説明

静電容量型入力装置および入力機能付き表示装置

【課題】簡素な構成で、透光性基板上の透光性電極パターンを目立たなくすることのできる静電容量型入力装置、および入力機能付き表示装置を提供すること。
【解決手段】入力装置付き表示装置100の入力装置10は静電容量型のタッチパネルであり、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12のパッド部11a、12aに挟まれた隙間14には、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12と同時形成されたダミーパターン13が形成されている。かかるダミーパターン13は、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12と絶縁されており、フロート状態にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指の接近位置を静電容量の変化として検出可能な静電容量型入力装置、および当該静電容量型入力装置を備えた入力機能付き表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、カーナビゲーション、パーソナルコンピュータ、券売機、銀行の端末などの電子機器では、近年、液晶装置などの表面にタブレット型の入力装置が配置され、液晶装置の画像表示領域に表示された指示画像を参照しながら、この指示画像が表示されている箇所に指などを触れることで、指示画像に対応する情報の入力が行えるものがある。
【0003】
このような入力装置(タッチパネル)には、抵抗膜型、静電容量型などがあるが、抵抗膜型の入力装置は、フィルムとガラスの2枚構造でフィルムを押下してショートさせる構造のため、動作温度範囲の狭さや、経時変化に弱いという欠点を有している。
【0004】
これに対して、静電容量型の入力装置は、一枚の基板に透光性導電膜を形成すればよいという利点がある。かかる静電容量型の入力装置では、例えば、互いに交差する方向に電極パターンを延在させて、指などが接触した際、電極間の静電容量が変化することを検知して入力位置を検出するタイプのものがある(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平11−154053号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
入力装置においては、液晶装置などに重ねて配置した場合に、液晶装置に表示された画像を入力装置の入力面側から透過して視認するため、基板および電極パターンには透光性に優れたものが用いられる。それでも、透光性電極パターンなどが形成されている領域と、透光性電極パターンなどが形成されていない領域との間で反射率が大きく異なると、透光性電極パターンの存在などの存在が目立ってしまい、好ましくない。
【0006】
しかるに第1の透光性電極パターンと第2の透光性電極パターンを透光性基板の表面および裏面に各々形成すると、第1の透光性電極パターンと第2の透光性電極パターンとの間に透光性基板が介在するため、第1の透光性電極パターンが形成されている領域、第2の透光性電極パターンが形成されている領域、これらの透光性電極パターンが形成されていない領域で光学的な構成が大きく相違する結果、各領域間で反射率に大きな差が発生し、透光性電極パターンの存在が目立ってしまうという問題点がある。
【0007】
また、透光性基板の同一面側に第1の透光性電極パターンおよび第2の透光性電極パターンを形成した場合でも、透光性基板に通常用いられるガラス基板と、透光性電極パターンに通常用いられるITO膜(Indium Tin Oxide)との間には屈折率に大きな差があるため、透光性電極パターンが形成されている領域と、透光性電極パターンが形成されていない領域との間で反射率に差が生じ、透光性電極パターンの存在が目立ってしまい、好ましくない。
【0008】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、簡素な構成で、透光性基板上の透光性電極パターンを目立たなくすることのできる静電容量型入力装置、および入力機能付き表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明では、透光性基板の入力領域に、第1の方向に延在する複数の第1の透光性電極パターンと、前記第1の方向に交差する第2の方向に延在する複数の第2の透光性電極パターンとが形成された静電容量型入力装置において、前記透光性基板を平面視したときに、前記第1の透光性電極パターンと前記第2の透光性電極パターンとに挟まれた領域には、前記第1の透光性電極パターンおよび前記第2の透光性電極パターンと同等の屈折率を備えた透光膜からなるダミーパターンが形成されていることを特徴とする。
【0010】
静電容量型入力装置では、透光性基板を平面視したときに、入力領域内には、第1の透光性電極パターンおよび第2の透光性電極パターンを構成する透光性導電膜が存在する領域と、かかる透光性導電膜が存在しない領域があって、これらの領域の間には反射率の差があって、第1の透光性電極パターンおよび第2の透光性電極パターンの存在が目立ってしまうが、本発明では、第1の透光性電極パターンおよび第2の透光性電極パターンを構成する透光性導電膜が存在しない領域には、第1の透光性電極パターンおよび第2の透光性電極パターンと同等の屈折率を備えた透光膜からなるダミーパターンが形成されている。このため、本発明によれば、第1の透光性電極パターン、第2の透光性電極パターン、およびダミーパターンのいずれもが存在しない領域が極めて狭いため、第1の透光性電極パターンおよび第2の透光性電極パターンの存在が目立たない。それ故、静電容量型入力装置における入力面とは反対側に画像生成装置を重ねて配置したときでも、静電容量型入力装置を介して画像生成装置を見る者に対して品位の高い画像を提供することができる。
【0011】
本発明において、前記第1の透光性電極パターンおよび前記第2の透光性電極パターンは、単層膜により形成されていることが好ましい。第1の透光性電極パターンおよび第2の透光性電極パターンの存在を目立たなくする構成として、第1の透光性電極パターンおよび第2の透光性電極パターンを多層膜で形成することが考えられるが、かかる構成を採用する場合、多層膜に絶縁膜を含ませざるを得ない場合が多く、第1の透光性電極パターンおよび第2の透光性電極パターンの電気的抵抗が増大するが、本発明によれば、第1の透光性電極パターンおよび第2の透光性電極パターンを単層膜により形成しても、第1の透光性電極パターンおよび第2の透光性電極パターンの存在が目立たない。それ故、第1の透光性電極パターンおよび第2の透光性電極パターンの電気的抵抗を低くすることができる。また、製造工程を簡素化することができるので、コストを低減することもできる。
【0012】
本発明において、前記第1の透光性電極パターン、前記第2の透光性電極パターンおよび前記ダミーパターンは、前記透光性基板の同一面側に同一の透光性導電膜から構成され、前記ダミーパターンは、前記第1の透光性電極パターンおよび前記第2の透光性電極パターンの双方から絶縁状態に形成されていることが好ましい。このように構成すると、第1の透光性電極パターンと第2の透光性電極パターンとの間に透光性基板が介在しないため、第1の透光性電極パターンが形成されている領域、第2の透光性電極パターンが形成されている領域、これらの透光性電極パターンが形成されていない領域で光学的な構成が大きく相違しないので、各領域間での反射率の差が小さい。それ故、第1の透光性電極パターンおよび第2の透光性電極パターンの存在が目立たない。
【0013】
本発明において、前記第1の透光性電極パターン、前記第2の透光性電極パターン、および前記ダミーパターンは、前記透光性基板の同一面側において同一の絶縁層上に同一の透光性導電膜により形成されていることが好ましい。このように構成すると、第1の透光性電極パターン、第2の透光性電極パターン、およびダミーパターンを同時形成することができるので、製造工程を簡素化することができるので、コストを低減することができる。
【0014】
本発明において、前記第1の透光性電極パターンおよび前記第2の透光性電極パターンは各々、前記第1の透光性電極パターンと前記第2の透光性電極パターンとの交差部分で挟まれた領域に大面積部分を備えている場合があり、このような場合、前記第1の透光性電極パターンと前記第2の透光性電極パターンとの間には、互いの前記大面積部分に挟まれたスリット状の隙間が複数形成され、前記ダミーパターンは、前記隙間内に形成されている構成を採用することができる。
【0015】
本発明において、前記ダミーパターンは、前記複数の隙間毎に独立して形成されていることが好ましい。このように構成すると、ダミーパターンが透光性導電膜であっても、ダミーパターンを介しての電気的な影響が周囲に及ばない。それ故、入力位置に対する検出感度を高くできるという利点がある。
【0016】
本発明において、前記ダミーパターンは、前記隙間内において当該隙間の幅方向で並列した状態で当該隙間の長手方向に複数延在していることが好ましい。このように構成すると、ダミーパターンが透光性導電膜である場合において、第1の透光性電極パターンと第2の透光性電極パターンとの間に1本のダミーパターンが存在する場合に比較して、ダミーパターンを介して第1の透光性電極パターンと第2の透光性電極パターンとの間に寄生する容量が小さい。
【0017】
本発明において、前記ダミーパターンは、1つの前記スリット状の隙間内において当該隙間の長手方向において分割されて複数配置されている構成を採用してもよい。このように構成すると、ダミーパターンが透光性導電膜である場合において、第1の透光性電極パターンと第2の透光性電極パターンとの間でダミーパターンが延在している場合に比較して、ダミーパターンを介しての電気的な影響が小さいので、入力位置に対する検出感度を高くできるという利点がある。
【0018】
本発明では、前記隙間の幅方向において、前記大面積領域と前記ダミーパターンとの間に形成されるスペースの幅寸法は30μm以下であり、かつ、スペースの幅寸法の総和は50μm以下であることが好ましい。このように構成すると、隙間内において、第1の透光性電極パターン、第2の透光性電極パターン、およびダミーパターンのいずれもが存在しない領域が目立たない。
【0019】
本発明において、前記交差部分では、前記第1の透光性電極パターンおよび前記第2の透光性電極パターンのうちの一方の電極パターンが繋がっている一方、他方の電極パターンは途切れており、少なくとも前記交差部分における前記一方の電極パターンの上層側あるいは下層側に透光性の層間絶縁膜が形成されているとともに、当該層間絶縁膜に対する上層側および下層側のうち、前記第1の透光性電極パターンおよび前記第2の透光性電極パターンが形成されている側と反対側には、前記交差部分で途切れている前記他方の電極パターン同士を電気的に接続する透光性の中継電極が形成されていることが好ましい。第1の透光性電極パターンおよび第2の透光性電極パターンを透光性基板の同一面側に形成すると、第1の透光性電極パターンと第2の透光性電極パターンとを交差させる必要があり、かかる交差部分の膜構成は、第1の透光性電極パターンおよび第2の透光性電極パターンと相違してしまう。このため、液晶装置などで表示された画像を入力装置の入力面側からみた際、透光性電極パターンなどが形成されている領域と、透光性電極パターンなどが形成されていない領域との間での反射率の差が小さくなるように透光性電極パターンを形成して、透光性電極パターンを目立たなくしても交差部分が目立ってしまうことになる。しかるに本発明では、交差部分において電極パターンが途切れており、かかる途切れた電極パターン同士は、透光性の層間絶縁膜の上層に形成された透光性の中継電極によって電気的に接続されている。このため、交差部分が占める面積が狭い。それ故、入力面側からみた際、交差部分の存在が目立たない。
【0020】
本発明を適用した静電容量型入力装置は、入力機能付き表示装置に用いられる場合があり、この場合、前記静電容量型入力装置における入力面とは反対側に画像生成装置が重ねて配置されることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の説明で参照する図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。
【0022】
[実施の形態1]
(全体構成)
図1(a)、(b)は各々、本発明を適用した入力装置付き表示装置の構成を模式的に示す説明図、およびこの入力装置付き表示装置の平面的な構成を模式的に示す説明図である。なお、図1(b)において、第1の透光性電極パターンおよび第2の透光性電極パターンについて実線で簡略化して示してあり、それらの数も減らして示してある。
【0023】
図1(a)において、本形態の入力装置付き表示装置100は概ね、画像生成装置としての液晶装置50と、この液晶装置50において表示光を出射する側の面に重ねて配置されたパネル状の入力装置10(タッチパネル)とを有している。液晶装置50は、透過型、反射型あるいは半透過反射型のアクティブマトリクス型液晶パネル50aを備えており、透過型あるいは半透過反射型の液晶パネルの場合、表示光の出射側とは反対側にバックライト装置(図示せず)が配置される。また、液晶装置50においては、液晶パネル50aに対して位相差板や偏光板(図示せず)が重ねて配置される。液晶パネル50aは、素子基板51と、素子基板51に対して対向配置された対向基板52と、対向基板52と素子基板51との間に保持された液晶層とを備えており、素子基板51において、対向基板52の縁から張り出した領域にはフレキシブル基板53が接続されている。素子基板51には駆動用ICがCOG実装されることもある。いずれの場合も、液晶装置50は動画や静止画を表示可能であり、入力装置付き表示装置100に対する入力を行う際、入力情報に対応する指示画像を表示する。従って、利用者は、入力装置付き表示装置100で表示された指示画像を指で接触、あるいは指を近接させれば、情報の入力を行うことができる。
【0024】
入力装置10は静電容量型のタッチパネルであり、透光性基板15と、この透光性基板15に後述する粘着剤層(透光性樹脂層)を介して貼り合わされた透光性のカバー基板40と、透光性基板15の端部に接続されたフレキシブル基板19とを備えている。フレキシブル基板19には、入力装置10において入力位置の検出を行うための駆動回路(図示せず)が接続されている。入力装置10においては、カバー基板40の上面によって入力面10bが構成されており、透光性基板15の略中央領域が指先による入力が行われる入力領域10aになっている。
【0025】
図1(b)に示すように、透光性基板15の入力面10bのうち、入力領域10aには、矢印Xで示す第1の方向に延在する複数列の第1の透光性電極パターン11と、矢印Yで示す第1の方向に交差する第2の方向に延在する複数列の第2の透光性電極パターン12とが形成されている。このような構成の入力装置10では、複数の第1の透光性電極パターン11および複数の第2の透光性電極パターン12に順次、電圧印加し、電荷を与えた際、いずれかの箇所に導電体である指が触れると、あるいは指が近接すると、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12と、指との間でも容量を持ち、その結果として静電容量が低下するので、いずれの箇所に指が触れたかを検出することができる。
【0026】
(入力装置10の詳細構成)
図2(a)、(b)は、本発明の実施の形態1に係る入力装置に形成した透光性電極パターン(第1の透光性電極パターンおよび第2の透光性電極パターン)の平面的な構成を示す説明図、および第1の透光性電極パターンと第2の透光性電極パターンの隙間を拡大した拡大平面図である。図3(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態1に係る入力装置の図2(a)におけるA1−A1′断面図、および透光性電極パターンと金属配線との接続構造を示す断面図なお、図2(a)においては、第1の透光性電極パターンおよび第2の透光性電極パターンの一部を抜粋して示してある。
【0027】
図1(b)、図2(a)、および図3(a)に示すように、本形態の入力装置10において、第1の透光性電極パターン11と第2の透光性電極パターン12とは透光性基板15の同一面側にITO膜などの透光性導電膜により形成されている。また、本形態では、透光性基板15の入力領域10aにおいて、第1の透光性電極パターン11と第2の透光性電極パターン12とは透光性基板15の同一面側の同一の絶縁層上(透光性基板15上)に同一の透光性導電膜により形成されているため、第1の透光性電極パターン11と第2の透光性電極パターン12との交差部分18が複数、存在する。
【0028】
そこで、本形態では、複数の交差部分18のいずれにおいても、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12のうちの一方の電極パターンは、交差部分18でも繋がっている一方、他方の電極パターンは途切れている構成になっている。本形態では、複数の交差部分18のいずれにおいても、第1の透光性電極パターン11が繋がっている一方、第2の透光性電極パターン12は途切れている構成になっている。
【0029】
また、交差部分18における第1の透光性電極パターン11の上層側には、透光性の層間絶縁膜4aが形成されているとともに、この層間絶縁膜4aの上層には、交差部分18で途切れている第2の透光性電極パターン12同士を電気的に接続する透光性の中継電極5aが形成されている。このため、第2の透光性電極パターン12は第2の方向で電気的に接続されている。
【0030】
ここで、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12は各々、交差部分18で挟まれた領域に菱形形状の大面積のパッド部11a、12a(大面積部分)を備えており、第1の透光性電極パターン11において交差部分18に位置する接続部分11cは、パッド部11aより幅の狭い細幅形状になっている。また、中継電極5aも、パッド部12aより幅の狭い細幅形状で短冊状に形成されている。
【0031】
このように構成した入力領域10aに対しては、粘着剤層30を介して透光性のカバー基板40が積層されている。
【0032】
かかる構成の入力装置10において、各要素の材質、厚さ(t)、屈折率(n)は、以下のリスト
透光性基板10:ガラス(t=0.5mm、n=1.52)
第1の透光性電極パターン11:ITO膜(t=10〜100nm、n=1.8〜1.9)
第2の透光性電極パターン12:ITO膜(t=10〜100nm、n=1.8〜1.9)
層間絶縁膜4a:アクリル樹脂(t=1.5μm、n=1.52)
中継電極:ITO膜(t=10〜50nm、n=1.8〜1.9)
粘着剤層30:アクリル樹脂(t=200μm、n=1.48)
カバー基板40:ガラス(t=0.5mm、n=1.52)
の通りである。
【0033】
図1(a)、(b)、および図3(b)に示すように、透光性基板15において入力領域10aの外側領域では、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12の各々からの配線用引き出し部分1aが延在し、かかる配線用引き出し部分1aの上層に金属配線9aが形成されている。金属配線9aの端部は、フレキシブル基板19を接続するための端子19aを構成している。
【0034】
(ダミーパターンの構成)
図2(a)、(b)および図3(a)に示すように、本形態の入力装置10において、透光性基板15を平面視したときに、第1の透光性電極パターン11と第2の透光性電極パターン12とに挟まれた領域には、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12と同等の屈折率を備えた透光膜からなるダミーパターン13が形成されている。
【0035】
より具体的には、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12は各々、交差部分18で挟まれた領域が菱形形状の大面積のパッド部11a、12a(大面積部分)になっており、かかるパッド部11a、12aの間には、スリット状の隙間14が形成されている。このため、本形態において、ダミーパターン13は、パッド部11a、12aに挟まれた隙間14に形成されている。
【0036】
ここで、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12は、透光性基板15上にITO膜(透光性導電膜)の単層膜により形成されており、ダミーパターン13も、透光性基板15上に第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12と同時形成されたITO膜により形成されている。但し、ダミーパターン13は、パッド部11a、12aに対して同等の距離を隔てるように、隙間14の幅方向の中央を通るように、隙間14の長手方向に延在している。このため、ダミーパターン13は、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12のいずれとも接しておらず、電気的にフロート状態にある。ここで、複数の隙間14が略同一直線上に並んでいるが、ダミーパターン13は、複数の隙間14毎に独立して形成されている。
【0037】
また、図2(b)に示すように、隙間14において、第1の透光性電極パターン11、第2の透光性電極パターン12、およびダミーパターン13を構成するITO膜のスペースS1、S2の幅寸法WS1、WS2は各々、30μm以下に設定され、かつ、ITO膜のスペースS1、S2の幅寸法WS1、WS2の総和WSは50μm以下に設定されている。
【0038】
(入力装置10の製造方法)
図4(a)〜(e)は、本発明の実施の形態1に係る入力装置の製造方法を示す工程断面図である。なお、図4(a)〜(e)には、透光性電極パターン、交差部および金属配線を纏めて示してあり、左側には図3(a)に相当する部分を示し、右側には図3(b)に相当する部分を示してある。
【0039】
本形態の入力装置10を製造するには、まず、図4(a)に示すように、透光性基板15(ガラス基板)の一方の面全体に、膜厚が10〜100nmの多結晶の第1のITO膜1を形成した後、金属膜9を形成する。
【0040】
次に、金属膜の表面に感光性樹脂などからなるエッチングマスクを形成した状態で金属膜をエッチングし、図4(b)に示すように、金属配線9aをパターニング形成した後、エッチングマスクを除去する。
【0041】
次に、金属配線9aおよびITO膜1の上層側に感光性樹脂などからなるエッチングマスクを形成した状態で、ITO膜1をエッチングし、図4(c)に示すように、第1の透光性電極パターン11、第2の透光性電極パターン12、およびダミーパターン13をパターニング形成するとともに、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12からの配線用引き出し部分1aを形成した後、エッチングマスクを除去する。このようにして形成した第1の透光性電極パターン11と第2の透光性電極パターン12との交差部分18において、第1の透光性電極パターン11は、パッド部11aが接続部分11cを介して繋がっている一方、第2の透光性電極パターン12は途切れている。
【0042】
次に、第1の透光性電極パターン11、第2の透光性電極パターン12、およびダミーパターン13の表面側にアクリル樹脂を塗布した後、露光現像し、図4(d)に示すように、第1の透光性電極パターン11の接続部分11cを覆うように層間絶縁膜4aを形成する。
【0043】
次に、層間絶縁膜4aの上層側にアモルファスのITO膜を形成した後、ITO膜の表面に感光性樹脂などからなるエッチングマスクを形成した状態でITO膜をエッチングし、図4(e)に示すように、層間絶縁膜4aの上層に、第2の透光性電極パターン12の途切れ部分を繋ぐように中継電極5aを形成する。しかる後には、温度が200℃以上の条件、例えば、温度が220℃、時間が20〜30分の条件で焼成を行い、中継電極5aを構成するITO膜を多結晶のITO膜とする。アモルファスのITO膜であればシュウ酸などでエッチングでき、シュウ酸であれば多結晶のITO膜をエッチングしないので、中継電極5aをパターニング形成する際、第1の透光性電極パターン11、第2の透光性電極パターン12、およびダミーパターン13が損傷することがない。また、焼成により、中継電極5aを構成するITO膜を多結晶のITO膜とするため、中継電極5aの電気的抵抗を低減することもできる。
【0044】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の入力装置10では、透光性基板15を平面視したときに、入力領域10a内には、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12を構成する透光性導電膜が存在する領域と、かかる透光性導電膜が存在しない領域があって、これらの領域の間には反射率に差がある。従って、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12の存在が目立ってしまうが、本形態では、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12を構成する透光性導電膜が存在しない隙間14には、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12と同等の屈折率を備えた透光膜からなるダミーパターン13が形成されている。このため、本形態によれば、第1の透光性電極パターン11、第2の透光性電極パターン12、およびダミーパターン13のいずれもが存在しない領域が極めて狭いため、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12の存在が目立たない。
【0045】
しかも、本形態では、第1の透光性電極パターン11、第2の透光性電極パターン12、およびダミーパターン13が同一の絶縁層上(透光性基板15上)に同一の透光性導電膜により形成されているため、第1の透光性電極パターン11、第2の透光性電極パターン12、およびダミーパターン13が形成されている各領域での層構造が同一で反射率に差がない。それ故、入力装置10における入力面とは反対側に液晶装置50を重ねて配置したときでも、入力装置10を介して液晶装置50の画面を見る者に対して品位の高い画像を提供することができる。
【0046】
特に本形態では、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12が大面積のパッド部11a、12aを備えているため、目立ちやすい形状であるが、本発明を適用すれば、かかる形状の第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12を形成した場合でも、目立つのを確実に防止することができる。
【0047】
また、本形態では、隙間14において、第1の透光性電極パターン11、第2の透光性電極パターン12、およびダミーパターン13を構成するITO膜のスペースS1、S2の幅寸法WS1、WS2は各々、30μm以下に設定され、かつ、ITO膜のスペースS1、S2の幅寸法WS1、WS2の総和WSは50μm以下に設定されている。このため、隙間14において、第1の透光性電極パターン11、第2の透光性電極パターン12、およびダミーパターン13を構成するITO膜が存在しない領域が目立たない。
【0048】
また、本形態では、ダミーパターン13は、電気的にフロート状態にあるとともに、ダミーパターン13は、複数の隙間14毎に独立して形成されている。このため、第1の透光性電極パターン11と第2の透光性電極パターン12との間にダミーパターン13を設けても、ダミーパターン13の電気的な影響が周囲に及ばない。それ故、入力装置10では、入力位置に対する検出感度が高い。
【0049】
さらに、本形態では、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12がITO膜の単層膜により形成されている。第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12の存在を目立たなくする構成として、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12を多層膜で形成することが考えられるが、かかる構成を採用する場合、多層膜に絶縁膜を含ませざるを得ない場合が多く、その分、導電膜が薄くなるので、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12の電気的抵抗が増大するが、本形態によれば、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12を単層膜により形成しても、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12の存在が目立たない。それ故、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12の電気的抵抗を低くすることができる。また、製造工程を簡素化することができるので、コストを低減することもできる。
【0050】
また、本形態では、透光性基板15の同一面上に第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12が形成されているため、透光性基板15の表面および裏面の各々に第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12を形成した場合と比較して製造プロセスを簡素化できる。しかも、第1の透光性電極パターン11、第2の透光性電極パターン12、およびダミーパターン13が同一の絶縁層上(透光性基板15上)に同一の透光性導電膜により形成されているため、第1の透光性電極パターン11、第2の透光性電極パターン12、およびダミーパターン13を異なる層により形成した場合と比較して製造プロセスを簡素化することができる。
【0051】
ここで、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12を透光性基板15の同一面側に同一層により形成すると、第1の透光性電極パターン11と第2の透光性電極パターン12とを交差させる必要があり、かかる交差部分18の膜構成は、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12と相違してしまう。このため、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12の存在を目立たなくしても、交差部分18の存在が目立ってしまう。しかるに本形態では、第2の透光性電極パターン12の途切れ部分については、層間絶縁膜4aの上層に形成された中継電極5aによって、電気的に接続する構成を採用し、かつ、第1の透光性電極パターン11において交差部分18に位置する接続部分11c、および中継電極5aを細幅にしたため、交差部分18が占める面積が狭い。それ故、本発明によれば、入力装置10の入力面10b側からみた際、交差部分18の存在が目立たないので、液晶装置50などで表示された画像を入力装置10の入力面10b側からみた際、画像の品位が高い。
【0052】
[実施の形態2]
図5は、本発明の実施の形態2に係る入力装置に形成した第1の透光性電極パターンおよび第2の透光性電極パターンの平面的な構成を示す説明図である。図6(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態2に係る入力装置の図5におけるA2−A2′断面図、および透光性電極パターンと金属配線との接続構造を示す断面図である。なお、本形態の基本的な構成は実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示することにしてそれらの説明を省略する。
【0053】
図5および図6(a)において、本形態の入力装置10も、実施の形態1と同様、静電容量型のタッチパネルであり、透光性基板15の入力面10bのうち、入力領域10aには、第1の方向に延在する複数列の第1の透光性電極パターン11と、第1の方向に交差する第2の方向に延在する複数列の第2の透光性電極パターン12とが形成されている。
【0054】
また、本形態でも、実施の形態1と同様、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12は各々、交差部分18で挟まれた領域が菱形形状の大面積のパッド部11a、12a(大面積部分)になっており、かかるパッド部11a、12aに挟まれた隙間14には、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12と同時形成されたITO膜からなるダミーパターン13が形成されている。
【0055】
本形態において、第1の透光性電極パターン11と第2の透光性電極パターン12との交差部分18において、第1の透光性電極パターン11は繋がっている一方、第2の透光性電極パターン12は途切れている。
【0056】
ここで、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12の上層側には、透光性の層間絶縁膜4bが入力領域10aの略全体に形成され、かかる層間絶縁膜4bの上層には、層間絶縁膜4bのコンタクトホール4cを介して、交差部分18で途切れている第2の透光性電極パターン12同士を電気的に接続する透光性の中継電極5aが形成されている。このため、第2の透光性電極パターン12は第2の方向で電気的に接続されている。かかる中継電極5aも、実施の形態1と同様、第2の透光性電極パターン12のパッド部12aより幅の狭い細幅形状で短冊状に形成されている。
【0057】
なお、図6(b)に示すように、本形態でも、実施の形態1と同様、透光性基板15において入力領域10aの外側領域では、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12の各々からの配線用引き出し部分1aが延在し、かかる配線用引き出し部分1aの上層に金属配線9aが形成されている。金属配線9aの端部は、フレキシブル基板19を接続するための端子19aを構成している。
【0058】
(入力装置10の製造方法)
図7(a)〜(e)は、本発明の実施の形態2に係る入力装置の製造方法を示す工程断面図である。なお、図7(a)〜(e)には、透光性電極パターン、交差部および金属配線を纏めて示してあり、左側には図6(a)に相当する部分を示し、右側には図6(b)に相当する部分を示してある。
【0059】
本形態の入力装置10を製造するには、まず、図7(a)に示すように、透光性基板15(ガラス基板)の一方の面全体に、膜厚が10〜100nmの多結晶のITO膜1を形成した後、金属膜9を形成する。
【0060】
次に、金属膜9の表面に感光性樹脂などからなるエッチングマスクを形成した状態で金属膜をエッチングし、図7(b)に示すように、金属配線9aをパターニング形成した後、エッチングマスクを除去する。
【0061】
次に、金属配線9aなどの上層側に感光性樹脂などからなるエッチングマスクを形成した状態で、ITO膜1をエッチングし、図7(c)に示すように、第1の透光性電極パターン11、第2の透光性電極パターン12、ダミーパターン13、および配線用引き出し部分1aをパターニング形成した後、エッチングマスクを除去する。
【0062】
次に、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12の表面側にアクリル樹脂を塗布した後、露光現像し、図7(d)に示すように、第1の透光性電極パターン11、第2の透光性電極パターン12、および交差部分18に重なるように層間絶縁膜4bを形成する。その際、層間絶縁膜4bにはコンタクトホール4cが同時形成される。
【0063】
次に、層間絶縁膜4bの上層側に多結晶のITO膜を形成した後、ITO膜の表面に感光性樹脂などからなるエッチングマスクを形成した状態でITO膜をエッチングし、図7(e)に示すように、中継電極5aを形成する。その際、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12は、層間絶縁膜4bで覆われているので、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12が損傷することがない。また、多結晶のITO膜の代わりに、アモルファスのITO膜を形成し、感光性樹脂などからなるエッチングマスクを形成した状態でシュウ酸によりエッチングし、パターン形成後にアニールして多結晶のITO膜にしても良い。
【0064】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態でも、実施の形態1と同様、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12を構成する透光性導電膜が存在しない隙間14には、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12と同等の屈折率を備えた透光膜からなるダミーパターン13が形成されている。このため、第1の透光性電極パターン11、第2の透光性電極パターン12、およびダミーパターン13のいずれもが存在しない領域が極めて狭いので、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12の存在が目立たないなど、実施の形態1と同様な効果を奏する。
【0065】
[実施の形態3]
図8は、本発明の実施の形態3に係る入力装置に形成した第1の透光性電極パターンおよび第2の透光性電極パターンの平面的な構成を示す説明図である。図9(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態3に係る入力装置の図8におけるA3−A3′断面図、および透光性電極パターンと金属配線との接続構造を示す断面図である。なお、本形態の基本的な構成は実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示することにしてそれらの説明を省略する。
【0066】
図8および図9(a)において、本形態の入力装置10も、実施の形態1と同様、静電容量型のタッチパネルであり、透光性基板15の入力面10bのうち、入力領域10aには、第1の方向に延在する複数列の第1の透光性電極パターン11と、第1の方向に交差する第2の方向に延在する複数列の第2の透光性電極パターン12とが形成されている。
【0067】
また、本形態でも、実施の形態1と同様、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12は各々、交差部分18で挟まれた領域が菱形形状の大面積のパッド部11a、12a(大面積部分)になっており、かかるパッド部11a、12aに挟まれた隙間14には、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12と同時形成されたITO膜からなるダミーパターン13が形成されている。
【0068】
本形態において、第1の透光性電極パターン11と第2の透光性電極パターン12との交差部分18において、第1の透光性電極パターン11は繋がっている一方、第2の透光性電極パターン12は途切れている。
【0069】
ここで、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12の下層側には、透光性の層間絶縁膜4bが入力領域10aの略全体に形成され、かかる層間絶縁膜4bの下層には、層間絶縁膜4bのコンタクトホール4cを介して、交差部分18で途切れている第2の透光性電極パターン12同士を電気的に接続する透光性の中継電極5aが形成されている。このため、第2の透光性電極パターン12は第2の方向で電気的に接続されている。かかる中継電極5aも、実施の形態1と同様、第2の透光性電極パターン12のパッド部12aより幅の狭い細幅形状で短冊状に形成されている。
【0070】
なお、図9(b)に示すように、本形態では、透光性基板15において入力領域10aの外側領域では、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12の各々からの配線用引き出し部分1aが延在し、かかる配線用引き出し部分1aの下層に金属配線9aが形成されている。また、金属配線9aの下層には、中継電極5aと同時形成されたITO膜からなる配線5bが形成されている。
【0071】
(入力装置10の製造方法)
図10(a)〜(e)は、本発明の実施の形態3に係る入力装置の製造方法を示す工程断面図である。なお、図10(a)〜(e)には、透光性電極パターン、交差部および金属配線を纏めて示してあり、左側には図9(a)に相当する部分を示し、右側には図9(b)に相当する部分を示してある。
【0072】
本形態の入力装置10を製造するには、まず、図10(a)に示すように、透光性基板15(ガラス基板)の一方の面全体に、膜厚が10〜100nmの多結晶のITO膜5を形成した後、金属膜9を形成する。
【0073】
次に、金属膜9の表面に感光性樹脂などからなるエッチングマスクを形成した状態で金属膜をエッチングし、図10(b)に示すように、金属配線9aをパターニング形成した後、エッチングマスクを除去する。
【0074】
次に、金属配線9aなどの上層側に感光性樹脂などからなるエッチングマスクを形成した状態で、ITO膜5をエッチングし、図10(c)に示すように、中継電極5aを形成する。その際、配線5bもパターニング形成する。しかる後に、エッチングマスクを除去する。
【0075】
次に、中継電極5aの表面側にアクリル樹脂を塗布した後、露光現像し、図10(d)に示すように、層間絶縁膜4bを形成する。その際、層間絶縁膜4bにはコンタクトホール4cが同時形成される。なお、透光性基板15において入力領域10aの外側領域では、層間絶縁膜4bを形成しない。
【0076】
次に、層間絶縁膜4bの上層側に多結晶のITO膜を形成した後、ITO膜の表面に感光性樹脂などからなるエッチングマスクを形成した状態でITO膜をエッチングし、図10(e)に示すように、第1の透光性電極パターン11、第2の透光性電極パターン12、ダミーパターン13、および配線用引き出し部分1aをパターニング形成した後、エッチングマスクを除去する。なお、多結晶のITO膜の代わりに、アモルファスのITO膜を形成し、感光性樹脂などからなるエッチングマスクを形成した状態でシュウ酸によりエッチングし、パターン形成後にアニールして多結晶のITO膜にしても良い。
【0077】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態でも、実施の形態1と同様、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12を構成する透光性導電膜が存在しない隙間14には、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12と同等の屈折率を備えた透光膜からなるダミーパターン13が形成されている。このため、第1の透光性電極パターン11、第2の透光性電極パターン12、およびダミーパターン13のいずれもが存在しない領域が極めて狭いので、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12の存在が目立たないなど、実施の形態1と同様な効果を奏する。
【0078】
[ダミーパターン13の他の構成例]
図11(a)、(b)は、本発明を適用した入力装置10に形成されるダミーパターン13の他の構成例を示す平面図である。
【0079】
実施の形態1〜3のいずれにおいても、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12のパッド部11a、12aに挟まれた隙間14にダミーパターン13が1本の線状パターンとして形成されている例を説明したが、図11(a)に示すように、隙間14内において、2本のダミーパターン13が隙間14の幅方向で並列した状態で隙間14の長手方向に延在している構成を採用してもよい。かかる構成を採用すれば、隙間14の幅方向において、パッド部11a、12aとダミーパターン13との間に形成されるスペースの幅寸法を容易に30μm以下にすることができ、かつ、スペースの幅寸法の総和を50μm以下にするのも容易である。また、隙間14内において、複数本のダミーパターン13が並列している場合には、ダミーパターン13が1本の場合と比較して、第1の透光性電極パターン11と第2の透光性電極パターン12との間に寄生する容量が小さい。それ故、入力装置10において入力位置に対する検出感度を高くできる。なお、図11(a)には、隙間14内において、2本のダミーパターン13が並列している構成を示したが、3本以上のダミーパターン13が並列している構成を採用してもよい。
【0080】
実施の形態1〜3のいずれにおいても、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12のパッド部11a、12aに挟まれた隙間14にダミーパターン13が線状パターンとして形成されている例を説明したが、図11(b)に示すように、1つの隙間14内においてダミーパターン13が隙間14の長手方向において分割されている構成を採用してもよい。このように構成すると、ダミーパターン13が延在している場合に比較して、ダミーパターン13を介しての電気的な影響が小さいので、入力位置に対する検出感度を高くできる。かかる場合も、隙間14の幅方向において、パッド部11a、12aとダミーパターン13との間に形成されるスペースの幅寸法を30μm以下とし、スペースの幅寸法の総和を50μm以下にすることが好ましい。また、分割されたダミーパターン13の間隔についても、30μm以下とすることがこのましい。このように構成すると、隙間14において、第1の透光性電極パターン11、第2の透光性電極パターン12、およびダミーパターン13を構成するITO膜が存在しない領域が目立たない。
【0081】
[他の実施の形態]
上記実施の形態1、2では、金属配線9aの端部をそのまま、端子19aとして利用したが、金属配線9aの端部の上層にITO層を中継電極5aと同時形成し、端子19aとしてもよい。また、実施の形態2、3では、入力領域10aのみに層間絶縁膜4bを形成したが、端子19aの表面を除く略全面に層間絶縁膜4bを形成してもよい。
【0082】
上記実施の形態1〜3では、第1の透光性電極パターン11、第2の透光性電極パターン12、およびダミーパターン13がITO膜により構成されていたが、IZO(Indium Zinc Oxide)などの透光性の導電性金属酸化膜により構成してもよい。
【0083】
また、上記実施の形態1〜3では、ダミーパターン13を第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12と同じくITO膜により構成されていたが、ダミーパターン13については、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12と同等の屈折率を有する透光性材料であれば、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12と材料の種類や膜厚が異なる透光性導電膜を用いてもよく、さらには、透光性の絶縁膜を用いてもよい。透光性の絶縁膜の場合においては、ダミーパターン13が、第1の透光性電極パターン11、第2の透光性電極パターン12と短絡する虞が無いため、平面視したときにダミーパターン13で隙間14を完全に埋めることも可能である。すなわちダミーパターン13の端部と、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12の端部とを一致させることができる。このように構成すると、隙間14において、第1の透光性電極パターン11、第2の透光性電極パターン12のITO膜が存在しない領域がほとんど目立たない。
【0084】
上記実施の形態1〜3では、第1の透光性電極パターン11、第2の透光性電極パターン12、およびダミーパターン13が透光性基板15の同一面側において同一の絶縁層上に同一の透光性導電膜により形成されている構成であったが、透光性基板15の同一面側において、ダミーパターン13が第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12と異なる絶縁層上に形成されている場合や、透光性基板15の同一面側において、第1の透光性電極パターン11と第2の透光性電極パターン12とが異なる絶縁層上に形成されている場合に本発明を適用してもよい。さらには、第1の透光性電極パターン11と第2の透光性電極パターン12とが透光性基板15の異なる面側に形成されている場合に本発明を適用してもよい。ダミーパターン13が、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12と絶縁層を介して配置される場合においては、ダミーパターン13が、第1の透光性電極パターン11、第2の透光性電極パターン12と短絡する虞が無いため、平面視したときにダミーパターン13で隙間14を完全に埋めることも可能である。すなわちダミーパターン13の端部と、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12の端部とを一致させることができる。このように構成すると、隙間14において、第1の透光性電極パターン11、第2の透光性電極パターン12のITO膜が存在しない領域がほとんど目立たない。この場合、隙間14内において、ダミーパターン13と第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12と平面視で近接するため、第1の透光性電極パターン11と第2の透光性電極パターン12との間に寄生する容量が大きくなることも考えられるが、絶縁層が介在するため距離が保たれ、寄生する容量を小さくすることができる。それ故、入力装置10において入力位置に対する検出感度を高くできる。
【0085】
上記実施の形態では、画像生成装置としての液晶装置50を用いたが、有機エレクトロルミネッセンス装置やプラズマ表示装置を画像生成装置として用いてもよい。
【0086】
[電子機器への搭載例]
次に、上述した実施形態に係る入力装置付き表示装置100を適用した電子機器について説明する。図12(a)に、入力装置付き表示装置100を備えたモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す。パーソナルコンピュータ2000は、表示ユニットとしての入力装置付き表示装置100と本体部2010を備える。本体部2010には、電源スイッチ2001及びキーボード2002が設けられている。図12(b)に、入力装置付き表示装置100を備えた携帯電話機の構成を示す。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001及びスクロールボタン3002、並びに表示ユニットとしての入力装置付き表示装置100を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、入力装置付き表示装置100に表示される画面がスクロールされる。図12(c)に、入力装置付き表示装置100を適用した情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001及び電源スイッチ4002、並びに表示ユニットとしての入力装置付き表示装置100を備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が入力装置付き表示装置100に表示される。
【0087】
なお、入力装置付き表示装置100が適用される電子機器としては、図12に示すものの他、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。そして、これらの各種電子機器の表示部として、前述した入力装置付き表示装置100が適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】(a)、(b)は各々、本発明を適用した入力装置付き表示装置の構成を模式的に示す説明図、およびこの入力装置付き表示装置の平面的な構成を模式的に示す説明図である。
【図2】(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態1に係る入力装置に形成した透光性電極パターンの平面的な構成を示す説明図、および第1の透光性電極パターンと第2の透光性電極パターンの隙間を拡大した拡大平面図である。
【図3】(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態1に係る入力装置のA1−A1′断面図、および透光性電極パターンと金属配線との接続構造を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る入力装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る入力装置に形成した第1の透光性電極パターンおよび第2の透光性電極パターンの平面的な構成を示す説明図である。
【図6】(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態2に係る入力装置のA2−A2′断面図、および透光性電極パターンと金属配線との接続構造を示す断面図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る入力装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図8】本発明の実施の形態3に係る入力装置に形成した第1の透光性電極パターンおよび第2の透光性電極パターンの平面的な構成を示す説明図である。
【図9】(a)、(b)は各々、本発明の実施の形態3に係る入力装置のA3−A3′断面図、および透光性電極パターンと金属配線との接続構造を示す断面図である。
【図10】本発明の実施の形態3に係る入力装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図11】(a)、(b)は、本発明を適用した入力装置に形成されるダミーパターンの他の構成例を示す平面図である。
【図12】本発明に係る入力装置付き表示装置を用いた電子機器の説明図である。
【符号の説明】
【0089】
1・・ITO膜、4a、4b・・層間絶縁膜、5a・・中継電極、10・・入力装置、11・・第1の透光性電極パターン、12・・第2の透光性電極パターン、13・・ダミーパターン、14・・パッド部に挟まれた隙間、15・・透光性基板、18・・交差部分、11a、12a・・パッド部(大面積部分)、50・・液晶装置(画像生成装置)、100・・入力装置付き表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性基板の入力領域に、第1の方向に延在する複数の第1の透光性電極パターンと、前記第1の方向に交差する第2の方向に延在する複数の第2の透光性電極パターンとが形成された静電容量型入力装置において、
前記透光性基板を平面視したときに、前記第1の透光性電極パターンと前記第2の透光性電極パターンとに挟まれた領域には、前記第1の透光性電極パターンおよび前記第2の透光性電極パターンと同等の屈折率を備えた透光膜からなるダミーパターンが形成されていることを特徴とする静電容量型入力装置。
【請求項2】
前記第1の透光性電極パターンおよび前記第2の透光性電極パターンは、単層膜により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の静電容量型入力装置。
【請求項3】
前記第1の透光性電極パターン、前記第2の透光性電極パターンおよび前記ダミーパターンは、前記透光性基板の同一面側に同一の透光性導電膜から構成され、
前記ダミーパターンは、前記第1の透光性電極パターンおよび前記第2の透光性電極パターンの双方から絶縁状態に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の静電容量型入力装置。
【請求項4】
前記第1の透光性電極パターン、前記第2の透光性電極パターン、および前記ダミーパターンは、前記透光性基板の同一面側において同一の絶縁層上に同一の透光性導電膜により形成されていることを特徴とする請求項3に記載の静電容量型入力装置。
【請求項5】
前記第1の透光性電極パターンおよび前記第2の透光性電極パターンは各々、前記第1の透光性電極パターンと前記第2の透光性電極パターンとの交差部分で挟まれた領域に大面積部分を備え、
前記第1の透光性電極パターンと前記第2の透光性電極パターンとの間には、互いの前記大面積部分に挟まれたスリット状の隙間が複数形成されており、
前記ダミーパターンは、前記隙間内に形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の静電容量型入力装置。
【請求項6】
前記ダミーパターンは、前記複数の隙間毎に独立して形成されていることを特徴とする請求項5に記載の静電容量型入力装置。
【請求項7】
前記ダミーパターンは、前記隙間内において当該隙間の幅方向で並列した状態で当該隙間の長手方向に複数延在していることを特徴とする請求項5に記載の静電容量型入力装置。
【請求項8】
前記ダミーパターンは、1つの前記スリット状の隙間内において当該隙間の長手方向において分割されて複数配置されていることを特徴とする請求項5に記載の静電容量型入力装置。
【請求項9】
前記隙間の幅方向において、前記大面積領域と前記ダミーパターンとの間に形成されるスペースの幅寸法は30μm以下であり、かつ、スペースの幅寸法の総和は50μm以下であることを特徴とする請求項5乃至9の何れか一項に記載の静電容量型入力装置。
【請求項10】
前記交差部分では、前記第1の透光性電極パターンおよび前記第2の透光性電極パターンのうちの一方の電極パターンが繋がっている一方、他方の電極パターンは途切れており、
少なくとも前記交差部分における前記一方の電極パターンの上層側あるいは下層側に透光性の層間絶縁膜が形成されているとともに、
当該層間絶縁膜に対する上層側および下層側のうち、前記第1の透光性電極パターンおよび前記第2の透光性電極パターンが形成されている側とは反対側には、前記交差部分で途切れている前記他方の電極パターン同士を電気的に接続する透光性の中継電極が形成されていることを特徴とする請求項1乃至9の何れか一項に記載の静電容量型入力装置。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか一項に記載の静電容量型入力装置を備えた入力機能付き表示装置であって、
前記静電容量型入力装置における入力面とは反対側に画像生成装置が重ねて配置されていることを特徴とする入力機能付き表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−2958(P2010−2958A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−158834(P2008−158834)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】