説明

静電容量型入力装置および入力機能付き電気光学装置

【課題】入力装置用基板の入力操作面側とは反対側に入力位置検出用電極およびシールド電極を設けた場合でも、入力位置検出用電極とシールド電極層との間に大きな容量が寄生することを防止することができる静電容量型入力装置、および入力機能付き電気光学装置を提供すること。
【解決手段】静電容量型入力装置1では、入力装置用基板20の入力操作面側(第1面20a側)とは反対側(第2面20b側)に入力位置検出用電極21を備えている。入力装置用基板20の第2面20b側にはシールド用フィルム8が設けられており、シールド用電極83と入力装置用基板20との間には接着剤層82および基材フィルム81が介在している。従って、入力位置検出用電極21とシールド電極層83との間に寄生する容量が小さいので、高い感度を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力位置検出用電極に結合する静電容量の変化に基づいて入力位置を検出する静電容量型入力装置、および当該静電容量型入力装置を備えた入力機能付き電気光学装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、カーナビゲーション、パーソナルコンピューター、券売機、銀行の端末等の電子機器では、液晶装置等の電気光学パネルの表面に、タッチパネルと称せられる入力装置が配置され、液晶装置の画像表示領域に表示された画像を参照しながら情報の入力が行えるものがある。このような入力装置のうち、静電容量型入力装置は、入力装置用基板に形成された複数の入力位置検出用電極に結合している静電容量を監視する。従って、複数の入力位置検出用電極のうちのいずれかに指が近接すると、指が近接した入力位置検出用電極では、指との間に生じた静電容量分だけ、静電容量が増大するので、指が近接した電極を特定することができる。
【0003】
このような静電容量型入力装置では、入力位置検出用電極に結合する容量変化を検出するため、入力装置用基板に対して入力操作側とは反対側から侵入した電磁波ノイズの影響を受けやすい。そこで、入力装置用基板の入力操作面側に入力位置検出用電極を設ける一方、入力装置用基板の入力操作面側とは反対側の面に重なるように、透明なシールド用基板やシールド電極層が形成された基板を設けることが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2003−511799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここに、本願発明者は、入力装置用基板の入力操作面側とは反対側に入力位置検出用電極を設けた静電容量型入力装置を検討しており、かかる構成によれば、入力装置用基板自身を透光性カバーとして利用できるので、入力装置用基板の入力操作面側に透光性カバーを別途、設ける必要がない等の利点がある。
【0006】
しかしながら、入力装置用基板の入力操作面側とは反対側に入力位置検出用電極を設けた場合、入力装置用基板の入力操作面側とは反対側にシールド電極層を設けて電磁シールドを行なうと、入力位置検出用電極とシールド電極層との間に大きな容量が寄生するため、入力位置の検出感度が低下するという問題点がある。そこで、入力装置用基板の入力操作面側にシールド電極層を覆う絶縁層を堆積法や塗布法により無機膜や感光性樹脂層として成膜して入力位置検出用電極とシールド電極層とを離間させることが考えられるが、寄生する容量を十分低減できるほど厚い絶縁層を入力装置用基板上に堆積法や塗布法で成膜するのは困難である。
【0007】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、入力装置用基板の入力操作面側とは反対側に入力位置検出用電極およびシールド電極を設けた場合でも、入力位置検出用電極とシールド電極層との間に大きな容量が寄生することを防止することができる静電容量型入力装置、および入力機能付き電気光学装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る静電容量型入力装置は、入力操作が行われる第1面側とは反対側の第2面側に位置検出用電極を備えた入力装置用基板と、基材フィルム上にシールド電極層をもって前記入力装置用基板の第2面側に接着剤層により接着されたシールド用フィルムと、を有することを特徴とする。本発明における「接着」とは「粘着」も含む意味である。従って本発明における「接着剤層」とは「粘着剤層」も含む意味である。
【0009】
本発明に係る静電容量型入力装置は、入力装置用基板の入力操作面側(第1面側)とは反対側(第2面側)に入力位置検出用電極を備えているため、入力装置用基板自身を透光性カバーとして利用できる等の利点がある。また、入力装置用基板の第2面側には、シールド電極層を備えたシールド用フィルムが設けられているため、入力位置検出用電極は電磁波ノイズの影響を受けにくい。ここで、シールド用フィルムと入力装置用基板とは、接着剤層によって貼り合わされており、シールド電極層と入力装置用基板との間には接着剤層が介在している。かかる接着剤層であれば、入力装置用基板に対して堆積法や塗布法により成膜した絶縁膜と違って厚くしやすいので、入力位置検出用電極とシールド電極層とを十分離間させることができる。従って、入力位置検出用電極とシールド電極層との間に寄生する容量が小さいので、高い感度を得ることができる。
【0010】
本発明において、前記シールド用フィルムは、前記シールド電極層を前記基材フィルムに対して前記入力装置用基板が位置する側とは反対側に備えていることが好ましい。かかる構成によれば、シールド電極層と入力装置用基板の入力位置検出用電極との間には接着剤層および基材フィルムが介在しており、かかる接着剤層や基材フィルムであれば、入力装置用基板に対して堆積法や塗布法により成膜した絶縁膜と違って厚くしやすい。それ故、入力位置検出用電極とシールド電極層とを十分な距離を隔てて離間させることができる。よって、入力位置検出用電極とシールド電極層との間に寄生する容量が小さいので、高い感度を得ることができる。
【0011】
本発明において、前記基材フィルムの厚さと前記接着剤層との厚さとの和は50μm以上であることが好ましい。かかる厚さであれば、入力位置検出用電極とシールド電極層とを離間させることができるので、入力位置検出用電極とシールド電極層との間に寄生する容量に起因する感度低下を防止することができる。また、前記基材フィルムの厚さと前記接着剤層との厚さとの和が100μmから150μmであることが好ましい。基材フィルムの厚さと接着剤層との厚さとの和が100μm以上であれば、入力位置検出用電極とシールド電極層とを十分離間させることができるので、入力位置検出用電極とシールド電極層との間に寄生する容量に起因する感度低下を防止することができる。また、基材フィルムの厚さと接着剤層との厚さとの和が150μmを超えても、それ以上、感度に対する寄与がない一方、静電容量型入力装置が無駄に厚くなる。従って、基材フィルムの厚さと接着剤層との厚さとの和は、100μmから150μmであることが好ましい。
【0012】
本発明において、前記シールド用フィルムは、前記基材フィルムの一方の面に前記接着剤層が予め形成され、他方の面に前記シールド電極層が予め形成されている接着剤層付きシールド用フィルムであることが好ましい。このように構成すると、入力装置用基板に対してシールド用フィルムを貼付するのが容易である。
【0013】
本発明において、前記入力装置用基板の前記第2面側に部分的に重なるフレキシブル配線基板を備え、前記シールド用フィルムは、前記入力装置用基板において前記位置検出用電極が形成されている入力領域に重なる本体部分と、当該本体部分から前記フレキシブル配線基板と重なる位置に向けて突出した突出部と、を備え、前記シールド電極層は、前記突出部に形成されている部分が前記フレキシブル配線基板に電気的に接続されていることが好ましい。かかる構成によれば、シールド用フィルムのシールド電極層とフレキシブル配線基板とを電気的に接続する領域が狭く済む。
【0014】
本発明において、前記入力装置用基板の前記第2面側には前記フレキシブル配線基板と電気的に接続される複数の位置検出用実装端子が設けられており、前記シールド用フィルムは、前記複数の位置検出用実装端子が設けられている領域を挟む両側に前記突出部を備えていることが好ましい。かかる構成によれば、シールド用フィルムのシールド電極層とフレキシブル配線基板とを確実に電気的に接続することができる。
【0015】
本発明を適用した静電容量型入力装置は、入力機能付き電気光学装置を構成するのに用いることができ、この場合、前記位置検出用電極、前記入力装置用基板、前記基材フィルム、前記シールド電極層および前記接着剤層は透光性を備え、入力機能付き電気光学装置は、前記シールド用フィルムに対して前記入力装置用基板が位置する側とは反対側に画像生成用の電気光学パネルが配置された構成を有している。かかる入力機能付き電気光学装置は、携帯電話、カーナビゲーション、パーソナルコンピューター、券売機、銀行の端末等の電子機器に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1に係る入力機能付き電気光学装置の説明図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る静電容量型入力装置の入力装置用基板の構成を示す説明図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る静電容量型入力装置の説明図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る静電容量型入力装置において電気的に接続される部材の説明図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る静電容量型入力装置において入力装置用基板に対してフレキシブル配線基板を実装した部分周辺の説明図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係る入力機能付き電気光学装置の説明図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る静電容量型入力装置の説明図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る静電容量型入力装置において電気的に接続される部材の説明図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る静電容量型入力装置において入力装置用基板に対してフレキシブル配線基板を実装した部分周辺の説明図である。
【図10】本発明を適用した入力機能付き電気光学装置を備えた電子機器の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の説明で参照する図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。また、以下の説明では、互いに直交する方向をX軸(X方向)、Y軸(Y方向)およびZ軸(Z方向)とし、Z方向で入力操作側を+Zとし、入力操作側とは反対側を−Zとして説明する。
【0018】
[実施の形態1]
(入力機能付き電気光学装置の全体構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係る入力機能付き電気光学装置の説明図であり、図1(a)、(b)は、入力機能付き電気光学装置の外観を模式的に示す説明図、および入力機能付き電気光学装置の断面構成を模式的に示す説明図である。
【0019】
図1において、本形態の入力機能付き電気光学装置100は、概ね、液晶装置等からなる画像生成装置5と、この画像生成装置5において表示光を出射する側の面に重ねて配置された静電容量型入力装置1とを有している。静電容量型入力装置1は入力パネル2を備え、画像生成装置5は電気光学パネル5a(表示パネル)としての液晶パネルを備えている。入力パネル2および電気光学パネル5aはいずれも矩形の平面形状を備えており、入力パネル2を平面視したときの中央領域が入力領域2aである。また、電気光学パネル5aにおいて入力領域2aと平面視で重なる領域が画像形成領域である。
【0020】
静電容量型入力装置1において、入力パネル2に用いた入力装置用基板20の4つの端部20e〜20hのうち、端部20eが位置する側にはフレキシブル配線基板35が接続され、電気光学パネル5aにおいて端部20eが位置する側にはフレキシブル配線基板73が接続されている。静電容量型入力装置1では、入力パネル2での入力操作を検出するための制御用のIC(図示せず)がフレキシブル配線基板35を介して入力装置用基板20に電気的に接続されている。
【0021】
本形態において、入力パネル2と電気光学パネル5aとの間には透光性のシールド用フィルム8が配置されており、シールド用フィルム8は、入力パネル2における入力操作側とは反対側(電気光学パネル5a)から侵入しようとする電磁波ノイズを阻止する機能を担っている。かかるシールド用フィルム8の構成は後述する。
【0022】
画像生成装置5は、透過型や半透過反射型のアクティブマトリクス型の液晶表示装置であり、電気光学パネル5aに対して入力パネル2が配置されている側とは反対側(表示光の出射側とは反対側)にはバックライト装置(図示せず)が配置されている。バックライト装置は、例えば、電気光学パネル5aに対して入力パネル2が配置されている側とは反対側に重ねて配置された透光性の導光板と、導光板の側端部に向けて白色光等を出射する発光ダイオード等の光源とを備えており、光源から出射された光は、導光板の側端部から入射した後、導光板内を伝搬しながら電気光学パネル5aに向けて出射される。導光板と電気光学パネル5aとの間には、光散乱シートやプリズムシート等のシート状光学部材が配置されることもある。
【0023】
画像生成装置5において、電気光学パネル5aに対して表示光の出射側には第1偏光板51が重ねて配置され、その反対側に第2偏光板52が重ねて配置されている。第1偏光板51および第2偏光板52は電気光学パネル5aにアクリル樹脂系等といった透光性の接着剤(図示せず)によって接着されている。また、第1偏光板51とシールド用フィルム8とは、アクリル樹脂系等といった透光性の接着剤(図示せず)によって接着されている。電気光学パネル5aは、表示光の出射側(入力操作側)に配置された透光性の対向基板60と、この対向基板60に対して対向配置された透光性の素子基板50とを備えている。対向基板60と素子基板50とは、矩形枠状のシール材71により貼り合わされており、対向基板60と素子基板50との間においてシール材71で囲まれた領域内に液晶層55が保持されている。素子基板50において、対向基板60と対向する面には複数の画素電極58がITO(Indium Tin Oxide)膜やIZO(Indium Zinc Oxide)膜等の透光性導電膜により形成され、対向基板60において、素子基板50と対向する面には共通電極68がITO膜等の透光性導電膜により形成されている。なお、画像生成装置5がIPS(In Plane Switching)方式や、FFS(Fringe Field Switching)方式である場合、共通電極68は素子基板50の側に設けられる。また、素子基板50が対向基板60に対して表示光の出射側に配置されることもある。素子基板50において、対向基板60の縁から張り出した張出領域59には駆動用IC75がCOG実装されているとともに、張出領域59にはフレキシブル配線基板73が接続されている。なお、素子基板50には、素子基板50上のスイッチング素子と同時に駆動回路を形成することもある。
【0024】
(静電容量型入力装置1の構成)
静電容量型入力装置1において、入力パネル2は、ガラス板やプラスチック板等からなる透光性の入力装置用基板20を備えており、本形態では、入力装置用基板20としてガラス基板が用いられている。なお、入力装置用基板20をプラスチック材料から構成する場合、プラスチック材料としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PES(ポリエーテルスルホン)、PI(ポリイミド)、ポリノルボルネン等の環状オレフィン樹脂等の耐熱性の透光性シートを用いることができる。
【0025】
入力装置用基板20において入力操作側に位置する基板面は第1面20aであり、入力操作側とは反対側に位置する基板面は第2面20bである。本形態において、入力装置用基板20の第2面20bには、入力装置用基板20からみて下層側から上層側に向かって透光性の下層側導電膜4a、透光性の層間絶縁膜214、透光性の上層側導電膜4b、および透光性の表面保護膜26がこの順に形成されており、下層側導電膜4aおよび上層側導電膜4bのうち、下層側導電膜4aによって入力位置検出用電極21が形成されている。また、上層側導電膜4bによって中継電極215が形成されている。入力装置用基板20の端部20eには、第2面20bに位置検出用実装端子24aが形成されており、かかる位置検出用実装端子24aに対してフレキシブル配線基板35が電気的に接続されている。
【0026】
入力装置用基板20の第1面20aあるいは第2面20bには、入力領域2aより外周側に相当する外側領域2bに絶縁性の遮光層(図示せず)が印刷されることがあり、かかる遮光層で囲まれた領域が入力領域2aとなる。遮光層は、電気光学パネル5aの外側領域と重なっており、画像生成装置5の光源や導光板の端部から漏れた光を遮断する。
【0027】
(入力装置用基板20の構成)
図2は、本発明の実施の形態1に係る静電容量型入力装置1の入力装置用基板20の構成を示す説明図であり、図2(a)、(b)は、入力装置用基板20の平面図およびそのA1−A1′断面図である。なお、図2(b)では、図1と違って入力操作側(入力装置用基板20の第1面20a)を下側にして表してある。また、図2(a)には、下層側導電膜4aを一点鎖線、層間絶縁膜214を点線、上層側導電膜4bを実線で示してある。また、図2(a)において、入力領域2aについては、その角部分の位置を英文字の「L」状のマークで示してある。
【0028】
図2に示すように、本形態の静電容量型入力装置1において、入力装置用基板20の第2面20bの側には、入力装置用基板20からみて下層側から上層側に向けて下層側導電膜4a、層間絶縁膜214、上層側導電膜4bおよび表面保護膜26がこの順に形成されている。本形態において、下層側導電膜4aおよび上層側導電膜4bは、膜厚が10〜40nmのITO膜やIZO膜等の透光性導電膜からなり、層間絶縁膜214および表面保護膜26は、膜厚が200〜600nmのシリコン酸化膜や、感光性樹脂等からなる透光性絶縁膜である。入力装置用基板20の第2面20bには、その全面にシリコン酸化膜等からなる透光性の下地保護膜が形成されている場合があり、この場合、下地保護膜上に下層側導電膜4a、層間絶縁膜214、上層側導電膜4bおよび表面保護膜26がこの順に積層されることになる。かかる静電容量型入力装置1を構成するには、下層側導電膜4a、層間絶縁膜214および上層側導電膜4bを所定のパターンで形成していく。
【0029】
下層側導電膜4aは、まず、入力領域2aに複数の菱形領域として形成され、かかる菱形領域は、入力位置検出用電極21(第1入力位置検出用電極211および第2入力位置検出用電極212)のパッド部211a、212a(大面積部分)を構成する。これらのパッド部211a、212aは、X方向およびY方向において交互に配列されている。複数のパッド部211aにおいてX方向(第1方向)で隣り合うパッド部211a同士は連結部分211cを介して繋がっており、パッド部211aおよび連結部分211cは、X方向で延在する第1入力位置検出用電極211を構成している。また、複数のパッド部212aは、Y方向(第2方向)で延在する第2入力位置検出用電極212も構成しているが、Y方向で隣り合うパッド部212aの間(連結部分211cと重なる部分)は途切れ部分218aになっている。
【0030】
また、下層側導電膜4aは、入力領域2aの外側領域2bにおいて、入力位置検出用電極21(第1入力位置検出用電極211および第2入力位置検出用電極212)から延在した複数の配線27として形成されているとともに、端部20e付近において複数の位置検出用実装端子24aとして形成されている。
【0031】
層間絶縁膜214は、入力領域2a全体に形成されている。また、層間絶縁膜214は、入力領域2aの外側領域2bにも形成されている。層間絶縁膜214には、コンタクトホール214aが形成されており、かかるコンタクトホール214aは、パッド部212aにおいて途切れ部分218aを介して対峙する端部と重なる位置に形成されている。
【0032】
上層側導電膜4bは、入力領域2aにおいて、コンタクトホール214aと重なる領域に中継電極215として形成されている。また、上層側導電膜4bは、配線27および位置検出用実装端子24aの形成領域にも形成されており、配線27および位置検出用実装端子24aは、下層側導電膜4aと上層側導電膜4bとの2層構造からなる。なお、配線27においては、下層側導電膜4aと上層側導電膜4bとの層間、あるいは上層側導電膜4bの上層にクロム、銀、アルミニウム、銀−アルミニウム合金等の金属層が形成されることがあり、かかる多層構造を採用すれば、配線27の配線抵抗を低減することができる。
【0033】
このように構成した下層側導電膜4a、層間絶縁膜214および上層側導電膜4bを重ねると、入力領域2aの内側には複数の入力位置検出用電極21が形成される。本形態において、入力位置検出用電極21は、X方向に延在する複数列の第1入力位置検出用電極211と、Y方向に延在する複数列の第2入力位置検出用電極212とからなる。入力位置検出用電極21(第1入力位置検出用電極211および第2入力位置検出用電極212)は、下層側導電膜4aおよび上層側導電膜4bのうち、下層側導電膜4aにより形成されており、同一層からなる。このため、入力装置用基板20の第2面20bには、第1入力位置検出用電極211と第2入力位置検出用電極212との交差部分218が複数、存在する。ここで、第1入力位置検出用電極211は、交差部分218でも下層側導電膜4aからなる連結部分211cによってX方向で繋がって延在しているのに対して、第2入力位置検出用電極212には交差部分218に途切れ部分218aが構成されている。但し、交差部分218では、層間絶縁膜214の上層に、上層側導電膜4bからなる中継電極215が形成されており、かかる中継電極215は、層間絶縁膜214のコンタクトホール214aを介して、途切れ部分218aを介して隣り合うパッド212a同士を電気的に接続している。このため、第2入力位置検出用電極212はY方向で電気的に接続されている。なお、中継電極215は、層間絶縁膜214を介して連結部分211cに重なっているため、短絡するおそれはない。
【0034】
このように構成した第1入力位置検出用電極211および第2入力位置検出用電極212は各々、交差部分218で挟まれた領域に矩形の大面積のパッド部211a、212aを備えており、第1入力位置検出用電極211において交差部分218に位置する連結部分211cは、パッド部211a、212aより幅の狭い細幅形状になっている。また、中継電極215も、パッド部211a、212aより幅の狭い細幅形状に形成されている。
【0035】
(シールド構造)
図1および図3を参照して、入力装置用基板20(入力パネル2)に対するシールド構造を説明する。図3は、本発明の実施の形態1に係る静電容量型入力装置1の説明図であり、図3(a)、(b)は、静電容量型入力装置1の分解斜視図、および入力装置用基板20にシールド用フィルム8を重ねた状態を示す断面図である。なお、図3でも、図2(b)と同様、入力操作側(入力装置用基板20の第1面20a)を下側にして表してある。また、図3(a)では、入力位置検出用電極21や配線27等の図示は省略してある。
【0036】
図1および図3に示すように、本形態の静電容量型入力装置1では、入力装置用基板20の第2面20bには、入力位置検出用電極21および配線27(図3では図示せず)とともに、複数の位置検出用実装端子24aが形成されている。また、入力装置用基板20の第2面20b側には、透光性のシールド用フィルム8が重ねて配置されている。
【0037】
シールド用フィルム8は、入力装置用基板20に重なる大きさの透光性の基材フィルム81と、基材フィルム81において入力装置用基板20が位置する一方面側81aの全体に形成された透光性の接着剤層82と、基材フィルム81において入力装置用基板20が位置する側とは反対側の他方面側81bの全体に形成された透光性のシールド電極層83とを備えている。ここで、シールド用フィルム8は、基材フィルム81の一方面側81aに接着剤層82が予め形成され、基材フィルム81の他方面側81bにシールド電極層83が予め形成されている接着剤層付きシールド用フィルムである。かかるシールド用フィルム8において、基材フィルム81はPET等の絶縁性の樹脂フィルムからなり、接着剤層82は、アクリル樹脂系粘着剤等の絶縁性の粘着剤層からなる。シールド電極層83は、ITOやIZO等の透光性導電膜からなる。
【0038】
かかるシールド用フィルム8は、接着剤層82によって入力装置用基板20の第2面20b側に接着固定されている。また、シールド電極層83は、図4および図5を参照して後述するように、フレキシブル配線基板35を介してシールド電位が印加されている。このため、図1に示すように、入力パネル2(入力装置用基板20)と電気光学パネル5aとの間にはシールド用フィルム8のシールド電極層83が介在しており、シールド電極層83は、入力パネル2における入力操作側とは反対側(電気光学パネル5a)から侵入しようとする電磁波ノイズを阻止する。
【0039】
ここで、シールド用フィルム8は、接着剤層82によって入力装置用基板20の第2面20b側に接着固定され、基材フィルム81に対して入力装置用基板20が位置する側とは反対側にシールド電極層83を備えている。従って、シールド電極層83と入力装置用基板20の入力位置検出用電極21との間には、表面保護膜26等に加えて、接着剤層82および基材フィルム81が介在している。しかも、接着剤層82や基材フィルム81であれば、入力装置用基板20に対して堆積法や塗布法により成膜した表面保護膜26と違って厚くしやすい。
【0040】
より具体的には、表面保護膜26は、最も厚く形成したとしても1.5μmから6μmが上限であるのに対して、基材フィルム81は25μmから188μmまで厚くでき、接着剤層82は、25μmまで厚くできる。このため、基材フィルム81の厚さと接着剤層82との厚さとの和は50μm以上であり、表面保護膜26に比してかなり厚い。本形態において、基材フィルム81の厚さは75μmから125μmであり、接着剤層82の厚さは25μmである。このため、本形態では、基材フィルム81の厚さと接着剤層82との厚さとの和は100μmから150μmに設定されている。従って、入力位置検出用電極21とシールド電極層83とを十分な距離を隔てて離間させることができるので、入力位置検出用電極21とシールド電極層83との間に寄生する容量が小さい。それ故、本形態の静電容量型入力装置1では、入力位置検出用電極21とシールド電極層83との間に寄生する容量に起因する感度低下が発生しないので、静電容量型入力装置1の感度が高い。
【0041】
(シールド電極層83とフレキシブル配線基板35との電気的な接続構造)
図1〜図3に加えて、図4および図5を参照して、入力装置用基板20、フレキシブル配線基板35およびシールド用フィルム8の電気的な接続構造等を説明する。
【0042】
図4は、本発明の実施の形態1に係る静電容量型入力装置1において電気的に接続される部材の説明図であり、図4(a)、(b)、(c)は、入力装置用基板20の端子配列領域の平面的な構成を拡大して示す説明図、シールド用フィルム8の突出部の平面的な構成を拡大して示す説明図、およびフレキシブル配線基板35の平面的な構成を拡大して示す説明図である。なお、図4(a)、(c)には、シールド用フィルム8と重なる領域を一点鎖線で示してある。
【0043】
図5は、本発明の実施の形態1に係る静電容量型入力装置1において入力装置用基板20に対してフレキシブル配線基板35を実装した部分周辺の説明図であり、図5(a)、(b)、(c)、(d)は、入力装置用基板20の実装部分の平面図、B1−B1′断面図、C1−C1′断面図、およびD1−D1′断面図である。なお、図5(b)、(c)、(d)には、実装の際に用いた圧着ヘッド等も図示してある。また、図5(a)では、フレキシブル配線基板35の構成要素を実線で示し、入力装置用基板20の構成要素を一点鎖線で示し、シールド用フィルム8を二点鎖線で示してある。また、図5でも、図2(b)と同様、入力操作側(入力装置用基板20の第1面20a)を下側にして表してある。
【0044】
図1、図2(a)、図3、図4(a)および図5に示すように、入力装置用基板20の第2面20bには、複数の位置検出用実装端子24aが端部20eに沿って配列された端子配列領域240が構成されている。図1、図3、図4(c)および図5に示すように、フレキシブル配線基板35は、入力装置用基板20の端子配列領域240およびその両側領域に重なる重なり部分350を備えている。かかる重なり部分350には、位置検出用実装端子24aと重なる領域に端子35aが形成されており、端子35aは、フレキシブル配線基板35の基材フィルム35f上に形成された配線351aの端部からなる。このように構成したフレキシブル配線基板35は、後述する実装工程を行なえば、位置検出用実装端子24aとフレキシブル配線基板35の端子35aとが電気的に接続される。
【0045】
本形態では、図3、図4および図5を参照して以下に説明するように、シールド用フィルム8のシールド電極層83にシールド電位を印加するにあたってフレキシブル配線基板35を用いる。具体的には、まず、シールド用フィルム8は、入力装置用基板20の入力領域2aと重なる大面積の本体部80と、本体部80から帯状に延在する2つの突出部85とを備えており、かかる本体部80および突出部85のいずれにも、接着剤層82およびシールド電極層83が形成されている。2つの突出部85は、フレキシブル配線基板35と重なる部分まで突出しており、入力装置用基板20の第2面20bにおいて位置検出用実装端子24aの端子配列領域240の両側領域に重なっている。この状態で、突出部85では、入力装置用基板20が位置する側に接着剤層82が位置し、入力装置用基板20が位置する側とは反対側にシールド電極層83が位置する。このため、突出部85は、接着剤層82によって入力装置用基板20の第2面20bに接着固定されている。また、入力装置用基板20の本体部80は、接着剤層82によって入力装置用基板20の第2面20bに接着固定されている。
【0046】
ここで、入力装置用基板20の第2面20bでは、位置検出用実装端子24aの端子配列領域240の両側領域(シールド用フィルム8の突出部85と重なる領域)には実装端子が形成されていない。これに対して、フレキシブル配線基板35において、位置検出用実装端子24aの端子配列領域240の両側領域と重なる領域(シールド用フィルム8の突出部85と重なる領域)には端子35bが形成されている。かかる端子35bは、フレキシブル配線基板35の基材フィルム35f上に形成された配線351bの端部からなる。
【0047】
このように構成した入力装置用基板20、フレキシブル配線基板35、およびシールド用フィルム8を用いれば、以下に説明する実装工程を行なうことにより、図5(b)、(c)、(d)に示すように、フレキシブル配線基板35の端子35aと、入力装置用基板20の位置検出用実装端子24aとを異方性導電材40によって電気的に接続することができる。また、フレキシブル配線基板35の端子35bと、シールド用フィルム8の突出部85に形成されているシールド電極層83とを異方性導電材40によって電気的に接続することができる。
【0048】
(静電容量型入力装置1の製造方法/実装工程)
図3、図4および図5を参照して、本形態の静電容量型入力装置1の製造方法のうち、入力装置用基板20にフレキシブル配線基板35を実装する工程を説明しながら、本形態の静電容量型入力装置1におけるシールド用フィルム8とフレキシブル配線基板35との電気的な接続構造を説明する。
【0049】
本形態の静電容量型入力装置1を製造するにあたって、実装工程では、まず、図3(a)、(b)に示すように、入力装置用基板20の第2面20bにシールド用フィルム8の本体部80を接着剤層82によって接着固定するとともに、突出部85を接着剤層82によって入力装置用基板20の第2面20bに接着固定する。
【0050】
次に、図5(b)、(c)、(d)に示すように、入力装置用基板20の端子配列領域240、およびシールド用フィルム8の突出部85を覆うように液状の異方性導電材40を塗布する。あるいは、入力装置用基板20の端子配列領域240および突出部85を覆うようにシート状の異方性導電材40を重ねる。かかる異方性導電材40は、樹脂41内に導電粒子42が分散された構成を有している。次に、異方性導電材40を介して入力装置用基板20の端子配列領域240および突出部85を覆うようにフレキシブル配線基板35の端部(重なり部分350)を重ねる。
【0051】
次に、圧着ヘッド45によってフレキシブル配線基板35を加熱しながら、フレキシブル配線基板35を入力装置用基板20に押し付ける。その際、圧着ヘッド45とフレキシブル配線基板35との間にはフッ素樹脂系のシート等といった弾性部材46を挿入しておく。次に、異方性導電材40を固化させて、異方性導電材40によってフレキシブル配線基板35を入力装置用基板20の端子配列領域240に固定するとともに、異方性導電材40によってフレキシブル配線基板35と突出部85とを固定する。しかる後には、圧着ヘッド45および弾性部材46を取り外す。
【0052】
その結果、フレキシブル配線基板35の端子35aと、入力装置用基板20の位置検出用実装端子24aとを異方性導電材40によって電気的に接続することができる。また、フレキシブル配線基板35の端子35bと、シールド用フィルム8の突出部85に形成されているシールド電極層83とを異方性導電材によって電気的に接続することができる。従って、シールド用フィルム8のシールド電極層83全体を突出部85でフレキシブル配線基板35の端子35bおよび配線351bに電気的に接続することができる。それ故、フレキシブル配線基板35を介してシールド電極層83にシールド電位を印加することができる。
【0053】
(入力位置検出等の動作)
図1(b)に示すように、本形態の静電容量型入力装置1では、入力パネル2の位置検出用実装端子24aに対してフレキシブル配線基板35が接続される。この状態で、フレキシブル配線基板35を介して入力装置用基板20にパルス状の位置検出信号を順次出力する。従って、入力位置検出用電極21に容量が寄生していない場合、入力装置用基板20に出力したパルス状の位置検出信号と同一波形あるいは略同一波形の信号が検出される。
【0054】
これに対して、入力位置検出用電極21に容量が寄生していると、容量に起因する波形の歪みが発生するので、入力位置検出用電極21に容量が寄生しているか否かを検出することができる。それ故、本形態では、複数の入力位置検出用電極21に順次、位置検出信号を出力して入力位置検出用電極21の各々に対して、結合している静電容量を監視する。よって、複数の入力位置検出用電極21のうちのいずれかに指が近接すると、指が近接した入力位置検出用電極21では、指との間に生じた静電容量分だけ、静電容量が増大するので、指が近接した電極を特定することができる。
【0055】
かかる位置検出動作を行う際、フレキシブル配線基板35を介してシールド用フィルム8にシールド電位を出力する。このため、入力パネル2(入力装置用基板20)に対して入力操作側とは反対側に位置する電気光学パネル5aから入力パネル2に電磁波ノイズが侵入しようとしても、かかる電磁波ノイズは、シールド用フィルム8のシールト電極層83によって遮断される。このため、入力パネル2では、電磁波ノイズに起因する誤作動が発生しにくい。
【0056】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の静電容量型入力装置1および入力機能付き電気光学装置100では、入力装置用基板20の入力操作面側(第1面20a側)とは反対側(第2面20b側)に入力位置検出用電極21を備えているため、入力装置用基板20自身を透光性カバーとして利用できる等の利点がある。
【0057】
また、入力装置用基板20の第2面20b側には、シールド電極層83を備えたシールド用フィルム8が重ねて配置されているため、入力位置検出用電極21は電磁波ノイズの影響を受けにくい。ここで、シールド用フィルム8と入力装置用基板20とは、接着剤層82によって貼り合わされており、シールド電極層83と入力装置用基板20との間には接着剤層82が介在している。かかる接着剤層82であれば、入力装置用基板20に対して堆積法や塗布法により成膜した表面保護膜26と違って厚くしやすいので、入力位置検出用電極21とシールド電極層83とを離間させることができる。
【0058】
しかも、シールド用フィルム8は、シールド電極層83を基材フィルム81に対して入力装置用基板20が位置する側とは反対側に備えている。このため、シールド電極層83と入力装置用基板20の入力位置検出用電極21との間には接着剤層82および基材フィルム81が介在しているので、入力位置検出用電極21とシールド電極層83とを50μm以上という十分な距離を隔てて離間させることができる。また、本形態では、下層側導電膜4aにより入力位置検出用電極21(パッド部)を形成したため、入力位置検出用電極21とシールド電極層83との間には層間絶縁膜214も介在する。このため、入力位置検出用電極21とシールド電極層83との間に寄生する容量を十分小さくすることができるので、高い位置検出感度を得ることができる。
【0059】
また、本形態では、基材フィルム81の厚さと接着剤層82との厚さとの和が、100μmから150μmに設定されている。基材フィルム81の厚さと接着剤層82との厚さとの和が100μm以上であれば、入力位置検出用電極21とシールド電極層83とを十分離間させることができるので、入力位置検出用電極21とシールド電極層83との間に寄生する容量に起因する感度低下を確実に防止することができる。なお、基材フィルム81の厚さと接着剤層82との厚さとの和が150μmを超えても、それ以上、感度に対する寄与がない一方、静電容量型入力装置1が無駄に厚くなる。ここに、本形態では、基材フィルム81の厚さと接着剤層82との厚さとの和が100μmから150μmに設定されているため、静電容量型入力装置1を無駄に厚くすることなく、入力位置検出用電極21とシールド電極層83との間に寄生する容量に起因する感度低下を防止することができる。
【0060】
また、本形態では、シールド用フィルム8は、フレキシブル配線基板35と重なる位置に向けて突出した突出部85を備えており、シールド電極層83は、突出部85に形成されている部分がフレキシブル配線基板35に電気的に接続されている。このため、シールド用フィルム8のシールド電極層83とフレキシブル配線基板35とを電気的に接続する領域が狭く済む。また、端子配列領域240を避けるようにシールド用フィルム8を配置することができるので、位置検出用端子24aとフレキシブル配線基板35とを電気的に接続する際、シールド用フィルム8が邪魔にならなる。さらに、シールド用フィルム8は、複数の位置検出用実装端子24aが設けられている端子配列領域240を挟む両側に向けて突出した2本の突出部85を備えているため、シールド用フィルム8のシールド電極層83とフレキシブル配線基板35とを確実に電気的に接続することができる。
【0061】
また、本形態では、フレキシブル配線基板35を圧着ヘッド45により入力装置用基板20に押圧して、位置検出用実装端子24aとフレキシブル配線基板35との電気的な接続と、突出部85でのシールド電極層83とフレキシブル配線基板35との電気的な接続とを同時に行なう際、フレキシブル配線基板35および突出部85と、圧着ヘッド45との間に弾性部材46を介在させておく。このため、入力装置用基板20の第2面20b側において、シールド用フィルム8の厚さと、入力装置用基板20の位置検出用実装端子24aの厚さとが相違している場合でも、かかる厚さの差を弾性部材46の変形によって吸収することができる。従って、フレキシブル配線基板35を入力装置用基板20の位置検出用実装端子24aに電気的に接続する際、フレキシブル配線基板35をシールド用フィルム8の突出部85に確実に電気的に接続することができる。
【0062】
また、シールド用フィルム8は、シールド用フィルム8を入力装置用基板20の第2面20b側に接着する接着剤層82を予め備えているため、突出部85を接着剤層82によって入力装置用基板20の第1面20a側に接着することができる。このため、フレキシブル配線基板35をシールド用フィルム8の突出部85に電気的に接続する際、シールド用フィルム8の突出部85を入力装置用基板20に固定しておけるので、フレキシブル配線基板35をシールド用フィルム8の突出部85に容易かつ確実に電気的に接続することができる。
【0063】
[実施の形態2]
(入力機能付き電気光学装置の全体構成)
図6は、本発明の実施の形態2に係る入力機能付き電気光学装置の説明図であり、図6(a)、(b)は、入力機能付き電気光学装置の外観を模式的に示す説明図、および入力機能付き電気光学装置の断面構成を模式的に示す説明図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と略形態同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
【0064】
図6に示すように、本形態の入力機能付き電気光学装置100も、実施の形態1と同様、液晶装置等からなる画像生成装置5と、この画像生成装置5において表示光を出射する側の面に重ねて配置された静電容量型入力装置1とを有している。
【0065】
静電容量型入力装置1において、入力パネル2は、ガラス板やプラスチック板等からなる透光性の入力装置用基板20を備えており、本形態では、入力装置用基板20としてガラス基板が用いられている。入力装置用基板20において、入力操作側に位置する第1面20aとは反対側の第2面20b側には、入力装置用基板20からみて下層側から上層側に向かって下層側導電膜4a、層間絶縁膜214、上層側導電膜4bおよび表面保護膜26が形成されており、下層側導電膜4aによって入力位置検出用電極21が形成されている。また、入力装置用基板20の端部20eには、第2面20bに位置検出用実装端子24aが形成されており、かかる位置検出用実装端子24aに対してフレキシブル配線基板35が電気的に接続されている。
【0066】
(シールド構造)
図7は、本発明の実施の形態2に係る静電容量型入力装置1の説明図であり、図7(a)、(b)は、静電容量型入力装置1の分解斜視図、および入力装置用基板20にシールド用フィルム8を重ねた状態を示す断面図である。なお、図7でも、図2(b)等と同様、入力操作側(入力装置用基板20の第1面20a)を下側にして表してある。図7では、入力位置検出用電極21や配線27等の図示は省略してある。
【0067】
図6および図7に示すように、本形態の静電容量型入力装置1においても、実施の形態1と同様、入力装置用基板20の第2面20b側には、透光性のシールド用フィルム8が重ねて配置されている。
【0068】
本形態において、シールド用フィルム8は、実施例1と違って、基材フィルム81において入力装置用基板20が位置する一方面側81aにシールド電極層83および接着剤層82がこの順に接続された構造を備えており、基材フィルム81の他方面側81bにはシールド電極層83が形成されていない。基材フィルム81はPET等の透光性の樹脂フィルムからなり、接着剤層82は、アクリル樹脂系粘着剤等の透光性の粘着剤層からなる。シールド電極層83は、ITOやIZO等の透光性導電膜からなる。
【0069】
かかるシールド用フィルム8は、接着剤層82によって入力装置用基板20の第2面20b側に接着固定されている。また、シールド電極層83は、図8および図9を参照して後述するように、フレキシブル配線基板35を介してシールド電位が印加されている。このため、図6に示すように、入力パネル2(入力装置用基板20)と電気光学パネル5aとの間にはシールド用フィルム8のシールド電極層83が介在しているので、シールド電極層83は、入力パネル2における入力操作側とは反対側(電気光学パネル5a)から侵入しようとする電磁波ノイズを阻止する。
【0070】
ここで、シールド用フィルム8は、接着剤層82によって入力装置用基板20の第2面20b側に接着固定されているため、シールド電極層83と入力装置用基板20の入力位置検出用電極21との間には、表面保護膜26等に加えて、接着剤層82が介在している。かかる接着剤層82であれば、入力装置用基板20に対して堆積法や塗布法により成膜した表面保護膜26と違って厚くしやすい。
【0071】
すなわち、表面保護膜26は、最も厚く形成したとしても1.5μmから6μmが上限であるのに対して、接着剤層82であれば25μm以上まで厚くすることができる。従って、入力位置検出用電極21とシールド電極層83とを十分な距離を隔てて離間させることができるので、入力位置検出用電極21とシールド電極層83との間に寄生する容量が小さい。それ故、本形態の静電容量型入力装置1では、入力位置検出用電極21とシールド電極層83との間に寄生する容量に起因する感度低下が発生しないので、静電容量型入力装置1の感度が高い。
【0072】
(シールド電極層83とフレキシブル配線基板35との電気的な接続構造)
図8は、本発明の実施の形態3に係る静電容量型入力装置1において電気的に接続される部材の説明図であり、図8(a)、(b)、(c)は、入力装置用基板20の端子配列領域の平面的な構成を拡大して示す説明図、シールド用フィルム8の突出部の平面的な構成を拡大して示す説明図、およびフレキシブル配線基板35の平面的な構成を拡大して示す説明図である。なお、図8(a)、(c)には、シールド用フィルム8の突出部と重なる領域を一点鎖線で示してある。
【0073】
図9は、本発明の実施の形態3に係る静電容量型入力装置1において入力装置用基板20に対してフレキシブル配線基板35を実装した部分周辺の説明図であり、図9(a)、(b)、(c)、(d)は、入力装置用基板20の実装部分の平面図、B2−B2′断面図、C2−C2′断面図、およびD2−D2′断面図である。なお、図9(a)では、フレキシブル配線基板35の構成要素を実線で示し、入力装置用基板20の構成要素を一点鎖線で示し、シールド用フィルム8の突出部を二点鎖線で示してある。
【0074】
図6、図7、図8(a)および図9に示すように、入力装置用基板20の第2面20bには、複数の位置検出用実装端子24aが端部20eに沿って配列された端子配列領域240が構成されている。図6、図7、図8(c)および図9に示すように、フレキシブル配線基板35は、入力装置用基板20の端子配列領域240およびその両側領域に重なる重なり部分350を備えている。かかる重なり部分350には、位置検出用実装端子24aと重なる領域に端子35aが形成されている。
【0075】
本形態では、図6、図7、図8および図9を参照して以下に説明するように、シールド用フィルム8のシールド電極層83にシールド電位を印加するにあたってフレキシブル配線基板35を用いる。具体的には、まず、シールド用フィルム8は、入力装置用基板20の第2面20bと重なる大面積の本体部80と、本体部80から帯状に延在する2つの突出部85とを備えている。
【0076】
ここで、本体部80には、接着剤層82およびシールド電極層83が形成されており、本体部80は、接着剤層82によって入力装置用基板20の第2面20bに接着固定されている。これに対して、突出部85には接着剤層82が形成されておらず、シールド電極層83は露出している。また、2つの突出部85は、入力装置用基板20の第2面20bにおいて位置検出用実装端子24aの端子配列領域240の両側領域に重なっている。この状態で、突出部85では、入力装置用基板20が位置する側にシールド電極層83が露出した状態である。
【0077】
入力装置用基板20の第2面20bでは、位置検出用実装端子24aの端子配列領域240の両側領域にシールド用実装端子24cが形成されている。また、シールド用フィルム8の突出部85は、シールド用実装端子24cに重なった状態でシールド電極層83が異方性導電材40によって電気的に接続されている。ここで、シールド用フィルム8の突出部85は、シールド用実装端子24cの一部のみ重なっており、シールド用実装端子24cの他の部分は、異方性導電材40によって、フレキシブル配線基板35の端子35cに電気的に接続されている。すなわち、フレキシブル配線基板35には、位置検出用実装端子24aの端子配列領域240の両側領域と重なる領域に端子35cが形成されており、かかる端子35cは、入力装置用基板20のシールド用実装端子24cと重なる領域のうち、突出部85と重ならない領域のみに形成されている。このように、本形態では、フレキシブル配線基板35自身は突出部85と重なっていない。端子35cは、フレキシブル配線基板35の基材フィルム35f上に形成された配線351cの端部からなる。
【0078】
このように構成した入力装置用基板20、フレキシブル配線基板35、およびシールド用フィルム8を用いれば、以下に説明する実装工程を行なうことにより、図9(b)、(c)、(d)に示すように、フレキシブル配線基板35の端子35aと入力装置用基板20の位置検出用実装端子24aとを異方性導電材40によって電気的に接続することができる。また、フレキシブル配線基板35の端子35cと、入力装置用基板20のシールド用実装端子24cとを異方性導電材40によって電気的に接続することができる。さらに、入力装置用基板20のシールド用実装端子24cとシールド用フィルム8の突出部85に形成されているシールド電極層83とを異方性導電材40によって電気的に接続することができる。
【0079】
(静電容量型入力装置1の製造方法/実装工程)
図7および図9を参照して、本形態の静電容量型入力装置1の製造方法のうち、入力装置用基板20にフレキシブル配線基板35を実装する工程を説明しながら、本形態の静電容量型入力装置1におけるシールド用フィルム8とフレキシブル配線基板35との電気的な接続構造を説明する。
【0080】
本形態の静電容量型入力装置1を製造するにあたって、実装工程では、まず、図7(a)および図9(a)に示すように、入力装置用基板20の第2面20bのうち、端子配列領域240およびその両側領域に異方性導電材40を設ける。
【0081】
次に、入力装置用基板20の第2面20bにシールド用フィルム8の本体部80を接着剤層82によって接着固定するとともに、2つの突出部85を入力装置用基板20のシールド用実装端子24cに重ねる。
【0082】
次に、図9(b)、(c)、(d)に示すように、次に、異方性導電材40を介して入力装置用基板20の端子配列領域240および突出部85を覆うようにフレキシブル配線基板35の端部(重なり部分350)を重ねる。
【0083】
次に、圧着ヘッド45によってフレキシブル配線基板35を加熱しながら、フレキシブル配線基板35を入力装置用基板20に押し付ける。その際、圧着ヘッド45は、突出部85も入力装置用基板20に押し付ける。ここで、圧着ヘッド45とフレキシブル配線基板35との間、および圧着ヘッド45と突出部85との間にはフッ素樹脂系のシート等といった弾性部材46を挿入しておく。次に、異方性導電材40を固化させて、異方性導電材40によってフレキシブル配線基板35を入力装置用基板20の端子配列領域240に固定するとともに、異方性導電材40によって突出部85と入力装置用基板20とを固定する。
【0084】
その結果、フレキシブル配線基板35の端子35aと入力装置用基板20の位置検出用実装端子24aとを異方性導電材40によって電気的に接続することができる。また、フレキシブル配線基板35の端子35cと、入力装置用基板20のシールド用実装端子24cとを異方性導電材40によって電気的に接続することができる。さらに、入力装置用基板20のシールド用実装端子24cとシールド用フィルム8の突出部85に形成されているシールド電極層83とを異方性導電材によって電気的に接続することができる。それ故、フレキシブル配線基板35からシールド電極層83にシールド電位を印加することができる。
【0085】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の静電容量型入力装置1および入力機能付き電気光学装置100でも、実施の形態1と同様、入力装置用基板20の入力操作面側(第1面20a側)とは反対側(第2面20b側)に入力位置検出用電極21を備えているため、入力装置用基板20自身を透光性カバーとして利用できる等の利点がある。
【0086】
また、入力装置用基板20の第2面20b側には、シールド電極層83を備えたシールド用フィルム8が設けられているため、入力位置検出用電極21は電磁波ノイズの影響を受けにくい。ここで、シールド用フィルム8と入力装置用基板20とは、接着剤層82によって貼り合わされており、シールド電極層83と入力装置用基板20との間には接着剤層82が介在している。かかる接着剤層82であれば、入力装置用基板20に対して堆積法や塗布法により成膜した表面保護膜26と違って厚くしやすいので、入力位置検出用電極21とシールド電極層83とを十分離間させることができる。よって、入力位置検出用電極21とシールド電極層83との間に寄生する容量が小さいので、高い感度を得ることができる等、実施の形態1と略同様な効果を奏する。
【0087】
[他の実施の形態]
上記実施の形態では、シールド用フィルム8に2つの突出部85を設けたが、突出部85の数については1つあるいは3つ以上であってもよい。
【0088】
上記実施の形態では、下層側導電膜4aにより入力位置検出用電極21(パッド部)を形成し、上層側導電膜4bにより中継電極215を形成したが、上層側導電膜4bにより入力位置検出用電極21(パッド部)を形成し、下層側導電膜4aにより中継電極215を形成してもよい。
【0089】
また、上記実施の形態では、画像生成装置5として液晶装置を用いたが、画像生成装置5としては有機エレクトロルミネッセンス装置を用いてもよい。また、上記実施の形態では、入力パネル2および電気光学パネル5aはいずれも矩形の平面形状を備えたものを用いたが、5角形等の多角形の平面形状を備えたものを用いてもよく、電気光学パネル5aを矩形の平面形状を備えたものとして、入力パネル2を前記電気光学パネル5aより大きなサイズの多角形の平面形状を備えたものを用いてもよい。
【0090】
[電子機器への搭載例]
次に、上述した実施形態に係る入力機能付き電気光学装置100を適用した電子機器について説明する。図10(a)に、入力機能付き電気光学装置100を備えたモバイル型のパーソナルコンピューターの構成を示す。パーソナルコンピューター2000は、表示ユニットとしての入力機能付き電気光学装置100と本体部2010を備える。本体部2010には、電源スイッチ2001及びキーボード2002が設けられている。図10(b)に、入力機能付き電気光学装置100を備えた携帯電話機の構成を示す。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001及びスクロールボタン3002、並びに表示ユニットとしての入力機能付き電気光学装置100を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、入力機能付き電気光学装置100に表示される画面がスクロールされる。図10(c)に、入力機能付き電気光学装置100を適用した情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001及び電源スイッチ4002、並びに表示ユニットとしての入力機能付き電気光学装置100を備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が入力機能付き電気光学装置100に表示される。
【0091】
なお、入力機能付き電気光学装置100が適用される電子機器としては、図10に示すものの他、デジタルスチールカメラ、液晶テレビ、ビューファインダー型、モニター直視型のビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、銀行端末等の電子機器等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器の表示部として、前述した入力機能付き電気光学装置100が適用可能である。
【符号の説明】
【0092】
1・・静電容量型入力装置、2・・入力パネル、8・・シールド用フィルム、20・・入力装置用基板、21・・入力位置検出用電極、24a・・位置検出用実装端子、35・・フレキシブル配線基板、40・・異方性導電材、81・・基材フィルム、82・・接着剤層、83・・シールド電極層、85・・突出部、100・・入力機能付き電気光学装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力操作が行われる第1面側とは反対側の第2面側に位置検出用電極を備えた入力装置用基板と、
基材フィルム上にシールド電極層をもって前記入力装置用基板の第2面側に接着剤層により接着されたシールド用フィルムと、
を有することを特徴とする静電容量型入力装置。
【請求項2】
前記シールド用フィルムは、前記シールド電極層を前記基材フィルムに対して前記入力装置用基板が位置する側とは反対側に備えていることを特徴とする請求項1に記載の静電容量型入力装置。
【請求項3】
前記基材フィルムの厚さと前記接着剤層との厚さとの和は50μm以上であることを特徴とする請求項2に記載の静電容量型入力装置。
【請求項4】
前記基材フィルムの厚さと前記接着剤層との厚さとの和が100μmから150μmであることを特徴とする請求項3に記載の静電容量型入力装置。
【請求項5】
前記シールド用フィルムは、前記基材フィルムの一方の面に前記接着剤層が予め形成され、他方の面に前記シールド電極層が予め形成されている接着剤層付きシールド用フィルムであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の静電容量型入力装置。
【請求項6】
前記入力装置用基板の前記第2面側に部分的に重なるフレキシブル配線基板を備え、
前記シールド用フィルムは、前記入力装置用基板において前記位置検出用電極が形成されている入力領域に重なる本体部分と、当該本体部分から前記フレキシブル配線基板と重なる位置に向けて突出した突出部と、を備え、
前記シールド電極層は、前記突出部に形成されている部分が前記フレキシブル配線基板に電気的に接続されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の静電容量型入力装置。
【請求項7】
前記入力装置用基板の前記第2面側には前記フレキシブル配線基板と電気的に接続される複数の位置検出用実装端子が設けられており、
前記シールド用フィルムは、前記複数の位置検出用実装端子が設けられている領域を挟む両側に前記突出部を備えていることを特徴とする請求項6に記載の静電容量型入力装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一項に記載の静電容量型入力装置を備えた入力機能付き電気光学装置であって、
前記位置検出用電極、前記入力装置用基板、前記基材フィルム、前記シールド電極層および前記接着剤層は透光性を備え、
前記シールド用フィルムに対して前記入力装置用基板が位置する側とは反対側に画像生成用の電気光学パネルが配置されていることを特徴とする入力機能付き電気光学装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−138261(P2011−138261A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297028(P2009−297028)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】