説明

静電フィルタ装置

【課題】従来の静電フィルタは、粒径の大小に依らず全ての粉塵を集塵することを目的に作製されていた。また、捕捉した粉塵が脱離して再飛散する可能性に対する対策が講じられていなかった。
【解決手段】導電性を有する導電繊維1と、導電繊維1の表面が絶縁体2で被覆された絶縁繊維3と、導電繊維1と絶縁繊維3の間に電位を印加する電圧電源4とを備えてなる静電フィルタ装置5において、導電繊維1と絶縁繊維3の線径を100から300μm、配置間隔を50から300μmにすることにより、100から400Vの電圧印加で花粉をはじめとする粒径10から50μmの粉塵を効率的に集塵し、集塵後にアレルゲン不活化物質により不活化することで、再飛散した場合にも人体に与える悪影響を低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉塵を捕捉する空気清浄装置に使用される静電フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の静電フィルタは、ワイヤーメッシュとして電気絶縁材のフェラメントを十字形模様に形成した静電フィルタが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、その静電フィルタについて図6を参照しながら説明する。
【0004】
図6に示すように、ワイヤーメッシュ101は、電気的に絶縁された導電性のワイヤー102と十字形に位置した電気的に絶縁された導電性のワイヤー103とで構成され、ワイヤー102をセットとして導電性母線104とワイヤー103をセットとして導電性母線105とで結合されている。導電性母線104と導電性母線105には、交流電圧供給源106が接続され、交流電圧供給源106より電圧が印加され、導電性のワイヤー102と導電性のワイヤー103に通電され、導電性のワイヤー102と導電性のワイヤー103の間に電位が保たれ、ワイヤーメッシュ101を通過する帯電した粒子が導電性のワイヤー102と導電性のワイヤー103に付着する。
【特許文献1】特許第2905036号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来の静電フィルタは、大気塵のように粒径が小さく、かつ帯電量の低い、すなわち集塵し辛い粉塵を捕捉するためのスペックが与えられていたために、粒径が大きく、帯電量の高い粉塵を集塵するには過剰性能であるという課題があり、粒径の大きい粉塵を選択的に捕捉する技術が要求されていた。
【0006】
また、捕捉した粉塵に含まれるアレルゲン物質を不活化する手段を持ち合わせていないために、フィルタから脱離して再飛散した際には、人間に悪影響を与えるという課題があり、これを予防する技術が要求されていた。
【0007】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、粒径が大きい粉塵のみを選択的に捕捉することができ、また、捕捉した粉塵に含まれるアレルゲン物質を不活化することのできる静電フィルタ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の静電フィルタ装置は、導電性を有する導電繊維と、導電繊維の表面が絶縁体で被覆された絶縁繊維と、導電繊維と絶縁繊維の間に電位を印加する電圧電源とを備え、導電繊維と絶縁繊維の線径が100から300μmで、かつ導電繊維と絶縁繊維の配置間隔が50から300μmとしたものである。
【0009】
この手段により、粒径10から50μmの粉塵を選択的に集塵することができる静電フィルタ装置が得られる。
【0010】
また、他の手段は、導電繊維と絶縁繊維の線径φと、導電繊維と絶縁繊維の配置間隔dがφ≧8.42d2を満たすものである。
【0011】
この手段により、粒径10から50μmの粉塵を70%以上という高い集塵効率で捕捉することのできる静電フィルタ装置が得られる。
【0012】
また、他の手段は、導電繊維と絶縁繊維とが平行かつ一本ずつ相互に配された構造としたものである。
【0013】
この手段により、捕捉した粉塵の保持量を高めた静電フィルタ装置が得られる。
【0014】
また、他の手段は、導電繊維と絶縁繊維とが十字状に交差したメッシュ構造であり、導電繊維と絶縁繊維は平行かつ一本ずつ相互に配された構造としたものである。
【0015】
この手段により、捕捉した粉塵の保持量をさらに高めた静電フィルタ装置が得られる。
【0016】
また、他の手段は、導電繊維が銅を含む金属からなるものである。
【0017】
この手段により、粉塵の捕捉部位に偏りがなく、フィルタ面に一様に集塵できる静電フィルタ装置が得られる。
【0018】
また、他の手段は、導電繊維に被覆した絶縁体がポリエステル、ポリウレタンであるものである。
【0019】
この手段により、絶縁破壊を予防し、安全に運転することができる静電フィルタ装置が得られる。
【0020】
また、他の手段は、電圧電源の出力が100から200Vであるものである。
【0021】
この手段により、効率的に粒径の大きい粉塵を捕捉できると同時に、絶縁体の絶縁破壊を予防し、安全に運転することができる静電フィルタ装置が得られる。
【0022】
また、他の手段は、導電繊維と絶縁繊維の間を通過する風速が0.01から1m/sであるものである。
【0023】
この手段により、効率的に粒径の大きい粉塵を捕捉できると同時に、この範囲の風速を持つ様々な空気清浄装置に組み込みやすい静電フィルタ装置が得られる。
【0024】
また、他の手段は、絶縁繊維に被覆した絶縁体の表面にアレルゲン不活化物質を添着するものである。
【0025】
この手段により、捕捉した粉塵に含まれるアレルゲン物質を不活化することのできる静電フィルタ装置が得られる。
【0026】
また、他の手段は、電圧電源により導電繊維を絶縁繊維よりも高い電位にするものである。
【0027】
この手段により、粉塵を絶縁繊維上に多く捕捉することができ、アレルゲン不活効果を高めた静電フィルタ装置が得られる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、集塵対象である粒径10から50μmといった大きい粉塵を高効率で集塵することができる。空気中には10μm以下の大きさの粉塵が圧倒的に多く、これらの粉塵は、本発明の静電フィルタに捕捉されることがないため、フィルタの目詰まりが起こりにくく、常に粒径10から50μmの粉塵のみを捕捉するプレフィルタとしての効果のある静電フィルタ装置を提供できる。
【0029】
また、捕捉した粉塵に含まれるアレルゲン物質を不活化することができるため、仮に捕捉した粉塵がフィルタから脱離して再飛散した場合においても、人間に与える悪影響を低減するという効果のある静電フィルタ装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明の請求項1に記載の静電フィルタ装置は、導電性を有する導電繊維と、導電繊維の表面が絶縁体で被覆された絶縁繊維と、導電繊維と絶縁繊維の間に電位を印加する電圧電源とを備え、導電繊維と絶縁繊維の線径が100から300μmで、かつ導電繊維と絶縁繊維の配置間隔が50から300μmとしたものであり、粒径10から50μmの粉塵を集塵するとしたものであり、電圧電源により導電繊維と絶縁繊維の間に電位差を与えることで、電界が形成される。
【0031】
10から50μmの粉塵は空気中での帯電量が大きいために、電界によるクーロン力を受け、導電繊維または絶縁繊維に引き寄せられた結果、約半数以上が捕捉されるという作用を有する。
【0032】
また線径100から300μmの導電繊維、絶縁繊維は、柔軟性に富み、非常に加工がしやすく、フィルタの形成が容易であるという作用を有する。また、導電繊維と絶縁繊維の配置間隔が50から300μmは、電圧電源による低電圧の印加でも高い電界を生成することができ、それにより粉塵がクーロン力を受けた結果、集塵が達成されるという作用を有する。
【0033】
また、請求項2に記載の静電フィルタ装置は、導電繊維と絶縁繊維の線径φとそれらの配置間隔dがφ≧8.42d2の関係を満たしたものであり、粒径10から50μmの粉塵を70%以上の集塵効率で集塵できるという作用を有する。
【0034】
また、請求項3に記載の静電フィルタ装置は、導電繊維と絶縁繊維とが平行かつ一本ずつ相互に配された構造としたものであり、導電繊維、絶縁繊維からなる電極間の距離が一定、すなわち電界強度が一様な分布となるため、電極における粉塵の捕捉部位に偏りのない一様な集塵が見込まれる。結果的に、粉塵保持能を高めるという作用を有する。
【0035】
また、請求項4に記載の静電フィルタ装置は、導電繊維と絶縁繊維とが十字状に交差したメッシュ構造であり、導電繊維と絶縁繊維は平行かつ一本ずつ相互に配された構造としてものであり、電極表面積が大きいため、粉塵保持能のさらなる向上が見込まれるという作用を有する。また、電極面積が大きくなることから、粉塵の物理的吸着といった機械的集塵の効率も上昇するという作用を有する。
【0036】
また、請求項5に記載の静電フィルタ装置は、導電繊維が銅を含むフィラメントからなるものであり、導電体の中でも比較的内部抵抗値の低い銅を含む金属を電極として用いることで、電極内における電圧分布を一様にすることができ、結果的にフィルタ面に一様に粉塵を捕捉できるため、粉塵保持量を高めるという作用を有する。また、銅の抗菌作用により、捕捉した粉塵に付着した微生物を殺菌することができるという作用を有する。
【0037】
また、請求項6に記載の静電フィルタ装置は、絶縁繊維に被覆した絶縁体がポリエステル、ポリウレタンのいずれかから選択されるものであり、導電繊維の絶縁破壊を避けると同時に導電繊維と絶縁繊維の間の導通を避けて安全に運転できるという作用を有する。
【0038】
また、請求項7、8に記載の静電フィルタ装置は、電圧電源の出力が100から200V、風速が0.01から1m/sであるとしたものであり、これらの条件により、粒径10から50μmの粉塵を効率的かつ安全に集塵するという作用を有する。また、これらの条件は多くの空気清浄装置に一般的であるため、様々な空気清浄機器への組み込み性が高いという作用を有する。
【0039】
また、請求項9に記載の静電フィルタ装置は、絶縁繊維に被覆した絶縁体の表面にアレルゲン不活化物質を添着するものであり、絶縁繊維上に捕捉された10から50μmの粉塵に含まれる花粉やダニの死骸といったアレルゲン物質を不活化させるという作用を有する。
【0040】
また、請求項10に記載の静電フィルタ装置は、電圧電源により導電繊維を絶縁繊維よりも高い電位にするものであり、空気中で粉塵のほとんどはプラスに帯電していることから、それらは絶縁繊維上に捕捉されるため、粉塵に含まれるアレルゲン物質と絶縁繊維上のアレルゲン不活化物質との接触確率を高めるという作用を有する。
【0041】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0042】
(実施の形態1)
図1に、導電性を有する導電繊維1と、導電繊維1の表面が絶縁体2で被覆された絶縁繊維3と、導電繊維1と絶縁繊維3の間に電位を印加する電圧電源4とを備えた本発明の静電フィルタ装置5を示す。
【0043】
本発明の静電フィルタ装置5による粉塵の集塵は、電圧電源4により導電繊維1と絶縁繊維3の間に電位差を与えることで、電界が形成され、それにより帯電した粉塵はクーロン力を受けることにより、捕捉されることとなる。集塵対象となる粉塵は、粒径10から50μmに限り、このような粉塵は割合は少ないものの、大気中に存在する。
【0044】
図1の構成において、導電繊維1は銅を含む金属である。銅は電気抵抗値の低い金属であるため、銅のみで構成された線を導電繊維1に用いると、電圧電源4で印加した電圧値をほとんど損失することなくフィルタ前面に付与することができる。加えて、銅は抗菌作用が示唆されていることから、導電繊維に付着した粉塵に含まれる微生物を殺菌することが可能となり、本発明の静電フィルタ装置5の付加価値を高めることができる。
【0045】
銅以外では、銀やアルミニウムも電気抵抗値が低いため、導電繊維1として使用可能であるが上記のような銅の特性に加え、価格も考慮すると、銅を含む方が好ましい。また、導電繊維1は、単線、撚り線は問わないが、粉塵の保持量を考えると、撚り線を用いた方が好ましい。
【0046】
絶縁体2はポリエステル、ポリウレタンを用いることで、導電繊維1、絶縁繊維3間の導通を回避することができる。ポリエステル、ポリウレタン以外では、エナメルやフッ素樹脂、マイカを使用することも可能であるが、価格や作り易さ、耐久性を考慮するとポリエステルまたはポリウレタンが好ましい。また、絶縁体2として、チタン酸バリウムに代表される強誘電体を用いると、集塵効率を高められると考えられるが、導電繊維1表面に薄膜状のコーティングを作製することは非常に難しい。
【0047】
絶縁繊維3は、導電繊維1の表面を絶縁体2で被覆したものであり、被覆方法は、コーティングやらせん状に巻き付ける紡績手法を採用しても良い。絶縁繊維3中の導線繊維1は、導電繊維1単体のものと同じ線径である必要はない。しかし、本発明の静電フィルタを作製する際には、導電繊維1と絶縁繊維3は同じ太さのものを用いた方が作製し易いため好ましい。また、絶縁体2の被覆厚さは絶縁破壊に至らない値であれば良い。
【0048】
電圧電源4は、導電繊維1と絶縁繊維3との間に電位差を与えるものであり、導線6で導電繊維1と絶縁繊維3に接続されている。出力方法は交流/直流どちらでも良いが、交流を用いた方が粉塵の集塵効率が高いため効果的である。
【0049】
(実施の形態2)
図2または図3に、導電性を有する導電繊維1と絶縁繊維3の構成の拡大図を示す。
【0050】
図2は、導電繊維1と絶縁繊維3とが平行かつ一本ずつ相互に配された構造である。本発明は、導電繊維1、絶縁繊維3の間に電位差を与え、生成する電界が帯電した粉塵に与えるクーロン力により粉塵を捕捉するものであり、電界強度は電位差を電極間距離で除した値であることを考慮すると、電極間距離はできるだけ狭めた方が効果的である。また、導電繊維1と絶縁繊維3とが平行であるため、フィルタ前面に一様な電界が生成されるため、粉塵の捕捉部位に偏りが出るのを防止することができる。
【0051】
図3は、導電繊維1と絶縁繊維3とが十字状に交差したメッシュ構造であり、導電繊維1と絶縁繊維3が平行かつ一本ずつ相互に配された構造である。この場合も、上記と同様の理論で集塵が達成されることとなるが、導電繊維1と絶縁繊維3の総表面積が大きいため、粉塵保持量が高いことが特徴である。
【0052】
図2、図3の構成は線径100から300μmの導電繊維、絶縁繊維で配置間隔50から300μmに設定されるべきである。ここで、配置間隔は図2、図3中のAで示す部分の距離を示す。線径100から300μmの導電繊維、絶縁繊維は非常に柔軟性に富み、配置間隔50から300μmに配置することが可能となる。図2や図3に示す構成は、自動編み機を用いて作製されるが、線径が100μm以下の場合、強度の低さから、配置間隔50から100μmでの作製は困難である。逆に、線径が300μmを越える場合、導電繊維1の柔軟性が下がるため、上記の配置間隔での作製は困難である。
【0053】
ここで図4に、導電繊維、絶縁繊維の線径300μm、配置間隔250μmとし、粒径10μm、帯電量10-15Cの粉塵の集塵効率を電圧電源4の出力値をパラメータとして検討した結果を示す。この結果から、電圧電源4の出力値が100V以上であれば、集塵効率90%を達成でき、空気質の改善に大きく寄与できる。より集塵効率を高める必要がある場合には、電圧電源4の出力値を200Vに高めることで、ほぼ100%の集塵効率を達成できる。
【0054】
よって電圧電源4の出力値は100〜200Vとするのが好ましい。200Vを越えてもほぼ100%の集塵効率を達成できるが、安全面から200V以下が好ましい。
【0055】
(実施の形態3)
請求項1に記載の導電繊維1、絶縁繊維3の線型100から300μm、配置間隔50から300μmは集塵効率約50%であるが、より精度の高い静電フィル装置を作製するべく、以下の検討を行った。
【0056】
図5に10から50μmの粉塵の主たる例である花粉の模擬粒子として石松子(比重1.05g/cm3、粒径35μm)を用いて行った本発明の静電フィルタ装置5の集塵検討結果を示す。
【0057】
電圧電源の出力値を100V、風速1m/sとし、導電繊維1、絶縁繊維3の線径と配置間隔を変化させて実験を行った。その結果、各線径、配置間隔における集塵効率が得られた。そして、各集塵効率に対応する線径、配置間隔の組み合わせを電気集塵の理論式であるドルチェの式で近似した。ここで、石松子の帯電量は事前の検討から得られた10-15Cを用いた。集塵効率90%、80%、70%を達成できる導電繊維1、絶縁繊維3の線径と配置間隔の関係の近似式を図5に示す。図5に示す集塵効率70%を示す線は、導電繊維、絶縁繊維の線径をφ、配置間隔をdとすると、φ=8.42d2で表すことができる。よって、φ≧8.42d2を満たすことで、集塵効率70%以上が達成されることから、より高品質の静電フィルタ装置が得られる。
【0058】
また、図5中のAで示す部分は、請求項1に記載の導電繊維1、絶縁繊維3の線型100から300μm、配置間隔50から300μmで集塵効率約50%を達成できる領域を示している。
【0059】
(実施の形態4)
粉塵は空気中で正に帯電していると言われており、電圧電源4により導電繊維1を絶縁繊維3よりも高い電圧にせしめることにより、粉塵は主に絶縁繊維3の表面に捕捉される。よって、絶縁繊維3の表面にアレルゲン不活化物質(図示せず)を添着しておくことで、捕捉した粉塵のアレルゲン物質を不活化することができる。
【0060】
アレルゲン物質には、スギ、ヒノキ、ブタクサ、マツ、イネ、シラカバ、ハンノキ、ヤシャブシ、オバヤシャブシといった花粉やダニの死骸、動物の表皮や毛、ホコリといった粉塵がこれに該当する。アレルゲン物質が人間の体内に取りこまれると、免疫反応により抗体が作られ、細胞に付着し、この抗体の付着した細胞がアレルゲンと結合することにより、細胞からヒスタミンなどの物質を放出され、炎症を引き起こす可能性がある。
【0061】
アレルゲン不活化物質は、花粉やダニ、動物の表皮といったアレルゲン物質を含む媒体と接触してアレルゲン物質を分解または、囲い込みにより抗原抗体反応を抑制する作用を有する物質であれば良く、例えば、フェノール系ポリマーやフェノールオリゴマー、酵素、植物抽出物、光触媒、フタロシアニンが挙げられる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の静電フィルタ装置を用いて花粉に代表される10から50μmの粒径を持つ粉塵のみを効果的に集塵することができる。集塵した花粉はフィルタ上で不活化されるため、フィルタから脱離した場合も人間に与える悪影響を低減することができる。本発明のフィルタ装置を例えば、空気清浄機や除湿機、加湿器、換気扇やエアコン、掃除機、衣類乾燥機といった家電製品、また工場のクリーンルームの入り口に組み込むことで、空質を改善に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施の形態1の静電フィルタ装置の構成を示す図
【図2】本発明の実施の形態2の静電フィルタ装置の拡大図
【図3】本発明の実施の形態2の静電フィルタ装置の第二の拡大図
【図4】本発明の実施の形態3の印加電圧と集塵効率の関係を示すグラフ
【図5】本発明の実施の形態3の導電/絶縁繊維の線径と配置間隔と集塵効率の関係を示すグラフ
【図6】従来の静電フィルタの構成を示す図
【符号の説明】
【0064】
1 導電繊維
2 絶縁体
3 絶縁繊維
4 電圧電源
5 静電フィルタ装置
6 導線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒径10から50μmの粉塵を集塵する静電フィルタ装置であって、導電性を有する導電繊維と、導電繊維の表面が絶縁体で被覆された絶縁繊維と、前記導電繊維と前記絶縁繊維の間に電位を印加する電圧電源とを備え、前記導電繊維と絶縁繊維の線径が100から300μmで、かつ前記導電繊維と前記絶縁繊維の配置間隔が50から300μmであることを特徴とする静電フィルタ装置。
【請求項2】
前記導電繊維と前記絶縁繊維の線径φと、前記導電繊維と前記絶縁繊維の配置間隔dが下記式(1)の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の静電フィルタ装置。
【数1】

【請求項3】
前記導電繊維と前記絶縁繊維とが平行かつ一本ずつ相互に配された構造であることを特徴とする請求項1または2に記載の静電フィルタ装置。
【請求項4】
前記導電繊維と前記絶縁繊維とが十字状に交差したメッシュ構造であり、前記導電繊維と前記絶縁繊維は平行かつ一本ずつ相互に配された構造であることを特徴とする請求項1または2に記載の静電フィルタ装置。
【請求項5】
前記導電繊維は銅を含む金属からなることを特徴とする請求項1から4いずれか1項に記載の静電フィルタ装置。
【請求項6】
前記導電繊維に被覆した絶縁体がポリエステル、ポリウレタンのいずれかから選択されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の静電フィルタ装置。
【請求項7】
前記電圧電源の出力が100から200Vであることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の静電フィルタ装置。
【請求項8】
前記導電繊維と前記絶縁繊維の間を通過する風速が0.01から1m/sであることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の静電フィルタ装置。
【請求項9】
前記絶縁繊維に被覆した絶縁体の表面にアレルゲン不活化物質を添着することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の静電フィルタ装置。
【請求項10】
前記電圧電源により導電繊維を絶縁繊維よりも高い電位にすることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の静電フィルタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−165974(P2009−165974A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−7709(P2008−7709)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】