説明

露光ヘッド及びその製造方法、カートリッジ、並びに画像形成装置

【課題】光量が増加した露光ヘッドを提供すること。
【解決手段】発光部60と、発光部60からの発光を光入射面70Aから入射すると共に光出射面70Bから出射して予め定めされた位置に結像させる結像部70と、発光部60と結像部70との間に、発光部60と一体的に且つ結像部70と接して設けられる透明な基板であって、発光部60と結像部70の光入射面70Aとの光学距離が結像部70の作動距離となる厚みを持つ透明な基板(例えば発光部を構成する発光素子60Aが実装(形成)される実装基板61)と、を備える露光ヘッド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光ヘッド及びその製造方法、カートリッジ、並びに画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子写真装置等の露光装置において、発光素子を光源とする露光ヘッドが検討されている。
例えば、特許文献1には、「複数の発光素子を実装した基板と、該基板を配設したベースと、該ベースに固定されたカバーと、前記発光素子に対向した位置で、前記カバーに固定されたレンズアレイとを有するLEDプリントヘッドにおいて、ベースは、多角形の金属棒と、前記基板とを樹脂により一体的に成形したものであり、前記金属棒のいずれかの稜線が、前記基板の裏面と対向していることを特徴とするLEDプリントヘッド」が開示されている。
また、特許文献2には、セルフォクスレンズと呼ばれるレンズアレイ屈折率分布型レンズを介して露光を行う露光ヘッドが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−289843号公報
【特許文献2】特開平11−1018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、結像部の光入射面と発光部との間に空気層が介在する場合に比べ、光量が増加した露光ヘッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
発光部と、
前記発光部からの発光を光入射面から入射すると共に光出射面から出射して予め定めされた位置に結像させる結像部と、
前記発光部と前記結像部との間に、前記発光部と一体的に且つ前記結像部と接して設けられる透明な基板であって、前記発光部と前記結像部の光入射面との光学距離が前記結像部の作動距離となる厚みを持つ透明な基板と、
を備える露光ヘッド。
【0006】
請求項2に係る発明は、
発光部と、
前記発光部からの発光を光入射面から入射すると共に光出射面から出射して予め定めされた位置に結像させる結像部と、
前記発光部と前記結像部との間に、前記発光部と一体的に設けられる透明な基板と、
前記基板と前記結像部との間に、前記基板及び前記結像部と互いに接して設けられる透明な層であって、前記基板の厚みとの合計で、前記発光部と前記結像部の光入射面との光学距離が前記結像部の作動距離となる厚みを持つ透明な層と、
を備える露光ヘッド。
【0007】
請求項3に係る発明は、
発光部と、
前記発光部からの発光を光入射面から入射すると共に光出射面から出射して予め定めされた位置に結像させる結像部と、
前記発光部と前記結像部との間に、前記発光部及び前記結像部と互いに接して設けられる透明な層であって、前記発光部と前記結像部の光入射面との光学距離が前記結像部の作動距離となる厚みを持つ透明な層と、
を備える露光ヘッド。
【0008】
請求項4に係る発明は、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の露光ヘッドを備え、
を備える画像形成装置に着脱するカートリッジ。
【0009】
請求項5に係る発明は、
潜像を保持する潜像保持体と、
前記潜像保持体に光を照射して潜像を形成する露光ヘッドであって、請求項1〜3のいずれか1項に記載の露光ヘッドと、
前記露光ヘッドによって形成された潜像を現像する現像装置と、
を備える画像形成装置。
【0010】
請求項6に係る発明は、
発光部が一体的に設けられた透明な基板を準備する工程と、
前記発光部からの発光を光入射面から入射すると共に光出射面から出射して予め定めされた位置に結像させる結像部を準備する工程と、
前記基板が前記発光部と前記結像部との間に介在するように、前記結像部を前記基板に対向させた状態で、透明な硬化性樹脂を前記結像部の光入射面と前記基板との間に充填する工程と、
前記発光部と前記結像部の光入射面との距離を前記結像部の作動距離となるように調整した後、前記硬化性樹脂を硬化し、透明な層を形成する工程と、
を有する露光ヘッドの製造方法。
【0011】
請求項7に係る発明は、
発光部を準備する工程と、
前記発光部からの発光を光入射面から入射すると共に光出射面から出射して予め定めされた位置に結像させる結像部を準備する工程と、
前記結像部を前記発光部とを対向させた状態で、透明な硬化性樹脂を前記結像部と前記発光部との間に充填する工程と、
前記発光部と前記結像部の光入射面との距離を前記結像部の作動距離となるように調整した後、前記硬化性樹脂を硬化し、透明な層を形成する工程と、
を有する露光ヘッドの製造方法。
【発明の効果】
【0012】
請求項1、2、3に係る発明によれば、結像部の光入射面と発光部との間に空気層が介在する場合に比べ、光量が増加した露光ヘッドを提供することができる。
請求項4、5に係る発明によれば、結像部の光入射面と発光部との間に空気層が介在する露光ヘッドを適用した場合に比べ、出力の高速化が図れるカートリッジ、及び画像形成装置を提供することができる。
請求項6、7に係る発明によれば、予め基板に透明な層を形成した状態で結像部を設ける場合に比べ、簡易に結像部の作動距離が精度良く調整された露光ヘッドが得られる露光ヘッドの製造方法を提供することができる。


【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【図2】第1実施形態に係る露光ヘッドの構成を示す概略斜視図である。
【図3】図2のA−A概略断面図である。
【図4】露光ヘッドからの発光が感光体に結像される状態を模式的に示した模式図である。
【図5】他の第1実施形態に係る露光ヘッドの構成を示す概略断面図である。
【図6】第2実施形態に係る露光ヘッドの構成を示す概略斜視図である。
【図7】図6のB−B概略断面図である
【図8】第2実施形態に係る露光ヘッドの製造方法を示す工程図である。
【図9】他の第2実施形態に係る露光ヘッドの構成を示す概略断面図である。
【図10】第3実施形態に係る露光ヘッドの構成を示す概略斜視図である。
【図11】図10のBC−C概略断面図である
【図12】第3実施形態に係る露光ヘッドの製造方法を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【0016】
第1実施形態に係る画像形成装置10は、図1に示すように、各構成部品を収容する装置筐体11と、用紙等の記録媒体Pが収容される記録媒体収容部12と、記録媒体Pにトナー画像を形成する画像形成部14と、記録媒体収容部12から画像形成部14へ記録媒体Pを搬送する搬送部16と、画像形成部14によって形成されたトナー画像を記録媒体Pに定着させる定着装置18と、定着装置18によってトナー画像が定着された記録媒体Pが排出される記録媒体排出部(図示省略)と、を備えている。
【0017】
記録媒体収容部12、画像形成部14、搬送部16及び定着装置18は、装置筐体11に収容されている。
【0018】
画像形成部14は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色のトナー画像を形成する画像形成ユニット22C、22M、22Y、22Kと、画像形成ユニット22C、22M、22Y、22Kで形成されたトナー画像が転写される中間転写体の一例としての中間転写ベルト24と、画像形成ユニット22C、22M、22Y、22Kで形成されたトナー画像を中間転写ベルト24に転写する一次転写部材の一例としての一次転写ロール26と、中間転写ベルト24に転写されたトナー画像を記録媒体Pに転写する二次転写部材の一例としての二次転写ロール28と、を備えている。
【0019】
画像形成ユニット22C、22M、22Y、22Kは、潜像を保持する像保持体の一例として、一方向(図1において時計回り方向)へ回転する感光体30をそれぞれ有している。
【0020】
各感光体30の周囲には、感光体30の回転方向上流側から順に、感光体30の表面を帯電させる帯電装置32と、帯電した感光体30の表面を露光して感光体30の表面に静電潜像を形成する露光装置としての露光ヘッド34と、感光体30の表面に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成する現像装置36と、トナー画像が中間転写ベルト24に転写された後の感光体30の表面に残留しているトナーを除去する除去装置40と、が設けられている。
【0021】
感光体30、帯電装置32、露光ヘッド34、現像装置36及び除去装置40は、画像形成ユニット22C、22M、22Y、22Kに収容されてユニット化されている。画像形成ユニット22C、22M、22Y、22Kは、装置筐体11に着脱可能に設けられたプロセスカートリッジとされており、交換可能となっている。
【0022】
なお、感光体30、帯電装置32、露光ヘッド34、現像装置36及び除去装置40の全てがユニット化される必要は無い。例えば、露光ヘッド34を少なくとも備え、これと、その他、例えば感光体30、帯電装置32及び現像装置36の少なくとも1つと、画像形成ユニット22C、22M、22Y、22Kに収容されてユニット化されていればよい。
【0023】
中間転写ベルト24は、二次転写ロール28に対向する対向ロール42、駆動ロール44及び支持ロール46によって支持され、感光体30と接触しながら一方向(図1において反時計回り方向)へ循環移動するようになっている。
【0024】
一次転写ロール26は、中間転写ベルト24を挟んで、感光体30に対向している。一次転写ロール26と感光体30との間には、感光体30上のトナー画像が中間転写ベルト24に一次転写される一次転写位置が形成される。この一次転写位置において、一次転写ロール26が感光体30の表面のトナー画像を圧接力と静電力により中間転写ベルト24に転写するようになっている。
【0025】
二次転写ロール28は、中間転写ベルト24を挟んで対向ロール42と対向している。二次転写ロール28と対向ロール42との間には、中間転写ベルト24上のトナー画像が記録媒体Pに二次転写される二次転写位置が形成される。この二次転写位置において、二次転写ロール28が中間転写ベルト24の表面のトナー画像を圧接力と静電力により記録媒体Pに転写するようになっている。
【0026】
搬送部16は、記録媒体収容部12に収容された記録媒体Pを送り出す送出ロール50と、送出ロール50によって送り出された記録媒体Pを二次転写位置へ搬送する搬送ロール対52と、を備えている。
【0027】
定着装置18は、二次転写位置より搬送方向下流側に配置されており、二次転写位置で転写されたトナー画像を記録媒体Pへ定着させる。
【0028】
二次転写位置より搬送方向下流側であって、定着装置18よりも搬送方向上流側には、定着装置18に記録媒体Pを搬送する搬送部材の一例としての搬送ベルト54が配置されている。
【0029】
以上の構成により、本実施形態に係る画像形成装置10では、まず記録媒体収容部12から送り出された記録媒体Pが、搬送ロール対52によって二次転写位置へ送り込まれる。
【0030】
一方、中間転写ベルト24には、画像形成ユニット22C、22M、22Y、22Kで形成された各色のトナー画像が重ねられて、カラー画像が形成される。二次転写位置へ送り込まれた記録媒体Pは、中間転写ベルト24上に形成されたカラー画像が転写される。
【0031】
トナー画像が転写された記録媒体Pは、定着装置18へ搬送され、転写されたトナー画像が定着装置18により定着される。トナー画像が定着された記録媒体Pは、記録媒体排出部(図示省略)へ排出される。以上のように、一連の画像形成動作が行われる。
【0032】
なお、画像形成装置の構成としては、上記の構成に限られず、例えば、中間転写体を有さない直接転写型の画像形成装置でもよく、種々の構成とすることが可能である。
【0033】
次に、露光ヘッド34について説明する。
図2は、第1実施形態に係る露光ヘッドを示す斜視図である。図3は、図2のA−A概略断面図である。
【0034】
各露光ヘッド34は、図2及び図3に示すように、例えば、発光素子アレイ65と、結像部70と、を備えている。発光素子アレイ65は、例えば、発光素子60Aで構成される発光部60と発光素子60Aが実装される実装基板61(透明な基板の一例)と、を備える。
そして、結像部70では、発光部60からの発光を光入射面70Aから入射すると共に光出射面70Bから出射して予め定めされた位置に結像させる、つまり、発光素子60Aからの発光を感光体30に結像することによって、感光体30が露光されて潜像が形成される(図4参照)。
【0035】
なお、発光素子アレイ65は、発光部60(発光素子60A)から照射される光を実装基板61側から取り出す、所謂、ボトムエミッション方式となっている。このため、実装基板61は、例えば、光透過率50%以上(望ましくは80%)の透明な基板で構成されている。
【0036】
発光素子アレイ65を構成する実装基板61には、主走査方向Xに長くされた長尺状であって、厚み方向に対向する第1面61A及び第2面61Bを持つ部材である。
【0037】
実装基板61は、発光部60と結像部70との間に設けられている。そして、実装基板61は、発光部60と一体的に設けられている(発光素子アレイを構成して発光部60と共に設けられている)。また、実装基板61は、結像部70と接して設けられている。
【0038】
具体的には、実装基板61の第1面61Aには、発光部60(発光素子60A)が設けられている。つまり、実装基板61の第1面61Aは発光素子60Aやその他配線・回路(不図示)を形成する形成面となっており、実装基板61と発光部60(発光素子60A)とは一体的に設けられている。
【0039】
一方、実装基板61の第2面61Bには、結像部70が設けられている。結像部70は、その光入射面70Aを実装基板61の第2面61Bに接して設けられている。結像部70の光入射面70Aと発光部60との間には、空気層が介在することなく、実装基板61が介在した状態となっている。
なお、結像部70の光入射面70Aが実装基板61(その第2面61B)に接して設けられるとは、接着剤等により接着されて設けられることも意味する。
【0040】
実装基板61の厚みは、発光部60(発光素子60A)と結像部70の光入射面70Aとの光学距離が結像部70の作動距離となる厚みとなっている。言い換えれば、実装基板61の厚みにより、発光部60と結像部70の光入射面70Aとの光学距離を結像部70の作動距離に調整している。具体的には、実装基板61の厚みは、結像部70の作動距離から、実装基板61以外に発光部60(発光素子60A)と結像部70の光入射面70Aと介在する層[実装基板と発光部60(厳密には発光点)との間に介在する層:発光層以外の機能層(例えば電極等)や、結像部70を設けるための接着層等]の厚みを差し引いた厚みに調整されている。
つまり、発光部60と結像部70の光入射面70Aとの光学距離が、空気層を介在せずに、実装基板61により結像部70の作動距離に保たれた状態となっている。
なお、この結像部70の作動距離となる厚みとは、発光部60と結像部70の光入射面70Aとが対向した領域における厚みを意味する。
ここで、結像部70の作動距離とは、結像部に用いるレンズの焦点から結像部の入射面までの距離である。
【0041】
実装基板61としては、透明な基板で構成されるが、具体的には、例えば、絶縁性基板であって、ガラス基板や樹脂基板(例えば、ポリエチレンテレフタレート基板(PET基板)、ポリエチレンナフタレート基板(PEN基板)等で構成される。
【0042】
発光部60は、例えば、単一の発光素子60Aの群で構成されている。発光素子60Aは、図示しないが、実装基板61の長手方向に沿って線状に並列配置して、発光部60を構成している。発光素子60Aの群で構成された発光部60は、感光体30の画像形成領域以上の長さとしている。
【0043】
発光素子60Aとしては、有機電界発光素子が好適に挙げられる。
有機電界発光素子の構成としては、図示しないが、例えば、陽極及び陰極と、陽極及び陰極の間に発光層と、を有する周知の構成が適用され、必要に応じて、電荷輸送層や、電荷注入層等の各機能層を有していてもよい。
なお、発光層を構成する発光材料としては、例えば、キレート型有機金属錯体、多核又は縮合芳香環化合物、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、スチリルアリーレン誘導体、シロール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサチアゾール誘導体、又はオキサジアゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、又はポリアセチレン誘導体等が挙げられる。
【0044】
発光部60は、有機電界発光素子以外にも、LED(Light Emitting Diode)素子等の他の発光素子により構成されていてもよい。
【0045】
結像部70は、例えば、ロッドレンズ71が複数配列されたレンズアレイで構成されている。レンズアレイとして具体的には、例えば、セルフォックレンズアレイ(SLA:セルフォックは、日本板硝子(株)の登録商標)と呼ばれる屈折率分散型レンズアレイを適用することがよい。
【0046】
次に、本実施形態に係る露光ヘッド34の製造方法について説明する。
本実施形態に係る露光ヘッド34は、例えば、発光素子アレイ65と、結像部70と、を準備した後、結像部70を実装基板61の第2面61Bに突き当てて実装することで、得られる。この結像部70の実装は、具体的には、例えば、実装基板61の第2面61Bに突き当てた状態で、周囲を接着剤等で接着して保持したり、接触面を直接接着剤により接着したりして行う。
【0047】
以上説明した本実施形態に係る露光ヘッド34では、発光部60と結像部70の光入射面70Aとの光学距離が結像部70の作動距離となるように調整された厚みを持つ透明な基板として実装基板61が、空気層を介在することなく、結像部70と発光部60との間に設けられている。
このため、発光部60からの光は、空気層を介在することなく、実装基板61を透過し、結像部70の光入射面70Aに入射する。そして、発光部60からの光は、実装基板61と空気層との屈折率差、及び空気層と結像部70との屈折率差に起因して生じる反射による光量損失が低減され、光利用効率が向上すると考えられる。その結果、本実施形態に係る露光ヘッド34では、光量が増加する。
これは、特に、結像部70として、セルフォックレンズアレイ(SLA)を適用した場合、このSLAが他のレンズに比べ光量損失が大きく光利用効率が低い特性を持つことから有効である。
【0048】
また、本実施形態に係る露光ヘッド34では、発光部60と結像部70の光入射面70Aとの光学距離が実装基板61により結像部70の作動距離に保たれた状態となっていため、結像部70を実装する際に、実装基板61を実装時の案内部材として利用することで(つまり例えば結像部70を実装基板61に突き当てて実装することで)、高い実装精度を必要とせず、実装の手間が低減され、実装工程での低コスト化も実現される。
そして、露光ヘッド34自体を実装する際にも、結像部70の作動距離が変動し難いので、その実装の手間が低減され、実装工程での低コスト化も実現される。
これは、特に、結像部70として、セルフォックレンズアレイ(SLA)を適用した場合、このSLAは焦点深度が浅く、高い実装精度が要求されることから有効である。
【0049】
なお、本実施形態では、発光素子アレイ65として、発光部60(発光素子60A)から照射される光を実装基板61側から取り出す、所謂、ボトムエミッション方式を採用した形態を説明したが、発光部60(発光素子60A)から照射される光を封止基板62側から取り出す、所謂、トップエミッション方式を採用した形態であってもよい。
本形態の場合、図5に示すように、実装基板61に代えて、封止基板62を、発光部60と結像部70の光入射面70Aとの光学距離が結像部70の作動距離となるように調整された厚みを持つ透明な基板として、結像部70と発光部60との間に設ける。
ここで、封止基板62は、実装基板61に形成された発光部60(発光素子60A)を封止して保護するための基板であり、具体的には、例えば、実装基板61と共に発光部60を挟み込んで周囲を接着剤(絶縁材)等により封止して設けられている。つまり、封止基板62と発光部60(発光素子60A)とは一体的に設けられている。
封止基板62は、直接発光部60と接して設けられていてもよいし、発光部60に対して絶縁層等を介して設けられていてもよい。
封止基板62として具体的には、例えば、実装基板61と同様な透明な基板等で構成される。
【0050】
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態に係る露光ヘッドを示す斜視図である。図7は、図6のB−B断面図である。
【0051】
第2実施形態に係る露光ヘッド34は、図6及び図7に示すように、発光素子アレイ65構成する実装基板61と結像部70との間に、光学距離調整層63(透明な層の一例)を備えている。
【0052】
実装基板61の第1面61Aには、発光部60が設けられている。一方、実装基板61の第2面61Bには、光学距離調整層63が直接設けられている。
そして、光学距離調整層63は、結像部70(その光入射面70A)と実装基板61(その第2面61B)との間に互いに接して設けられている。具体的には、例えば、光学距離調整層63は、実装基板61の第2面に直接積層して設けられる一方で、結像部70の光入射面70A側の端部を埋め込んで設けられている。無論、結像部70は、光学距離調整層63に埋め込まれていなくてもよい。
つまり、結像部70と発光部60との間には、空気層が介在することなく、実装基板61及び光学距離調整層63が介在した状態となっている。
なお、光学距離調整層63が結像部70(その光入射面70A)や実装基板61(その第2面61B)に接して設けられるとは、接着剤等により設けられることも意味する。
【0053】
光学距離調整層63の厚みは、実装基板61の厚みとの合計で、発光部60(発光素子60A)と結像部70の光入射面70Aとの光学距離が結像部70の作動距離となる厚みとなっている。言い換えれば、結像部70の作動距離よりも実装基板61の厚みが薄い場合、光学距離調整層63の厚みにより、発光部60と結像部70の光入射面70Aとの光学距離を結像部70の作動距離に調整している。具体的には、光学距離調整層63の厚みは、結像部70の作動距離から、光学距離調整層63以外に発光部60(発光素子60A)と結像部70の光入射面70Aと介在する層[実装基板61や、実装基板と発光部60(厳密には発光点)との間に介在する層:発光層以外の機能層(例えば電極等)、結像部70を設けるための接着層等]の厚みを差し引いた厚みに調整されている。
つまり、発光部60と結像部70の光入射面70Aとの光学距離が、空気層を介在せずに、光学距離調整層63及び実装基板61により結像部70の作動距離に保たれた状態となっている。
なお、この結像部70の作動距離となる厚みとは、発光部60と結像部70の光入射面70Aとが対向した領域における厚みを意味する。
【0054】
光学距離調整層63は、光透過率50%以上(望ましくは80%以上)の透明な層で構成される。例えば、光学距離調整層63は、例えば、ガラスや、樹脂(例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、その他光又は熱硬化性樹脂等)で構成されるが、特に、光又は熱硬化性樹脂(例えばエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂等)で構成されることがよい。
【0055】
光学距離調整層63は、実装基板61との屈折率が同じ又は近いことがよく、例えば、実装基板61の屈折率差が±0.1以下(望ましくは±0.05以下)となるようにすることがよい。これは、反射による光量損失は界面の屈折率差によって起きるためである。
【0056】
光学距離調整層63は、一層に限られず、2層以上の複数設けてもよい。この場合には、隣接する各光学距離調整層63同士の屈折率も上記如く同じ又は近いことがよい。
【0057】
次に、第2実施形態に係る露光ヘッド34の製造方法について説明する。
図8は、第2実施形態に係る露光ヘッドの製造方法を示す工程図である。
【0058】
まず、図8(A)に示すように、発光素子アレイ65を準備する。つまり、発光部60(発光素子60A)が配置(形成)された実装基板61を準備すると共に、結像部70を準備する。
そして、例えば、撮像装置81(例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラ等)により撮像し、結像部70を観察しながら、結像部70(その光入射面70A)を、発光素子アレイ65の実装基板61(その第2面61B)と間隔を持って対向させる。つまり、実装基板61が発光部60(発光素子60A)と結像部70との間に介在するように、結像部70を実装基板61に対向させた状態とする。
この際、実装基板61の第2面61B側上方(実装基板61の第2面と結像部70の光入社面との間の領域)を実装基板61の側面側から取り囲む枠体80により、実装基板61を保持する。この枠体80の高さは、想定される結像部70の作動距離よりも高くなるように設ける。
【0059】
次に、図8(B)に示すように、結像部70(その光入射面70A)を実装基板61(その第2面61B)に対向させた状態で、透明な硬化性樹脂63A(液状の硬化性樹脂)を実装基板61と枠体80とで囲まれる領域に流し入れる。つまり、透明な硬化性樹脂63A(液状の硬化性樹脂)を結像部70(その光入射面70A)と実装基板61(その第2面61B)との間に充填する。
なお、硬化性樹脂63Aを流し入れる際、気泡が発生しないように行うことがよい。
【0060】
そして、発光部60と結像部70(その光入射面70A)との距離を結像部70の作動距離となるように調整する。
具体的には、例えば、撮像装置81により撮像し、その結像部70を通じた結像(結像面)を観察しながら、結像部70を移動させ、発光部60と結像部70(その光入射面70A)との距離が結像部70の作動距離となるように位置決めする。
【0061】
次に、図8(C)に示すように、発光部60と結像部70(その光入射面70A)との距離を結像部70の作動距離となるように調整した後、つまり、結像部70を位置決めした状態で、硬化性樹脂63Aを硬化させ、光学距離調整層63を形成する。この硬化性樹脂63Aの硬化は、当該樹脂種に応じて熱処理や光処理により行う。
【0062】
ここで、硬化性樹脂63Aの硬化の際に行う熱処理や光処理による発光素子アレイ65(発光素子60A)への損傷を考慮することがよい。具体的には、例えば、熱処理であれば130℃以下(望ましくは100℃以下)で、光処理であれば200mJ/cm以下(望ましくは150mJ/cm以下)で、硬化性樹脂63Aの硬化を行うことがよい。
また、硬化性樹脂63Aの硬化処理によって光学距離調整層63の屈折率変化することを考慮することがよい。光学距離調整層63に屈折率変化があると、結像部70の結像位置が移動して実装精度が悪化することがあるためである。具体的には、例えば、硬化処理時における光学距離調整層63の屈折率変化による結像位置の移動量に応じて、硬化性樹脂の硬化前において、結像部70の位置決めを差し引きして行うことがよい。また、屈折率は硬化性樹脂の硬化度合いによって従量的に変化するため、実装精度が最もよいと思われる段階で、硬化性樹脂63Aの硬化処理を止めることも有効である。
【0063】
上記工程を経て、結像部70の光入射面70A側の端部が光学距離調整層63に埋め込まれた露光ヘッド34が得られる。また、上記工程を経ることで、簡易に結像部70の作動距離が精度良く調整された露光ヘッド34が得られる。つまり、結像部70の実装位置ズレが抑制され、正確に実装された露光ヘッド34が得られる。
なお、本実施形態に係る露光ヘッド34は、予め形成された光学距離調整層63に結像部70を突き当てた状態で周囲を接着剤等で接着して保持したり、接触面を直接接着剤により接着したりして実装して、得てもよい。
【0064】
上記以外の構成は、第1実施形態と同様なので説明を省略する。
【0065】
以上説明した本実施形態に係る露光ヘッド34では、発光部60と結像部70の光入射面70Aとの光学距離が結像部70の作動距離となるように調整された厚みを持つ、透明な基板としての実装基板61及び透明な層としての光学距離調整層63が、空気層を介在することなく、結像部70と発光部60との間に設けられている。
このため、発光部60からの光は、空気層を介在することなく、実装基板61及び光学距離調整層63を透過し、結像部70の光入射面70Aに入射する。
このため、第1実施形態と同様に、本実施形態に係る露光ヘッド34でも、光量が増加する。
特に、本実施形態に係る露光ヘッド34では、発光素子アレイ65を構成する透明な基板(実装基板61や封止基板62)が結像部70の作動距離よりも薄い場合であっても、光量の増加が図れる。
【0066】
なお、本実施形態では、発光素子アレイ65として、発光部60(発光素子60A)から照射される光を実装基板61側から取り出す、所謂、ボトムエミッション方式を採用した形態を説明したが、発光部60(発光素子60A)から照射される光を封止基板62側から取り出す、所謂、トップエミッション方式を採用した形態であってもよい。
本形態の場合、図9に示すように、実装基板61に代えて、封止基板62を、発光部60と結像部70の光入射面70Aとの光学距離が結像部70の作動距離となるように調整された厚みを持つ透明な基板として、結像部70と発光部60との間に設ける。加えて、光学距離調整層63を透明な層として、封止基板62と結像部70との間に設ける。なお、封止基板62について第1実施形態と同様である。
【0067】
(第3実施形態)
図10は、第3実施形態に係る露光ヘッドを示す斜視図である。図11は、図10のC−C断面図である。
【0068】
第3実施形態に係る露光ヘッド34は、図10及び図11に示すように、発光部60(発光素子60A)から照射される光を実装基板61とは反対側から取り出す、所謂、トップエミッション方式の発光素子アレイ65を適用した形態である。
そして、露光ヘッド34は、発光素子アレイ65を構成する発光部60(発光素子60A)と結像部70との間に、光学距離調整層63(透明な層の一例)を備えている。つまり、光学距離調整層63は、発光部60(発光素子60A)を保護する保護層を兼ねた層である。
【0069】
実装基板61の第1面61Aには、発光部60が設けられると共に、発光部60を覆うように光学距離調整層63が設けられている。
そして、光学距離調整層63は、結像部70(その光入射面70A)と発光部60との間に互いに接して設けられている。
具体的には、例えば、光学距離調整層63は、実装基板61の第1面に直接積層して発光部60を覆うように設けられる一方で、結像部70の光入射面70A側の端部を埋め込んで設けられている。無論、結像部70は、光学距離調整層63に埋め込まれていなくてもよい。
つまり、結像部70と発光部60との間には、空気層が介在することなく、光学距離調整層63が介在した状態となっている。
なお、光学距離調整層63が結像部70(その光入射面70A)や発光部60に接して設けられるとは、接着剤等により設けられることも意味する。
【0070】
光学距離調整層63の厚みは、発光部60(発光素子60A)と結像部70の光入射面70Aとの光学距離が結像部70の作動距離となる厚みとなっている。言い換えれば、光学距離調整層63の厚みにより、発光部60と結像部70の光入射面70Aとの光学距離を結像部70の作動距離に調整している。具体的には、光学距離調整層63の厚みは、結像部70の作動距離から、光学距離調整層63以外に発光部60(発光素子60A)と結像部70の光入射面70Aと介在する層[光学距離調整層63と発光部60(厳密には発光点)との間に介在する層:発光層以外の機能層(例えば電極等)、結像部70を設けるための接着層等]の厚みを差し引いた厚みに調整されている。
つまり、発光部60と結像部70の光入射面70Aとの光学距離が、空気層を介在せずに、光学距離調整層63により結像部70の作動距離に保たれた状態となっている。
なお、この結像部70の作動距離となる厚みとは、発光部60と結像部70の光入射面70Aとが対向した領域における厚みを意味する。
【0071】
次に、第2実施形態に係る露光ヘッド34の製造方法について説明する。
図12は、第2実施形態に係る露光ヘッドの製造方法を示す工程図である。
【0072】
まず、図12(A)に示すように、発光素子アレイ65を準備する(つまり、発光部60(発光素子60A)を準備すると共に、結像部70を準備する。
そして、例えば、撮像装置81(例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラ等)により撮像し、結像部70を観察しながら、結像部70(その光入射面70A)を、発光素子アレイ65の発光部60と間隔を持って対向させる。具体的には、発光部60が介在するように、結像部70を実装基板61(その第1面61A)に対向させた状態とする。
この際、実装基板61の第1面61A側上方(実装基板61の第1面61A、つまり発光部60と結像部70の光入射面70Aとの間の領域)を実装基板61の側面側から取り囲む枠体80により、実装基板61を保持する。
【0073】
次に、図12(B)に示すように、結像部70(その光入射面70A)を発光部60(実装基板61の第1面61A)に対向させた状態で、透明な硬化性樹脂63A(液状の硬化性樹脂)を実装基板61(その第1面61A)と枠体80とで囲まれる領域に流し入れる。つまり、透明な硬化性樹脂63A(液状の硬化性樹脂)を結像部70(その光入射面70A)と発光部60との間に充填する。
【0074】
そして、発光部60と結像部70(その光入射面70A)との距離を結像部70の作動距離となるように調整する。
具体的には、例えば、撮像装置81により撮像し、その結像部70を通じた結像(結像面)を観察しながら、結像部70を移動させ、発光部60と結像部70(その光入射面70A)との距離が結像部70の作動距離となるように位置決めする。
【0075】
次に、図12(C)に示すように、発光部60と結像部70(その光入射面70A)との距離を結像部70の作動距離となるように調整した後、つまり、結像部70を位置決めした状態で、硬化性樹脂63Aを硬化させ、光学距離調整層63を形成する。
【0076】
上記工程を経て、結像部70の光入射面70A側の端部が光学距離調整層63に埋め込まれた露光ヘッド34が得られる。また、上記工程を経ることで、簡易に結像部70の作動距離が精度良く調整された露光ヘッド34が得られる。
【0077】
上記以外の構成は、第1及び第2実施形態と同様なので説明を省略する。
【0078】
以上説明した本実施形態に係る露光ヘッド34では、発光部60と結像部70の光入射面70Aとの光学距離が結像部70の作動距離となるように調整された厚みを持つ透明な層としての光学距離調整層63が、空気層を介在することなく、結像部70と発光部60との間に設けられている。
このため、発光部60からの光は、空気層を介在することなく、光学距離調整層63を透過し、結像部70の光入射面70Aに入射する。
このため、第1実施形態と同様に、本実施形態に係る露光ヘッド34でも、光量が増加する。
特に、本実施形態に係る露光ヘッド34では、発光素子アレイ65を構成する透明な基板(実装基板61や封止基板62)を介在させなくとも、光量の増加が図れる。
【実施例】
【0079】
以下、実施例によって本発明を説明する。なお、本発明はこれらの実施例によってのみ限定されるものではない。
【0080】
(実施例1)
実装基板として、長さ50mm×幅10mmのITO電極付きガラス基板を準備した。このガラス基板は、予め、セルフォックレンズアレイ(結像部:以下、SLA)を直接設けたときに、有機電界発光素子(発光部)とSLAの光入射面との光学距離が結像部の作動距離となるように厚み(ITO電極を除く厚み)を調整した。
このITO電極付きガラス基板に、その長手方向に沿って、発光部として発光面積400μmの有機電界発光素子を一直線に1024個並置して形成した。但し、各有機電界発光素子は、ボトムエミッション型となるように形成した。
これにより、発光素子アレイを作製した(ボトムエミッション型OLED[Organic light−emitting diode]プリントヘッドモジュール)。
【0081】
作製した発光素子アレイのガラス基板(実装基板)に、直接接するようにSLAを実装した。
これにより露光ヘッドを作製した(図2及び図3参照)
【0082】
(実施例2)
実装基板として、長さ50mm×幅10mm、厚さ(ITO電極を除く厚み)0.7μmのITO電極付きガラス基板を準備した。
このITO電極付きガラス基板に、その長手方向に沿って、発光部として発光面積400μmの有機電界発光素子を一直線に1024個並置して形成した。但し、各有機電界発光素子は、ボトムエミッション型となるように形成した。
これにより、発光素子アレイを作製した(ボトムエミッション型OLEDプリントヘッドモジュール)。
【0083】
作製した発光素子アレイのガラス基板(実装基板)を枠体に嵌め込んだ状態で、作製した発光素子アレイのガラス基板(実装基板)と間隙を持って対向するように、市販のCMOSカメラで観察しながらSLAを配置した。そして、発光素子アレイのガラス基板(実装基板)とSLAとの間に、紫外線硬化性樹脂(PDMS:ポリジメチルシロキサン)流し込んで充填した。
【0084】
次に、CMOSカメラでSLAを通した結像(結像面)を観察しながら、有機電界発光素子(発光部)とSLAの光入射面との光学距離が結像部の作動距離となるように、SLAを移動させ位置決めを行った(図8参照)。
SLAの位置決め後、その状態で、紫外線硬化性樹脂に紫外線照射を行って硬化させ、光学距離調整層を形成すると共に、SLAの光入射面側端部が光学距離調整層に埋め込むようにして、光学距離調整層にSLAを実装した。
これにより露光ヘッドを作製した(図6及び図7参照)
【0085】
(実施例3)
実装基板として、長さ50mm×幅10mm、厚さ(ITO電極を除く厚み)0.7μmのITO電極付きガラス基板を準備した。
このITO電極付きガラス基板に、その長手方向に沿って、発光部として発光面積400μmの有機電界発光素子を一直線に1024個並置して形成した。但し、各有機電界発光素子は、トップエミッション型となるように形成した。
【0086】
一方、封止基板として、長さ50mm×幅10mmのガラス基板を準備した。
このガラス基板は、予め、セルフォックレンズアレイ(結像部:以下、SLA)を直接設けたときに、有機電界発光素子(発光部)とSLAの光入射面との光学距離が結像部の作動距離となるように厚みを調整した。
この封止基板としてのガラス基板により、実装基板としてのガラス基板に形成された有機電界発光素子を封止した。
これにより、発光素子アレイを作製した(トップエミッション型OLED[Organic light−emitting diode]プリントヘッドモジュール)。
【0087】
作製した発光素子アレイの封止基板としてのガラス基板に、直接接するようにSLAを実装した。
これにより露光ヘッドを作製した(図5参照)。
【0088】
(実施例4)
実装基板として、長さ50mm×幅10mm、厚さ(ITO電極を除く厚み)0.7μmのITO電極付きガラス基板を準備した。
このITO電極付きガラス基板に、その長手方向に沿って、発光部として発光面積400μmの有機電界発光素子を一直線に1024個並置して形成した。但し、各有機電界発光素子は、トップエミッション型となるように形成した。
これにより、発光素子アレイを作製した(トップエミッション型OLEDプリントヘッドモジュール)。
【0089】
作製した発光素子アレイのガラス基板(実装基板)を枠体に嵌め込んだ状態で、作製した発光素子アレイの有機電界発光素子(発光部)と間隙を持って対向するように、市販のCMOSカメラで観察しながらSLAを配置した。そして、発光素子アレイの有機電界発光素子(発光部)とSLAとの間に(有機電界発光素子(発光部)が介在したガラス基板(実装基板)とSLAとの間に)、紫外線硬化性樹脂(PDMS:ポリジメチルシロキサン)流し込んで充填した。
【0090】
次に、CMOSカメラでSLAを通した結像(結像面)を観察しながら、有機電界発光素子(発光部)とSLAの光入射面との光学距離が結像部の作動距離となるように、SLAを移動させ位置決めを行った(図12参照)。
SLAの位置決め後、その状態で、紫外線硬化性樹脂に紫外線照射を行って硬化させ、光学距離調整層を形成すると共に、SLAの光入射面側端部が光学距離調整層に埋め込むようにして、光学距離調整層にSLAを実装した。
これにより露光ヘッドを作製した(図10及び図11参照)。
【0091】
(比較例1)
実装基板として、長さ50mm×幅10mm、厚さ(ITO電極を除く厚み)0.7μmのITO電極付きガラス基板を準備した。
このITO電極付きガラス基板に、その長手方向に沿って、発光部として発光面積400μmの有機電界発光素子を一直線に1024個並置して形成した。但し、各有機電界発光素子は、ボトムエミッション型となるように形成した。
これにより、発光素子アレイを作製した(ボトムエミッション型OLEDプリントヘッドモジュール)。
【0092】
作製した発光素子アレイのガラス基板(実施基板)側に、有機電界発光素子(発光部)とSLAの光入射面との光学距離が結像部の作動距離となるように、当該ガラス基板(実施基板)と離間して、SLA保持部材によりSLAを実装した。
これにより露光ヘッドを作製した。
【0093】
(比較例2)
実装基板として、長さ50mm×幅10mm、厚さ(ITO電極を除く厚み)0.7μmのITO電極付きガラス基板を準備した。
このITO電極付きガラス基板に、その長手方向に沿って、発光部として発光面積400mの有機電界発光素子を一直線に1024個並置して形成した。但し、各有機電界発光素子は、トップエミッション型となるように形成した。
これにより、発光素子アレイを作製した(トップエミッション型OLEDプリントヘッドモジュール)。
【0094】
作製した発光素子アレイの有機電界発光素子(発光部)側に、有機電界発光素子(発光部)とSLAの光入射面との光学距離が結像部の作動距離となるように、当該有機電界発光素子(発光部)と離間して、SLA保持部材によりSLAを実装した。
これにより露光ヘッドを作製した。
【0095】
(評価)
各例で作製した露光ヘッドについて、次の評価を行った。評価を表1に示す。
【0096】
−光量−
光量は次のように評価した。アドバンテスト TQ−8215を用いて結像面の光量を測定した。全1024bitの平均光量を測定結果とした。
【0097】
【表1】

【0098】
上記結果から、本実施例では、比較例に比べ、光量につき良好な結果が得られることがわかる。
【符号の説明】
【0099】
10 画像形成装置
11 装置筐体
12 記録媒体収容部
14 画像形成部
16 搬送部
18 定着装置
22k、22Y、22M、22C 画像形成ユニット
24 中間転写ベルト
26 一次転写ロール
28 二次転写ロール
30 感光体
32 帯電装置
34 露光ヘッド
36 現像装置
40 除去装置
42 対向ロール
44 駆動ロール
46 支持ロール
50 送出ロール
52 搬送ロール対
54 搬送ベルト
60 発光部
60A 発光素子
61 実装基板
61B 実装基板の第2面
61A 実装基板の第1面
62 封止基板
63 光学距離調整層
63A 硬化性樹脂
65 発光素子アレイ
70 結像部
70B 結像部の光出射面
70A 結像部の光入射面
71 ロッドレンズ
80 枠体
81 撮像装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部と、
前記発光部からの発光を光入射面から入射すると共に光出射面から出射して予め定めされた位置に結像させる結像部と、
前記発光部と前記結像部との間に、前記発光部と一体的に且つ前記結像部と接して設けられる透明な基板であって、前記発光部と前記結像部の光入射面との光学距離が前記結像部の作動距離となる厚みを持つ透明な基板と、
を備える露光ヘッド。
【請求項2】
発光部と、
前記発光部からの発光を光入射面から入射すると共に光出射面から出射して予め定めされた位置に結像させる結像部と、
前記発光部と前記結像部との間に、前記発光部と一体的に設けられる透明な基板と、
前記基板と前記結像部との間に、前記基板及び前記結像部と互いに接して設けられる透明な層であって、前記基板の厚みとの合計で、前記発光部と前記結像部の光入射面との光学距離が前記結像部の作動距離となる厚みを持つ透明な層と、
を備える露光ヘッド。
【請求項3】
発光部と、
前記発光部からの発光を光入射面から入射すると共に光出射面から出射して予め定めされた位置に結像させる結像部と、
前記発光部と前記結像部との間に、前記発光部及び前記結像部と互いに接して設けられる透明な層であって、前記発光部と前記結像部の光入射面との光学距離が前記結像部の作動距離となる厚みを持つ透明な層と、
を備える露光ヘッド。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の露光ヘッドを備え、
を備える画像形成装置に着脱するカートリッジ。
【請求項5】
潜像を保持する潜像保持体と、
前記潜像保持体に光を照射して潜像を形成する露光ヘッドであって、請求項1〜3のいずれか1項に記載の露光ヘッドと、
前記露光ヘッドによって形成された潜像を現像する現像装置と、
を備える画像形成装置。
【請求項6】
発光部が一体的に設けられた透明な基板を準備する工程と、
前記発光部からの発光を光入射面から入射すると共に光出射面から出射して予め定めされた位置に結像させる結像部を準備する工程と、
前記基板が前記発光部と前記結像部との間に介在するように、前記結像部を前記基板に対向させた状態で、透明な硬化性樹脂を前記結像部の光入射面と前記基板との間に充填する工程と、
前記発光部と前記結像部の光入射面との距離を前記結像部の作動距離となるように調整した後、前記硬化性樹脂を硬化し、透明な層を形成する工程と、
を有する露光ヘッドの製造方法。
【請求項7】
発光部を準備する工程と、
前記発光部からの発光を光入射面から入射すると共に光出射面から出射して予め定めされた位置に結像させる結像部を準備する工程と、
前記結像部を前記発光部とを対向させた状態で、透明な硬化性樹脂を前記結像部と前記発光部との間に充填する工程と、
前記発光部と前記結像部の光入射面との距離を前記結像部の作動距離となるように調整した後、前記硬化性樹脂を硬化し、透明な層を形成する工程と、
を有する露光ヘッドの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−213085(P2011−213085A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−86235(P2010−86235)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】