説明

静電除去装置

【課題】 段ボールシートおよび紙粉や紙片の静電気を除去することにより、段ボールへの異物混入や印刷品質の向上を図ると同時に、製函工程のシート供給部やスロッタ部でのトラブルの発生が押さえられる。
【解決手段】 図1のように、電位センサ3で測定した電位を制御装置6でシート1と逆の極性に帯電させて中和すべく、樹脂製の除電ロール2に対する樹脂製ブラシ4の押さえ強さをアクチュエータ5で自動調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートの静電除去装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
段ボール製造工程で、原紙を貼合わせ段ボールシートにした後シートを必要な幅や長さに刃物でスリット後カットしたり、箱にする場合に打ち抜く工程があるが、その時に紙粉や紙片が発生する。 これは現在の方法においては必然的であり、発生量の軽減の努力は行われているものの現実には大量に発生している。 紙粉や紙片は異物であり、これらはシート表面を傷つけたり、印刷時の品質を低下させる原因となっているが、静電気によりシート表面に付着し除去を難しくしている場合がある。 また静電気は製函機のシート供給や抜きカスの詰まり等トラブルの主な発生原因となっている。
【0003】
製段工程は湿度が高いので空中放電が活発で静電気の問題は少ないが、製函工程は静電気が発生する箇所が多くあり問題になっている。現在段ボールシートの静電除去装置は、シートの幅も広く、スペースが限られていることや高価な機器を必要とするため設備していない場合が殆んどである。 実際の除電方法としては電位センサで測定し、イオナイザにより逆の極性を持ったイオンをコロナ放電で発生させ中和させている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
段ボールシートの幅が広いためバータイプのイオナイザを使用するので価格は高く、取付スペースも十分ない場合が多く、コロナ放電の電極のメンテナンスも問題である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
概念図の図1に基づき説明する。 シート1は右から左に流れており、上流から送られてくる右側のシートの表面は帯電している。 電位センサ3通過時シート表面の電位を測定し、アクチュエータ5で樹脂製ブラシ4を押付け、摩擦により樹脂製の除電ロール2をシートと逆の極性に帯電させてシート表面を中和する。 制御装置(6)で樹脂製ブラシ4の押さえ強さを自由に調整すべく設けたアクチュエータ5をコントロールする。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、除電ロール2の帯電量をブラシ4の押さえ強さをアクチュエータ5で自在にコントロールしシート1の電位をゼロに除電することにより、シートに紙粉や紙片が付着しないので製品の品質が向上するとともに、シート同士や紙粉や紙片の吸着が軽減され、製函工程のトラブルが減少し生産性が向上する。
【発明を実施するため最良の形態】
【0007】
段ボールシートは幅が広い場合が多いので、ロールやブラシもシートの全幅にわたり対応できるものとする。
【実施例1】
【0008】
図1の概念図において、シート1の上面の接近した位置に樹脂製の可変速で電動の除電ロール2を設ける。 ロール表面にシートと逆の極性に帯電させるべくブラシ装置を取り付け、アクチュエータ5でブラシの押付け強さを電位センサ3で除電後の電位がゼロになるように制御装置6でコントロールする。 極性はロールやブラシの材質を変えることにより、また帯電量はブラシの材質や量、ロールの回転数等を変えることにより可変である。実際には本装置の直後に紙粉や紙片の除去のための吸引装置を付けることが多い。
【実施例2】
【0009】
図1はシート1の上面の除電が行なえるが、ロールおよび電位センサをシートの下面に接近し設けると下面の除電が行なえる。また上下両方に設けると両面の除電が行なえる。
【実施例3】
【0010】
ロール2の代わりにベルトを接近させてもシート1の除電が行なえる。
【産業上の利用可能性】
【0011】
装置も大掛かりでなくコンパクトであまり高価でなく、さらに本装置の直後に吸引装置を設備すれば静電気による付着がなくなり容易に紙粉や紙片を除去できるので、段ボール工場の製函機に取付ければ非常に有効で、利用の可能性は極めて高いと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】 本発明の概念図である。
【符号の説明】
【0013】
1 シート
2 除電ロール
3 電位センサ
4 ブラシ
5 アクチュエータ
6 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電位センサ(3)でシート(1)表面の電位を測定し、シートの電位をゼロにすべく逆の極性に樹脂製駆動除電ロール(2)を帯電させるために接触させる樹脂製ブラシ(4)の押さえ強さを自動調整するためのアクチュエータ(5)と制御装置(6)を持つ、帯電したシート表面の静電気を中和する静電除去装置。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2006−310242(P2006−310242A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−158018(P2005−158018)
【出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【出願人】(594087115)富士キネティックス株式会社 (26)
【Fターム(参考)】