説明

霧発生装置

【課題】安全かつランニングコストが低い霧発生装置を提供する。
【解決手段】
霧化させる対象の液体を貯留するタンク23と、超音波振動子1に一体的に結合されたホーン2の先端部に前記タンク23の液体を供給する液体供給手段と、前記超音波振動子1で前記ホーン2の先端部を振動させて、前記液体に超音波振動を付加することで霧化する超音波発振手段と、霧化しても気化しなかった液体を集めて回収する液体回収手段とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加湿機などに応用される技術であり、無菌化した霧等の生成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
加湿機には、超音波式とスチーム式の2種類がある。
超音波式は、タンクから水を水槽に引き込み、水槽の底面に配設した超音波振動子を振動させることによって、水槽の水面から霧を発生させている。一方、スチーム式は、水を加熱してスチーム(蒸気)を発生させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−263438(要約書)
【特許文献2】特開2003−4265(要約書)
【特許文献3】特開平10−281502(要約書)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の超音波式では、長時間使用せずに放置したままにすると、様々な細菌やウイルスなどの微生物(以降、単に菌という。)が水槽で繁殖してしまい、霧とともに空気中に放出してしまうことになる。その対策として、水槽に銀や銅などの抗菌材を配設したり(特許文献1参照)、殺菌用としての紫外線を照射したり(特許文献2参照)という方法もあるが、今一つ効果が低いのが実情である。
【0005】
又別の対策として、水道水に含まれている塩素イオンCl- を、電解処理によりジ亜塩素酸イオンClO- にして殺菌力を持たせるという方法もある(特許文献3参照)。
しかし、ジ亜塩素酸イオンClO- は時間がたてば塩素イオンCl- に戻ってしまい、殺菌力が現象してしまうため、常に電解処理を続ける必要があり、完全な対策とは言えないのが実情である。
【0006】
また、水道水に含まれるカルシウム等が霧に含まれて飛散するため、テレビ、パソコン及び家具等に付着するという更に超音波方式にとっての大きな別の課題がある。イオン交換水(純水)を使用できればこの問題は解決するが、イオン交換水(純水)は水道水と違って菌が発生しやすく、紫外線の照射や抗菌材では殆ど対応できない。又、イオン交換水(純水)は、電気電導度が低いために電解処理も行えないため、このような課題に対する対策はないのが実情である。
【0007】
一方、スチーム式では、水を加熱して蒸気を発生させるため、菌を放出する問題はなくなる。しかし、スチームの出口付近は高温のため、幼児などが火傷するという問題が実際に発生している。スチーム式は、霧ではなく熱を持った蒸気であるため、夏場での冷房効果の妨げとなってしまう。更に又、一般家庭のコンパクトなスチーム式加湿機でも、強モードで約300W、弱モードで約150Wであり、ランニングコストが高いという問題もある。
【0008】
したがって、本発明の目的は、安全かつランニングコストが低い霧発生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明の霧発生装置は、霧化させる対象の液体を貯留するタンクと、超音波振動子に一体的に結合されたホーンの先端部に前記タンクの液体を供給する液体供給手段と、前記超音波振動子で前記ホーンの先端部を振動させて、前記液体に超音波振動を付加することで霧化する超音波発振手段と、霧化しても気化しなかった液体を集めて回収する液体回収手段とを備えている。
【発明の効果】
【0010】
本発明において、前記超音波発振手段で生成した霧は、小粒子や大粒子が混ざった状態であり、小粒子の霧は空中に放出して気化するが、大粒子の霧は水滴状となって残ってしまう。そのため、この残った液体は集めて回収することで液体を滞りなく霧化することができる。
【0011】
本発明によれば、超音波振動により液体を霧化しているので、前記スチーム方式とは異なり、熱を持った蒸気を発生させていないので安全である。また、熱を持った蒸気を発生させないので、夏場での冷房の妨げにならないと共に、液体を過熱しないのでランニングコストを低く抑えることができる。
【0012】
ここで、従来の超音波式の加湿機は、液体槽の底面に配設された超音波振動子により、液面を激しく波立たせることにより該液体を微細な粒子にして放出している。そのため、液体槽には常に一定量の液体が満たされている必要があるので、前記従来の加湿機を一旦停止させると、液体槽に液体が満たされたままの状態となる。前記従来の加湿機を停止させている間に、液体槽の液体にウイルスや細菌などの微生物(以降、単に菌と言う)が侵入して繁殖し、該加湿機を再び稼動した際に空中に菌を含む人体に有害な物質が空中に撒き散らされるおそれがある。
【0013】
これに対し、本発明の霧発生装置は、霧を発生させたい時のみに超音波振動子に結合したホーンの先端部に液体を供給して液体を霧化している。そのため、液体槽は必要とせず、液体に菌が進入して繁殖するおそれがなくなる。したがって、霧発生装置を再び稼動した際に空中に菌などをまきちらされるおそれはなくなる。
また、ホーン先端に供給した液体のうち、小粒子の霧は霧発生装置の外に放出されて気化するが、大粒子の霧のように水滴となった液体は、直ぐに全て回収する液体回収手段を備えているため、回収した液体に菌が繁殖することもない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例1にかかる霧発生装置のシステム構成図である。
【図2】同霧発生装置の霧発生部分の拡大図である。
【図3】同霧発生装置のポンプユニットを示す構成図である。
【図4】同霧発生装置のポンプ断面図である。
【図5】同霧発生装置の外観図である。
【図6】同霧発生装置の回路構成図である。
【図7】本発明の実施例2にかかる霧発生装置のシステム構成図である。
【図8】本発明の実施例3にかかる霧発生装置のシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の好ましい態様において、前記超音波振動子に一体的に結合されたホーンの先端面および前記ホーンの軸線を傾斜して配置する。
【0016】
液体の表面張力により超音波振動子に結合したホーンの先端で盛り上がるように液体が溜まってしまうと、超音波振動子が安定して共振しなくなり、霧化ができなくなるおそれがある。そこで、かかる態様によれば、超音波振動子に結合したホーンを傾斜して配設することにより、ホーンの先端に液体が盛り上がって溜まってしまうことはなくなり、安定して霧を発生することができる。
【0017】
本発明の好ましい態様において、前記ホーンには当該ホーンの軸線方向に延びる縦孔と、前記ホーンの外側面から前記縦孔に連なる横孔とが形成され、前記液体が前記横孔から前記縦孔を通って前記ホーンの先端部に導かれるように、前記ホーンに液体流路を形成する。
かかる態様によれば、前記ホーンの側面から軸孔を通って先端部への液体流路を設けている。これにより、前記ホーンの最も振動の激しい先端部に効率よく液体を供給することができる。
【0018】
なお、前記縦孔の径としては、1.0mm〜2.0mmに設定するのが好ましい。縦孔の径が1.0mm未満であると加工が非常に難しくなり、一方、縦孔の径が2.0mmを越えると該縦孔を通る液体が霧化しにくくなるからである。
前記縦孔の長さとしては、超音波振動子の波長λの半波長λ/2以下で、10mm〜100mmに設定するのが好ましい。縦孔の長さが10mm未満であると該縦孔を通る液体が霧化しにくくなり、一方、縦孔の長さが100mmを越えると縦孔の加工が難しくなるからである。
【0019】
本発明の好ましい態様において、前記液体供給手段による液体の供給経路には前記供給する液体から微生物(菌)を濾過する第1濾過手段が設けられ、前記液体回収手段による液体の回収経路には前記回収した液体から微生物(菌)を濾過する第2濾過手段が設けられている。
【0020】
かかる態様では、超音波振動子に結合したホーンと液体供給手段の間に液体から菌を除去するための第1濾過手段を配設している。そして更に、霧化せずに水滴となった液体を回収する液体回収手段と液体を貯留するタンクとの間にも同様の第2濾過手段を配設している。これにより、霧化に使用する液体そのものが最初から菌で汚染されていたとしても、液体から菌を除去した無菌の霧を発生させるとともに、無菌の液体をタンクに戻すことができる。
【0021】
前記濾過手段に用いる濾材としては、ガラス繊維濾材、ガラス多孔質濾材、メンブレン濾材などがある。更には、水と反応すると正の電荷を帯びる水酸化アルミニウムで、例外なく負に帯電している菌をクーロン力で捕捉する濾材もあり、これらと組み合わせることで、より安全な霧発生装置とすることができる。
【0022】
又、塩素イオンを含んだ水道水を使用する場合は、濾材の替わりに電極を組み込んで電解処理を行ってジ亜塩素酸イオンを生成させて殺菌した水を使用しても良い。
更に又、オゾン発生器を組み込んでオゾン水を生成して殺菌した水を使用しても良い。
更に又、効果は薄いが紫外線照射による殺菌手段など様々な殺菌手段や抗菌手段を使用しても良い。
【0023】
本発明の好ましい態様において、前記液体供給手段による前記液体の単位時間当たりの流量が前記液体回収手段による液体の単位時間当たりの回収能力よりも小さくなるように設定する流量制御手段を備えている。
かかる態様では、流量制御手段を設けている。これにより、霧化のために供給する液量よりも霧化せずに回収できる液量の方が大きく設定することができ、供給過多により液体が溢れ出してしまうことはなくなる。
また、霧化しなかった液体が液体回収手段により常に回収されるため、液体に菌が進入して繁殖するおそれがなくなる。
【0024】
本発明の好ましい態様において、前記液体供給手段は、前記ホーンの先端面に前記液体を滴下ないし流下する液体落下手段を備えている。
かかる態様によれば、ホーンに縦孔や横孔を加工する必要がなくなるので、装置の生産効率が大幅に増大する。
【0025】
本発明の好ましい態様において、前記液体供給手段による液体の供給経路には前記供給する液体から微生物(菌)を濾過する第1濾過手段が設けられ、前記液体回収手段による液体の回収経路には前記回収した液体から微生物(菌)を濾過する第2濾過手段が設けられている。
【0026】
本発明の好ましい態様において、前記液体供給手段による前記液体の単位時間当たりの流量が前記液体回収手段による液体の単位時間当たりの回収能力よりも小さくなるように設定する流量制御手段を備えている。
【実施例】
【0027】
実施例1:
本発明にかかる実施例を図面を用いて説明する。
図1〜図6は実施例1を示す。
全体構成:
図1に示すように、本霧発生装置は、タンク23、第一ポンプ21、第一濾過フィルタ(第1濾過手段)24、霧発生部100、第二ポンプ22および第二濾過フィルタ(第2濾過手段)25を備えている。前記タンク23は霧化させる対象の水(液体の一例)を貯留するものである。
【0028】
霧発生部100:
先ず、図1と図2を使用して霧発生部100について説明する。
図2に示すように、霧発生部100は、超音波振動子1、ホーン2、第1チューブコネクタ3、台板5、霧受台板11および第2チューブコネクタ12を備えている。
【0029】
超音波発振手段;
圧電素子を金属ブロックで挟み込んだランジュバン型の超音波振動子1の雌ネジ部1aには、ホーン2の雄ネジ部2aが螺合している。ホーン2の側面には、水をホーン内に取り入れるための横孔2bと第1チューブコネクタ3と結合するためのネジ部を形成している。ホーン2の軸部には小口径孔部(縦孔)2cを形成し、第1チューブコネクタ3からネジ部2bを介して入ってきた水が小口径孔部2cを通ってホーン2の先端部2dに導かれるように構成している。
【0030】
したがって、水がネジ部2bから小口径穴部2cを通って、ホーン2の先端2dに導かれるように、該ホーン2には、前記ネジ部2bおよび小口径穴部2cからなる液体流路が形成されている。
【0031】
超音波振動子1の下部は、ネジ4で台板5に位置決めした弾性ゴム6に嵌合している。ホーン2の側面にはネジ部2eが形成され、六角支柱ネジ7、段付ネジ8、第1グロメット9を介して該ホーン2が台板5に取り付けられている。ホーン2の先端近傍には第2グロメット10で霧受台板11との隙間から水漏れがおきないようにして、霧受台板11にホーン2の先端2dを覗かせている。
【0032】
超音波振動子1とホーン2を霧発生部100に固定する際に、超音波振動が固定物で押さえ込まれないように、弾性体からなる弾性ゴム6、第1グロメット9、第2グロメット10を介して固定している。
【0033】
したがって、前述した霧発生部100は、超音波振動子1で前記ホーン2の先端2dを振動させて、水に超音波振動を付加することで霧化させる超音波発振手段を構成している。
【0034】
ホーン2の先端2dから噴出された小粒子の霧は、霧受台板11の上部開口部11aから霧発生部100の外に放出される。一方、大粒子の霧は水滴となって、霧受台板11の底面に形成した溝孔11bに集まり、第2チューブコネクタ12を介して抜き取ることができるように構成している。
【0035】
図1と図2で示したように、超音波振動子1に結合したホーン2は傾けて霧発生部100に取り付けている。これは、ホーン2の先端部2dに水の表面張力で盛り上がって水が溜まってしまうと、安定して霧化できなくなるおそれがあるからである。そのため、ホーン2の先端部2dに水が溜まる前に流れ落ちるように傾斜させている。
【0036】
水供給部および水回収部:
次に、図1、図3、図4を使用して前記霧発生部100への水供給部と、霧化できなかった水の水回収部について説明する。
第一ポンプ21は、タンク23の水を吸い込んで第一濾過フィルタ24を介してホーン2に水を供給する液体供給手段を構成している。前記第一濾過フィルタ24は、前記液体供給手段による水の供給経路に設けられ、供給する水から菌(微生物)を濾過する第1濾過手段を構成している。
第二ポンプ22は、霧受台板11で回収した大粒子の霧化しても気化しなかった水を、第二濾過フィルタ25を介してタンク23に水を回収する液体回収手段を構成している。第二濾過フィルタ25は、前記液体回収手段による水の回収経路に設けられ、回収した水から菌(微生物)を濾過する第2濾過手段を構成している。
【0037】
第一ポンプ21と第二ポンプ22は、一つのモータ26で駆動するように構成している。モータ26の回転軸から偏心した位置には、リンク軸28が設けられている。前記リンク軸28は、リンク27の片方のリンク軸を構成しており、モータ26の回転軸の周りを回動する。リンク27の他方のリンク軸29はガイド軸30に沿って摺動する。摺動板31はリンク軸29と一体的に結合され、第一ポンプ21と第二ポンプ22のピストン32、33と係合している。ピストン32、33には、水漏れがないようにOリング34、35を嵌めている。
【0038】
図3と図4はピストン32、33が引き出された状態であり、モータ26が回転動作すると、リンク27および摺動板31を介してピストン32、33が押し込まれる。ピストン32、33のOリング34が第3チューブコネクタ36の孔位置を越えて押し込まれると、第一ポンプ21、第二ポンプ22のポンプ内の水圧が高くなり、圧縮バネ39で付勢された球38を押して、第4チューブコネクタ37から水が吐出される。
【0039】
更にモータ26が回転すると、リンク27によりピストン32、33は引き出される方向に反転して動作する。この時、前記球38は、圧縮バネ39で戻り、第一ポンプは密閉状態になって負圧になる。ピストン32、33のOリング34が第3チューブコネクタ36の孔位置を越えて引き出されると、第一ポンプ21内と第二ポンプ内は負圧になっているために第3チューブコネクタ36から水が引き込まれる。
【0040】
前記第一ポンプ21の第3チューブコネクタ36はタンク23側の流路に接続されていると共に、第一ポンプ21の第4チューブコネクタ37は第一濾過フィルタ24側の流路に接続されている。一方、第二ポンプ22の第3チューブコネクタ36は霧発生部100側の流路に接続されていると共に、第二ポンプ22の第4チューブコネクタ37は第二濾過フィルタ25側に接続されている。
【0041】
したがって、前記モータ26の回転により、第一ポンプ21および第二ポンプ22が前記動作を繰り返すことにより、第一ポンプ21は霧化のための水をタンク23から供給し、第二ポンプ22は回収した水をタンク23に戻すことができる。
【0042】
ここで、第一ポンプ21でホーン2に供給した水量から、霧化により気化した水量を差し引いた水量は、必ず第二ポンプ22で回収しなければ、霧受台板11内に水が溜まってしまうことになる。
そのため、第一ポンプ21よりも第二ポンプ22の水の吐出量は大きく設定する必要がある。ここに示した第一ポンプ21と第二ポンプ22は、ピストン32、33と第3チューブコネクタ36の孔位置で水の吐出量を変えることができる。
そのため、水の吐出時は、第二ポンプ22の第3チューブコネクタ36の孔位置の方が、第一ポンプ21の第3チューブコネクタ36の孔位置よりも先にピストン32のOリング34が通過するように、第一ポンプ21と第二ポンプ22の位置関係を調節すれば良い。
【0043】
したがって、第一ポンプ21および第二ポンプ22は、前記液体供給手段による水の単位時間当たりの流量が前記液体回収手段による水の単位時間当たりの回収能力よりも小さくなるように設定された流量制御手段を備えている。
【0044】
霧発生装置の機器構成および装置の外観:
次に、図5、図6を使用して回路構成と装置外観について説明する。
図6に示す超音波発振回路41は、制御回路42からの信号を受けて、超音波振動子1を超音波振動させる回路であり、電源回路43は、超音波発振回路41と制御回路42に直流電圧を供給するための回路である。
【0045】
制御回路42には、第一および第二ポンプ21,22(図3)を駆動するためのモータ26が接続されるとともに、電源スイッチ44、前記モータ26を駆動させるための第一操作スイッチ45、超音波振動子1を作動させるための第二操作スイッチ46をそれぞれ接続している。そして、第一操作スイッチ45と第二操作スイッチ46の操作に対応して、その操作が行われたことを示す表示灯47、48を接続している。
【0046】
超音波発振回路41の異常や、第一ポンプ21と第二ポンプ22を駆動するためのモータ26の過電流等の異常が発生した時には、超音波振動子1とポンプ26の作動を停止するとともに、その異常を警告するための表示灯49を制御回路42に接続している。
更に、第一および第二ポンプ21,22(図3)の流量を調整するためのボリューム50と超音波振動子1のパワーを調整するためのボリューム51を制御回路42に接続している。
【0047】
図5に示したように、ホーン2(図6)の先端2dと第2グロメット10は、霧受台板11から露出しており、ここから霧を放出している。小粒子の霧は空中に放出して気化するが、大粒子は霧受台板11に付着し、水滴となり、霧受台板11の底面に形成した溝孔11bに集まり、抜き取られるように構成している。このため、霧を発生させていな時には、ユーザーの手で容易に清拭することができ、衛生管理がしやすい構成になっている。
【0048】
図5において図示していないが、霧発生装置を稼動しない時には、霧受台板11の開口部11aを覆うような不図示の開閉可能なカバーを設けることが衛生管理上好ましい。
更に又、この不図示のカバーを開放した時に、自動的に電源のスイッチが入るようにしても良い。
更に又、小粒子の霧が霧受台板11の外に放出されやすい様に不図示の送風機を配設しても良い。
【0049】
実施例2:
図7は実施例2を示す。
次に、図7を使用して、前述した実施例1とは異なる本実施例2におけるタンク周りの構成について説明する。
前述した図1に示す実施例1では、水の供給と回収をするためのチューブをタンク23の開口部に挿入していたため、タンク23の水を交換したり追加するための作業性が悪い。又、回収した水は第二濾過フィルタ25で濾過をして無菌化しているため、タンク23に戻しても問題はないが、回収した水をタンク23に戻すということに対して不快感を持つユーザーもいると思われる。
【0050】
そこで、図7に示すように、圧縮バネ53で付勢した弁54を設け、該弁54がキャップ52の孔の傾斜段部52aを塞ぐように弁機構を構成している。このキャップ52をタンク51に取り付けることによって、タンク51内の水は、逆さまにしても水が漏れることはなくなる。
【0051】
この状態で、前記タンク51を補助タンク55に取り付けると、前記補助タンク55の突起部55aにより弁54が押し込まれて、タンク51内の水は図7のように補助タンク55内に流れ込む。この時、キャップ52の側面は、水漏れをおこさないようにパッキン56に圧接している。
そして、水の供給と回収をするためのチューブは、タンク51ではなく補助タンク55に挿入するように構成している。
【0052】
これにより、タンク51の水を交換したり追加する時の作業性は良くなり、タンク51内の水に回収した水が混ざってしまうことはなくなる。
更に、暫く本霧発生装置を使用しないときには、補助タンク55内に溜まった水を、不図示のドレイン口を設けて排水可能にしても良い。
【0053】
その他の構成は、実施例1と同様であり、同一部分または相当部分に同一符号を付して、その説明を省略する。
【0054】
実施例3:
図8は実施例3を示す。
前述した実施例1および2にかかる図1〜図7では、ホーン2の軸部の小口径孔部2cから先端部2dに水を導くように構成していた。
これに対して、本実施例3にかかる図8では、ホーン2の小口径孔部(縦孔)2cや横孔2bを廃止するとともに、ホーン2の側面に配設していた第1チューブコネクタ3に変えて、型式の違うチューブコネクタ(液体落下手段の一例)3aを霧受台板11の側壁に移動している。
これにより、第一濾過フィルタ24を介して供給された水は、チューブコネクタ3aに接続されたパイプ60からホーン2の先端部2dに向けて直接滴下ないし流下することができる。
【0055】
そして、ホーン2の先端部2dの面が超音波振動子1で超音波振動することで、滴下ないし流下した水は瞬時に霧化される。霧化された小粒子の霧は空中に放出して気化するが、大粒子の霧は霧受台板11に付着して水滴となり、霧受台板11の底面に形成した溝孔11bに集まり、抜き取られる構成になっている。
【0056】
その他の構成部品に関しては、図1〜図7で説明した実施例1および2の内容と同じであるため、類似機能部品には図7に記載した同一番号で示し、説明は省略する。
【0057】
なお、図8では、水を滴下ないし流下させる手段として第一ポンプ21を使用しているが、第一ポンプ21を廃止し、補助タンク55の水面55aをホーン2の先端部2dよりも少し高い位置に配設するとともに、不図示の遮断弁を設けるだけで、第一濾過フィルタ24から染み出た水を直接ホーン2の先端部2dに滴下ないし流下させても良い。更に又、前処理されて無菌化した水を使用した場合には、第一濾過フィルタ24も省略しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、加湿機などに応用される技術であり、無菌化した霧などの生成に適用することができる。
【符号の説明】
【0059】
1:超音波振動子
1a :雌ネジ部
2:ホーン
2a :伝雄ネジ部
2b :横孔
2c :小口径孔部(縦孔)
2d :先端部
3:第1チューブコネクタ
3a:チューブコネクタ(液体落下手段の一例)
5:台板
6:弾性ゴム
7:六角支柱ネジ
8:段付ネジ
9:第1グロメット
10:第2グロメット
11:霧受台板
11a :開口部
11b :溝孔部
12:第2チューブコネクタ
21:第一ポンプ(液体供給手段、流量制御手段の一部)
22:第二ポンプ(液体回収手段、流量制御手段の一部)
23:タンク
24:第一濾過フィルタ(第1濾過手段)
25:第二濾過フィルタ(第2濾過手段)
26:モータ
27:リンク
28:リンク軸
29:リンク軸
30:ガイド軸
31:摺動板
32:ピストン
33:ピストン
34:Oリング
35:Oリング
36:第3チューブコネクタ
37:第4チューブコネクタ
38:球
39:圧縮バネ
41:超音波発振回路
42:制御回路
43:電源回路
44:電源スイッチ
45:第一操作スイッチ
46:第二操作スイッチ
47:表示灯
48:表示灯
49:表示灯
50:ボリューム
51:ボリューム
52:キャップ
52a :傾斜段部
53:圧縮バネ
54:弁
55:補助タンク
56:パッキン
100:霧発生部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
霧化させる対象の液体を貯留するタンクと、
超音波振動子に一体的に結合されたホーンの先端部に前記タンクの液体を供給する液体供給手段と、
前記超音波振動子で前記ホーンの先端部を振動させて、前記液体に超音波振動を付加することで霧化する超音波発振手段と、
霧化しても気化しなかった液体を集めて回収する液体回収手段とを備えた霧発生装置。
【請求項2】
請求項1において、前記超音波振動子に一体的に結合されたホーンの先端面および前記ホーンの軸線を傾斜して配置した霧発生装置。
【請求項3】
請求項2において、前記ホーンには当該ホーンの軸線方向に延びる縦孔と、前記ホーンの外側面から前記縦孔に連なる横孔とが形成され、前記液体が前記横孔から前記縦孔を通って前記ホーンの先端部に導かれるように、前記ホーンに液体流路を形成した霧発生装置。
【請求項4】
請求項3において、前記液体供給手段による液体の供給経路には前記供給する液体から微生物を濾過する第1濾過手段が設けられ、
前記液体回収手段による液体の回収経路には前記回収した液体から微生物を濾過する第2濾過手段が設けられている霧発生装置。
【請求項5】
請求項4において、前記液体供給手段による前記液体の単位時間当たりの流量が前記液体回収手段による液体の単位時間当たりの回収能力よりも小さくなるように設定する流量制御手段を備えた霧発生装置。
【請求項6】
請求項2において、前記液体供給手段は、
前記ホーンの先端面に前記液体を滴下ないし流下する液体落下手段を備えた霧発生装置。
【請求項7】
請求項6において、前記液体供給手段による液体の供給経路には前記供給する液体から微生物を濾過する第1濾過手段が設けられ、
前記液体回収手段による液体の回収経路には前記回収した液体から微生物を濾過する第2濾過手段が設けられている霧発生装置。
【請求項8】
請求項7において、前記液体供給手段による前記液体の単位時間当たりの流量が前記液体回収手段による液体の単位時間当たりの回収能力よりも小さくなるように設定する流量制御手段を備えた霧発生装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−220636(P2011−220636A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91895(P2010−91895)
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【出願人】(593183551)名村電機工業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】