説明

電話システム、電話制御方法、コードレス子機、および管理装置

【課題】停電状態でもコードレス子機の利用者と通話可能とする。
【解決手段】管理装置50で、予め記憶部に登録されている各コードレス子機10の子機識別情報のいずれかと自己の管理識別情報とを用いて、無線通信により当該子機識別情報と対応するコードレス子機10に対して、当該子機識別情報と管理識別情報とを含む通信要求メッセージを送信し、当該コードレス子機10からの応答メッセージの受信に応じて、当該コードレス子機10との間で無線通信により通話を形成し、コードレス子機10で、管理装置50からの通信要求メッセージに応じて、当該通信要求メッセージで通知された管理識別情報の正当性に基づき当該管理装置50からのアクセス可否を判定し、このアクセス可の判定に応じて当該管理装置50へ応答メッセージを送信した後、当該管理装置50との間で無線通信により通話を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話制御技術に関し、特に電話システムで使用するコードレス子機を管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ボタン電話システムやPBXシステムなどの電話システムでは、主装置やPBXなどの電話制御装置に内線収容されている電話機としてコードレス電話機を用いる場合がある。このコードレス電話機は、電話制御装置と有線回線を介して接続された親機と、この親機と無線回線を介して接続されたコードレス子機とからなり、無線回線を介して形成した通話パスを用いて、コードレス子機で電話制御装置を介した通話を行うものとなっている。
【0003】
このような電話システムにおいて、コードレス電話機の動作状況を管理する場合、電話制御装置が各親機とデータ通信を行うことにより、親機やコードレス子機の動作状態を収集する方法がある。これにより、電話制御装置で各コードレス電話機の動作状態を管理でき、特定の内線電話機でその管理内容を確認することができる。
また、親機とコードレス子機との間で、互いの動作状態を相互に通知して、利用者へ通知する技術も提案されている(例えば、特許文献1など参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平11−234746号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来技術では、地震等の災害が発生して、停電などにより電話制御装置が動作しなくなった場合には、コードレス子機により利用者の安否を確認することができないという問題点があった。
コードレス電話機を内線収容する一般的な電話システムでは、電話制御装置から親機に対して電源供給されており、コードレス子機は電池で動作する。このため、コードレス子機が動作していても、電話制御装置自体が停電状態となった場合には、コードレス子機と通話して利用者の安否を確認することができない。
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、停電状態でもコードレス子機の利用者と通話できる電話システム、電話制御方法、コードレス子機、および管理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するために、本発明にかかる電話システムは、親機と電池で動作するコードレス子機との組からなり互いの識別情報を用いて両者間で無線通信を行う複数のコードレス電話機と、これらコードレス電話機を内線収容する電話制御装置とを含む電話システムであって、予め記憶部に登録されている各コードレス子機の子機識別情報のいずれかと自己の管理識別情報とを用いて、無線通信により当該子機識別情報と対応するコードレス子機に対して、当該子機識別情報と管理識別情報とを含む通信要求メッセージを送信し、当該コードレス子機からの応答メッセージの受信に応じて、当該コードレス子機との間で無線通信により通話を形成する管理装置を備え、コードレス子機は、管理装置からの通信要求メッセージに応じて、当該通信要求メッセージで通知された管理識別情報の正当性に基づき当該管理装置からのアクセス可否を判定し、このアクセス可の判定に応じて当該管理装置へ応答メッセージを送信した後、当該管理装置との間で無線通信により通話を形成する。
【0007】
この際、コードレス子機で、通信要求メッセージを受信した際に親機と無線通信中である場合には、アクセス可の判定に応じて当該親機との無線通信を切断した後、応答メッセージを送信するようにしてもよい。
また、コードレス子機で、アクセス可否判定の際、管理識別情報の正当性が確認され、かつ親機との間で無線通信不能な状態にある場合にのみ、アクセス可と判定するようにしてもよい。
【0008】
また、コードレス子機で、応答メッセージを送信した後、親機の親機識別情報を管理装置に対して無線通信により通知し、管理装置で、当該コードレス子機との通話を終了した後、コードレス子機から通知された親機識別情報を用いて、当該親機識別情報と管理識別情報とを含む通信要求メッセージを当該親機に対して送信し、当該親機からの応答メッセージの受信に応じて、当該親機との間で無線通信により通話を形成するようにしてもよい。
【0009】
また、本発明にかかる電話制御方法は、親機と電池で動作するコードレス子機との組からなり互いの識別情報を用いて両者間で無線通信を行う複数のコードレス電話機と、これらコードレス電話機を内線収容する電話制御装置と、コードレス子機との間で無線通信を行う管理装置とを含む電話システムで用いられる電話制御方法であって、管理装置が、予め記憶部に登録されている各コードレス子機の子機識別情報のいずれかと自己の管理識別情報とを用いて、無線通信により当該子機識別情報と対応するコードレス子機に対して、当該子機識別情報と管理識別情報とを含む通信要求メッセージを送信するステップと、コードレス子機が、管理装置からの通信要求メッセージに応じて、当該通信要求メッセージで通知された管理識別情報の正当性に基づき当該管理装置からのアクセス可否を判定し、このアクセス可の判定に応じて当該管理装置へ応答メッセージを送信した後、当該管理装置との間で無線通信により通話を形成するステップと、管理装置が、コードレス子機からの応答メッセージの受信に応じて、当該コードレス子機との間で無線通信により通話を形成するステップとを備えている。
【0010】
この際、コードレス子機が、通信要求メッセージを受信した際に親機と無線通信中である場合には、アクセス可の判定に応じて当該親機との無線通信を切断した後、応答メッセージを送信するようにしてもよい。
また、コードレス子機が、アクセス可否判定の際、管理識別情報の正当性が確認され、かつ親機との間で無線通信不能な状態にある場合にのみ、アクセス可と判定するようにしてもよい。
【0011】
また、コードレス子機が、応答メッセージを送信した後、親機の親機識別情報を管理装置に対して無線通信により通知し、管理装置が、当該コードレス子機との通話を終了した後、コードレス子機から通知された親機識別情報を用いて、当該親機識別情報と管理識別情報とを含む通信要求メッセージを当該親機に対して送信し、当該親機からの応答メッセージの受信に応じて、当該親機との間で無線通信により通話を形成するようにしてもよい。
【0012】
また、本発明にかかるコードレス子機は、親機と電池で動作するコードレス子機との組からなり互いの識別情報を用いて両者間で無線通信を行う複数のコードレス電話機と、これらコードレス電話機を内線収容する電話制御装置と、コードレス子機との間で無線通信を行う管理装置とを含む電話システムで用いられるコードレス子機であって、管理装置との間で無線通信を行う無線インターフェース部と、管理装置からの通信要求メッセージに応じて、当該通信要求メッセージで通知された管理識別情報の正当性に基づき当該管理装置からのアクセス可否を判定し、このアクセス可の判定に応じて当該管理装置へ応答メッセージを送信した後、当該管理装置との間で無線通信により通話を形成する制御部とを備えている。
【0013】
また、本発明にかかる管理装置は、親機と電池で動作するコードレス子機との組からなり互いの識別情報を用いて両者間で無線通信を行う複数のコードレス電話機と、これらコードレス電話機を内線収容する電話制御装置と、コードレス子機との間で無線通信を行う管理装置とを含む電話システムで用いられる管理装置であって、コードレス電話機との間で無線通信を行う無線インターフェース部と、予め記憶部に登録されている各コードレス子機の子機識別情報のいずれかと自己の管理識別情報とを用いて、無線通信により当該子機識別情報と対応するコードレス子機に対して、当該子機識別情報と管理識別情報とを含む通信要求メッセージを送信し、当該コードレス子機での管理識別情報の正当性に基づくアクセス可の判定後、当該コードレス子機から送信された応答メッセージの受信に応じて、当該コードレス子機との間で無線通信により通話を形成する制御部とを備えている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電話制御装置とは独立した管理装置での操作に応じて、管理装置の管理者とコードレス子機の利用者との間で音声通話を行うことができる。したがって、例えば地震等の災害が発生した場合、電話システムの電話制御装置が停電により動作していない状態であっても、管理者が管理装置により任意のコードレス子機を呼び出して、当該コードレス子機を利用する利用者と通話を行うことができ、利用者の安否さらには被災状況を確認できるとともに、避難指示などの対応をとることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[一実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の一実施の形態にかかる電話システムについて説明する。図1は、本発明の一実施の形態にかかる電話システムの構成を示すブロック図である。
【0016】
この電話システム1は、互いの識別情報を用いて相互間で無線通信を行う親機20(20A,20B,〜,20N)とコードレス子機10(10A,10B,〜,10N)との組からなる複数のコードレス電話機30(30A,30B,〜,30N)と、このコードレス電話機30を内線収容するとともに電話網NWに接続されている電話制御装置40と、無線通信によりコードレス子機10や親機20へアクセスして通話を形成する管理装置50とを含む。
電話システム1の具体例としては、ボタン電話システムやPBXシステムがある。例えば、ボタン電話システムの場合にはその主装置や電話サーバが電話制御装置40に相当し、PBXシステムの場合にはそのPBXが電話制御装置40に相当する。
【0017】
本実施の形態にかかる電話システムは、管理装置50で、予め記憶部に登録されている各コードレス子機10の子機識別情報のいずれかと自己の管理識別情報とを用いて、無線通信により当該子機識別情報と対応するコードレス子機10に対して、当該子機識別情報と管理識別情報とを含む通信要求メッセージを送信し、当該コードレス子機10からの応答メッセージの受信に応じて、当該コードレス子機10との間で無線通信により通話を形成し、コードレス子機10で、管理装置50からの通信要求メッセージに応じて、当該通信要求メッセージで通知された管理識別情報の正当性に基づき当該管理装置50からのアクセス可否を判定し、このアクセス可の判定に応じて当該管理装置50へ応答メッセージを送信した後、当該管理装置50との間で無線通信により通話を形成するようにしたものである。
【0018】
[コードレス子機]
次に、図2を参照して、本発明の一実施の形態にかかる電話システムのコードレス子機の構成について説明する。図2は、本発明の一実施の形態にかかる電話システムのコードレス子機の構成を示すブロック図である。
コードレス子機10は、全体として、電池で動作して親機20や管理装置50と無線通信を行う無線通信端末からなり、主な機能部として、制御部11、記憶部12、操作入力部13、表示部14、無線インターフェース部(以下、無線I/F部という)15、および音声処理部16が設けられており、これら機能部が共通バスを介して相互に接続されている。
【0019】
制御部11は、CPUとその周辺回路を有し、記憶部12からプログラムを読み込んで実行することにより、コードレス子機10全体を制御する機能を有している。
記憶部12は、制御部11での処理に用いるプログラムや各種処理情報を記憶する機能を有している。記憶部12で記憶する主な処理情報としては、当該コードレス子機10と組をなす親機20の親機識別情報や、管理装置50の管理識別情報がある。
【0020】
操作入力部13は、ダイヤルキーや機能キーなどの各種操作キーからなり、利用者の操作を検出して制御部11へ出力する機能を有している。
表示部14は、LCDやLEDなどの表示回路からなり、制御部11からの指示に応じて各種情報を表示する機能を有している。
【0021】
無線I/F部15は、専用の無線回路からなり、ブルートゥース(Bluetooth)や無線LANなどの無線通信プロトコルに基づいて、親機20や管理装置50と無線通信を行う機能を有している。
音声処理部16は、専用の音声処理回路からなり、無線I/F部15を介して受信した音声データを音声信号に復号してスピーカから出力するとともに、マイクからの入力音声信号を音声データに符号化して無線I/F部15へ出力する機能と、制御部11からの指示に応じて着信音などの各種信号音をスピーカから出力する機能とを有している。
【0022】
[親機]
次に、図3を参照して、本発明の一実施の形態にかかる電話システムの親機の構成について説明する。図3は、本発明の一実施の形態にかかる電話システムの親機の構成を示すブロック図である。
親機20は、全体として、電話制御装置40からの給電電源により動作してコードレス子機10や管理装置50と無線通信を行う無線通信端末からなり、主な機能部として、制御部21、記憶部22、操作入力部23、表示部24、無線インターフェース部(以下、無線I/F部という)25、音声処理部26、および通信インターフェース部(以下、通信I/F部という)27が設けられており、これら機能部が共通バスを介して相互に接続されている。
【0023】
制御部21は、CPUとその周辺回路を有し、記憶部22からプログラムを読み込んで実行することにより、親機20全体を制御する機能を有している。
記憶部22は、制御部21での処理に用いるプログラムや各種処理情報を記憶する機能を有している。記憶部22で記憶する主な処理情報としては、当該親機20と組をなすコードレス子機10の子機識別情報や、管理装置50の管理識別情報がある。
【0024】
操作入力部23は、ダイヤルキーや機能キーなどの各種操作キーからなり、利用者の操作を検出して制御部21へ出力する機能を有している。
表示部24は、LCDやLEDなどの表示回路からなり、制御部21からの指示に応じて各種情報を表示する機能を有している。
【0025】
無線I/F部25は、専用の無線回路からなり、ブルートゥース(Bluetooth)や無線LANなどの無線通信プロトコルに基づいて、コードレス子機10や管理装置50と無線通信を行う機能を有している。
音声処理部26は、専用の音声処理回路からなり、無線I/F部25を介して受信した音声データを音声信号に復号してスピーカから出力するとともに、マイクからの入力音声信号を音声データに符号化して無線I/F部25へ出力する機能と、制御部21からの指示に応じて着信音などの各種信号音をスピーカから出力する機能とを有している。
通信I/F部27は、専用の通信回路からなり、有線回線からなる内線伝送路を介して電話制御装置40との間でデータ通信を行う機能を有している。
【0026】
[管理装置]
次に、図4を参照して、本発明の一実施の形態にかかる電話システムの管理装置の構成について説明する。図4は、本発明の一実施の形態にかかる電話システムの管理装置の構成を示すブロック図である。
管理装置50は、全体として、コードレス子機10や親機20と無線通信を行う無線通信装置からなり、主な機能部として、制御部51、記憶部52、操作入力部53、表示部54、無線インターフェース部(以下、無線I/F部という)55、および音声処理部56が設けられており、これら機能部が共通バスを介して相互に接続されている。
【0027】
制御部51は、CPUとその周辺回路を有し、記憶部52からプログラムを読み込んで実行することにより、管理装置50全体を制御する機能を有している。
記憶部52は、制御部51での処理に用いるプログラムや各種処理情報を記憶する機能を有している。記憶部52で記憶する主な処理情報としては、コードレス子機10の子機識別情報、親機20の親機識別情報、当該管理装置50の管理識別情報がある。
【0028】
操作入力部53は、呼び出しを行うコードレス子機10や親機20を選択する選択キーなどの各種操作キーからなり、管理者の操作を検出して制御部51へ出力する機能を有している。
表示部54は、LCDやLEDなどの表示回路からなり、制御部51からの指示に応じて各種情報を表示する機能を有している。
【0029】
無線I/F部55は、専用の無線回路からなり、ブルートゥース(Bluetooth)や無線LANなどの無線通信プロトコルに基づいて、コードレス子機10や親機20と無線通信を行う機能を有している。
音声処理部56は、専用の音声処理回路からなり、無線I/F部55を介して受信した音声データを音声信号に復号してスピーカから出力するとともに、マイクからの入力音声信号を音声データに符号化して無線I/F部55へ出力する機能と、制御部51からの指示に応じて着信音などの各種信号音をスピーカから出力する機能とを有している。
【0030】
本実施の形態にかかる電話システム1のうち、電話制御装置40については、一般的な公知の構成を有しており、ここでの詳細な説明は省略する。また、電話制御装置40には、コードレス電話機30以外の他の電話装置が接続されていてもよい。また、電話網NWは、アナログの公衆電話網であってもよく、デジタルのISDNやIP電話網であってもよい。
【0031】
[一実施の形態の動作]
次に、本発明の一実施の形態にかかる電話システムの動作について説明する。ここでは、管理装置50からの呼び出しに応じたコードレス子機10における応答処理動作を説明した後、電話システム1全体の外部呼出動作について説明する。
【0032】
[コードレス子機の動作]
まず、図5および図6を参照して、管理装置50からの呼び出しに応じたコードレス子機10における応答処理動作について説明する。図5は、本発明の一実施の形態にかかるコードレス子機の応答処理を示すフローチャートである。図6は、本発明の一実施の形態にかかるコードレス子機のアクセス可否判定処理を示すフローチャートである。
コードレス子機10の制御部11は、管理装置50からの通信要求メッセージを無線I/F部25で受信した場合、図5の応答処理を実行する。
【0033】
まず、制御部11は、管理装置50からの通信要求メッセージで要求された、当該コードレス子機10への外部アクセスの可否を判定するため、後述する図6の外部アクセス可否判定処理を実行する(ステップ100)。
ここで、外部アクセス可否判定処理により、外部アクセス不可と判定された場合(ステップ101:NO)、制御部11は、当該通信要求メッセージには応答せず、一連の応答処理を終了する。
【0034】
一方、外部アクセス可否判定処理により、外部アクセス可と判定された場合(ステップ101:YES)、制御部11は、記憶部12で記憶している呼制御状態情報を参照して、現在、当該コードレス子機10で親機20と通話中(通信中)か否かを確認し(ステップ102)、通話中の場合には(ステップ102:YES)、当該親機20との通話(通信)を切断する(ステップ103)。
この後、制御部11は、無線I/F部15を介して管理装置50へ、応答メッセージを送信し(ステップ104)、この後、管理装置50との間で各種呼制御メッセージをやり取りすることにより、通話を開始し(ステップ105)、一連の応答処理を終了する。
【0035】
コードレス子機10の制御部11は、ステップ100において、図6の外部アクセス可否判定処理を実行する。
まず、制御部11は、記憶部12の設定情報を参照して、当該コードレス子機10への外部アクセスを許可するか否かに関する機能設定内容を確認する(ステップ110)。記憶部12の設定情報には、当該コードレス子機10の機能動作に関する各種設定内容が予め登録されている。
【0036】
ここで、記憶部12の設定情報で外部アクセス許可が設定されていない場合(ステップ110:NO)、制御部11は、外部アクセス不可と判定して(ステップ113)、一連の外部アクセス可否判定処理を終了する。
一方、外部アクセス許可が設定されている場合(ステップ110:YES)、制御部11は、記憶部12に予め登録されている正当な管理識別情報を参照して、管理装置50からの通信要求メッセージで通知された管理識別情報が、正当な管理装置50の識別情報か否か確認する(ステップ111)。
【0037】
ここで、通知された管理識別情報が記憶部12に登録されておらず、当該管理識別情報の正当性を確認できなかった場合(ステップ111:NO)、制御部11は、外部アクセス不可と判定して(ステップ113)、一連の外部アクセス可否判定処理を終了する。
一方、通知された管理識別情報が記憶部12に登録されており、当該管理識別情報の正当性を確認できた場合(ステップ111:YES)、制御部11は、外部アクセス可と判定して(ステップ112)、一連の外部アクセス可否判定処理を終了する。
【0038】
[電話システム全体の動作]
次に、図7を参照して、電話システム1全体の外部呼出動作について説明する。図7は、本発明の一実施の形態にかかる電話システム全体の外部呼出動作を示すシーケンス図である。
まず、図7のステップ201〜ステップ214により、親機20Aと通話(通信)をしていないコードレス子機10Aに対して、管理装置50から呼び出しを行う場合を例に説明する。
【0039】
管理装置50において、管理者によるコードレス子機10Aに対する呼出操作が操作入力部53により検出された場合(ステップ201)、制御部51は、記憶部52に予め登録されているコードレス子機10の子機識別情報から、管理者操作により選択されたコードレス子機10Aの子機識別情報を読み出すとともに、当該管理装置50に固有の管理識別情報を読み出し、これらコードレス子機10Aの子機識別情報と当該管理装置50の管理識別情報を含む通信要求メッセージを無線I/F部55から送信する(ステップ202)。
【0040】
コードレス子機10Aは、無線I/F部15により通信要求メッセージを受信した場合、制御部11により、前述した図5の応答処理および図6の外部アクセス可否判定処理を実行して、当該通信要求メッセージで要求された外部アクセスの可否を確認する(ステップ203)。
ここで、外部アクセス可と判定された場合、制御部11は、当該通信要求メッセージに対応する応答メッセージを無線I/F部15から管理装置50へ送信する(ステップ211)。
【0041】
管理装置50は、コードレス子機10Aからの応答メッセージに応じて、制御部51により、コードレス子機10Aとの間で無線I/F部55を介して各種呼制御メッセージをやり取りすることにより、無線I/F部55を介してコードレス子機10Aとの間で無線通信により通話を形成し、音声処理部56を用いた通話音声のやり取りを開始する(ステップ212)。
一方、コードレス子機10Aの制御部11も同様にして、管理装置50との間で無線I/F部15を介して各種呼制御メッセージをやり取りすることにより、無線I/F部15を介して管理装置50との間で無線通信により通話を形成し、音声処理部16を用いた通話音声のやり取りを開始する(ステップ212)。
【0042】
これにより、管理装置50の管理者とコードレス子機10Aの利用者との間で音声通話が開始される。したがって、例えば地震等の災害が発生した場合、電話システム1の電話制御装置40が停電により動作していない状態であっても、管理者が管理装置50により任意のコードレス子機10Aを呼び出して、当該コードレス子機10Aを利用する利用者と通話を行うことが可能となる。
【0043】
その後、管理装置50において、管理者による終話操作が操作入力部53により検出された場合(ステップ213)、制御部51は、終話メッセージを無線I/F部55から送信し(ステップ214)、コードレス子機10Aとの通話を切断する。
コードレス子機10Aは、管理装置50からの終話メッセージに応じて、制御部11により、管理装置50との通話を切断する。
【0044】
次に、図7のステップ220〜ステップ224により、親機20Bと通話(通信)をしているコードレス子機10Bに対して、管理装置50から呼び出しを行う場合を例に説明する。
【0045】
コードレス子機10Bは、無線通信により親機20Bと通話(通信)状態にある(ステップ220)。
管理装置50において、管理者によるコードレス子機10Bに対する呼出操作が操作入力部53により検出された場合(ステップ221)、制御部51は、記憶部52に予め登録されているコードレス子機10Bの子機識別情報から、管理者操作により選択されたコードレス子機10Bの子機識別情報を読み出すとともに、当該管理装置50に固有の管理識別情報を読み出し、これらコードレス子機10Bと当該管理装置50の管理識別情報を含む通信要求メッセージを無線I/F部55から送信する(ステップ222)。
【0046】
コードレス子機10Bは、無線I/F部15により通信要求メッセージを受信した場合、制御部11により、前述した図5の応答処理を実行して、当該通信要求メッセージで要求された外部アクセスの可否を確認する(ステップ223)。
ここで、外部アクセス可と判定された場合、制御部11は、現在、通話中(通信中)の親機20Bに対する終話メッセージを無線I/F部15から送信して(ステップ230)、親機20Bとの通話(通信)を切断した後、当該通信要求メッセージに対応する応答メッセージを無線I/F部15から管理装置50へ送信する(ステップ231)。
【0047】
管理装置50は、コードレス子機10Bからの応答メッセージに応じて、制御部51により、コードレス子機10Bとの間で無線I/F部55を介して各種呼制御メッセージをやり取りすることにより、無線I/F部55を介してコードレス子機10Bとの間で無線通信により通話を形成し、音声処理部56を用いた通話音声のやり取りを開始する(ステップ232)。
一方、コードレス子機10Bの制御部11も同様にして、管理装置50との間で無線I/F部15を介して各種呼制御メッセージをやり取りすることにより、無線I/F部15を介して管理装置50との間で無線通信により通話を形成し、音声処理部16を用いた通話音声のやり取りを開始する(ステップ232)。
【0048】
これにより、管理装置50の管理者とコードレス子機10Bの利用者との間で音声通話が開始される。したがって、例えば地震等の災害が発生した場合、電話システム1の電話制御装置40が動作していて、コードレス子機10Bが親機20Bと通話(通信)している状態であっても、管理者が管理装置50によりコードレス子機10Bを呼び出して、当該コードレス子機10Bを利用する利用者と通話を行うことが可能となる。
【0049】
その後、管理装置50において、管理者による終話操作が操作入力部53により検出された場合(ステップ233)、制御部51は、終話メッセージを無線I/F部55から送信し(ステップ234)、コードレス子機10Bとの通話を切断する。
コードレス子機10Bは、管理装置50からの終話メッセージに応じて、制御部11により、管理装置50との通話を切断する。
【0050】
[一実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、管理装置50で、予め記憶部に登録されている各コードレス子機10の子機識別情報のいずれかと自己の管理識別情報とを用いて、無線通信により当該子機識別情報と対応するコードレス子機10に対して、当該子機識別情報と管理識別情報とを含む通信要求メッセージを送信し、当該コードレス子機10からの応答メッセージの受信に応じて、当該コードレス子機10との間で無線通信により通話を形成し、コードレス子機10で、管理装置50からの通信要求メッセージに応じて、当該通信要求メッセージで通知された管理識別情報の正当性に基づき当該管理装置50からのアクセス可否を判定し、このアクセス可の判定に応じて当該管理装置50へ応答メッセージを送信した後、当該管理装置50との間で無線通信により通話を形成するようにしている。
【0051】
これにより、管理者の操作に応じて、電話制御装置40とは独立した管理装置50とコードレス子機10Aとの間で音声通話を形成することができる。したがって、例えば地震等の災害が発生した場合、電話システム1の電話制御装置40が停電により動作していない状態であっても、管理者が管理装置50により任意のコードレス子機10Aを呼び出して、当該コードレス子機10Aを利用する利用者と通話を行うことができ、利用者の安否さらには被災状況を確認できるとともに、避難指示などの対応をとることが可能となる。
【0052】
また、本実施の形態では、通信要求メッセージで通知された管理識別情報に基づき、管理装置50の正当性を確認し、正当性が確認された時点でコードレス子機10から応答メッセージを送信するようにしたので、予め登録していない不当な管理装置からの外部アクセスを拒否することができ、高いセキュリティ性を得ることが可能となる。
【0053】
また、本実施の形態では、コードレス子機10Bで、管理装置50からの通信要求メッセージを受信した際に親機20Bと無線通信中である場合には、アクセス可の判定に応じて当該親機20Bとの無線通信を切断した後、応答メッセージを送信するようにしたので、例えば地震等の災害が発生した場合、電話システム1の電話制御装置40が動作していて、コードレス子機10Bが親機20Bと通話(通信)している状態であっても、管理者が管理装置50によりコードレス子機10Bを呼び出して、当該コードレス子機10Bを利用する利用者と通話を行うことができ、親機20Bとの個別の通話(通信)より優先して利用者の安否さらには被災状況を確認できるとともに、避難指示などの対応をとることが可能となる。
【0054】
[実施の形態の拡張]
以上で説明した一実施の形態では、前述の図6に示した、コードレス子機10の外部アクセス可否判定処理において、記憶部12の設定情報に基づき外部アクセス許可設定の有無と、通信要求メッセージで通知された管理装置50の管理識別情報の正当性とに基づいて、コードレス子機10に対する外部アクセス可否を判定する場合を例として説明したが、外部アクセス可否判定の内容についてはこれに限定されるものではなく、少なくとも通信要求メッセージで通知された管理装置50の管理識別情報の正当性が確認されれば、外部アクセス可と判定してもよい。
【0055】
また、外部アクセス許可設定の有無に代えて、通信要求メッセージを受信した時点で、当該コードレス子機10において、組をなす親機20との無線通信が不可能な状態にあることを、外部アクセス許可の条件として用いてもよい。
【0056】
また、コードレス子機10において、応答メッセージを送信した後、組をなす無線通信相手を示す親機20の親機識別情報を、管理装置50に対して無線通信により通知し、管理装置50で、当該コードレス子機10との通話を終了した後、コードレス子機10から通知された親機20の親機識別情報を用いて、当該親機識別情報と自己の管理識別情報とを含む通信要求メッセージを当該親機20に対して送信し、当該親機20からの応答メッセージの受信に応じて、当該親機20との間で無線通信により通話を形成するようにしてもよい。
【0057】
これにより、例えば地震等の災害が発生した場合、管理装置50の管理者が、通話可能な親機20の利用者と効率よく通話を行うことができる。このため、より多くの利用者の安否さらには被災状況を確認できるとともに、避難指示などの対応をとることが可能となる。
なお、親機20における管理装置50からの通信要求メッセージに対する応答処理や外部アクセス可否判定処理については、図5および図6で前述したコードレス子機10における応答処理および外部アクセス可否判定処理と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施の形態にかかる電話システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態にかかる電話システムのコードレス子機の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施の形態にかかる電話システムの親機の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施の形態にかかる電話システムの管理装置の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施の形態にかかるコードレス子機の応答処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施の形態にかかるコードレス子機のアクセス可否判定処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施の形態にかかる電話システム全体の外部呼出動作を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0059】
1…電話システム、10,10A,10B,〜,10N…コードレス子機、11…制御部、12…記憶部、13…操作入力部、14…表示部、15…無線I/F部、16…音声処理部、20,20A,20B,〜,20N…親機、21…制御部、22…記憶部、23…操作入力部、24…表示部、25…無線I/F部、26…音声処理部、27…通信I/F部、30,30A,30B,〜,30N…コードレス電話機、40…電話制御装置、50…管理装置、51…制御部、52…記憶部、53…操作入力部、54…表示部、55…無線I/F部、56…音声処理部、NW…電話網。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親機と電池で動作するコードレス子機との組からなり互いの識別情報を用いて両者間で無線通信を行う複数のコードレス電話機と、これらコードレス電話機を内線収容する電話制御装置とを含む電話システムであって、
予め記憶部に登録されている前記各コードレス子機の子機識別情報のいずれかと自己の管理識別情報とを用いて、無線通信により当該子機識別情報と対応する前記コードレス子機に対して、当該子機識別情報と管理識別情報とを含む通信要求メッセージを送信し、当該コードレス子機からの応答メッセージの受信に応じて、当該コードレス子機との間で無線通信により通話を形成する管理装置を備え、
前記コードレス子機は、前記管理装置からの通信要求メッセージに応じて、当該通信要求メッセージで通知された管理識別情報の正当性に基づき当該管理装置からのアクセス可否を判定し、このアクセス可の判定に応じて当該管理装置へ応答メッセージを送信した後、当該管理装置との間で無線通信により通話を形成する
ことを特徴とする電話システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電話システムにおいて、
前記コードレス子機は、前記通信要求メッセージを受信した際に前記親機と無線通信中である場合には、前記アクセス可の判定に応じて当該親機との無線通信を切断した後、前記応答メッセージを送信することを特徴とする電話システム。
【請求項3】
請求項1に記載の電話システムにおいて、
前記コードレス子機は、前記アクセス可否判定の際、前記管理識別情報の正当性が確認され、かつ前記親機との間で無線通信不能な状態にある場合にのみ、アクセス可と判定することを特徴とする電話システム。
【請求項4】
請求項1に記載の電話システムにおいて、
前記コードレス子機は、前記応答メッセージを送信した後、前記親機の親機識別情報を前記管理装置に対して無線通信により通知し、
前記管理装置は、当該コードレス子機との通話を終了した後、前記コードレス子機から通知された親機識別情報を用いて、当該親機識別情報と前記管理識別情報とを含む通信要求メッセージを当該親機に対して送信し、当該親機からの応答メッセージの受信に応じて、当該親機との間で無線通信により通話を形成する
ことを特徴とする電話システム。
【請求項5】
親機と電池で動作するコードレス子機との組からなり互いの識別情報を用いて両者間で無線通信を行う複数のコードレス電話機と、これらコードレス電話機を内線収容する電話制御装置と、前記コードレス子機との間で無線通信を行う管理装置とを含む電話システムで用いられる電話制御方法であって、
前記管理装置が、予め記憶部に登録されている前記各コードレス子機の子機識別情報のいずれかと自己の管理識別情報とを用いて、無線通信により当該子機識別情報と対応する前記コードレス子機に対して、当該子機識別情報と管理識別情報とを含む通信要求メッセージを送信するステップと、
前記コードレス子機が、前記管理装置からの通信要求メッセージに応じて、当該通信要求メッセージで通知された管理識別情報の正当性に基づき当該管理装置からのアクセス可否を判定し、このアクセス可の判定に応じて当該管理装置へ応答メッセージを送信した後、当該管理装置との間で無線通信により通話を形成するステップと、
前記管理装置が、前記コードレス子機からの応答メッセージの受信に応じて、当該コードレス子機との間で無線通信により通話を形成するステップと
を備えることを特徴とする電話制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載の電話制御方法において、
前記コードレス子機が、前記通信要求メッセージを受信した際に前記親機と無線通信中である場合には、前記アクセス可の判定に応じて当該親機との無線通信を切断した後、前記応答メッセージを送信することを特徴とする電話制御方法。
【請求項7】
請求項5に記載の電話制御方法において、
前記コードレス子機が、前記アクセス可否判定の際、前記管理識別情報の正当性が確認され、かつ前記親機との間で無線通信不能な状態にある場合にのみ、アクセス可と判定することを特徴とする電話制御方法。
【請求項8】
請求項5に記載の電話制御方法において、
前記コードレス子機が、前記応答メッセージを送信した後、前記親機の親機識別情報を前記管理装置に対して無線通信により通知し、
前記管理装置が、当該コードレス子機との通話を終了した後、前記コードレス子機から通知された親機識別情報を用いて、当該親機識別情報と前記管理識別情報とを含む通信要求メッセージを当該親機に対して送信し、当該親機からの応答メッセージの受信に応じて、当該親機との間で無線通信により通話を形成する
ことを特徴とする電話制御方法。
【請求項9】
親機と電池で動作するコードレス子機との組からなり互いの識別情報を用いて両者間で無線通信を行う複数のコードレス電話機と、これらコードレス電話機を内線収容する電話制御装置と、前記コードレス子機との間で無線通信を行う管理装置とを含む電話システムで用いられるコードレス子機であって、
前記管理装置との間で無線通信を行う無線インターフェース部と、
前記管理装置からの通信要求メッセージに応じて、当該通信要求メッセージで通知された管理識別情報の正当性に基づき当該管理装置からのアクセス可否を判定し、このアクセス可の判定に応じて当該管理装置へ応答メッセージを送信した後、当該管理装置との間で無線通信により通話を形成する制御部と
を備えることを特徴とするコードレス子機。
【請求項10】
親機と電池で動作するコードレス子機との組からなり互いの識別情報を用いて両者間で無線通信を行う複数のコードレス電話機と、これらコードレス電話機を内線収容する電話制御装置と、前記コードレス子機との間で無線通信を行う管理装置とを含む電話システムで用いられる管理装置であって、
前記コードレス電話機との間で無線通信を行う無線インターフェース部と、
予め記憶部に登録されている前記各コードレス子機の子機識別情報のいずれかと自己の管理識別情報とを用いて、無線通信により当該子機識別情報と対応する前記コードレス子機に対して、当該子機識別情報と管理識別情報とを含む通信要求メッセージを送信し、当該コードレス子機での前記管理識別情報の正当性に基づくアクセス可の判定後、当該コードレス子機から送信された応答メッセージの受信に応じて、当該コードレス子機との間で無線通信により通話を形成する制御部と
を備えることを特徴とする管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−154000(P2010−154000A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−327373(P2008−327373)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(304020498)サクサ株式会社 (678)
【Fターム(参考)】