説明

電飾水位表示を備えた電気ポット

【課題】 本発明は,ユーザにとってより容易かつ明確に液量を把握することができる電気ポットを提供することを目的とする。
【解決手段】 上記課題は,内容器11の孔部10から吐出口13に至る液体経路の垂直方向部分を構成する透明な液量表示管14と,液量表示管14の背面に存在する画像が描画された画像壁18と,画像壁18を照射するための発光部19と,を有する電気ポットにより解決される。特に,上記課題は,画像壁18が,複数の反射ドットを有し,複数の反射ドットは,画像壁18上方に向かうにしたがって面積が大きくなるものにより解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,液量表示部を有する電気ポットに関する。
【背景技術】
【0002】
電気ポットとして,液量表示窓を有するものがある。ユーザは,この液量表示窓から電気ポット内部の液量を視認することができる。
【0003】
この液量表示窓を見やすくするために,液量表示管の下方からLEDにより液量表示管中の液面を照らす技術が知られている(特開2001−292909号公報,特開2004−313427号公報)。この技術は,液量表示管に収容された水の液面がコントラスト良く見えるようになるため,ユーザは容易に電気ポット内の水量を視認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−292909号公報
【特許文献2】特開2004−313427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の技術は,液面のコントラストを強めることができる。このためユーザは電気ポット内の液量を把握しやすい。しかしながら,液面のコントラストが強まっても,必ずしもユーザにとって見やすいとは限らない。液面のコントラストが強まっても特にユーザの興味をそそるものではない。
【0006】
そこで,本発明は,ユーザにとってより容易かつ明確に液量を把握することができる電気ポットを提供することを目的とする。
【0007】
また,本発明は,ユーザの興味を惹くことができる電気ポットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は,基本的には,透明な液量表示管の後部に画像壁を設けて,その画像壁を発光部からの光で照射するものである。すなわち,上記の課題は,基本的には,透明な液量表示管14と,液量表示管14の背面に存在する画像壁18と,画像壁18を照射するための発光部19とを有する電気ポットにより解決される。
【0009】
本発明の第1の側面は,電気ポットに関する。そしてこの電気ポット17は,内容器11と,加熱部12と,吐出口13と,液量表示管14と,外装ケース16を有する。さらに,この電気ポットは,液量表示管14の背面に存在する画像が描画された画像壁18と,その画像壁18を照射するための発光部19を有する。
【0010】
発光部19が,画像壁18を照射するため,画像壁18の画像が明るくなり,ユーザは液量を視認しやすくなる。しかも,水が入っている部分の画像が拡大表示されるため,ユーザは電気ポット内の水量を容易に把握することができる。
【0011】
本発明の第1の側面の好ましい態様は,発光部19が,画像壁18の下方に設けられた点光源又は線光源のものである。そして,画像壁18は,複数の反射ドットを有し,複数の反射ドットは,画像壁18上方に向かうにしたがって面積が大きくなるものに関する。
【0012】
この態様の電気ポットは,画像を均一な輝度で表示できる。
【0013】
本発明の第1の側面の好ましい態様は,液量表示管14の後部に存在する画像壁18を収容するための画像壁収容部20と,外装ケース16に設けられたスリット21とをさらに有するものである。そして,そのスリット21は,画像壁収容部20と接続されている。このような構成を有するため,この電気ポットは,画像壁18を取替えることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は,基本的には,透明な液量表示管の後部に画像壁を設けて,その画像壁を発光部からの光で照射するものである。すると,液量表示管のうち水が入っている部分は,レンズのように機能する。よって,水が入っている部分の背景画像が拡大表示される。このため,本発明の電気ポットは,水が入っている部分の画像が拡大表示され,ユーザは電気ポット内の水量を容易に把握することができる。
【0015】
よって,本発明は,ユーザにとってより容易かつ明確に液量を把握することができる電気ポットを提供することができる。
【0016】
また,本発明は,画像壁が拡大表示されるため,ユーザの興味を惹くことができる電気ポットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は,本発明の電気ポットの概観図である。
【図2】図2は,本発明の電気ポットの断面を示す概念図である。
【図3】図3は,液量表示管の外観を示す図である。図3(a)は内容器に液体が収容されていない際の液量表示管の外観を示す図である。図3(b)は内容器に液体が半分程度収容された際の液量表示管の外観を示す図である。
【図4】図4は,画像壁取替え機能つき電気ポットの外観図の例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態を具体的に説明する。本発明は,以下の説明に限定されることはなく,当業者にとって自明な範囲で適宜修正したものも含む。
【0019】
図1は,本発明の電気ポットの概観図である。図2は,本発明の電気ポットの断面を示す概念図である。本発明の電気ポットは,電気貯湯容器ともよばれ,外装ケースの内部に存在する容器(内容器)に湯を貯蔵して,吐出口から適宜放出することができるものである。
【0020】
図1及び図2に示されるとおり,本発明の電気ポットは,内容器11と,加熱部12と,吐出口13と,液量表示管14と,外装ケース16と,画像壁18と,発光部19とを有する。本発明の電気ポットは,電気ポットの構成のうち既に知られた構成を適宜含むものである。
【0021】
内容器11は,外装ケースの内部に存在する容器である。そして,その底部には孔部10が設けられている。なお,内容器の上部には開閉することができる蓋が設けられている。そして,蓋部には,例えば,大きなボタンが設けられており,このボタンを押すことで,内容器内の液体を吐出口から放出することができる。
【0022】
加熱部12は,内容器11に収容された液体を加熱するための装置である。加熱部は,電気ポットが通常有するものである。よって,本発明の加熱部12も公知のものを適宜用いることができる。
【0023】
吐出口13は,内容器11に収容された液体を放出するための部分である。吐出口13は,通常円筒状の形状を有している。吐出口13は,液量表示管14と一体に成形されても良い。また,吐出口13は,液量表示管14と直接又は中継する管を介して接続されるようにされても良い。
【0024】
液量表示管14は,内容器の孔部10から吐出口13に至る液体経路の垂直方向部分を構成する透明な管である。液量表示管14の形状は円筒状(中空円柱状)のものが好ましい。このような形状を有すると,液量表示管14内に液が存在すると液量表示管14がレンズのように機能することとなる。液量表示管14は,複数の反射ドットを有してもよい。複数の反射ドットは,発光部19から遠ざかるに向かうにしたがって面積が大きくなる。この反射ドットは,液量表示管14のうち画像壁18に面した面にのみ設けられるものが好ましい。このように液量表示管14に反射ドットを有することで,光源から遠ざかった部位も明るく表示される。
【0025】
外装ケース16は,電気ポットが通常有する筐体,外枠である。外装ケース16の形状は既に知られた電気ポットが採用している形状とすることができる。外装ケース16は,内容器11及び液量表示管14を収容する。また,外装ケース16には,吐出口13が取り付けられており,これによって内容器内の液体を,吐出口13を介して外装ケース16の外に放出することができる。外装ケース16は,通常,その前方側面部分に透明窓15を有する。透明窓15は,液量表示管14の前面に設けられ,液量表示管14の少なくとも一部を視認できるものである。透明窓15は電気ポットが通常有している。このため,本発明でも電気ポットが通常有している大きさ,形状の透明窓15を採用することができる。
【0026】
画像壁18は,液量表示管14の背面に存在する画像が描画された壁である。画像壁18の例は,画像が描画されたシートや紙である。画像壁18は,プラスチック製のカートリッジであっても良い。像壁18の大きさは,透明窓15から視認できる範囲をカバーしたものがあげられる。画像壁18に描画された画像の例は,幾何学模様である。幾何学模様であれば,拡大表示された部分と拡大表示されない部分とを容易に視認できる。図2に示されるとおり,外装ケース16,液量表示管14及び画像壁18は,この順となるように電気ポット内に設置される。
【0027】
画像壁18と液量表示管14との間は,空隙が設けられても良い。また,画像壁18と液量表示管14との間に導光板が設けられても良い。導光板は,発光部19からの光を伝播するための板である。このような導光板は,照明器具のバックライトとして広く知られている。このため,本発明も既に知られた導光板を適宜採用することができる。一方,画像壁18は,液量表示管14と密着しても良い。そして,後述する発光部19からの光が液量表示管14を通って画像壁18へ伝播し,画像壁18から反射するようにしてもよい。
【0028】
発光部19は画像壁18を照射するための装置である。発光部19の例は,LED(発光ダイオード)と,LEDを搭載する基板とを有するものである。外装ケース16は,図示しないスイッチを有している。そして,スイッチがONにされると,LEDが点灯するようにされても良い。発光部19は,通常,画像壁18の下部に設置される。もっとも,発光部19は,画像壁の上部に存在しても良い。また,発光部19は,画像壁18の背面に存在しても良いし,画像壁18の周囲に存在しても良い。
【0029】
次に,本発明の電気ポット17の動作について説明する。本発明の電気ポットは,液量表示に特徴がある。よって,本発明の電気ポットの液量表示以外の構成・動作は既に知られた電気ポットのものを適宜採用すればよい。このため,以下では,本発明の電気ポットを用いた液量表示について説明する。
【0030】
図3は,液量表示管の外観を示す図である。図3(a)は内容器に液体が収容されていない際の液量表示管の外観を示す図である。図3(b)は内容器に液体が半分程度収容された際の液量表示管の外観を示す図である。
【0031】
内容器11に液体が収容されていない際や内容器11に収容された液体が少ない場合,透明窓15から液量表示管14内の液体を確認できない。この場合,図3(a)に示されるように,透明窓15から視認できる画像壁18は,上下を通して一様である。
【0032】
一方,内容器11に収容された液体がある量を超えた場合,透明窓15から液量表示管14内の液体を確認できる状態となる。この場合,液体を収容したことにより,液量表示管14のうち液体を収容した部分の屈折率が変化する。そして,液量表示管14がレンズのように機能する。このため,図3(a)に示されるように,透明窓15から視認できる画像壁18は,液が存在する部分について拡大表示されることとなる。しかも,画像壁18の画像は,例えばLEDにより照射されるため,より美しく,はっきりと視認されることとなる。さらに,たとえばLEDにより照射された画像は,暗闇においてもはっきりと視認されることとなる。
【0033】
本発明の好ましい実施態様は,画像壁18が複数の反射ドットを有するものである。以下,この態様について説明する。
【0034】
すなわち,この態様の電気ポットは,発光部19が,画像壁18の下方に設けられた点光源又は線光源である。そして,画像壁18は,複数の反射ドットを有する。この複数の反射ドットは,画像壁18上方に向かうにしたがって面積が大きくなるものである。
【0035】
点光源は,通常1つのLEDにより構成される。一方,線光源は,冷陰極管又は一列に並んだ複数のLEDにより構成される。電気ポットが線光源を採用する場合,線光源は,例えば,画像壁18の下辺に沿うように設置される。
【0036】
反射ドットは,バックライトにおいて既に知られている。このため,この態様の電気ポットにおいても,既に知られた反射ドットを適宜採用することができる。光源からの光は,遠方に行くにしたがって弱まる。一方,この態様の電気ポットは,画像壁18上方に向かうにしたがって面積が大きくなる。このため,画像壁18がほぼ均一な輝度を有するように視認されることとなる。
【0037】
本発明の好ましい上記とは別の態様は,画像壁18を取り替えることができるものである。
【0038】
図4は,画像壁取替え機能つき電気ポットの外観図の例である。図4に示されるとおり,この態様の電気ポットは,液量表示管14の後部に画像壁収容部20を有する。この画像壁収容部20は,画像壁18を収容するための部分である。さらに,この態様の電気ポットは,外装ケース16に設けられたスリット21を有する。そして,このスリット21は,画像壁収容部20と接続されている。このため,スリット21を介して画像壁18を取替えることができる。なお,スリット21には開閉できる蓋が設けられており,通常時は蓋を閉めることで,スリット21内に異物が混入する事態を防止するものが好ましい。
【0039】
すなわち,ユーザが,画像壁18を替える場合は,まずスリット21を覆う蓋を開く。すると,スリット21が露出する。画像壁18には例えば,ずししない取り出し用のひだ部が設けられている。また,画像壁18はカードリッジ状であっても良い。そして,カードリッジ側面を押すことで,画像壁収容部20に収容された画像壁18を取り出すことができる。このような動作は,画像壁収容部20がばねなどの付勢部と,いったん収容されたカートリッジを付勢部の勢いに対抗して保持するものにより達成できる。古いカードリッジ状の画像壁18を取り出した後は,新しいカードリッジを画像壁収容部20に収容する。
【0040】
このように,この態様の電気ポットは,最も目立つ液量表部のデザインを逐次変えることができるため,ユーザの興味を惹き付けることができる。さらに,この態様の電気ポットは,水を沸かすのみならず,ユーザに愛着を沸かすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は家電製品の製造業において好適に利用されうる。
【符号の説明】
【0042】
10 内容器の孔部
11 内容器
12 加熱部
13 吐出口
14 液量表示管
15 透明窓
16 外装ケース
17 電気ポット
18 画像壁
19 発光部
20 画像壁収容部
21 スリット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容し,底部に孔部(10)を有する内容器(11)と,
前記内容器(11)に収容された液体を加熱するための加熱部(12)と,
前記内容器(11に収容された液体を放出するための吐出口(13)と,
前記内容器の孔部(10)から前記吐出口(13)に至る液体経路の垂直方向部分を構成する透明な液量表示管(14)と,
前記内容器(11)及び液量表示管(14)を収容するとともに,前記吐出口(13)が取り付けられ,透明窓(15)を有する外装ケース(16)であって,前記透明窓(15)は,前記液量表示管(14)の前面に設けられ,前記液量表示管(14)の少なくとも一部を視認できるものであるもの,を有する,
液量表示機能を有する電気ポット(17)であって,
前記液量表示管(14)の背面に存在する,画像が描画された画像壁(18)と,
前記画像壁(18)を照射するための発光部(19)と,
をさらに有する,
電気ポット。
【請求項2】
前記発光部(19)は,前記画像壁(18)の下方に設けられた点光源又は線光源であり,
前記画像壁(18)は,複数の反射ドットを有し,前記複数の反射ドットは,画像壁(18)上方に向かうにしたがって面積が大きくなる
請求項1に記載の電気ポット。
【請求項3】
前記液量表示管(14)の後部に存在する前記画像壁(18)を収容するための画像壁収容部(20)と,
前記外装ケース(16)に設けられたスリット(21)と
をさらに有し,
前記スリット(21)は前記画像壁収容部(20)と接続されており,これにより前記画像壁(18)を取替えることができる
請求項1に記載の電気ポット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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