によって誘導される磁束密度を計測するために配設されており、各磁気センサ4は同一のものである。電源5は陰極1と給電ターミナル6で繋がれて、陽極2とは給電ターミナル7で繋がれており、陰極1及び陽極2間に電位を与えることによって電解液を介してめっき処理が実行されるようになっている。
【0021】
磁気センサ4で計測された磁束密度に対応するアナログ信号は必要に応じて増幅され、A/Dコンバータでデジタル信号に変換されて解析装置(例えばコンピュータ)に入力され、磁束密度の分布に基づく関係式モデルからLSIウェハ表面上の電流密度を算出し、具体的にはビオサバールの積分方程式或いはマクスウェル方程式を用いて、LSIウェハ表面上の電流密度を算出する。磁気センサ4に誘導される磁束密度はLSIウェハから遠ざかると減衰するので、磁気センサ4は電解槽の外側のLSIウェハにできるだけ近いところに設置することが望ましい。
【0022】
磁気センサ4としては、誘導される磁束密度のレベルに応じてSQUIDセンサ、フラックスゲートセンサ、GMRセンサ、ホールセンサ等を利用することができる。図1に示されるように、LSIウェハが円形で、めっき時にLSIウェハが回転している場合には、回転軸に対して軸対称にめっき膜が形成される。そのため、磁気センサ4は円の中心Pから円の端の外周縁Qを結ぶ線分PQ上に配設すれば十分である。また、外周縁に近づく程電流密度の変化が大きくなるので、外周縁近傍での電流密度計測の解像度を上げるため、磁気センサ4は外周縁Qに近づく程密に、つまり小さい間隔で配設される。
【0023】
電解めっきを行うと、LSIウェハ面内に電流密度iw[A/m]が流れる。電流密度iw[A/m]によって、磁束密度B[T]が誘起され、この磁束密度Bを磁気センサ4によって計測する。アナログの磁気信号を増幅器で増幅し、解析装置にデータとして入力するために、A/Dコンバータでアナログ信号をデジタル信号に変換する。解析装置では、下記数1のビオサバールの積分方程式により、磁束密度のデータから電流密度を算出する。
【0024】
【数1】

数1で、磁束密度

と、電流密度

と、電流密度の位置ベクトル

は、ベクトル量である。また、mは透磁率で、Wは体積積分を表す。
【0025】
実際に電流密度を算出する際には、ビオサバールの積分方程式を離散化する。離散化の方法には、基底関数として三角関数を用いたフーリエ級数を用いる方法、基底関数としてベッセル関数を用いたフーリエハンケル級数を用いる方法がある。また、領域を要素に分割し各要素内を内挿関数で近似する、有限要素法による離散化や境界要素法による離散化を用いることができる。磁束密度Bは、下記数2で表される。
【0026】
(数2)
{B}=[K]{iw}
数2において、{B}は計測された各位置の磁束密度を表すn次元列ベクトルであり、{iw}はm個に離散化した電流密度を表すm次元列ベクトルであり、[K]はn×m行列である。各位置の電流密度{iw}は、下記数3で計算することができる。
【0027】
(数3)
{iw}=[K]−1{B}
方程式が悪条件の場合(逆行列[K]-1が不安定な場合)、チコノフの適切化法、フーリエ変換法、特異値分解法、ベイズ推定法、最尤推定法、パラメータ化法、周波数領域法、級数展開法等の適切化法を適用して、電流密度{iw}の解を安定に求めることができる。
【0028】
また、ビオサバールの積分方程式の代わりにマクスウェル方程式を解くことによっても、磁束密度と電流の関係を得ることができる。ここでは、下記数4のアンペールの法則と、数5で示される磁場と磁束密度の関係式を用いる。
【0029】
【数4】

【0030】
【数5】

ここで、磁場

、電流密度

、磁束密度

はベクトル量である。上記数4と数5から、磁束密度B[T]と電流密度J[A/m]の関係が得られる。この式を差分法や有限要素法などの手法によって離散化した式を用いて、電流密度を算出する。マクスウェル方程式は、磁気センサの近傍に透磁率の異なる部材が存在する場合にも用いることができる。
【0031】
LSIウェハ面内を流れる電流密度iw[A/m]とLSIウェハに流入する電流密度ic[A/m]には、下記数6の関係が成り立つ。
(数6)
ic(x,y)=−div(iw(x,y))
ここで、xy平面はLSIウェハ面上にある。divはLSIウェハ面内の発散を表す。ic[A/m]とめっき膜の成長速度v[m/s]との間には比例関係が成り立ち、下記数7が成り立つ。
(数7)
v=a×ic
ファラデーの法則を用いると比例定数aは、下記数8で与えられる。
(数8)
a=M/(F×Z×ρ)
数8において、Mはめっき膜を形成する金属の原子量、Fはファラデー定数で9.64853415×10[C/mol]、Zはめっきを形成する金属の電荷数、ρ[g/m]はめっきを形成する金属の密度である。或いは、比例定数aを実験によって決定することができる。数7の関係を用いて、めっきの膜厚を算出することができる。上述した方法により、電解めっきにおけるめっきの膜厚をリアルタイムでモニタリングすることが可能になる。
【0032】
めっき電流を変調することにより、誘起される磁束密度も変調させることができ、変調された磁束密度の検出には、安価で精度の高いコイル式の磁気センサを用いることができる。さらに、周波数フィルタ、ロックインアンプ、復調回路などを適用することにより、ノイズを低減することができる。
【0033】
円板のLSIウェハでLSIウェハが回転している場合で、外周縁近傍で高い解像度を必要としない場合には、円の中心から円の外周縁までの線分上に等間隔に磁気センサ4を配設しても良い。
【0034】
円板のLSIウェハでLSIウェハが回転していない場合、電流密度が軸対象にならない場合がある。この場合、図2に示すように磁気センサ12をLSIウェハ11の中心から放射状に配設する。或いは、磁気センサをLSIウェハ上に格子状に配設する。なお、放射状の配置図2や格子状の配置は、LSIウェハが回転している場合にも用いることができる。
【0035】
図3は、矩形のLSIウェハ13の場合の磁気センサ14の配置例を示す。この場合、磁気センサ14はLSIウェハ13上に格子状にほぼ均一に配設する。このようにすれば、電解処理中のLSIウェハ11の膜厚をリアルタイムに、上述の測定原理で測定することができる。
【0036】
上述では複数の磁気センサ4をLSIウェハの近傍に配設する場合を説明したが、一つの磁気センサ若しくは一列に配設された磁気センサ列(リニアセンサ)をスキャンすることによっても本発明は可能である。即ち、1つの磁気センサ16をスキャンさせる場合、回転している円形のLSIウェハ15に対して、図4に示すように、中心から外周縁に設けられているリニアスライダ17に1個の磁気センサ14を摺動可能に配設し、リニアスライダ17上を図示A1、B1方向に移動させることによってスキャンする。このようなスキャン機構によっても、同様な膜厚測定が可能である。
【0037】
矩形のLSIウェハ18に対して、図5のように矩形の一辺に1軸ステージ20を設け、1軸ステージ20に等間隔に複数の磁気センサ19を配設してリニアセンサを構成し、このリニアセンサを図示A2、B2方向に移動することによってLSIウェハ18の全面をスキャンすることができる。また、図6のように、一軸ステージ23に1個の磁気センサ22を摺動可能に配設し、磁気センサ22を一軸ステージ23上で図示C、D方向にスライドさせる機構を設け、リニアセンサを構成する。このリニアセンサを図示A3、B3方向に移動することによって、LSIウェハ21の全面をスキャンすることができる。
【0038】
その他、回転している円形のLSIウェハ24に対して、図7のように、1個の磁気センサ25をハードディスクやレコードのように回転ロッド26を、点Eを支点軸として、図示A4、B4方向に扇状にスキャンする機構にしても良い。LSIウェハ24は回転しているので、これでLSIウェハ全体をスキャンすることができる。
【0039】
以上の説明では、めっきの対象物がLSIウェハの場合を示したが、本発明はめっきの対象物をLSIウェハに限定するものではない。また、上述では電解めっきにおけるめっき膜厚測定について説明したが、電解エッチングの際の膜厚測定にも使用できる。測定対象が円形の場合と矩形の場合の実施例を示して説明したが、本発明は任意の形状の対象物に対して適用することができる。上述では磁気センサからの信号をA/D変換してデジタル処理で膜厚を測定するようにしているが、デジタルでなくてもアナログの信号のままでの膜厚測定も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】電解めっき膜厚測定装置を装備した電解めっき装置の構成図である。
【図2】円形のLSIウェハ上に磁気センサを放射状に配設した場合の配置例を示す平面図。
【図3】LSIウェハが矩形の場合の磁気センサの配置例を示す平面図である。
【図4】円形のLSIウェハ上を磁気センサでスキャンする様子を示す図である。
【図5】矩形のLSIウェハ上を磁気センサでスキャンする様子を示す図である。
【図6】矩形のLSIウェハ上を磁気センサでスキャンする他の例を示す図である。
【図7】円形のLSIウェハ上を磁気センサでスキャンする他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
1 陰極
2 陽極
3 電解槽
4,12,14,16,19,22,25 磁気センサ
5 電源
6 電源と陰極を繋ぐ給電ターミナル
7 電源と陽極を繋ぐ給電ターミナル
11,13,15,18,21,24 LSIウェハ
17 リニアスライダ
20,23 1軸ステージ
26 回転ロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解処理される対象物の近傍に磁気センサを配設し、前記磁気センサにより電解処理中の磁束密度の分布を計測し、前記磁束密度の分布から前記対象物の表面電流密度を求め、前記表面電流密度から前記対象物の膜厚を算出し、前記対象物の膜厚を測定できるようにしたことを特徴とする電解処理における膜厚測定方法。
【請求項2】
前記磁束密度の分布から前記表面電流密度を求める方法がビオサバールの積分方程式である請求項1に記載の電解処理における膜厚測定方法。
【請求項3】
前記磁束密度の分布から前記表面電流密度を求める方法がマクスウェル方程式である請求項1に記載の電解処理における膜厚測定方法。
【請求項4】
前記表面電流密度と膜厚成長速度の比例関係より前記膜厚を測定する請求項1乃至3のいずれかに記載の電解処理における膜厚測定方法。
【請求項5】
前記比例関係がファラデーの法則である請求項4に記載の電解処理における膜厚測定方法。
【請求項6】
前記比例関係の比例定数を実験によって求める請求項4に記載の電解処理における膜厚測定方法。
【請求項7】
前記電解処理中にリアルタイムに前記対象物の膜厚を測定する請求項1乃至6のいずれかに記載の電解処理における膜厚測定方法。
【請求項8】
前記磁気センサを1つ配設し、前記対象物をスキャンして前記磁束密度の分布を計測するようになっている請求項1乃至7のいずれかに記載の電解処理における膜厚測定方法。
【請求項9】
前記対象物が円板で回転している場合、前記対象物の中心から外周縁に向かって一列に、かつ外側に向かって順に間隔が小さくなるように前記磁気センサを複数配設している請求項1乃至7のいずれかに記載の電解処理における膜厚測定方法。
【請求項10】
前記対象物が円板で回転している場合、前記対象物の中心から外周縁に向かって一列に、かつ等間隔に前記磁気センサを複数配設している請求項1乃至7のいずれかに記載の電解処理における膜厚測定方法。
【請求項11】
前記対象物が円板である場合、前記対象物の中心から放射状に前記磁気センサを配設するか、或いは前記対象物に前記磁気センサを格子状に配設する請求項1乃至7のいずれかに記載の電解処理における膜厚測定方法。
【請求項12】
前記対象物が矩形板である場合、前記対象物に対して格子状に、前記磁気センサを複数配設している請求項1乃至7のいずれかに記載の電解処理における膜厚測定方法。
【請求項13】
電解処理される対象物の近傍に配設された磁束密度分布を計測する磁気センサと、前記磁気センサの信号である磁束密度の分布から前記対象物の表面電流密度を求め、前記表面電流密度から前記対象物の膜厚を算出する解析装置とを具備し、前記対象物の膜厚を測定することを特徴とする電解処理における膜厚測定装置。
【請求項14】
前記磁気センサの信号をデジタル変換し、前記解析装置がデジタル値の膜厚を求めるようになっている請求項13に記載の電解処理における膜厚測定装置。
【請求項15】
前記磁束密度の分布から前記表面電流密度を求める手段がビオサバールの積分方程式を実行する請求項13又は14に記載の電解処理における膜厚測定装置。
【請求項16】
前記磁束密度の分布から前記表面電流密度を求める手段がマクスウェル方程式を実行する請求項13又は14に記載の電解処理における膜厚測定装置。
【請求項17】
前記表面電流密度と膜厚成長速度の比例関係より前記膜厚を測定する請求項13乃至16のいずれかに記載の電解処理における膜厚測定装置。
【請求項18】
前記比例関係がファラデーの法則である請求項17に記載の電解処理における膜厚測定装置。
【請求項19】
前記比例関係の比例定数を実験によって求める請求項17に記載の電解処理における膜厚測定装置。
【請求項20】
前記電解処理中にリアルタイムに前記対象物の膜厚を測定する請求項13乃至19のいずれかに記載の電解処理における膜厚測定装置。
【請求項21】
前記対象物が円板で回転している場合、前記対象物の中心から外周縁に向かって一列に、かつ外側に向かって順に間隔が小さくなるように前記磁気センサを複数配設している請求項13乃至20のいずれかに記載の電解処理における膜厚測定装置。
【請求項22】
前記対象物が円板で回転している場合、前記対象物の中心から外周縁に向かって一列に、かつ等間隔に前記磁気センサを複数配設している請求項13乃至20のいずれかに記載の電解処理における膜厚測定装置。
【請求項23】
前記対象物が円板である場合、前記対象物の中心から放射状に前記磁気センサを配設するか、或いは前記対象物に前記磁気センサを格子状に配設する請求項13乃至20のいずれかに記載の電解処理における膜厚測定装置。
【請求項24】
前記対象物が円板で回転している場合、前記磁気センサを1つ配設し、前記磁気センサを前記対象物の中心から外周縁に向かってスキャンするスキャン機構を備えている請求項13乃至20のいずれかに記載の電解処理における膜厚測定装置。
【請求項25】
前記対象物が円板で回転している場合、前記磁気センサを回転ロッドに取り付け、前記円板上を扇状にスキャンするスキャン装置を備えている請求項13乃至20のいずれかに記載の電解処理における膜厚測定装置。
【請求項26】
前記対象物が矩形板である場合、前記対象物に対して格子状に、前記磁気センサを複数配設している請求項13乃至20のいずれかに記載の電解処理における膜厚測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−14699(P2008−14699A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−184277(P2006−184277)
【出願日】平成18年7月4日(2006.7.4)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】