説明

静電容量式乗員検知装置

【課題】静電容量式乗員検知装置において、厚着等の理由により大人が電極から離れて着座した場合において、シート上の乗員が大人であるか子供であるかを従来よりも正確に検出する。
【解決手段】信号印加回路21から第1検出電極11への電圧振幅信号の印加時に第1検出電極11に供給される電流値に基づいて、第1検出電極11とグラウンド3の間の第1静電容量M1を算出し、また、信号印加回路21から第2検出電極12への電圧振幅信号の印加時に第2検出電極12に供給される電流値に基づいて、第2検出電極12とグラウンド3の間の第2静電容量M2を算出し、算出した第1静電容量M1および第2静電容量M2に基づいて、車両のシート上の乗員が大人であるか子供であるかを判別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量式乗員検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、静電容量式乗員検知装置としては、種々のものが提案されている。例えば、特許文献1に記載の静電容量式乗員検知装置は、図9に示すように、車両のシート90の内部に検出電極91を配置し、検出電極91の下側にガード電極92を配置し、検出電極91に正弦波信号を印加して電界を放出させ、周辺導体・誘電体(人体など)の影響で変化する正弦波信号の電流値等を検出し、この検出結果に基づいて検出容量等を算出し、シート90に着座する乗員が大人93かCRS(Child Restraint System、年少者拘束システム)に搭乗した子供94かを判別するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−111809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし上記手法では、電極91から出た電界が、検出対象93、94だけでなく、破線95、96で囲んだ部分の導体97(車両ボディ)と直接結合し、この直接結合の分だけ、検出容量が増加する。
【0005】
図10に、着座する乗員の種別毎に、検出容量に占める容量C1、C2の内訳を例示する。容量C1は、人体を介する容量であり、容量C2は、直接結合(すなわち、直接の容量結合)によって増加する容量(直接結合容量)である。
【0006】
この図に示すように、CRSに搭乗した子供は、電極91を覆う面積が小さいので、大人が着座するよりも、直接結合容量C2が大きくなる。したがって、シートクッションを敷いて大人が着座したり、厚着をして大人が着座したりすることにより、電極91から人体までの距離が大きくなった場合は、大人であっても容量C1が小さくなり、その結果、大人であるかCRSに搭乗した子供であるかの判別が困難となる。
【0007】
上記点に鑑み、本発明は、静電容量式乗員検知装置において、厚着等の理由により大人が電極から離れて着座した場合において、シート上の乗員が大人であるか子供であるかを従来よりも正確に検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、車両のシート上の乗員が大人であるか子供であるかを判別する静電容量式乗員検知装置であって、前記シートの座面部(30)に取り付けられるセンサ部(1)と、前記センサ部(1)に接続される制御ユニット(2)と、を備え、前記センサ部(1)は、第1検出電極(11)と、第2検出電極(12)と、を有し、前記制御ユニット(2)は、前記第1検出電極(11)に電圧の振幅が変動する電圧振幅信号を印加し、また、前記第2検出電極(12)に電圧の振幅が変動する電圧振幅信号を印加する信号印加回路(21)と、前記信号印加回路(21)から前記第1検出電極(11)への電圧振幅信号の印加時に前記第1検出電極(11)に供給される電流値を検出し、また、前記信号印加回路(21)から前記第2検出電極(12)への電圧振幅信号の印加時に前記検出電極(12)に供給される電流値を検出する信号検出回路(23、23a、23b)と、前記信号検出回路(23、23a、23b)が検出した前記電流値が入力され、前記電流の電流値に基づいて、前記シート上の乗員が大人であるか子供であるかを判別する制御回路(24)と、を有し、前記第1検出電極(11)は、前記座面部(30)に取り付けられたCRSに1歳児ダミーを乗せ、前記1歳児ダミーが前記第1検出電極(11)の座席左右方向の中央位置(35)を中心として正規着座している状態において、前記1歳児ダミーの座位殿幅が前記第1検出電極(11)の座席左右方向の全長を覆うようになっており、前記第2検出電極(12)は、前記第1検出電極(11)の座席左右方向右側および左側にそれぞれ配置された右側部位(121)および左側部位(122)を有し、
前記右側部位(121)および前記左側部位(122)は、前記座面部(30)に取り付けられたCRSに前記1歳児ダミーを乗せ、前記1歳児ダミーが前記第1検出電極(11)の座席左右方向の中央位置(35)を中心として正規着座している状態において、前記1歳児ダミーが前記右側部位(121)、および前記左側部位(122)を一部でも上から覆うことがないように配置されており、
前記右側部位(121)および前記左側部位(122)は更に、前記座面部(30)に、大人ダミーが前記第1検出電極(11)の座席左右方向の中央位置(35)を中心として正規着座している状態において、前記大人ダミーが前記右側部位(121)の少なくとも一部および前記左側部位(122)の少なくとも一部を上から覆うように配置されており、
前記1歳児ダミーは、CRABI 12−Month−Old Childであり、前記大人ダミーは、Hybrid−III Female 5th percentileであり、
前記制御回路(24)は、前記信号検出回路(23、23a、23b)の検出結果に基づいて、前記信号印加回路(21)から前記第1検出電極(11)への電圧振幅信号の印加時に前記第1検出電極(11)に供給される電流値に基づいて算出される、前記第1検出電極(11)とグラウンド(3)の間の第1静電容量M1と、前記信号印加回路(21)から前記第2検出電極(12)への電圧振幅信号の印加時に前記第2検出電極(12)に供給される電流値に基づいて算出される、前記第2検出電極(12)とグラウンド(3)の間の第2静電容量M2と、に基づいて、前記車両のシート上の乗員が大人であるか子供であるかを判別することを特徴とする静電容量式乗員検知装置である。
【0009】
このように、大人と子供の乗員のシートを覆う領域が異なることを利用し、配置の異なる2つの検出電極(11、12)を使い分けることで、車両のシート上の乗員が大人であるか子供であるかを従来よりも正確に区別することができる。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、車両のシート上の乗員が大人であるか子供であるかを判別する静電容量式乗員検知装置であって、前記シートの座面部(30)に取り付けられるセンサ部(1)と、前記センサ部(1)に接続される制御ユニット(2)と、を備え、前記センサ部(1)は、第1検出電極(11)と、第2検出電極(12)と、を有し、前記制御ユニット(2)は、前記第1検出電極(11)に電圧の振幅が変動する電圧振幅信号を印加し、また、前記第2検出電極(12)に電圧の振幅が変動する電圧振幅信号を印加する信号印加回路(21)と、前記信号印加回路(21)から前記第1検出電極(11)への電圧振幅信号の印加時に前記第1検出電極(11)に供給される電流値を検出し、また、前記信号印加回路(21)から前記第2検出電極(12)への電圧振幅信号の印加時に前記検出電極(12)に供給される電流値を検出する信号検出回路(23、23a、23b)と、前記信号検出回路(23、23a、23b)が検出した前記電流値が入力され、前記電流の電流値に基づいて、前記シート上の乗員が大人であるか子供であるかを判別する制御回路(24)と、を有し、前記第1検出電極(11)は、座席左右方向の長さが158mm以下となっており、前記第2検出電極(12)は、前記第2検出電極(12)は、前記第1検出電極(11)の座席左右方向右側および左側にそれぞれ配置された右側部位(121)および左側部位(122)を有し、前記右側部位(121)から前記左側部位(122)までの間隔は174mm以上300mm以下となるように配置されており、前記制御回路(24)は、前記信号検出回路(23、23a、23b)の検出結果に基づいて、前記信号印加回路(21)から前記第1検出電極(11)への電圧振幅信号の印加時に前記第1検出電極(11)に供給される電流値に基づいて算出される、前記第1検出電極(11)とグラウンド(3)の間の第1静電容量M1と、前記信号印加回路(21)から前記第2検出電極(12)への電圧振幅信号の印加時に前記第2検出電極(12)に供給される電流値に基づいて算出される、前記第2検出電極(12)とグラウンド(3)の間の第2静電容量M2と、に基づいて、前記車両のシート上の乗員が大人であるか子供であるかを判別することを特徴とする静電容量式乗員検知装置である。
【0011】
このように、大人と子供の乗員のシートを覆う領域が異なることを利用し、配置の異なる2つの検出電極(11、12)を使い分けることで、車両のシート上の乗員が大人であるか子供であるかを従来よりも正確に区別することができる。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の静電容量式乗員検知装置において、前記制御回路(24)は、前記第1静電容量M1と前記第2静電容量M2の比M1/M2の増加と共に増加する量と、閾値(Th)とを比較し、前記量が前記閾値より小さければ、前記車両のシート上の乗員が大人であると判定し、前記量が前記閾値より大きければ、前記車両のシート上の乗員が子供であると判定することを特徴とする。
【0013】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の静電容量式乗員検知装置において、前記信号印加回路(21)から電圧の振幅が変動する電圧振幅信号が印加されると共に、印加された前記電圧振幅信号を前記第1検出電極(11)に印加する第1乗員検知モードと、前記電圧振幅信号を前記第2検出電極(12)に印加する第2乗員検知モードとを切り替え可能なスイッチ部(25)を備え、前記信号検出回路(23)は、前記信号印加回路(21)から前記スイッチ部(25)に供給される電流を検出することで、前記第1乗員検知モードにおいて、前記信号印加回路(21)から前記第1検出電極(11)に供給される電流値を検出し、前記第2乗員検知モードにおいて、前記信号印加回路(21)から前記第2検出電極(12)に供給される電流値を検出し、前記制御回路(24)は、前記第1乗員検知モードにおいて、前記信号検出回路(23)が検出した電流値に基づいて前記第1静電容量M1を算出し、前記第2乗員検知モードにおいて、前記信号検出回路(23)が検出した電流値に基づいて前記第2静電容量M2を算出することを特徴とする。
【0014】
このように、スイッチ部を用いて信号印加回路(21)の出力先を切り替えることで、信号検出回路(23)の構成が簡易になる。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の静電容量式乗員検知装置において、前記信号検出回路(23a、23b)は、前記信号印加回路(21)から出て分岐し、分岐した一方は前記第1検出電極(11)に接続され、分岐したもう一方は前記第2検出電極(12)に接続される信号線のうち、分岐点から前記第1検出電極(11)までの信号線を流れる電流を検出する第1信号検出回路(23a)と、前記分岐点から前記第2検出電極(12)までの信号線を流れる電流を検出する第2信号検出回路(23b)と、を有し、前記第1検出電極(11)と前記第2信号検出回路(23b)は電流の検出を同時に行い、前記制御回路(24)は、前記第1信号検出回路(23a)が検出した電流値に基づいて前記第1静電容量M1を算出し、前記第2信号検出回路(23b)が検出した電流値に基づいて前記第2静電容量M2を算出することを特徴とする。
【0016】
このように、本実施形態では、第1検出電極(11)と第2検出電極(12)とを同時に別々の検出電極として機能させることができるので、第1静電容量M1および第2静電容量M2とをほぼ同時に検出することができる。また、第1静電容量M1の検出用のモードと第2静電容量M2の検出用のモードとを切り替えるスイッチ部(25)を必要としないので、その分構成が簡易になり、制御が簡易になる。
【0017】
なお、上記および特許請求の範囲における括弧内の符号は、特許請求の範囲に記載された用語と後述の実施形態に記載される当該用語を例示する具体物等との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】静電容量式乗員検知装置10の車両への搭載例を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る乗員検知装置10の回路構成の図である。
【図3】電極11〜14の配置を示す図である。
【図4】シートの座面部30に取り付けられたCRS40に子供が搭乗した状態を上から見た概略図である。
【図5】シートの座面部30に大人が着座した状態を上から見た概略図である。
【図6】シートの座面部30に大人が着座した場合と、シートの座面部30に取り付けられたCRS40に子供が搭乗した場合との第1静電容量M1、第2静電容量M2を例示するグラフである。
【図7】静電容量式乗員検知装置10を用いた実験結果51〜55を示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る乗員検知装置10の回路構成の図である。
【図9】従来の静電容量式乗員検知装置の構成および作動を示す図である。
【図10】従来の静電容量式乗員検知装置による検出容量の内訳C1、C2を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る静電容量式乗員検知装置10の車両への搭載例を示す。この静電容量式乗員検知装置10は、車両に搭載され、車両のシート(助手席、後部座席等)に着座する乗員の種別を判別するための装置である。
【0020】
この静電容量式乗員検知装置10は、図1に示すように、センサ部1および制御ユニット2から構成される。センサ部1は、車両のシート(助手席、後部座席等)に着座する乗員を検出するため等の電極を備えた板形状のフィルム状部材であり、当該シートの座面部30の内部に配置される。より具体的には、座面部30のシートクッション31とシートカバー32の間において、センサ部1がシートクッション31に貼り付けられて配置される。
【0021】
制御ユニット2は、図1に示すように、シートの背もたれ部の直下に配置されていてもよいし、シートの外部に配置されていてもよい。制御ユニット2は、サブハーネスを介してエアバッグECU等の車載の装置(図示せず)に接続されている。なお、エアバッグECUには、エアバッグ、エアバッグONランプ、エアバッグOFFランプ等が接続されている。
【0022】
図2に、静電容量式乗員検知装置10の回路構成を示す。センサ部1は、検出電極11、第2検出電極12、第1裏面ガード電極13、および第2裏面ガード電極14を有している。図3を用いて、このセンサ部1の詳細な構造について説明する。
【0023】
図3(a)は、座面部30に取り付けられたセンサ部1を座面部30の上方から見た場合(つまり、図1の矢印のように見た場合)の検出電極11および第2検出電極12の配置を示す図であり、座面部30およびセンサ部1の他の部分の記載は省略している。また、図3(a)の下方が、座席の前方(図1の左方向)に一致する。また、図3(b)、(c)は、それぞれセンサ部1を図3(a)のA−A断面、B−B断面で切った断面図である。なお、センサ部1の厚さ(図3(b)、(c)の紙面上下方向の長さ)は、例えば250ミクロン程度と薄いが、図3においては、視認性を向上するために、センサ部1の厚さを実際よりも遙かに大きく誇張して表している。
【0024】
図3(a)に示すように、センサ部1において、検出電極11は、座面部30の上から見て座面部30のほぼ中央に位置するように配置された板形状のフィルム状部材であり、その座面部30の上から見た形状は、座席前後方向(図3(a)の紙面上下方向)の長さが200mm、座席左右方向(図3(a)の紙面左右方向)の長さが158mmの長方形となっている。
【0025】
第1検出電極11の座席左右方向の長さの158mmは、1歳児ダミー(具体的にはCRABI 12−Month−Old Child。以下同じ。)の座位殿幅の最小値に一致する値である。これは、座面部30に取り付けられたCRSに1歳児ダミーを乗せ、1歳児ダミーが第1検出電極11の座席左右方向の中央位置35を中心として正規着座している状態において、1歳児ダミーの座位殿幅が第1検出電極11の座席左右方向の全長を上から覆うようにするために設定されたサイズである。
【0026】
第1検出電極11の座席前後方向の長さは、第1検出電極11がシートクッション31とシートカバー32の間に配置されるため、搭載する座面部30の形状、長さ、構造(例えば、シート表皮を固定するための吊り位置)等の制約により決められた値である。
【0027】
また、第2検出電極12は、板形状のフィルム状部材であり、座面部30の上から見た場合、第1検出電極11の座席左右方向両側および座席前後方向後ろ側を囲むコの字形の枠形状となっている。
【0028】
第2検出電極12のサイズは、第1検出電極11の座席左右方向右側に配置された、略長方形形状の右側部位121、および、第1検出電極11の座席左右方向左側に配置された、略長方形形状の左側部位122については、座席前後方向の長さが410mmであり、座席左右方向の幅が31mmである、また、第1検出電極11の座席前後方向後側において右側部位121と左側部位122の間を繋ぐ略長方形形状の後側部位123は、右側部位121と左側部位122を導通させるために設けられており、その座席前後方向の長さは5mm、座席左右方向の長さは216mmである。
【0029】
この後側部位123は、乗員の検出には殆ど影響しない。その理由は2つある。1つ目の理由は、後側部位123は、シートの座面部30と背もたれ部の接触部分のごく近くに配置されるので、他の部位121、122に比べ、人体から遠い位置にあるということである。2つ目の理由は、後側部位123の幅(すなわち座席前後方向の長さ)が、5mmとなっており、右側部位121および左側部位122と比べて小さいということである。
【0030】
また、右側部位121から左側部位122までの座席左右方向の間隔は、216mmに設定されている。この216mmは、1歳児ダミーの肩幅の最大値に一致する値であり、座面部30に取り付けられたCRSに1歳児ダミーを乗せ、1歳児ダミーが第1検出電極11の座席左右方向の中央位置35を中心として正規着座している状態において、1歳児ダミーが第2検出電極12の部位121、122を一部でも上から覆うことがないように設定されたサイズである。
【0031】
この観点では、1歳児ダミーの座位殿幅の最小値174mmなので、右側部位121から左側部位122までの座席左右方向の間隔は、174mm以上であればよいが、本実施形態では、子供の動きや手の位置などの影響を鑑み、余裕を持たせるという意味で、1歳児ダミーの肩幅の最大値216mmを設定している。
【0032】
さらに、この216mmは、座面部30に、大人ダミー(具体的には、Hybrid−III Female 5th percentile。以下同じ。)が第1検出電極11の座席左右方向の中央位置35を中心として正規着座している状態において、大人ダミーが第2検出電極12の部位121、122の少なくとも一部を上から覆うように設定されたサイズである。
【0033】
第2検出電極12の座席前後方向の長さは、第2検出電極12がシートクッション31とシートカバー32の間に配置されるため、搭載する座面部30の形状、長さ、構造(例えば、シート表皮を固定するための吊り位置)等の制約により決められた値である。
【0034】
以上のようなことから、図3(a)の例における第1検出電極11と第2検出電極12の面積比は、第1検出電極11の面積:第2検出電極12の面積=0.55:0.45となる。
【0035】
第1裏面ガード電極13は、第1検出電極11と同じサイズおよび同じ形状となっており、検出電極11の下側(図3(a)の紙面奥側)において、第1検出電極11と離隔かつ対向して配置されているので、図3(a)においては検出電極11に隠れて見えなくなっている。同様に、第2裏面ガード電極14は、第2検出電極12と同じサイズおよび同じ形状となっており、第2検出電極12の下側において、第2検出電極12と離隔かつ対向して配置されているので、図3(a)においては第2検出電極12に隠れて見えなくなっている。
【0036】
なお、電極11〜14のそれぞれは、導電性のカーボンによって構成されているが、一部が銀によって構成されていてもよいし、全部が他の導電性材質によって構成されていてもよい。
【0037】
これら電極11〜14を1枚の板形状のマットとして構成するために、センサ部1は更に、図3(b)、図3(c)に示すように、第1フィルム15、第2フィルム16、第3フィルム17、第4フィルム18、第5フィルム19、および粘着材20を有している。
【0038】
フィルム15〜19は、電極11〜14を覆うことができる程度の大きさを有する電気的絶縁性の板形状のフィルムであり、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)から成る。そして、フィルム15〜19は、この順に上から層状に重ねられて配置されている。そして、第1フィルム15と第2フィルム16の間に、第1層として第2検出電極12が配置され、第2フィルム16と第3フィルム17の間に、第2層として第1検出電極11が配置されており、第3フィルム17と第4フィルム18の間に、第3層として第2裏面ガード電極14が配置されており、第4フィルム18と第5フィルム19の間に、第4層として第1裏面ガード電極13が配置されている。
【0039】
また、これら部材11〜19は、上記第1層〜第4層に充填される粘着材20により結合されている。なお、この粘着材20は、電気的絶縁材から成る。
【0040】
また、第1検出電極11の座席後側端部には、第1検出電極11と同じ材質のコネクタ部11aが、第1検出電極11と一体に形成され、第2検出電極12の座席後側端部には、第2検出電極12と同じ材質のコネクタ部12aが、第2検出電極12と一体に形成され、第1裏面ガード電極13の座席後側端部には、第1裏面ガード電極13と同じ材質のコネクタ部13aが、第1裏面ガード電極13と一体に形成され、第2裏面ガード電極14の座席後側端部には、第2裏面ガード電極14と同じ材質のコネクタ部14aが、第2裏面ガード電極14と一体に形成され、これらコネクタ部11a〜14aが、座面部30からシートの後方に伸びている。
【0041】
これらコネクタ部11a〜14aは、制御ユニット2に接続されるようになっており、これらコネクタ部11a〜14aを介して電極11〜14が制御ユニット2と電気的に接続される。
【0042】
制御ユニット2は、図2に示すように、信号印加回路21、ガード電位用オペアンプ22、信号検出回路23、制御回路24、およびスイッチ部25を有している。また、スイッチ部25は、第1切替スイッチSW1および第2切替スイッチSW2を有している。
【0043】
スイッチ部25には、信号印加回路21から1本の信号線が繋がっており、この信号線は、スイッチ部25内で分岐して第1切替スイッチSW1の端子aおよび第2切替スイッチSW2の端子aに接続されている。
【0044】
第1切替スイッチSW1は、制御回路24の制御に従って、自回路の端子aと端子cを接続する第1状態と、自回路の端子bと端子cを接続する第2状態とを切り替える回路である。端子cはコネクタ部11aを介して第1検出電極11に接続されている。
【0045】
第2切替スイッチSW2は、制御回路24の制御に従って、自回路の端子aと端子cを接続する第1状態と、自回路の端子bと端子cを接続する第2状態とを切り替える回路である。端子cはコネクタ部12aを介して第2検出電極12に接続されている。
【0046】
信号印加回路21は、第1切替スイッチSW1の端子aおよび第2切替スイッチSW2の端子aに電圧の振幅が変動する信号(以下、電圧振幅信号という)を印加する回路であり、例えば、交流信号を検出電極11に印加する交流電源回路を用いることができる。第1切替スイッチSW1が第1状態にある場合、この電圧振幅信号が第1検出電極11に印加され、第2切替スイッチSW2が第1状態にある場合、この電圧振幅信号が第2検出電極12に印加される。
【0047】
ガード電位用オペアンプ22(ガード電位用回路の一例に相当する)は、+入力端子が信号印加回路21からスイッチ部25に接続される信号線(最終的に第1切替スイッチSW1の端子aおよび第2切替スイッチSW2の端子aに接続される信号線)に接続される。また、ガード電位用オペアンプ22の出力端子は、第1切替スイッチSW1の端子bおよび第2切替スイッチSW2の端子bに接続されると共に、コネクタ部13aを介して第1裏面ガード電極13に接続し、また、コネクタ部14aを介して第2裏面ガード電極14に接続される。
【0048】
つまり、ガード電位用オペアンプ22は、ボルテージフォロアとして機能し、信号印加回路21から第1切替スイッチSW1の端子aおよび第2切替スイッチSW2の端子aに印加される電圧振幅信号と同位相かつ同電位の信号を、第1切替スイッチSW1の端子b、第2切替スイッチSW2の端子b、第1裏面ガード電極13、および第2裏面ガード電極14に印加するようになっている。第1切替スイッチSW1が第2状態にある場合、この電圧振幅信号が第1検出電極11に印加され、第2切替スイッチSW2が第2状態にある場合、この電圧振幅信号が第2検出電極12に印加される。
【0049】
信号検出回路23は、信号印加回路21からスイッチ部25に繋がる信号線における電流および電圧を検出する回路であり、これにより、信号印加回路21による上記電圧振幅信号の印加時に、信号印加回路21から第1切替スイッチSW1の端子aおよび第2切替スイッチSW2の端子aに供給される時間変動する電流の電流値、および、信号印加回路21から第1切替スイッチSW1の端子aおよび第2切替スイッチSW2の端子aに印加される印加信号の時間変動する電圧値を検出する回路である。このような回路としては、周知のどのような回路を用いてもよい。
【0050】
制御回路24は、CPU、RAM、ROM等を有する周知のマイクロコンピュータとして構成され、CPUがROMのプログラムを実行してRAMを作業領域として用いることで、後述する処理を実現するようになっている。この制御回路24には、信号検出回路23が検出した上記時間変動する電流値および電圧値が入力されるようになっている。
【0051】
以下、上記のように構成された静電容量式乗員検知装置10の作動について説明する。車両の主電源(IG等)がオンの間、信号印加回路21は第1切替スイッチSW1の端子aおよび第2切替スイッチSW2の端子aに常時電圧振幅信号を出力し、制御ユニット2の制御回路24は、ROMに記録されたプログラムを実行することで、第1乗員検知モードおよび第2乗員検知モードを(例えば定期的に1秒周期で)交互に切り替えるようになっている。
【0052】
まず第1乗員検知モードについて説明する。第1乗員検知モードにおいて制御回路24は、第1切替スイッチSW1を第1状態に切り替えると共に、第2切替スイッチSW2を第2状態に切り替える。
【0053】
これにより、信号印加回路21から第1検出電極11に電圧振幅信号が印加されると共に、信号印加回路21から第1検出電極11に印加される電圧振幅信号と同位相かつ同電位の信号が、ガード電位用オペアンプ22から第2検出電極12、第1裏面ガード電極13、および第2裏面ガード電極14のすべてに印加される。
【0054】
このとき、信号検出回路23は、信号印加回路21から第1検出電極11に供給される時間変動する電流値および信号印加回路21から第1検出電極11に印加される印加信号の時間変動する電圧値を検出して制御回路24に出力する。つまり、第1検出電極11が検出電極として機能し、電極12〜14が、第1検出電極11と車体3との(座面部30の上方を介さない)直接結合を防止するガード電極として機能する。
【0055】
第1乗員検知モードにおいて更に制御回路24は、信号検出回路23が検出した時間変動する電流値および電圧値(電圧および電流の位相情報も含まれている)に基づいて、電圧、電流の値と位相差から、第1検出電極11から車両ボディ(すなわちグラウンド)3までのインピーダンスを算出し、算出したインピーダンスの虚数成分の逆数に比例する容量(第1検出電極11から車両ボディ3までの静電容量)を算出し、算出した容量を第1静電容量M1としてRAMに記録する。
【0056】
次に第2乗員検知モードについて説明する。第2乗員検知モードにおいて制御回路24は、第1切替スイッチSW1を第2状態に切り替えると共に、第2切替スイッチSW2を第1状態に切り替える。
【0057】
これにより、信号印加回路21から第2検出電極12に電圧振幅信号が印加されると共に、信号印加回路21から第2検出電極12に印加される電圧振幅信号と同位相かつ同電位の信号が、ガード電位用オペアンプ22から第1検出電極11、第1裏面ガード電極13、および第2裏面ガード電極14のすべてに印加される。
【0058】
このとき、信号検出回路23は、信号印加回路21から第2検出電極12に供給される時間変動する電流値および信号印加回路21から第2検出電極12に印加される印加信号の時間変動する電圧値を検出して制御回路24に出力する。つまり、第2検出電極12が検出電極として機能し、電極11、13、14が、第2検出電極12と車体3との(座面部30の上方を介さない)直接結合を防止するガード電極として機能する。
【0059】
第2乗員検知モードにおいて更に制御回路24は、信号検出回路23が検出した時間変動する電流値および電圧値(電圧および電流の位相情報も含まれている)に基づいて、電圧、電流の値と位相差から、第2検出電極12から車両ボディ3までのインピーダンスを算出し、算出したインピーダンスの虚数成分の逆数に比例する容量(第2検出電極12から車両ボディ3までの静電容量)を算出し、算出した容量を第2静電容量M2としてRAMに記録する。
【0060】
制御回路24は、このような第1乗員検知モードおよび第2乗員検知モードを交互に繰り返すことで、第1静電容量M1および第2静電容量M2を交互に繰り返し記録する。そして、例えば、第2乗員検知モードが終了する度に、その時点において最後の第1乗員検知モードで検出した第1静電容量M1と、最後の第2乗員検知モードで検出した第2静電容量M2とに基づいて、シートに着座する乗員が大人であるかCRSに搭乗する子供であるかを判定する。
【0061】
具体的には、最後の第1乗員検知モードで検出した第1静電容量M1と、最後の第2乗員検知モードで検出した第2静電容量M2に基づいて、第1静電容量M1と第2静電容量M2の和M1+M2に対する第1静電容量M1の容量比M1/(M1+M2)を算出する。この容量比M1/(M1+M2)は、比M1/M2の増大と共に増大する量である。
【0062】
そして、算出した容量比M1/(M1+M2)と所定の閾値Thとを比較し、容量比M1/(M1+M2)が当該閾値Thより小さければ、大人であると判定し、容量比M1/(M1+M2)が当該閾値Thと同じかそれ以上であれば、CRSに搭乗した子供であると判定する。
【0063】
以下、このように第1静電容量M1および第2静電容量M2に基づいて乗員を判別できる原理について説明する。上述の通り、第1検出電極11の座席左右方向の長さは、座面部30に取り付けられたCRSに1歳児ダミーを乗せ、1歳児ダミーが第1検出電極11の座席左右方向の中央位置35を中心として正規着座している状態において、1歳児ダミーの座位殿幅が第1検出電極11の座席左右方向の全長を上から覆うようにするために設定されたサイズである。
【0064】
したがって、図4に示すように、シート上のCRS40に子供41が搭乗した場合も、図5に示すように、シートに大人42が搭乗した場合も、人体が第1検出電極11の座席左右方向の全長を上から覆うことが殆どである。
【0065】
しかし、第1検出電極12の右側部位121から左側部位122までの座席左右方向の間隔は、座面部30に取り付けられたCRSに1歳児ダミーを乗せ、1歳児ダミーが第1検出電極11の座席左右方向の中央位置35を中心として正規着座している状態において、1歳児ダミーが第2検出電極12の部位121、122を一部でも上から覆うことがないように設定されたサイズである。したがって、図4に示すように、シート上のCRS40に子供41が搭乗した場合は、第2検出電極12の部位121、122、123の上方を人体が覆わないことが殆どである。
【0066】
しかし同時に、第1検出電極12の右側部位121から左側部位122までの座席左右方向の間隔は、座面部30に、大人ダミー(具体的には、Hybrid−III Female 5th percentile。以下同じ。)が第1検出電極11の座席左右方向の中央位置35を中心として正規着座している状態において、大人ダミーが第2検出電極12の部位121の少なくとも一部および122の少なくとも一部を上から覆うように設定されたサイズである。したがって、図5に示すように、シートに大人42が搭乗した場合は、第2検出電極12の部位121、122の上方を人体が覆うことが多い。
【0067】
したがって、シートに着座する乗員が大人であるかCRSに搭乗する子供であるかによって、第1静電容量M1と第2静電容量M2との関係が異なるようになる。したがって、図6に示すように、仮に大人が厚着等によって座面部30の電極11、12から上方に離れた位置に着座し、その結果、算出された第1静電容量M1と第2静電容量M2の和が、シートに取り付けられたCRSに子供が搭乗した場合に検出される第1静電容量M1と第2静電容量M2の和と同じであったとしても、第1静電容量M1と第2静電容量M2の比M1/M2に基づく量は、それぞれの場合で異なる可能性が高い。したがって、比M1/M2の関数でもある容量比M1/(M1+M2)も、それぞれの場合で異なる可能性が高い。
【0068】
また仮に、座面部30に大人が着座した場合と、シートに取り付けられたCRSに子供が搭乗した場合とで、算出された第1静電容量M1がほぼ同じであったとしても、第1静電容量M1と第2静電容量M2の比M1/M2に基づく量は、それぞれの場合で異なる可能性が高い。したがって、比M1/M2の関数でもある容量比M1/(M1+M2)も、それぞれの場合で異なる可能性が高い。
【0069】
このように、大人と子供の乗員のシートを覆う領域が異なることを利用し、配置の異なる2つの検出電極11、12を使い分けることで、厚着等の理由により大人が電極から離れて着座した場合において、大人とCRSに搭乗した子供とを従来よりも正確に検出することができる。
【0070】
図7に、本実施形態に係る静電容量式乗員検知装置10を用いて検出した第1静電容量M1と第2静電容量M2に基づく容量比M1/(M1+M2)について、シートに搭載されたCRSに1歳児ダミーが搭乗した状態において検出した容量比M1/(M1+M2)の比の実験結果51、52をプロットし、更に、シートに大人ダミーが着座した状態において検出した容量比M1/(M1+M2)の比の実験結果53、54、55をプロットする。実験結果51、52は、それぞれ異なる種類のCRSを用いて行われており、また、実験結果53、54、55は、それぞれ大人ダミーが着用する衣服の臀部の厚さが違っており、具体的には、図中で右側に行くほど厚くなっている。
【0071】
この実験結果に示すように、CRSに搭乗した1歳児ダミーは検出電極11しか覆わないため、容量比M1/(M1+M2)が高くなっており、大人は検出電極11、12とも覆うため容量比M1/(M1+M2)は低くなっている。具体的には、CRSに1歳児ダミーが搭乗した場合の最小値は0.7程度であり、大人ダミーが着座した場合は、面積比0.55に近い値(0.58〜0.62)となる。
【0072】
したがって、CRSに1歳児ダミーが搭乗した場合と、大人ダミーが着座した場合とで、値が0.10以上開いているので、0.62から0.70までの間の値(例えば0.65)を、上述の閾値Thとして採用すれば、座面部に搭載された人体が大人か子供かを従来よりも正確に区別することができる。
【0073】
また、後述する第2実施形態と比較して、ガード電位用オペアンプ22および信号検出回路23がそれぞれ1つでよい点は、本実施形態の制御ユニット2の方が有利である。
【0074】
なお、制御回路24の判定結果(当該シートに着座する乗員が大人であるかCRSに搭乗した子供であるか)は、上述のエアバッグECU等の車載装置に出力される。そして、車載装置は、出力された判定結果に基づいて、各種報知等の処理を行う。例えば、エアバッグECUに当該判定結果が出力された場合は、当該判定結果が、当該シートに着座する乗員が大人であるというものであった場合、エアバッグONランプを点灯させ、当該判定結果が、当該シートに着座する乗員がCRSに搭乗した子供であるというものであった場合、エアバッグOFFランプを点灯させる。またエアバッグECUは、エアバッグONランプの点灯中は、車両の衝突時にエアバッグを展開し、エアバッグOFFランプの点灯時は衝突時でもエアバッグを展開しない。
【0075】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態が第1実施形態と異なるのは制御ユニット2の構成である。具体的には、本実施形態の制御ユニット2は、図8に示すような構成となっている。具体的には、以下の通りである。
【0076】
制御ユニット2は、信号印加回路21、第1ガード電位用オペアンプ22a、第2ガード電位用オペアンプ22b、第1信号検出回路23a、第2信号検出回路23b、および制御回路24を有している。
【0077】
信号印加回路21は、構成自体は第1実施形態の信号印加回路21と同じであるが、電圧振幅信号の印加先が、(コネクタ部11aを介した)第1検出電極11および(コネクタ部12aを介した)第2検出電極12に固定されている点が、第1実施形態と異なる。
【0078】
より具体的には、信号印加回路21から第1検出電極11および第2検出電極12への信号線は、信号印加回路21から出て分岐し、分岐した一方の信号線Aは第1検出電極11に接続され、分岐したもう一方の信号線Bは第2検出電極12に接続されるようになっている。
【0079】
第1ガード電位用オペアンプ22a(ガード電位用回路の一例に相当する)は、+入力端子が信号印加回路21から第1検出電極11への信号線に接続され、出力端子は、コネクタ部13aを介して第1裏面ガード電極13に接続するボルテージフォロアとして機能する。
【0080】
第2ガード電位用オペアンプ22b(ガード電位用回路の一例に相当する)は、+入力端子が信号印加回路21から第2検出電極12への信号線に接続され、出力端子は、コネクタ部14aを介して第2裏面ガード電極14に接続するボルテージフォロアとして機能する。
【0081】
信号検出回路23aは、信号線Aにおける電流および電圧を検出することで、上記電圧振幅信号の印加時に、信号印加回路21から第1検出電極11に供給される時間変動する電流の電流値および信号印加回路21から第1検出電極11に印加される印加信号の時間変動する電圧値を検出する回路である。このような回路としては、周知のどのような回路を用いてもよい。
【0082】
信号検出回路23bは、信号線Bにおける電流および電圧を検出することで、上記電圧振幅信号の印加時に、信号印加回路21から第2検出電極12に供給される時間変動する電流の電流値および信号印加回路21から第2検出電極12に印加される印加信号の時間変動する電圧値を検出する回路である。このような回路としては、周知のどのような回路を用いてもよい。
【0083】
制御回路24は、CPU、RAM、ROM等を有する周知のマイクロコンピュータとして構成され、CPUがROMのプログラムを実行してRAMを作業領域として用いることで、後述する処理を実現するようになっている。この制御回路24には、第1信号検出回路23aおよび第2信号検出回路23bが検出した上記時間変動する電流値および電圧値が入力されるようになっている。
【0084】
以下、上記のように構成された静電容量式乗員検知装置10の作動について説明する。車両の主電源(IG等)がオンの間、信号印加回路21は第1検出電極11および第2検出電極12に同時に電圧振幅信号を出力し、制御ユニット2の制御回路24は、ROMに記録されたプログラムを実行することで、乗員検知モードでの処理を行うようになっている。
【0085】
これにより、信号印加回路21から第1検出電極11に電圧振幅信号が印加されると共に、信号印加回路21から第1検出電極11に印加される電圧振幅信号と同位相かつ同電位の信号が、第1ガード電位用オペアンプ22aから第1裏面ガード電極13に印加される。
【0086】
それと同時に、信号印加回路21から第2検出電極12に電圧振幅信号が印加されると共に、信号印加回路21から第2検出電極12に印加される電圧振幅信号と同位相かつ同電位の信号が、第2ガード電位用オペアンプ22bから第2裏面ガード電極14に印加される。
【0087】
このとき、第1信号検出回路23aは、信号印加回路21から第1検出電極11に供給される時間変動する電流値および信号印加回路21から第1検出電極11に印加される印加信号の時間変動する電圧値を検出して制御回路24に出力する。それと同時に、第2信号検出回路23bは、信号印加回路21から第2検出電極12に供給される時間変動する電流値および信号印加回路21から第2検出電極12に印加される印加信号の時間変動する電圧値を検出して制御回路24に出力する。
【0088】
つまり、第1検出電極11、第2検出電極12が異なる検出電極として同時に機能し、第1裏面ガード電極13および第2裏面ガード電極14が、それぞれ第1検出電極11および第2検出電極12およびガード電極として機能する。
【0089】
なお、第1検出電極11と第2検出電極12に印加される電圧の位相および電位は、ほぼ同じなので、第1検出電極11と第1裏面ガード電極13は第2検出電極12のガード電極としてもある程度は機能し、また、第2検出電極12と第2裏面ガード電極14は第1検出電極11のガード電極としてもある程度は機能する。
【0090】
この乗員検知モードにおいて制御回路24は、第1信号検出回路23aが検出した時間変動する電流値および電圧値(電圧および電流の位相情報も含まれている)に基づいて、電圧、電流の値と位相差から、第1検出電極11から車両ボディ3までのインピーダンスを繰り返し算出し、算出したインピーダンスの虚数成分の逆数に比例する容量(第1検出電極11から車両ボディ3までの静電容量)を算出し、算出した容量を第1静電容量M1としてRAMに繰り返し記録する。
【0091】
それと共に制御回路24は、第2信号検出回路23bが検出した時間変動する電流値および電圧値(電圧および電流の位相情報も含まれている)に基づいて、電圧、電流の値と位相差から、第2検出電極12から車両ボディ3までのインピーダンスを繰り返し算出し、算出したインピーダンスの虚数成分の逆数に比例する容量(第2検出電極12から車両ボディ3までの静電容量)を算出し、算出した容量を第2静電容量M2としてRAMに繰り返し記録する。
【0092】
更に制御回路24は、定期的に、その時点において最後に記録された第1静電容量M1と第2静電容量M2とに基づいて、シートに着座する乗員が大人であるかCRSに搭乗する子供であるかを判定する。
【0093】
具体的には、第1静電容量M1と第2静電容量M2の和M1+M2に対する第1静電容量M1の容量比M1/(M1+M2)を算出し、算出した容量比M1/(M1+M2)と所定の閾値Thとを比較し、容量比M1/(M1+M2)が当該閾値Thより小さければ、大人であると判定し、容量比M1/(M1+M2)が当該閾値Thと同じかそれ以上であれば、CRSに搭乗した子供であると判定する。この閾値Thの値は、第1実施形態と同じでよい。なお、制御回路24の判定結果(当該シートに着座する乗員が大人であるかCRSに搭乗した子供であるか)の出力先は、第1実施形態と同じである。
【0094】
このようにすることで、第1実施形態と同じ原理で、大人と子供の乗員のシートを覆う領域が異なることを利用し、厚着等の理由により大人が電極から離れて着座した場合において、大人とCRSに搭乗した子供とを従来よりも正確に検出することができる。
【0095】
しかも、本実施形態では、第1検出電極11と第2検出電極12とを同時に別々の検出電極として機能させることができるので、第1静電容量M1および第2静電容量M2とをほぼ同時に検出することができる。また、第1実施形態のように、第1静電容量M1の検出用のモードと第2静電容量M2の検出用のモードとを切り替えるスイッチ部25を必要としないので、その分構成が簡易になり、制御回路24の処理が簡易になる。
【0096】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。例えば、以下のような形態も許容される。
【0097】
(1)上記実施形態では、第1検出電極11は、座席前後方向の長さが200mm、座席左右方向の長さが158mmの長方形形状であったが、必ずしもこのような形状には限らない。第1検出電極11の形状およびサイズは、座面部30に取り付けられたCRSに1歳児ダミーを乗せ、1歳児ダミーが第1検出電極11の座席左右方向の中央位置35を中心として正規着座している状態において、1歳児ダミーの座位殿幅が第1検出電極11の座席左右方向の全長を覆うようになっていれば、本発明の効果を十分達成することができる。
【0098】
したがって、例えば、第1検出電極11の座席前後方向の長さは、200mmに限らず、座面部30の形状、サイズ、構造(例えば、シート表皮を固定するための吊り位置)等の制約に応じて適宜設定すればよい。また、第1検出電極11の座席左右方向の長さも、158mmより短くてもよい。また、形状も、長方形でなくともよい。長方形でない場合は、座席左右方向の長さの最大値が158mm以下であればよい。
【0099】
(2)また、第2検出電極12も、上記実施形態のようなサイズおよび形状に限らない。第2検出電極12の形状およびサイズは、座面部30に取り付けられたCRSに1歳児ダミーを乗せ、1歳児ダミーが第1検出電極11の座席左右方向の中央位置35を中心として正規着座している状態において、1歳児ダミーが第2検出電極12の部位121、122を一部でも上から覆うことがないように設定された配置およびサイズであれば、本発明の効果を十分達成することができる。
【0100】
したがって、例えば、右側部位121から左側部位122までの座席左右方向の間隔は、216mmに限らず、1歳児ダミーの座位殿幅の最小値174mm以上であればよい。ただし、座面部30に、大人ダミー(具体的には、Hybrid−III Female 5th percentile。以下同じ。)が第1検出電極11の座席左右方向の中央位置35を中心として正規着座している状態において、大人ダミーが第2検出電極12の部位121、122の少なくとも一部を上から覆うように配置およびサイズが設定されている必要がある。このためには、右側部位121から左側部位122までの座席左右方向の間隔は、大人ダミーの座位殿幅の最小値である300mm以下である必要がある。
【0101】
(2)また、第2検出電極12は、右側部位121および左側部位122のみから構成され、後側部位123が無くてもよい。この場合、右側部位121および左側部位122のそれぞれからコネクタ部が伸びて制御ユニット2に接続されるようになっていればよい。ただしこの場合は、コネクタ部の数が増えることになり、その分、制御ユニット2におけるコネクタ部との接続端子の数を増やす必要がある。
【0102】
(3)また、上記第実施形態において、検出電極11、12の形状は、四角形であったが、必ずしも四角形である必要はなく、四角形に切り欠きが入った形状となっていてもよいし、四角形の内部に穴が空けられた形状となっていてもよい。
【0103】
(4)また、上記実施形態では、第1検出電極11と第2検出電極12とは異なる層に配置されているが、これらは同じ層に配置されていてもよい。その場合は、コネクタ部11a、11bの取り出しについては、それらコネクタ部11a、11bのうち一方は、一旦別の層に入り、その別の層からセンサ部1の外に出るようになっていてもよい。
【0104】
(5)また、上記第1実施形態において、制御回路24は、第2乗員検知モードが終了する度に、その時点において最後の第1乗員検知モードで検出した第1静電容量M1と、最後の第2乗員検知モードで検出した第2静電容量M2とに基づいて、シートに着座する乗員が大人であるかCRSに搭乗する子供であるかを判定するようになっている。しかし、判定のタイミングとしては、第2乗員検知モードが終了する度以外の繰り返しタイミングであってもよい。また、判定に使用する第1静電容量M1および第2静電容量M2は、必ずしも最後に検知した第1静電容量M1および第2静電容量M2でなくともよく、例えば、最後よりも3回前に検知した第1静電容量M1と最後よりも2回前に検知した第2静電容量M2であってもよい。また、検出した過去複数回分の第1静電容量M1の平均値および第2静電容量M2の平均値を採用してもよい。
【0105】
(6)また、上記第2実施形態では、2つのガード電位用オペアンプ22a、22bを有しているが、これらは1つに統合してもよい。例えば、第1ガード電位用オペアンプ22aを廃して、第2ガード電位用オペアンプ22bの出力端子を、第2裏面ガード電極14のみならず第1裏面ガード電極13にも接続するようにしてもよい。このようにしても、第1検出電極11と第2検出電極12に印加される電圧の位相および電位は、ほぼ同じなので、第1裏面ガード電極13は第1検出電極11のガード電極としてある程度機能する。
【0106】
また逆に、第2ガード電位用オペアンプ22bを廃して、第1ガード電位用オペアンプ22aの出力端子を、第1裏面ガード電極13のみならず第2裏面ガード電極14にも接続するようにしてもよい。このようにしても、第1検出電極11と第2検出電極12に印加される電圧の位相および電位は、ほぼ同じなので、第1裏面ガード電極14は第2検出電極14のガード電極としてある程度機能する。ただし、第2実施形態のように、2つのガード電位用オペアンプ22a、22bを設けた方が、第1裏面ガード電極13および第2裏面ガード電極14のガイド電極としての機能は向上する。
【0107】
(7)また、上記実施形態において、検出電極11に印加される電圧振幅信号と同位相かつ同電位の信号をガード電極13、14等に印加するガード電位用回路の一例としてガード電位用オペアンプ22、22a、22bが挙げられているが、このようなガード電位用回路としては、ガード電位用オペアンプ以外のものを採用してもよい。
【0108】
(8)また、上記実施形態では、制御回路24は、信号検出回路23、23a、23bが検出した電流値等に基づいて、シートに着座する乗員が大人であるかCRSに搭乗した子供であるかを判別するようになっている。しかし、判別するのは、シートに着座する乗員が大人であるかCRSに搭乗した子供であるかのみならず、例えばシート上に着座する(CRSに着座しているか直接着座しているかを問わず)子供であるか大人であるかを判別するようになっていてもよい。
【0109】
つまり、制御回路24は、信号検出回路23、23a、23bが検出した電流値等に基づいて、車両のシート上の乗員が子供であるか大人であるかを判別するようになっていればよい。
【0110】
更に、車両のシート上の乗員が子供であるか、大人であるか、または当該シートが空席かを判定するようになっていてもよい。この場合、例えば、車両のシート上の乗員が子供であるか大人であるかの判定に用いたのと同じ第1静電容量M1と第2静電容量M2を用いて、第1静電容量M1と第2静電容量M2の和M1+M2を算出し、この和M1+M2が基準値未満であれば、車両のシート上の乗員が子供であるか大人であるかの判定結果を採用し、和M1+M2が基準値以上であれば、車両のシート上の乗員が子供であるか大人であるかの判定結果に関わらず、当該シートが空席であると判定するようになっていてもよい。
【0111】
(9)また、上記実施形態において、ガード電極13、14を設けないようになっていても、本発明の効果はある程度達成される。
【0112】
(10)また、上記実施形態では、第1静電容量M1と第2静電容量M2の比M1/M2が増大するほど大きくなる量として容量比M1/(M1+M2)を算出し、この容量比M1/(M1+M2)と閾値とを比較して乗員の判別を行っている。しかし、第1静電容量M1と第2静電容量M2の比M1/M2が増大するほど大きくなる量としては、容量比M1/(M1+M2)以外の量(例えば比M1/M2そのもの)を用いてもよい。
【0113】
また、あらかじめ第1静電容量M1と第2静電容量M2の2次元パラメータ空間において、乗員が大人であると判定する領域と乗員が子供であると判定する領域とを区分けするデータをあらかじめROMの記録しておき、このデータと、算出した第1静電容量M1と第2静電容量M2当てはめることで、乗員の判別を行うようになっていてもよい。
【0114】
(11)また、上記実施形態では、制御回路24は、信号検出回路23が検出した時間変動する電流値および電圧値(電圧および電流の位相情報も含まれている)に基づいて、電圧、電流の値と位相差から、第1検出電極11(または第2検出電極12)から車両ボディ3までのインピーダンスを算出し、算出したインピーダンスの虚数成分の逆数に比例する容量を算出し、算出した容量を第1静電容量M1(または第2静電容量M2)としている。
【0115】
しかし、第1静電容量M1(または第2静電容量M2)の算出方法は、必ずしも時間変動する電流値および電圧値(電圧および電流の位相情報も含まれている)の両方に基づいて算出する必要はない。例えば、信号印加回路21から第1検出電極11(または第2検出電力)まで供給される電流の電流値を信号検出回路23が検出し、当該電流値のみに基づいて第1静電容量M1(または第2静電容量M2)を算出することもできる。
【0116】
つまり、制御回路24は少なくとも信号印加回路21から第1検出電極11(または第2検出電力)まで供給される電流の電流値を用いて、第1静電容量M1(または第2静電容量M2)を算出すればよい。
【0117】
(12)また、上記の実施形態において、制御回路24がプログラムを実行することで実現している各機能は、それらの機能を有するハードウェア(例えば回路構成をプログラムすることが可能なFPGA)を用いて実現するようになっていてもよい。
【符号の説明】
【0118】
1 センサ部
2 制御ユニット
3 車両ボディ
10 静電容量式乗員検知装置
11 第1検出電極
12 第2検出電極
13 第1裏面ガード電極
14 第2裏面ガード電極
15〜19 フィルム
20 粘着材
21 信号印加回路
22、22a、22b ガード電位用オペアンプ
23、23a、23b 信号検出回路
24 制御回路
30 座面部
121 右側部位
122 左側部位
SW1、SW2 切替スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のシート上の乗員が大人であるか子供であるかを判別する静電容量式乗員検知装置であって、
前記シートの座面部(30)に取り付けられるセンサ部(1)と、
前記センサ部(1)に接続される制御ユニット(2)と、を備え、
前記センサ部(1)は、
第1検出電極(11)と、
第2検出電極(12)と、を有し、
前記制御ユニット(2)は、
前記第1検出電極(11)に電圧の振幅が変動する電圧振幅信号を印加し、また、前記第2検出電極(12)に電圧の振幅が変動する電圧振幅信号を印加する信号印加回路(21)と、
前記信号印加回路(21)から前記第1検出電極(11)への電圧振幅信号の印加時に前記第1検出電極(11)に供給される電流値を検出し、また、前記信号印加回路(21)から前記第2検出電極(12)への電圧振幅信号の印加時に前記検出電極(12)に供給される電流値を検出する信号検出回路(23、23a、23b)と、
前記信号検出回路(23、23a、23b)が検出した前記電流値が入力され、前記電流の電流値に基づいて、前記シート上の乗員が大人であるか子供であるかを判別する制御回路(24)と、を有し、
前記第1検出電極(11)は、前記座面部(30)に取り付けられたCRSに1歳児ダミーを乗せ、前記1歳児ダミーが前記第1検出電極(11)の座席左右方向の中央位置(35)を中心として正規着座している状態において、前記1歳児ダミーの座位殿幅が前記第1検出電極(11)の座席左右方向の全長を覆うようになっており、
前記第2検出電極(12)は、前記第1検出電極(11)の座席左右方向右側および左側にそれぞれ配置された右側部位(121)および左側部位(122)を有し、
前記右側部位(121)および前記左側部位(122)は、前記座面部(30)に取り付けられたCRSに前記1歳児ダミーを乗せ、前記1歳児ダミーが前記第1検出電極(11)の座席左右方向の中央位置(35)を中心として正規着座している状態において、前記1歳児ダミーが前記右側部位(121)、および前記左側部位(122)を一部でも上から覆うことがないように配置されており、
前記右側部位(121)および前記左側部位(122)は更に、前記座面部(30)に、大人ダミーが前記第1検出電極(11)の座席左右方向の中央位置(35)を中心として正規着座している状態において、前記大人ダミーが前記右側部位(121)の少なくとも一部および前記左側部位(122)の少なくとも一部を上から覆うように配置されており、
前記1歳児ダミーは、CRABI 12−Month−Old Childであり、前記大人ダミーは、Hybrid−III Female 5th percentileであり、
前記制御回路(24)は、前記信号検出回路(23、23a、23b)の検出結果に基づいて、前記信号印加回路(21)から前記第1検出電極(11)への電圧振幅信号の印加時に前記第1検出電極(11)に供給される電流値に基づいて算出される、前記第1検出電極(11)とグラウンド(3)の間の第1静電容量M1と、前記信号印加回路(21)から前記第2検出電極(12)への電圧振幅信号の印加時に前記第2検出電極(12)に供給される電流値に基づいて算出される、前記第2検出電極(12)とグラウンド(3)の間の第2静電容量M2と、に基づいて、前記車両のシート上の乗員が大人であるか子供であるかを判別することを特徴とする静電容量式乗員検知装置。
【請求項2】
車両のシート上の乗員が大人であるか子供であるかを判別する静電容量式乗員検知装置であって、
前記シートの座面部(30)に取り付けられるセンサ部(1)と、
前記センサ部(1)に接続される制御ユニット(2)と、を備え、
前記センサ部(1)は、
第1検出電極(11)と、
第2検出電極(12)と、を有し、
前記制御ユニット(2)は、
前記第1検出電極(11)に電圧の振幅が変動する電圧振幅信号を印加し、また、前記第2検出電極(12)に電圧の振幅が変動する電圧振幅信号を印加する信号印加回路(21)と、
前記信号印加回路(21)から前記第1検出電極(11)への電圧振幅信号の印加時に前記第1検出電極(11)に供給される電流値を検出し、また、前記信号印加回路(21)から前記第2検出電極(12)への電圧振幅信号の印加時に前記検出電極(12)に供給される電流値を検出する信号検出回路(23、23a、23b)と、
前記信号検出回路(23、23a、23b)が検出した前記電流値が入力され、前記電流の電流値に基づいて、前記シート上の乗員が大人であるか子供であるかを判別する制御回路(24)と、を有し、
前記第1検出電極(11)は、座席左右方向の長さが158mm以下となっており、
前記第2検出電極(12)は、前記第2検出電極(12)は、前記第1検出電極(11)の座席左右方向右側および左側にそれぞれ配置された右側部位(121)および左側部位(122)を有し、前記右側部位(121)から前記左側部位(122)までの間隔は174mm以上300mm以下となるように配置されており、
前記制御回路(24)は、前記信号検出回路(23、23a、23b)の検出結果に基づいて、前記信号印加回路(21)から前記第1検出電極(11)への電圧振幅信号の印加時に前記第1検出電極(11)に供給される電流値に基づいて算出される、前記第1検出電極(11)とグラウンド(3)の間の第1静電容量M1と、前記信号印加回路(21)から前記第2検出電極(12)への電圧振幅信号の印加時に前記第2検出電極(12)に供給される電流値に基づいて算出される、前記第2検出電極(12)とグラウンド(3)の間の第2静電容量M2と、に基づいて、前記車両のシート上の乗員が大人であるか子供であるかを判別することを特徴とする静電容量式乗員検知装置。
【請求項3】
前記制御回路(24)は、前記第1静電容量M1と前記第2静電容量M2の比M1/M2の増加と共に増加する量と、閾値(Th)とを比較し、前記量が前記閾値より小さければ、前記車両のシート上の乗員が大人であると判定し、前記量が前記閾値より大きければ、前記車両のシート上の乗員が子供であると判定することを特徴とする請求項1または2に記載の静電容量式乗員検知装置。
【請求項4】
前記信号印加回路(21)から電圧の振幅が変動する電圧振幅信号が印加されると共に、印加された前記電圧振幅信号を前記第1検出電極(11)に印加する第1乗員検知モードと、前記電圧振幅信号を前記第2検出電極(12)に印加する第2乗員検知モードとを切り替え可能なスイッチ部(25)を備え、
前記信号検出回路(23)は、前記信号印加回路(21)から前記スイッチ部(25)に供給される電流を検出することで、前記第1乗員検知モードにおいて、前記信号印加回路(21)から前記第1検出電極(11)に供給される電流値を検出し、前記第2乗員検知モードにおいて、前記信号印加回路(21)から前記第2検出電極(12)に供給される電流値を検出し、
前記制御回路(24)は、前記第1乗員検知モードにおいて、前記信号検出回路(23)が検出した電流値に基づいて前記第1静電容量M1を算出し、前記第2乗員検知モードにおいて、前記信号検出回路(23)が検出した電流値に基づいて前記第2静電容量M2を算出することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の静電容量式乗員検知装置。
【請求項5】
前記信号検出回路(23a、23b)は、前記信号印加回路(21)から出て分岐し、分岐した一方は前記第1検出電極(11)に接続され、分岐したもう一方は前記第2検出電極(12)に接続される信号線のうち、分岐点から前記第1検出電極(11)までの信号線を流れる電流を検出する第1信号検出回路(23a)と、前記分岐点から前記第2検出電極(12)までの信号線を流れる電流を検出する第2信号検出回路(23b)と、を有し、
前記第1検出電極(11)と前記第2信号検出回路(23b)は電流の検出を同時に行い、
前記制御回路(24)は、前記第1信号検出回路(23a)が検出した電流値に基づいて前記第1静電容量M1を算出し、前記第2信号検出回路(23b)が検出した電流値に基づいて前記第2静電容量M2を算出することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の静電容量式乗員検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−127746(P2012−127746A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278206(P2010−278206)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】