説明

静電チャックおよびその修理方法

【解決手段】静電チャックを長寿命化する新規な方法を提供する。方法は、金属製冷却プレートがセラミック製の上側プレートにインジウム接着剤を介して取り付けられたチャックを提供する段階と、使用期間の後チャックを分解する段階と、使用済みの金属製冷却プレートを含む新たなチャックを提供する段階とを備える。所定の実施形態では、インジウムを接着剤として用いることにより、チャックのその他の部品を損傷させることなく、上記の分解および再組み立てを行うことが比類なく可能になる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
多様な半導体ワークピース処理において、ウェハを支持するべくチャックが用いられている。成膜処理では、たとえば、チャックは、半導体ウェハに膜が成膜されている間、ウェハを定位置にクランプする。同じく、エッチング処理では、静電チャックは、半導体ウェハから材料が除去されている間、ウェハを定位置にクランプする。静電チャックは、ウェハを静電チャックの表面に静電的にクランプするクランプ電圧を印加される電極を有する。
【0002】
ウェハは、処理チャンバに搬送された後、静電チャックの上面に載置される。クランプ電圧が静電チャックに印加され、ウェハは処理の間クランプされる。チャックの表面が均一であることが、成膜もしくはエッチングのウェハ表面全体での均一性にとって極めて重要である。使用期間を通じてチャックが不均一に磨耗することにより、ウェハの均一性が乏しくなり、ウェハ間の均一性も乏しくなる。
【0003】
[関連出願の相互参照]
本願は、2010年12月29日出願、発明の名称「静電チャックおよびその修理方法」の米国特許出願第12/648,638号の優先権を主張し、本明細書に参照として組み込む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
静電チャックを長寿命化する新規な方法を提供する。方法は、金属製冷却プレートがセラミック製の上側プレートにインジウム接着剤を介して取り付けられたチャックを提供する段階と、使用期間の後チャックを分解する段階と、使用済みの金属製冷却プレートを含む新たなチャックを提供する段階とを備える。所定の実施形態では、インジウムを接着剤として用いることにより、チャックのその他の部品を損傷させることなく、上記の分解および再組み立てを行うことが比類なく可能になる。
【0005】
本発明の一側面は、静電チャックを長寿命化する方法に関し、静電チャックは、金属製冷却プレートと、金属製冷却プレートに取り付けられた第1のセラミック製プレートを備え、方法は、使用期間後に、低温処理を実行して、金属製冷却プレートから第1のセラミック製プレートを取り外す段階と、未使用の第2のセラミック製プレートを提供する段階と、第2のセラミック製プレートと金属製冷却プレートとの間に、低温処理により除去可能な接着剤を塗布する段階と、接着剤を固化して、金属製冷却プレート、第2のセラミック製プレート、および金属製冷却プレートと第2のセラミック製プレートとの間の接着部(bond)を有する静電チャックを形成する段階とを備える。所定の実施形態では、接着剤はインジウムを含む。所定の実施形態では、低温処理を実行して、金属製冷却プレートから第1のセラミック製プレートを取り外す段階は、静電チャックを約200℃未満の温度に加熱する段階を有する。所定の実施形態では、接着剤は、約200℃未満の温度に加熱することにより除去可能である。所定の実施形態では、金属製冷却プレートは、平面部分と、平面部分から延伸し、高さが約0.01インチである複数の突起とを有する。接着剤を塗布する段階は、金属製冷却プレートの平面部分に、接着剤を突起の高さまで塗布する段階を有してよい。所定の実施形態では、接着部は、金属製冷却プレートの縁からはみ出さず、金属製冷却プレートの縁から引っ込んでいない。
【0006】
別の側面は、静電チャックを修理する方法に関し、静電チャックは、開口部を有する金属製冷却プレートと、金属製冷却プレートに取り付けられた第1のセラミック製プレートとを備え、方法は、使用期間後に、静電チャックを約200℃未満の温度に加熱して、金属製冷却プレートから第1のセラミック製プレートを取り外す段階と、開口部を有する未使用の第2のセラミック製プレートを提供する段階と、第2のセラミック製プレートの開口部が金属製冷却プレートの開口部と位置合わせされるように、第2のセラミック製プレートを金属製冷却プレートに位置合わせする段階と、金属製冷却プレートと第2のセラミック製プレートとの間にインジウム接着剤を塗布する段階と、インジウム接着剤を固化して、金属製冷却プレートと第2のセラミック製プレートとの間にインジウム接着部(indium bond)を形成する段階とを備え、インジウム接着部は、金属製冷却プレートからはみ出しておらず、第2のセラミック製プレートは、インジウム接着部よりも延伸している。所定の実施形態では、方法は、インジウム接着剤を塗布する前に、金属製冷却プレートの開口部を被覆する段階を備える。所定の実施形態では、第2のセラミック製プレートは、接着剤接触面と接着剤非接触面とを有する。所定の実施形態では、金属製冷却プレートは、平面部分と、平面部分から延伸し、高さが約0.01インチである複数の突起とを有する。所定の実施形態では、方法は、静電チャックを加熱する前に、複数の突起に対して機械加工により適合されているアルミニウムリングを金属製冷却プレートから取り外し、インジウム接着部を形成した後、アルミニウムリングを金属製冷却プレートに再び取り付ける段階をさらに備える。接着剤を塗布する段階は、金属製冷却プレートの平面部分に、突起の高さまで接着剤を塗布する段階を有する。所定の実施形態では、方法は、第2のセラミック製プレートの接着剤接触面に環状のリングを被覆する段階をさらに備え、リングは、第2のセラミック製プレートの縁から約0.1インチの距離延伸している。
【0007】
別の側面は、静電チャックを長寿命化する方法に関する。静電チャックが、金属製冷却プレートと、金属製冷却プレートに取り付けられた第1のセラミック製プレートとを備える所定の実施形態では、方法は、使用期間の後、金属製冷却プレートから第1のセラミック製プレートを取り外す処理を実行する段階と、未使用の第2のセラミック製プレートを提供する段階と、第2のセラミック製プレートと金属製冷却プレートとの間にエラストマー系接着剤を塗布する段階と、エラストマー系接着剤を固化して、金属製冷却プレート、第2のセラミック製プレート、および金属製冷却プレートと第2のセラミック製プレートとの間の接着部(bond)を有する静電チャックを形成する段階とを備える。所定の実施形態では、第2のセラミック製プレートと金属製冷却プレートとの間にエラストマー系接着剤を塗布する段階は、金属製冷却プレートに、約2から4ミルの高さまで接着剤を塗布する段階を有する。金属製冷却プレートから第1のセラミック製プレートを取り外す処理を実行する段階は、第1のセラミック製プレートおよび金属製冷却プレートを少なくとも約250℃の温度まで加熱する段階を有する。金属製冷却プレートから第1のセラミック製プレートを取り外す処理を実行する段階は、第1のセラミック製プレートおよび金属製冷却プレートを少なくとも約300℃の温度まで加熱する段階を有する。
【0008】
これの側面およびその他の側面を以下にさらに記載する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】所定の実施形態に係る静電チャックの修理方法における動作を示すフローチャートである。
【0010】
【図1B】所定の実施形態に係る静電チャックの修理方法における動作を示すフローチャートである。
【0011】
【図2】上側プレートおよび下側プレートを含むチャックアセンブリの等角図である。
【0012】
【図3】分解されたチャックアセンブリの多様な部品を示す分解図である。
【0013】
【図4】未使用の上側プレートおよび使用済みの下側プレートの等角図である。
【0014】
【図5】セラミック製プレートの上面(ウェハ接触面)および下面(接着剤接触面)の被覆を示す。
【0015】
【図6】ボンド高さを制御する3つのスタンドオフを有する下側プレートの概略図である。
【0016】
【図7】修理された混合型アセンブリの断面図を示す簡略な概略図である。
【0017】
【図8】所定の実施形態に係る混合型チャックの試験方法における動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
静電チャックの長寿命化する新規な方法を提供する。所定の実施形態では、本方法は、セラミック製の上側プレートに接着された金属製の下側プレートを含むチャックを受け取る段階を備える。金属製の下側プレートは、冷媒が流通する1つ以上の通路を含む冷却プレートであってよい。セラミック製のプレートは、通常、電極と、処理中に静電力によりウェハがクランプされる上面とを有する。
【0019】
所定の実施形態では、本方法は、インジウム接着剤(indium bonding)によりセラミック製の上側プレートに取り付けられた金属製の冷却プレートを有するチャックを提供し、使用期間の後チャックを分解し、使用した金属製の冷却プレートを含む新しいチャックを提供する段階を備える。所定の実施形態では、インジウムを接着剤の材料として用いることにより、チャックのその他の部品を損傷することなく、上記した分解および再組み立てが、比類なく可能になる。
【0020】
図1Aは、所定の実施形態に係る静電チャックを長寿命化するための方法における所定の動作を示す処理図である。処理は、下側プレートがセラミック製の上側プレートに接着されたものである使用済みチャックアセンブリを提供することにより、開始される(ブロック10)。次に、低温脱接着処理(low temperature debonding process)を実行して上側プレートおよび下側プレートを分離する(ブロック20)。多様な実施形態によると、低温処理は、チャックアセンブリを約250℃もしくは約200℃以下の温度に暴露することを含む。低温脱接着処理を行うことにより、より高温において発生し得る金属製の下側プレートの望まぬ構造的変化が防止される。以下にさらに記載するが、所定の実施形態では、脱接着処理は、チャックアセンブリの温度を約156℃以上、たとえば、約156℃から180℃に上昇させてインジウム接着剤を融解させることを含む。分離した後、下側プレートを洗浄し、新たなセラミック製プレートに接着して、混合型の新たな使用済みチャックアセンブリを作成する(ブロック30)。低温脱接着処理により、金属製の下側プレートは損傷されずにすむ。所定の実施形態では、たとえば、接着剤の削り取り等の機械的分離技術もしくは化学的分離技術をなんら用いることなく、低温脱接着処理を実行する。その他の実施形態では、低温処理は、セラミック製のプレートを破砕してアセンブリから取り除き、その後に接着剤の機械的削り取りおよび/または化学エッチングを実行して、接着剤を除去することを含んでよい。
【0021】
記載したように、所定の実施形態では、脱接着処理は、接着剤を加熱してインジウム接着剤を融解させることを含む。インジウム接着剤を使用することにより、エラストマー接着剤、アルミニウム接着剤等のその他の種類の接着剤に必要とされるよりもずっと低い温度で、破砕によらない脱接着(non−fracturing debonding)を生じさせることができる。図1Bは、所定の実施形態に係る静電チャックを長寿命化させる方法における所定の動作を示す処理図である。処理は、使用可能な寿命期間の末端もしくはその近傍にある使用済み静電チャックを特定の処理に提供することにより、開始される(ブロック101)。処理が平均的になるように、静電チャックは、5千枚から8万枚のウェハを処理したものであってよい。特定の処理および処理の要件によっては、チャックが処理したウェハの枚数は、より少なくても多くてもよい。典型的な処理条件としては、約300℃から600℃の間の温度が挙げられる。
【0022】
図2は、下側プレート201および上側プレート203を含むチャックアセンブリ200の等角図である。使用時に、ウェハは上側プレート203の上面(不図示)に載置される。上側プレート203は、セラミック材料から形成され、ウェハを静電チャック200に静電的に固着させるためのクランプ電圧を受け取る電極アセンブリ(不図示)を含む。
【0023】
下側プレート201は、金属、通常は銅から形成されるが、真ちゅうもしくはその他の材料を用いてもよく、チャックを冷却するべく冷媒、通常は水が通過する1つ以上の通路211を有する。開口部204は、裏面側ガス送達路であり、セラミック製のプレート203の同様の位置に設けられた開口部(不図示)へと延伸するサファイアピン(不図示)を収容してもよい。ピンは、セラミック製のプレート203の上面までは延伸せず、基板温度測定システムで用いられてよい。ピン215は、RFおよびDCバイアスピンを含んでよい。下側プレート201は、セラミック製のプレート203に接着されている。アセンブリ200は、下側プレート201の周囲にぴったりと装着されたアルミニウムリング207をさらに有する。Oリング209によって、アルミニウムリング207と下側プレート201との間の密着した位置合わせが促される。
【0024】
図1Bに戻ると、1つ以上の不具合のメカニズムが、この時点での静電チャックに関連付けられ得る。処理の不均一性により、不均一な局所領域がプレート203の上面に形成されているかもしれない。多くの場合、下側プレート201と上側プレート203との間の接着剤が漏出することにより、チャック全体で接着剤が不均一になり、その結果、チャック高さが不均一になる。静電チャックを修理する従来の方法は、プレート203の表面を機械加工して、不均一な局所領域を除去する段階を備える。しかし、これにより、初期の不具合が生じたり、均一性が乏しくなったりすることが分かっている。この原因の一つが上記の漏出であると考えられており、これは従来の修理技術では対処されない。
【0025】
次に、Oリング、アルミニウムリング、およびその他の取り付け金具(installation hardware)を取り外してチャックアセンブリを分解する(ブロック103)。アルミニウムリングは、下側プレートに密装されており、下側プレートの寿命期間全体を通してそこに結合される(ブロック105)。
【0026】
図3は、分解後のチャックアセンブリの多様な部品を示す分解図であり、アルミニウムリング309、Oリング307、および下側/上側プレートアセンブリ310を含む。出荷カバー312も示されている。組み立てられた部品を互いに保持するピンに加え、アセンブリは、RFおよびDCバイアスピン315を含んでいる。図1に戻ると、図3に示されるような損傷していないピン、コネクタ、リング等の再使用し得るその他の部品とともに、アルミニウムリングを取りのけておく。さらに以下に記載するが、アルミニウムリングは、下側プレートと密装されるセットを形成しており、下側プレートと上側プレートとの間の接着剤の高さ、およびチャックアセンブリ全体の高さを制御する下側プレート上のスタンドオフの寸法に適合するように精密に機械加工されている。密装されるアルミニウムリングは、後に新たなチャックアセンブリを組み立てるべく取っておかれる。
【0027】
この段階では、接着された上側プレートおよび下側プレート(図3の310)が残っている。次に、十分な熱を加えてインジウムを融解させる(ブロック106)。インジウムの融点は、約156℃であり、下側プレートに影響を及ぼすことなくアセンブリを加熱するのに十分な低温である。たとえば、エラストマー接着剤は、それよりも大幅に高い温度(たとえば、250℃以上、たとえば300℃)に加熱しなければならず、金属製プレートから接着剤を削り取って接着剤を除去する等の追加的な物理的動作が必要であるかもしれない。このような温度では、銅製プレートはアニーリングされてしまうかも知れず、それによりプレートはその許容誤差を越えて変形され、処理が不均一となってしまう可能性がある。
【0028】
脱接着の後、セラミック製の上側プレートおよび金属製の下側プレートを分離する(ブロック107)。インジウムを金属製プレートから除去し、金属製プレートを洗浄する(ブロック109)。その他の実施形態では、任意にインジウムを金属製プレートに残しておいて、新たなセラミック製プレートを接着するのに使用する。除去する場合は、インジウムは処分しても、その後の接着処理で再使用するべく取っておいてもよい。その他の接着剤とは異なり、インジウムは低温で液化するので、残った固体材料を取り除くことなく、拭き取りもしくはその他の方法で簡単に除去することができる。金属製プレートの洗浄は任意である。所定の実施形態では、冷媒通路に蓄積物がないかを確認し、妨害物があれば除去する。次に、なんらの半導体製造処理工程も経ていない未使用のセラミック製プレートを用意する(ブロック111)。図4は、未使用のセラミック製プレート403および下側プレート401を示す。未使用のセラミック製プレート403は、下側プレート401の開口部404と位置合わせされた裏面側ガス送達用の開口部423を有する。未使用のセラミック製プレート403は、使用済み金属製プレート401の対応する開口部と位置合わせされる位置合わせ用の開口部425を有する。次に、未使用のセラミック製プレートを被覆する(ブロック115)。図5は、セラミック製プレートの上面(ウェハ支持面)505およびセラミック製プレートの下面507を示し、黒色部はプレートの被覆部を示す。上面505の全体が被覆され、下面の開口部523および525、並びにプレートの側縁(不図示)も被覆されている。所定の実施形態では、下面507の縁部領域527も被覆され、セラミック製プレートが下側プレートおよびインジウム接着剤に組み立てられたときに下側プレートからの接着剤のはみ出しが防止される。多様な実施形態において、縁部領域527の幅は、少なくとも約0.05インチ、少なくとも約0.1インチ、少なくとも約0.15インチ、または0.19インチであってよい。
【0029】
金属製プレートも必要に応じて被覆し、その上面の開口部を保護してよい。次に、PVD、CVD、もしくはその他の適切な処理により、湿潤層(wetting layer)を金属製プレートに塗布する(ブロック117)。多様な実施形態において、湿潤層は、裏面側の金属化層もしくは湿潤層であってよい。湿潤層は、金属製プレートの上面の縁に塗布される。次に、通常はペースト状のインジウムを、0.01インチ(10ミル)の高さまで塗布する。そうするべく、金属製プレートの上面の0.01インチ高さのスタンドオフの高さまでインジウムを塗布する(ブロック119)。図6は、3つのスタンドオフ626を有する下側プレート601の概略図を示す。スタンドオフは、インジウム接着剤の厚さを制御する。図2および図3を参照して上記したアルミニウムリングは、金属製プレートおよびスタンドオフに合わせられ、通常、同時に機械加工されてスタンドオフに正確に合わせられる。適合しない部品を使用すると、正確に合わさらず、ウェハに不均一性が生じる。
【0030】
インジウムの熱伝導率が高いので、約10ミルの接着剤高さは許容されるが、たとえばエラストマー接着剤であれば、約2から4ミルである必要がある。インジウム接着剤を金属製プレートの縁に塗布する。次に、未使用のセラミック製プレートを載置して接着剤に接触させ、使用済み/未使用の混合型チャックアセンブリを組み立てる(ブロック121)。インジウム接着剤は、金属製プレートの縁から引っ込んだりはみ出たりしないよう厳密に制御される。所定の実施形態では、図5に示すようにセラミック製プレートの下面の縁部領域527を被覆することにより、この制御は簡単になる。
【0031】
次に、アセンブリを冷却して接着剤を整形することで、混合型チャックの組み立てが完了する(ブロック123)。次に、被覆物を除去する。図7は、接合点における混合型アセンブリの簡略な原寸に比例しない概略図であり、未使用のセラミック製プレート703、使用済み金属製プレート701、およびインジウム接着剤730を含む。インジウム接着剤730は、金属製プレート701の縁まで延在しており、縁から引っ込んでもはみ出してもいない。未使用のセラミック製プレート703の縁は、インジウム接着剤730の縁から、たとえば約0.19インチはみ出している。その他の実施形態では、セラミック製プレートは、インジウム接着剤の縁までの大きさであってよい。
【0032】
所定の実施形態では、図示のアセンブリの高さは、約1.2から1.3インチ、たとえば1.25から1.27インチであり、インジウム接着剤の厚さは約0.01インチである。一例では、セラミック製プレートの直径は約7.794インチであり、金属製プレートの直径は約7.424インチである。
【0033】
図3に戻ると、次に、Oリング307を定位置に設置し、適合するアルミニウムリング309も定位置に設置する。次に、電力ピン(power pins)およびその他のピンを交換し、アルミニウムリングを定位置にボルト締めする。これは、図1Bのブロック125に図示されている。その結果の未使用のセラミック製プレートとのアセンブリは、図2に図示される通りである。アルミニウムリングのボルトにより、金属製プレートにセラミック製プレートから離間する圧力がかかるが、インジウム接着剤により、この力に抗してセラミック製プレートおよび金属製プレートが互いに保持される。インジウム接着剤は、アセンブリに対してこのように付加される圧力の大半を吸収する。次にアセンブリを試験する(ブロック127)。
【0034】
図8は、所定の実施形態に係る混合型静電チャックの試験方法における所定の動作を示す処理図である。最初にチャックを手作業および視認により検査する(ブロック810)。視認検査を実行して、亀裂、欠け、擦過痕、もしくは変色を確かめる。機械検査では、ウェハ支持面およびその他の面の平坦性の評価、平行面の平行性の評価、チャックの全体厚さの測定、および電極の耐電圧の測定を行ってよい。次に、漏れ試験を実行する(ブロック815)。この試験では、チャックを真空チャンバ内に設置して、ヘリウム流をチャックの下面に適用する。漏れチェッカを用いて、真空チャンバへのヘリウムの漏れを確認する。次に、クランプ力試験を実行する(ブロック820)。この試験では、静電チャックを真空チャンバ内に設置し、ウェハをチャックに載置する。DC電圧を印加してウェハをクランプする。ガスをウェハの下面に吹き付けた場合、下面にガスが吹き付けられて、下面の流れが所定量(たとえば、5sccm)を超えて変化し、もしくはウェハが浮揚するのが観察されれば、クランプ力があまり強くないことを示す。次に、ウェハのポップオフ試験(wafer pop−off test)を実行してよい(ブロック830)。この試験では、下面ガスを、ウェハがチャックから外れ飛ぶ(pop off)まで圧力を上昇させて適用する。
【0035】
その他の実施形態 その他の実施形態では、エラストマー接着剤またはアルミニウム接着剤を含む静電チャックに上記の処理を適用する。たとえば、所定の実施形態では、図1を参照して上記したように、使用期間後のチャックを用意する。しかし、これらの実施形態では、セラミック製プレートおよび金属製プレートは、エラストマー接着剤を介して接着されている。所定の実施形態では、高温(たとえば、250℃超)の脱接着処理を用いてセラミック製プレートおよび金属製プレートを分離する。その他の実施形態では、たとえば、セラミック製プレートを取り除き(break off)、チッピング、粉砕(breaking)等により接着剤を除去する等の機械的力によってセラミック製プレートおよび金属製プレートを分類する。所定の実施形態では、脱接着処理は、接着剤の加熱およびチッピングの両方を含む。次に、未使用のセラミック製プレートを提供し、金属製プレートに接着して、図7に示される混合型チャックアセンブリを作成する。エラストマー接着剤の接着剤厚は、約数ミルである。多様な実施形態によると、金属製プレートは、接着剤を形成するべく、この高さのスタンドオフを有する場合も、有さない場合もある。
【0036】
さらにその他の実施形態では、インジウム接着剤を含むチャックを修理してエラストマー接着剤を含ませてよい。これらの実施形態では、使用済みチャックを用意して、上記のように低温脱接着処理を施す。次に、エラストマー接着剤を用いて未使用のセラミック製プレートを使用済み金属製プレートに接着する。金属製プレートが上記のように接着剤高さを制御するスタンドオフを有する場合、これらを除去したり、機械加工して適切なエラストマー接着剤の高さまで減らしたりする処理を行う。
【0037】
本発明を好適な実施形態を参照して記載したが、当業者には、発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態および詳細に変更を加えうることは理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製冷却プレート、および当該金属製冷却プレートに取り付けられた第1のセラミック製プレートを備えた静電チャックを長寿命化する方法であって、
使用期間後に、低温処理を実行して、前記金属製冷却プレートから前記第1のセラミック製プレートを取り外す段階と、
未使用の第2のセラミック製プレートを提供する段階と、
前記第2のセラミック製プレートと前記金属製冷却プレートとの間に、低温処理により除去可能な接着剤を塗布する段階と、
前記接着剤を固化して、前記金属製冷却プレート、前記第2のセラミック製プレート、および前記金属製冷却プレートと前記第2のセラミック製プレートとの間の接着部(bond)を有する静電チャックを形成する段階と
を備える方法。
【請求項2】
前記低温処理を実行して、前記金属製冷却プレートから前記第1のセラミック製プレートを取り外す段階は、前記静電チャックを約200℃未満の温度に加熱する段階を有する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記接着剤は、インジウムを含む請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記接着剤は、約200℃未満の温度に加熱することにより除去可能である請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記金属製冷却プレートは、平面部分と、前記平面部分から延伸し、高さが約0.01インチである複数の突起とを有する請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記接着剤を塗布する段階は、前記金属製冷却プレートの前記平面部分に、接着剤を前記複数の突起の高さまで塗布する段階を有する請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記接着部は、前記金属製冷却プレートの縁からはみ出さず、前記金属製冷却プレートの前記縁から引っ込んでいない請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
開口部を有する金属製冷却プレート、および当該金属製冷却プレートに取り付けられた第1のセラミック製プレートを備えた静電チャックを修理する方法であって、
使用期間後に、前記静電チャックを約200℃未満の温度に加熱して、前記金属製冷却プレートから前記第1のセラミック製プレートを取り外す段階と、
開口部を有する未使用の第2のセラミック製プレートを提供する段階と、
前記第2のセラミック製プレートの前記開口部が前記金属製冷却プレートの前記開口部と位置合わせされるように、前記第2のセラミック製プレートを前記金属製冷却プレートに位置合わせする段階と、
前記金属製冷却プレートと前記第2のセラミック製プレートとの間にインジウム接着剤を塗布する段階と、
前記インジウム接着剤を固化して、前記金属製冷却プレートと前記第2のセラミック製プレートとの間にインジウム接着部(indium bond)を形成する段階と
を備え、
前記インジウム接着部は、前記金属製冷却プレートからはみ出しておらず、前記第2のセラミック製プレートは、前記インジウム接着部よりも延伸している
方法。
【請求項9】
前記インジウム接着剤を塗布する前に、前記金属製冷却プレートの前記開口部を被覆する段階をさらに備える請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2のセラミック製プレートは、接着剤接触面と接着剤非接触面とを有する請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記金属製冷却プレートは、平面部分と、前記平面部分から延伸し、高さが約0.01インチである複数の突起とを有する請求項8から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記静電チャックを加熱する前に、前記複数の突起に対して機械加工により適合されているアルミニウムリングを前記金属製冷却プレートから取り外し、前記インジウム接着部を形成した後、前記アルミニウムリングを前記金属製冷却プレートに再び取り付ける段階をさらに備える請求項11に記載の方法。
【請求項13】
接着剤を塗布する段階は、前記金属製冷却プレートの前記平面部分に、前記複数の突起の高さまで前記接着剤を塗布する段階を有する請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第2のセラミック製プレートの前記接着剤接触面に環状のリングを被覆する段階をさらに備え、前記リングは、前記第2のセラミック製プレートの縁から少なくとも約0.1インチの距離延伸している請求項10から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
金属製冷却プレート、および当該金属製冷却プレートに取り付けられた第1のセラミック製プレートを備えた静電チャックを長寿命化する方法であって、
使用期間の後、前記金属製冷却プレートから前記第1のセラミック製プレートを取り外す処理を実行する段階と、
未使用の第2のセラミック製プレートを提供する段階と、
前記第2のセラミック製プレートと前記金属製冷却プレートとの間にエラストマー系接着剤を塗布する段階と、
前記エラストマー系接着剤を固化して、前記金属製冷却プレート、前記第2のセラミック製プレート、および前記金属製冷却プレートと前記第2のセラミック製プレートとの間の接着部(bond)を有する静電チャックを形成する段階と
を備える方法。
【請求項16】
前記第2のセラミック製プレートと前記金属製冷却プレートとの間にエラストマー系接着剤を塗布する段階は、前記金属製冷却プレートに、約2から4ミルの高さまで接着剤を塗布する段階を有する請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記金属製冷却プレートから前記第1のセラミック製プレートを取り外す処理を実行する段階は、前記第1のセラミック製プレートおよび前記金属製冷却プレートを少なくとも約250℃の温度まで加熱する段階を有する請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記金属製冷却プレートから前記第1のセラミック製プレートを取り外す処理を実行する段階は、前記第1のセラミック製プレートおよび前記金属製冷却プレートを少なくとも約300℃の温度まで加熱する段階を有する請求項15から17のいずれか1項に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−516084(P2013−516084A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547130(P2012−547130)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/061348
【国際公開番号】WO2011/090650
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(512159362)ノベルス・システムズ・インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】