説明

電解水生成装置

【課題】収納キャビネット内スペースを圧迫することなく、しかも、引出式収納キャビネットに対応できるビルトイン型の電解水生成装置を提供する。
【解決手段】シンクを形成した天板部にイオン水ノズルを有する水栓を設け、この天板部の下方が前扉あるいは引出を有する収納キャビネットとなっている流し台に、水道水を浄化する浄水器と、この浄化された浄水をイオン水にする電解ユニットが、それぞれ分離された状態で前記収納キャビネット内に配置される電解水生成装置であり、前記浄水器を前記収納キャビネット内に位置させると共に、前記電解ユニットを前記収納キャビネット内のシンク前側と前記前扉の間隙、あるいは、前記シンク前側と引出の前面パネルとの間隙に設け、前記電解ユニットと前記浄水器及び前記水栓を接続管にて接続したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キッチン等の流し台に設置される電解水生成装置に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
電解水生成装置は、その設置形態により卓上型とビルトイン型に大別される。卓上型は既設の水栓からホース等により導出された水道水を流し台の天板部上に据置された生成器本体でイオン水を生成する。一方、ビルトイン型は専用の水栓を使用し、生成器本体は流し台の収納キャビネット内に設置される。ビルトイン型は流し台との一体感や天板部上のスッキリ感を求めるユーザからの支持が高い。
しかしながら、ビルトイン型においては、生成器本体を収納キャビネット内に設置するため、収納キャビネット内スペースを圧迫することになる。また、近年主流となっている引出式収納キャビネットに設置できないといった問題点があった。引出式収納キャビネットの場合、稼動する引出内に生成器本体を設置することは、生成器本体に接続されるホースへ稼動時のストレスを与えることになり、好ましくない為、生成器本体は引出のさらに奥の稼動しない場所に設置されるのが一般的である。
また、収納キャビネットスペースの問題を解決するために、電解槽とは分離された電装部を収納キャビネット内の側部前方に位置させるというものである(例えば、特許文献1参照)。このような場合、前扉式の収納キャビネットには対応できても、引出式の収納キャビネットには、電装部が干渉してしまい設置することができないという問題があった。また、電解槽は収納キャビネット奥側に位置している為、電解水生成装置に必要なカルシウムの補給がし難いという問題もある。
【0003】
【特許文献1】特開2001−300534号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、本発明の課題は、収納キャビネット内スペースを圧迫することなく、しかも、引出式収納キャビネットに対応できるビルトイン型の電解水生成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、シンクを形成した天板部にイオン水ノズルを有する水栓を設け、この天板部の下方が前扉あるいは引出を有する収納キャビネットとなっている流し台に、水道水を浄化する浄水器と、この浄化された浄水をイオン水にする電解ユニットが、それぞれ分離された状態で前記収納キャビネット内に配置される電解水生成装置であり、前記浄水器を前記収納キャビネット内に位置させると共に、前記電解ユニットを前記収納キャビネット内のシンク前側と前記前扉の間隙、あるいは、前記シンク前側と引出の前面パネルとの間隙に設け、前記電解ユニットと前記浄水器及び前記水栓を接続管にて接続したことを特徴とする。
【0006】
これにより、電解ユニットを前記収納キャビネット内のシンク前側と前扉の間隙、あるいは、シンク前側と引出の前面パネルとの間隙に設置されるので収納キャビネットの収納スペースを圧迫することなく、ビルトイン型の電解水生成装置を設置できる。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記電解水生成装置の制御状態を表示し、電気的制御のための入力手段を有する操作表示部を前記電解ユニットに設け、前記操作表示部が前記前扉あるいは前記引出を開けた状態で認識可能となることを特徴とする。
【0008】
これにより、請求項1に示す場所に設置されても視認性が良く使い勝手の良い操作表示部を持つビルトイン型の電解水生成装置を設置できるという効果がある。また、操作表示部を電解ユニットと一体に構成することにより、配線の煩わしさや、扉開閉による配線の挟み込み等の懸念がない。
【0009】
請求項3記載の発明は、前記操作表示部が前記電解ユニットに対して、斜め上方から認識可能な様に傾斜配置されていることを特徴とする。
【0010】
これにより、使用者の台所作業の立位置から、操作表示部のスイッチの操作やランプの表示の認識が容易となる。
【0011】
請求項4記載の発明は、前記電解ユニットの下端がシンク底面より上部に位置した場所に設置されることを特徴としている。
【0012】
これにより、引出への収納物はシンク底面に干渉せず、収まることができるので、それより上方に位置する電解ユニットが収納物の干渉で破損することがないといった効果がある。
【0013】
請求項5記載の発明は、前記電解水生成装置の制御状態を表示し、前記電解水生成装置への入力手段を有する操作表示部は、前記電解ユニットから着脱可能とし、前記操作表示部からの入力信号を受信し、前記電解水生成装置の制御状態を前記操作表示部へ送信するする送受信部を、前記天板または、前記水栓に設けたことを特徴としている。
【0014】
これにより、電解水生成装置を操作する際に、収納キャビネットの前扉あるいは引出を開く必要がなく、操作性が向上する。
【発明の効果】
【0015】
電解ユニットを前記収納キャビネット内のシンク前側と前扉の間隙、あるいは、シンク前側と引出の前面パネルとの間隙に設置されるので収納キャビネットの収納スペースを圧迫することなく、ビルトイン型の電解水生成装置を設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、この発明の第一実施の電解水生成装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1に本発明の電解水生成装置の外観図を、図2に本発明である電解水生成装置の設置されたシステムキッチンの断面図を、図3に本発明の電解ユニットの外観図であり、(a)は上面図、(b)は正面図、(c)は側面図を、図4は本発明品である電解ユニット1の内部構造を、図5は操作パネルのレイアウトをそれぞれ示す。
収納キャビネット42と天板部8により流し台が構成される。浄水器2は収納キャビネット42奥側のひな段7の上部に設置される。浄水器2はひな段7に固定金具を用いて固定される場合もある。水栓15は給水接続管9、開閉バルブ(図示せず)を介して、浄水器2に水道水を導入する接続管10と、電解ユニット1で生成したイオン水を吐出するイオン水ノズル34と同じく生成された捨て水を吐出する捨て水パイプ35より構成される。
【0017】
浄水器2と電解ユニット1は接続管11により連通され、電解ユニット1と水栓15のイオン水ノズル34と捨て水ノズル35とは、それぞれ接続管12,13を介して連通される。
【0018】
電解ユニット1はシンク3と引出(上段)4の前面パネル37との間隙41に設置される。間隙41は本実施例においては、約45mm程度である。電解ユニット1は、天板部8下部に取付けられたフレーム39と電解ユニットの固定用ブラケット21を取付けることで固定される。電解ユニット1は前述の様に、上部を収納キャビネット天板部8に固定される構造である為、電解ユニット1の下部の補強配慮として、アジャスタ33を配備している。アジャスタ33は電解ユニット1から後方へ伸縮自在であり、これを施工時、シンク3の前面に押し当たる位置まで伸長し、固定することで、電解ユニット1前方からの荷重を支えることができる構造となっている。当該間隙41に設置するために、電解ユニット1は薄型のものである必要があり、例えば、無隔膜電解槽を有する薄型電解ユニットが好ましい。
【0019】
引出(上段)4には、菜箸や杓文字等、台所作業に係る比較的厚みのない用具が収納されるが、開閉時の用具の干渉により、通水経路を有する電解ユニット1に損傷を与えない目的で、電解ユニット1の下端はシンク3底面よりも上方に配置されている。これにより、シンク3底面に干渉せず、収納キャビネット42から引出4を開閉できた場合は、物理的に電解ユニット1にも干渉することがない。
【0020】
電解ユニット1への接続管11、イオン水ノズル34への接続管12および捨て水ノズル35への接続管13および電源コード32は、電解ユニット1の右背面より、シンク3の側面を通り、各接続端子へと伸長する。この際、接続管類を一括し、中空のホースガイド43の中を通し、さらにホースガイド43を収納キャビネット42の任意に箇所に固定することで、接続管類が垂れるのを防止することができる。接続端子へはワンタッチカプラ31を持ってそれぞれ接続される。
【0021】
電解ユニット1、浄水器2、接続管類9,10,11,12,13を上述のように収納キャビネット42内にレイアウトすることで、収納キャビネット内スペースを有効利用し、引出式収納キャビネット42にも対応した電解水生成装置を構成することができる。
【0022】
操作表示部14は電解ユニット1の前面より傾斜角度約45°で電解ユニット1下部にレイアウトされる。これは前述の間隙41に電解ユニット1を設置した場合に、使用者のキッチン立位置から都合良く、モードスイッチ16の操作ができ、モードLED17の視認性の良いレイアウトとなっている。
【0023】
電解ユニット1の下部には、引出4の開閉に伴う、収納物の衝撃を緩衝する目的でゴム板38を配備している。
【0024】
電解ユニット1は、カルシウム添加口20を有している。カルシウム添加の際は、カルシウムキャップ28を開けて、カルシウム添加筒29内にカルシウムを添加する。カルシウムの添加は約1週間毎に実施されるため、簡単に添加投入できるものでなければならない。本発明では、電解ユニット1を収納キャビネット42前方に配備することで、カルシウム添加性の向上にも寄与している。
【0025】
カルシウム補給時にカルシウム添加口20を開口すると、それより上部にある溜り水がカルシウム添加口20より溢れてくる可能性がある。これを防止するために、本発明では、水抜スイッチ22を設けている。カルシウム添加以前に、水抜スイッチ22を押すことで、水抜口30が開口し、カルシウム添加口20より上部の溜り水が抜け、その後、カルシウム添加口20を開口しても水が溢れることはない。水抜スイッチ22は押下状態でのみ水抜口30を開口し、閉め忘れによる漏水を防止する構造となっている。水抜機構45はカルシウム添加筒29と一体に構成されている。また、カルシウム添加筒29は、鉛直方向に対して約45°の傾斜を持って配備されている。これにより、カルシウムキャップ28の開口は斜め上方に、操作表示部14の傾斜上部に形成された空間内で実施されるため、カルシウムキャップ28を電解ユニット1から突出することなく配備することができ、カルシウム添加も容易となる。
【0026】
電解ユニット1の内部は、電源基板23、制御基板24、電解槽27、流量センサ40、水抜機構45及びカルシウム添加筒29および中継ホース25,26より構成されている。
また、操作表示部14はモードスイッチ16、モードLED17、点字表示19が設けられており使用者の使い勝手も良好な仕様となっている。また、カートリッジの交換時期を告知するカートリッジ交換ランプ18をも配備しているため、さらに使い勝手を向上させることが可能となる。
【0027】
本実施例では、主に、引出式の収納キャビネットについて記載したが、前扉式の収納キャビネットについても同様に本発明を構成することができる。
【0028】
図6は本発明の電解水生成装置のブロック図である。
図6のブロック図に示す通り、水栓15の使用者の操作により開閉バルブ36が開状態になると、接続管10、浄水器2、接続管11を介して、電解ユニット1に浄化水が導入される。導入された浄化水は、中継ホース26、流量センサ40を通り、カルシウム添加筒29内のカルシウムを溶解させ、中継ホース26から電解槽27に入る。流量センサ40の入力信号を受けると、電源基板23が、選択されたモードスイッチ16や流量センサ40より得た流量データを基に演算した電解電圧を電解槽27に印加することで、浄化水が電極反応により電気分解されることによりイオン水が生成される。生成されたイオン水と副産物である捨て水は、それぞれの接続管12,13を介して水栓15のノズルよりそれぞれ吐出される。モードスイッチ16を選択すると、選んだモードに該当するモードLED17が点灯する。操作表示部14にはカートリッジ交換ランプ18を配備しており、浄水器2の交換時期には当該ランプ18が点灯し使用者への告知をする構成となっている。
【0029】
本発明に係る電解水生成装置においては、前回の使用者がどのモードスイッチ16を選択し、イオン水を使用した後でも、必ず「清水モード」に戻るチャイルドロック機構を有している。電解水生成器は医療用具であり、イオン水は使い始めはアルカリ強度の低いものを、また医薬品の飲用はイオン水を使用してはならない旨がガイドされていることから、使い方を知らない子供が興味本位で変えてしまったモードを気付かずそのまま次回使用者が誤まって使わないようにした配慮している。
【0030】
次に、この発明の第ニ実施の電解水生成装置の実施形態を図7及び図8に基づいて詳細に説明する。尚、第一実施の電解装置と同一構成については、同符号を付与しており、説明については省略する。
【0031】
図7は、本発明の電解水生成装置の第二実施例の外観図である。操作表示部47は、天板8の上に着脱可能に設置されている。図8のブロック図に示す通り、操作表示部47の送受信部49と、制御基板24と有線で接続された電解ユニット1の送受信部51が赤外線の入力信号により通信される。使用者の操作により、操作表示部47の入力信号が送受信部49から送受信部51へ受信されると共に、電解ユニット1の制御状態を送受信部51から操作表示部47の送受信部49へ送信され、電解ユニット1の制御状態を操作表示部47に表示する。本実施例では、電解ユニット1の送受信部51は、天板8に設けているが、水栓15に設けてもよい。操作表示部47のレイアウトは、図5に示す操作表示パネルレイアウトと同等である。また、イオン水ノズル34には、吐水/止水スイッチ46が取り付けられており、これを操作することで、電磁弁48が駆動し、電解水生成装置に水道水を供給することができる。操作表示部47は本体の操作表示部収納ポケット50にも収納することができるので、使用者の嗜好や使い勝手によって、操作表示部47の位置を選択することができる。操作表示部収納ポケット50に収納される場合は、操作基板24と操作表示部47に物理的な電気接点が生じることで、システムが形成される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の電解水生成装置の外観図である
【図2】本発明の電解水生成装置の設置されたシステムキッチンの断面図である。
【図3】本発明の電解ユニットの外観図である。
【図4】本発明の電解ユニットの内観図である。
【図5】本発明の電解ユニット操作表示パネルレイアウト図である。
【図6】本発明の電解水生成装置のブロック図である。
【図7】本発明の電解水生成装置の第二実施例の外観図である。
【図8】本発明の電解水生成装置の第二実施例のブロック図である。
【符号の説明】
【0033】
1…電解ユニット
2…浄水器
3…シンク
4…引出(上段)
5…引出(中段)
6…引出(下段)
7…ひな段
8…天板
9…接続管(給水→水栓)
10…接続管(水栓→浄水器)
11…接続管(浄水器→電解ユニット)
12…接続管(電解ユニット→イオン水ノズル)
13…接続管(電解ユニット→捨て水ノズル)
14…操作表示部
15…水栓
16…モードスイッチ
17…モードLED
18…カートリッジ交換ランプ
19…点字表示
20…カルシウム添加口
21…固定用ブラケット
22…水抜スイッチ
23…電源基板
24…制御基板
25…中継ホース
26…中継ホース
27…電解槽
28…カルシウムキャップ
29…カルシウム添加口
30…水抜口
31…ワンタッチカプラ
32…電源コード
33…アジャスタ
34…イオン水ノズル
35…捨て水ノズル
36…開閉バルブ
37…前面パネル
38…ゴム板
39…フレーム
40…流量センサ
41…間隙
42…収納キャビネット
43…ホースガイド
44…排水管
45…水抜機構
46…吐水/止水スイッチ
47…操作表示部
48…電磁弁
49…送受信部
50…操作表示部収納ポケット50
51…送受信部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
シンクを形成した天板部にイオン水ノズルを有する水栓を設け、この天板部の下方が前扉あるいは引出を有する収納キャビネットとなっている流し台に、水道水を浄化する浄水器と、この浄化された浄水をイオン水にする電解ユニットが、それぞれ分離された状態で前記収納キャビネット内に配置される電解水生成装置であり、前記浄水器を前記収納キャビネット内に位置させると共に、前記電解ユニットを前記収納キャビネット内のシンク前側と前記前扉の間隙、あるいは、前記シンク前側と引出の前面パネルとの間隙に設け、前記電解ユニットと前記浄水器及び前記水栓を接続管にて接続したことを特徴とする電解水生成装置。
【請求項2】
前記電解水生成装置の制御状態を表示し、電気的制御のための入力手段を有する操作表示部を前記電解ユニットに設け、前記操作表示部が前記前扉あるいは前記引出を開けた状態で認識可能となることを特徴とする請求項1記載の電解水生成装置。
【請求項3】
前記操作表示部が前記電解ユニットに対して、斜め上方から認識可能な様に傾斜配置されていることを特徴とする請求項2記載の電解水生成装置。
【請求項4】
前記電解ユニットの下端がシンク底面より上部に位置した場所に設置されることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の電解水生成装置。
【請求項5】
前記電解水生成装置の制御状態を表示し、前記電解水生成装置への入力手段を有する操作表示部は、前記電解ユニットから着脱可能とし、前記操作表示部からの入力信号を受信し、前記電解水生成装置の制御状態を前記操作表示部へ送信するする送受信部を、前記天板または、前記水栓に設けたことを特徴とする請求項1記載の電解水生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−122899(P2006−122899A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−282593(P2005−282593)
【出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【出願人】(000010087)東陶機器株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】