説明

電話システム、移動端末装置、及びサーバ装置

【課題】 内線電話端末装置に関連付けられた移動端末装置のプレゼンス情報を内線電話端末装置のユーザのプレゼンス情報に反映させる電話システム、移動端末装置、及びサーバ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 IP網1および回線交換網2に接続され、IP網1に接続される内線電話端末装置Tのプレゼンス情報を管理するサーバ装置Sと、その回線交換網2に接続された移動通信網3と通信を行う移動端末装置Mとを有する電話システムであって、サーバ装置Sには、自らのサーバ装置Sが管理する内線電話端末装置Tに係るプレゼンス情報を記憶するプレゼンス情報テーブル131を備える。移動端末装置Mは、通話開始を検出すると設定情報テーブル221に記憶された設定情報を参照して、サーバ装置Sへ自らの移動端末装置Mのプレゼンス情報を含む信号を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信網と回線交換網との融合によるプレゼンス情報の提供に関する。
【背景技術】
【0002】
企業などで使用される内線電話端末装置を収容する構内交換機は、内線電話端末装置のIP化に伴いIP化された構内交換機の役割を担うVoIP(Voice Over IP)サーバで実現されるようになってきた。このVoIPサーバには、VoIPサーバによって呼制御される内線電話端末装置が待受け状態や通話中の状態であることや、ユーザが在席や不在等のユーザの状態を示すプレゼンス情報を把握し、VoIPサーバにアクセスしたユーザにプレゼンス情報を表示したり、予めVoIPサーバに設定してあるプレゼンスの条件になると定期的に特定のユーザにそのプレゼンス情報を通知したりする機能を備えている。このようなプレゼンス情報をユーザが取得することができる機能によって、コミュニケーションにおける時間の無駄を省き業務の効率化や円滑化を図ることができる。
【0003】
また、内線電話端末装置のプレゼンス情報だけでなく、パーソナルコンピュータの使用状況によるプレゼンス情報も内線電話端末装置のプレゼンス情報と対応付けてプレゼンス情報を提供する技術が知られている(特許文献1)。
【0004】
さらに、IP網の発展によって携帯電話やPHSなどの移動端末装置のネットワークである移動通信網と回線交換網との融合が進むと、内線電話端末装置の番号に着信があった場合に移動端末装置で着信するなど、移動端末装置と内線電話端末装置等の固定電話がより密接な関係となるFMC(Fixed Mobile Convergence)サービスが可能になる。このようなFMCサービスにおいても、VoIPサーバによるプレゼンス情報の提供が求められる。例えば、VoIPサーバに収容されている内線電話端末装置のユーザが所持する移動端末装置で通話をしている場合は、そのユーザが通話中であることを、VoIPサーバが提供するプレゼンス情報に反映させたりするようなものである。
【特許文献1】特開2006−238112号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来技術では、移動端末装置が通話中の場合にはその移動端末装置のプレゼンス情報を構内交換機に通知できないという問題がある。その理由として、近年の移動端末装置は通常通話の機能とインターネットへアクセスするウェブ機能とを併せて備えているが、携帯電話は通話を開始すると、携帯電話のセキュリティ確保の観点から外部装置との間で同時に通信ができないように設定されていることが挙げられる。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、内線電話端末装置に関連付けられた移動端末装置のプレゼンス情報を内線電話端末装置のユーザのプレゼンス情報に反映させる電話システム、移動端末装置、及びサーバ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明による電話システムは、IP網および回線交換網に接続され、前記IP網に接続される内線電話端末装置のプレゼンス情報を管理するサーバ装置と、前記回線交換網に接続された移動通信網と通信を行う移動端末装置とを有する電話システムであって、前記移動端末装置には、自らの移動端末装置のプレゼンス情報に係る情報を前記サーバ装置へ送信する際に参照する設定情報を記憶する設定情報テーブルと、通話開始または通話終了を検出することによって、自らの移動端末装置のプレゼンスの変化を判断する通話状態管理手段と、前記通話状態管理手段によって自らの移動端末装置のプレゼンスの変化を判断すると、前記設定情報テーブルを参照して自らの移動端末装置のプレゼンス情報を含む信号を前記サーバ装置へ送信する送信手段とを有し、前記サーバ装置には、自らのサーバ装置が管理する内線電話端末装置に係るプレゼンス情報を記憶するプレゼンス情報テーブルと、前記移動端末装置から前記信号を受信すると、前記信号に基づき前記プレゼンス情報テーブルに前記移動端末装置のプレゼンス情報を更新する状態監視部とを有することを特徴とする。
【0008】
また、上記目的を達成するために、本発明による移動端末装置は、IP網および回線交換網に接続され前記IP網に接続される内線電話端末装置のプレゼンス情報を管理するサーバ装置と、前記回線交換網に接続された移動通信網と通信を行う移動端末装置とを有する電話システムで使用される移動端末装置であって、自らの移動端末装置のプレゼンス情報に係る情報を前記サーバ装置へ送信する際に参照する設定情報を記憶する設定情報テーブルと、通話開始または通話終了を検出することによって、自らの移動端末装置のプレゼンスの変化を判断する通話状態管理手段と、前記通話状態管理手段によって自らの移動端末装置のプレゼンスの変化を判断すると、前記設定情報テーブルを参照して自らの移動端末装置のプレゼンス情報を含む信号を前記サーバ装置へ送信する送信手段とを有することを特徴とする。
【0009】
また、上記目的を達成するために、本発明によるサーバ装置は、IP網および回線交換網に接続され前記IP網に接続される内線電話端末装置を管理するサーバ装置と、前記回線交換網に接続された移動通信網と通信を行う移動端末装置とを有する電話システムで使用されるサーバ装置であって、自らのサーバ装置が管理する内線電話端末装置に係るプレゼンス情報を記憶するプレゼンス情報テーブルと、前記移動端末装置からプレゼンス情報を含む信号を受信すると、前記信号に応じて前記プレゼンス情報テーブルを更新する状態監視部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、内線電話端末装置に関連付けられた移動端末装置が通話中か否かの情報を内線電話端末装置のユーザのプレゼンス情報に反映させる電話システム、移動端末装置、及びサーバ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施例を、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、この発明に関わる電話システムの一実施の形態を示し、特に、内線電話端末装置と関連付けられた移動端末装置のプレゼンス情報を、内線電話端末装置のプレゼンス情報に反映させるためのシステム構成図である。
【0013】
このシステムは、内線電話端末装置Tがルータ4に接続され、ルータ4はIP網1に接続されている。このIP網には、内線電話端末装置Tに係るプレゼンス情報を管理するサーバ装置Sが接続されている。このサーバ装置Sは、回線交換網2を介して、移動端末装置Mが無線で通信するための移動通信網3に接続されている。なお、内線電話端末装置Tおよび移動端末装置Mは夫々1つのみ示しているが、ルータ4には多数の内線電話端末装置Tが接続可能であり、移動通信網3には多数の移動端末装置Mが接続可能である。
【0014】
図2は、サーバ装置Sの構成を示すブロック図である。サーバ装置Sには、通信インターフェース部110、制御部120、記憶部130が備えられている。記憶部130には、サーバ装置Sが管理する内線電話端末装置Tに係るプレゼンス情報を記憶するプレゼンス情報テーブル131、内線電話端末装置への不在着信に係る情報を記憶する不在着信テーブル132、および内線電話端末装置に着信した呼をその内線電話端末装置Tに関連付けられた移動端末装置Mへ転送する場合の条件等の転送設定条件を記憶する転送設定テーブル133が記憶されている。また、制御部120には状態監視部121および呼制御部122が備えられている。状態監視部121は、通信インターフェース部110から受信した内線電話端末装置Tへの着信や移動端末装置Mからのアクセスの際にプレゼンス情報テーブルを更新するようになっている。そして、呼制御部122は、通信インターフェース部110から受信した内線電話端末装置Tへの着信や内線電話端末装置Tからの発信の呼制御を行うようになっている。
【0015】
さらに、プレゼンス情報テーブル131に記憶されている内線電話端末装置Tに係るプレゼンス情報は、回線交換網2を介して、WEBサーバ機能によって外部からの閲覧または特定の移動端末装置Mや内線電話端末装置Tなどに通知するなど、外部へ提供することができるようになっている。
【0016】
図3は、移動端末装置Mの構成を示すブロック図である。移動端末装置Mには、送受信部(送受信手段)213、呼制御部210、通話処理部211、HTTP処理部(HTTP処理手段)212、通話状態管理部(通話状態管理手段)220、マンマシンインタフェース部230、表示部、231、ボタン232、マイク233、スピーカ234が備えられている。
【0017】
送受信部312には、無線で通信を行うアンテナ201およびアンテナで使用する無線の周波数および電力を制御する無線制御部200が備えられている。通話状態管理部220には、通話状態をサーバ装置Sへ通知するための設定情報を記憶する設定情報テーブル221およびボイスメールを含む不在着信に係る情報を取得する不在着信取得部(不在着信取得手段)222が備えられている。この移動端末装置Mから発信する際は、ボタン232から入力された発信の命令は、マンマシンインタフェース部230を介して呼制御部210が受信し、通話処理部211で通話処理を行い、無線制御部200がアンテナ201を制御して無線を使用して発信を行うようになっている。
【0018】
また、この移動端末装置Mにアンテナ201を介して着信があった場合は、無線制御部200を介し通話処理部211によって通話処理を行い、呼制御部210によって呼を確立する。通話の際は、呼制御部210に接続されるマンマシンインタフェース部230を介してマイク233およびスピーカ234を使用する。
【0019】
さらに、発信または着信の際には、ボタン232から入力された発信または着信の命令をマンマシンインタフェース部230を介して通話状態管理部が判断し、設定情報テーブル221に記憶されている条件に基づきHTTP処理部212によってHTTP通信を行えるように情報を処理し、無線制御部200、アンテナ201を使用してサーバ装置Sへプレゼンス情報をサーバ装置Sへ通知してそのプレゼンス情報を更新させるようになっている。なお、HTTP処理部212は、HTTPS処理部(HTTPS処理手段)に変更してもよく、HTTPS処理部へ変更すると、HTTPS通信を行うことができるようになる。
【0020】
その他に、不在着信取得部222は、サーバ装置Sに記憶される自らの移動端末装置Mに関連付けた内線電話端末装置Tへの不在着信やボイスメールなどの着信に係る情報を、設定情報テーブル221に記憶された情報を基にサーバ装置Sに問い合わせを行うようになっている。
【0021】
図4は、サーバ装置Sに記憶されているプレゼンス情報テーブル131および不在着信テーブル132の一例である。図4では、プレゼンス情報テーブル131と不在着信テーブル132を一つのテーブルに示している。このテーブルを説明の都合上、状態テーブルと呼ぶ。この状態テーブルには、内線電話端末装置Tに関連付けられたユーザの現在のプレゼンス状態(Presence curent state)、未取得不在着信、および未取得ボイスメールが記憶されるようになっている。内線電話端末装置Tに関連付けられたユーザaの現在のプレゼンス状態は、話中であることを示す「Busy」であり、未取得不在着信は3件記憶され、そのうちの1件は、「2007年12月13日9:00に090−4444−4444」から着信があったことを示している。また、未取得ボイスメールは1件あり、「2007年12月14日13:11に050−1111−2222」から着信がありボイスメールが記憶されていることを示している。
【0022】
なお、図4では、ユーザaのみの情報を示しているが、内線電話端末装置Tに関連付けられた多数のユーザのプレゼンス状態を記憶するものである。
【0023】
図5は、サーバ装置Sに記憶されている転送設定テーブル133の一例である。この転送設定テーブル133は、内線電話端末装置Tのユーザが内線電話端末装置Tへの着信に応答しなかった場合に、内線電話端末装置Tに関連付けられた移動端末装置Mへ着信呼を転送するか否かおよび転送する場合の転送先を設定するための情報を記憶したものである。
【0024】
転送設定テーブル133には、内線電話端末装置T毎に不在転送設定先および内線電話端末装置TがBusy中の転送可否について記憶されるようになっている。図5では、内線電話端末装置Tのうち内線aは、不在転送設定先として「090−1111−2222」が設定され、Busy中の転送は、「転送不可」と記憶されている。
【0025】
図6は、移動端末装置Mが記憶されている設定情報テーブル221の一例である。この設定情報テーブル221は、移動端末装置Mが通話中であることや通話を終了したことをサーバ装置Sへ通知するために必要なサーバ装置の接続先の情報や、この移動端末装置Mが関連付けられている内線電話端末装置Tの内線電話端末装置番号、およびサーバ装置へ接続する際の認証パスワードが記憶されている。また、サーバ装置Sに不在着信やボイスメールが記憶されているか否かを、不在着信取得部222が定期的に問い合わせを行うためのタイマの設定時間を記憶するようになっている。図6の例では、サーバ装置接続先は、内線電話端末装置Tに関連付けられたサーバ装置の状態監視部の統一資源識別子であるURI(Uniform Resource Identifier)が記憶され、定期監視タイマは「3600秒」と設定されていることを示している。
【0026】
図7は、移動端末装置Mが通話を行う際に、サーバ装置Sが記憶するプレゼンス情報テーブル131の移動端末装置Mに関連付けられた内線電話端末装置Tのプレゼンス情報を、移動端末装置Mが通話中であることを示す「Busy」に変更し、通話を終了したときには「Available」に変更する電話システムの動作を示したものである。
【0027】
まず、移動端末装置Mが待ち受け状態の場合に(S101)、移動端末装置Mが発信操作または着信応答操作を行ったことを検出する(S102)。例えば、移動端末装置の発信または着信応答ボタンを押下したことを検出することで発信操作または着信応答操作を行ったことを検出する。発信操作または着信応答操作を検出すると、移動端末装置Mは、HTTP通信またはHTTPS通信でサーバ装置Sに接続し、移動端末装置Mに関連付けられた内線電話端末装置Tのプレゼンス情報を“Available”から“Busy”に反映させる信号を送信する(S103)。サーバ装置Sはこの要求を受信すると、移動端末装置Mへ応答し(S104)、プレゼンス情報テーブル131の内線電話端末装置Tのプレゼンス情報を“Available”から“Busy”に反映する。
【0028】
移動端末装置Mは、サーバ装置Sにプレゼンス情報を反映させる信号を送信して応答されると、通話を開始する。通話を開始すると、HTTP通信やHTTPS通信、および通話機能以外のアプリケーションが中断され、中断直前の作業状態を省電力モードで一時記憶して省電力モードが解除されると中断直前の作業状態に戻ることができるというサスペンド状態になる。
【0029】
通話が終話または接続エラー等により呼が切断されると(S107)、移動端末装置Mは終話または接続エラー等を検出し(S108)、HTTP通信またはHTTPS通信でサーバ装置Sに接続し、移動端末装置Mに関連付けられた内線電話端末装置Tのプレゼンス情報を“Busy”から “Available”に反映させる信号を送信する(S109)。サーバ装置Sはこの信号を受信すると、移動端末装置Mへ応答し(S110)、プレゼンス情報テーブル131の内線電話端末装置Tのプレゼンス情報を“Busy”から “Available”に反映する(S111)。
【0030】
移動端末装置Mは、サーバ装置Sにプレゼンス情報を反映させる信号を送信して応答されると、待ち受け状態になる(S101)。
【0031】
図8は、サーバ装置Sに管理している内線電話端末装置Tへの不在着信またはボイスメールの情報を、移動端末装置Mがサーバ装置Sへ問い合わせを行う電話システムの動作を示したものである。
まず、移動端末装置Mの不在着信取得部222は、サーバ装置Sへ定期的に問い合わせを行うためのタイマをリセットする(S201)。このとき、内線電話端末装置Tのユーザが内線電話端末装置Tから離れた場所にいるときに内線電話端末装置Tに着信があったとする。このとき、サーバ装置Sは、内線電話端末装置Tに着信があったことを検出し、着信時間や発信元の電話番号など、その着信に係る情報をプレゼンス情報テーブル131に記憶する(S202)。また、内線電話端末装置Tに着信があり、その際にボイスメールがあった場合には、サーバ装置Sは、内線電話端末装置Tに着信があったことを検出し、着信時間またはボイスメールを記憶した時間や発信元の電話番号など、そのボイスメールに係る情報をプレゼンス情報テーブル131に記憶する(S203)。
【0032】
移動端末装置Mの不在着信取得部222のタイマが設定情報テーブル221に記憶されている定期監視タイマの時間(例えば3600秒)を経過すると(S204)、HTTP通信またはHTTPS通信で不在着信またはボイスメールもしくはそれらの両方に係る情報をサーバ装置Sから取得する(S205、S206)。
【0033】
移動端末装置Mは、サーバ装置Sから取得した不在着信またはボイスメールもしくはそれらの両方に係る情報を表示部231に表示したりスピーカから音声として出力したりする(S207)。サーバ装置Sは、移動端末装置Mが不在着信またはボイスメールもしくはそれらの両方に係る情報を取得すると、取得された情報を不在着信テーブル132から削除する(S208)。移動端末装置Mは、不在着信またはボイスメールもしくはそれらの両方に係る情報を表示または音声として出力すると、次にサーバ装置Sへ問い合わせを行うためのタイマをリセットする(S209)。
【0034】
次に、図9のフローチャートを参照して移動端末装置Mの処理について説明する。
まず、サーバ装置Sへ問い合わせを行うタイミングを計測するタイマを初期化し(S301)、発信および着信を応答可能な待ち受け状態になる(S302)。タイマの設定時間は、設定情報テーブル221に記憶されている時間であり、例えば3600秒であるとすると、タイマが3600秒未満か否かを判断する(S303)。タイマが3600秒以上であれば、HTTP通信またはHTTPS通信でサーバ装置Sに接続し不在着信テーブル132に記憶されている不在着信またはボイスメールもしくはそれらの両方の情報を取得する(S310)。取得すると、その取得した情報を表示部231に表示またはスピーカから音声として出力する(S311)。表示または出力を行うと、処理S301へ戻り、以降の処理を行う。
【0035】
処理S303において、タイマが3600秒未満であれば、発信操作または着信応答操作が行われたか否かを判断する(S304)。発信操作も着信応答操作も行われていなければ、処理302へ戻り以降の処理を行う。発信操作または着信応答操作が行われた場合は、HTTP通信またはHTTPS通信でサーバ装置Sに記憶されているプレゼンス情報テーブル131の自らの移動端末装置Mが関連付けられている内線電話端末装置Tのプレゼンス情報を“Available”から“Busy”に反映させる信号を送信する(S305)。
【0036】
プレゼンス情報テーブル131の自らの移動端末装置Mが関連付けられている内線電話端末装置Tのプレゼンス情報を“Available”から“Busy”に反映させると、通話が開始し、通話以外のアプリケーションがサスペンド状態になる(S306)。終話または接続エラーにより通信が切断され(S307)、アプリケーション動作が復帰する(S308)。アプリケーション動作が復帰すると、HTTP通信またはHTTPS通信でサーバ装置Sに記憶されているプレゼンス情報テーブル131の自らの移動端末装置Mが関連付けられている内線電話端末装置Tのプレゼンス情報を“Busy”“からAvailable”に反映させる(S309)。プレゼンス情報テーブル131の自らの移動端末装置Mが関連付けられている内線電話端末装置Tのプレゼンス情報を“Available”から“Busy”に反映させると、処理S302に戻り、以降の処理を行う。
【0037】
次に、図10のフローチャートを参照して移動端末装置Mがサーバ装置Sにアクセスした場合のサーバ装置Sの処理について説明する。
まず、移動端末装置Mからアクセスがあったか否かを判断する(S401)。移動端末装置Mからアクセスがなければ処理S401の動作を繰り返す。移動端末装置Mからアクセスがあった場合は、そのアクセスはプレゼンス情報テーブル131のプレゼンス情報を反映させる信号であるか否かを判断する(S402)。プレゼンス情報テーブル131のプレゼンス情報を反映させる信号である場合は、プレゼンス情報テーブル131のプレゼンス情報を、そのアクセスに応じて変更する(S403)。
【0038】
処理S402において、移動端末装置Mからのアクセスがプレゼンス情報テーブル131のプレゼンス情報を反映させる信号ではない場合、そのアクセスが不在着信またはボイスメールの情報の取得に係るものであるか否かを判断する(S404)。不在着信またはボイスメールの情報の取得に係るものである場合は、そのアクセスに応じて不在着信またはボイスメールの情報を取得させ、取得された不在着信またはボイスメールを不在着信テーブル132から削除する(S405)。処理S404において、そのアクセスが不在着信またはボイスメールの情報の取得に係るものではない場合は、処理を終了する。
【0039】
次に、図11のフローチャートを参照してサーバ装置Sが管理する内線電話端末装置Tへ着信があった場合の処理について説明する。
まず、内線電話端末装置Tに着信があるか否かを判断する(S501)。着信がなければ、処理S501の動作を繰り返す。着信があると、所定回数のコール数以内に通話が開始されたか否かを判断する(S502)。所定回数のコール数以内に通話が開始された場合は、呼接続処理を行い(S503)、通話終了か否かを判断し(S504)、通話終了でなければ通話を継続して処理S504の動作を繰り返し、通話終了であれば処理を終了する。
【0040】
処理S502において、所定回数のコール数内に通話が開始されない場合は、不在転送するか否かを転送設定テーブル133を参照して判断する(S505)。不在転送する場合は、不在転送処理を行い(S506)、処理を終了する。
【0041】
処理S505において、不在転送しないと判断した場合は、その着信に係るボイスメールを残すか否かを判断する(S507)。ボイスメールを残す場合は、ボイスメールを記憶し、不在着信テーブル132にはボイスメールに係る情報を記憶する(S508)。ボイスメールに係る情報を記憶すると処理を終了する。
【0042】
処理S507において、ボイスメールを残さない場合は、その着信に係る不在着信の情報を不在着信テーブル132に記憶する(S509)。不在着信の情報を記憶すると処理を終了する。
【0043】
以上のように、移動端末装置Mを図3のような構成にすることで、内線電話端末装置Tに関連付けられた移動端末装置Mが通話中であるというプレゼンス情報をサーバ装置Sに反映させることができる。また、移動端末装置Mのプレゼンス情報をサーバ装置Sに記憶することができるため、内線電話端末装置Tに着信があった場合に、そのプレゼンス情報に応じて移動端末装置Mへの転送処理を行うことができる。さらに、内線電話端末装置Tに着信があった場合に、移動端末装置Mも通話中の場合や転送処理を行わないという設定の場合であっても、移動端末装置Mから定期的にサーバ装置Sへ不在着信またはボイスメールの情報を問い合わせを行うことで、外出時など内線電話端末装置Tから離れた場所にいる場合に、内線電話端末装置Tと移動端末装置Mの連携をよりスムーズに行うことができる。
【0044】
これに加えて、従来使用していたSIPによる通知では、常時呼を張っていなくてはならず、呼接続が切断された場合にプレゼンス情報が不明となってしまう問題が生じていたが、実施例で示したように移動端末装置Mからサーバ装置Sへのアクセスの際の通信プロトコルをHTTPまたはHTTPSを用いることによって、サーバ装置Sへアクセスする必要のある場合のみ通信するため、プレゼンス情報が不明となることを防ぐことができ、さらに移動端末装置Mの消費電力を低下させることができる。また、HTTPSを使用することで、HTTPSの性質から、HTTPを使用する場合に比べて盗聴やなりすましによる攻撃から保護することができ、プレゼンス情報の信頼度を高めることができる。
【0045】
なお、本発明は、以上の構成に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、内線電話端末装置Tは、固定電話機を想定して図1に記載してあるが、これはパーソナルコンピュータのアプリケーションを使用したIP電話であってもよい。また、ルータは無線ルータに置き換えてもよく、内線電話端末装置Tは無線ルータと無線で通信する子機電話であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施の形態に係る電話システムの全体の構成を示した図。
【図2】本発明の一実施の形態に係るサーバ装置の構成を示した図。
【図3】本発明の一実施の形態に係る移動端末装置の構成を示した図。
【図4】本発明の一実施の形態に係るサーバ装置に記憶されているプレゼンス情報テーブルを示した図。
【図5】本発明の一実施の形態に係るサーバ装置に記憶されている転送設定テーブルを示した図。
【図6】本発明の一実施の形態に係る移動端末装置に記憶されている設定情報テーブルを示した図。
【図7】本発明の一実施の形態に係る電話システムにおける移動端末装置のプレゼンス情報をサーバ装置に反映させる動作を示したシーケンス図。
【図8】本発明の一実施の形態に係る電話システムにおける移動端末装置がサーバ装置に記憶されている不在着信およびボイスメールの情報を取得する動作を示したシーケンス図。
【図9】本発明の一実施の形態に係る移動端末装置の動作を示したフローチャート。
【図10】本発明の一実施の形態に係る移動端末装置からプレゼンス情報テーブルへのアクセスがあった場合のサーバ装置の動作を示したフローチャート。
【図11】本発明の一実施の形態に係る内線電話端末装置へ着信があった場合のサーバ装置の動作を示したフローチャート。
【符号の説明】
【0047】
S…サーバ装置
M…移動端末装置
T…内線電話端末装置
GW…ゲートウェイ装置
1…IP網
2…回線交換網
3…移動通信網
4…ルータ
100…通信インターフェース部
120…制御部
121…状態監視部
122…呼制御部
130…記憶部
131…プレゼンス情報テーブル
132…不在着信テーブル
133…転送設定テーブル
200…無線制御部
201…アンテナ
210…呼制御部
211…通話処理部
212…HTTP処理部
220…通話状態(プレゼンス)管理部
221…設定情報テーブル
230…マンマシンインタフェース部
231…表示部
232…ボタン
233…マイク
234…スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IP網および回線交換網に接続され、前記IP網に接続される内線電話端末装置のプレゼンス情報を管理するサーバ装置と、前記回線交換網に接続された移動通信網と通信を行う移動端末装置とを有する電話システムであって、
前記移動端末装置には、
自らの移動端末装置のプレゼンス情報に係る情報を前記サーバ装置へ送信する際に、送信宛先を含む設定情報を記憶する設定情報テーブルと、
通話開始または通話終了を検出することによって、自らの移動端末装置のプレゼンスの変化を判断する通話状態管理手段と、
前記通話状態管理手段によって自らの移動端末装置のプレゼンスの変化を判断すると、前記設定情報テーブルを参照して自らの移動端末装置のプレゼンス情報を含む信号を前記サーバ装置へ送信する送信手段とを有し、
前記サーバ装置には、
自らのサーバ装置が管理する内線電話端末装置に係るプレゼンス情報を記憶するプレゼンス情報テーブルと、
前記移動端末装置から前記信号を受信すると、前記信号に基づき前記プレゼンス情報テーブルに前記移動端末装置のプレゼンス情報を更新する状態監視部とを有することを特徴とする電話システム。
【請求項2】
前記移動端末装置は、前記通話状態管理手段によって自らの移動端末装置のプレゼンスの変化を判断すると、HTTPを用いて送信する際に前記信号のHTTP処理を行うHTTP処理手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の電話システム。
【請求項3】
前記移動端末装置は、前記通話状態管理手段によって自らの移動端末装置のプレゼンスの変化を判断すると、HTTPSを用いて送信する際に前記信号のHTTPS処理を行うHTTPS処理手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の電話システム。
【請求項4】
前記サーバ装置には、
前記内線電話端末装置への着信の際に、前記内線電話端末装置に関連付けられた移動端末装置へ転送する際に転送宛先を含む設定情報を記憶する転送設定テーブルをさらに有することを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の電話システム。
【請求項5】
IP網および回線交換網に接続され前記IP網に接続される内線電話端末装置のプレゼンス情報を管理するサーバ装置と、前記回線交換網に接続された移動通信網と通信を行う移動端末装置とを有する電話システムで使用される移動端末装置であって、
自らの移動端末装置のプレゼンス情報に係る情報を前記サーバ装置へ送信する際に参照する設定情報を記憶する設定情報テーブルと、
通話開始または通話終了を検出することによって、自らの移動端末装置のプレゼンスの変化を判断する通話状態管理手段と、
前記通話状態管理手段によって自らの移動端末装置のプレゼンスの変化を判断すると、前記設定情報テーブルを参照して自らの移動端末装置のプレゼンス情報を含む信号を前記サーバ装置へ送信する送信手段とを有することを特徴とする移動端末装置。
【請求項6】
前記通話状態管理手段によって自らの移動端末装置のプレゼンスの変化を判断すると、HTTPを用いて送信する際に前記信号のHTTP処理を行うHTTP処理手段をさらに有することを特徴とする請求項5に記載の移動端末装置。
【請求項7】
前記通話状態管理手段によって自らの移動端末装置のプレゼンスの変化を判断すると、HTTPSを用いて送信する際に前記信号のHTTPS処理を行うHTTPS処理手段をさらに有することを特徴とする請求項5に記載の移動端末装置。
【請求項8】
IP網および回線交換網に接続され前記IP網に接続される内線電話端末装置を管理するサーバ装置と、前記回線交換網に接続された移動通信網と通信を行う移動端末装置とを有する電話システムで使用されるサーバ装置であって、
自らのサーバ装置が管理する内線電話端末装置に係るプレゼンス情報を記憶するプレゼンス情報テーブルと、
前記移動端末装置からプレゼンス情報を含む信号を受信すると、前記信号に応じて前記プレゼンス情報テーブルを更新する状態監視部とを有することを特徴とするサーバ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2010−41130(P2010−41130A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−198771(P2008−198771)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】