説明

露光装置及び画像形成装置

【課題】露光装置に対し垂直な方向に回折光を集光させると共に、発光素子から射出され且つホログラム素子で回折されずに被露光面に到達する不要光を低減することができる露光装置と、当該露光装置を用いた画像形成装置とを提供する。
【解決手段】発光点から基板の法線方向に光を射出する少なくとも1つの発光素子と、基板上に配置された記録層に発光素子の各々と組を成すように記録され、発光素子から射出された光を回折して、被露光面上で且つ発光点から前記法線方向に延びる直線上に在る集光点に収束させる少なくとも1つのホログラム素子と、複数の組の各々に対して設けられ、ホログラム素子で回折される光が光阻害部の外側を通過して集光点に収束するように、発光点と集光点とを結ぶ直線上に配置されて、ホログラム素子で回折されずに発光点から集光点に向かって直進する0次光の透過を阻害する少なくとも1つの光阻害部と、を備えた露光装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像を多数の微小な画素に分割し、一つもしくは複数の光源から各画素の濃度に対応した強度の光束を射出し、当該光束による輝点を、閾値以上の光量密度の光が照射されることにより、感光して表面電位変化や化学的変化等の潜像が形成される、又は感光して濃度変化を持つ画像が形成される画像記録媒体の上に走査して、各画素領域を順次感光させることにより画像を書込む光書込み装置において、前記光源と前記画像記録媒体との間であって光源側から順に、光束を集束させる光集束素子部と、光束が集束する位置に設けられた微小な光学的開口部と、該光学的開口部より射出した光束をおおむね平行な光束とするコリメータ部と、光束を複数の方向へ分解して放射すると共に複数の光束をおおむね同一の平面上に集束させるホログラム素子と、を配列された一つのユニットを、主走査方向に画素数と同数のアレイ状に配置したことを特徴とする光書込み装置が記載されている。
【0003】
特許文献2には、光源基板上に配列された複数の発光素子と、透過する光を回折させることにより当該光の光線束を収束させて像を結ぶ複数の回折正レンズを有する第1レンズアレイと、複数のレンズを有し、前記複数の発光素子の各々との間に前記第1レンズアレイを挟む第2レンズアレイとを備え、前記複数の回折正レンズの各々は、前記光源基板に垂直な方向において前記複数の発光素子の各々に重なっていることを特徴とする露光装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−330058号公報
【特許文献2】特開2007−237576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、露光装置に対し垂直な方向に回折光を集光させると共に、発光素子から射出され且つホログラム素子で回折されずに被露光面に到達する不要光を低減することができる露光装置と、当該露光装置を用いた画像形成装置とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために各請求項に記載の発明は、下記構成を備えている。
【0007】
請求項1に記載の発明は、基板上に配置され且つ発光点から前記基板の法線方向に光を射出する少なくとも1つの発光素子と、前記基板上に配置された記録層に前記発光素子の各々と組を成すように記録され、前記発光素子から射出された光を回折して、被露光面上で且つ前記発光点から前記法線方向に延びる直線上に在る集光点に収束させる少なくとも1つのホログラム素子と、複数の組の各々に対して設けられ、前記ホログラム素子で回折される光が当該光阻害部の外側を通過して前記集光点に収束するように、前記発光点と前記集光点とを結ぶ直線上に配置されて、前記ホログラム素子で回折されずに前記発光点から前記集光点に向かって直進する0次光の透過を阻害する少なくとも1つの光阻害部と、を備えた露光装置である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記光阻害部は、入射した光を遮断するか又は減衰させて、前記0次光の透過を阻害する、請求項1に記載の露光装置である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記光阻害部は、前記記録層の光入射側又は光出射側に隣接して配置される、請求項1又は2に記載の露光装置である。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記発光素子と組を成すホログラム素子は、回折光の光軸が前記発光点と前記集光点とを結ぶ直線と平行になるように記録された、請求項1から3までの何れか1項に記載の露光装置である。
【0011】
請求項5に記載の発明は、前記発光素子と組を成すホログラム素子は、回折光の光軸が前記発光点と前記集光点とを結ぶ直線と交差するように記録された、請求項1から3までの何れか1項に記載の露光装置である。
【0012】
請求項6に記載の発明は、各々の回折光の光軸が前記発光点と前記集光点とを結ぶ直線と異なる角度で交差するように、前記発光素子と組を成す複数のホログラム素子が記録された、請求項5に記載の露光装置である。
【0013】
請求項7に記載の発明は、前記ホログラム素子を記録する信号光と参照光との重なりが大きくなるように、前記記録層を前記基板に対し傾けて配置した、請求項5又は6に記載の露光装置である。
【0014】
請求項8に記載の発明は、前記光阻害部は、入射した光を吸収する光吸収体、入射した光を反射する反射体、入射した光を複数の方向に拡散させる拡散体、入射した光を予め定めた方向に偏向させる偏向素子、又は入射した光を予め定めた方向に回折する回折格子である、請求項1から7までの何れか1項に記載の露光装置である。
【0015】
請求項9に記載の発明は、発光点から当該基板の法線方向に光を射出する複数の発光素子が第1の方向に並ぶように配列された基板と、前記基板上に配置された記録層であって、前記複数の発光素子の各々から射出された光が、対応するホログラム素子により回折され且つ前記発光点から前記法線方向に延びる直線上に在る集光点に集光されて、被露光面上に前記第1の方向に並ぶ集光点列が形成されるように、前記複数の発光素子の各々に対応する複数のホログラム素子が多重記録された記録層と、前記複数の発光素子に対して前記第1の方向に延びるように設けられ、前記ホログラム素子で回折される光が当該光阻害部の外側を通過して前記集光点に収束するように、前記発光点と前記集光点とを結ぶ直線上に配置されて、前記対応するホログラム素子で回折されずに前記発光点から前記集光点に向かって直進する0次光の透過を阻害する1つの光阻害部と、を備えた露光装置である。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項1から9までの何れか1項に記載の露光装置と、前記露光装置と作動距離だけ離間して配置されると共に、前記露光装置に対して前記第1の方向と交差する第2の方向に相対移動され、前記露光装置により画像データに応じて走査露光されて、画像が書き込まれる感光体と、を含む画像形成装置である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の各請求項に記載の発明によれば、以下の効果がある。
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、露光装置に対し垂直な方向(基板の法線方向)に回折光を集光させると共に、発光素子から射出され且つホログラム素子で回折されずに被露光面に到達する不要光を低減することができる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、発光素子から射出され且つホログラム素子で回折されない0次光を遮断又は減衰させることができる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、光阻害部の位置決めが容易になり、本発明の構成を備えない場合に比べて、被露光面に到達する不要光を確実に低減することができる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、ホログラム素子を同軸で記録できる。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、ホログラム素子で回折される光の光路を避けて、光阻害部を配置することができる。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、光阻害部の両側から回折光を集光することができる。
【0024】
請求項7に記載の発明によれば、本発明の構成を備えない場合に比べて、より大きなホログラム素子を記録することができる。
【0025】
請求項8に記載の発明によれば、光阻害部は、吸収、反射、拡散、偏向、回折等の作用により0次光の透過を阻害することができる。
【0026】
請求項9に記載の発明によれば、複数の発光素子に対して、1個の光阻害部を設ければよい。
【0027】
請求項10に記載の発明によれば、露光装置に対し垂直な方向に回折光を集光させると共に、発光素子から射出され且つホログラム素子で回折されずに感光体の被露光面に到達する不要光を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の構成の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るLEDプリントヘッドの構成の一例を示す概略斜視図である。
【図3】(A)はホログラム素子の概略形状を示す斜視図である。(B)はLEDプリントヘッドの副走査方向に沿った断面図である。(C)はLEDプリントヘッドの主走査方向に沿った断面図である。
【図4】第1の実施の形態でホログラムが記録される様子を示す模式的な断面図である。
【図5】第1の実施の形態でホログラムが再生される様子を示す模式的な断面図である。
【図6】光阻害部が配置される光軸上の他の位置を示す模式的な断面図である。
【図7】(A)〜(F)は光阻害部の具体例を示す模式図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る露光装置としてのLEDプリントヘッドの構成の一例を示す概略斜視図である。
【図9】第2の実施の形態に係るLEDプリントヘッドの副走査方向の断面図である。
【図10】(A)及び(B)は第2の実施の形態でホログラムが記録される様子を示す模式的な断面図である。
【図11】(A)及び(B)は第2の実施の形態でホログラムが再生される様子を示す模式的な断面図である。
【図12】ホログラム記録装置の構成の一例を示す概略図である。
【図13】(A)及び(B)は第2の実施の形態に係るLEDプリントヘッドの変形例の構成を示す模式的な断面図である。
【図14】(A)及び(B)は第2の実施の形態に係るLEDプリントヘッドの他の変形例の構成を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
【0030】
<画像形成装置>
図1は本発明の実施の形態に係る画像形成装置の構成の一例を示す概略図である。この装置は、電子写真方式で画像を形成する画像形成装置であり、発光ダイオード(LED)を光源に用いたLED方式の露光装置(LEDプリントヘッド、略称「LPH」)を搭載している。LEDプリントヘッドは、機械的な駆動が不要という利点を有する。
【0031】
また、この画像形成装置は、所謂タンデム型のデジタルカラープリンタであり、各色の画像データに対応して画像形成を行う画像形成部としての画像形成プロセス部10、画像形成装置の動作を制御する制御部30、及び画像読取装置3と例えばパーソナルコンピュータ(PC)2等の外部装置とに接続され、これらの装置から受信された画像データに対して予め定めた画像処理を施す画像処理部40を備えている。
【0032】
画像形成プロセス部10は、一定の間隔で並列に配置される4つの画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kを備えている。画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kの各々は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。なお、画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kを、適宜「画像形成ユニット11」と総称する。
【0033】
各画像形成ユニット11は、静電潜像を形成してトナー像を保持する像保持体としての感光体ドラム12、感光体ドラム12の表面を予め定めた電位で一様に帯電する帯電器13、帯電器13によって帯電された感光体ドラム12を露光する露光装置としてのLEDプリントヘッド(LPH)14、LPH14によって得られた静電潜像を現像する現像器15、転写後の感光体ドラム12表面を清掃するクリーナ16を備えている。
【0034】
従来のLPHは、LEDアレイとロッドレンズアレイとで構成されていた。ロッドレンズアレイには、セルフォック(登録商標)など、屈折率分布型のロッドレンズが用いられていた。各LEDから射出された光は、ロッドレンズにより集光されて、感光体ドラム上に正立等倍像が結像される。本実施の形態に係る画像形成装置は、「ロッドレンズ」に代えて「ホログラム素子」を用いたLPHを備えている。
【0035】
LPH14は、感光体ドラム12の軸線方向の長さと略同じ長さの長尺状のプリントヘッドである。LPH14には、長さ方向に沿って複数のLEDがアレイ状(列状)に配列されている。LPH14は、その長さ方向が感光体ドラム12の軸線方向を向くように、感光体ドラム12の周囲に配置されている。
【0036】
本実施の形態のLPH14は、感光体ドラム12の表面から作動距離だけ離間して配置されている。本実施の形態のLPH14は、従来のLPHに比べて作動距離が長い。また、本実施の形態のLPH14は、従来のLPHと同様に、LPH14に対し垂直な方向(後述するLED基板58の法線方向)に光を射出する。従って、本実施の形態のLPH14は、従来のLPHと同様に、LPH14の光出射面が感光体ドラム12と対向するように配置されている。このため、感光体ドラム12の周方向における占有幅が小さく、感光体ドラム12の周囲の混雑が緩和されている。
【0037】
また、画像形成プロセス部10は、各画像形成ユニット11の感光体ドラム12にて形成された各色のトナー像が多重転写される中間転写ベルト21、各画像形成ユニット11の各色トナー像を中間転写ベルト21に順次転写(一次転写)させる一次転写ロール22、中間転写ベルト21上に転写された重畳トナー像を記録媒体である用紙Pに一括転写(二次転写)させる二次転写ロール23、及び二次転写された画像を用紙P上に定着させる定着器25を備えている。
【0038】
次に上記画像形成装置の動作について説明する。
まず、画像形成プロセス部10は、制御部30から供給された同期信号等の制御信号に基づいて画像形成動作を行う。その際に、画像読取装置3やPC2から入力された画像データは、画像処理部40によって画像処理が施され、インターフェースを介して各画像形成ユニット11に供給される。
【0039】
例えば、イエローの画像形成ユニット11Yでは、帯電器13により予め定めた電位で一様に帯電された感光体ドラム12の表面が、画像処理部40から得られた画像データに基づいて発光するLPH14により露光されて、感光体ドラム12上に静電潜像が形成される。即ち、LPH14の各LEDが画像データに基づいて発光することで、感光体ドラム12の表面が主走査されると共に、感光体ドラム12が回転することで副走査されて、感光体ドラム12上に静電潜像が形成される。形成された静電潜像は現像器15により現像され、感光体ドラム12上にはイエローのトナー像が形成される。同様に、画像形成ユニット11M,11C,11Kにおいて、マゼンタ、シアン、黒の各色トナー像が形成される。
【0040】
各画像形成ユニット11で形成された各色トナー像は、図1の矢印A方向に回転動作する中間転写ベルト21上に、一次転写ロール22により順次静電吸引されて転写される(一次転写)。中間転写ベルト21上には、重畳されたトナー像が形成される。重畳トナー像は、中間転写ベルト21の移動に伴って二次転写ロール23が配設された領域(二次転写部)に搬送される。重畳トナー像が二次転写部に搬送されると、トナー像が二次転写部に搬送されるタイミングに合わせて用紙Pが二次転写部に供給される。
【0041】
そして、二次転写部にて二次転写ロール23により形成される転写電界により、重畳トナー像は搬送されてきた用紙P上に一括して静電転写される(二次転写)。重畳トナー像が静電転写された用紙Pは、中間転写ベルト21から剥離され、搬送ベルト24により定着器25まで搬送される。定着器25に搬送された用紙P上の未定着トナー像は、定着器25によって熱および圧力による定着処理を受けることで用紙P上に定着される。そして定着画像が形成された用紙Pは、画像形成装置の排出部に設けられた排紙トレー(不図示)に排出される。
【0042】
<第1の実施の形態>
(LEDプリントヘッド)
図2は本発明の第1の実施の形態に係る露光装置としてのLEDプリントヘッドの構成の一例を示す概略斜視図である。図3(A)はホログラム素子の概略形状を示す斜視図である。図3(B)はLEDプリントヘッドの副走査方向の断面図である。図3(C)はLEDプリントヘッドの主走査方向に沿った断面図である。
【0043】
図2に示すように、LEDプリントヘッド(LPH)14は、複数のLED50を備えたLEDアレイ52と、複数のLED50の各々に対応して設けられた複数のホログラム素子54を備えたホログラム素子アレイ56と、を備えている。
【0044】
図2に示す例では、LEDアレイ52は12個のLED50〜5012を備え、ホログラム素子アレイ56は12個のホログラム素子54〜5412を備えている。なお、各々を区別する必要がない場合には、LED50〜5012を「LED50」と総称し、ホログラム素子54〜5412を「ホログラム素子54」と総称する。
【0045】
複数のLED50の各々は、LEDチップ53上に配列されている。複数のLED50が配列されたLEDチップ53は、LED50の各々を駆動する駆動回路(図示せず)と共に、長尺状のLED基板58上に実装されている。LEDチップ53は、複数のLED50が主走査方向に並ぶように位置合せをして、LED基板58上に配置されている。これにより、LED50の各々は、感光体ドラム12の軸線方向と平行な方向に沿って配列される。
【0046】
LED50の配列方向が「主走査方向」である。また、LED50の各々は、互いに隣接する2つのLED50(発光点)の主走査方向の間隔(発光点ピッチ)が一定間隔となるように配列されている。また、感光体ドラム12の回転により副走査が行われるが、「主走査方向」と直交する方向を「副走査方向」として図示している。また、以下では、LED50の配置される位置を、適宜「発光点」と称する。
【0047】
複数のLED50の各々は、対応するホログラム素子54側に光を射出するように、発光面をホログラム素子54側に向けて、LEDチップ53上に配置されている。LED50の「発光光軸」は、LED50からLED基板58と直交する方向(法線方向)に射出される光の光軸である。LED基板58は、LED50や駆動回路が実装される側の表面が「主面」である。この主面の法線方向が、LED基板58の法線方向である。従って、LED50の「発光光軸」は、LED基板58の法線方向を向いている。図示した通り、発光光軸は、上記の主走査方向及び副走査方向の各々とも直交する。
【0048】
なお、図2においては、数個のLED50が1列に配列された1個のLEDチップ53で構成されたLPH14を、概略的に図示しているに過ぎない。実際の画像形成装置では、主走査方向の解像度に応じて、数百個のLEDチップ53を配列することで、数千個のLED50が配列されている。例えば、A3幅まで印字可能な画像形成装置において、1インチ当たり1200スポットの解像度を得るためには、LED基板58上には、14848個のLED50が21μmの間隔で配列される。
【0049】
また、複数のLEDチップ53は、1次元状に配置してもよく、複数列に分けて2次元状に配置してもよい。例えば千鳥状に配置する場合には、複数のLEDチップ53は、主走査方向に並ぶように一列に配置されると共に、副走査方向に一定間隔ずらして二列に配置される。複数のLEDチップ53単位に分けられていても、複数のLED50の各々は、互いに隣接する2つのLED50の主走査方向の間隔が、略一定の間隔となるように配列されている。
【0050】
LEDチップ53としては、複数の自己走査型LED(SLED:Self-scanning LED)が配列されたSLEDチップを用いてもよい。SLEDチップは、スイッチのオン・オフを二本の信号線によって行い、各SLEDを選択的に発光させて、データ線を共通化する。このSLEDチップを用いることで、基板上での配線数が少なくて済む。
【0051】
LED基板58上には、ホログラム記録層60が配置されている。ホログラム素子アレイ56は、ホログラム記録層60内に形成されている。ホログラム記録層60は、LEDチップ53から予め定めた高さだけ離間された位置に、図示しない保持部材によって保持されている。
【0052】
LED50とホログラム記録層60との間には、ホログラム素子54で回折されない0次光成分の透過を阻害する光阻害部64が配置されている。ここで、後述するスポット62を集光点とすると、0次光成分は、ホログラム素子54で回折されずに、発光点から集光点に向かって直進する。従って、光阻害部64は、0次光成分の光路上、即ち、発光点と集光点とを結ぶ直線上に配置されている。
【0053】
光阻害部64は、発光点と集光点とを結ぶ直線上に配置されていればよい。例えば、ホログラム記録層60の光入射側及び光出射側の何れに配置してもよい。本実施の形態では、光阻害部64は、ホログラム記録層60の光入射面側に隣接するように配置されている。ホログラム記録層60に隣接するように配置する場合には、光阻害部64の位置決め及び取り付けが容易になる。後述する通り、光阻害部64は、ホログラム記録層60の光出射面側に隣接するように配置してもよい(図6参照)。
【0054】
また、LED50とホログラム記録層60との間(又は、LED50と光阻害部64との間)には、空気や透明樹脂等、LED50から射出される光に透明な材料で構成された離間層を配置してもよい。
【0055】
ホログラム記録層60には、複数のLED50の各々に対応して、主走査方向に沿って複数のホログラム素子54が形成されている。ホログラム素子54の各々は、LED基板58の法線方向に回折光を射出するように記録されている。ホログラム素子54の各々は、互いに隣接する2つのホログラム素子54の主走査方向の間隔(中心点の間隔)が、上記のLED50の主走査方向の間隔と、略同じ間隔となるように配列されている。即ち、互いに隣接する2つのホログラム素子54が互いに重なり合うように、径の大きいホログラム素子54が多重記録されている。また、複数のホログラム素子54の各々は、互いに異なる形状を有していてもよい。
【0056】
ホログラム記録層60は、ホログラムを永続的に記録保持することが可能な高分子材料から構成されている。このような高分子材料としては、いわゆるフォトポリマーを用いてもよい。フォトポリマーは、光重合性モノマーのポリマー化による屈折率変化を利用してホログラムを記録する。
【0057】
光阻害部64は、0次光成分の透過を阻害する機能を有する部材であれば特に制限はない。光阻害部64としては、入射した0次光成分を遮断するか又は減衰させる光学素子が用いられる。例えば、光阻害部64としては、入射した光を吸収する光吸収体、入射した光を反射する反射体、入射した光を複数の方向に拡散させる拡散体、入射した光を予め定めた方向に偏向(屈折)させる偏向素子、入射した光を予め定めた方向に回折する回折格子等が用いられる。各光学素子の具体例については後述する。
【0058】
図3(B)及び図3(C)を参照すれば分かるように、本実施の形態では、主走査方向に延びる1本の帯状の光阻害部64が、ホログラム記録層60の光入射面の幅方向の中央部分を覆うように配置されている。帯状の光阻害部64は、複数のLED50の各々から射出された光のうち、対応するホログラム素子54で回折されない0次光成分がホログラム記録層60を透過するのを阻害する。換言すれば、ホログラム素子54で回折される光が、光阻害部64の外側を通過してホログラム素子54に入射するように、光阻害部64は、ホログラム記録層60の光入射面の一部分だけを覆うように配置されている。
【0059】
なお、図示は省略するが、LPH14は、ホログラム素子54で生成された回折光が感光体ドラム12の方向に射出されるように、ハウジングやホルダー等の保持部材により保持されて、図1に示す画像形成ユニット11内の予め定めた位置に取り付けられている。本実施の形態のLPH14は、従来のLPHと同様に、感光体ドラム12と対向するように配置されるので、従来のLPHの代替部品として取り付けてもよい。露光装置に対し垂直な方向に感光体を配置することができれば、感光体と露光装置のアライメントを容易にするとともに、感光体周りの占有領域を小さくすることができる。低コストで小型な画像形成装置のために、有利となる。
【0060】
また、LPH14は、調整ネジ(図示せず)等の調整手段により、回折光の光軸方向に移動するように構成されていてもよい。ホログラム素子54による結像位置(焦点面)が、感光体ドラム12表面上に位置するように、上記の調整手段により調整する。また、ホログラム記録層60上に、カバーガラスや透明樹脂等で保護層が形成されていてもよい。保護層によりゴミの付着を防止する。
【0061】
また、ホログラム記録層60は、ガラスや樹脂等で構成された容器内に収納されていてもよい。例えば、ホログラム記録層60を、容器内に封入されたホログラム記録材料で構成してもよい。容器内に収納されたホログラム記録層60は、取り扱いが容易である。また、容器は保護層としても機能する。ホログラム記録層60が容器内に収納されている場合には、光阻害部64を容器の一部として形成してもよい。
【0062】
(LEDプリントヘッドの動作)
LED50を発光させると、LED50から射出された光(インコヒーレント光)は、発光点からホログラム径まで拡がる拡散光の光路を通る。LED50の発光により、ホログラム素子54に参照光が照射されたのと略同じ状況となる。
【0063】
図2に示すように、LEDアレイ52とホログラム素子アレイ56とを備えたLPH14では、12個のLED50〜5012の各々から射出された各光は、光阻害部64で0次光成分が遮断又は減衰されて、対応するホログラム素子54〜5412のいずれかに入射する。ホログラム素子54〜5412は、入射された光を回折して回折光を生成する。ホログラム素子54〜5412の各々で生成された各回折光は、LED基板58の法線方向に射出される。
【0064】
感光体ドラム12は、LPH14に対向するように配置されている。LED基板58の法線方向に射出された各回折光は、感光体ドラム12の方向に収束して、数cm先の焦点面に配置された感光体ドラム12の表面で結像される。即ち、複数のホログラム素子54の各々は、対応するLED50から射出された光を回折して集光し、感光体ドラム12表面に結像させる光学部材として機能する。
【0065】
感光体ドラム12の表面には、各回折光による微小なスポット62〜6212が、主走査方向に一列に配列されるように形成される。換言すれば、LPH14により、感光体ドラム12が主走査される。なお、各々を区別する必要がない場合には、スポット62〜6212を「スポット62」と総称する。例えば、上述した通り、14848個のLED50を21μmの間隔で配列した場合には、感光体ドラム12の表面12Aには、21μmの間隔で主走査方向に一列に配列されるように、14848個のスポット62が形成される。
【0066】
一般に、インコヒーレント光(非干渉性の光)を射出するLEDを用いるLPHでは、コヒーレンス性が低下してスポットぼけ(いわゆる色収差)が生じ、微小スポットを形成することは容易ではない。これに対して、本実施の形態のLPH14は、ホログラム素子54の入射角選択性及び波長選択性が高いため、微小スポットが容易に得られ、ロッドレンズを用いた従来のLPHに比べて長い作動距離が得られる。
【0067】
また、LED50の各々から射出され、ホログラム素子54で回折されずに透過した不要光が、感光体12に到達すると、バックグラウンドノイズ(背景雑音)が増加してコントラストが低下する。これに対して、本実施の形態のLPH14では、光阻害部64で0次光成分が遮断又は減衰されて、感光体12に到達する不要光が低減される。
【0068】
上記の通り、本実施の形態では、ホログラム素子54の微小スポットへの集光性能と長い作動距離、光阻害部64による不要光の低減とにより、信号光が精度よく再生されて、輪郭の鮮明な微小スポット62(集光点)が形成される。
【0069】
(ホログラム素子の形状)
図3(A)〜(C)に示すように、ホログラム素子54の各々は、一般に厚いホログラム素子と称される体積ホログラムである。上述した通り、ホログラム素子は、入射角選択性及び波長選択性が高く、回折光の出射角度(回折角)を高精度で制御して、輪郭の鮮明な微小スポットを形成する。回折角の精度はホログラムの厚さが厚いほど高くなる。
【0070】
ホログラム素子54の各々は、ホログラム記録層60の表面側を底面とし、LED50側に向かって収束する円錐台状に形成されている。この例では円錐台状のホログラム素子について説明するが、ホログラム素子の形状はこれには限定されない。例えば、円錐、楕円錐、楕円錐台等の形状としてもよい。円錐台状のホログラム素子54の直径は、底面で最も大きくなる。この円形の底面の直径を「ホログラム径r」とする。なお、「ホログラム厚さh」は、ホログラム素子54の厚さである。
【0071】
ホログラム記録層60には、複数のLED50に対応する複数のホログラム素子54が、主走査方向に並ぶように多重記録されている。ホログラム素子54の各々は、LED50の主走査方向の間隔よりも大きな「ホログラム径r」を有している。例えば、LED50の主走査方向の間隔は30μmであり、ホログラム径rは2mm、ホログラム厚さhは250μmである。従って、互いに隣接する2つのホログラム素子54は、互いに大幅に重なり合うように形成されている。
【0072】
(LEDプリントヘッドの作製方法)
次に、LEDプリントヘッドの作製方法について説明する。図4は、第1の実施の形態でホログラムが記録される様子、即ち、ホログラムを記録する前のホログラム記録層60Aに、ホログラム素子54が形成される様子を示す模式的な断面図である。感光体ドラム12の図示は省略し、結像面である表面12Aだけを図示する。
【0073】
図4に示すように、表面12Aに集光点を形成する回折光の光路を通るコヒーレント光が、信号光としてホログラム記録層60Aに照射される。同時に、ホログラム記録層60Aを通過する際に、発光点から所望のホログラム径rまで拡がる拡散光の光路を通るコヒーレント光が、参照光としてホログラム記録層60Aに照射される。コヒーレント光の照射には、半導体レーザ等のレーザ光源が用いられる。
【0074】
信号光と参照光とは、ホログラム記録層60Aに対し、同じ側(LED基板58が配置される側)から照射される。また、信号光と参照光とは、信号光の光軸と参照光の光軸とが一致するように、同じレンズを用いて同軸で照射される。図4に示すように、ホログラム素子54による回折光をLED基板58の法線方向に射出する場合には、発光点からLED基板58の法線方向に延びる直線上に集光点が存在する。
【0075】
信号光と参照光とを同軸で照射する「同軸記録方式」の場合には、発光点と集光点とを通る直線(点線で図示)は、回折光の光軸と平行になる。従って、「同軸記録方式」の場合には、同一のレンズを介して信号光と参照光を形成することも可能であり、この場合には記録装置の構造が簡素化して、露光装置の低コスト化が図られる。また、信号光と参照光との角度を有して交差させる「二光波記録方式」と比較して、ホログラム素子54を記録する参照光の拡がり(開口数NA)を大きくすることができ、ホログラム素子54に入射する光の利用効率が向上する。
【0076】
信号光と参照光との干渉により得られる干渉縞(強度分布)が、ホログラム記録層60Aの厚さ方向にわたって記録される。ここでは、複数のLED50に対応して、複数の透過型のホログラム素子54が記録される。ホログラム記録層60には、ホログラム素子アレイ56が形成される。ホログラム素子54の各々は、面方向及び厚さ方向に干渉縞の強度分布が記録された体積ホログラムである。
【0077】
次に、ホログラム記録層60の光入射側の表面に、光入射面の幅方向の中央部分を覆うように、帯状の光阻害部64が設けられる。例えば、光阻害部64が黒色樹脂等の光吸収体で構成される場合には、光入射面の一部に黒色樹脂を塗布して光阻害部64が形成される。光阻害部64が設けられたホログラム記録層60を、LEDアレイ52が実装されたLED基板58上に取り付けることで、図2及び図3に示すLPH14が作製される。
【0078】
また、光阻害部64を容器の一部として形成する場合には、ホログラム記録層60AをLEDアレイ52が実装されたLED基板58上に取り付けた後に、位相共役記録によりホログラムを記録してもよい。ホログラム記録層60Aを取り付けた後でホログラムを記録するので、LED50と対応するホログラム素子54との距離が確保されると共に、LED50と対応するホログラム素子54との高い位置決め精度は不要になる。位相共役記録では、上記と同じ光路を通る信号光と参照光とが、LED基板58等が配置されていない側、即ち、ホログラム記録層60Aの表面側(図面の上側)から照射される。この場合も同様に、透過型のホログラム素子54が形成されたホログラム記録層60が得られる。
【0079】
更に、上述したように、光阻害部64はホログラムを記録する前に形成されていてもよい。信号光と参照光を照射する側と光阻害部64の種類とに応じて、光阻害部64で影響を受けた光による不要なホログラム形成を防止するように、光阻害部64を配置する位置を選択してもよい。例えば、光阻害部64が拡散体や偏向素子、回折格子等である場合のように、光阻害部64透過後の領域において光の減衰が小さい場合には、記録光を照射する側と反対側に光阻害部64を配置してもよい。また、光阻害部64が吸収体や反射体等である場合のように、光阻害部64透過後の領域において光の減衰が大きい場合には、記録光を照射する側に光阻害部64を配置してもよい。これにより、微小スポット62の形成に不要なホログラム記録を防止することができ、集光強度が高くバックグランドノイズの低い露光装置が得られる。
【0080】
(LEDプリントヘッドによる露光方法)
次に、LEDプリントヘッドによる露光方法について説明する。図5は、ホログラムが再生される様子、即ち、ホログラム記録層60に記録されたホログラム素子54から、回折光が取り出される様子を示す模式的な断面図である。図5に示すように、インコヒーレント光源であるLED50を発光させると、LED50から射出された光は発散して拡がる。この現象は「ランバーシアン配光」と称される。同じくインコヒーレント光源である電界発光素子(EL)においても、同様の現象が観測される。
【0081】
LED50を発光させると、LED50から射出された光の一部は、参照光の光路を通る。参照光の光路を通る光の大部分は、光阻害部64の外側を通過して、ホログラム記録層60に入射する。これにより、ホログラム記録層60に記録されたホログラム素子54に読み出し用の参照光(以下、「再生用参照光」という。)が照射されたのと略同じ状況となる。点線で図示する再生用参照光の照射により、実線で図示するように、ホログラム素子54から信号光と同じ光が再生され、回折光として射出される。射出された回折光は収束して、数cmの作動距離で感光体ドラム12の表面12Aに結像される。表面12Aにはスポット62が形成される。
【0082】
一方、参照光の光路を通る光には、ホログラム素子54で回折されずに、発光点から集光点に向かって直進する0次光成分が含まれる。参照光の光路を通る光の一部は、0次光成分の光路上に配置された光阻害部64により遮断又は減衰される。従って、感光体ドラム12の表面12Aに到達する0次光成分が低減される。なお、「ホログラム素子54で回折されない0次光」に対して、参照光の光路を通る光の内、光阻害部64の外側を通過してホログラム記録層60に入射する光を「ホログラム素子54で回折される光」と称する。「ホログラム素子54で回折される光」には、ホログラム記録層60に入射する光と、ホログラム素子54で回折されてホログラム記録層60から射出される光と、が含まれる。つまり、光阻害部64は、ホログラム素子54に入射する光とホログラム素子54から回折されて射出される光の内、少なくとも一方の光を遮断又は減衰することとなる。
【0083】
(光阻害部の変形例)
次に、光阻害部の変形例について説明する。まず、光阻害部64を配置する光軸上の位置については、上記の通り、発光点と集光点とを結ぶ直線上のどの位置に配置されていてもよい。光阻害部64を配置する光軸上の位置は、ホログラム記録層60とLED50との間の範囲としてもよい。この範囲に配置する場合には、ホログラム素子54からの回折光を阻害しないという利点がある。また、光阻害部64を配置する光軸上の位置は、ホログラム記録層60の集光点側表面からLED側表面の範囲としてもよい。この範囲に配置する場合には、更に光阻害部64を配置するための新たな支持部材等を必要としないという利点がある。
【0084】
ホログラム記録層60に隣接するように配置する場合には、光阻害部64の位置決め及び取り付けが容易となる。例えば、図6に示すように、ホログラム記録層60の光出射面側に隣接するように光阻害部64を配置してもよい。なお、発光点と集光点とを通る直線を点線で図示する。図6に示す例でも、LED50から射出され且つ参照光の光路を通る光の大部分は、光阻害部64の外側を通過してホログラム素子54により回折されるが、参照光の光路を通る光の一部(0次光成分)は、光阻害部64により遮断又は減衰される。
【0085】
また、光阻害部64を配置する面内の位置、即ち、光阻害部64を平面視したときの形状・面積は、光阻害部64の外側を通過する再生参照光が多くなると共に、光阻害部64の形成が容易になるように定められる。例えば、図2に示す例では、主走査方向に延びる1本の帯状の光阻害部64を配置する例について説明したが、複数のホログラム素子54の各々に対して点状の光阻害部64を配置してもよい。なお、1本の帯状の光阻害部64を配置する形態では、第一の方向に対する位置決めが容易となり、第1の方向に離散して光阻害部を配置した場合と比較して、被露光面に到達する不要光を確実に低減することが期待できる。
【0086】
また、図2に示す例において、帯状の光阻害部64の幅は、集光点における副走査方向の遮光幅の設計に基づき、LED50からに光阻害部64までの距離と光阻害部64から集光点までの距離に応じて定められる。例えば、集光点における副走査方向の遮光幅を5〜10mmとするとき、LED50からに光阻害部64までの距離が2mm、光阻害部64から集光点までの距離が1.8cmでは、帯状の光阻害部64の幅は500μm〜1mmと定められる。
【0087】
また、光阻害部64は、光吸収体、反射体、拡散体、偏向素子、回折格子等、種々の光学素子としてもよい。図7(A)〜(F)は光阻害部の具体例を示す模式図である。図7(A)に示す例では、光阻害部64Aは光吸収体又は反射体である。光吸収体は、0次光成分を吸収して、感光体ドラム12の表面12Aに到達する0次光成分を遮断又は減衰させる。反射体は、0次光成分を感光体ドラム12とは異なる方向に反射させて、感光体ドラム12の表面12Aに到達する0次光成分を遮断又は減衰させる。
【0088】
光吸収体は、LED50から射出される波長の光を吸収する色素や顔料を含有した樹脂等で構成されている。反射体は、LED50から射出される波長の光を反射する金属や屈折率の異なる材料を積層した干渉膜等で構成されている。反射率の高い金属としては、例えば、銀(Ag)、金(Au)等が挙げられる。図7(A)に示すように、黒色樹脂等の材料を塗布する、金属等を蒸着する等により、隣接する部材の表面に成膜されて、光吸収体又は反射体からなる光阻害部64Aが形成される。
【0089】
図7(B)〜(E)に示す例では、光阻害部64B〜光阻害部64Eの各々は偏向素子である。偏向素子は、LED50から射出される波長の光を予め定めた方向に偏向(屈折)させる凸部又は凹部である。偏向素子は、0次光成分を感光体ドラム12とは異なる方向に偏向させて、感光体ドラム12の表面12Aに到達する0次光成分を遮断又は減衰させる。ここでは、1つの凸部又は凹部を図示しているが、マイクロプリズムアレイ等、複数の凸部又は凹部が周期的に配列された凹凸構造としてもよい。複数の凸部又は凹部が周期的に配列された凹凸構造は、1つの凸部又は凹部と同様に偏向素子として機能する。
【0090】
図7(B)及び(D)に示す例では、光阻害部64B及び光阻害部64Dは、2つの斜面を備えた凸状のプリズムである。光阻害部64Bの2つの斜面は、LED基板58の法線方向に対し同じ角度で且つ異なる方向に傾けられている。光阻害部64Dの2つの斜面は、LED基板58の法線方向に対し異なる角度で且つ異なる方向に傾けられている。図7(C)及び(E)に示す例では、光阻害部64C及び光阻害部64Eは、2つの斜面を備えた凹状の切り欠き部である。光阻害部64Cの2つの斜面は、LED基板58の法線方向に対し同じ角度で且つ異なる方向に傾けられている。光阻害部64Eの2つの斜面は、LED基板58の法線方向に対し異なる角度で且つ異なる方向に傾けられている。
【0091】
凸状のプリズムや凹状の切り欠き部は、LED50から射出される波長の光を屈折させる光学材料で構成されている。空気層より光が入射する場合、光学材料としては、空気より屈折率の高いガラスや透明樹脂等が挙げられる。凸状のプリズムや凹状の切り欠き部は、ホログラム記録層60の表面に設けてもよく、ホログラム記録層60を保護する保護層の表面に設けてもよい。また、ホログラム記録層60を容器内に収納する場合には、容器の一部として設けてもよい。凸状のプリズムや凹状の切り欠き部は、樹脂の射出成形やガラスや樹脂の表面加工等により、ホログラム記録層60や保護層の表面に作り込まれる。
【0092】
図7(F)に示す例では、光阻害部64Fは拡散体である。拡散体は、0次光成分を複数の方向に拡散させて、感光体ドラム12の表面12Aに到達する0次光成分を遮断又は減衰させる。拡散体は、LED50から射出される波長の光を拡散する拡散板等で構成されている。拡散体は、複数の凸部又は複数の凹部が不規則に配列された微細な凹凸構造を有している。従って、微細な凹凸面を透過する透過光や、微細な凹凸面で反射される反射光は、規則的な特性を持たずに各方向に散らばる拡散光となる。
【0093】
図7(F)に示すように、ホログラム記録層60の表面に微細な凹凸構造を形成して、拡散体からなる光阻害部64Fとしてもよい。微細な凹凸構造は、ホログラム記録層60を保護する保護層の表面に設けてもよく、ホログラム記録層60を容器内に収納する場合には容器の一部として設けてもよい。微細な凹凸構造は、ホログラム記録層60等の表面を粗面化することにより形成される。表面の粗面化には、サンドブラスト加工等、従来公知の粗面化技術を用いてもよい。
【0094】
<第2の実施の形態>
(LEDプリントヘッド)
図8は本発明の第2の実施の形態に係る露光装置としてのLEDプリントヘッドの構成の一例を示す概略斜視図である。図9はLEDプリントヘッドの副走査方向の断面図である。1個のLED50に対応して2個のホログラム素子54A及びホログラム素子54Bを形成し、光阻害部64をホログラム記録層60の光出射側に配置した以外は、第1の実施の形態に係るLEDプリントヘッドと同じ構成であるため、同じ構成部分には同じ符号を付して説明を省略する。
【0095】
図8に示すように、LPH14Aは、LEDアレイ52とホログラム素子アレイ56とを備えている。LEDアレイ52は、12個のLED50〜5012を備えている。ホログラム素子アレイ56は、12個のホログラム素子54A〜54A12と、12個のホログラム素子54B〜54B12とを備えている。なお、各々を区別する必要がない場合には、LED50〜5012を「LED50」と総称し、ホログラム素子54A〜54A12を「ホログラム素子54A」と総称し、ホログラム素子54B〜54B12を「ホログラム素子54B」と総称する。
【0096】
ホログラム記録層60には、複数のLED50の各々に対応して、主走査方向に沿って複数のホログラム素子54Aが形成されると共に、主走査方向に沿って複数のホログラム素子54Bが形成されている。例えば、1個のLED50と2個のホログラム素子54A及びホログラム素子54Bとが一組になるように、LED50とホログラム素子54とが対応付けられて、複数のホログラム素子54A、54Bがホログラム記録層60に記録されている。
【0097】
ホログラム記録層60の光出射側には、ホログラム素子54で回折されない0次光成分の透過を阻害する光阻害部64が配置されている。光阻害部64は、0次光成分の光路上、即ち、発光点と集光点とを結ぶ直線上に配置されている。本実施の形態では、主走査方向に延びる1本の帯状の光阻害部64が、ホログラム記録層60の光出射面の幅方向の中央部分を覆うように配置されている。換言すれば、ホログラム素子54A及び54Bで回折される光が光阻害部64の両側を通過するように、光阻害部64は、ホログラム素子54A及び54Bを避けて、ホログラム素子54Aとホログラム素子54Bとの間に配置されている。
【0098】
なお、上記では光阻害部64をホログラム記録層60の光出射側に配置する例について説明したが、第1の実施の形態と同様に、光阻害部64は発光点と集光点とを結ぶ直線上に配置されていればよい。
【0099】
(LEDプリントヘッドの動作)
図8に示すように、第2の実施の形態に係るLPH14Aでは、LED50の各々から射出された各光は、光阻害部64で0次光成分が遮断又は減衰されて、対応するホログラム素子54A及び54Bに入射する。ホログラム素子54A及び54Bは、入射された光を回折して回折光を生成する。ホログラム素子54A及び54Bの各々で生成された各回折光は、感光体ドラム12に向けて射出される。
【0100】
感光体ドラム12は、LPH14Aに対向するように配置されている。LPH14Aから射出された各回折光は、感光体ドラム12の方向に収束して、数cm先の焦点面に配置された感光体ドラム12の表面で結像される。即ち、複数のホログラム素子54の各々は、対応するLED50から射出された光を回折して集光し、感光体ドラム12表面に結像させる。
【0101】
感光体ドラム12の表面には、LED50〜5012の各々に対応して、各回折光による微小なスポット62〜6212が、主走査方向に一列に並ぶように形成される。例えば、1個のLED50から射出された光は、対応するホログラム素子54A及び54Bにより回折及び集光されて1個のスポット62を形成する。なお、各々を区別する必要がない場合には、スポット62〜6212を「スポット62」と総称する。
【0102】
本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、ホログラム素子54A及び54Bの高い集光性能と、光阻害部64による不要光の低減とにより、信号光が精度よく再生されて、輪郭の鮮明な微小スポット62(集光点)が形成される。
【0103】
(LEDプリントヘッドの作製方法)
次に、LEDプリントヘッドの作製方法について説明する。図10(A)及び(B)は、第2の実施の形態でホログラムが記録される様子、即ち、ホログラムを記録する前のホログラム記録層60Aに、ホログラム素子54A及び54Bが形成される様子を示す模式的な断面図である。感光体ドラム12の図示は省略し、結像面である表面12Aだけを図示する。
【0104】
図10(A)に示すように、ホログラム素子54Aを記録する場合には、光阻害部64の外側(図面では左側)を通過して表面12Aに集光点を形成する回折光の光路を通るコヒーレント光が、信号光としてホログラム記録層60Aに照射される。同時に、ホログラム記録層60Aを通過する際に、発光点からホログラム素子54Aのホログラム径rまで拡がる拡散光の光路を通るコヒーレント光が、参照光としてホログラム記録層60Aに照射される。この参照光も、光阻害部64の外側(図面では左側)を通過する。なお、コヒーレント光の照射には、半導体レーザ等のレーザ光源が用いられる。
【0105】
また、図10(B)に示すように、ホログラム素子54Bを記録する場合には、光阻害部64の外側(図面では右側)を通過して表面12Aに集光点を形成する回折光の光路を通るコヒーレント光が、信号光としてホログラム記録層60Aに照射される。同時に、ホログラム記録層60Aを通過する際に、発光点からホログラム素子54Bのホログラム径rまで拡がる拡散光の光路を通るコヒーレント光が、参照光としてホログラム記録層60Aに照射される。この参照光も、光阻害部64の外側(図面では右側)を通過する。
【0106】
ホログラム素子54A及び54Bのいずれを記録する場合にも、信号光と参照光とは、ホログラム記録層60Aに対し、同じ側(LED基板58が配置される側)から照射される。また、信号光と参照光とは、信号光の光軸と参照光の光軸とが交差するように照射される。これにより、ホログラム記録層60には、ホログラム素子54A及び54Bが記録される。
【0107】
第2の実施の形態に係るLPH14Aにおいても、発光点からLED基板58の法線方向に延びる直線上に集光点が存在する。従って、発光点と集光点とを通る直線(点線で図示)は、回折光の光軸と交差する。ホログラム素子54Aによる回折光の光軸とホログラム素子54Bによる回折光の光軸とは、上記直線と異なる角度で交差する。これにより、発光素子から射出され且つホログラム素子で回折されずに被露光面に到達する不要光だけを低減することが見込める。
【0108】
次に、ホログラム記録層60の光出射側の表面に、光出射面の幅方向の中央部分を覆うように、帯状の光阻害部64が設けられる。例えば、光阻害部64が黒色樹脂等の光吸収体で構成される場合には、光出射面の一部に黒色樹脂を塗布して光阻害部64が形成される。光阻害部64が設けられたホログラム記録層60を、LEDアレイ52が実装されたLED基板58上に取り付けることで、第2の実施の形態に係るLPH14Aが作製される。
【0109】
また、第2の実施の形態においても、光阻害部64が予め形成されたホログラム記録層60Aに、ホログラムを記録してもよい。この場合は、ホログラム記録層60AをLEDアレイ52が実装されたLED基板58上に取り付けた後に、位相共役記録によりホログラムを記録する。位相共役記録では、上記と同じ光路を通る信号光と参照光とが、LED基板58等が配置されていない側、即ち、ホログラム記録層60Aの表面側(図面の上側)から照射される。この場合も同様に、透過型のホログラム素子54が形成されたホログラム記録層60が得られる。
【0110】
(ホログラム記録装置)
次に、第2の実施の形態に係るLPHの作製に用いられるホログラム記録装置について簡単に説明する。図12はホログラム記録装置の構成の一例を示す概略図である。図12に示すように、ホログラム記録装置は、ビームスプリッタ70と、ビームスプリッタ70から射出された記録光をホログラム記録層60Aに照射する照明光学系82とを備えている。
【0111】
ホログラム記録層60Aには、記録光として信号光L、参照光LR1及び参照光LR2が照射される。ビームスプリッタ70は半透鏡面70Aを備えており、半透鏡面70Aに対し図面左側から入射した信号光Lの一部を反射し、半透鏡面70Aに対し図面上側から入射した参照光LR1及び参照光LR2の一部を透過する。このようにして、ビームスプリッタ70は参照光と信号光を同一のレンズに導く。
【0112】
ビームスプリッタ70の信号光入射側には、レンズ72とレンズ74とが配置されている。レンズ72に入射した信号光Lは、レンズ72によりリレーされてレンズ74に入射し、レンズ74により集光されてビームスプリッタ70に入射する。ビームスプリッタ70に入射した信号光Lは、半透鏡面70Aで反射されて高NAのレンズ82に入射する。レンズ82に入射した信号光Lは、集光点で焦点を結ぶようにレンズ82により集光されて、ホログラム記録層60Aに照射される。
【0113】
ビームスプリッタ70の参照光入射側には、レンズ76とレンズ78とが配置されている。レンズ76とレンズ78との間には、開口部80Aを有する遮光部材80が配置されている。遮光部材80は、レンズ76の焦点位置に配置されている。開口部80Aは、レンズ76により集光された光のビームウエストの位置に設けられている。レンズ76に入射した参照光LR1及び参照光LR2は、レンズ76により集光されて遮光部材80に照射される。遮光部材80に照射された参照光LR1及び参照光LR2の一部は、開口部80Aを通過して、レンズ78に入射する。
【0114】
レンズ78に入射した参照光LR1及び参照光LR2は、レンズ78により平行光化されて、ビームスプリッタ70に入射する。ビームスプリッタ70に入射した参照光LR1及び参照光LR2は、半透鏡面70Aを透過してレンズ82に入射する。レンズ82に入射した参照光LR1及び参照光LR2は、発光点に収束するようにレンズ82により集光されて、信号光Lと同時にホログラム記録層60Aに照射される。これにより、第2の実施の形態のLPH14Aのように、1個のLEDに対応して2個のホログラム素子が形成される。
【0115】
なお、レンズ78は、発光点の位置に焦点を結ぶために、集光方向及びその直交平面方向に移動するように構成されている。発光点からの光が開口部80Aを通過するように調整することで、発光点のばらつきに応じた参照光LR1及び参照光LR2の光路調整を行うことができる。また、レンズ76に入射させる参照光LR1及び参照光LR2は、光軸に直交する断面の形状が略円形であるが、光利用効率の向上と多重度との兼ね合いから、当該形状はレンズ76の上流側にマスク等を配置するなどして、適宜変更してもよい。
【0116】
(LEDプリントヘッドによる露光方法)
次に、LEDプリントヘッドによる露光方法について説明する。図11(A)及び(B)は、ホログラムが再生される様子、即ち、ホログラム記録層60に記録されたホログラム素子54A及び54Bから、回折光が取り出される様子を示す模式的な断面図である。
【0117】
図11(A)及び(B)に示すように、LED50を発光させると、LED50から射出された光の一部は、ホログラム素子54A及び54Bの各々を記録した参照光の光路を通る。これにより、ホログラム素子54A及び54Bに再生用参照光が照射されたのと略同じ状況となる。点線で図示する再生用参照光の照射により、実線で図示するように、ホログラム素子54A及び54Bの各々から回折光が射出される。射出された回折光の各々は、光阻害部64の外側を通過して収束し、感光体ドラム12の表面12Aにはスポット62が形成される。
【0118】
一方、LED50から射出された光の一部(即ち、0次光成分)は、ホログラム素子54A及び54Bに入射でせずに、発光点から集光点に向かって直進する。LED50から射出され且つホログラム記録層60を通過した0次光成分は、0次光成分の光路上に配置された光阻害部64により遮断又は減衰される。従って、感光体ドラム12の表面12Aに到達する0次光成分が低減される。
【0119】
(ホログラム記録層の他の配置形態)
次に、ホログラム記録層の配置形態が異なる変形例について説明する。図13(A)及び(B)は第2の実施の形態に係るLPHの変形例の構成を示す模式的な断面図である。また、図14(A)及び(B)は第2の実施の形態に係るLPHの他の変形例の構成を示す模式的な断面図である。
【0120】
上述した通り、第2の実施の形態では、ホログラム素子54A及び54Bの各々は、光阻害部64の外側を通過する信号光及び参照光により記録され、ホログラム素子54A及び54Bの回折光の各々は、光阻害部64の外側を通過して集光する。即ち、光阻害部64は、信号光及び参照光の光路を避けて配置される。
【0121】
図13(A)及び(B)、図14(A)及び(B)に示すように、光阻害部64をホログラム記録層60の幅方向の中央部分に配置すると共に、ホログラム記録層60を幅方向の中央部分で折り曲げた構造としてもよい。ホログラム記録層60は、図13(A)及び(B)に示すように、幅方向の中央部分が稜となるように2つ折りにしてもよく、図14(A)及び(B)に示すように、幅方向の中央部分を中心に湾曲させてもよい。
【0122】
光阻害部64の両側において、ホログラム記録層60は発光点に近付くように折り曲げられている。参照光は、発光点からホログラム素子54A又は54Bのホログラム径rまで拡がる拡散光の光路を通る。従って、記録前のホログラム記録層60Aが折り曲げられていることで、参照光のホログラム記録層60Aへの入射角が浅く(小さく)なる。換言すれば、折り曲げない場合に比べ、より大きなホログラムが記録されて、光利用効率も向上する。
【0123】
<その他の変形例>
なお、上記では、複数のLEDを備えたLEDプリントヘッドを備える例について説明したが、LEDに代えて電界発光素子(EL)、レーザダイオード(LD)等、他の発光素子を用いてもよい。発光素子の特性に応じてホログラム素子を設計すると共に、インコヒーレント光による不要露光を低減することで、インコヒーレント光を射出するLEDやELを発光素子として用いた場合でも、コヒーレント光を射出するLDを発光素子として用いた場合と同様に、輪郭が鮮明な微小スポットが形成される。
【0124】
また、複数のホログラム素子を多重記録する方式は、所望の回折光が得られる多重方式であれば特に制限はない。また、複数種類の多重方式を併用しても良い。多重方式としては、球面波シフト多重記録、参照光の入射角度を変えながら記録する角度多重記録、参照光の波長を変えながら記録する波長多重記録、参照光の位相を変えながら記録する位相多重記録等が挙げられる。なお、複数のホログラム素子の各々は、同一波長で記録してもよく、複数の波長を組み合わせて(波長多重)記録してもよい。
【0125】
また、上記では、画像形成装置がタンデム型のデジタルカラープリンタであり、その各画像形成ユニットの感光体ドラムを露光する露光装置としてのLEDプリントヘッドについて説明したが、露光装置により感光性の画像記録媒体を像様露光することで画像が形成される画像形成装置であればよく、上記の応用例には限定されない。例えば、画像形成装置は、電子写真方式のデジタルカラープリンタには限定されない。銀塩方式の画像形成装置や光書込み型電子ペーパー等の書き込み装置等にも本発明の露光装置を搭載してもよい。また、感光性の画像記録媒体は、感光体ドラムには限定されない。シート状の感光体や写真感光材料、フォトレジスト、フォトポリマー等の露光にも、上記応用例に係る露光装置を適用してもよい。
【符号の説明】
【0126】
2 PC
3 画像読取装置
10 画像形成プロセス部
11 画像形成ユニット
12 感光体ドラム
12A 表面
13 帯電器
14 LEDプリントヘッド
15 現像器
16 クリーナ
21 中間転写ベルト
22 一次転写ロール
23 二次転写ロール
24 搬送ベルト
25 定着器
30 制御部
40 画像処理部
50 LED
52 LEDアレイ
53 LEDチップ
54 ホログラム素子
54A ホログラム素子
54B ホログラム素子
56 ホログラム素子アレイ
58 LED基板
60 ホログラム記録層
60A ホログラム記録層
62 スポット
64 光阻害部
70 ビームスプリッタ
70A 半透鏡面
72 レンズ
74 レンズ
76 レンズ
78 レンズ
80 遮光部材
80A 開口部
82 レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に配置され且つ発光点から前記基板の法線方向に光を射出する少なくとも1つの発光素子と、
前記基板上に配置された記録層に前記発光素子の各々と組を成すように記録され、前記発光素子から射出された光を回折して、被露光面上で且つ前記発光点から前記法線方向に延びる直線上に在る集光点に収束させる少なくとも1つのホログラム素子と、
複数の組の各々に対して設けられ、前記ホログラム素子で回折される光が当該光阻害部の外側を通過して前記集光点に収束するように、前記発光点と前記集光点とを結ぶ直線上に配置されて、前記ホログラム素子で回折されずに前記発光点から前記集光点に向かって直進する0次光の透過を阻害する少なくとも1つの光阻害部と、
を備えた露光装置。
【請求項2】
前記光阻害部は、入射した光を遮断するか又は減衰させて、前記0次光の透過を阻害する、請求項1に記載の露光装置。
【請求項3】
前記光阻害部は、前記記録層の光入射側又は光出射側に隣接して配置される、請求項1又は2に記載の露光装置。
【請求項4】
前記発光素子と組を成すホログラム素子は、回折光の光軸が前記発光点と前記集光点とを結ぶ直線と平行になるように記録された、請求項1から3までの何れか1項に記載の露光装置。
【請求項5】
前記発光素子と組を成すホログラム素子は、回折光の光軸が前記発光点と前記集光点とを結ぶ直線と交差するように記録された、請求項1から3までの何れか1項に記載の露光装置。
【請求項6】
各々の回折光の光軸が前記発光点と前記集光点とを結ぶ直線と異なる角度で交差するように、前記発光素子と組を成す複数のホログラム素子が記録された、請求項5に記載の露光装置。
【請求項7】
前記ホログラム素子を記録する信号光と参照光との重なりが大きくなるように、前記記録層を前記基板に対し傾けて配置した、請求項5又は6に記載の露光装置。
【請求項8】
前記光阻害部は、入射した光を吸収する光吸収体、入射した光を反射する反射体、入射した光を複数の方向に拡散させる拡散体、入射した光を予め定めた方向に偏向させる偏向素子、又は入射した光を予め定めた方向に回折する回折格子である、請求項1から7までの何れか1項に記載の露光装置。
【請求項9】
発光点から当該基板の法線方向に光を射出する複数の発光素子が第1の方向に並ぶように配列された基板と、
前記基板上に配置された記録層であって、前記複数の発光素子の各々から射出された光が、対応するホログラム素子により回折され且つ前記発光点から前記法線方向に延びる直線上に在る集光点に集光されて、被露光面上に前記第1の方向に並ぶ集光点列が形成されるように、前記複数の発光素子の各々に対応する複数のホログラム素子が多重記録された記録層と、
前記複数の発光素子に対して前記第1の方向に延びるように設けられ、前記ホログラム素子で回折される光が当該光阻害部の外側を通過して前記集光点に収束するように、前記発光点と前記集光点とを結ぶ直線上に配置されて、前記対応するホログラム素子で回折されずに前記発光点から前記集光点に向かって直進する0次光の透過を阻害する1つの光阻害部と、
を備えた露光装置。
【請求項10】
請求項1から9までの何れか1項に記載の露光装置と、
前記露光装置と作動距離だけ離間して配置されると共に、前記露光装置に対して前記第1の方向と交差する第2の方向に相対移動され、前記露光装置により画像データに応じて走査露光されて、画像が書き込まれる感光体と、
を含む画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−192689(P2012−192689A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59685(P2011−59685)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】