説明

非侵襲的測定装置及び方法

【課題】測定プローブの被検体皮膚への接触による機械的及び熱的効果の影響を軽減する。
【解決手段】測定プローブ11を介して光学的に被検体中のグルコースを非侵襲で測定する非侵襲的測定装置において、測定プローブに接続される光源及び光検出器18と、測定プローブと類似した形状を有する適応装置と、光源及び光検出器を制御して非侵襲的測定を実行するとともに、非侵襲的測定に先立って、被検体の皮膚部分を伸張するために前記被検体の皮膚部分に対して適応装置を、非侵襲的測定中に測定プローブによって与えられる単位面積当たりの圧力よりも高い圧力で接触させるよう制御するコンピュータ部21とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定プローブを介して光学的に被検体中のグルコースを非侵襲で測定する非侵襲的測定装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被検体中の分析対象物、特にグルコースの濃度の非侵襲的(NI)定量化のための幾つかの先行技術の方法は、一般的に、測定プローブを身体の一部と接触させ、一連の光学測定を実行し、かつ一組の光信号を収集するステップを含む。これらの光信号、又は信号から計算される派生光学パラメータは、次に、較正関係を確立するために血糖濃度と相互に関連付けられる。グルコース濃度は、その時測定された光信号、及び以前に確立された較正関係を使用することにより、後続の測定から定量化される。
【0003】
グルコースの非侵襲的(NI)定量化方法は、分子特性を追跡する方法、及び組織特性へのグルコースの効果を追跡する方法のような、2つの広いカテゴリーに分類される。第1カテゴリーの方法は、近赤外(NIR)吸収係数、中赤外吸収係数、旋光性、ラマンシフトバンド、NIR光音響吸収等のようなグルコースの固有特性を追跡する。これらの方法は、他の身体分析物と無関係な、かつ身体の生理的状態と無関係な、組織又は血液中のグルコースを検出する能力を前提とする。第2タイプの方法は、組織の散乱係数、間質液(ISF)の屈折率、又は組織内の音の伝搬等のような組織の光学特性へのグルコースの効果を測定することに依存する。
【0004】
グルコース分子特性を追跡する第1タイプの方法は、グルコースに特異的と見なされ得る極めて弱い信号に出会う。生物雑音、個人対個人の変動、及び測定雑音が、グルコース特異的信号の小さな変化を圧倒し得る。多変量解析が、グルコース関連情報を雑音のあるデータセットから抽出するために一般的に使用された。組織特性へのグルコースの効果を追跡する第2タイプの方法は、散乱係数の変化から計算される屈折率の変化の非特異的性質のために、大きな難題に直面する。
【0005】
いずれのタイプの方法においても、検出された信号強度は、生物及び身体インタフェース雑音と比較して極めて小さい。プローブの再位置決め誤差によるプローブ−身体インタフェースの変動、並びに測定プローブ及び皮膚間の可変性接触に起因する可変性プローブ−皮膚相互作用は、グルコース濃度変化の効果より大きな測定された信号への効果を有し得る。
【0006】
グルコース分子特性、又は組織特性へのグルコースの効果を追跡する両方のタイプの先行技術の方法は、測定した信号への身体−プローブ相互作用による効果を無視しており、この効果を軽減する方法を記載していない。結果として、グルコースの参照値は、通常、プローブ−皮膚又はプローブ−身体の一部の相互作用の光学効果によって悪影響を及ぼされる信号に対して適用(フィット)される。
【0007】
特許文献1、2、3、4、5、6、7及び8は、測定プローブを身体の一部と接触させることによるグルコースを測定するための、及び600〜1100nmの近赤外線(NIR)における反射又は透過信号を測定するための光吸収方法を記載している。一般的に、血液を含有する身体の一部(例えば、指又は腕の皮膚領域)は、1つ以上の波長の光によって照射され、かつ1つ以上の検出器が、身体の一部を通って透過した、又は身体の一部によって反射された光を検出する。グルコースレベルは、背景干渉及びグルコースの基準スペクトルとの比較から導かれる。これらの特許文献は、測定された光信号への組織−プローブ適応の効果を扱っていない。
【0008】
特許文献9、10及び11は、1000〜1800nmに及ぶ長波長でのグルコースNIR信号測定の特許請求をしている。これらの特許文献の方法は、測定中に測定プローブが皮膚と相互に作用する際の、測定プローブへの皮膚反応を扱っていない。
【0009】
Sensys Medicalに譲渡された特許文献12、13及び14、Matsushitaに譲渡された特許文献15、16、並びにInlight Solutionsに譲渡された特許文献17、18及び19は、1000〜2000nmに及ぶ波長でのNIR反射率、及び透過測定を使用するグルコースのNI定量化方法を開示する。これらの特許文献は、プローブ−組織相互作用、特に皮膚のプローブへの順応、及び皮膚及び測定プローブ間の接触の可変性の問題点を扱っていない。
【0010】
Simonsenらの特許文献20、及びGrattonらの特許文献21は、子ウシ筋肉及び腹部のような深部組織構造中のバルク散乱係数を測定する方法を開示した。公表された臨床結果は、特異性の欠如及びグルコース濃度を予測できないことを示した(非特許文献1)。信号のグルコース非依存性ドリフト(変化)が観察され、場合によってはグルコース濃度の変化による散乱係数の変化よりも大きかった。
【0011】
特許文献20は、特定温度に至らされるグルコースセンサを記載し、かつバルク散乱係数を計算し、かつその間質液(ISF)の屈折率への効果からグルコース濃度を推定した。特許文献20は、組織−プローブ適応の測定への効果を最小限に抑える方法を開示していない。
【0012】
Millsによる特許文献22は、拡散反射率又は透過の測定から様々な温度での血液パラメータを測定する方法を記載する。それは、組織−プローブ適応の測定への効果を最小限に抑える方法を開示していない。
【特許文献1】米国特許第5,077,476号明細書
【特許文献2】米国特許第5,068,536号明細書
【特許文献3】米国特許第5,576,544号明細書
【特許文献4】米国特許第5,703,364号明細書
【特許文献5】米国特許第5,028,787号明細書
【特許文献6】米国特許第5,086,229号明細書
【特許文献7】米国特許第5,324,979号明細書
【特許文献8】米国特許第5,237,178号明細書
【特許文献9】米国特許第5,360,004号明細書
【特許文献10】米国特許第5,460,177号明細書
【特許文献11】米国特許第5,379,764号明細書
【特許文献12】米国特許第5,747,806号明細書
【特許文献13】米国特許第5,945,676号明細書
【特許文献14】米国特許第6,280,381号明細書
【特許文献15】米国特許第5,957,841号明細書
【特許文献16】米国特許第6,016,435号明細書
【特許文献17】米国特許第5,636,633号明細書
【特許文献18】米国特許第5,655,530号明細書
【特許文献19】米国特許第6,230,034号明細書
【特許文献20】米国特許第5,551,422号明細書
【特許文献21】米国特許第5,492,118号明細書
【特許文献22】米国特許第5,978,691号明細書
【非特許文献1】Heinemannら、Diabetes Technology Therapeutics 2000;2:211−220
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、測定プローブを被検体の皮膚に接触させたときに生じる機械的及び熱的効果の影響を軽減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1局面は、測定プローブを介して光学的に被検体中のグルコースを非侵襲で測定する非侵襲的測定装置において、前記測定プローブに接続される光源及び光検出器と、前記測定プローブと類似した形状を有する適応装置と、前記光源及び光検出器を制御して非侵襲的測定を実行するとともに、前記非侵襲的測定に先立って、前記被検体の皮膚部分を伸張するために前記被検体の皮膚部分に対して前記適応装置を、非侵襲的測定中に前記測定プローブによって与えられる単位面積当たりの圧力よりも高い圧力で接触させるよう制御するコンピュータ部とを具備する。
本発明の第2局面は、測定プローブを介して光学的に被検体中のグルコースを非侵襲で測定する非侵襲的測定装置において、前記測定プローブに接続される光源及び光検出器と、前記測定プローブを可動する可動部と、前記光源及び光検出器を制御して非侵襲的測定を実行するとともに、前記非侵襲的測定に先立って、前記被検体の皮膚部分を伸張するために前記被検体の皮膚部分に対して前記測定プローブを非侵襲的測定中よりも高い単位面積当たりの圧力で接触させるよう前記可動部を制御するコンピュータ部とを具備する。
本発明の第3局面は、被検体組織中のグルコースを非侵襲で測定する方法において、前記被検体の皮膚部分を伸張するために前記被検体の皮膚部分に対して、前記測定プローブと類似した形状を有する適応装置を、非侵襲的測定中に前記測定プローブによって与えられる単位面積当たりの圧力よりも高い圧力で接触させ、前記接触を所定期間維持した後に解除し、前記非侵襲的測定のために前記測定プローブを前記被検体の伸張された皮膚部分に対して接触し、前記被検体から発せられた信号を収集し、前記収集された信号に基づいてグルコース濃度を推定する。
本発明の第4局面は、被検体組織中のグルコースを非侵襲で測定する方法において、前記被検体の皮膚部分を伸張するために前記被検体の皮膚部分に対して、前記測定プローブを、非侵襲的測定中に前記測定プローブによって与えられる単位面積当たりの圧力よりも高い圧力で接触させ、前記接触を所定期間維持した後に解除し、前記非侵襲的測定のために前記測定プローブを前記被検体の伸張された皮膚部分に対して再度接触し、前記被検体から発せられた信号を収集し、前記収集された信号に基づいてグルコース濃度を推定する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施形態により説明する。
まず、本実施形態の概要について説明する。測定プローブによる非侵襲的測定に先立って、測定プローブの形状を被検体の皮膚部分に対して適応(順応)させておくことにより、測定された信号への皮膚−プローブ相互作用の効果を減少させるものである。測定プローブのような構造物が、皮膚と接触すると、幾つかの機械的及び熱的効果が起こる。第1に、皮膚はプローブの形状に順応するために伸張する。皮膚及び測定プローブ間の接触は、皮膚がプローブの形状に適応するにつれ、時間に応じて変化する。柔軟な皮膚への剛性金属プローブの適応は、測定される光信号の時間依存性変化として現れ得る。第2に、プローブは次に組織を圧迫し、局在閉塞を引き起こし、かつ血流に影響を及ぼす。第3の効果は、プローブを皮膚に対して押圧することが、単位体積当たりの散乱の中心の充填(packing)の変化、及び皮膚の圧迫を引き起こすことである。しかしながら、この組織充填効果は、本実施形態で論じられる圧力では、小さいことが予想される。第4の効果は、プローブ材料の熱伝導率並びに組織及びプローブ間の温度差次第で、熱がプローブから皮膚に、及びその逆に伝達されることである。皮膚及びプローブ間の熱伝達は、測定部位で一時的な温度変化を誘発する。これら全ての機械的及び熱的効果は、測定される分析物の濃度とは無関係な測定される信号の変化を誘発する。
【0016】
緊密な接触、効果的な光学的及び熱的結合を確実にし、時間依存性分析物非依存性の信号の変化を最小限に抑えるために、分析物検出ステップに先立って、測定プローブに順応するための皮膚を適応する必要がある。
【0017】
皮膚を適応させる方法には、熱伝導率を強化するために被検体の皮膚に塗布される少量のシリコン油の使用を含む。過剰な量の油は、プローブを皮膚に対して滑らせ得、他方で不十分な量の油は、不完全な熱結合を引き起こす。プローブ及び皮膚間の空隙を除去するために油に加えて他の結合ゼリー(jells)が、使用され得るが、このことは、表面の反射損失を減少させる。これらの流体又はゼリーは、また、被検体の組織層中で所望の温度を実現するために、熱結合を強化し、かつ皮膚及びプローブ間の熱伝達を容易にする。
【0018】
本実施形態の方法には、温度調整された局在反射率プローブが使用され得る。温度調整されたプローブは、光導入ファイバ及び幾つかの光収集ファイバを有する。光収集ファイバは、光導入ファイバから短距離の間隔で置かれる。このタイプのプローブの使用は、Kalilら、“Temperature modulation of the visible and near infrared absorption and scattering coefficients of intact human skin”J Biomedical Optics,2003;8:191−205、Yehら、“Near Infrared Thermo−Optical Response of The Localized Reflectance of Intact Diabetic and Non−Diabetic Human Skin”J Biomedical Optics,2003;8:534−544、Yehら、“Tracking Blood Glucose Changes in Cutaneous Tissue by Temperature−Modulated Localized Reflectance Measurements”Clinical Chemistry 2003;49:924−934、及びKhalilら、“Response of near IR localized reflectance signals of intact diabetic human skin to thermal stimuli”SPIE Proceedings 2003;5086:142−148による学術論文で論じられた。これらの出版物は、米国特許第6,654,620号明細書に記載されたように、熱結合を強化するためにシリコン油の使用を記載している。これらの学術論文は、測定プローブへの皮膚の機械的適合性を強化する方法を開示しなかった。
【0019】
米国特許第5,795,305号及び第5,924,996号明細書及び米国特許出願公開第2005/0,124,868号明細書、及び欧州特許出願公開第1537822号明細書は、光又は熱信号への皮膚−プローブ適応効果を考慮しなかった。米国特許第5,978,691号明細書は、測定への組織−プローブ適応効果を最小限に抑えるための時間窓を開示、考慮しなかった。米国特許第5,978,691号明細書は、ヘモグロビン平衡の温度誘発変化を測定している。米国特許第5,978,691号明細書は、測定プローブへの皮膚の機械的適合性を強化する方法を開示していない。
【0020】
本実施形態では、非侵襲的測定を大きく2つのステップに分離される。すなわち、皮膚適応ステップ及び測定ステップである。皮膚適応ステップは、測定ステップに先だって実施される。皮膚適応ステップは、剛性の高い測定プローブを被検体の対象部位の皮膚部分に接触させてその表面形状(インタフェース領域の形状)に適応させる。
【0021】
測定プローブと皮膚との間の接触に先立って、測定プローブと類似した形状を有する適応装置(伸張装置ともいう)を皮膚部分に接触させることにより、皮膚の部分を伸張させるが、この接触は、測定プローブによる測定時の圧力よりも高い圧力で行われる。適応装置及び皮膚間の接触は、ある期間維持される。適応装置は、測定プローブとは別体で設けても良いし、測定プローブと共用させてもよい。
【0022】
例えば図7は適応装置と測定プローブを共有にした場合の例である。前記皮膚適応ステップ及び測定ステップの際に、適応装置を兼ねる測定プローブ301が上下に移動して被検体の対象部位の皮膚部分に接触する。光学信号は、光源及び光検出部304から光ファイバ部305を介して前記被検体の一部分に照射され、また前記被検体の一部分からの反射波が光ファイバ部305を介して光源及び光検出部304で検出される。皮膚適応ステップでは、前記適応装置を兼ねる測定プローブ301は前記被検体の一部分に接触するが、光信号は検出しなくてよい。一方、測定ステップでは、前記適応装置を兼ねる測定プローブ301が前記被検体の一部分に接触している所望の時間に光信号を検出する。
【0023】
図8は、測定プローブ405を構成する適応装置405と光ファイバ部407を分離した場合の例である。皮膚適応ステップでは、適応装置401は上下動するが、光ファイバ部407は動かない。測定ステップでは、適応装置401と光ファイバ部407が上下に連動する。図9は、適応装置501は別体となっており、測定プローブの一部としても機能する場合の例である。適応装置501には光学窓507が設けられており、皮膚適応ステップでは適応装置501が上下動し、測定ステップでは適応装置501に連動して光ファイバ505と光源及び光検出部504が測定プローブとして上下する。
【0024】
次に、適応装置との接触が解放される。結果として生じる適応された、すなわちプローブの表面形状に適応するように伸張した皮膚に対して、測定のために測定プローブを接触させる。
【0025】
本実施形態では、被検体組織中のグルコースの非侵襲的定量化のために皮膚と接触させる検出装置の形状に適応させるために、被検体皮膚を適応する方法であって、該方法は、
a)測定プローブと類似した形状を有する装置と被検体皮膚の部分を接触させることにより、被検体皮膚の部分を伸張させ、この接触が、非侵襲的測定中に測定プローブによって皮膚に与えられる圧力よりも高い圧力で影響を及ぼされるステップ、
b)ある期間、この接触を維持するステップ、
c)皮膚及び皮膚適応装置間の接触を解放するステップ、
d)適応プローブによって与えられる圧力より低い単位面積当たりの圧力で、温度調整された局在反射率測定プローブと体組織を接触させるステップ、
e)組織から発せられた信号を収集するために非侵襲的測定を実行するステップ、
f)物理的及び生理的に関連するパラメータの組み合わせ、並びに体内グルコース濃度間の較正関係を導くステップ、及び
g)人体中のグルコース濃度を予測するために、確立された較正関係を使用するステップからなる。
【0026】
測定プローブは、スプリングによって制御される。各測定の初めに、被検体は、いすに座り、左腕を身体インタフェース受け台に置き、肘掛及び握り間の距離を快適な位置に調整する。次に被検体は、右手でスプリング仕掛けの二重プローブヘッドを引っ込め、かつカウントダウンを開始し、カウントゼロで、操作者が実行開始アイコンをクリックすると、被検体は、皮膚と接触するために二重ヘッドプローブを解放する。プローブの動作は制御されず、かつスプリングによって与えられる力が、皮膚の変位を決定する。プローブを皮膚と、一定の温度で約120秒接触させることは、信号に対する、測定プローブに皮膚を適応させる効果を最小限に抑えることができる。
【0027】
図3は、4つの異なる波長、590nm、660nm、890nm、及び935nmでのこの実験における信号変化の時間的経過を示す。図3の記載は、米国特許第6,662,030号明細書に記載されたものと類似するプローブによって測定され、かつ照射ファイバから0.44mmで測定されるような局在反射信号の%変化である。データは、ボランティアの前腕皮膚に関する(被検体1015、実行D、2003年9月13日)。データは、120秒のデータ点で正規化された信号の%変化として記される。0秒での第1データ点は、接触から3秒であり、それは、データを収集し、データボードからコンピュータに伝達するために必要とされる時間であった。後続のデータ点は、第1の記録されたデータ点から開始する。プローブは、皮膚及び測定プローブ間の熱伝達を最小限に抑えるため、皮膚の正常温度、通常28℃〜32℃に非常に近い30℃に維持された。最初の30秒で信号のパーセント変化に大きな変動があることは、明白である。パーセント信号変化の最大部分は、最初の10秒にある。プローブは、皮膚の正常温度、通常28℃〜32℃に非常に近い30℃に維持されたので、この変化の大部分は、測定プローブへの皮膚の機械的な適応による。プローブによって皮膚に与えられた圧力は、45g/cmであった。熱的及び光学的結合を容易にするため、シリコン油が、皮膚に適応された。信号の変化は、時間が経てば減少し、90秒〜120秒の間で完全な平衡状態に達する。温度は、120秒から変化した。プローブが30℃に保たれた最初の120秒の間の信号の変化は、0〜0.25%に及ぶ。180秒にわたり温度を12℃だけ変化させることで、正常の皮膚温度に近い一定温度での皮膚プローブ相互作用による局在反射率の大きな変化が誘発されたが、それはプローブへの皮膚の機械適応による。
【0028】
皮膚の機械的な適応による信号の変化は、時が経てば減少し、90秒〜120秒の間で完全な平衡状態に達する。この時間は、実用的なグルコースの非侵襲的定量化を待つには長すぎ、長い接触の間に、皮膚に対しプローブが移動する可能性を伴う。測定に先立って、皮膚を予め適応させることにより、測定された信号に対する、皮膚のプローブへの適応効果を減少させることは、重要である。より短いプローブ接触時間で、測定プローブへの皮膚の適応に影響を及ぼすために、他の方法を探究せねばならない。図3は、ボランティアの皮膚の局在反射信号の時間的経過を示す。測定プローブの温度は、120秒間、30℃で一定に保たれ、次に1分当り4℃の割合で上昇させた。
【0029】
本実施形態のもう一つの側面では、被検体組織中の分析物濃度を定量化するために、被検体組織の非侵襲的測定を実行する方法であって、該方法は、
a)光学測定が実行される組織へ制御圧力をかけるために、制御される変位を受けることができ、かつ可動機構に取り付けられる少なくとも1つの温度調整される測定プローブを有するグルコースの非侵襲的測定装置を提供するステップ、
b)測定プローブを被検体皮膚の部分と接触させ、かつこの部分の伸張を引き起こし、かつ後続の光学測定中にプローブの形状に順応させるべくこの部分を適応するために、画定された変位に対してプラットフォームを移動させ、これらの条件での皮膚及び測定プローブ間の第1の接触が、限られた期間、影響を及ぼされるステップ、
c)皮膚及び測定装置及び組織間の接触を解放するために、プラットフォームを移動させるステップ、
d)ステップ(c)で与えられた変位よりも小さい変位、適応プローブによって与えられる圧力で、少なくとも1つの温度調整された測定プローブを有する、(a)に記載された測定装置と体組織を接触させるステップ、
e)皮膚−プローブ接触からの特定期間にわたる信号の変化を測定するステップ、
f)物理的及び生理的に関連するパラメータの組み合わせ、並びに体内グルコース濃度間の較正関係を導くステップ、及び
g)人体中のグルコース濃度を予測するために、確立された較正関係を使用するステップを含む、被検体組織液中のグルコースの非侵襲的定量化のために皮膚と接触させる検出装置の形状に適応させるために、被検体皮膚を適応することを含む。
【0030】
本実施形態の方法は、非侵襲的測定に先立つ測定プローブへの皮膚の適応を強制することにより、測定された信号への皮膚−プローブ相互作用の効果を減少させる。米国特許第5,785,305号、第5,924,996号、第5,978,691号明細書は、測定への皮膚−プローブ適応効果を最小限に抑えるために、測定プローブへ皮膚を適応させる方法を開示しなかった。
【0031】
本実施形態の方法は、測定方法または使用されるプローブと無関係である。測定プローブは、Maruo(米国特許第5,975,841号明細書)によって記載されたもののように、NIRの波長を使用する吸光プローブ、Gratton(米国特許第5,492,118号明細書)及びSimonsen(米国特許第5,551,422号明細書)、又はKhalilら(米国特許第6,662,030号明細書)によって記載されたように、光散乱プローブであっても良い。
【0032】
測定プローブの形状に類似する装置による皮膚の伸張によって皮膚を適応することは、1〜10秒間の時間、皮膚に圧力を加えることを伴い得る。好ましくは、皮膚のプローブ形状への適応を誘発させるための加圧時間は、5秒〜10秒間である。
【0033】
皮膚をプローブに順応させるために加える圧力は、測定プローブによって皮膚に与えられる圧力値の2〜5倍である。圧力は、g/cm又は平方インチ当たりのポンドの単位で定義される。好ましくは、圧力による不快感を最小限に抑えるために、圧力は、測定プローブによって皮膚に与えられる圧力の最大値の2〜3倍である。圧力値は、皮膚の厚さ、皮膚の老化及び糖尿病の期間に応じて、個人によって変化し得る。高圧は、皮膚血管の閉塞に繋がり得、また低圧は、不完全な接触に繋がり得る。
【0034】
我々が測定で以前に使用した圧力は、一般的に45〜100g/cmの範囲にあった。30g/cmより低い圧力は、不完全な接触に繋がり、数十秒間加えられる130g/cmより高い圧力は、部分閉塞に繋がる。したがって、200〜500g/cmの、好ましくは200〜300g/cmの伸張圧力が、皮膚を伸張させ、測定プローブに適応させ、かつ光学素子と緊密な接触を有するために、10秒のような限られた時間で使用できる。
【0035】
時間及び圧力の組み合わせを使用し、必要とされる皮膚適応を実現するように皮膚適応ステップを最適化し、他方で加圧による苦痛及びこの加圧時間による不快感を最小限に抑えることが、可能である。これらの組み合わせは、短時間での高圧、又は長時間での圧力範囲下端を含み得る。変位の規模も、皮膚の性質次第であり得、かつ個人によって変化し得る。
【0036】
先行技術の非侵襲的測定方法は、熱伝導率を強化し、かつ拡散反射率測定における反射損失を最小限に抑えるため、シリコン油、パラフィン油、パーフルオロ炭化水素、水−グリセロール混合物等のような結合液を使用した。パラフィン蝋、油、水及び乳化剤の混合物のようなゼリー又はクリームも本実施形態の方法により使用できる。加圧に先立ち、油を適応することが好ましい。適応装置が皮膚上で滑ること、又は皮膚との不完全な接触を回避するために、結合液又はゼリーが、このような少量で使用され、かつ皮膚の均質な被覆を有することが好ましい。結合剤を適応する好ましい方法は、2004年4月13日に出願された、米国特許出願第10/823073号明細書「非侵襲的光センサに結合剤を適応する装置及び方法」に記載されている。
【0037】
先行技術には、浸透物質又は洗浄溶液(clearing solution)を使用する方法が、角質層への水の移動を増大させるために、その散乱を減少させ、可視光を透明にさせることが記載されている。例えば学術論文、Vargas G,Chan EK,Barton JK,Rylander HG 3rd,Welch AJ.Use of an agent to reduce scattering in skin.Lasers Surg Med.1999;24(2):133−41を参照することができる。下面血管を撮像すること、及び角質層からの干渉なしに光学測定を実行することが、その場合可能になる。これらの作用物質の幾つかは、グリセロール又は水−グリコール混合物、及び水−グリコール−オレイン酸混合物である。洗浄溶液を本実施形態の方法により使用することが可能である。洗浄溶液の使用は、角質層に影響を及ぼすために数分かかるので、最初に使用し、拭き取り、次に圧力が加えられても良い。水/グリコール/オレイン酸混合物は、角質層を滑らかにし、かつ幾つかの表面フラックス(flacks)を取り除き、かつそれ故により良いプローブ-皮膚接触を可能にする。
【0038】
皮膚適応ステップの後、測定プローブは、皮膚と再度接触させられ、かつ測定により発生されるデータストリームは、ある期間にわたって収集される。本実施形態の好ましい実施態様は、分析物の濃度計算に使用するために、時間窓の範囲内にあるデータ点を選択することである。信号への組織−プローブ適応効果を更に最小限に抑えるために、この時間窓は、プローブ-皮膚接触の開始から数秒で開始する。
【0039】
本実施形態の皮膚適応方法は、幾つかの光学及び非光学方法に使用できる。吸光度及び散乱方法、熱伝導度方法、並びに皮膚からの赤外線放出方法が、本実施形態の方法と使用できる。本実施形態の方法は、特に固体測定プローブ及び皮膚のような展性の組織の間で直接の接触がある時に、光学及び非光学測定において使用できる。それ故に、光が、吸収体を励起し、かつ超音波測定プローブが、皮膚と接触させられる光音響測定において。信号が、皮膚の圧迫によって影響を及ぼされる組織中の音速に左右されるので、測定に先立ったプローブへの組織適応を改良することは、組織の圧迫誤差を減少させる。
皮膚の光学特性への皮膚温度の効果を抑制するために、温度及び適応装置は、皮膚の正常温度付近、28℃〜32℃に維持される。
【0040】
以下本実施形態を非侵襲的測定装置の構成を方法とともに具体的に説明する。
本実施形態に係る非侵襲的測定装置の典型的な外観としては、図6A、図6Bに示すように、当該装置10のハウジング(筐体)の一部には溝状に窪んだアームトレイ25が形成される。アームトレイ25の略中央部分には測定プローブ11の表面が露出している。アームトレイ25の両端にはそれぞれ固定プラットフォーム13が装備される。測定に際しては、被検体の腕の一部分(被測定部位)はプローブ10の表面に接触する状態で、被検体はアームトレイ25に腕を横たえる。
【0041】
図1は、本実施形態による単一プローブタイプの非侵襲的測定装置10を示す。該装置は、固定プラットフォーム13上に載置された被検体の一部分、典型的には腕の一部分12とその皮膚において接触する測定プローブ11を有する。測定プローブ11、温度調整素子14、光源及び光検出部18は、可動プラットフォーム19上に取り付けられる。温度制御部15は、温度調整素子14に対するフィードバック入力16及び制御出力17を有する。被検体の一部分12に対して接近/離反するための可動プラットフォーム19の垂直運動は、ステッパモータ、昇降アクチュエータ及びスプリングを有する昇降機構20によって実現される。コンピュータ21は、制御/信号線22、23及び24を通して温度制御部15、光源及び光検出部18及び可動プラットフォーム19の運動を制御して、測定のための全体制御、それに先立つ皮膚形状の適応作業のための全体制御を、データ分析とともに担う。測定方法は、吸光度、反射率、局在反射率、光音響分光法及びラマン分光法のいずれでもよい。
【0042】
患者は、腕又は他の身体の一部12を固定プラットフォーム13上に置く(図6B参照)。非侵襲的測定を開始すると、コンピュータ21は、本実施形態で特徴的な適応作業のために、測定プローブ11を皮膚に対して押圧するために、皮膚に向かって上方へ、ステップ数nだけ、昇降機構20を経由して可動プラットフォーム19を移動させることにより、皮膚適応ステップを開始する。それを約5〜10秒の期間維持し、解放する。
【0043】
この過程は、測定プローブ11の形状への皮膚の適応を引き起こし、かつ後続の非侵襲的測定ステップにおいて、測定プローブ11及び皮膚間の緊密な接触を引き起こす。次にコンピュータ21は、皮膚から可動プラットフォーム19を離して、次にデータ収集ステップが、測定プローブ11、及びそれ故に皮膚のより小さな変位を引き起こすために、ステップ数(n−x)だけ可動プラットフォーム19を再度皮膚に向かって移動させることにより開始する。xは、任意のステップ数であり、これは、測定過程における可動プラットフォーム19の上昇距離が、適応過程における可動プラットフォーム19の上昇距離よりも、減少ステップ数xにステップ単位距離を乗じた距離だけ短いこと、換言すると測定過程における皮膚に対する測定プローブ11の押圧が適応過程における皮膚に対する測定プローブ11の押圧よりも、当該減少ステップ数xにステップ単位距離を乗じた距離に応じて減少することを意味している。
【0044】
コンピュータ21は、特定の時間、光源及び検出光学素子18からのデータ収集を作動させ、かつデータを処理する。温度調整素子14、温度制御部15、フィードバック入力16及びフィードバック制御出力17の使用は、身体及びプローブ間の制御されない熱伝達による信号ドリフトを最小限に抑え、かつ信号への誘発された温度変化の効果を調査することを可能にする。
【0045】
図2は、本実施形態による二重プローブタイプの非侵襲的測定装置を示す。該装置は、固定プラットフォーム104上に載置する被検体の一部分103と接触する2つの測定プローブ101及び102を有する。温度調整素子105及び106、温度調整器へのフィードバック入力109〜112を有する温度制御部107及び108は、各測定プローブ101、102の温度調整のために設けられる。各測定プローブ101、102は、光源及び光検出部113、114を有する。2つの測定プローブ101、102は、共通する可動プラットフォーム115に取り付けられる。可動プラットフォーム115の垂直運動は、ステッパモータ、又は昇降アクチュエータ及びスプリングを有する昇降装置116によって実現される。データ分析も実行するコンピュータ117は、制御/信号線118〜121を経由して、各測定プローブ101,102の温度制御部107及び108、光源及び光検出部113、114、及び可動プラットフォーム115の運動を制御して、測定のための全体制御、それに先立つ皮膚形状の適応作業のための全体制御を、データ分析とともに担う。
【0046】
患者は、腕又は他の身体の一部103を固定プラットフォーム104上に置く。非侵襲的測定の開始に先だって、適応作業のために、コンピュータ117は、測定プローブ101及び102を皮膚に対して押圧するために皮膚に向かって上方へステップ数nだけ、機構116を経由して可動プラットフォーム115を移動させる。測定プローブ101及び102を皮膚に対して押圧する状態を約5〜10秒の間継続する。この過程は、測定プローブ101及び102の形状への皮膚の適応を引き起こし、かつ後続の非侵襲的測定ステップにおいて、測定プローブ101及び102、並びに皮膚間の緊密な接触を引き起こす。
【0047】
次にコンピュータ117は、皮膚から測定プローブ101及び102を離間させるために、可動プラットフォーム115を下降させる。
【0048】
データ収集サイクルが、測定プローブ101及び102、並びにそれ故に皮膚のより小さな変位を引き起こすために、ステップ数(n−x)だけ可動プラットフォーム115を再度皮膚に向かって移動させることにより開始する。コンピュータ117は、特定の時間、光源及び検出光学素子113及び114からのデータ収集を作動させ、かつデータを処理する。温度調整素子105及び106、温度制御部107及び108、並びにフィードバック入力及び制御出力109〜112の使用は、被検体の一部分103と測定プローブ101、102との間の制御されない熱伝達による信号ドリフトを最小限に抑え、かつ信号への誘発された温度変化の効果を調査することを可能にする。各測定プローブ101、102の温度は、別個に調整され、かつ様々な温度変化ステップが各測定プローブ101、102に対して使用できる。
【0049】
なお、米国特許第6,662,030号明細書は、本実施形態の方法で使用できる温度調整された局在反射率プローブを記載している。該プローブは、光導入ファイバ、及び光導入ファイバから短距離の間隔で置かれる幾つかの光収集ファイバを有する。光収集ファイバの中心及び光収集ファイバ間の最大距離は、2mm未満である。
【0050】
本実施形態は、Khalilら米国特許第6,662,030号明細書、及びKhalilら、J Biomed Opt.2003;8:191−205、Yehら、J Biomed Opt 2003;8:534−544、及びYehら、Clin Chem 2003;49:924−934によって記載されたものと類似する温度調整された局在反射率測定プローブを利用する。米国特許第6,662,030号明細書(Khalilら)に記載された、温度調整されたプローブを使用する局在反射信号の測定は、温度、又は所与の温度でのプローブ及び身体の一部間の接触時間に応じた光信号をもたらす。
【0051】
図4は、本実施形態の昇降装置の構造例を示す。昇降アクチュエータ202は、モータ203、複数のギヤ204、レバー205及びスプリング206を含む。プローブ201は、モータ203及びギヤ204によって、その底面に取り付けられたレバー206を移動させることにより、垂直方向に移動される。上方及び下方側面の移動距離は、概して10〜15mmである。プローブ201は、2つのスプリング206によって支持される。スプリング206は、皮膚への接触圧力を保つ。皮膚圧迫力は、概して約100gf/cmに設定できる。
【0052】
図5は、2つの測定プローブ201とともに光源及び光検出部の構造を示す。該光源及び光検出部は、光源210、レンズ211、ミラー212、ハーフミラー213−1及び213−2、照射用光ファイバ214、信号検出用光ファイバ215、信号検出用フォトダイオード(PD)216、及び参照用フォトダイオード(PD)217を含む。光源210は、1つ以上の光ビームを放出する。光ビームは、コリメートされ、かつレンズ211、ミラー212及びハーフミラー213−1を通ることによって組み合わされる。組み合わされた光ビームは、照射用光ファイバ214を通過し、かつ次に身体に照明される。組み合わされた光ビームの一部は、ハーフミラー213−2によって分離され、かつ基準信号として参照用フォトダイオード(PD)217によって検出される。身体からの反射信号の一部は、照射スポットからの適切な距離にある1つ以上の位置で信号検出用光ファイバ215を通過し、かつ次に反射信号は、反射信号として信号用光検出器(PD)216によって検出される。
【0053】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施態様による非侵襲的測定装置の構成を示す図。
【図2】本発明の実施態様による非侵襲的測定装置の他の構成を示す図。
【図3】本実施形態において、皮膚に対する測定プローブの接触時間による反射信号の時間的経過を示す図。
【図4】図2に対応する構造図。
【図5】図1、図2の光源及び光検出部の構造を示す図。
【図6A】本実施形態において、非侵襲的測定装置の外観図。
【図6B】本実施形態において、測定時の様子を示す図。
【符号の説明】
【0055】
10…非侵襲的測定装置、11…測定プローブ、12…被検体の一部分、13…固定プラットフォーム、14…温度調整素子、15…温度制御部、16…フィードバック入力、17…フィードバック制御出力、18…光源及び光検出部、19…可動プラットフォーム、20…昇降機構、21…コンピュータ、22〜24…制御/信号線、25…アームトレイ、101〜102…測定プローブ、103…被検体の一部分、104…固定プラットフォーム、105〜106…温度調整素子、107〜108…温度制御部、109と111…フィードバック入力、110と112…フィードバック制御出力、113と114…光源及び光検出部、115…可動プラットフォーム、116…昇降機構、117…コンピュータ、118〜121…制御/信号線、25…アームトレイ、201…測定プローブ、202…昇降アクチュエータ、モータ…203、204…ギア、205…レバー、206…スプリング、210…光源、レンズ…211、ミラー…212、213−1〜213−2…ハーフミラー、214…照射用光ファイバ、215…信号検出用光ファイバ、216…信号検出用フォトダイオード(PD)、217…参照用フォトダイオード(PD)、301…適用装置兼測定プローブ、302…固定プラットフォーム、303…温度調整素子、304…光源及び光検出部、305…光ファイバ部、306…可動プラットフォーム、401…適用装置、402…固定プラットフォーム、403…温度調整素子、404…光源及び光検出部、405…測定プローブ、406…可動プラットフォーム、407…光ファイバ部、501…適用装置、502…固定プラットフォーム、503…温度調整素子、504…光源及び光検出部、505…光ファイバ部、506…可動プラットフォーム、507…光学窓。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定プローブを介して光学的に被検体中のグルコースを非侵襲で測定する非侵襲的測定装置において、
前記測定プローブに接続される光源及び光検出器と、
前記測定プローブと類似した形状を有する適応装置と、
前記光源及び光検出器を制御して非侵襲的測定を実行するとともに、前記非侵襲的測定に先立って、前記被検体の皮膚部分を伸張するために前記被検体の皮膚部分に対して前記適応装置を、非侵襲的測定中に前記測定プローブによって与えられる単位面積当たりの圧力よりも高い圧力で接触させるよう制御するコンピュータ部とを具備する非侵襲的測定装置。
【請求項2】
測定プローブを介して光学的に被検体中のグルコースを非侵襲で測定する非侵襲的測定装置において、
前記測定プローブに接続される光源及び光検出器と、
前記測定プローブを可動する可動部と、
前記光源及び光検出器を制御して非侵襲的測定を実行するとともに、前記非侵襲的測定に先立って、前記被検体の皮膚部分を伸張するために前記被検体の皮膚部分に対して前記測定プローブを非侵襲的測定中よりも高い単位面積当たりの圧力で接触させるよう前記可動部を制御するコンピュータ部とを具備する非侵襲的測定装置。
【請求項3】
被検体組織中のグルコースを非侵襲で測定する方法において、
前記被検体の皮膚部分を伸張するために前記被検体の皮膚部分に対して、前記測定プローブと類似した形状を有する適応装置を、非侵襲的測定中に前記測定プローブによって与えられる単位面積当たりの圧力よりも高い圧力で接触させ、
前記接触を所定期間維持した後に解除し、
前記非侵襲的測定のために前記測定プローブを前記被検体の伸張された皮膚部分に対して接触し、
前記被検体から発せられた信号を収集し、
前記収集された信号に基づいてグルコース濃度を推定する方法。
【請求項4】
前記接触は、1〜10秒のいずれかの時間である請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記接触は、2〜5秒のいずれかの時間である請求項3記載の方法。
【請求項6】
前記圧力は、前記測定プローブによって与えられる圧力の2〜5倍のいずれかの圧力である請求項3記載の方法。
【請求項7】
前記圧力は、前記測定プローブによって与えられる圧力の2〜3倍のいずれかの圧力である請求項3記載の方法。
【請求項8】
前記接触は、1〜10秒のいずれかの時間であって、前記圧力は、前記測定プローブによって与えられる圧力の2〜5倍のいずれかの圧力である請求項3記載の方法。
【請求項9】
前記測定プローブと前記被検体の皮膚部分との間に、熱的及び光学的結合を強化するために、結合液が介在される請求項3記載の方法。
【請求項10】
前記測定プローブと前記被検体の皮膚部分との間に、熱的及び光学的結合を強化するために、結合ゼリーが介在される請求項3記載の方法。
【請求項11】
前記被検体の皮膚部分の角質層を滑らかにするために洗浄溶液が加圧前に使用される請求項3記載の方法。
【請求項12】
前記適応装置は、前記皮膚部分の正常温度又はそれに近似する温度に保たれる請求項3記載の方法。
【請求項13】
前記適応装置は、28℃〜32℃のいずれかの温度に保たれる請求項3記載の方法。
【請求項14】
前記適応装置は、100〜300g/cmのいずれかの圧力で接触される請求項3記載の方法。
【請求項15】
前記測定プローブは、30〜100g/cmのいずれかの圧力で接触される請求項3記載の方法。
【請求項16】
前記被検体から発せられた信号から吸光度を測定する請求項3記載の方法。
【請求項17】
前記被検体から発せられた信号から局在反射率を測定する請求項3記載の方法。
【請求項18】
前記測定プローブを前記皮膚部分に接触を開始してから所定数秒後に開始した時間窓内で前記信号を収集する請求項3記載の方法。
【請求項19】
前記測定プローブは、温度調整機能を有する請求項3記載の方法。
【請求項20】
前記適応装置は、前記皮膚部分の正常温度又はそれに近似する温度に保たれる請求項3記載の方法。
【請求項21】
被検体組織中のグルコースを非侵襲で測定する方法において、
前記被検体の皮膚部分を伸張するために前記被検体の皮膚部分に対して、前記測定プローブを、非侵襲的測定中に前記測定プローブによって与えられる単位面積当たりの圧力よりも高い圧力で接触させ、
前記接触を所定期間維持した後に解除し、
前記非侵襲的測定のために前記測定プローブを前記被検体の伸張された皮膚部分に対して再度接触し、
前記被検体から発せられた信号を収集し、
前記収集された信号に基づいてグルコース濃度を推定する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【公開番号】特開2007−300967(P2007−300967A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−129490(P2006−129490)
【出願日】平成18年5月8日(2006.5.8)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(391008788)アボット・ラボラトリーズ (650)
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT LABORATORIES
【Fターム(参考)】