説明

静電気吸収帯電放電剤及びその製造方法

【課題】本発明は、例えば船底塗料に添加して使用されて静電気を帯電、放電等することにより、海棲生物が船底に付着するのを防止できる静電気吸収帯電放電剤及びその製造方法を提供する。
【解決手段】静電気吸収帯電放電剤は粉体のセラミックス体と、このセラミックス体の表面及び微細孔の内面に結合された炭素から構成されている。前記セラミックス体はマグネシウム、アルミニウム、珪素、鉄等を含有している。前記セラミックス体は直径が300μm〜600μmの粉体状に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発生した静電気を吸収、帯電、放電することができる静電気吸収帯電放電剤とその製造方法に関し、例えば船底用塗料に添加することにより船底に貝類や海藻等の海棲生物が付着するのを防止することができる静電気吸収帯電放電剤及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
海洋には極めて多種の海棲生物が生息しているため、海洋を航行したり、海洋に停泊したりする船舶の船底等にはフジツボ、カラス貝等の貝類や海藻等をはじめとする海棲生物が付着する。
従って、船底にフジツボ、カラス貝の貝類や海藻等の海棲生物が付着した船舶を航行させると船舶と海水の摩擦抵抗が増大し、船舶の航行速度が低下して燃料の浪費につながると共に燃料費用が増加するという不具合がある。
また、上記不具合を解消するために船舶の船底に付着している海棲生物を取り除くために清掃すると清掃作業等の労働負担、清掃費用等が増大する。
そこで、船舶の船底にフジツボ、カラス貝等の貝類や海藻等の海棲生物が付着するのを予防するためにフジツボ、カラス貝等の貝類や海藻等の海棲生物が忌避する性質を有する物質を含有してなる船底塗料が提案されている(特許文献1)。
しかし、船底に前記船底塗料を塗装すると船底塗料に含有されている海棲生物が忌避する有害物質が海水に溶け込み、これにより海洋環境に悪影響を及ぼすおそれがあるという不具合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−320106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事実に鑑みなされたものであり、例えば船底塗料に添加して静電気を吸収、帯電、放電することにより、海棲生物が静電気吸収帯電放電剤に帯電、放電される静電気を忌避することにより前記海棲生物が船底に付着するのを防止できる静電気吸収帯電放電剤及びその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、粉体状のセラミックス体と、このセラミックス体に形成された多数の微細孔と、前記セラミックス体の表面及び前記微細孔の内面に結合された炭素と、を有してなることを特徴としている。
請求項2の発明は、アルミニウム、珪素、鉄、を含有する粉体状のセラミックス体と、このセラミックス体に形成された多数の微細孔と、前記セラミックス体の表面及び前記微細孔の内面に結合された炭素と、を有してなることを特徴としている。
請求項3の発明は、アルミニウム、珪素、カリウム、鉄、を含有する粉体状のセラミックス体と、このセラミックス体に形成された多数の微細孔と、前記セラミックス体の表面及び前記微細孔の内面に結合された炭素と、を有してなることを特徴としている。
請求項4の発明は、マグネシウム、アルミニウム、珪素、カリウム、カルシウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ルビジウム、ストロンチウム、ジルコニウム、バリウム、鉛、を含有する粉体状のセラミックス体と、このセラミックス体に形成された多数の微細孔と、前記セラミックス体の表面及び前記微細孔の内面に結合された炭素と、を有してなることを特徴としている。
請求項5の発明は、前記炭素の結合量を0.3質量%にしたことを特徴としている。
請求項6の発明は、前記炭素の結合量を2.7質量%以下にしたことを特徴としている。
請求項7の発明は、静電気吸収帯電放電剤の製造方法であって、セラミックス原料と気孔形成素材と水を混合して第1半製品を製造する第1半製品製造工程と、この第1半製品を乾燥して第2半製品を製造する第2半製品製造工程と、この第2半製品を炉で焼成して第3半製品を製造する第3半製品製造工程と、この第3半製品を炉内に収容してガス状又は霧状の炭化水素化合物を入れて前記第3半製品に炭素を結合させた第4半製品を製造する第4半製品製造工程と、この第4半製品を粉砕して静電気吸収帯電放電剤を製造することを特徴としている。
請求項8の発明は、静電気吸収帯電放電剤の製造方法であって、セラミックス原料と気孔形成素材と水を混合して第1半製品を製造する第1半製品製造工程と、この第1半製品を乾燥して第2半製品を製造する第2半製品製造工程と、この第2半製品を炉で焼成して第3半製品を製造する第3半製品製造工程と、この第3半製品を炉内に収容してガス状又は霧状の炭化水素化合物を入れて前記第3半製品の表面及び微細孔の内面に炭素を結合させた第4半製品を製造する第4半製品製造工程と、この第4半製品を粉砕して静電気吸収帯電放電剤を製造することを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
本発明の静電気吸収帯電放電剤は、静電気を吸収、帯電、放電することができるという優れた効果を有する。
本発明の静電気吸収帯電放電剤は、静電気を吸収、帯電、放電するので例えば船底塗料に添加して使用した場合には静電気を海棲生物が静電気を忌避するため海棲生物が船底に付着するのを防止でき、しかも海洋に悪影響を与えることがないという優れた効果を有する。
本発明の静電気吸収帯電放電剤の製造方法は、静電気吸収帯電放電剤を製造することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施例の静電気吸収帯電放電剤の分析結果を示す分析図である。
【図2】実施例の静電気吸収帯電放電剤の製造方法の実施例を示す製造工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
発明を実施するために最良の形態の例として以下のような実施例を示す。
【実施例1】
【0009】
以下に本発明に係る静電気吸収帯電放電剤及びその製造方法の一実施例を説明する。なお、実施例では本発明に係る静電気吸収帯電放電剤を船舶の船底に塗装される船底塗料に添加する場合を一例にして説明する。
本発明に係る静電気吸収帯電放電剤は粉体のセラミックス体とセラミックス体に結合された炭素から構成されている。前記セラミックス体は直径が300μm〜600μmの粉体状に形成されている。
前記静電気吸収帯電放電剤のセラミックス体の成分は図1に示すようにマグネシウム(Mg)が0.157質量%、アルミニウム(Al)が29.7質量%、珪素(Si)が56.3質量%、カリウム(K)が8.57質量%、カルシウム(Ca)が0.728質量%、チタン(Ti)が1.00質量%、クロム(Cr)が0.0174質量%、マンガン(Mn)が0.0408質量%、鉄(Fe)が2.87質量%、ニッケル(Ni)が0.0121質量%、銅(Cu)が0.0106質量%、亜鉛(Zn)が0.0242質量%、ガリウム(Ga)が0.0182質量%、ルビジウム(Rb)が0.0637質量%、ストロンチウム(Sr)が0.0136質量%、ジルコニウム(Zr)が0.0312質量%、バリウム(Ba)が0.0815質量%、鉛(Pb)が0.0576質量%を含有している。
このセラミックス体には炭素(C)が結合され、セラミックス体は炭素(C)を0.300質量%、を含有している。
前記静電気吸収帯電放電剤のセラミックス体には極めて多数の微細孔が形成されている。このセラミックス体の表面及び前記多数の微細孔の内面にはまんべんなく炭素が結合されている。従って、静電気吸収帯電放電剤のセラミックス体に結合されている炭素の量を多くすることができる。
前記静電気吸収帯電放電剤を船底塗料の添加剤として使用する場合について説明する。
前記静電気吸収帯電放電剤を船底塗料に添加する場合の添加割合としては一般的に船底塗料95〜75重量%:静電気吸収帯電放電剤5〜25重量%の割合が好ましい。
なお、この実施例では船底塗料と静電気吸収帯電放電剤の混合割合は船底塗料85重量%:静電気吸収帯電放電剤15重量%とした。
前記船底塗料と静電気吸収帯電放電剤を混合する場合は公知で市販されている船底塗料をペイントミキサー等の攪拌機で攪拌しながら船底塗料85重量%に対して静電気吸収帯電放電剤15重量%を加えてペイントミキサー等の攪拌機で船底塗料と静電気吸収帯電放電剤をよく攪拌する。
そして、静電気吸収帯電放電剤を混合した船底塗料を船底に厚み1mm塗装する。この場合、静電気吸収帯電放電剤を混合した船底塗料を船底に二度塗りすることにより充分な塗膜を形成することができる。なお、静電気吸収帯電放電剤を混合した船底塗料の塗装する厚みや塗装する回数等は使用する船舶の大きさや船舶の種類等に応じて適宜行う。
静電気吸収帯電放電剤を添加した船底塗料を船底に塗装した船舶を海洋で航行させると前記船舶の船底は海水と摩擦により静電気が発生する。
発生した静電気は船底塗料に添加されたセラミックス体の表面及びセラミックス体に形成された微細孔の内面にまんべんなく結合されている炭素とセラミックス体のセラミックスが協働して静電気の吸収効果を著しく高めるため静電気吸収帯電放電剤に吸収される。
また、前記静電気吸収帯電放電剤に吸収された静電気はセラミックス体の表面及びセラミックス体に形成された微細孔の内面にまんべんなく結合されている炭素とセラミックス体のセラミックスが協働することにより静電気吸収帯電放電剤に帯電する。
従って、海洋を航行する船舶によって発生した静電気が静電気吸収帯電放電剤に帯電するとフジツボ、カラス貝等の貝類や海藻等の海棲生物が船底に付着しようとして船底に接近しても前記海棲生物は静電気を忌避するため船底に付着しない。また、船底にフジツボ、カラス貝等の貝類や海藻等の海棲生物が船底に付着したとしても前記海棲生物は静電気吸収帯電放電剤に帯電している静電気を忌避するため船底から直ぐに離脱する。
なお、前記静電気吸収帯電放電剤に吸収、帯電された静電気は船舶が停泊している時のように船底と海水との間にほとんど摩擦が生じないために静電気がほとんど発生していない場合においては静電気吸収帯電放電剤に帯電されている静電気が自然放電される。
従って、停泊している船舶の船底に付着しようとフジツボ、カラス貝等の貝類や海藻等の海棲生物が接近すると前記静電気吸収帯電放電剤から自然放電されている静電気を忌避するため船底に付着することはない。
この結果、船舶が航行中や停泊中に関係なく船舶の船底にフジツボ、カラス貝等の貝類や海藻等の海棲生物が付着するのを防止できる。
前記静電気吸収帯電放電剤を船底塗料に添加することにより船底にフジツボ、カラス貝等の貝類や海藻等の海棲生物が付着するのを確実に防止できるので船舶を航行させる場合の摩擦を防止できるので燃費を向上できるため、燃料代を大幅に削減することができる。
また、前記静電気吸収帯電放電剤の静電気を吸収、帯電、放電する効果は長期間持続するので前記海棲生物の付着を少なくとも平均6ヶ月〜8ヶ月防止することができ、従来の船底塗料では年間2〜3回行ってきた船底塗装等のメンテナンスを少なくすることができるのでメンテナンス費用を大幅に抑えることができる。
さらに、前記静電気吸収帯電放電剤は静電気を帯電、放電することによりフジツボ、カラス貝等の貝類や海藻等の海棲生物が船底に付着するのを防止するので、船底塗料に前記海棲生物が忌避する有害物質を添加する必要がないので船底塗料を船底に塗装しても有害物質が海水に溶けることはないため海洋を汚染する等の海洋に悪影響を与えることはない。
なお、静電気吸収帯電放電剤の船底塗料に対する添加率は5重量%〜25重量%と少なくて済むので、船底塗料の塗料発色、船底塗料の伸び等にほとんど影響を与えることは無い。
また、本発明の静電気吸収帯電放電剤は船底塗料に添加した場合に船底塗料と化学反応をおこしたりすることはないので船底塗料の品種に制限が無いので使用者の好みの色の船底塗料や最適な価格の船底塗料を選択して使用することができる。
【0010】
次に、前記静電気吸収帯電放電剤の製造方法の第1実施例を図2に基づいて説明する。
セラミックス原料としての蛙目粘土の粉末状原料を25重量%とセラミックス原料としての珪石の粉末状原料を25重量%と気孔形成材料としてのオガクズを50重量%を混合した後に、水を加えて混練して第1半製品を製造する。
この第1半製品を適宜形状、大きさの型枠に収容して前記第1半製品を充分乾燥させて第2半製品を製造する。
この第2半製品を焼成炉に入れ焼成炉内を酸欠状態にして摂氏900℃〜摂氏1900℃(この実施例では摂氏1320℃)で前記第2半製品を焼成する。この焼成により前記第2半製品に混入されていたオガクズは焼失するため、オガクズが焼失した箇所が空洞になり第2半製品には多数の気孔が形成される。また、この焼成で水蒸気が発生することにより水蒸気の影響を受けて前記多数の気孔とは別に極めて微細な微細孔が多数形成される。
従って、第2半製品を焼成炉で焼成することにより多数の気孔と多数の微細孔が形成された第3半製品(セラミックス体)が製造される。
次に前記第3半製品が収容されている焼成炉内の温度を摂氏500℃〜1200℃の範囲内にしてガス状又は霧状の炭化水素化合物としての天然ガスを導入することにより前記第3半製品の表面、気孔の内面、微細孔の内面に炭素がまんべんなく結合した第4半製品が製造される。しかも、前記第3半製品に微細孔だけでなく気孔を形成することにより炭素をより多く結合させることができるができる。
前記焼成炉内から第4半製品を取り出して第4半製品を粉砕して粉体状にすることにより細かい粉体状の静電気吸収帯電放電剤を製造することができる。なお、第4半製品には多数の気孔が形成されているので、第4半製品を粉砕した場合に第4半製品を極めて細かく粉体状に粉砕することができ、これにより極めて細かい粉体状の静電気吸収帯電放電剤を製造することができる。
【0011】
なお、前記静電気吸収帯電放電剤の製造方法の第2実施例を説明する。
セラミックス原料としての珪石の粉末状原料を25重量%とセラミックス原料としての木節粘土の粉末状原料を25重量%と気孔形成材料としての粉砕した真珠岩、黒曜石を50重量%を混合した後に、水を加えて混練して第1半製品を製造する。
この第1半製品を適宜形状、大きさの型枠に収容して前記第1半製品を充分乾燥させて第2半製品を製造する。
この第2半製品を焼成炉に入れ焼成炉内を酸欠状態にして摂氏900℃〜摂氏1900℃(この実施例では摂氏1250℃)で前記第2半製品を焼成する。この焼成により前記第2半製品に混入されていた真珠岩、黒曜石は焼失するため、真珠岩、黒曜石が焼失した箇所が空洞になり第2半製品には多数の気孔が形成される。また、この焼成で水蒸気が発生することにより水蒸気の影響を受けて前記多数の気孔とは別に極めて微細な微細孔が多数形成される。
従って、第2半製品を焼成炉で焼成することにより多数の気孔と多数の微細孔が形成された第3半製品(セラミックス体)が製造される。
次に前記第3半製品が収容されている焼成炉内にガス状又は霧状の炭化水素化合物としての天然ガスを導入することにより前記第3半製品の表面、気孔の内面、微細孔の内面に炭素がまんべんなく結合した第4半製品が製造される。しかも、前記第3半製品に微細孔だけでなく気孔を形成することにより炭素をより多く結合することができる。
前記焼成炉内から第4半製品を取り出して第4半製品を粉砕して粉体状にすることにより小さい粉体状の静電気吸収帯電放電剤を製造することができる。なお、第4半製品には多数の気孔が形成されているので、第4半製品を粉砕した場合に第4半製品を極めて細かく粉体状に粉砕することができ、これにより極めて細かい粉体状の静電気吸収帯電放電剤を製造することができる。
【0012】
なお、実施例では炭素の結合量を0.300質量%にしたが、炭素の結合量はこれに限定されるものでない。但し、炭素の結合量はセラミックス体に対して一般的に約0.06質量%から約2.7質量%の範囲内が好ましい。即ち、炭素の結合量を一般的に約0.06質量%から約2.7質量%の範囲内にすると静電気をより効率的に吸収、帯電、放電することができる。
また、実施例ではセラミックス体の直径を300μm〜600μmにしたが、セラミックス体の直径は300μm〜600μmに限定されるものではないが、一般的にセラミックス体の直径は100μm〜1000μmの範囲内が好ましい。
なお、静電気吸収帯電放電剤の製造方法の第1実施例及び第2実施例ではセラミックス原料として珪石及び各種粘土を例にしたが、セラミックス原料はこれらに限定されるものではなく例えば他の天然鉱物、粘土鉱物、人工セラミックス原料、合成マグネシウム、合成ドロマイト、合成ムライト、窒化珪素等のセラミックス原料を単独又は混合して使用してもよいことは勿論である。
また、静電気吸収帯電放電剤の製造方法の第1実施例では気孔形成材料としてオガクズ、静電気吸収帯電放電剤の製造方法の第2実施例では気孔形成材料として粉砕した真珠岩、黒曜石を例にしたが、気孔形成材料はこれらに限定されるものではなくセラミックス対に気孔を形成できるものであればモミガラ、木質細片、バルブスラッジ、軟質ポリウレタンフォーム、有機ポリイソシアネート等を始めとして他の材料でもよいことは勿論である。
なお、実施例では炭化水素化合物として天然ガスを示したが、炭化水素化合物としては天然ガスに限定されるものではなく、例えば家庭用プロパンガス、工業用燃焼ガス、灯油、A重油、メタン、エタン、ブタン、アセチレン、ヘキサン、ベンゼン、キシレン等のセラミックス体に炭素を結合できるものであれば他のものでもよいことは勿論である。
【0013】
本発明の静電気吸収帯電放電剤は上述したように船底塗料に添加して船底に海棲生物が付着するのを防止する使用に限定使用されるものではない。
例えば、静電気吸収帯電放電剤を合成樹脂、ゴム、繊維、紙、セメント等に添加することにより以下の用途に使用することができる。
(1)コンピュータの部品素材に静電気吸収帯電放電剤を添加することにより静電気によりコンピュータが誤作動したりコンピュータが故障等するのを防止することができる。
(2)パチンコ台の部品を構成する素材に静電気吸収帯電放電剤を添加することによりパチンコ玉の玉磨きの際に発生する静電気を吸収して静電気によるパチンコ台に生じる不具合を防止することができる。
(3)自動車制御装置の機器のデジタル化部分のカバー素材に静電気吸収帯電放電剤を添加することにより静電気による自動車制御装置の誤作動を防止することができる。
(4)CD保管ボックスの素材に静電気吸収帯電放電剤を添加することにより静電気によってCD保管ボックスに保管されるCDに記録された記録内容の劣化を防止することができる。
(5)家庭等で使用されるカーペットのゴムのゴム素材に静電気吸収帯電放電剤を添加することによりカーペットに静電気が発生するのを防止することができる。
(6)エレベーターのタッチパネルのタッチパネル素材に添加されることによりエレベーター利用者がタッチパネルを触れた際に生じる静電気の発生を防止できる。
(7)ペットの犬や猫に着用される首輪、座布団、ブラシ等の素材に静電気吸収帯電放電剤を添加されることによりカーペット等から発生する静電気によってペットの犬や猫が静電気を原因とする病気になるのを防止できる。
(8)プリンターの部品素材に静電気吸収帯電放電剤を添加することにより印刷時に発生する静電気を吸収して印刷時の静電気による紙詰まりを防止することができる。
(9)輪転機の部品素材に静電気吸収帯電放電剤を添加することにより印刷時に発生する静電気を吸収して印刷時の静電気による紙詰まりを防止することができる。
(10)テレビやコンピュータ等の画面素材に静電気吸収帯電放電剤を添加することにより前記画面に発生する静電気を吸収して画面に埃等が付着するのを防止することができる。
(11)心臓ペースメーカーのカバー等に静電気吸収帯電放電剤を添加することにより静電気が心臓ペースメーカーに悪影響を与えようとしても静電気を吸収して心臓ペースメーカーの誤作動等を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明の静電気吸収帯電放電促進剤は実施例で示した船底塗料の添加剤として使用することができるだけでなく、上述した他の製品にも使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体状のセラミックス体と、このセラミックス体に形成された多数の微細孔と、前記セラミックス体の表面及び前記微細孔の内面に結合された炭素と、を有してなることを特徴とする静電気吸収帯電放電剤。
【請求項2】
アルミニウム、珪素、鉄、を含有する粉体状のセラミックス体と、このセラミックス体に形成された多数の微細孔と、前記セラミックス体の表面及び前記微細孔の内面に結合された炭素と、を有してなることを特徴とする静電気吸収帯電放電剤。
【請求項3】
アルミニウム、珪素、カリウム、鉄、を含有する粉体状のセラミックス体と、このセラミックス体に形成された多数の微細孔と、前記セラミックス体の表面及び前記微細孔の内面に結合された炭素と、を有してなることを特徴とする静電気吸収帯電放電剤。
【請求項4】
マグネシウム、アルミニウム、珪素、カリウム、カルシウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ルビジウム、ストロンチウム、ジルコニウム、バリウム、鉛、を含有する粉体状のセラミックス体と、このセラミックス体に形成された多数の微細孔と、前記セラミックス体の表面及び前記微細孔の内面に結合された炭素と、を有してなることを特徴とする静電気吸収帯電放電剤。
【請求項5】
前記炭素の結合量を0.3質量%にしたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載した静電気吸収帯電放電剤。
【請求項6】
前記炭素の結合量を2.7質量%以下にしたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載した静電気吸収帯電放電剤。
【請求項7】
静電気吸収帯電放電剤の製造方法であって、セラミックス原料と気孔形成素材と水を混合して第1半製品を製造する第1半製品製造工程と、この第1半製品を乾燥して第2半製品を製造する第2半製品製造工程と、この第2半製品を炉で焼成して第3半製品を製造する第3半製品製造工程と、この第3半製品を炉内に収容してガス状又は霧状の炭化水素化合物を入れて前記第3半製品に炭素を結合させた第4半製品を製造する第4半製品製造工程と、この第4半製品を粉砕して静電気吸収帯電放電剤を製造することを特徴とする静電気吸収帯電放電剤の製造方法。
【請求項8】
静電気吸収帯電放電剤の製造方法であって、セラミックス原料と気孔形成素材と水を混合して第1半製品を製造する第1半製品製造工程と、この第1半製品を乾燥して第2半製品を製造する第2半製品製造工程と、この第2半製品を炉で焼成して第3半製品を製造する第3半製品製造工程と、この第3半製品を炉内に収容してガス状又は霧状の炭化水素化合物を入れて前記第3半製品の表面及び微細孔の内面に炭素を結合させた第4半製品を製造する第4半製品製造工程と、この第4半製品を粉砕して静電気吸収帯電放電剤を製造することを特徴とする静電気吸収帯電放電剤の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−131961(P2012−131961A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287494(P2010−287494)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(510063317)大京建機株式会社 (1)
【Fターム(参考)】