静電容量式入力装置および静電容量式入力装置における導電体の接近位置の計算方法
【課題】誤作動の発生を抑制することができる静電容量式入力装置、および導電体の接近位置の計算方法を提供する。
【解決手段】方向xに配列され方向yに延びる複数の第1検出電極Exiと、方向yに配列され且つ方向xに延びる複数の第2検出電極Eyjと、導電体と各Exiとの間の静電容量の変化に伴い各Exiを介して得られる値をそれぞれ複数の第1方向検出値Xch(i)として記憶し、且つ、導電体と各Eyjとの間の静電容量の変化に伴い各Eyjを介して得られる値をそれぞれ複数の第2方向検出値Ych(j)として記憶する記憶手段91と、計算部92と、を備え、計算部92は、複数のXch(i)の少なくともいずれかについて演算した第1値と、複数のYch(j)の少なくともいずれかについて演算した第2値とを演算した第1マップ値を複数作成する処理と、複数の上記第1マップ値を用いて導電体の接近の有無を判断する。
【解決手段】方向xに配列され方向yに延びる複数の第1検出電極Exiと、方向yに配列され且つ方向xに延びる複数の第2検出電極Eyjと、導電体と各Exiとの間の静電容量の変化に伴い各Exiを介して得られる値をそれぞれ複数の第1方向検出値Xch(i)として記憶し、且つ、導電体と各Eyjとの間の静電容量の変化に伴い各Eyjを介して得られる値をそれぞれ複数の第2方向検出値Ych(j)として記憶する記憶手段91と、計算部92と、を備え、計算部92は、複数のXch(i)の少なくともいずれかについて演算した第1値と、複数のYch(j)の少なくともいずれかについて演算した第2値とを演算した第1マップ値を複数作成する処理と、複数の上記第1マップ値を用いて導電体の接近の有無を判断する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量式入力装置および静電容量式入力装置における導電体の接近位置の計算方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図34は、従来の入力装置の一例を示している。図35は、図34のXXXV−XXXV線に沿った要部平面図である。これらの図に示された入力装置9Xは、液晶表示パネル9Yと重ねて用いられることにより、いわゆるタッチパネルを構成している。このタッチパネルは、たとえば携帯電話機9Zの表示手段および操作手段として用いられる。
【0003】
入力装置9Xは、透過板91(図35では省略)、透過板92、検出電極9a,9b、配線931、配線932(図34では省略)、フレキシブル基板971、および、ICチップ972、を備える。透過板91,92は、互いに平行に配置されている。検出電極9a,9bはそれぞれ、透過板91,92に形成されている。検出電極9aはいずれも、方向yに沿って延びており、互いに平行に配置されている。検出電極9bはいずれも、方向xに沿って延びており、互いに平行に配置されている。配線931は、検出電極9aと各別に接続している。配線932は、検出電極9bと各別に接続している。フレキシブル基板971は、透過板92の端部に設けられている。
【0004】
ICチップ972は、フレキシブル基板971に設けられている。図36に、検出電極9aとICチップ972との接続状態を模式的に示している。ICチップ972は、複数の入力端子chを備えている。入力端子chはそれぞれ、配線931と各別に接続している。これにより、入力端子chはそれぞれ、検出電極9aと各別に接続している。図示していないが、検出電極9bについても同様である。
【0005】
図34に示すように、携帯電話機9Zは、筺体の一部を構成する透明カバー98を有している。入力装置9Xは、透明接着剤によって透明カバー98に接合されている。入力装置9Xの図34下方には、液晶表示パネル9Yが配置されている。携帯電話機9Zの使用者が携帯電話機9Zを操作するときに、指などの導電体9Dを透明カバー98に対して接近させ、あるいは接触させることにより、導電体9Dと検出電極9a,9bとの間に静電容量が生じる。図36には、導電体9Dを透明カバー98に接近もしくは接触させたときの、導電体9Dと検出電極9aと間の静電容量の変化に対応する値(背景技術の項では便宜上、静電容量の変化の値とする)を表すグラフを示している。静電容量が増加した入力端子chに接続している検出電極9aを特定することにより、導電体9Dが平面視においてどの位置に接近してきたかを検出することができる。
【0006】
このような入力装置9Xにおいては、外来のノイズの影響により、導電体9Dが接近していない場合であっても検出電極9aや検出電極9bの静電容量が微小に変化することがある。そのため、ICチップ972は、方向x,yにおける導電体9Dの接近位置に関する情報を得る前もしくは後に、検出電極9aや検出電極9bの静電容量の増加分が所定のしきい値を超えているか否かを判断していた。検出電極9aの静電容量の増加分が所定のしきい値を超えていない場合、ICチップ972は、導電体9Dが検出電極9aや検出電極9bに接近していないと判断する。このとき、ICチップ972は、たとえ検出電極9aや検出電極9bの静電容量が変化した場合であっても導電体9Dの接近位置に関する信号を外部に出力せず、導電体9Dが接近していないとする信号を外部に出力する。一方、検出電極9aや検出電極9bの静電容量の増加分が所定のしきい値を超えている場合、ICチップ972は導電体9Dの接近位置に関する情報を外部に出力する。
【0007】
しかしながら、たとえば、このような入力装置9Xを備える携帯電話機9Zの透明カバー98が厚い場合、導電体9Dと検出電極9aや検出電極9bとの最短の離隔距離が大きくなる。そうすると、導電体9Dが検出電極9aや検出電極9bに接近しても、検出電極9aや検出電極9bの静電容量の増加量が減少する。そのため、上記のしきい値として設定すべき値を小さくせざるをえなくなる。設定するしきい値を小さくすると、外来のノイズに影響され検出電極9aや検出電極9bの静電容量が変化した場合に、検出電極9aや検出電極9bの静電容量の増加分が当該しきい値を超えてしまうおそれがある。このようなことでは、導電体9Dが検出電極9aや検出電極9bに接近していないにもかかわららず導電体9Dが検出電極9aや検出電極9bに接近したと判断してしまう不具合を招来する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−33777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、誤作動の発生を抑制することができる静電容量式入力装置、および静電容量式入力装置における導電体の接近位置の計算方法を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の側面によって提供される静電容量式入力装置は、第1方向に配列され且つ上記第1方向と交差する第2方向に延びる複数の第1検出電極と、上記第2方向に配列され且つ上記第1方向に延びる複数の第2検出電極と、導電体と各第1検出電極との間の静電容量の変化に伴い各第1検出電極を介して得られる値をそれぞれ複数の第1方向検出値として記憶し、且つ、上記導電体と各第2検出電極との間の静電容量の変化に伴い各第2検出電極を介して得られる値をそれぞれ複数の第2方向検出値として記憶する記憶手段と、計算部と、を備え、上記計算部は、上記複数の第1方向検出値の少なくともいずれかについて演算した第1値と、上記複数の第2方向検出値の少なくともいずれかについて演算した第2値とを演算した第1マップ値を複数作成する処理と、複数の上記第1マップ値を用いて上記導電体の接近の有無を判断する処理とを実行する。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、複数の上記第1マップ値は、複数の上記第1マップ値のうちで最も大きい最大第1マップ値を含み、上記導電体の接近の有無を判断する処理においては、上記最大第1マップ値と所定のしきい値とを比較する。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第1値は、上記第1検出電極と所定領域とが重なる面積を重みとして、上記複数の第1方向検出値の少なくともいずれかについて加算した値であり、上記第2値は、上記第2検出電極と上記所定領域とが重なる面積を重みとして、上記複数の第2方向検出値の少なくともいずれかについて加算した値である。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第1マップ値は、上記第1値と上記第2値との和である。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第1マップ値は、上記第1値と上記第2値との和を累乗した値である。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、各第1マップ値は、上記第1方向における一つの座標値と上記第2方向における一つの座標値とを一組含む二次元座標に対応付けられており、上記計算部は、複数の上記第1マップ値を用いて上記第1方向と上記第2方向とにおける上記導電体の第1接近位置を計算する処理を更に実行する。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第1接近位置を計算する処理においては、複数の上記第1マップ値のうちの一部のみを用いて上記第1接近位置を計算する。
【0017】
本発明の好ましい実施の形態においては、各第1マップ値は、行成分がそれぞれ上記第1方向における一つの座標値に対応づけられ且つ列成分がそれぞれ上記第2方向における一つの座標値に対応づけられた第1行列の複数の要素のいずれかであり、上記第1行列においては、行番号が増加するにつれ当該行成分に対応づけられた上記第1方向における座標値が単調に変化し、且つ、列番号が増加するにつれ当該列成分に対応づけられた上記第2方向における座標値が単調に変化し、複数の上記第1マップ値は、複数の上記第1マップ値のうちで最も大きい最大第1マップ値と、当該最大第1マップ値と行番号が一つ異なり且つ互いに列番号が同一である2つの隣接第1マップ値とを含み、上記第1接近位置を計算する処理においては、上記最大第1マップ値と上記2つの隣接第1マップ値とを用い、上記第1接近位置を計算する。
【0018】
本発明の好ましい実施の形態においては、複数の上記第1検出電極は、上記複数の第1検出電極のうち上記第1接近位置に最も近接する第1近接検出電極を含み、複数の上記第2検出電極は、上記複数の第2検出電極のうち上記第1接近位置に最も近接する第2近接検出電極を含み、上記計算部は、第2接近位置計算の準備処理を実行し、当該準備処理は、上記記憶手段における、上記複数の第1方向検出値のうち上記第1近接検出電極に対応する値を小さく変換し、且つ、上記記憶手段における、上記複数の第2方向検出値のうち上記第2近接検出電極に対応する値を小さく変換するものである。
【0019】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記計算部は、上記準備処理が行われた後に、上記複数の第1方向検出値の少なくともいずれかについて演算した第3値と、上記複数の第2方向検出値の少なくともいずれかについて演算した第4値とを演算した第2マップ値を複数作成する処理と、複数の上記第2マップ値を用いて上記導電体の接近の有無を判断する処理とを更に実行する。
【0020】
本発明の好ましい実施の形態においては、各第2マップ値は、上記第1方向における一つの座標値と上記第2方向における座標値とを一組含む二次元座標に対応付けられており、上記計算部は、複数の上記第2マップ値を用いて上記導電体の上記第1方向および上記第2方向における第2接近位置を計算する処理を更に実行する。
【0021】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第2接近位置を計算する処理においては、複数の上記第2マップ値のうちの一部のみを用いて上記第2接近位置を計算する。
【0022】
本発明の好ましい実施の形態においては、各第2マップ値は、行成分がそれぞれ上記第1方向における一つの座標値に対応づけられ且つ列成分がそれぞれ上記第2方向における一つの座標値に対応づけられた第2行列の複数の要素のいずれかであり、上記第2行列においては、行番号が増加するにつれ当該行成分に対応づけられた上記第1方向における座標値が単調に変化し、且つ、列番号が増加するにつれ当該列成分に対応づけられた上記第2方向における座標値が単調に変化し、複数の上記第2マップ値は、複数の上記第2マップ値のうちで最も大きい最大第2マップ値と、当該最大第2マップ値と列番号が一つ異なり且つ互いに行番号が同一である2つの隣接第2マップ値とを含み、上記第2接近位置を計算する処理においては、上記最大第2マップ値と上記2つの隣接第2マップ値とを用い、上記第2接近位置を計算する。
【0023】
本発明の第2の側面によって提供される静電容量式入力装置における導電体の接近位置の計算方法は、第1方向に配列され且つ上記第1方向と交差する第2方向に延びる複数の第1検出電極と、上記第2方向に配列され且つ上記第1方向に延びる複数の第2検出電極とを備える静電容量式入力装置における導電体の接近位置の計算方法であって、上記導電体と各第1検出電極との静電容量の変化に伴い各第1検出電極を介して得られる値をそれぞれ複数の第1方向検出値として記憶手段に記憶し、上記導電体と各第2検出電極との静電容量の変化に伴い各第2検出電極を介して得られる値をそれぞれ複数の第2方向検出値として上記記憶手段に記憶し、上記複数の第1方向検出値の少なくともいずれかについて演算した第1値と、上記複数の第2方向検出値の少なくともいずれかについて演算した第2値とを演算した第1マップ値を複数作成し、複数の上記第1マップ値を用いて上記導電体の接近の有無を判断する各工程を備える。
【0024】
本発明の好ましい実施の形態においては、複数の上記第1マップ値は、複数の上記第1マップ値のうちで最も大きい最大第1マップ値を含み、上記判断する工程においては、上記最大第1マップ値と所定のしきい値とを比較する。
【0025】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第1値は、上記第1検出電極と所定領域とが重なる面積を重みとして、上記複数の第1方向検出値の少なくともいずれかについて加算した値であり、上記第2値は、上記第2検出電極と上記所定領域とが重なる面積を重みとして、上記複数の第2方向検出値の少なくともいずれかについて加算した値である。
【0026】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第1マップ値は、上記第1値と上記第2値との和である。
【0027】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第1マップ値は、上記第1値と上記第2値との和を累乗した値である。
【0028】
本発明の好ましい実施の形態においては、各第1マップ値は、上記第1方向における一つの座標値と上記第2方向における一つの座標値とを一組含む二次元座標に対応付けられており、複数の上記第1マップ値を用いて上記第1方向と上記第2方向とにおける上記導電体の第1接近位置を計算する工程を更に備える。
【0029】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第1接近位置を計算する工程においては、複数の上記第1マップ値のうちの一部のみを用いて上記第1接近位置を計算する。
【0030】
本発明の好ましい実施の形態においては、各第1マップ値は、行成分がそれぞれ上記第1方向における一つの座標値に対応づけられ且つ列成分がそれぞれ上記第2方向における一つの座標値に対応づけられた第1行列の複数の要素のいずれかであり、上記第1行列においては、行番号が増加するにつれ当該行成分に対応づけられた上記第1方向における座標値が単調に変化し、且つ、列番号が増加するにつれ当該列成分に対応づけられた上記第2方向における座標値が単調に変化し、複数の上記第1マップ値は、複数の上記第1マップ値のうちで最も大きい最大第1マップ値と、当該最大第1マップ値と行番号が一つ異なり且つ互いに列番号が同一である2つの隣接第1マップ値とを含み、上記第1接近位置を計算する工程においては、上記最大第1マップ値と上記2つの隣接第1マップ値とを用い、上記第1接近位置を計算する。
【0031】
本発明の好ましい実施の形態においては、複数の上記第1検出電極は、上記複数の第1検出電極のうち上記第1接近位置に最も近接する第1近接検出電極を含み、複数の上記第2検出電極は、上記複数の第2検出電極のうち上記第1接近位置に最も近接する第2近接検出電極を含み、第2接近位置計算の準備を行う工程を更に備え、当該準備を行う工程は、上記記憶手段における、上記複数の第1方向検出値のうち上記第1近接検出電極に対応する値を小さく変換し、且つ、上記記憶手段における、上記複数の第2方向検出値のうち上記第2近接検出電極に対応する値を小さく変換するものである。
【0032】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記準備を行う工程の後に、上記複数の第1方向検出値の少なくともいずれかについて演算した第3値と、複数の第2方向検出値の少なくともいずれかについて演算した第4値とを演算した第2マップ値を複数作成する工程と、複数の上記第2マップ値を用いて上記導電体の接近の有無を判断する工程とを更に備える。
【0033】
本発明の好ましい実施の形態においては、各第2マップ値は、上記第1方向における一つの座標値と上記第2方向における座標値とを一組含む二次元座標に対応付けられており、複数の上記第2マップ値を用いて上記導電体の上記第1方向および上記第2方向における第2接近位置を計算する工程を更に備える。
【0034】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第2接近位置を計算する工程においては、複数の上記第2マップ値のうちの一部のみを用いて上記第2接近位置を計算する。
【0035】
本発明の好ましい実施の形態においては、各第2マップ値は、行成分がそれぞれ上記第1方向における一つの座標値に対応づけられ且つ列成分がそれぞれ上記第2方向における一つの座標値に対応づけられた第2行列の複数の要素のいずれかであり、上記第2行列においては、行番号が増加するにつれ当該行成分に対応づけられた上記第1方向における座標値が単調に変化し、且つ、列番号が増加するにつれ当該列成分に対応づけられた上記第2方向における座標値が単調に変化し、複数の上記第2マップ値は、複数の上記第2マップ値のうちで最も大きい最大第2マップ値と、当該最大第2マップ値と列番号が一つ異なり且つ互いに行番号が同一である2つの隣接第2マップ値とを含み、上記第2接近位置を計算する工程においては、上記最大第2マップ値と上記2つの隣接第2マップ値とを用い、上記第2接近位置を計算する。
【0036】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる入力装置の断面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う入力装置の要部平面図である。
【図3】図2に示す入力装置の第1検出電極を主に示す平面図である。
【図4】図2に示す入力装置の第2検出電極を主に示す平面図である。
【図5】本実施形態のICチップにおける機能ブロック図である。
【図6】本実施形態における処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】各第1方向検出値および各第2方向検出値の各値の一例を示すグラフである。
【図8】図7に示した各値を、三次元で示すグラフである。
【図9】図2に示す入力装置の拡大平面図である。
【図10】本実施形態のケース2について説明する図である。
【図11】本実施形態のケース3について説明する図である。
【図12】本実施形態のケース4について説明する図である。
【図13】本実施形態の第1マップ値を要素とする行列について説明する図である。
【図14】本実施形態の第1マップ値を三次元で示す図である。
【図15】本実施形態における導電体の接近の有無を判断する工程を説明するための図である。
【図16】本実施形態における第1接近座標の値の求め方の説明に用いるグラフである。
【図17】本発明の第2実施形態の第1マップ値を三次元で示す図である。
【図18】本発明の第3実施形態の第1マップ値を三次元で示す図である。
【図19】本発明の第5実施形態を説明するための入力装置の要部平面図である。
【図20】本実施形態の処理の流れを示すフローチャートである。
【図21】本実施形態の準備処理を説明するための図である。
【図22】本実施形態のケース1について説明する図である。
【図23】本実施形態のケース2について説明する図である。
【図24】本実施形態のケース3について説明する図である。
【図25】本実施形態のケース4について説明する図である。
【図26】本実施形態の第2マップ値を要素とする行列について説明する図である。
【図27】本実施形態における導電体の接近の有無を判断する工程を説明するための図である。
【図28】本実施形態における第2接近座標の値の求め方に用いるグラフである。
【図29】本発明の第6実施形態を説明するための入力装置の要部断面図である。
【図30】本発明の第6実施形態を説明するための入力装置の要部平面図である。
【図31】本実施形態の各第1方向検出値および各第2方向検出値の各値の一例を示すグラフである。
【図32】図31に示す第1方向検出値および第2方向検出値の各値と、第1実施形態における式とを用いて、作成した第1マップ値である。
【図33】本発明の第6実施形態の第1マップ値を三次元で示す図である。
【図34】従来の入力装置の一例を示す断面図である。
【図35】図34のXXXV−XXXV線に沿う要部平面図である。
【図36】検出電極とICチップとの接続状態を概念的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0039】
図1および図2は、本発明の第1実施形態にかかる入力装置A1を表す。これらの図に示す入力装置A1は、透過板1,2と、x方向位置検出用の複数の第1検出電極Exi(i=1,2,・・・,n)と、y方向位置検出用の複数の第2検出電極Eyj(j=1,2,・・・,m)と、配線3,3’と、樹脂層4と、スペーサ5と、異方性導電樹脂部6と、シールド層7と、フレキシブル基板8と、ICチップ9とを備える。図1では、配線3,3’は省略している。図2では、透過板2、樹脂層4、スペーサ5、異方性導電樹脂部6、シールド層7、フレキシブル基板8、およびICチップ9を省略している。入力装置A1は、導電体D1の接近位置を検出できるように構成されている。入力装置A1は、例えば、液晶表示パネルP1の画像表示面の側に配置されて、いわゆるタッチパネル装置を構成する。図3は、図2に示す第1検出電極Exiを主に示す平面図である。図4は、図2に示す第2検出電極Eyjを主に示す平面図である。
【0040】
透過板1,2は、それぞれ、透明樹脂基板または透明ガラス基板である。透明樹脂基板の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、もしくはポリカーボネート(PC)が挙げられる。
【0041】
x方向位置検出用の複数の第1検出電極Exi(i=1,2,・・・,n)は、透過板1の図1上面にパターン形成されたものである。複数の第1検出電極Exiは、それぞれが方向yに延びて相互に平行であり、且つ、方向x(方向yに直交する)において相互に離間して配列されている。本実施形態においては、第1検出電極Exiの本数(即ちn)は、10である。各第1検出電極Exiは、例えば、ITO,IZOなどの透明な導電性材料よりなる。図3に示すように、各第1検出電極Exiは、複数の菱形状の部分と、これらの菱形状の部分をつなぐ線状の部分とを有する。この菱形状の部分の形状は、丸形状、多角形状、またはその他の形状であってもよい。
【0042】
y方向位置検出用の複数の第2検出電極Eyj(j=1,2,・・・,m)は、透過板2の図中下面にパターン形成されたものである。複数の第2検出電極Eyjは、それぞれが方向xに延びて相互に平行であり、且つ、方向yにおいて相互に離間して配列されている。本実施形態においては、第2検出電極Eyjの本数(即ちm)は14である。各第2検出電極Eyjは、例えば、ITO,IZOなどの透明な導電性材料よりなる。図4に示すように、各第2検出電極Eyjは、複数の菱形状の部分と、これらの菱形状の部分をつなぐ線状の部分とを有する。この菱形状の部分の形状は、丸形状、多角形状、またはその他の形状であってもよい。第2検出電極Eyjの菱形状の部分は、方向xおよび方向yにおいて、第1検出電極Exiの菱形状の部分と重ならないように配置されている。
【0043】
各配線3の一部は、透過板1上にパターン形成されている。各配線3の他の一部は、透過板2上およびフレキシブル基板8上にわたってパターン形成されている。透過板1上の各配線3の一部と、透過板1上の各配線3の一部に対応する透過板2上の各配線3の一部とは、透過板1上の各配線3の一部間の電気的絶縁状態が確保され且つ透過板2上の各配線3の一部間の電気的絶縁状態が確保されつつ、異方性導電樹脂部6を介して電気的に接続されている。異方性導電樹脂部6は、硬化した異方性導電樹脂よりなる。入力装置A1においては、各配線3はこのように設けられている。各配線3は、透過板1上にて一の第1検出電極Exiと接続されている。
【0044】
配線3’は、透過板2上およびフレキシブル基板8上にわたってパターン形成されており、透過板2上にて一の第2検出電極Eyjと接続されている。
【0045】
樹脂層4およびスペーサ5は、図1に示すように、透過板1,2間に介在する。樹脂層4は、光を良好に透過させる樹脂材料よりなる。また、樹脂層4により、第1検出電極Exi間、第2検出電極Eyj間、および、第1検出電極Exi,第2検出電極Eyj間の電気的絶縁状態が確保される。スペーサ5は、シリカまたはアクリル樹脂(例えば、積水化学工業:ミクロパールシリーズ)よりなる粒体である。スペーサ5のサイズを適宜選択することにより、透過板1,2間の適切な距離を確保することができる。
【0046】
シールド層7は、透過板1の図1中下面に設けられている。シールド層7は、例えば、ITO,IZOなどの透明導電性材料よりなる。シールド層7は、リア保護層(図示略)により覆われている。シールド層7は、外来のノイズを遮断する役割を担う。
【0047】
フレキシブル基板8は、図1に示すように、透過板2の端部に取り付けられている。上述のように、配線3の一部および配線3’の一部は、フレキシブル基板8にも設けられている。
【0048】
ICチップ9は、フレキシブル基板8に搭載されている。ICチップ9は、入力装置A1の駆動状態を制御したり、導電体D1の接近位置を計算したりする機能を担う。ICチップ9は、図示しない入力端子を介して、各第1検出電極Exi、および、各第2検出電極Eyjに接続している。
【0049】
図5には、ICチップ9における機能ブロック図を示す。同図に示すように、ICチップ9は、記憶部91と、計算部92とを含む。
【0050】
記憶部91は、計算部92が計算をする際のデータを記憶する機能を担う。本実施形態では、記憶部91は、指などの導電体D1と各第1検出電極Exiとの間の静電容量の変化に伴い、各第1検出電極ExiとICチップ9における図示しない回路とを介して得られる値をそれぞれ、複数の第1方向検出値Xch(i)(i=1,2,・・・,n)として記憶する。同様に、記憶部91は、導電体D1と各第2検出電極Eyjとの間の静電容量の変化に伴い、各第2検出電極EyjとICチップ9における図示しない回路とを介して得られる値をそれぞれ複数の第2方向検出値Ych(j)(j=1,2,・・・,m)として記憶する。
【0051】
計算部92は、方向xおよび方向yにおける導電体D1の接近位置を計算する。計算部92は、記憶部91とデータを送受しつつ計算を行う。
【0052】
次に、図6〜図16をさらに用いて、本実施形態にかかる導電体D1の接近位置の計算方法の一例について説明する。図6は、本実施形態における処理の流れを示すフローチャートである。本実施形態においては、導電体D1が透過板2に接近したときの、導電体D1の接近位置である第1接近座標(x1,y1)を計算する方法について説明する。
【0053】
<第1方向検出値および第2方向検出値の記憶(S101)>
図6に示すように、入力装置A1が稼働すると、ICチップ9には、各第1検出電極Exiから、導電体D1と各第1検出電極Exiとの間に生じうる静電容量変化に対応する信号が送られる。ICチップ9が当該信号を受けると、上述のように、記憶部91は、導電体D1と各第1検出電極Exiとの間の静電容量の変化に伴い、各第1検出電極ExiとICチップ9における図示しない回路とを介して得られる値をそれぞれ、複数の第1方向検出値Xch(i)(i=1,2,・・・,n)として記憶する。同様に、ICチップ9には、各第2検出電極Eyjから、導電体D1と各第2検出電極Eyjとの間に生じうる静電容量変化に対応する信号が送られる。ICチップ9が当該信号を受けると、上述のように記憶部91は、導電体D1と各第2検出電極Eyjとの間の静電容量の変化に伴い、各第2検出電極EyjとICチップ9における図示しない回路とを介して得られる値をそれぞれ、複数の第2方向検出値Ych(j)(j=1,2,・・・,m)として記憶する。
【0054】
図7には、導電体D1が図2に示す位置に接近した場合における、各第1方向検出値Xch(i)および各第2方向検出値Ych(j)の各値の一例を示している。図8は、図7に示した各第1方向検出値Xch(i)および各第2方向検出値Ych(j)ごとの各値を、三次元の棒グラフで示している。図2に示す導電体D1の、透過板2に対する接触領域と対向し合う面積が最も大きいのは、第1検出電極Ex1〜Exnのうち電極Ex5であり、当該接触領域と対向し合う面積が二番目に大きいのは第1検出電極Ex6である。第2検出電極Ey1〜Eymのうち当該接触領域と対向し合う面積が最も大きいのは、第2検出電極Ey7であり、当該接触領域と対向し合う面積が二番目に大きいのは第2検出電極Ey8であり、当該領域と対向し合う面積が三番目に大きいのは第2検出電極Ey6である。このように、第一方向検出値Xch(i)、第二方向検出値Ych(j)の各々の値は、透過板2に対する導電体D1の接触領域と第1検出電極Exi、第2検出電極Eyjとが対向し合う面積にそれぞれ対応する。なお、図7にてXch(2),Xch(9),Ych(3),Ych(13)がわずかに値を示しているのはノイズの影響である。
【0055】
<第1マップ値の作成(S102)>
次に、第1方向検出値Xch(i)と第2方向検出値Ych(j)とを用いて、複数の第1マップ値を作成する。より具体的には、以下のように第1マップ値を作成する。第1マップ値は、第1方向検出値Xch(i)の少なくともいずれかと第2方向検出値Ych(j)の少なくともいずれかとを演算した値である。
【0056】
第1マップ値は、その第1マップ値を求めるのに用いた第1方向検出値Xch(i)の各々と正の相関を有する。すなわち、第1マップ値の値は、その第1マップ値を求めるのに用いた第1方向検出値Xch(i)のうちある特定の第1方向検出値Xch(i)以外の値、および、その第1マップ値を求めるのに用いた第2方向検出値Ych(j)の値が同一であれば、当該特定の第1方向検出値Xch(i)の値が大きいほど、大きい。また、第1マップ値は、その第1マップ値を求めるのに用いた第2方向検出値Ych(i)の各々と正の相関を有する。すなわち、第1マップ値の値は、その第1マップ値を求めるのに用いた第1方向検出値Xch(i)、および、その第1マップ値を求めるのに用いた第2方向検出値Ych(j)のうちある特定の第2方向検出値Ych(j)以外の値が同一であれば、当該特定の第2方向検出値Ych(j)の値が大きいほど、大きい。
【0057】
また、作成する第1マップ値の個数は、複数の第1方向検出値Xch(i)のいずれかと複数の第2方向検出値Ych(j)のいずれかとの組み合わせ方によって、自在に決定できる。以下では、2n×2m個の第1マップ値を作成する例を示す。
【0058】
図9は、図2に示す入力装置A1の拡大平面図である。
【0059】
各第1マップ値map1(p,q)は、ある二次元座標に対応づけられており、その二次元座標(X1pq,Y1pq)は、図9等に示す所定面積の領域Rpqの重心座標である。領域Rpqの形状はどのような形状であってもよい。本実施形態においては、領域Rpqは、各第1検出電極Exiの菱形状の部分4個分の面積を有する。第1マップ値map1(p,q)は、
map1(p,q)=Vx(p,q)+Vy(p,q)・・・(1)
と定義される。
【0060】
Vx(p,q)は第1値であり、
Vx(p,q)=ΣSk・Xch(k)・・・(2)
と表わされる。
ここで、Skは、領域Rpqと第1検出電極Exkとが重なる領域の面積である(k=1,2,・・・,n)。すなわち第1値Vx(p,q)は、領域Rpqと第1検出電極Exkとが重なる領域のそれぞれの面積を重みとして、各第1方向検出値Xch(i)を加算した値である。
【0061】
同様に、Vy(p,q)は第2値であり、
Vy(p,q)=ΣTk・Ych(k)・・・(3)
と表わされる。
ここでTkは、Skと同様に、領域Rpqと第2検出電極Eykとが重なる領域の面積である(k=1,2,・・・,m)。すなわち第2値Vy(p,q)は、領域Rpqと第2検出電極Eykとが重なる領域のそれぞれの面積を重みとして、各第2方向検出値Ych(j)を加算した値である。
【0062】
そのため、第1マップ値map1(p,q)は、領域Rpqと第1検出電極Exkとが重なる領域のそれぞれの面積を重みとして、各第1方向検出値Xch(i)を加算した値と、領域Rpqと第2検出電極Eykとが重なる領域のそれぞれの面積を重みとして、各第2方向検出値Ych(j)を加算した値と、の和であるといえる。
【0063】
本実施形態において、第1マップ値map1(p,q)は、
(p,q)=(2i,2j)の場合・・・・・・・(ケース1、図9参照)、
(p,q)=(2i+1,2j)の場合・・・・・(ケース2、図10参照)、
(p,q)=(2i,2j+1)の場合・・・・・(ケース3、図11参照)、
(p,q)=(2i+1,2j+1)の場合・・・(ケース4、図12参照)、
の4つの場合(i=1,2,・・・n、j=1,2,・・・m)ごとに、求める際に用いるパラメータが異なる。以下具体的に説明する。
【0064】
<ケース1>
図9を用いて、ケース1について説明する。同図に示す通り、二次元座標(X1pq,Y1pq)については、
(X1pq,Y1pq)=(X12i,Y12j)
=(Xi,Yj)・・・(4−1)
と表わされる。
Xiは、第1検出電極Exiの方向xにおける中心位置である。同様に、Yjは、第2検出電極Eyjの方向yにおける中心位置である。
【0065】
ケース1において(2)式は、
Vx(p,q)=Vx(2i,2j)
=Si-1Xch(i−1)+SiXch(i)+Si+1Xch(i+1)
=0.3Xch(i−1)+1.4Xch(i)+0.3Xch(i+1)・・・・(2−1)
と表わされる。
Si-1,Si,Si+1については、第1検出電極Exiに含まれる菱形の電極一つの面積を1とし、Si-1=0.3,Si=1.4,Si+1=0.3としている。なお、Xch(0),Xch(n+1)等の実在しない値としては、適当な値を用いる。
【0066】
同様にケース1において(3)式は、
Vy(p,q)=Vy(2i,2j)
=Tj-1Ych(j−1)+TjYch(j)+Tj+1Ych(j+1)
=0.3Ych(j−1)+1.4Ych(j)+0.3Ych(j+1)・・・・(3−1)
と表わされる。
Tj-1,Tj,Tj+1については、第2検出電極Eyjに含まれる菱形の電極一つの面積を1とし、Tj-1=0.3,Tj=1.4,Tj+1=0.3としている。なお、Ych(0),Ych(m+1)等の実在しない値としては、適当な値を用いる。
【0067】
ケース1においてはこのような第1値Vx(p,q)および第2値Vy(p,q)を求め、(1)式により第1マップ値map1(p,q)を作成する。
【0068】
<ケース2>
図10は、ケース2について説明する図である。同図に示す通り、二次元座標(X1pq,Y1pq)については、
(X1pq,Y1pq)=(X12i+1,Y12j)
=((Xi+Xi+1)/2,Yj)・・・(4−2)
と表わされる。
Xi+1は、第1検出電極Exi+1の方向xにおける中心位置である。
【0069】
ケース2において(2)式は、
Vx(p,q)=Vx(2i+1,2j)
=SiXch(i)+Si+1Xch(i+1)
=1.0Xch(i)+1.0Xch(i+1)・・・・(2−2)
と表わされる。
Si,Si+1については、第1検出電極Exiに含まれる菱形の電極一つの面積を1とし、Si=1.0,Si+1=1.0としている。
【0070】
ケース2において(3)式は、ケース1と同様、
Vy(p,q)=Vy(2i+1,2j)
=Tj-1Ych(j−1)+TjYch(j)+Tj+1Ych(j+1)
=0.3Ych(j−1)+1.4Ych(j)+0.3Ych(j+1)・・・・(3−2)
と表わされる。
【0071】
ケース2においてはこのような第1値Vx(p,q)および第2値Vy(p,q)を求め、(1)式により第1マップ値map1(p,q)を作成する。
【0072】
<ケース3>
図11は、ケース3について説明する図である。同図に示す通り、二次元座標(X1pq,Y1pq)については、
(X1pq,Y1pq)=(X12i,Y12j+1)
=(Xi,(Yj+Yj+1)/2)・・・(4−3)
と表わされる。
Yi+1は、第2検出電極Eyjの方向yにおける中心位置である。
【0073】
ケース3において(2)式は、ケース1と同様、
Vx(p,q)=Vx(2i,2j+1)
=Si-1Xch(i−1)+SiXch(i)+Si+1Xch(i+1)
=0.3Xch(i−1)+1.4Xch(i)+0.3Xch(i+1)・・・・(2−3)
と表わされる。
【0074】
ケース3において(3)式は、
Vy(p,q)=Vy(2i,2j+1)
=TjYch(j)+Tj+1Ych(j+1)
=1.0Ych(j)+1.0Ych(j+1)・・・・(3−3)
と表わされる。
Tj,Tj+1については、第2検出電極Eyjに含まれる菱形の電極一つの面積を1とし、Tj=1.0,Tj+1=1.0としている。
【0075】
ケース3においてはこのような第1値Vx(p,q)および第2値Vy(p,q)を求め、(1)式により第1マップ値map1(p,q)を作成する。
【0076】
<ケース4>
図12は、ケース4について説明する図である。同図に示す通り、二次元座標(X1pq,Y1pq)については、
(X1pq,Y1pq)=(X12i+1,Y12j+1)
=((Xi+Xi+1)/2,(Yj+Yj+1)/2)・・・(4−4)
と表わされる。
【0077】
ケース4において(2)式は、ケース2と同様、
Vx(p,q)=Vx(2i+1,2j+1)
=SiXch(i)+Si+1Xch(i+1)
=1.0Xch(i)+1.0Xch(i+1)・・・・(2−4)
と表わされる。
【0078】
ケース4において(3)式は、ケース3と同様、
Vy(p,q)=Vy(2i+1,2j+1)
=TjYch(j)+Tj+1Ych(j+1)
=1.0Ych(j)+1.0Ych(j+1)・・・・(3−4)
と表わされる。
【0079】
ケース4においてはこのような第1値Vx(p,q)および第2値Vy(p,q)を求め、(1)式により第1マップ値map1(p,q)を作成する。
【0080】
以上のケース1〜ケース4の場合の計算をすることにより、複数の第1マップ値map1(p,q)を作成することができる。
【0081】
i=1,2,・・・,nであることを考慮すると、pは、2から2n+1までの2n個の整数である。一方、j=1,2,・・・,mであることを考慮すると、qは、2から2m+1までの2m個の整数である。そこで、第1マップ値map1(p,q)は、2n×2m行列T1の要素と考えることができる。ここで、行列T1の要素αrsを、
αrs=map1(r+1,s+1)・・・(5)
(r=1,2,・・・2n、s=1,2,・・・2m)
と定義する(図13参照)。
【0082】
また、式(4−1)、式(4−2)、式(4−3)、式(4−4)から、複数の第1マップ値map1(p,q)におけるpの値が互いに同一であれば、それらの第1マップ値map1(p,q)に対応づけられた二次元座標のX1pqの値は同一であることが分かる。そのため、行列T1において行番号が同一であれば、行列要素(第1マップ値map1(p,q))に対応づけられた二次元座標のX1pqの値は同一である。たとえば、3行目の成分のpは4であり、(4−1)式、(4−3)式によると、X1pq=X2である。
【0083】
同様に、複数の第1マップ値map1(p,q)におけるqの値が互いに同一であれば、それらの第1マップ値map1(p,q)に対応づけられた二次元座標のY1pqの値は同一であることが分かる。そのため、行列T1において列番号が同一であれば、行列要素(第1マップ値map1(p,q))に対応づけられた二次元座標のY1pqの値は同一である。たとえば、2列目の成分のqは3であり、(4−3)式、(4−4)式によると、Y1pq=(Y1+Y2)/2である。
【0084】
また、式(4−1)、式(4−2)、式(4−3)、式(4−4)によると、pの値が大きくなるほどX1pqの値が大きくなっており、且つ、qの値が大きくなるほどY1pq大きくなっている。そのため、行列T1においては、行番号が増加するにつれ当該行の成分(第1マップ値map1(p,q))に対応づけられた二次元座標のX1pqの値は、単調に増加する。また同様に、行列T1においては、列番号増加するにつれ当該列の成分(第1マップ値map1(p,q))に対応づけられた二次元座標のY1pqの値は、単調に増加する。
【0085】
図14にて、第1マップ値map1(p,q)を三次元で示し、第1マップ値map1(p,q)を視覚的に認識できるようにしている。同図の高さ方向が第1マップ値の値に対応する。第1マップ値map(p,q)のうち値が大きいものは、導電体D1が接近してきた第1検出電極Exiや第2検出電極Eyjを用いて求められている。そのため、第1マップ値map1(p,q)のうち大きいものに対応づけられている二次元座標が、導電体D1が接近してきた位置に近接しているといえる。
【0086】
<導電体D1の接近の有無を判断(S103)>
次に、図15を参照しつつ、上述のプロセスにより作成された第1マップ値map1(p,q)を用いて、導電体D1の接近の有無を判断する工程(S103)について説明する。まず、上記の処理において求められた第1マップ値map1(p,q)のうち、最も大きい最大第1マップ値map1(pmax,qmax)を抽出する(pmaxは、第1マップ値が最大値をとるときのpの値である。同様に、qmaxは、第1マップ値が最大値をとるときのqの値である)。次に、計算部92は、この最大第1マップ値map1(pmax,qmax)の値が所定のしきい値(図14参照)より大きいか否かを判断する。最大第1マップ値map1(pmax,qmax)が、所定のしきい値以下である場合(S103:NO)、計算部92は、導電体D1が接近していないと判断する(S104)。
【0087】
導電体D1が接近していないと判断した場合、計算部92は、導電体D1が接近していないとする信号(たとえば第1接近座標(x1,y1)が(0,0)であるとする信号)を、ICチップ9の外部に出力する(S106)。
【0088】
<第1接近座標(x1,y1)の計算(S105)>
一方、最大第1マップ値map1(pmax,qmax)が所定のしきい値より大きい場合(S103:YES)、計算部92は導電体D1が接近していると判断する。この場合、計算部92は、第1接近座標(x1,y1)の値を計算する(S105)。本実施形態において、第1接近座標(x1,y1)のx1を計算するには、最大第1マップ値map1(pmax,qmax)と、この最大第1マップ値map1(pmax,qmax)と行番号が一つ異なり且つ互いに同一の列に含まれる2つの隣接第1マップ値map1(pmax−1,u)、map1(pmax+1,u)と、を用いる(ここでu=2,3,・・・2m+1)。以下では一例として、u=qmaxである場合、すなわち、これらの2つの隣接第1マップ値が最大第1マップ値と同一の列に含まれる場合について説明する。
【0089】
図16は、本実施形態における第1接近座標(x1,y1)のx1の値の求め方の説明に用いるグラフである。同図に示すグラフの横軸は、隣接第1マップ値map1(pmax−1,qmax)、最大第1マップ値map1(pmax,qmax)、および隣接第1マップ値map1(pmax+1,qmax)の各々に対応づけられている二次元座標のX1pqの値である。同グラフの縦軸は、各第1マップ値の値である。第1近接座標のx1の値を求めるには、同グラフの3つの第1マップ値を通る二次曲線を求める。そして、当該二次曲線の頂点の座標もしくは軸を求めるなどしてx1の値を計算する。
【0090】
本実施形態において、第1接近座標(x1,y1)のy1を計算するには、x1を計算する場合と同様に、最大第1マップ値map1(pmax,qmax)と、この最大第1マップ値map1(pmax,qmax)と列番号が一つ異なる行に含まれる2つの隣接第1マップ値map1(v,qmax−1)、map1(v,qmax+1)と、を用いる(ここでv=2,3,・・・2n+1)。これら2つの隣接第1マップ値は、互いに同一の列に含まれる。y1の値を計算する方法は、x1の値を計算するのと同様であるから説明を省略する。
【0091】
このようにして、計算部92は、導電体D1の接近位置を示す第1接近座標(x1,y1)を計算する。そして、ICチップ9は、計算した第1接近座標(x1,y1)に関する信号を外部に出力する(S106)。
【0092】
以上の流れで、第1接近座標(x1,y1)を計算できる。
【0093】
次に本実施形態の作用について説明する。
【0094】
本実施形態においては、図7に示したように、導電体D1が第1検出電極Exiに接近すると、数個(2,3個)の第1方向検出値Xch(i)が他の第1方向検出値Xch(i)に比べ大きくなる。同様に、導電体D1が第2検出電極Eyjに接近すると、数個(2,3個)の第2方向検出値Ych(j)が他の第2方向検出値Ych(j)に比べ大きくなる。第1マップ値map1(p,q)を作成することで、導電体D1が第1検出電極Exiに接近した場合に大きくなる第1方向検出値Xch(i)と、導電体D1が第2検出電極Eyjに接近した場合に大きくなる第2方向検出値Ych(j)との影響を加味した値を求めることができる。そのため、図14に示したように、導電体D1が第1検出電極Exi、第2検出電極Eyjに接近した場合、特定の第1マップ値map1(p,q)の値が極端に大きくなる。そのため、導電体D1の接近の有無を検出する際に用いるしきい値の設定幅を大きくすることができる。その結果、ノイズの影響により第1方向検出値Xch(i)や第2方向検出値Ych(j)が増加しても、導電体D1が接近していない限り第1マップ値map1(p,q)がしきい値を超えないように、より大きいしきい値を設定することができる。したがって、入力装置A1によると、導電体D1が接近していないにもかかわらず導電体D1が接近したと判断してしまう誤作動を、抑制することができる。
【0095】
本実施形態においては、第1マップ値map1(p,q)を用いて、第1接近座標(x1,y1)を計算している。第1マップ値map1(p,q)を作成できる数は、第1検出電極Exiの数、第2検出電極Eyjの数に制限されない。そのため、第1マップ値map1(p,q)を多く作成することで、より正確な第1接近座標(x1,y1)を計算することができる。
【0096】
本実施形態においては、第1接近座標(x1,y1)を計算するために、図16に示した二次曲線の頂点の座標もしくは軸を求めている。発明者らによると、このような計算方法は第1接近座標(x1,y1)を正確に求めるのに適することがわかった。
【0097】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1マップ値map1(p,q)を求める際のパラメータが第1実施形態と異なり、その他の点は第1実施形態と同様である。以下、具体的に説明する。
【0098】
本実施形態においては、領域Rpqは、各第1検出電極Exiの菱形状の部分4.5個分の面積を有する。
【0099】
本実施形態においても、第1マップ値map1(p,q)は、
(p,q)=(2i,2j)の場合・・・・・・・(ケース1)、
(p,q)=(2i+1,2j)の場合・・・・・(ケース2)、
(p,q)=(2i,2j+1)の場合・・・・・(ケース3)、
(p,q)=(2i+1,2j+1)の場合・・・(ケース4)、
の4つの場合(i=1,2,・・・n、j=1,2,・・・m)ごとに、求める際に用いるパラメータが異なる。以下具体的に説明する。
【0100】
<ケース1>
ケース1の二次元座標(X1pq,Y1pq)については、
(X1pq,Y1pq)=(X12i,Y12i)
=(Xi,Yi)・・・(4−5)
と表わされる。
【0101】
ケース1において(2)式は、
Vx(p,q)=Vx(2i,2j)
=Si-1Xch(i−1)+SiXch(i)+Si+1Xch(i+1)
=0.3375Xch(i−1)+1.575Xch(i)+0.3375Xch(i+1)・・・・(2−5)
と表わされる。
【0102】
同様にケース1において(3)式は、
Vy(p,q)=Vy(2i,2j)
=Tj-1Ych(j−1)+TjYch(j)+Tj+1Ych(j+1)
=0.3375Ych(j−1)+1.575Ych(j)+0.3375Ych(j+1)・・・・(3−5)
と表わされる。
【0103】
ケース1においてはこのような第1値Vx(p,q)および第2値Vy(p,q)を求め、(1)式により第1マップ値map1(p,q)を作成する。
【0104】
<ケース2>
ケース2の二次元座標(X1pq,Y1pq)については、
(X1pq,Y1pq)=(X12i+1,Y12j)
=((Xi+Xi+1)/2,Yj)・・・(4−6)
と表わされる。
【0105】
ケース2において(2)式は、
Vx(p,q)=Vx(2i+1,2j)
=SiXch(i)+Si+1Xch(i+1)
=1.125Xch(i)+1.125Xch(i+1)・・・・(2−6)
と表わされる。
【0106】
ケース2において(3)式は、ケース1と同様、
Vy(p,q)=Vy(2i+1,2j)
=Tj-1Ych(j−1)+TjYch(j)+Tj+1Ych(j+1)
=0.3375Ych(j−1)+1.5750Ych(j)+0.3375Ych(j+1)・・・・(3−6)
と表わされる。
【0107】
ケース2においてはこのような第1値Vx(p,q)および第2値Vy(p,q)を求め、(1)式により第1マップ値map1(p,q)を作成する。
【0108】
<ケース3>
ケース3の二次元座標(X1pq,Y1pq)については、
(X1pq,Y1pq)=(X12i,Y12j+1)
=(Xi,(Yj+Yj+1)/2)・・・(4−7)
と表わされる。
【0109】
ケース3において(2)式は、ケース1と同様、
Vx(p,q)=Vx(2i,2j+1)
=Si-1Xch(i−1)+SiXch(i)+Si+1Xch(i+1)
=0.3375Xch(i−1)+1.5750Xch(i)+0.3375Xch(i+1)・・・・(2−7)
と表わされる。
【0110】
ケース3において(3)式は、
Vy(p,q)=Vy(2i,2j+1)
=TjYch(j)+Tj+1Ych(j+1)
=1.125Ych(j)+1.125Ych(j+1)・・・・(3−7)
と表わされる。
【0111】
ケース3においてはこのような第1値Vx(p,q)および第2値Vy(p,q)を求め、(1)式により第1マップ値map1(p,q)を作成する。
【0112】
<ケース4>
ケース4の二次元座標(X1pq,Y1pq)については、
(X1pq,Y1pq)=(X12i+1,Y12j+1)
=((Xi+Xi+1)/2,(Yj+Yj+1)/2)・・・(4−8)
と表わされる。
【0113】
ケース4において(2)式は、ケース2と同様、
Vx(p,q)=Vx(2i+1,2j+1)
=SiXch(i)+Si+1Xch(i+1)
=1.125Xch(i)+1.125Xch(i+1)・・・・(2−8)
と表わされる。
【0114】
ケース4において(3)式は、ケース3と同様、
Vy(p,q)=Vy(2i+1,2j+1)
=TjYch(j)+Tj+1Ych(j+1)
=1.125Ych(j)+1.125Ych(j+1)・・・・(3−8)
と表わされる。
【0115】
ケース4においてはこのような第1値Vx(p,q)および第2値Vy(p,q)を求め、(1)式により第1マップ値map1(p,q)を作成する。
【0116】
以上のケース1〜ケース4の場合の計算をすることにより、複数の第1マップ値map1(p,q)を作成することができる。
【0117】
図17に、導電体D1が接近した場合の、このようなパラメータを用いて作成した第1マップ値map1(p,q)を三次元的に示す。
【0118】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1マップ値map1(p,q)を求める際のパラメータが第1、第2実施形態と異なり、その他の点は第1実施形態と同様である。以下、具体的に説明する。
【0119】
本実施形態においては、領域Rpqは、各第1検出電極Exiの菱形状の部分6.25個分の面積を有する。
【0120】
本実施形態においても、第1マップ値map1(p,q)は、
(p,q)=(2i,2j)の場合・・・・・・・(ケース1)、
(p,q)=(2i+1,2j)の場合・・・・・(ケース2)、
(p,q)=(2i,2j+1)の場合・・・・・(ケース3)、
(p,q)=(2i+1,2j+1)の場合・・・(ケース4)、
の4つの場合ごとに、求める際に用いるパラメータが異なる(i=1,2,・・・n、j=1,2,・・・m)。以下具体的に説明する。
【0121】
<ケース1>
ケース1の二次元座標(X1pq,Y1pq)については、
(X1pq,Y1pq)=(X12i,Y12i)
=(Xi,Yi)・・・(4−9)
と表わされる。
【0122】
ケース1において(2)式は、
Vx(p,q)=Vx(2i,2j)
=Si-1Xch(i−1)+SiXch(i)+Si+1Xch(i+1)
=0.5Xch(i−1)+2.125Xch(i)+0.5Xch(i+1)・・・・(2−9)
と表わされる。
【0123】
同様にケース1において(3)式は、
Vy(p,q)=Vy(2i,2j)
=Tj-1Ych(j−1)+TjYch(j)+Tj+1Ych(j+1)
=0.5Ych(j−1)+2.125Ych(j)+0.5Ych(j+1)・・・・(3−9)
と表わされる。
【0124】
ケース1においてはこのような第1値Vx(p,q)および第2値Vy(p,q)を求め、(1)式により第1マップ値map1(p,q)を作成する。
【0125】
<ケース2>
ケース2の二次元座標(X1pq,Y1pq)については、
(X1pq,Y1pq)=(X12i+1,Y12j)
=((Xi+Xi+1)/2,Yj)・・・(4−10)
と表わされる。
【0126】
ケース2において(2)式は、
Vx(p,q)=Vx(2i+1,2j)
=SiXch(i)+Si+1Xch(i+1)
=1.5Xch(i)+1.5Xch(i+1)・・・・(2−10)
と表わされる。
【0127】
ケース2において(3)式は、ケース1と同様、
Vy(p,q)=Vy(2i+1,2j)
=Tj-1Ych(j−1)+TjYch(j)+Tj+1Ych(j+1)
=0.5625Ych(j−1)+2.125Ych(j)+0.5625Ych(j+1)・・・・(3−10)
と表わされる。
【0128】
ケース2においてはこのような第1値Vx(p,q)および第2値Vy(p,q)を求め、(1)式により第1マップ値map1(p,q)を作成する。
【0129】
<ケース3>
ケース3の二次元座標(X1pq,Y1pq)については、
(X1pq,Y1pq)=(X12i,Y12j+1)
=(Xi,(Yj+Yj+1)/2)・・・(4−11)
と表わされる。
【0130】
ケース3において(2)式は、ケース1と同様、
Vx(p,q)=Vx(2i,2j+1)
=Si-1Xch(i−1)+SiXch(i)+Si+1Xch(i+1)
=0.5625Xch(i−1)+2.125Xch(i)+0.5625Xch(i+1)・・・・(2−11)
と表わされる。
【0131】
ケース3において(3)式は、
Vy(p,q)=Vy(2i,2j+1)
=TjYch(j)+Tj+1Ych(j+1)
=1.5Ych(j)+1.5Ych(j+1)・・・・(3−11)
と表わされる。
【0132】
ケース3においてはこのような第1値Vx(p,q)および第2値Vy(p,q)を求め、(1)式により第1マップ値map1(p,q)を作成する。
【0133】
<ケース4>
ケース4の二次元座標(X1pq,Y1pq)については、
(X1pq,Y1pq)=(X12i+1,Y12j+1)
=((Xi+Xi+1)/2,(Yj+Yj+1)/2)・・・(4−12)
と表わされる。
【0134】
ケース4において(2)式は、ケース2と同様、
Vx(p,q)=Vx(2i+1,2j+1)
=Si-1Xch(i−1)+SiXch(i)+Si+1Xch(i+1)+Si+2Xch(i+2)
=0.0625Xch(i−1)+1.5Xch(i)+1.5Xch(i+1)+0.0625Xch(i+2)・・・・(2−12)
と表わされる。
【0135】
ケース4において(3)式は、ケース3と同様、
Vy(p,q)=Vy(2i+1,2j+1)
=Tj-1Ych(j−1)+TjYch(j)+Ti+1Ych(j+1)+Tj+2Ych(j+2)
=0.0625Ych(j−1)+1.5Ych(j)+1.5Ych(j+1)+0.0625Ych(j+2)・・・・(3−12)
と表わされる。
【0136】
ケース4においてはこのような第1値Vx(p,q)および第2値Vy(p,q)を求め、(1)式により第1マップ値map1(p,q)を作成する。
【0137】
以上のケース1〜ケース4の場合の計算をすることにより、複数の第1マップ値map1(p,q)を作成することができる。
【0138】
図18に、導電体D1が接近した場合の、このようなパラメータを用いて作成した第1マップ値map1(p,q)を三次元的に示す。
【0139】
次に、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態は、第1接近座標(x1,y1)の求め方が、上述の方法と異なる。本実施形態では、第1接近座標のx1を計算するには、図15の最大第1マップ値map1(pmax,qmax)と同じ列に含まれる全ての第1マップ値map1(v,qmax)(v=2,3,・・・2n+1)を用いる。これらの複数の第1マップ値map1(p,q)の大きさを重みとして、加重平均計算することにより、第1接近座標のx1を計算できる。
【0140】
同様に、第1接近座標のy1を計算するには、最大第1マップ値map1(pmax,qmax)と同じ行に含まれる全ての第1マップ値map1(pmax,u)(u=2,3,・・・2m+1)を用いる。これらの複数の第1マップ値map1(p,q)の大きさを重みとして、加重平均計算することにより、第1接近座標のy1を計算できる。
【0141】
次に、本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態においては、図19に示すような2つの導電体D1,D2の接近位置を計算する。図20は、本実施形態の処理の流れを示すフローチャートである。同図に示すように、本実施形態は、第1接近座標(x1,y1)のみならず、導電体D2の接近位置である第2接近座標(x2,y2)を計算している(S207〜S211)点において、第1実施形態と異なる。以下、具体的に説明する。
【0142】
まず、第1接近座標(x1,y1)を計算するまでの工程(S201〜S205)は、図6に示す第1実施形態における工程(S101〜S105)と同様である。
【0143】
<準備処理(S206)>
次に、第2接近座標(x2,y2)を計算するための準備処理を行う(S206)。上述のように、複数の第1検出電極Exiから得られた複数の第1方向検出値Xch(i)、および、複数の第2検出電極Eyjから得られた複数の第2方向検出値Ych(j)が記憶部91に記憶されている。図21に示すように、準備処理として、第1接近座標(x1,y1)に最も近接する第1検出電極Exi(図19、図21ではEx8)から得られた第1方向検出値Xch(i)を減少させる。第2接近座標(x2,y2)を計算するうえで、導電体D1の第1方向検出値Xch(i)への接近による影響を減少させるためである。同様に、第1接近座標(x1,y1)に最も近接する第1検出電極Exiと隣り合う第1検出電極Exi-1から得られる第1方向検出値Xch(i−1)、および、第1検出電極Exi+1から得られる第1方向検出値Xch(i+1)、の2つの値を小さくする。
【0144】
同様に、準備処理として、第1接近座標(x1,y1)に最も近接する第2検出電極Eyj(図19、図21ではEy3)から得られた第2方向検出値Ych(j)を減少させる。また、第1接近座標(x1,y1)に最も近接する第2検出電極Eyjと隣り合う第2検出電極Eyj-1から得られる第2方向検出値Ych(j−1)、および、第2検出電極Eyj+1から得られる第2方向検出値Ych(j+1)、の2つの値を小さくする。たとえばこれらの第1方向検出値および第2方向検出値の値の各々を、2分の1にする。
【0145】
<第2マップ値の作成(S207)>
次に、上述の準備処理を終えた後に、第1方向検出値Xch(i)と第2方向検出値Ych(j)とを用いて、複数の第2マップ値map2(p,q)を作成する(S207)。以下に述べる第2マップ値map2(p,q)の求め方は、上述の準備処理を終えた後の第1方向検出値Xch(i)と第2方向検出値Ych(j)を用いる点を除いて、第1マップ値map1(p,q)の求め方と同様である。第2マップ値map2(p,q)も、第1方向検出値Xch(i)の少なくともいずれかと第2方向検出値Ych(j)の少なくともいずれかとを演算した値である。
【0146】
第2マップ値は、その第2マップ値を求めるのに用いた第1方向検出値Xch(i)の各々と正の相関を有する。すなわち、第2マップ値の値は、その第2マップ値を求めるのに用いた第1方向検出値Xch(i)のうちある特定の第1方向検出値Xch(i)以外の値、および、その第2マップ値を求めるのに用いた第2方向検出値Ych(j)の値が同一であれば、当該特定の第1方向検出値Xch(j)の値が大きいほど、大きい。また、第2マップ値は、その第2マップ値を求めるのに用いた第2方向検出値Ych(i)の各々と正の相関を有する。すなわち、第2マップ値の値は、その第2マップ値を求めるのに用いた第1方向検出値Xch(i)、および、その第2マップ値を求めるのに用いた第2方向検出値Ych(j)のうちある特定の第2方向検出値Ych(j)以外の値が同一であれば、当該特定の第2方向検出値Ych(j)の値が大きいほど、大きい。
【0147】
また、作成する第2マップ値の個数は、複数の第1方向検出値Xch(i)のいずれかと複数の第2方向検出値Ych(j)のいずれかとの組み合わせ方によって、自在に決定できる。以下では、2n×2m個の第2マップ値を作成する例を示す。
【0148】
第2マップ値map2(p,q)の各々に対応づけられている二次元座標(X2pq,Y2pq)は、図22等に示す所定面積の領域Rpqの重心座標である。領域Rpqの形状はどのような形状であってもよい。本実施形態においては、領域Rpqは、各第1検出電極Exiの菱形状の部分4個分の面積を有する。第2マップ値map2(p,q)は、
map2(p,q)=Wx(p,q)+Wy(p,q)・・・(6)
と定義される。
【0149】
Wx(p,q)は第3値であり、
Wx(p,q)=ΣSk・Xch(k)・・・(7)
と表わされる。
ここで、Skは、領域Rpqと第1検出電極Exkとが重なる領域の面積である(k=1,2,・・・,n)。すなわち第3値Wx(p,q)は、領域Rpqと第1検出電極Exkとが重なる領域のそれぞれの面積を重みとして、各第1方向検出値Xch(i)を加算した値である。
【0150】
同様に、Wy(p,q)は第4値であり、
Wy(p,q)=ΣTk・Ych(k)・・・(8)
と表わされる。
ここでTkは、Skと同様に、領域Rpqと第2検出電極Eykとが重なる領域の面積である(k=1,2,・・・,m)。すなわち第4値Wy(p,q)は、領域Rpqと第2検出電極Eykとが重なる領域のそれぞれの面積を重みとして、各第2方向検出値Ych(j)を加算した値である。
【0151】
そのため、第2マップ値map2(p,q)は、領域Rpqと第1検出電極Exkとが重なる領域のそれぞれの面積を重みとして、各第1方向検出値Xch(i)を加算した値と、領域Rpqと第2検出電極Eykとが重なる領域のそれぞれの面積を重みとして、各第2方向検出値Ych(j)を加算した値と、の和といえる。
【0152】
本実施形態において、第2マップ値map2(p,q)は、
(p,q)=(2i,2j)の場合・・・・・・・(ケース1、図22参照)、
(p,q)=(2i+1,2j)の場合・・・・・(ケース2、図23参照)、
(p,q)=(2i,2j+1)の場合・・・・・(ケース3、図24参照)、
(p,q)=(2i+1,2j+1)の場合・・・(ケース4、図25参照)、
の4つの場合(i=1,2,・・・n、j=1,2,・・・m)ごとに、求める際に用いるパラメータが異なる。以下具体的に説明する。
【0153】
<ケース1>
図22を用いて、ケース1について説明する。同図に示す通り、二次元座標(X2pq,Y2pq)については、
(X2pq,Y2pq)=(X22i,Y22j)
=(Xi,Yj)・・・(9−1)
と表わされる。
Xiは、第1検出電極Exiの方向xにおける中心位置である。同様に、Yjは、第2検出電極Eyjの方向yにおける中心位置である。
【0154】
ケース1において(7)式は、
Wx(p,q)=Wx(2i,2j)
=Si-1Xch(i−1)+SiXch(i)+Si+1Xch(i+1)
=0.3Xch(i−1)+1.4Xch(i)+0.3Xch(i+1)・・・・(7−1)
と表わされる。
Si-1,Si,Si+1については、第1検出電極Exiに含まれる菱形の電極一つの面積を1とし、Si-1=0.3,Si=1.4,Si+1=0.3としている。なお、Xch(0),Xch(n+1)等の実在しない値としては、適当な値を用いる。
【0155】
同様にケース1において(8)式は、
Wy(p,q)=Wy(2i,2j)
=Tj-1Ych(j−1)+TjYch(j)+Tj+1Ych(j+1)
=0.3Ych(j−1)+1.4Ych(j)+0.3Ych(j+1)・・・・(8−1)
と表わされる。
Tj-1,Tj,Tj+1については、第2検出電極Eyjに含まれる菱形の電極一つの面積を1とし、Tj-1=0.3,Tj=1.4,Tj+1=0.3としている。なお、Ych(0),Ych(m+1)等の実在しない値としては、適当な値を用いる。
【0156】
ケース1においてはこのような第3値Wx(p,q)および第4値Wy(p,q)を求め、(6)式により第2マップ値map2(p,q)を作成する。
【0157】
<ケース2>
図23は、ケース2について説明する図である。同図に示す通り、二次元座標(X2pq,Y2pq)については、
(X2pq,Y2pq)=(X22i+1,Y22j)
=((Xi+Xi+1)/2,Yj)・・・(9−2)
と表わされる。
Xi+1は、第1検出電極Exi+1の方向xにおける中心位置である。
【0158】
ケース2において(7)式は、
Wx(p,q)=Wx(2i+1,2j)
=SiXch(i)+Si+1Xch(i+1)
=1.0Xch(i)+1.0Xch(i+1)・・・・(7−2)
と表わされる。
Si,Si+1については、第1検出電極Exiに含まれる菱形の電極一つの面積を1とし、Si=1.0,Si+1=1.0としている。
【0159】
ケース2において(8)式は、ケース1と同様、
Wy(p,q)=Wy(2i+1,2j)
=Tj-1Ych(j−1)+TjYch(j)+Tj+1Ych(j+1)
=0.3Ych(j−1)+1.4Ych(j)+0.3Ych(j+1)・・・・(8−2)
と表わされる。
【0160】
ケース2においてはこのような第3値Wx(p,q)および第4値Wy(p,q)を求め、(6)式により第2マップ値map2(p,q)を作成する。
【0161】
<ケース3>
図24は、ケース3について説明する図である。同図に示す通り、二次元座標(X2pq,Y2pq)については、
(X2pq,Y2pq)=(X22i,Y22j+1)
=(Xi,(Yj+Yj+1)/2)・・・(9−3)
と表わされる。
Yi+1は、第2検出電極Eyjの方向yにおける中心位置である。
【0162】
ケース3において(7)式は、ケース1と同様、
Wx(p,q)=Wx(2i,2j+1)
=Si-1Xch(i−1)+SiXch(i)+Si+1Xch(i+1)
=0.3Xch(i−1)+1.4Xch(i)+0.3Xch(i+1)・・・・(7−3)
と表わされる。
【0163】
ケース3において(8)式は、
Wy(p,q)=Wy(2i,2j+1)
=TjYch(j)+Tj+1Ych(j+1)
=1.0Ych(j)+1.0Ych(j+1)・・・・(8−3)
と表わされる。
Tj,Tj+1については、第2検出電極Eyjに含まれる菱形の電極一つの面積を1とし、Tj=1.0,Tj+1=1.0としている。
【0164】
ケース3においてはこのような第3値Wx(p,q)および第4値Wy(p,q)を求め、(6)式により第2マップ値map2(p,q)を作成する。
【0165】
<ケース4>
図25は、ケース4について説明する図である。同図に示す通り、二次元座標(X2pq,Y2pq)については、
(X2pq,Y2pq)=(X22i+1,Y22j+1)
=((Xi+Xi+1)/2,(Yj+Yj+1)/2)・・・(9−4)
と表わされる。
【0166】
ケース4において(7)式は、ケース2と同様、
Wx(p,q)=Wx(2i+1,2j+1)
=SiXch(i)+Si+1Xch(i+1)
=1.0Xch(i)+1.0Xch(i+1)・・・・(7−4)
と表わされる。
【0167】
ケース4において(8)式は、ケース3と同様、
Wy(p,q)=Wy(2i+1,2j+1)
=TjYch(j)+Tj+1Ych(j+1)
=1.0Ych(j)+1.0Ych(j+1)・・・・(8−4)
と表わされる。
【0168】
ケース4においてはこのような第3値Wx(p,q)および第4値Wy(p,q)を求め、(6)式により第2マップ値map2(p,q)を作成する。
【0169】
以上のケース1〜ケース4の場合の計算をすることにより、複数の第2マップ値map2(p,q)を作成することができる。
【0170】
i=1,2,・・・,nであることを考慮すると、pは、2から2n+1までの2n個の整数である。一方、j=1,2,・・・,mであることを考慮すると、qは、2から2m+1までの2m個の整数である。そこで、第2マップ値map2(p,q)は、2n×2m行列T2の要素と考えることができる。ここで、行列T2の要素βrsを、
βrs=map2(r+1,s+1)・・・(10)
(r=1,2,・・・2n、s=1,2,・・・2m)
と定義する(図26参照)。
【0171】
また、式(9−1)、式(9−2)、式(9−3)、式(9−4)から、複数の第2マップ値map2(p,q)におけるpの値が互いに同一であれば、それらの第2マップ値map2(p,q)に対応づけられた二次元座標のX2pqの値は同一であることが分かる。そのため、行列T2において行番号が同一であれば、行列要素(第2マップ値map2(p,q))に対応づけられた二次元座標のX2pqの値は同一である。たとえば、3行目の成分のpは4であり、(9−1)式、(9−3)式によると、X2pq=X2である。
【0172】
同様に、複数の第2マップ値map2(p,q)におけるqの値が互いに同一であれば、それらの第2マップ値map2(p,q)に対応づけられた二次元座標のY2pqの値は同一であることが分かる。そのため、行列T2において列番号が同一であれば、行列要素(第2マップ値map2(p,q))に対応づけられた二次元座標のY2pqの値は同一である。たとえば、2列目の成分のqは3であり、(9−3)式、(9−4)式によると、Y2pq=(Y1+Y2)/2である。
【0173】
また、式(9−1)、式(9−2)、式(9−3)、式(9−4)によると、pの値が大きくなるほどX2pqの値が大きくなっており、且つ、qの値が大きくなるほどY2pq大きくなっている。そのため、行列T2においては、行番号が増加するにつれ当該行の成分(第2マップ値map2(p,q))に対応づけられた二次元座標のX2pqの値は、単調に増加する。また同様に、行列T2においては、列番号増加するにつれ当該列の成分(第2マップ値map2(p,q))に対応づけられた二次元座標のY2pqの値は、単調に増加する。
【0174】
<導電体D2の接近の有無を判断(S208)>
次に、図27を参照しつつ、上述のプロセスにより作成された第2マップ値map2(p,q)を用いて、導電体D2の接近の有無を判断する工程(S208)について説明する。まず、上記の処理において求められた第2マップ値map2(p,q)のうち、最も大きい最大第2マップ値map2(pmax,qmax)を抽出する(pmaxは、本実施形態においては第2マップ値が最大値をとるときのpの値である。同様に、qmaxは、本実施形態においては第2マップ値が最大値をとるときのqの値である)。次に、計算部92は、この最大第2マップ値map2(pmax,qmax)の値が所定のしきい値より大きいか否かを判断する。最大第2マップ値map2(pmax,qmax)が、所定のしきい値以下である場合(S208:NO)、計算部92は、導電体D2が接近していないと判断する(S209)。
【0175】
導電体D2が接近していないと判断した場合、計算部92は、導電体D2が接近していないとする信号(たとえば第2接近座標(x2,y2)が(0,0)であるとする信号)と、既に計算した第1接近座標(x1,y1)とを、ICチップ9の外部に出力する(S211)。
【0176】
<第2接近座標(x2,y2)の計算(S210)>
一方、最大第2マップ値map2(pmax,qmax)が所定のしきい値より大きい場合(S208:YES)、計算部92は導電体D2が接近していると判断する。この場合、計算部92は、第2接近座標(x2,y2)の値を計算する(S210)。本実施形態において、第2接近座標(x2,y2)のx2を計算するには、最大第2マップ値map2(pmax,qmax)と、この最大第2マップ値map2(pmax,qmax)と行番号が一つ異なり且つ互いに同一の列に含まれる2つの隣接第2マップ値map2(pmax−1,u)、map2(pmax+1,u)と、を用いる(ここでu=2,3,・・・2m+1)。以下では一例として、u=qmaxである場合、すなわち、これらの2つの隣接第2マップ値が最大第2マップ値と同一の列に含まれる場合について説明する。
【0177】
図28は、本実施形態における第2接近座標(x2,y2)のx2の値の求め方に用いるグラフである。同図に示すグラフの横軸は、隣接第2マップ値map2(pmax−1,qmax)、最大第2マップ値map2(pmax,qmax)、および隣接第2マップ値map2(pmax+1,qmax)の各々に対応づけられている二次元座標のX2pqの値である。同グラフの縦軸は、各第2マップ値の値である。第1近接座標のx2の値を求めるには、同グラフの3つの第2マップ値を通る二次曲線を求める。そして、当該二次曲線の頂点の座標もしくは軸を求めるなどしてx2の値を計算する。
【0178】
本実施形態において、第2接近座標(x2,y2)のy2を計算するには、x2を計算する場合と同様に、最大第2マップ値map2(pmax,qmax)と、この最大第2マップ値map2(pmax,qmax)と列番号が一つ異なる行に含まれる2つの隣接第2マップ値map2(v,qmax−1)、map2(v,qmax+1)と、を用いる(ここでv=2,3,・・・2n+1)。これら2つの隣接第2マップ値は、互いに同一の列に含まれる。y2の値を計算する方法は、x2の値を計算するのと同様であるから説明を省略する。
【0179】
このようにして、計算部92は、導電体D2の接近位置を示す第2接近座標(x2,y2)を計算する。そして、ICチップ9は、計算した第2接近座標(x2,y2)と、既に計算した第1接近座標(x1,y1)とに関する信号を外部に出力する(S211)。
【0180】
以上の流れで、第1接近座標(x1,y1)および第2接近座標(x2,y2)を計算できる。
【0181】
次に本実施形態の作用について説明する。
【0182】
本実施形態においても、第1実施形態と同様に、導電体D2が接近していないにもかかわらず導電体D2が接近したと判断してしまう誤作動を、抑制することができる。
【0183】
本実施形態においては、第2マップ値map2(p,q)を用いて、第2接近座標(x2,y2)を計算している。第2マップ値map2(p,q)を作成できる数は、第1検出電極Exiの数、第2検出電極Eyjの数に制限されない。そのため、第2マップ値map2(p,q)を多く作成することで、より正確な第2接近座標(x2,y2)を計算することができる。
【0184】
本実施形態においては、第2接近座標(x2,y2)を計算するために、図28に示した二次曲線の頂点の座標もしくは軸を求めている。発明者らによると、このような計算方法は第2接近座標(x2,y2)を正確に求めるのに適することがわかった。
【0185】
次に、本発明の第6実施形態について説明する。本実施形態は、第1マップ値map1(p,q)が、第1値Vx(p,q)と第2値Vy(p,q)との和を累乗した値である点において、第1実施形態と相違する。
【0186】
すなわち、本実施形態において第1マップ値map1(p,q)は、
map1(p,q)=(Vx(p,q)+Vy(p,q))v・・・(1)’
(v=2,3,4・・・)
と定義される。
【0187】
第1値Vx(p,q)および第2値Vy(p,q)の求め方や、工程S103〜S106は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0188】
本実施形態によると、図29,図30に示す導電体D1の透過板2に対する接触面積が第1実施形態における接触面積よりも小さい場合であっても、導電体D1の接近位置を正確に計算できる。導電体D1の透過板2に対する接触面積が小さいといったことは、たとえば導電体D1の大きさが小さい場合(導電体D1が子供の指である場合、図29,図30参照)や、導電体D1たる指を透過板2に十分に押し当てていない場合に生じる。また本実施形態によると、ノイズの影響により、常時、複数の第1方向検出値Xch(i)がわずかに値を示している場合や、常時、複数の第2方向検出値Ych(j)がわずかに値を示している場合であっても、導電体D1の接近位置を正確に計算できる。その理由は以下のとおりである。
【0189】
導電体D1の透過板2に対する接触面積が小さい場合に導電体D1の接近位置を正確に計算するためには、ノイズに由来する第1方向検出値Xch(i)や第2方向検出値Ych(j)を用いて求められる第1マップ値map1(p,q)に対する、導電体D1が第1検出電極Exiおよび第2検出電極Eyjに接近した場合に大きくなる第1マップ値map1(p,q)、の比Raが大きいことが望ましい。また、ノイズの影響により、常時、複数の第1方向検出値Xch(i)がわずかに値を示している場合や、常時、複数の第2方向検出値Ych(j)がわずかに値を示している場合に、導電体D1の接近位置を正確に計算するためにも、比Raが大きいことが望ましい。比Raが大きいと、導電体D1の透過板2に対する接触面積が小さい場合であっても導電体D1が接近したとより確実に判断でき、且つ、ノイズの影響があっても導電体D1が接近したと誤判断しにくいしきい値を設定できるからである。
【0190】
また、本実施形態においては、指数vが1より大きいため、v=1である場合と比較して、比Raが大きくなる。このことは、図31〜図33を参照することにより理解できる。
【0191】
図31に、図30に示すように導電体D1が透過板2に接近した場合の、第1方向検出値Xch(i)および第2方向検出値Ych(j)ごとの各値を三次元の棒グラフで示している。
【0192】
第1検出電極Ex1〜Exnのうち、図30に示す導電体D1の透過板2に対する接触領域の大部分と対向し合うのは、第1検出電極Ex4である。そのため、図31では、第1方向検出値Xch(4)が他の第1方向検出値Xch(i)より大きい値を示している。導電体D1の透過板2に対する接触面積は第1実施形態における接触面積より小さいから、第1検出電極Ex4と対向する面積も小さい。そのため、第1方向検出値Xch(4)の値は第1実施形態における値より小さい。第1検出電極Ex1〜Exnのうち電極Ex3は、図30に示す導電体D1の透過板2に対する接触領域とわずかに対向し合う。そのため、図31では、第1方向検出値Xch(3)がわずかに値を示している。また、本実施形態では、ノイズの影響により、常時、複数の第1方向検出値Xch(i)がわずかな値を示す場合について述べる。図31では、ノイズの影響により、Xch(1),Xch(6),Xch(9)がわずかに値を示している。
【0193】
第2検出電極Ey1〜Eymのうち、図30に示す導電体D1の透過板2に対する接触領域と対向し合うのは、第2検出電極Ey10のみである。そのため、図31では、第2方向検出値Ych(10)が他の第2方向検出値Ych(j)より大きい値を示している。導電体D1の透過板2に対する接触面積は第1実施形態における接触面積より小さいから、第2検出電極Ey10と対向する面積も小さい。そのため、第2方向検出値Ych(10)の値は第1実施形態におけるものより小さい。また、本実施形態では、ノイズの影響により、常時、複数の第2方向検出値Ych(j)がわずかな値を示す場合について述べる。図31では、ノイズの影響により、Ych(3),Ych(6)がわずかに値を示している。
【0194】
図32に、図31に示す第1方向検出値Xch(i)および第2方向検出値Ych(j)を用い、(1)’式でv=1とした場合、すなわち第1実施形態で述べた方法で求めた場合の第1マップ値map1(p,q)を三次元で示している。図33に、図31に示す第1方向検出値Xch(i)および第2方向検出値Ych(j)を用い、(1)’式でv=3とした場合の第1マップ値map1(p,q)を三次元で示している。
【0195】
図32に示すように、導電体D1の透過板2に対する接触面積が小さいため、同図にてピークを示す第1マップ値map1(p,q)(たとえば、map1(8,20))は、他の第1マップ値map1(p,q)よりもわずかに大きい程度である。また、ノイズに由来する第1方向検出値Xch(i)(たとえばXch(6))や第2方向検出値Ych(j)(たとえばYch(6))を用いて求められる第1マップ値map1(p,q)(一例を図32にてRαで示す)が、比較的大きい値を示している。そのため、図32に示す場合は、比Raの値は比較的小さい。
【0196】
一方、図33では、図32に示す場合と比較して、ピークを示す第1マップ値map1(p,q)(たとえば、map1(8,20))が、他の第1マップ値map1(p,q)よりも極端に大きくなっている。また、図33では、ノイズに由来する第1方向検出値Xch(i)(たとえばXch(6))や第2方向検出値Ych(j)(たとえばYch(6))を用いて求められる第1マップ値map1(p,q)(一例を図33にてRαで示す)が、比較的小さくなっている。そのため、図33に示す場合は、比Raの値は比較的大きい。
【0197】
以上より、本実施形態では、v=1である場合と比較して、比Raが大きくなることがわかる。
【0198】
したがって、本実施形態によれば、導電体D1の透過板2に対する接触面積が第1実施形態における面積より小さい場合であっても、導電体D1の接近位置を正確に計算できる。また、本実施形態によれば、ノイズの影響により、常時、複数の第1方向検出値Xch(i)がわずかに値を示している場合や、常時、複数の第2方向検出値Ych(j)がわずかに値を示している場合であっても、導電体D1の接近位置を正確に計算できる。
【0199】
なお、本実施形態と同様に、第4実施形態において、第1マップ値map1(p,q)を、
map1(p,q)=(Vx(p,q)+Vy(p,q))v・・・(1)’
(v=2,3,4・・・)
と定義して、計算してもよい。
【0200】
さらに、第2マップ値map2(p,q)を、
map2(p,q)=(Wx(p,q)+Wy(p,q))w・・・(6)’
(w=2,3,4・・・)
と定義して計算してもよい。
また、v=wとして計算してもよい。
【0201】
このような構成によっても、上述のように、導電体D1,D2の接近位置をそれぞれ、正確に計算できる。
【0202】
本発明の範囲は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。たとえば、第1マップ値は、第1値と第2値との和である例を示したが、第1値と第2値とを掛け合わせた第1マップ値を所定のしきい値と比較することにより、導電体の接近の有無を判断してもよい。
【0203】
上記の実施形態においては、第1検出電極と第2検出電極とが異なる基板上に形成されているが、これらの第1検出電極および第2検出電極は単一基板上に形成されていてもよい。
【0204】
本発明にかかる入力装置は、携帯電話機に用いられるものに限られない。たとえば、デジタルカメラ、パーソナルナビゲーションデバイス、自動預入支払機等、タッチパネルを用いる機器において、本発明の入力装置を利用することができる。
【0205】
第1マップ値map1(p,q)を作成する工程(S102)と、導電体D1の接近の有無を判断する工程(S103)との間に、ノイズの影響によりわずかに値を示す第1マップ値map1(p,q)を0にする計算を行ってもよい。このような計算は、たとえば、ある値以下の第1マップ値map1(p,q)を0とすることにより行われる。
【符号の説明】
【0206】
A1 入力装置
1,2 透過板
3,3’ 配線
4 樹脂層
5 スペーサ
6 異方性導電樹脂部
7 シールド層
8 フレキシブル基板
9 ICチップ
91 記憶部
92 計算部
Exi 第1検出電極
Eyj 第2検出電極
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量式入力装置および静電容量式入力装置における導電体の接近位置の計算方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図34は、従来の入力装置の一例を示している。図35は、図34のXXXV−XXXV線に沿った要部平面図である。これらの図に示された入力装置9Xは、液晶表示パネル9Yと重ねて用いられることにより、いわゆるタッチパネルを構成している。このタッチパネルは、たとえば携帯電話機9Zの表示手段および操作手段として用いられる。
【0003】
入力装置9Xは、透過板91(図35では省略)、透過板92、検出電極9a,9b、配線931、配線932(図34では省略)、フレキシブル基板971、および、ICチップ972、を備える。透過板91,92は、互いに平行に配置されている。検出電極9a,9bはそれぞれ、透過板91,92に形成されている。検出電極9aはいずれも、方向yに沿って延びており、互いに平行に配置されている。検出電極9bはいずれも、方向xに沿って延びており、互いに平行に配置されている。配線931は、検出電極9aと各別に接続している。配線932は、検出電極9bと各別に接続している。フレキシブル基板971は、透過板92の端部に設けられている。
【0004】
ICチップ972は、フレキシブル基板971に設けられている。図36に、検出電極9aとICチップ972との接続状態を模式的に示している。ICチップ972は、複数の入力端子chを備えている。入力端子chはそれぞれ、配線931と各別に接続している。これにより、入力端子chはそれぞれ、検出電極9aと各別に接続している。図示していないが、検出電極9bについても同様である。
【0005】
図34に示すように、携帯電話機9Zは、筺体の一部を構成する透明カバー98を有している。入力装置9Xは、透明接着剤によって透明カバー98に接合されている。入力装置9Xの図34下方には、液晶表示パネル9Yが配置されている。携帯電話機9Zの使用者が携帯電話機9Zを操作するときに、指などの導電体9Dを透明カバー98に対して接近させ、あるいは接触させることにより、導電体9Dと検出電極9a,9bとの間に静電容量が生じる。図36には、導電体9Dを透明カバー98に接近もしくは接触させたときの、導電体9Dと検出電極9aと間の静電容量の変化に対応する値(背景技術の項では便宜上、静電容量の変化の値とする)を表すグラフを示している。静電容量が増加した入力端子chに接続している検出電極9aを特定することにより、導電体9Dが平面視においてどの位置に接近してきたかを検出することができる。
【0006】
このような入力装置9Xにおいては、外来のノイズの影響により、導電体9Dが接近していない場合であっても検出電極9aや検出電極9bの静電容量が微小に変化することがある。そのため、ICチップ972は、方向x,yにおける導電体9Dの接近位置に関する情報を得る前もしくは後に、検出電極9aや検出電極9bの静電容量の増加分が所定のしきい値を超えているか否かを判断していた。検出電極9aの静電容量の増加分が所定のしきい値を超えていない場合、ICチップ972は、導電体9Dが検出電極9aや検出電極9bに接近していないと判断する。このとき、ICチップ972は、たとえ検出電極9aや検出電極9bの静電容量が変化した場合であっても導電体9Dの接近位置に関する信号を外部に出力せず、導電体9Dが接近していないとする信号を外部に出力する。一方、検出電極9aや検出電極9bの静電容量の増加分が所定のしきい値を超えている場合、ICチップ972は導電体9Dの接近位置に関する情報を外部に出力する。
【0007】
しかしながら、たとえば、このような入力装置9Xを備える携帯電話機9Zの透明カバー98が厚い場合、導電体9Dと検出電極9aや検出電極9bとの最短の離隔距離が大きくなる。そうすると、導電体9Dが検出電極9aや検出電極9bに接近しても、検出電極9aや検出電極9bの静電容量の増加量が減少する。そのため、上記のしきい値として設定すべき値を小さくせざるをえなくなる。設定するしきい値を小さくすると、外来のノイズに影響され検出電極9aや検出電極9bの静電容量が変化した場合に、検出電極9aや検出電極9bの静電容量の増加分が当該しきい値を超えてしまうおそれがある。このようなことでは、導電体9Dが検出電極9aや検出電極9bに接近していないにもかかわららず導電体9Dが検出電極9aや検出電極9bに接近したと判断してしまう不具合を招来する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−33777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、誤作動の発生を抑制することができる静電容量式入力装置、および静電容量式入力装置における導電体の接近位置の計算方法を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の側面によって提供される静電容量式入力装置は、第1方向に配列され且つ上記第1方向と交差する第2方向に延びる複数の第1検出電極と、上記第2方向に配列され且つ上記第1方向に延びる複数の第2検出電極と、導電体と各第1検出電極との間の静電容量の変化に伴い各第1検出電極を介して得られる値をそれぞれ複数の第1方向検出値として記憶し、且つ、上記導電体と各第2検出電極との間の静電容量の変化に伴い各第2検出電極を介して得られる値をそれぞれ複数の第2方向検出値として記憶する記憶手段と、計算部と、を備え、上記計算部は、上記複数の第1方向検出値の少なくともいずれかについて演算した第1値と、上記複数の第2方向検出値の少なくともいずれかについて演算した第2値とを演算した第1マップ値を複数作成する処理と、複数の上記第1マップ値を用いて上記導電体の接近の有無を判断する処理とを実行する。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、複数の上記第1マップ値は、複数の上記第1マップ値のうちで最も大きい最大第1マップ値を含み、上記導電体の接近の有無を判断する処理においては、上記最大第1マップ値と所定のしきい値とを比較する。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第1値は、上記第1検出電極と所定領域とが重なる面積を重みとして、上記複数の第1方向検出値の少なくともいずれかについて加算した値であり、上記第2値は、上記第2検出電極と上記所定領域とが重なる面積を重みとして、上記複数の第2方向検出値の少なくともいずれかについて加算した値である。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第1マップ値は、上記第1値と上記第2値との和である。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第1マップ値は、上記第1値と上記第2値との和を累乗した値である。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、各第1マップ値は、上記第1方向における一つの座標値と上記第2方向における一つの座標値とを一組含む二次元座標に対応付けられており、上記計算部は、複数の上記第1マップ値を用いて上記第1方向と上記第2方向とにおける上記導電体の第1接近位置を計算する処理を更に実行する。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第1接近位置を計算する処理においては、複数の上記第1マップ値のうちの一部のみを用いて上記第1接近位置を計算する。
【0017】
本発明の好ましい実施の形態においては、各第1マップ値は、行成分がそれぞれ上記第1方向における一つの座標値に対応づけられ且つ列成分がそれぞれ上記第2方向における一つの座標値に対応づけられた第1行列の複数の要素のいずれかであり、上記第1行列においては、行番号が増加するにつれ当該行成分に対応づけられた上記第1方向における座標値が単調に変化し、且つ、列番号が増加するにつれ当該列成分に対応づけられた上記第2方向における座標値が単調に変化し、複数の上記第1マップ値は、複数の上記第1マップ値のうちで最も大きい最大第1マップ値と、当該最大第1マップ値と行番号が一つ異なり且つ互いに列番号が同一である2つの隣接第1マップ値とを含み、上記第1接近位置を計算する処理においては、上記最大第1マップ値と上記2つの隣接第1マップ値とを用い、上記第1接近位置を計算する。
【0018】
本発明の好ましい実施の形態においては、複数の上記第1検出電極は、上記複数の第1検出電極のうち上記第1接近位置に最も近接する第1近接検出電極を含み、複数の上記第2検出電極は、上記複数の第2検出電極のうち上記第1接近位置に最も近接する第2近接検出電極を含み、上記計算部は、第2接近位置計算の準備処理を実行し、当該準備処理は、上記記憶手段における、上記複数の第1方向検出値のうち上記第1近接検出電極に対応する値を小さく変換し、且つ、上記記憶手段における、上記複数の第2方向検出値のうち上記第2近接検出電極に対応する値を小さく変換するものである。
【0019】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記計算部は、上記準備処理が行われた後に、上記複数の第1方向検出値の少なくともいずれかについて演算した第3値と、上記複数の第2方向検出値の少なくともいずれかについて演算した第4値とを演算した第2マップ値を複数作成する処理と、複数の上記第2マップ値を用いて上記導電体の接近の有無を判断する処理とを更に実行する。
【0020】
本発明の好ましい実施の形態においては、各第2マップ値は、上記第1方向における一つの座標値と上記第2方向における座標値とを一組含む二次元座標に対応付けられており、上記計算部は、複数の上記第2マップ値を用いて上記導電体の上記第1方向および上記第2方向における第2接近位置を計算する処理を更に実行する。
【0021】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第2接近位置を計算する処理においては、複数の上記第2マップ値のうちの一部のみを用いて上記第2接近位置を計算する。
【0022】
本発明の好ましい実施の形態においては、各第2マップ値は、行成分がそれぞれ上記第1方向における一つの座標値に対応づけられ且つ列成分がそれぞれ上記第2方向における一つの座標値に対応づけられた第2行列の複数の要素のいずれかであり、上記第2行列においては、行番号が増加するにつれ当該行成分に対応づけられた上記第1方向における座標値が単調に変化し、且つ、列番号が増加するにつれ当該列成分に対応づけられた上記第2方向における座標値が単調に変化し、複数の上記第2マップ値は、複数の上記第2マップ値のうちで最も大きい最大第2マップ値と、当該最大第2マップ値と列番号が一つ異なり且つ互いに行番号が同一である2つの隣接第2マップ値とを含み、上記第2接近位置を計算する処理においては、上記最大第2マップ値と上記2つの隣接第2マップ値とを用い、上記第2接近位置を計算する。
【0023】
本発明の第2の側面によって提供される静電容量式入力装置における導電体の接近位置の計算方法は、第1方向に配列され且つ上記第1方向と交差する第2方向に延びる複数の第1検出電極と、上記第2方向に配列され且つ上記第1方向に延びる複数の第2検出電極とを備える静電容量式入力装置における導電体の接近位置の計算方法であって、上記導電体と各第1検出電極との静電容量の変化に伴い各第1検出電極を介して得られる値をそれぞれ複数の第1方向検出値として記憶手段に記憶し、上記導電体と各第2検出電極との静電容量の変化に伴い各第2検出電極を介して得られる値をそれぞれ複数の第2方向検出値として上記記憶手段に記憶し、上記複数の第1方向検出値の少なくともいずれかについて演算した第1値と、上記複数の第2方向検出値の少なくともいずれかについて演算した第2値とを演算した第1マップ値を複数作成し、複数の上記第1マップ値を用いて上記導電体の接近の有無を判断する各工程を備える。
【0024】
本発明の好ましい実施の形態においては、複数の上記第1マップ値は、複数の上記第1マップ値のうちで最も大きい最大第1マップ値を含み、上記判断する工程においては、上記最大第1マップ値と所定のしきい値とを比較する。
【0025】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第1値は、上記第1検出電極と所定領域とが重なる面積を重みとして、上記複数の第1方向検出値の少なくともいずれかについて加算した値であり、上記第2値は、上記第2検出電極と上記所定領域とが重なる面積を重みとして、上記複数の第2方向検出値の少なくともいずれかについて加算した値である。
【0026】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第1マップ値は、上記第1値と上記第2値との和である。
【0027】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第1マップ値は、上記第1値と上記第2値との和を累乗した値である。
【0028】
本発明の好ましい実施の形態においては、各第1マップ値は、上記第1方向における一つの座標値と上記第2方向における一つの座標値とを一組含む二次元座標に対応付けられており、複数の上記第1マップ値を用いて上記第1方向と上記第2方向とにおける上記導電体の第1接近位置を計算する工程を更に備える。
【0029】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第1接近位置を計算する工程においては、複数の上記第1マップ値のうちの一部のみを用いて上記第1接近位置を計算する。
【0030】
本発明の好ましい実施の形態においては、各第1マップ値は、行成分がそれぞれ上記第1方向における一つの座標値に対応づけられ且つ列成分がそれぞれ上記第2方向における一つの座標値に対応づけられた第1行列の複数の要素のいずれかであり、上記第1行列においては、行番号が増加するにつれ当該行成分に対応づけられた上記第1方向における座標値が単調に変化し、且つ、列番号が増加するにつれ当該列成分に対応づけられた上記第2方向における座標値が単調に変化し、複数の上記第1マップ値は、複数の上記第1マップ値のうちで最も大きい最大第1マップ値と、当該最大第1マップ値と行番号が一つ異なり且つ互いに列番号が同一である2つの隣接第1マップ値とを含み、上記第1接近位置を計算する工程においては、上記最大第1マップ値と上記2つの隣接第1マップ値とを用い、上記第1接近位置を計算する。
【0031】
本発明の好ましい実施の形態においては、複数の上記第1検出電極は、上記複数の第1検出電極のうち上記第1接近位置に最も近接する第1近接検出電極を含み、複数の上記第2検出電極は、上記複数の第2検出電極のうち上記第1接近位置に最も近接する第2近接検出電極を含み、第2接近位置計算の準備を行う工程を更に備え、当該準備を行う工程は、上記記憶手段における、上記複数の第1方向検出値のうち上記第1近接検出電極に対応する値を小さく変換し、且つ、上記記憶手段における、上記複数の第2方向検出値のうち上記第2近接検出電極に対応する値を小さく変換するものである。
【0032】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記準備を行う工程の後に、上記複数の第1方向検出値の少なくともいずれかについて演算した第3値と、複数の第2方向検出値の少なくともいずれかについて演算した第4値とを演算した第2マップ値を複数作成する工程と、複数の上記第2マップ値を用いて上記導電体の接近の有無を判断する工程とを更に備える。
【0033】
本発明の好ましい実施の形態においては、各第2マップ値は、上記第1方向における一つの座標値と上記第2方向における座標値とを一組含む二次元座標に対応付けられており、複数の上記第2マップ値を用いて上記導電体の上記第1方向および上記第2方向における第2接近位置を計算する工程を更に備える。
【0034】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第2接近位置を計算する工程においては、複数の上記第2マップ値のうちの一部のみを用いて上記第2接近位置を計算する。
【0035】
本発明の好ましい実施の形態においては、各第2マップ値は、行成分がそれぞれ上記第1方向における一つの座標値に対応づけられ且つ列成分がそれぞれ上記第2方向における一つの座標値に対応づけられた第2行列の複数の要素のいずれかであり、上記第2行列においては、行番号が増加するにつれ当該行成分に対応づけられた上記第1方向における座標値が単調に変化し、且つ、列番号が増加するにつれ当該列成分に対応づけられた上記第2方向における座標値が単調に変化し、複数の上記第2マップ値は、複数の上記第2マップ値のうちで最も大きい最大第2マップ値と、当該最大第2マップ値と列番号が一つ異なり且つ互いに行番号が同一である2つの隣接第2マップ値とを含み、上記第2接近位置を計算する工程においては、上記最大第2マップ値と上記2つの隣接第2マップ値とを用い、上記第2接近位置を計算する。
【0036】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる入力装置の断面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う入力装置の要部平面図である。
【図3】図2に示す入力装置の第1検出電極を主に示す平面図である。
【図4】図2に示す入力装置の第2検出電極を主に示す平面図である。
【図5】本実施形態のICチップにおける機能ブロック図である。
【図6】本実施形態における処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】各第1方向検出値および各第2方向検出値の各値の一例を示すグラフである。
【図8】図7に示した各値を、三次元で示すグラフである。
【図9】図2に示す入力装置の拡大平面図である。
【図10】本実施形態のケース2について説明する図である。
【図11】本実施形態のケース3について説明する図である。
【図12】本実施形態のケース4について説明する図である。
【図13】本実施形態の第1マップ値を要素とする行列について説明する図である。
【図14】本実施形態の第1マップ値を三次元で示す図である。
【図15】本実施形態における導電体の接近の有無を判断する工程を説明するための図である。
【図16】本実施形態における第1接近座標の値の求め方の説明に用いるグラフである。
【図17】本発明の第2実施形態の第1マップ値を三次元で示す図である。
【図18】本発明の第3実施形態の第1マップ値を三次元で示す図である。
【図19】本発明の第5実施形態を説明するための入力装置の要部平面図である。
【図20】本実施形態の処理の流れを示すフローチャートである。
【図21】本実施形態の準備処理を説明するための図である。
【図22】本実施形態のケース1について説明する図である。
【図23】本実施形態のケース2について説明する図である。
【図24】本実施形態のケース3について説明する図である。
【図25】本実施形態のケース4について説明する図である。
【図26】本実施形態の第2マップ値を要素とする行列について説明する図である。
【図27】本実施形態における導電体の接近の有無を判断する工程を説明するための図である。
【図28】本実施形態における第2接近座標の値の求め方に用いるグラフである。
【図29】本発明の第6実施形態を説明するための入力装置の要部断面図である。
【図30】本発明の第6実施形態を説明するための入力装置の要部平面図である。
【図31】本実施形態の各第1方向検出値および各第2方向検出値の各値の一例を示すグラフである。
【図32】図31に示す第1方向検出値および第2方向検出値の各値と、第1実施形態における式とを用いて、作成した第1マップ値である。
【図33】本発明の第6実施形態の第1マップ値を三次元で示す図である。
【図34】従来の入力装置の一例を示す断面図である。
【図35】図34のXXXV−XXXV線に沿う要部平面図である。
【図36】検出電極とICチップとの接続状態を概念的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0039】
図1および図2は、本発明の第1実施形態にかかる入力装置A1を表す。これらの図に示す入力装置A1は、透過板1,2と、x方向位置検出用の複数の第1検出電極Exi(i=1,2,・・・,n)と、y方向位置検出用の複数の第2検出電極Eyj(j=1,2,・・・,m)と、配線3,3’と、樹脂層4と、スペーサ5と、異方性導電樹脂部6と、シールド層7と、フレキシブル基板8と、ICチップ9とを備える。図1では、配線3,3’は省略している。図2では、透過板2、樹脂層4、スペーサ5、異方性導電樹脂部6、シールド層7、フレキシブル基板8、およびICチップ9を省略している。入力装置A1は、導電体D1の接近位置を検出できるように構成されている。入力装置A1は、例えば、液晶表示パネルP1の画像表示面の側に配置されて、いわゆるタッチパネル装置を構成する。図3は、図2に示す第1検出電極Exiを主に示す平面図である。図4は、図2に示す第2検出電極Eyjを主に示す平面図である。
【0040】
透過板1,2は、それぞれ、透明樹脂基板または透明ガラス基板である。透明樹脂基板の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、もしくはポリカーボネート(PC)が挙げられる。
【0041】
x方向位置検出用の複数の第1検出電極Exi(i=1,2,・・・,n)は、透過板1の図1上面にパターン形成されたものである。複数の第1検出電極Exiは、それぞれが方向yに延びて相互に平行であり、且つ、方向x(方向yに直交する)において相互に離間して配列されている。本実施形態においては、第1検出電極Exiの本数(即ちn)は、10である。各第1検出電極Exiは、例えば、ITO,IZOなどの透明な導電性材料よりなる。図3に示すように、各第1検出電極Exiは、複数の菱形状の部分と、これらの菱形状の部分をつなぐ線状の部分とを有する。この菱形状の部分の形状は、丸形状、多角形状、またはその他の形状であってもよい。
【0042】
y方向位置検出用の複数の第2検出電極Eyj(j=1,2,・・・,m)は、透過板2の図中下面にパターン形成されたものである。複数の第2検出電極Eyjは、それぞれが方向xに延びて相互に平行であり、且つ、方向yにおいて相互に離間して配列されている。本実施形態においては、第2検出電極Eyjの本数(即ちm)は14である。各第2検出電極Eyjは、例えば、ITO,IZOなどの透明な導電性材料よりなる。図4に示すように、各第2検出電極Eyjは、複数の菱形状の部分と、これらの菱形状の部分をつなぐ線状の部分とを有する。この菱形状の部分の形状は、丸形状、多角形状、またはその他の形状であってもよい。第2検出電極Eyjの菱形状の部分は、方向xおよび方向yにおいて、第1検出電極Exiの菱形状の部分と重ならないように配置されている。
【0043】
各配線3の一部は、透過板1上にパターン形成されている。各配線3の他の一部は、透過板2上およびフレキシブル基板8上にわたってパターン形成されている。透過板1上の各配線3の一部と、透過板1上の各配線3の一部に対応する透過板2上の各配線3の一部とは、透過板1上の各配線3の一部間の電気的絶縁状態が確保され且つ透過板2上の各配線3の一部間の電気的絶縁状態が確保されつつ、異方性導電樹脂部6を介して電気的に接続されている。異方性導電樹脂部6は、硬化した異方性導電樹脂よりなる。入力装置A1においては、各配線3はこのように設けられている。各配線3は、透過板1上にて一の第1検出電極Exiと接続されている。
【0044】
配線3’は、透過板2上およびフレキシブル基板8上にわたってパターン形成されており、透過板2上にて一の第2検出電極Eyjと接続されている。
【0045】
樹脂層4およびスペーサ5は、図1に示すように、透過板1,2間に介在する。樹脂層4は、光を良好に透過させる樹脂材料よりなる。また、樹脂層4により、第1検出電極Exi間、第2検出電極Eyj間、および、第1検出電極Exi,第2検出電極Eyj間の電気的絶縁状態が確保される。スペーサ5は、シリカまたはアクリル樹脂(例えば、積水化学工業:ミクロパールシリーズ)よりなる粒体である。スペーサ5のサイズを適宜選択することにより、透過板1,2間の適切な距離を確保することができる。
【0046】
シールド層7は、透過板1の図1中下面に設けられている。シールド層7は、例えば、ITO,IZOなどの透明導電性材料よりなる。シールド層7は、リア保護層(図示略)により覆われている。シールド層7は、外来のノイズを遮断する役割を担う。
【0047】
フレキシブル基板8は、図1に示すように、透過板2の端部に取り付けられている。上述のように、配線3の一部および配線3’の一部は、フレキシブル基板8にも設けられている。
【0048】
ICチップ9は、フレキシブル基板8に搭載されている。ICチップ9は、入力装置A1の駆動状態を制御したり、導電体D1の接近位置を計算したりする機能を担う。ICチップ9は、図示しない入力端子を介して、各第1検出電極Exi、および、各第2検出電極Eyjに接続している。
【0049】
図5には、ICチップ9における機能ブロック図を示す。同図に示すように、ICチップ9は、記憶部91と、計算部92とを含む。
【0050】
記憶部91は、計算部92が計算をする際のデータを記憶する機能を担う。本実施形態では、記憶部91は、指などの導電体D1と各第1検出電極Exiとの間の静電容量の変化に伴い、各第1検出電極ExiとICチップ9における図示しない回路とを介して得られる値をそれぞれ、複数の第1方向検出値Xch(i)(i=1,2,・・・,n)として記憶する。同様に、記憶部91は、導電体D1と各第2検出電極Eyjとの間の静電容量の変化に伴い、各第2検出電極EyjとICチップ9における図示しない回路とを介して得られる値をそれぞれ複数の第2方向検出値Ych(j)(j=1,2,・・・,m)として記憶する。
【0051】
計算部92は、方向xおよび方向yにおける導電体D1の接近位置を計算する。計算部92は、記憶部91とデータを送受しつつ計算を行う。
【0052】
次に、図6〜図16をさらに用いて、本実施形態にかかる導電体D1の接近位置の計算方法の一例について説明する。図6は、本実施形態における処理の流れを示すフローチャートである。本実施形態においては、導電体D1が透過板2に接近したときの、導電体D1の接近位置である第1接近座標(x1,y1)を計算する方法について説明する。
【0053】
<第1方向検出値および第2方向検出値の記憶(S101)>
図6に示すように、入力装置A1が稼働すると、ICチップ9には、各第1検出電極Exiから、導電体D1と各第1検出電極Exiとの間に生じうる静電容量変化に対応する信号が送られる。ICチップ9が当該信号を受けると、上述のように、記憶部91は、導電体D1と各第1検出電極Exiとの間の静電容量の変化に伴い、各第1検出電極ExiとICチップ9における図示しない回路とを介して得られる値をそれぞれ、複数の第1方向検出値Xch(i)(i=1,2,・・・,n)として記憶する。同様に、ICチップ9には、各第2検出電極Eyjから、導電体D1と各第2検出電極Eyjとの間に生じうる静電容量変化に対応する信号が送られる。ICチップ9が当該信号を受けると、上述のように記憶部91は、導電体D1と各第2検出電極Eyjとの間の静電容量の変化に伴い、各第2検出電極EyjとICチップ9における図示しない回路とを介して得られる値をそれぞれ、複数の第2方向検出値Ych(j)(j=1,2,・・・,m)として記憶する。
【0054】
図7には、導電体D1が図2に示す位置に接近した場合における、各第1方向検出値Xch(i)および各第2方向検出値Ych(j)の各値の一例を示している。図8は、図7に示した各第1方向検出値Xch(i)および各第2方向検出値Ych(j)ごとの各値を、三次元の棒グラフで示している。図2に示す導電体D1の、透過板2に対する接触領域と対向し合う面積が最も大きいのは、第1検出電極Ex1〜Exnのうち電極Ex5であり、当該接触領域と対向し合う面積が二番目に大きいのは第1検出電極Ex6である。第2検出電極Ey1〜Eymのうち当該接触領域と対向し合う面積が最も大きいのは、第2検出電極Ey7であり、当該接触領域と対向し合う面積が二番目に大きいのは第2検出電極Ey8であり、当該領域と対向し合う面積が三番目に大きいのは第2検出電極Ey6である。このように、第一方向検出値Xch(i)、第二方向検出値Ych(j)の各々の値は、透過板2に対する導電体D1の接触領域と第1検出電極Exi、第2検出電極Eyjとが対向し合う面積にそれぞれ対応する。なお、図7にてXch(2),Xch(9),Ych(3),Ych(13)がわずかに値を示しているのはノイズの影響である。
【0055】
<第1マップ値の作成(S102)>
次に、第1方向検出値Xch(i)と第2方向検出値Ych(j)とを用いて、複数の第1マップ値を作成する。より具体的には、以下のように第1マップ値を作成する。第1マップ値は、第1方向検出値Xch(i)の少なくともいずれかと第2方向検出値Ych(j)の少なくともいずれかとを演算した値である。
【0056】
第1マップ値は、その第1マップ値を求めるのに用いた第1方向検出値Xch(i)の各々と正の相関を有する。すなわち、第1マップ値の値は、その第1マップ値を求めるのに用いた第1方向検出値Xch(i)のうちある特定の第1方向検出値Xch(i)以外の値、および、その第1マップ値を求めるのに用いた第2方向検出値Ych(j)の値が同一であれば、当該特定の第1方向検出値Xch(i)の値が大きいほど、大きい。また、第1マップ値は、その第1マップ値を求めるのに用いた第2方向検出値Ych(i)の各々と正の相関を有する。すなわち、第1マップ値の値は、その第1マップ値を求めるのに用いた第1方向検出値Xch(i)、および、その第1マップ値を求めるのに用いた第2方向検出値Ych(j)のうちある特定の第2方向検出値Ych(j)以外の値が同一であれば、当該特定の第2方向検出値Ych(j)の値が大きいほど、大きい。
【0057】
また、作成する第1マップ値の個数は、複数の第1方向検出値Xch(i)のいずれかと複数の第2方向検出値Ych(j)のいずれかとの組み合わせ方によって、自在に決定できる。以下では、2n×2m個の第1マップ値を作成する例を示す。
【0058】
図9は、図2に示す入力装置A1の拡大平面図である。
【0059】
各第1マップ値map1(p,q)は、ある二次元座標に対応づけられており、その二次元座標(X1pq,Y1pq)は、図9等に示す所定面積の領域Rpqの重心座標である。領域Rpqの形状はどのような形状であってもよい。本実施形態においては、領域Rpqは、各第1検出電極Exiの菱形状の部分4個分の面積を有する。第1マップ値map1(p,q)は、
map1(p,q)=Vx(p,q)+Vy(p,q)・・・(1)
と定義される。
【0060】
Vx(p,q)は第1値であり、
Vx(p,q)=ΣSk・Xch(k)・・・(2)
と表わされる。
ここで、Skは、領域Rpqと第1検出電極Exkとが重なる領域の面積である(k=1,2,・・・,n)。すなわち第1値Vx(p,q)は、領域Rpqと第1検出電極Exkとが重なる領域のそれぞれの面積を重みとして、各第1方向検出値Xch(i)を加算した値である。
【0061】
同様に、Vy(p,q)は第2値であり、
Vy(p,q)=ΣTk・Ych(k)・・・(3)
と表わされる。
ここでTkは、Skと同様に、領域Rpqと第2検出電極Eykとが重なる領域の面積である(k=1,2,・・・,m)。すなわち第2値Vy(p,q)は、領域Rpqと第2検出電極Eykとが重なる領域のそれぞれの面積を重みとして、各第2方向検出値Ych(j)を加算した値である。
【0062】
そのため、第1マップ値map1(p,q)は、領域Rpqと第1検出電極Exkとが重なる領域のそれぞれの面積を重みとして、各第1方向検出値Xch(i)を加算した値と、領域Rpqと第2検出電極Eykとが重なる領域のそれぞれの面積を重みとして、各第2方向検出値Ych(j)を加算した値と、の和であるといえる。
【0063】
本実施形態において、第1マップ値map1(p,q)は、
(p,q)=(2i,2j)の場合・・・・・・・(ケース1、図9参照)、
(p,q)=(2i+1,2j)の場合・・・・・(ケース2、図10参照)、
(p,q)=(2i,2j+1)の場合・・・・・(ケース3、図11参照)、
(p,q)=(2i+1,2j+1)の場合・・・(ケース4、図12参照)、
の4つの場合(i=1,2,・・・n、j=1,2,・・・m)ごとに、求める際に用いるパラメータが異なる。以下具体的に説明する。
【0064】
<ケース1>
図9を用いて、ケース1について説明する。同図に示す通り、二次元座標(X1pq,Y1pq)については、
(X1pq,Y1pq)=(X12i,Y12j)
=(Xi,Yj)・・・(4−1)
と表わされる。
Xiは、第1検出電極Exiの方向xにおける中心位置である。同様に、Yjは、第2検出電極Eyjの方向yにおける中心位置である。
【0065】
ケース1において(2)式は、
Vx(p,q)=Vx(2i,2j)
=Si-1Xch(i−1)+SiXch(i)+Si+1Xch(i+1)
=0.3Xch(i−1)+1.4Xch(i)+0.3Xch(i+1)・・・・(2−1)
と表わされる。
Si-1,Si,Si+1については、第1検出電極Exiに含まれる菱形の電極一つの面積を1とし、Si-1=0.3,Si=1.4,Si+1=0.3としている。なお、Xch(0),Xch(n+1)等の実在しない値としては、適当な値を用いる。
【0066】
同様にケース1において(3)式は、
Vy(p,q)=Vy(2i,2j)
=Tj-1Ych(j−1)+TjYch(j)+Tj+1Ych(j+1)
=0.3Ych(j−1)+1.4Ych(j)+0.3Ych(j+1)・・・・(3−1)
と表わされる。
Tj-1,Tj,Tj+1については、第2検出電極Eyjに含まれる菱形の電極一つの面積を1とし、Tj-1=0.3,Tj=1.4,Tj+1=0.3としている。なお、Ych(0),Ych(m+1)等の実在しない値としては、適当な値を用いる。
【0067】
ケース1においてはこのような第1値Vx(p,q)および第2値Vy(p,q)を求め、(1)式により第1マップ値map1(p,q)を作成する。
【0068】
<ケース2>
図10は、ケース2について説明する図である。同図に示す通り、二次元座標(X1pq,Y1pq)については、
(X1pq,Y1pq)=(X12i+1,Y12j)
=((Xi+Xi+1)/2,Yj)・・・(4−2)
と表わされる。
Xi+1は、第1検出電極Exi+1の方向xにおける中心位置である。
【0069】
ケース2において(2)式は、
Vx(p,q)=Vx(2i+1,2j)
=SiXch(i)+Si+1Xch(i+1)
=1.0Xch(i)+1.0Xch(i+1)・・・・(2−2)
と表わされる。
Si,Si+1については、第1検出電極Exiに含まれる菱形の電極一つの面積を1とし、Si=1.0,Si+1=1.0としている。
【0070】
ケース2において(3)式は、ケース1と同様、
Vy(p,q)=Vy(2i+1,2j)
=Tj-1Ych(j−1)+TjYch(j)+Tj+1Ych(j+1)
=0.3Ych(j−1)+1.4Ych(j)+0.3Ych(j+1)・・・・(3−2)
と表わされる。
【0071】
ケース2においてはこのような第1値Vx(p,q)および第2値Vy(p,q)を求め、(1)式により第1マップ値map1(p,q)を作成する。
【0072】
<ケース3>
図11は、ケース3について説明する図である。同図に示す通り、二次元座標(X1pq,Y1pq)については、
(X1pq,Y1pq)=(X12i,Y12j+1)
=(Xi,(Yj+Yj+1)/2)・・・(4−3)
と表わされる。
Yi+1は、第2検出電極Eyjの方向yにおける中心位置である。
【0073】
ケース3において(2)式は、ケース1と同様、
Vx(p,q)=Vx(2i,2j+1)
=Si-1Xch(i−1)+SiXch(i)+Si+1Xch(i+1)
=0.3Xch(i−1)+1.4Xch(i)+0.3Xch(i+1)・・・・(2−3)
と表わされる。
【0074】
ケース3において(3)式は、
Vy(p,q)=Vy(2i,2j+1)
=TjYch(j)+Tj+1Ych(j+1)
=1.0Ych(j)+1.0Ych(j+1)・・・・(3−3)
と表わされる。
Tj,Tj+1については、第2検出電極Eyjに含まれる菱形の電極一つの面積を1とし、Tj=1.0,Tj+1=1.0としている。
【0075】
ケース3においてはこのような第1値Vx(p,q)および第2値Vy(p,q)を求め、(1)式により第1マップ値map1(p,q)を作成する。
【0076】
<ケース4>
図12は、ケース4について説明する図である。同図に示す通り、二次元座標(X1pq,Y1pq)については、
(X1pq,Y1pq)=(X12i+1,Y12j+1)
=((Xi+Xi+1)/2,(Yj+Yj+1)/2)・・・(4−4)
と表わされる。
【0077】
ケース4において(2)式は、ケース2と同様、
Vx(p,q)=Vx(2i+1,2j+1)
=SiXch(i)+Si+1Xch(i+1)
=1.0Xch(i)+1.0Xch(i+1)・・・・(2−4)
と表わされる。
【0078】
ケース4において(3)式は、ケース3と同様、
Vy(p,q)=Vy(2i+1,2j+1)
=TjYch(j)+Tj+1Ych(j+1)
=1.0Ych(j)+1.0Ych(j+1)・・・・(3−4)
と表わされる。
【0079】
ケース4においてはこのような第1値Vx(p,q)および第2値Vy(p,q)を求め、(1)式により第1マップ値map1(p,q)を作成する。
【0080】
以上のケース1〜ケース4の場合の計算をすることにより、複数の第1マップ値map1(p,q)を作成することができる。
【0081】
i=1,2,・・・,nであることを考慮すると、pは、2から2n+1までの2n個の整数である。一方、j=1,2,・・・,mであることを考慮すると、qは、2から2m+1までの2m個の整数である。そこで、第1マップ値map1(p,q)は、2n×2m行列T1の要素と考えることができる。ここで、行列T1の要素αrsを、
αrs=map1(r+1,s+1)・・・(5)
(r=1,2,・・・2n、s=1,2,・・・2m)
と定義する(図13参照)。
【0082】
また、式(4−1)、式(4−2)、式(4−3)、式(4−4)から、複数の第1マップ値map1(p,q)におけるpの値が互いに同一であれば、それらの第1マップ値map1(p,q)に対応づけられた二次元座標のX1pqの値は同一であることが分かる。そのため、行列T1において行番号が同一であれば、行列要素(第1マップ値map1(p,q))に対応づけられた二次元座標のX1pqの値は同一である。たとえば、3行目の成分のpは4であり、(4−1)式、(4−3)式によると、X1pq=X2である。
【0083】
同様に、複数の第1マップ値map1(p,q)におけるqの値が互いに同一であれば、それらの第1マップ値map1(p,q)に対応づけられた二次元座標のY1pqの値は同一であることが分かる。そのため、行列T1において列番号が同一であれば、行列要素(第1マップ値map1(p,q))に対応づけられた二次元座標のY1pqの値は同一である。たとえば、2列目の成分のqは3であり、(4−3)式、(4−4)式によると、Y1pq=(Y1+Y2)/2である。
【0084】
また、式(4−1)、式(4−2)、式(4−3)、式(4−4)によると、pの値が大きくなるほどX1pqの値が大きくなっており、且つ、qの値が大きくなるほどY1pq大きくなっている。そのため、行列T1においては、行番号が増加するにつれ当該行の成分(第1マップ値map1(p,q))に対応づけられた二次元座標のX1pqの値は、単調に増加する。また同様に、行列T1においては、列番号増加するにつれ当該列の成分(第1マップ値map1(p,q))に対応づけられた二次元座標のY1pqの値は、単調に増加する。
【0085】
図14にて、第1マップ値map1(p,q)を三次元で示し、第1マップ値map1(p,q)を視覚的に認識できるようにしている。同図の高さ方向が第1マップ値の値に対応する。第1マップ値map(p,q)のうち値が大きいものは、導電体D1が接近してきた第1検出電極Exiや第2検出電極Eyjを用いて求められている。そのため、第1マップ値map1(p,q)のうち大きいものに対応づけられている二次元座標が、導電体D1が接近してきた位置に近接しているといえる。
【0086】
<導電体D1の接近の有無を判断(S103)>
次に、図15を参照しつつ、上述のプロセスにより作成された第1マップ値map1(p,q)を用いて、導電体D1の接近の有無を判断する工程(S103)について説明する。まず、上記の処理において求められた第1マップ値map1(p,q)のうち、最も大きい最大第1マップ値map1(pmax,qmax)を抽出する(pmaxは、第1マップ値が最大値をとるときのpの値である。同様に、qmaxは、第1マップ値が最大値をとるときのqの値である)。次に、計算部92は、この最大第1マップ値map1(pmax,qmax)の値が所定のしきい値(図14参照)より大きいか否かを判断する。最大第1マップ値map1(pmax,qmax)が、所定のしきい値以下である場合(S103:NO)、計算部92は、導電体D1が接近していないと判断する(S104)。
【0087】
導電体D1が接近していないと判断した場合、計算部92は、導電体D1が接近していないとする信号(たとえば第1接近座標(x1,y1)が(0,0)であるとする信号)を、ICチップ9の外部に出力する(S106)。
【0088】
<第1接近座標(x1,y1)の計算(S105)>
一方、最大第1マップ値map1(pmax,qmax)が所定のしきい値より大きい場合(S103:YES)、計算部92は導電体D1が接近していると判断する。この場合、計算部92は、第1接近座標(x1,y1)の値を計算する(S105)。本実施形態において、第1接近座標(x1,y1)のx1を計算するには、最大第1マップ値map1(pmax,qmax)と、この最大第1マップ値map1(pmax,qmax)と行番号が一つ異なり且つ互いに同一の列に含まれる2つの隣接第1マップ値map1(pmax−1,u)、map1(pmax+1,u)と、を用いる(ここでu=2,3,・・・2m+1)。以下では一例として、u=qmaxである場合、すなわち、これらの2つの隣接第1マップ値が最大第1マップ値と同一の列に含まれる場合について説明する。
【0089】
図16は、本実施形態における第1接近座標(x1,y1)のx1の値の求め方の説明に用いるグラフである。同図に示すグラフの横軸は、隣接第1マップ値map1(pmax−1,qmax)、最大第1マップ値map1(pmax,qmax)、および隣接第1マップ値map1(pmax+1,qmax)の各々に対応づけられている二次元座標のX1pqの値である。同グラフの縦軸は、各第1マップ値の値である。第1近接座標のx1の値を求めるには、同グラフの3つの第1マップ値を通る二次曲線を求める。そして、当該二次曲線の頂点の座標もしくは軸を求めるなどしてx1の値を計算する。
【0090】
本実施形態において、第1接近座標(x1,y1)のy1を計算するには、x1を計算する場合と同様に、最大第1マップ値map1(pmax,qmax)と、この最大第1マップ値map1(pmax,qmax)と列番号が一つ異なる行に含まれる2つの隣接第1マップ値map1(v,qmax−1)、map1(v,qmax+1)と、を用いる(ここでv=2,3,・・・2n+1)。これら2つの隣接第1マップ値は、互いに同一の列に含まれる。y1の値を計算する方法は、x1の値を計算するのと同様であるから説明を省略する。
【0091】
このようにして、計算部92は、導電体D1の接近位置を示す第1接近座標(x1,y1)を計算する。そして、ICチップ9は、計算した第1接近座標(x1,y1)に関する信号を外部に出力する(S106)。
【0092】
以上の流れで、第1接近座標(x1,y1)を計算できる。
【0093】
次に本実施形態の作用について説明する。
【0094】
本実施形態においては、図7に示したように、導電体D1が第1検出電極Exiに接近すると、数個(2,3個)の第1方向検出値Xch(i)が他の第1方向検出値Xch(i)に比べ大きくなる。同様に、導電体D1が第2検出電極Eyjに接近すると、数個(2,3個)の第2方向検出値Ych(j)が他の第2方向検出値Ych(j)に比べ大きくなる。第1マップ値map1(p,q)を作成することで、導電体D1が第1検出電極Exiに接近した場合に大きくなる第1方向検出値Xch(i)と、導電体D1が第2検出電極Eyjに接近した場合に大きくなる第2方向検出値Ych(j)との影響を加味した値を求めることができる。そのため、図14に示したように、導電体D1が第1検出電極Exi、第2検出電極Eyjに接近した場合、特定の第1マップ値map1(p,q)の値が極端に大きくなる。そのため、導電体D1の接近の有無を検出する際に用いるしきい値の設定幅を大きくすることができる。その結果、ノイズの影響により第1方向検出値Xch(i)や第2方向検出値Ych(j)が増加しても、導電体D1が接近していない限り第1マップ値map1(p,q)がしきい値を超えないように、より大きいしきい値を設定することができる。したがって、入力装置A1によると、導電体D1が接近していないにもかかわらず導電体D1が接近したと判断してしまう誤作動を、抑制することができる。
【0095】
本実施形態においては、第1マップ値map1(p,q)を用いて、第1接近座標(x1,y1)を計算している。第1マップ値map1(p,q)を作成できる数は、第1検出電極Exiの数、第2検出電極Eyjの数に制限されない。そのため、第1マップ値map1(p,q)を多く作成することで、より正確な第1接近座標(x1,y1)を計算することができる。
【0096】
本実施形態においては、第1接近座標(x1,y1)を計算するために、図16に示した二次曲線の頂点の座標もしくは軸を求めている。発明者らによると、このような計算方法は第1接近座標(x1,y1)を正確に求めるのに適することがわかった。
【0097】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1マップ値map1(p,q)を求める際のパラメータが第1実施形態と異なり、その他の点は第1実施形態と同様である。以下、具体的に説明する。
【0098】
本実施形態においては、領域Rpqは、各第1検出電極Exiの菱形状の部分4.5個分の面積を有する。
【0099】
本実施形態においても、第1マップ値map1(p,q)は、
(p,q)=(2i,2j)の場合・・・・・・・(ケース1)、
(p,q)=(2i+1,2j)の場合・・・・・(ケース2)、
(p,q)=(2i,2j+1)の場合・・・・・(ケース3)、
(p,q)=(2i+1,2j+1)の場合・・・(ケース4)、
の4つの場合(i=1,2,・・・n、j=1,2,・・・m)ごとに、求める際に用いるパラメータが異なる。以下具体的に説明する。
【0100】
<ケース1>
ケース1の二次元座標(X1pq,Y1pq)については、
(X1pq,Y1pq)=(X12i,Y12i)
=(Xi,Yi)・・・(4−5)
と表わされる。
【0101】
ケース1において(2)式は、
Vx(p,q)=Vx(2i,2j)
=Si-1Xch(i−1)+SiXch(i)+Si+1Xch(i+1)
=0.3375Xch(i−1)+1.575Xch(i)+0.3375Xch(i+1)・・・・(2−5)
と表わされる。
【0102】
同様にケース1において(3)式は、
Vy(p,q)=Vy(2i,2j)
=Tj-1Ych(j−1)+TjYch(j)+Tj+1Ych(j+1)
=0.3375Ych(j−1)+1.575Ych(j)+0.3375Ych(j+1)・・・・(3−5)
と表わされる。
【0103】
ケース1においてはこのような第1値Vx(p,q)および第2値Vy(p,q)を求め、(1)式により第1マップ値map1(p,q)を作成する。
【0104】
<ケース2>
ケース2の二次元座標(X1pq,Y1pq)については、
(X1pq,Y1pq)=(X12i+1,Y12j)
=((Xi+Xi+1)/2,Yj)・・・(4−6)
と表わされる。
【0105】
ケース2において(2)式は、
Vx(p,q)=Vx(2i+1,2j)
=SiXch(i)+Si+1Xch(i+1)
=1.125Xch(i)+1.125Xch(i+1)・・・・(2−6)
と表わされる。
【0106】
ケース2において(3)式は、ケース1と同様、
Vy(p,q)=Vy(2i+1,2j)
=Tj-1Ych(j−1)+TjYch(j)+Tj+1Ych(j+1)
=0.3375Ych(j−1)+1.5750Ych(j)+0.3375Ych(j+1)・・・・(3−6)
と表わされる。
【0107】
ケース2においてはこのような第1値Vx(p,q)および第2値Vy(p,q)を求め、(1)式により第1マップ値map1(p,q)を作成する。
【0108】
<ケース3>
ケース3の二次元座標(X1pq,Y1pq)については、
(X1pq,Y1pq)=(X12i,Y12j+1)
=(Xi,(Yj+Yj+1)/2)・・・(4−7)
と表わされる。
【0109】
ケース3において(2)式は、ケース1と同様、
Vx(p,q)=Vx(2i,2j+1)
=Si-1Xch(i−1)+SiXch(i)+Si+1Xch(i+1)
=0.3375Xch(i−1)+1.5750Xch(i)+0.3375Xch(i+1)・・・・(2−7)
と表わされる。
【0110】
ケース3において(3)式は、
Vy(p,q)=Vy(2i,2j+1)
=TjYch(j)+Tj+1Ych(j+1)
=1.125Ych(j)+1.125Ych(j+1)・・・・(3−7)
と表わされる。
【0111】
ケース3においてはこのような第1値Vx(p,q)および第2値Vy(p,q)を求め、(1)式により第1マップ値map1(p,q)を作成する。
【0112】
<ケース4>
ケース4の二次元座標(X1pq,Y1pq)については、
(X1pq,Y1pq)=(X12i+1,Y12j+1)
=((Xi+Xi+1)/2,(Yj+Yj+1)/2)・・・(4−8)
と表わされる。
【0113】
ケース4において(2)式は、ケース2と同様、
Vx(p,q)=Vx(2i+1,2j+1)
=SiXch(i)+Si+1Xch(i+1)
=1.125Xch(i)+1.125Xch(i+1)・・・・(2−8)
と表わされる。
【0114】
ケース4において(3)式は、ケース3と同様、
Vy(p,q)=Vy(2i+1,2j+1)
=TjYch(j)+Tj+1Ych(j+1)
=1.125Ych(j)+1.125Ych(j+1)・・・・(3−8)
と表わされる。
【0115】
ケース4においてはこのような第1値Vx(p,q)および第2値Vy(p,q)を求め、(1)式により第1マップ値map1(p,q)を作成する。
【0116】
以上のケース1〜ケース4の場合の計算をすることにより、複数の第1マップ値map1(p,q)を作成することができる。
【0117】
図17に、導電体D1が接近した場合の、このようなパラメータを用いて作成した第1マップ値map1(p,q)を三次元的に示す。
【0118】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1マップ値map1(p,q)を求める際のパラメータが第1、第2実施形態と異なり、その他の点は第1実施形態と同様である。以下、具体的に説明する。
【0119】
本実施形態においては、領域Rpqは、各第1検出電極Exiの菱形状の部分6.25個分の面積を有する。
【0120】
本実施形態においても、第1マップ値map1(p,q)は、
(p,q)=(2i,2j)の場合・・・・・・・(ケース1)、
(p,q)=(2i+1,2j)の場合・・・・・(ケース2)、
(p,q)=(2i,2j+1)の場合・・・・・(ケース3)、
(p,q)=(2i+1,2j+1)の場合・・・(ケース4)、
の4つの場合ごとに、求める際に用いるパラメータが異なる(i=1,2,・・・n、j=1,2,・・・m)。以下具体的に説明する。
【0121】
<ケース1>
ケース1の二次元座標(X1pq,Y1pq)については、
(X1pq,Y1pq)=(X12i,Y12i)
=(Xi,Yi)・・・(4−9)
と表わされる。
【0122】
ケース1において(2)式は、
Vx(p,q)=Vx(2i,2j)
=Si-1Xch(i−1)+SiXch(i)+Si+1Xch(i+1)
=0.5Xch(i−1)+2.125Xch(i)+0.5Xch(i+1)・・・・(2−9)
と表わされる。
【0123】
同様にケース1において(3)式は、
Vy(p,q)=Vy(2i,2j)
=Tj-1Ych(j−1)+TjYch(j)+Tj+1Ych(j+1)
=0.5Ych(j−1)+2.125Ych(j)+0.5Ych(j+1)・・・・(3−9)
と表わされる。
【0124】
ケース1においてはこのような第1値Vx(p,q)および第2値Vy(p,q)を求め、(1)式により第1マップ値map1(p,q)を作成する。
【0125】
<ケース2>
ケース2の二次元座標(X1pq,Y1pq)については、
(X1pq,Y1pq)=(X12i+1,Y12j)
=((Xi+Xi+1)/2,Yj)・・・(4−10)
と表わされる。
【0126】
ケース2において(2)式は、
Vx(p,q)=Vx(2i+1,2j)
=SiXch(i)+Si+1Xch(i+1)
=1.5Xch(i)+1.5Xch(i+1)・・・・(2−10)
と表わされる。
【0127】
ケース2において(3)式は、ケース1と同様、
Vy(p,q)=Vy(2i+1,2j)
=Tj-1Ych(j−1)+TjYch(j)+Tj+1Ych(j+1)
=0.5625Ych(j−1)+2.125Ych(j)+0.5625Ych(j+1)・・・・(3−10)
と表わされる。
【0128】
ケース2においてはこのような第1値Vx(p,q)および第2値Vy(p,q)を求め、(1)式により第1マップ値map1(p,q)を作成する。
【0129】
<ケース3>
ケース3の二次元座標(X1pq,Y1pq)については、
(X1pq,Y1pq)=(X12i,Y12j+1)
=(Xi,(Yj+Yj+1)/2)・・・(4−11)
と表わされる。
【0130】
ケース3において(2)式は、ケース1と同様、
Vx(p,q)=Vx(2i,2j+1)
=Si-1Xch(i−1)+SiXch(i)+Si+1Xch(i+1)
=0.5625Xch(i−1)+2.125Xch(i)+0.5625Xch(i+1)・・・・(2−11)
と表わされる。
【0131】
ケース3において(3)式は、
Vy(p,q)=Vy(2i,2j+1)
=TjYch(j)+Tj+1Ych(j+1)
=1.5Ych(j)+1.5Ych(j+1)・・・・(3−11)
と表わされる。
【0132】
ケース3においてはこのような第1値Vx(p,q)および第2値Vy(p,q)を求め、(1)式により第1マップ値map1(p,q)を作成する。
【0133】
<ケース4>
ケース4の二次元座標(X1pq,Y1pq)については、
(X1pq,Y1pq)=(X12i+1,Y12j+1)
=((Xi+Xi+1)/2,(Yj+Yj+1)/2)・・・(4−12)
と表わされる。
【0134】
ケース4において(2)式は、ケース2と同様、
Vx(p,q)=Vx(2i+1,2j+1)
=Si-1Xch(i−1)+SiXch(i)+Si+1Xch(i+1)+Si+2Xch(i+2)
=0.0625Xch(i−1)+1.5Xch(i)+1.5Xch(i+1)+0.0625Xch(i+2)・・・・(2−12)
と表わされる。
【0135】
ケース4において(3)式は、ケース3と同様、
Vy(p,q)=Vy(2i+1,2j+1)
=Tj-1Ych(j−1)+TjYch(j)+Ti+1Ych(j+1)+Tj+2Ych(j+2)
=0.0625Ych(j−1)+1.5Ych(j)+1.5Ych(j+1)+0.0625Ych(j+2)・・・・(3−12)
と表わされる。
【0136】
ケース4においてはこのような第1値Vx(p,q)および第2値Vy(p,q)を求め、(1)式により第1マップ値map1(p,q)を作成する。
【0137】
以上のケース1〜ケース4の場合の計算をすることにより、複数の第1マップ値map1(p,q)を作成することができる。
【0138】
図18に、導電体D1が接近した場合の、このようなパラメータを用いて作成した第1マップ値map1(p,q)を三次元的に示す。
【0139】
次に、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態は、第1接近座標(x1,y1)の求め方が、上述の方法と異なる。本実施形態では、第1接近座標のx1を計算するには、図15の最大第1マップ値map1(pmax,qmax)と同じ列に含まれる全ての第1マップ値map1(v,qmax)(v=2,3,・・・2n+1)を用いる。これらの複数の第1マップ値map1(p,q)の大きさを重みとして、加重平均計算することにより、第1接近座標のx1を計算できる。
【0140】
同様に、第1接近座標のy1を計算するには、最大第1マップ値map1(pmax,qmax)と同じ行に含まれる全ての第1マップ値map1(pmax,u)(u=2,3,・・・2m+1)を用いる。これらの複数の第1マップ値map1(p,q)の大きさを重みとして、加重平均計算することにより、第1接近座標のy1を計算できる。
【0141】
次に、本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態においては、図19に示すような2つの導電体D1,D2の接近位置を計算する。図20は、本実施形態の処理の流れを示すフローチャートである。同図に示すように、本実施形態は、第1接近座標(x1,y1)のみならず、導電体D2の接近位置である第2接近座標(x2,y2)を計算している(S207〜S211)点において、第1実施形態と異なる。以下、具体的に説明する。
【0142】
まず、第1接近座標(x1,y1)を計算するまでの工程(S201〜S205)は、図6に示す第1実施形態における工程(S101〜S105)と同様である。
【0143】
<準備処理(S206)>
次に、第2接近座標(x2,y2)を計算するための準備処理を行う(S206)。上述のように、複数の第1検出電極Exiから得られた複数の第1方向検出値Xch(i)、および、複数の第2検出電極Eyjから得られた複数の第2方向検出値Ych(j)が記憶部91に記憶されている。図21に示すように、準備処理として、第1接近座標(x1,y1)に最も近接する第1検出電極Exi(図19、図21ではEx8)から得られた第1方向検出値Xch(i)を減少させる。第2接近座標(x2,y2)を計算するうえで、導電体D1の第1方向検出値Xch(i)への接近による影響を減少させるためである。同様に、第1接近座標(x1,y1)に最も近接する第1検出電極Exiと隣り合う第1検出電極Exi-1から得られる第1方向検出値Xch(i−1)、および、第1検出電極Exi+1から得られる第1方向検出値Xch(i+1)、の2つの値を小さくする。
【0144】
同様に、準備処理として、第1接近座標(x1,y1)に最も近接する第2検出電極Eyj(図19、図21ではEy3)から得られた第2方向検出値Ych(j)を減少させる。また、第1接近座標(x1,y1)に最も近接する第2検出電極Eyjと隣り合う第2検出電極Eyj-1から得られる第2方向検出値Ych(j−1)、および、第2検出電極Eyj+1から得られる第2方向検出値Ych(j+1)、の2つの値を小さくする。たとえばこれらの第1方向検出値および第2方向検出値の値の各々を、2分の1にする。
【0145】
<第2マップ値の作成(S207)>
次に、上述の準備処理を終えた後に、第1方向検出値Xch(i)と第2方向検出値Ych(j)とを用いて、複数の第2マップ値map2(p,q)を作成する(S207)。以下に述べる第2マップ値map2(p,q)の求め方は、上述の準備処理を終えた後の第1方向検出値Xch(i)と第2方向検出値Ych(j)を用いる点を除いて、第1マップ値map1(p,q)の求め方と同様である。第2マップ値map2(p,q)も、第1方向検出値Xch(i)の少なくともいずれかと第2方向検出値Ych(j)の少なくともいずれかとを演算した値である。
【0146】
第2マップ値は、その第2マップ値を求めるのに用いた第1方向検出値Xch(i)の各々と正の相関を有する。すなわち、第2マップ値の値は、その第2マップ値を求めるのに用いた第1方向検出値Xch(i)のうちある特定の第1方向検出値Xch(i)以外の値、および、その第2マップ値を求めるのに用いた第2方向検出値Ych(j)の値が同一であれば、当該特定の第1方向検出値Xch(j)の値が大きいほど、大きい。また、第2マップ値は、その第2マップ値を求めるのに用いた第2方向検出値Ych(i)の各々と正の相関を有する。すなわち、第2マップ値の値は、その第2マップ値を求めるのに用いた第1方向検出値Xch(i)、および、その第2マップ値を求めるのに用いた第2方向検出値Ych(j)のうちある特定の第2方向検出値Ych(j)以外の値が同一であれば、当該特定の第2方向検出値Ych(j)の値が大きいほど、大きい。
【0147】
また、作成する第2マップ値の個数は、複数の第1方向検出値Xch(i)のいずれかと複数の第2方向検出値Ych(j)のいずれかとの組み合わせ方によって、自在に決定できる。以下では、2n×2m個の第2マップ値を作成する例を示す。
【0148】
第2マップ値map2(p,q)の各々に対応づけられている二次元座標(X2pq,Y2pq)は、図22等に示す所定面積の領域Rpqの重心座標である。領域Rpqの形状はどのような形状であってもよい。本実施形態においては、領域Rpqは、各第1検出電極Exiの菱形状の部分4個分の面積を有する。第2マップ値map2(p,q)は、
map2(p,q)=Wx(p,q)+Wy(p,q)・・・(6)
と定義される。
【0149】
Wx(p,q)は第3値であり、
Wx(p,q)=ΣSk・Xch(k)・・・(7)
と表わされる。
ここで、Skは、領域Rpqと第1検出電極Exkとが重なる領域の面積である(k=1,2,・・・,n)。すなわち第3値Wx(p,q)は、領域Rpqと第1検出電極Exkとが重なる領域のそれぞれの面積を重みとして、各第1方向検出値Xch(i)を加算した値である。
【0150】
同様に、Wy(p,q)は第4値であり、
Wy(p,q)=ΣTk・Ych(k)・・・(8)
と表わされる。
ここでTkは、Skと同様に、領域Rpqと第2検出電極Eykとが重なる領域の面積である(k=1,2,・・・,m)。すなわち第4値Wy(p,q)は、領域Rpqと第2検出電極Eykとが重なる領域のそれぞれの面積を重みとして、各第2方向検出値Ych(j)を加算した値である。
【0151】
そのため、第2マップ値map2(p,q)は、領域Rpqと第1検出電極Exkとが重なる領域のそれぞれの面積を重みとして、各第1方向検出値Xch(i)を加算した値と、領域Rpqと第2検出電極Eykとが重なる領域のそれぞれの面積を重みとして、各第2方向検出値Ych(j)を加算した値と、の和といえる。
【0152】
本実施形態において、第2マップ値map2(p,q)は、
(p,q)=(2i,2j)の場合・・・・・・・(ケース1、図22参照)、
(p,q)=(2i+1,2j)の場合・・・・・(ケース2、図23参照)、
(p,q)=(2i,2j+1)の場合・・・・・(ケース3、図24参照)、
(p,q)=(2i+1,2j+1)の場合・・・(ケース4、図25参照)、
の4つの場合(i=1,2,・・・n、j=1,2,・・・m)ごとに、求める際に用いるパラメータが異なる。以下具体的に説明する。
【0153】
<ケース1>
図22を用いて、ケース1について説明する。同図に示す通り、二次元座標(X2pq,Y2pq)については、
(X2pq,Y2pq)=(X22i,Y22j)
=(Xi,Yj)・・・(9−1)
と表わされる。
Xiは、第1検出電極Exiの方向xにおける中心位置である。同様に、Yjは、第2検出電極Eyjの方向yにおける中心位置である。
【0154】
ケース1において(7)式は、
Wx(p,q)=Wx(2i,2j)
=Si-1Xch(i−1)+SiXch(i)+Si+1Xch(i+1)
=0.3Xch(i−1)+1.4Xch(i)+0.3Xch(i+1)・・・・(7−1)
と表わされる。
Si-1,Si,Si+1については、第1検出電極Exiに含まれる菱形の電極一つの面積を1とし、Si-1=0.3,Si=1.4,Si+1=0.3としている。なお、Xch(0),Xch(n+1)等の実在しない値としては、適当な値を用いる。
【0155】
同様にケース1において(8)式は、
Wy(p,q)=Wy(2i,2j)
=Tj-1Ych(j−1)+TjYch(j)+Tj+1Ych(j+1)
=0.3Ych(j−1)+1.4Ych(j)+0.3Ych(j+1)・・・・(8−1)
と表わされる。
Tj-1,Tj,Tj+1については、第2検出電極Eyjに含まれる菱形の電極一つの面積を1とし、Tj-1=0.3,Tj=1.4,Tj+1=0.3としている。なお、Ych(0),Ych(m+1)等の実在しない値としては、適当な値を用いる。
【0156】
ケース1においてはこのような第3値Wx(p,q)および第4値Wy(p,q)を求め、(6)式により第2マップ値map2(p,q)を作成する。
【0157】
<ケース2>
図23は、ケース2について説明する図である。同図に示す通り、二次元座標(X2pq,Y2pq)については、
(X2pq,Y2pq)=(X22i+1,Y22j)
=((Xi+Xi+1)/2,Yj)・・・(9−2)
と表わされる。
Xi+1は、第1検出電極Exi+1の方向xにおける中心位置である。
【0158】
ケース2において(7)式は、
Wx(p,q)=Wx(2i+1,2j)
=SiXch(i)+Si+1Xch(i+1)
=1.0Xch(i)+1.0Xch(i+1)・・・・(7−2)
と表わされる。
Si,Si+1については、第1検出電極Exiに含まれる菱形の電極一つの面積を1とし、Si=1.0,Si+1=1.0としている。
【0159】
ケース2において(8)式は、ケース1と同様、
Wy(p,q)=Wy(2i+1,2j)
=Tj-1Ych(j−1)+TjYch(j)+Tj+1Ych(j+1)
=0.3Ych(j−1)+1.4Ych(j)+0.3Ych(j+1)・・・・(8−2)
と表わされる。
【0160】
ケース2においてはこのような第3値Wx(p,q)および第4値Wy(p,q)を求め、(6)式により第2マップ値map2(p,q)を作成する。
【0161】
<ケース3>
図24は、ケース3について説明する図である。同図に示す通り、二次元座標(X2pq,Y2pq)については、
(X2pq,Y2pq)=(X22i,Y22j+1)
=(Xi,(Yj+Yj+1)/2)・・・(9−3)
と表わされる。
Yi+1は、第2検出電極Eyjの方向yにおける中心位置である。
【0162】
ケース3において(7)式は、ケース1と同様、
Wx(p,q)=Wx(2i,2j+1)
=Si-1Xch(i−1)+SiXch(i)+Si+1Xch(i+1)
=0.3Xch(i−1)+1.4Xch(i)+0.3Xch(i+1)・・・・(7−3)
と表わされる。
【0163】
ケース3において(8)式は、
Wy(p,q)=Wy(2i,2j+1)
=TjYch(j)+Tj+1Ych(j+1)
=1.0Ych(j)+1.0Ych(j+1)・・・・(8−3)
と表わされる。
Tj,Tj+1については、第2検出電極Eyjに含まれる菱形の電極一つの面積を1とし、Tj=1.0,Tj+1=1.0としている。
【0164】
ケース3においてはこのような第3値Wx(p,q)および第4値Wy(p,q)を求め、(6)式により第2マップ値map2(p,q)を作成する。
【0165】
<ケース4>
図25は、ケース4について説明する図である。同図に示す通り、二次元座標(X2pq,Y2pq)については、
(X2pq,Y2pq)=(X22i+1,Y22j+1)
=((Xi+Xi+1)/2,(Yj+Yj+1)/2)・・・(9−4)
と表わされる。
【0166】
ケース4において(7)式は、ケース2と同様、
Wx(p,q)=Wx(2i+1,2j+1)
=SiXch(i)+Si+1Xch(i+1)
=1.0Xch(i)+1.0Xch(i+1)・・・・(7−4)
と表わされる。
【0167】
ケース4において(8)式は、ケース3と同様、
Wy(p,q)=Wy(2i+1,2j+1)
=TjYch(j)+Tj+1Ych(j+1)
=1.0Ych(j)+1.0Ych(j+1)・・・・(8−4)
と表わされる。
【0168】
ケース4においてはこのような第3値Wx(p,q)および第4値Wy(p,q)を求め、(6)式により第2マップ値map2(p,q)を作成する。
【0169】
以上のケース1〜ケース4の場合の計算をすることにより、複数の第2マップ値map2(p,q)を作成することができる。
【0170】
i=1,2,・・・,nであることを考慮すると、pは、2から2n+1までの2n個の整数である。一方、j=1,2,・・・,mであることを考慮すると、qは、2から2m+1までの2m個の整数である。そこで、第2マップ値map2(p,q)は、2n×2m行列T2の要素と考えることができる。ここで、行列T2の要素βrsを、
βrs=map2(r+1,s+1)・・・(10)
(r=1,2,・・・2n、s=1,2,・・・2m)
と定義する(図26参照)。
【0171】
また、式(9−1)、式(9−2)、式(9−3)、式(9−4)から、複数の第2マップ値map2(p,q)におけるpの値が互いに同一であれば、それらの第2マップ値map2(p,q)に対応づけられた二次元座標のX2pqの値は同一であることが分かる。そのため、行列T2において行番号が同一であれば、行列要素(第2マップ値map2(p,q))に対応づけられた二次元座標のX2pqの値は同一である。たとえば、3行目の成分のpは4であり、(9−1)式、(9−3)式によると、X2pq=X2である。
【0172】
同様に、複数の第2マップ値map2(p,q)におけるqの値が互いに同一であれば、それらの第2マップ値map2(p,q)に対応づけられた二次元座標のY2pqの値は同一であることが分かる。そのため、行列T2において列番号が同一であれば、行列要素(第2マップ値map2(p,q))に対応づけられた二次元座標のY2pqの値は同一である。たとえば、2列目の成分のqは3であり、(9−3)式、(9−4)式によると、Y2pq=(Y1+Y2)/2である。
【0173】
また、式(9−1)、式(9−2)、式(9−3)、式(9−4)によると、pの値が大きくなるほどX2pqの値が大きくなっており、且つ、qの値が大きくなるほどY2pq大きくなっている。そのため、行列T2においては、行番号が増加するにつれ当該行の成分(第2マップ値map2(p,q))に対応づけられた二次元座標のX2pqの値は、単調に増加する。また同様に、行列T2においては、列番号増加するにつれ当該列の成分(第2マップ値map2(p,q))に対応づけられた二次元座標のY2pqの値は、単調に増加する。
【0174】
<導電体D2の接近の有無を判断(S208)>
次に、図27を参照しつつ、上述のプロセスにより作成された第2マップ値map2(p,q)を用いて、導電体D2の接近の有無を判断する工程(S208)について説明する。まず、上記の処理において求められた第2マップ値map2(p,q)のうち、最も大きい最大第2マップ値map2(pmax,qmax)を抽出する(pmaxは、本実施形態においては第2マップ値が最大値をとるときのpの値である。同様に、qmaxは、本実施形態においては第2マップ値が最大値をとるときのqの値である)。次に、計算部92は、この最大第2マップ値map2(pmax,qmax)の値が所定のしきい値より大きいか否かを判断する。最大第2マップ値map2(pmax,qmax)が、所定のしきい値以下である場合(S208:NO)、計算部92は、導電体D2が接近していないと判断する(S209)。
【0175】
導電体D2が接近していないと判断した場合、計算部92は、導電体D2が接近していないとする信号(たとえば第2接近座標(x2,y2)が(0,0)であるとする信号)と、既に計算した第1接近座標(x1,y1)とを、ICチップ9の外部に出力する(S211)。
【0176】
<第2接近座標(x2,y2)の計算(S210)>
一方、最大第2マップ値map2(pmax,qmax)が所定のしきい値より大きい場合(S208:YES)、計算部92は導電体D2が接近していると判断する。この場合、計算部92は、第2接近座標(x2,y2)の値を計算する(S210)。本実施形態において、第2接近座標(x2,y2)のx2を計算するには、最大第2マップ値map2(pmax,qmax)と、この最大第2マップ値map2(pmax,qmax)と行番号が一つ異なり且つ互いに同一の列に含まれる2つの隣接第2マップ値map2(pmax−1,u)、map2(pmax+1,u)と、を用いる(ここでu=2,3,・・・2m+1)。以下では一例として、u=qmaxである場合、すなわち、これらの2つの隣接第2マップ値が最大第2マップ値と同一の列に含まれる場合について説明する。
【0177】
図28は、本実施形態における第2接近座標(x2,y2)のx2の値の求め方に用いるグラフである。同図に示すグラフの横軸は、隣接第2マップ値map2(pmax−1,qmax)、最大第2マップ値map2(pmax,qmax)、および隣接第2マップ値map2(pmax+1,qmax)の各々に対応づけられている二次元座標のX2pqの値である。同グラフの縦軸は、各第2マップ値の値である。第1近接座標のx2の値を求めるには、同グラフの3つの第2マップ値を通る二次曲線を求める。そして、当該二次曲線の頂点の座標もしくは軸を求めるなどしてx2の値を計算する。
【0178】
本実施形態において、第2接近座標(x2,y2)のy2を計算するには、x2を計算する場合と同様に、最大第2マップ値map2(pmax,qmax)と、この最大第2マップ値map2(pmax,qmax)と列番号が一つ異なる行に含まれる2つの隣接第2マップ値map2(v,qmax−1)、map2(v,qmax+1)と、を用いる(ここでv=2,3,・・・2n+1)。これら2つの隣接第2マップ値は、互いに同一の列に含まれる。y2の値を計算する方法は、x2の値を計算するのと同様であるから説明を省略する。
【0179】
このようにして、計算部92は、導電体D2の接近位置を示す第2接近座標(x2,y2)を計算する。そして、ICチップ9は、計算した第2接近座標(x2,y2)と、既に計算した第1接近座標(x1,y1)とに関する信号を外部に出力する(S211)。
【0180】
以上の流れで、第1接近座標(x1,y1)および第2接近座標(x2,y2)を計算できる。
【0181】
次に本実施形態の作用について説明する。
【0182】
本実施形態においても、第1実施形態と同様に、導電体D2が接近していないにもかかわらず導電体D2が接近したと判断してしまう誤作動を、抑制することができる。
【0183】
本実施形態においては、第2マップ値map2(p,q)を用いて、第2接近座標(x2,y2)を計算している。第2マップ値map2(p,q)を作成できる数は、第1検出電極Exiの数、第2検出電極Eyjの数に制限されない。そのため、第2マップ値map2(p,q)を多く作成することで、より正確な第2接近座標(x2,y2)を計算することができる。
【0184】
本実施形態においては、第2接近座標(x2,y2)を計算するために、図28に示した二次曲線の頂点の座標もしくは軸を求めている。発明者らによると、このような計算方法は第2接近座標(x2,y2)を正確に求めるのに適することがわかった。
【0185】
次に、本発明の第6実施形態について説明する。本実施形態は、第1マップ値map1(p,q)が、第1値Vx(p,q)と第2値Vy(p,q)との和を累乗した値である点において、第1実施形態と相違する。
【0186】
すなわち、本実施形態において第1マップ値map1(p,q)は、
map1(p,q)=(Vx(p,q)+Vy(p,q))v・・・(1)’
(v=2,3,4・・・)
と定義される。
【0187】
第1値Vx(p,q)および第2値Vy(p,q)の求め方や、工程S103〜S106は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0188】
本実施形態によると、図29,図30に示す導電体D1の透過板2に対する接触面積が第1実施形態における接触面積よりも小さい場合であっても、導電体D1の接近位置を正確に計算できる。導電体D1の透過板2に対する接触面積が小さいといったことは、たとえば導電体D1の大きさが小さい場合(導電体D1が子供の指である場合、図29,図30参照)や、導電体D1たる指を透過板2に十分に押し当てていない場合に生じる。また本実施形態によると、ノイズの影響により、常時、複数の第1方向検出値Xch(i)がわずかに値を示している場合や、常時、複数の第2方向検出値Ych(j)がわずかに値を示している場合であっても、導電体D1の接近位置を正確に計算できる。その理由は以下のとおりである。
【0189】
導電体D1の透過板2に対する接触面積が小さい場合に導電体D1の接近位置を正確に計算するためには、ノイズに由来する第1方向検出値Xch(i)や第2方向検出値Ych(j)を用いて求められる第1マップ値map1(p,q)に対する、導電体D1が第1検出電極Exiおよび第2検出電極Eyjに接近した場合に大きくなる第1マップ値map1(p,q)、の比Raが大きいことが望ましい。また、ノイズの影響により、常時、複数の第1方向検出値Xch(i)がわずかに値を示している場合や、常時、複数の第2方向検出値Ych(j)がわずかに値を示している場合に、導電体D1の接近位置を正確に計算するためにも、比Raが大きいことが望ましい。比Raが大きいと、導電体D1の透過板2に対する接触面積が小さい場合であっても導電体D1が接近したとより確実に判断でき、且つ、ノイズの影響があっても導電体D1が接近したと誤判断しにくいしきい値を設定できるからである。
【0190】
また、本実施形態においては、指数vが1より大きいため、v=1である場合と比較して、比Raが大きくなる。このことは、図31〜図33を参照することにより理解できる。
【0191】
図31に、図30に示すように導電体D1が透過板2に接近した場合の、第1方向検出値Xch(i)および第2方向検出値Ych(j)ごとの各値を三次元の棒グラフで示している。
【0192】
第1検出電極Ex1〜Exnのうち、図30に示す導電体D1の透過板2に対する接触領域の大部分と対向し合うのは、第1検出電極Ex4である。そのため、図31では、第1方向検出値Xch(4)が他の第1方向検出値Xch(i)より大きい値を示している。導電体D1の透過板2に対する接触面積は第1実施形態における接触面積より小さいから、第1検出電極Ex4と対向する面積も小さい。そのため、第1方向検出値Xch(4)の値は第1実施形態における値より小さい。第1検出電極Ex1〜Exnのうち電極Ex3は、図30に示す導電体D1の透過板2に対する接触領域とわずかに対向し合う。そのため、図31では、第1方向検出値Xch(3)がわずかに値を示している。また、本実施形態では、ノイズの影響により、常時、複数の第1方向検出値Xch(i)がわずかな値を示す場合について述べる。図31では、ノイズの影響により、Xch(1),Xch(6),Xch(9)がわずかに値を示している。
【0193】
第2検出電極Ey1〜Eymのうち、図30に示す導電体D1の透過板2に対する接触領域と対向し合うのは、第2検出電極Ey10のみである。そのため、図31では、第2方向検出値Ych(10)が他の第2方向検出値Ych(j)より大きい値を示している。導電体D1の透過板2に対する接触面積は第1実施形態における接触面積より小さいから、第2検出電極Ey10と対向する面積も小さい。そのため、第2方向検出値Ych(10)の値は第1実施形態におけるものより小さい。また、本実施形態では、ノイズの影響により、常時、複数の第2方向検出値Ych(j)がわずかな値を示す場合について述べる。図31では、ノイズの影響により、Ych(3),Ych(6)がわずかに値を示している。
【0194】
図32に、図31に示す第1方向検出値Xch(i)および第2方向検出値Ych(j)を用い、(1)’式でv=1とした場合、すなわち第1実施形態で述べた方法で求めた場合の第1マップ値map1(p,q)を三次元で示している。図33に、図31に示す第1方向検出値Xch(i)および第2方向検出値Ych(j)を用い、(1)’式でv=3とした場合の第1マップ値map1(p,q)を三次元で示している。
【0195】
図32に示すように、導電体D1の透過板2に対する接触面積が小さいため、同図にてピークを示す第1マップ値map1(p,q)(たとえば、map1(8,20))は、他の第1マップ値map1(p,q)よりもわずかに大きい程度である。また、ノイズに由来する第1方向検出値Xch(i)(たとえばXch(6))や第2方向検出値Ych(j)(たとえばYch(6))を用いて求められる第1マップ値map1(p,q)(一例を図32にてRαで示す)が、比較的大きい値を示している。そのため、図32に示す場合は、比Raの値は比較的小さい。
【0196】
一方、図33では、図32に示す場合と比較して、ピークを示す第1マップ値map1(p,q)(たとえば、map1(8,20))が、他の第1マップ値map1(p,q)よりも極端に大きくなっている。また、図33では、ノイズに由来する第1方向検出値Xch(i)(たとえばXch(6))や第2方向検出値Ych(j)(たとえばYch(6))を用いて求められる第1マップ値map1(p,q)(一例を図33にてRαで示す)が、比較的小さくなっている。そのため、図33に示す場合は、比Raの値は比較的大きい。
【0197】
以上より、本実施形態では、v=1である場合と比較して、比Raが大きくなることがわかる。
【0198】
したがって、本実施形態によれば、導電体D1の透過板2に対する接触面積が第1実施形態における面積より小さい場合であっても、導電体D1の接近位置を正確に計算できる。また、本実施形態によれば、ノイズの影響により、常時、複数の第1方向検出値Xch(i)がわずかに値を示している場合や、常時、複数の第2方向検出値Ych(j)がわずかに値を示している場合であっても、導電体D1の接近位置を正確に計算できる。
【0199】
なお、本実施形態と同様に、第4実施形態において、第1マップ値map1(p,q)を、
map1(p,q)=(Vx(p,q)+Vy(p,q))v・・・(1)’
(v=2,3,4・・・)
と定義して、計算してもよい。
【0200】
さらに、第2マップ値map2(p,q)を、
map2(p,q)=(Wx(p,q)+Wy(p,q))w・・・(6)’
(w=2,3,4・・・)
と定義して計算してもよい。
また、v=wとして計算してもよい。
【0201】
このような構成によっても、上述のように、導電体D1,D2の接近位置をそれぞれ、正確に計算できる。
【0202】
本発明の範囲は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。たとえば、第1マップ値は、第1値と第2値との和である例を示したが、第1値と第2値とを掛け合わせた第1マップ値を所定のしきい値と比較することにより、導電体の接近の有無を判断してもよい。
【0203】
上記の実施形態においては、第1検出電極と第2検出電極とが異なる基板上に形成されているが、これらの第1検出電極および第2検出電極は単一基板上に形成されていてもよい。
【0204】
本発明にかかる入力装置は、携帯電話機に用いられるものに限られない。たとえば、デジタルカメラ、パーソナルナビゲーションデバイス、自動預入支払機等、タッチパネルを用いる機器において、本発明の入力装置を利用することができる。
【0205】
第1マップ値map1(p,q)を作成する工程(S102)と、導電体D1の接近の有無を判断する工程(S103)との間に、ノイズの影響によりわずかに値を示す第1マップ値map1(p,q)を0にする計算を行ってもよい。このような計算は、たとえば、ある値以下の第1マップ値map1(p,q)を0とすることにより行われる。
【符号の説明】
【0206】
A1 入力装置
1,2 透過板
3,3’ 配線
4 樹脂層
5 スペーサ
6 異方性導電樹脂部
7 シールド層
8 フレキシブル基板
9 ICチップ
91 記憶部
92 計算部
Exi 第1検出電極
Eyj 第2検出電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に配列され且つ上記第1方向と交差する第2方向に延びる複数の第1検出電極と、
上記第2方向に配列され且つ上記第1方向に延びる複数の第2検出電極と、
導電体と各第1検出電極との間の静電容量の変化に伴い各第1検出電極を介して得られる値をそれぞれ複数の第1方向検出値として記憶し、且つ、上記導電体と各第2検出電極との間の静電容量の変化に伴い各第2検出電極を介して得られる値をそれぞれ複数の第2方向検出値として記憶する記憶手段と、
計算部と、を備え、
上記計算部は、
上記複数の第1方向検出値の少なくともいずれかについて演算した第1値と、上記複数の第2方向検出値の少なくともいずれかについて演算した第2値とを演算した第1マップ値を複数作成する処理と、
複数の上記第1マップ値を用いて上記導電体の接近の有無を判断する処理とを実行する、静電容量式入力装置。
【請求項2】
複数の上記第1マップ値は、複数の上記第1マップ値のうちで最も大きい最大第1マップ値を含み、
上記導電体の接近の有無を判断する処理においては、上記最大第1マップ値と所定のしきい値とを比較する、請求項1に記載の静電容量式入力装置。
【請求項3】
上記第1値は、上記第1検出電極と所定領域とが重なる面積を重みとして、上記複数の第1方向検出値の少なくともいずれかについて加算した値であり、
上記第2値は、上記第2検出電極と上記所定領域とが重なる面積を重みとして、上記複数の第2方向検出値の少なくともいずれかについて加算した値である、請求項1または2に記載の静電容量式入力装置。
【請求項4】
上記第1マップ値は、上記第1値と上記第2値との和である、請求項1ないし3のいずれかに記載の静電容量式入力装置。
【請求項5】
上記第1マップ値は、上記第1値と上記第2値との和を累乗した値である、請求項1ないし3のいずれかに記載の静電容量式入力装置。
【請求項6】
各第1マップ値は、上記第1方向における一つの座標値と上記第2方向における一つの座標値とを一組含む二次元座標に対応付けられており、
上記計算部は、複数の上記第1マップ値を用いて上記第1方向と上記第2方向とにおける上記導電体の第1接近位置を計算する処理を更に実行する、請求項1ないし5のいずれかに記載の静電容量式入力装置。
【請求項7】
上記第1接近位置を計算する処理においては、複数の上記第1マップ値のうちの一部のみを用いて上記第1接近位置を計算する、請求項6に記載の静電容量式入力装置。
【請求項8】
各第1マップ値は、行成分がそれぞれ上記第1方向における一つの座標値に対応づけられ且つ列成分がそれぞれ上記第2方向における一つの座標値に対応づけられた第1行列の複数の要素のいずれかであり、
上記第1行列においては、行番号が増加するにつれ当該行成分に対応づけられた上記第1方向における座標値が単調に変化し、且つ、列番号が増加するにつれ当該列成分に対応づけられた上記第2方向における座標値が単調に変化し、
複数の上記第1マップ値は、複数の上記第1マップ値のうちで最も大きい最大第1マップ値と、当該最大第1マップ値と行番号が一つ異なり且つ互いに列番号が同一である2つの隣接第1マップ値とを含み、
上記第1接近位置を計算する処理においては、上記最大第1マップ値と上記2つの隣接第1マップ値とを用い、上記第1接近位置を計算する、請求項7に記載の静電容量式入力装置。
【請求項9】
複数の上記第1検出電極は、上記複数の第1検出電極のうち上記第1接近位置に最も近接する第1近接検出電極を含み、
複数の上記第2検出電極は、上記複数の第2検出電極のうち上記第1接近位置に最も近接する第2近接検出電極を含み、
上記計算部は、第2接近位置計算の準備処理を実行し、
当該準備処理は、上記記憶手段における、上記複数の第1方向検出値のうち上記第1近接検出電極に対応する値を小さく変換し、且つ、上記記憶手段における、上記複数の第2方向検出値のうち上記第2近接検出電極に対応する値を小さく変換するものである、請求項1ないし8のいずれかに記載の静電容量式入力装置。
【請求項10】
上記計算部は、上記準備処理が行われた後に、上記複数の第1方向検出値の少なくともいずれかについて演算した第3値と、上記複数の第2方向検出値の少なくともいずれかについて演算した第4値とを演算した第2マップ値を複数作成する処理と、
複数の上記第2マップ値を用いて上記導電体の接近の有無を判断する処理とを更に実行する、請求項9に記載の静電容量式入力装置。
【請求項11】
各第2マップ値は、上記第1方向における一つの座標値と上記第2方向における座標値とを一組含む二次元座標に対応付けられており、
上記計算部は、複数の上記第2マップ値を用いて上記導電体の上記第1方向および上記第2方向における第2接近位置を計算する処理を更に実行する、請求項10に記載の静電容量式入力装置。
【請求項12】
上記第2接近位置を計算する処理においては、複数の上記第2マップ値のうちの一部のみを用いて上記第2接近位置を計算する、請求項11に記載の静電容量式入力装置。
【請求項13】
各第2マップ値は、行成分がそれぞれ上記第1方向における一つの座標値に対応づけられ且つ列成分がそれぞれ上記第2方向における一つの座標値に対応づけられた第2行列の複数の要素のいずれかであり、
上記第2行列においては、行番号が増加するにつれ当該行成分に対応づけられた上記第1方向における座標値が単調に変化し、且つ、列番号が増加するにつれ当該列成分に対応づけられた上記第2方向における座標値が単調に変化し、
複数の上記第2マップ値は、複数の上記第2マップ値のうちで最も大きい最大第2マップ値と、当該最大第2マップ値と列番号が一つ異なり且つ互いに行番号が同一である2つの隣接第2マップ値とを含み、
上記第2接近位置を計算する処理においては、上記最大第2マップ値と上記2つの隣接第2マップ値とを用い、上記第2接近位置を計算する、請求項12に記載の静電容量式入力装置。
【請求項14】
第1方向に配列され且つ上記第1方向と交差する第2方向に延びる複数の第1検出電極と、
上記第2方向に配列され且つ上記第1方向に延びる複数の第2検出電極とを備える静電容量式入力装置における導電体の接近位置の計算方法であって、
上記導電体と各第1検出電極との静電容量の変化に伴い各第1検出電極を介して得られる値をそれぞれ複数の第1方向検出値として記憶手段に記憶し、
上記導電体と各第2検出電極との静電容量の変化に伴い各第2検出電極を介して得られる値をそれぞれ複数の第2方向検出値として上記記憶手段に記憶し、
上記複数の第1方向検出値の少なくともいずれかについて演算した第1値と、上記複数の第2方向検出値の少なくともいずれかについて演算した第2値とを演算した第1マップ値を複数作成し、
複数の上記第1マップ値を用いて上記導電体の接近の有無を判断する各工程を備える、静電容量式入力装置における導電体の接近位置の計算方法。
【請求項15】
複数の上記第1マップ値は、複数の上記第1マップ値のうちで最も大きい最大第1マップ値を含み、
上記判断する工程においては、上記最大第1マップ値と所定のしきい値とを比較する、請求項14に記載の計算方法。
【請求項16】
上記第1値は、上記第1検出電極と所定領域とが重なる面積を重みとして、上記複数の第1方向検出値の少なくともいずれかについて加算した値であり、
上記第2値は、上記第2検出電極と上記所定領域とが重なる面積を重みとして、上記複数の第2方向検出値の少なくともいずれかについて加算した値である、請求項14または15に記載の計算方法。
【請求項17】
上記第1マップ値は、上記第1値と上記第2値との和である、請求項14ないし16のいずれかに記載の計算方法。
【請求項18】
上記第1マップ値は、上記第1値と上記第2値との和を累乗した値である、請求項14ないし16のいずれかに記載の計算方法。
【請求項19】
各第1マップ値は、上記第1方向における一つの座標値と上記第2方向における一つの座標値とを一組含む二次元座標に対応付けられており、
複数の上記第1マップ値を用いて上記第1方向と上記第2方向とにおける上記導電体の第1接近位置を計算する工程を更に備える、請求項14ないし18のいずれかに記載の計算方法。
【請求項20】
上記第1接近位置を計算する工程においては、複数の上記第1マップ値のうちの一部のみを用いて上記第1接近位置を計算する、請求項19に記載の計算方法。
【請求項21】
各第1マップ値は、行成分がそれぞれ上記第1方向における一つの座標値に対応づけられ且つ列成分がそれぞれ上記第2方向における一つの座標値に対応づけられた第1行列の複数の要素のいずれかであり、
上記第1行列においては、行番号が増加するにつれ当該行成分に対応づけられた上記第1方向における座標値が単調に変化し、且つ、列番号が増加するにつれ当該列成分に対応づけられた上記第2方向における座標値が単調に変化し、
複数の上記第1マップ値は、複数の上記第1マップ値のうちで最も大きい最大第1マップ値と、当該最大第1マップ値と行番号が一つ異なり且つ互いに列番号が同一である2つの隣接第1マップ値とを含み、
上記第1接近位置を計算する工程においては、上記最大第1マップ値と上記2つの隣接第1マップ値とを用い、上記第1接近位置を計算する、請求項20に記載の計算方法。
【請求項22】
複数の上記第1検出電極は、上記複数の第1検出電極のうち上記第1接近位置に最も近接する第1近接検出電極を含み、
複数の上記第2検出電極は、上記複数の第2検出電極のうち上記第1接近位置に最も近接する第2近接検出電極を含み、
第2接近位置計算の準備を行う工程を更に備え、
当該準備を行う工程は、上記記憶手段における、上記複数の第1方向検出値のうち上記第1近接検出電極に対応する値を小さく変換し、且つ、上記記憶手段における、上記複数の第2方向検出値のうち上記第2近接検出電極に対応する値を小さく変換するものである、請求項14ないし21のいずれかに記載の計算方法。
【請求項23】
上記準備を行う工程の後に、上記複数の第1方向検出値の少なくともいずれかについて演算した第3値と、複数の第2方向検出値の少なくともいずれかについて演算した第4値とを演算した第2マップ値を複数作成する工程と、
複数の上記第2マップ値を用いて上記導電体の接近の有無を判断する工程とを更に備える、請求項22に記載の計算方法。
【請求項24】
各第2マップ値は、上記第1方向における一つの座標値と上記第2方向における座標値とを一組含む二次元座標に対応付けられており、
複数の上記第2マップ値を用いて上記導電体の上記第1方向および上記第2方向における第2接近位置を計算する工程を更に備える、請求項23に記載の計算方法。
【請求項25】
上記第2接近位置を計算する工程においては、複数の上記第2マップ値のうちの一部のみを用いて上記第2接近位置を計算する、請求項24に記載の計算方法。
【請求項26】
各第2マップ値は、行成分がそれぞれ上記第1方向における一つの座標値に対応づけられ且つ列成分がそれぞれ上記第2方向における一つの座標値に対応づけられた第2行列の複数の要素のいずれかであり、
上記第2行列においては、行番号が増加するにつれ当該行成分に対応づけられた上記第1方向における座標値が単調に変化し、且つ、列番号が増加するにつれ当該列成分に対応づけられた上記第2方向における座標値が単調に変化し、
複数の上記第2マップ値は、複数の上記第2マップ値のうちで最も大きい最大第2マップ値と、当該最大第2マップ値と列番号が一つ異なり且つ互いに行番号が同一である2つの隣接第2マップ値とを含み、
上記第2接近位置を計算する工程においては、上記最大第2マップ値と上記2つの隣接第2マップ値とを用い、上記第2接近位置を計算する、請求項25に記載の計算方法。
【請求項1】
第1方向に配列され且つ上記第1方向と交差する第2方向に延びる複数の第1検出電極と、
上記第2方向に配列され且つ上記第1方向に延びる複数の第2検出電極と、
導電体と各第1検出電極との間の静電容量の変化に伴い各第1検出電極を介して得られる値をそれぞれ複数の第1方向検出値として記憶し、且つ、上記導電体と各第2検出電極との間の静電容量の変化に伴い各第2検出電極を介して得られる値をそれぞれ複数の第2方向検出値として記憶する記憶手段と、
計算部と、を備え、
上記計算部は、
上記複数の第1方向検出値の少なくともいずれかについて演算した第1値と、上記複数の第2方向検出値の少なくともいずれかについて演算した第2値とを演算した第1マップ値を複数作成する処理と、
複数の上記第1マップ値を用いて上記導電体の接近の有無を判断する処理とを実行する、静電容量式入力装置。
【請求項2】
複数の上記第1マップ値は、複数の上記第1マップ値のうちで最も大きい最大第1マップ値を含み、
上記導電体の接近の有無を判断する処理においては、上記最大第1マップ値と所定のしきい値とを比較する、請求項1に記載の静電容量式入力装置。
【請求項3】
上記第1値は、上記第1検出電極と所定領域とが重なる面積を重みとして、上記複数の第1方向検出値の少なくともいずれかについて加算した値であり、
上記第2値は、上記第2検出電極と上記所定領域とが重なる面積を重みとして、上記複数の第2方向検出値の少なくともいずれかについて加算した値である、請求項1または2に記載の静電容量式入力装置。
【請求項4】
上記第1マップ値は、上記第1値と上記第2値との和である、請求項1ないし3のいずれかに記載の静電容量式入力装置。
【請求項5】
上記第1マップ値は、上記第1値と上記第2値との和を累乗した値である、請求項1ないし3のいずれかに記載の静電容量式入力装置。
【請求項6】
各第1マップ値は、上記第1方向における一つの座標値と上記第2方向における一つの座標値とを一組含む二次元座標に対応付けられており、
上記計算部は、複数の上記第1マップ値を用いて上記第1方向と上記第2方向とにおける上記導電体の第1接近位置を計算する処理を更に実行する、請求項1ないし5のいずれかに記載の静電容量式入力装置。
【請求項7】
上記第1接近位置を計算する処理においては、複数の上記第1マップ値のうちの一部のみを用いて上記第1接近位置を計算する、請求項6に記載の静電容量式入力装置。
【請求項8】
各第1マップ値は、行成分がそれぞれ上記第1方向における一つの座標値に対応づけられ且つ列成分がそれぞれ上記第2方向における一つの座標値に対応づけられた第1行列の複数の要素のいずれかであり、
上記第1行列においては、行番号が増加するにつれ当該行成分に対応づけられた上記第1方向における座標値が単調に変化し、且つ、列番号が増加するにつれ当該列成分に対応づけられた上記第2方向における座標値が単調に変化し、
複数の上記第1マップ値は、複数の上記第1マップ値のうちで最も大きい最大第1マップ値と、当該最大第1マップ値と行番号が一つ異なり且つ互いに列番号が同一である2つの隣接第1マップ値とを含み、
上記第1接近位置を計算する処理においては、上記最大第1マップ値と上記2つの隣接第1マップ値とを用い、上記第1接近位置を計算する、請求項7に記載の静電容量式入力装置。
【請求項9】
複数の上記第1検出電極は、上記複数の第1検出電極のうち上記第1接近位置に最も近接する第1近接検出電極を含み、
複数の上記第2検出電極は、上記複数の第2検出電極のうち上記第1接近位置に最も近接する第2近接検出電極を含み、
上記計算部は、第2接近位置計算の準備処理を実行し、
当該準備処理は、上記記憶手段における、上記複数の第1方向検出値のうち上記第1近接検出電極に対応する値を小さく変換し、且つ、上記記憶手段における、上記複数の第2方向検出値のうち上記第2近接検出電極に対応する値を小さく変換するものである、請求項1ないし8のいずれかに記載の静電容量式入力装置。
【請求項10】
上記計算部は、上記準備処理が行われた後に、上記複数の第1方向検出値の少なくともいずれかについて演算した第3値と、上記複数の第2方向検出値の少なくともいずれかについて演算した第4値とを演算した第2マップ値を複数作成する処理と、
複数の上記第2マップ値を用いて上記導電体の接近の有無を判断する処理とを更に実行する、請求項9に記載の静電容量式入力装置。
【請求項11】
各第2マップ値は、上記第1方向における一つの座標値と上記第2方向における座標値とを一組含む二次元座標に対応付けられており、
上記計算部は、複数の上記第2マップ値を用いて上記導電体の上記第1方向および上記第2方向における第2接近位置を計算する処理を更に実行する、請求項10に記載の静電容量式入力装置。
【請求項12】
上記第2接近位置を計算する処理においては、複数の上記第2マップ値のうちの一部のみを用いて上記第2接近位置を計算する、請求項11に記載の静電容量式入力装置。
【請求項13】
各第2マップ値は、行成分がそれぞれ上記第1方向における一つの座標値に対応づけられ且つ列成分がそれぞれ上記第2方向における一つの座標値に対応づけられた第2行列の複数の要素のいずれかであり、
上記第2行列においては、行番号が増加するにつれ当該行成分に対応づけられた上記第1方向における座標値が単調に変化し、且つ、列番号が増加するにつれ当該列成分に対応づけられた上記第2方向における座標値が単調に変化し、
複数の上記第2マップ値は、複数の上記第2マップ値のうちで最も大きい最大第2マップ値と、当該最大第2マップ値と列番号が一つ異なり且つ互いに行番号が同一である2つの隣接第2マップ値とを含み、
上記第2接近位置を計算する処理においては、上記最大第2マップ値と上記2つの隣接第2マップ値とを用い、上記第2接近位置を計算する、請求項12に記載の静電容量式入力装置。
【請求項14】
第1方向に配列され且つ上記第1方向と交差する第2方向に延びる複数の第1検出電極と、
上記第2方向に配列され且つ上記第1方向に延びる複数の第2検出電極とを備える静電容量式入力装置における導電体の接近位置の計算方法であって、
上記導電体と各第1検出電極との静電容量の変化に伴い各第1検出電極を介して得られる値をそれぞれ複数の第1方向検出値として記憶手段に記憶し、
上記導電体と各第2検出電極との静電容量の変化に伴い各第2検出電極を介して得られる値をそれぞれ複数の第2方向検出値として上記記憶手段に記憶し、
上記複数の第1方向検出値の少なくともいずれかについて演算した第1値と、上記複数の第2方向検出値の少なくともいずれかについて演算した第2値とを演算した第1マップ値を複数作成し、
複数の上記第1マップ値を用いて上記導電体の接近の有無を判断する各工程を備える、静電容量式入力装置における導電体の接近位置の計算方法。
【請求項15】
複数の上記第1マップ値は、複数の上記第1マップ値のうちで最も大きい最大第1マップ値を含み、
上記判断する工程においては、上記最大第1マップ値と所定のしきい値とを比較する、請求項14に記載の計算方法。
【請求項16】
上記第1値は、上記第1検出電極と所定領域とが重なる面積を重みとして、上記複数の第1方向検出値の少なくともいずれかについて加算した値であり、
上記第2値は、上記第2検出電極と上記所定領域とが重なる面積を重みとして、上記複数の第2方向検出値の少なくともいずれかについて加算した値である、請求項14または15に記載の計算方法。
【請求項17】
上記第1マップ値は、上記第1値と上記第2値との和である、請求項14ないし16のいずれかに記載の計算方法。
【請求項18】
上記第1マップ値は、上記第1値と上記第2値との和を累乗した値である、請求項14ないし16のいずれかに記載の計算方法。
【請求項19】
各第1マップ値は、上記第1方向における一つの座標値と上記第2方向における一つの座標値とを一組含む二次元座標に対応付けられており、
複数の上記第1マップ値を用いて上記第1方向と上記第2方向とにおける上記導電体の第1接近位置を計算する工程を更に備える、請求項14ないし18のいずれかに記載の計算方法。
【請求項20】
上記第1接近位置を計算する工程においては、複数の上記第1マップ値のうちの一部のみを用いて上記第1接近位置を計算する、請求項19に記載の計算方法。
【請求項21】
各第1マップ値は、行成分がそれぞれ上記第1方向における一つの座標値に対応づけられ且つ列成分がそれぞれ上記第2方向における一つの座標値に対応づけられた第1行列の複数の要素のいずれかであり、
上記第1行列においては、行番号が増加するにつれ当該行成分に対応づけられた上記第1方向における座標値が単調に変化し、且つ、列番号が増加するにつれ当該列成分に対応づけられた上記第2方向における座標値が単調に変化し、
複数の上記第1マップ値は、複数の上記第1マップ値のうちで最も大きい最大第1マップ値と、当該最大第1マップ値と行番号が一つ異なり且つ互いに列番号が同一である2つの隣接第1マップ値とを含み、
上記第1接近位置を計算する工程においては、上記最大第1マップ値と上記2つの隣接第1マップ値とを用い、上記第1接近位置を計算する、請求項20に記載の計算方法。
【請求項22】
複数の上記第1検出電極は、上記複数の第1検出電極のうち上記第1接近位置に最も近接する第1近接検出電極を含み、
複数の上記第2検出電極は、上記複数の第2検出電極のうち上記第1接近位置に最も近接する第2近接検出電極を含み、
第2接近位置計算の準備を行う工程を更に備え、
当該準備を行う工程は、上記記憶手段における、上記複数の第1方向検出値のうち上記第1近接検出電極に対応する値を小さく変換し、且つ、上記記憶手段における、上記複数の第2方向検出値のうち上記第2近接検出電極に対応する値を小さく変換するものである、請求項14ないし21のいずれかに記載の計算方法。
【請求項23】
上記準備を行う工程の後に、上記複数の第1方向検出値の少なくともいずれかについて演算した第3値と、複数の第2方向検出値の少なくともいずれかについて演算した第4値とを演算した第2マップ値を複数作成する工程と、
複数の上記第2マップ値を用いて上記導電体の接近の有無を判断する工程とを更に備える、請求項22に記載の計算方法。
【請求項24】
各第2マップ値は、上記第1方向における一つの座標値と上記第2方向における座標値とを一組含む二次元座標に対応付けられており、
複数の上記第2マップ値を用いて上記導電体の上記第1方向および上記第2方向における第2接近位置を計算する工程を更に備える、請求項23に記載の計算方法。
【請求項25】
上記第2接近位置を計算する工程においては、複数の上記第2マップ値のうちの一部のみを用いて上記第2接近位置を計算する、請求項24に記載の計算方法。
【請求項26】
各第2マップ値は、行成分がそれぞれ上記第1方向における一つの座標値に対応づけられ且つ列成分がそれぞれ上記第2方向における一つの座標値に対応づけられた第2行列の複数の要素のいずれかであり、
上記第2行列においては、行番号が増加するにつれ当該行成分に対応づけられた上記第1方向における座標値が単調に変化し、且つ、列番号が増加するにつれ当該列成分に対応づけられた上記第2方向における座標値が単調に変化し、
複数の上記第2マップ値は、複数の上記第2マップ値のうちで最も大きい最大第2マップ値と、当該最大第2マップ値と列番号が一つ異なり且つ互いに行番号が同一である2つの隣接第2マップ値とを含み、
上記第2接近位置を計算する工程においては、上記最大第2マップ値と上記2つの隣接第2マップ値とを用い、上記第2接近位置を計算する、請求項25に記載の計算方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図15】
【図16】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図8】
【図14】
【図17】
【図18】
【図31】
【図32】
【図2】
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【図5】
【図6】
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【図11】
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【図16】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図8】
【図14】
【図17】
【図18】
【図31】
【図32】
【公開番号】特開2011−192248(P2011−192248A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91126(P2010−91126)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】
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