説明

非免疫原生の疎水性タンパク質ナノ粒子の形成方法、及びその利用

ナノ析出処理において、pHを制御することによってタンパク質源から非免疫原性のナノ粒子を製造するための方法が記述される。開示された方法によって製造されるナノ粒子は、約100nmから約400nmの直径サイズの範囲であり、好ましくは、約100nmから約300nmの直径サイズであり、それによって、ナノ粒子を非免疫原性にする。本発明は更に、様々な治療用途、診断用途、及び他の用途に適したナノ結合物を製造するための方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ粒子を形成する方法に関するものであり、特には、医薬用途、治療用途、及び診断用途で使用するための非免疫原性の配送システムを製造するために、疎水性で水不溶性のタンパク質ベースのポリマーからナノ粒子を形成する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本明細書で議論される引用文献は、単に本発明に関連する技術分野を記載する目的だけのために提供される。従来発明による開示が先立つために本発明に権利が付与されないことを認めるものとして解釈されるべきことは本明細書には少しも無い。
【0003】
ゼインは、コーン又はトウモロコシから分離された植物性タンパク質であり、豊富な疎水性アミノ酸(例えばプロリン、グルタミン、及びアスパラギン)から成るプロラミン・ファミリーに属している。ゼインは透明、無臭、無毒、生物分解可能、及び水不溶性である。ゼインは、製薬産業、医療産業、食品産業、化粧品産業、接着剤産業、及び包装産業で、ポリマーとして研究され、使用されてきた。
【0004】
食品産業及び製薬産業において、ゼインは、例えば、フィルムコート材料に並びに例えばマイクロ粒子又はナノ粒子などの微粒子形成システムに使用されてきた[1‐5]。ゼイン粒子を形成する様々な方法が提案されてきた。例えば、米国特許第5,330,778号公報(この特許文献の内容は本明細書に組み込まれる)は、ゼインを用いてマイクロ粒子を調製する方法を論じており、また、ゼインのマイクロ粒子を形成するためにpH変化を利用する[6]。しかしながら、米国特許第5,330,778号公報に記載される方法は、ミクロン・サイズよりも大きなサイズ、及び幅広い粒子サイズ分布を有するゼイン粒子を製造し、この方法で製造されるゼイン粒子には、例えばインビボでの使用において重大な欠点がある。
【0005】
ヒト用途又は動物用途に使用される生体適合物質は安全で非免疫原性であることを保証することが重要である。一般に、粒子をインビボに投与すると(例えば体内へと導入)、血液中及び組織中の食細胞(食細胞は外来性の粒子の免疫学的認識と除去を担う)は、その粒子の物理化学的特性に依存して免疫反応を開始し得る。食細胞による取り込みは、外来性の粒子の粒径と、表面の疎水性との両方に依存する。約500nmよりも大きい直径サイズ範囲の粒子は、食作用を受ける傾向がある。疎水性表面を有する粒子は、食細胞によって容易に認識される[7]。例えば、Lopez及びMurdanは、1.36±0.036μmの直径のゼインのマイクロスフェアが免疫原性であり、結果として、薬、ワクチンまたは他の治療用の担体として適さないことを近年報告している[8]。
【発明の概要】
【0006】
本開示の一側面において、本発明は概して非常に小さな粒子、又はナノ粒子を製造する方法に関する。この粒子は、例えばゼインを含む疎水性水不溶性タンパク質から形成され得る。
【0007】
本開示の別の側面においては、方法は、より大きなサイズのナノ粒子又はマイクロ粒子の利用において経験される免疫原性を低減又は実質的に克服するナノ粒子を製造するために利用され、例えば、疎水性水不溶性タンパク質から形成される粒子を含む。本発明の方法によって作成されるナノ粒子の非免疫原性の効果は、本方法によって形成される粒子のサイズを制御するだけでなく、粒子サイズの範囲も制御することによって達成される。
【0008】
本発明のいくつかの実施において、粒子の直径サイズの範囲は、約400nm未満である。本発明の好ましい実施においては、粒子の直径サイズの範囲は約300nm未満であり、また、いくつかの更なる実施においては、粒子の直径サイズの範囲は約100nmから約300nmである。サイズは、本開示においては直径に関して議論されるが、本明細書において議論したナノ粒子が完全な球形であることを意味するものと解釈されるべきではない。しかしながら、ナノ粒子の球形は達成され得る。本明細書に開示される寸法とは、単に粒子の両側の間で測定されてもよいし、又は両側から粒子を横断する最大の寸法が測定されてもよい。
【0009】
本発明の一側面において、本発明の方法は、植物資源、動物資源、及び合成資源を含む、様々な資源に由来し得る水不溶性疎水性タンパク質を使って実行され得る。様々な側面において、本方法は、豊富な疎水性アミノ酸(例えばプロリン、グルタミン、及びアスパラギン)から成るプロラミン・ファミリーを用いて実行され得る。これらの疎水性アミノ酸は、タンパク質を水不溶性にする。プロラミンは、例えば、トウモロコシ、小麦、大麦、米、ソルガムなどの様々な穀物、及び他の植物資源、並びに動物資源に見られ得る。適切なプロラミンのいくつかの例は、ゼイン、グリアジン、ホルデイン、及びカフィリン(kafirin)であるが、本方法の応用は、これらの例に必ずしも限定されるものではない。この記載の目的のために、及び単に本発明の一つの例示的な説明として、本方法は、ほんの一例として、本明細書においてはゼインを用いて説明される。
【0010】
本方法の様々な実施においては、約100〜約400nmの望ましい直径サイズ範囲でナノ粒子を製造するために白色ゼイン(white zein)が利用される。黄色ゼイン(yellow zein)を使用すると、比較的大きな直径サイズを有する粒子が製造され得、また、より広い直径サイズ分布を有する粒子が製造され得ることが分かっている。黄色ゼインの色素が黄色ゼインの可溶性、及び黄色ゼインを用いたナノ粒子の形成に影響を及ぼしているかもしれないと考えられている。
【0011】
本発明の方法は、他の方法で可能となるものと比べて一般的により小さな直径サイズのナノ粒子、及びより狭い直径サイズ分布のナノ粒子を製造する。これらの小さなナノ粒子は、ゼインなどのベースとなるタンパク質の1以上の特定の等級を用いてpH制御されるナノ析出処理を実施することによって、並びに、そのナノ粒子を非免疫原性にするナノ粒子のサイズ及び直径を達成するために選択される、バッファー、界面活性剤、及びリン脂質の多様な組み合わせを用いることによって、達成される。
【0012】
本開示の方法は更に、ナノ粒子でカプセル化された材料、ナノ粒子で吸収された材料、ナノ粒子と錯体を形成した材料、又はナノ粒子と結合した材料を形成するために、様々な物理化学的特性を有する多種多様な分子、粒子、又は薬剤を用いてナノ粒子を調製するのに適している。例えば、本方法は、小さな親水性分子、小さな疎水性分子、及び高分子を封入する(entrap)ために利用され得る。これらの例のそれぞれにおいて、約60%から約80%のカプセル化効率が達成され得る。本発明よって形成されるナノ粒子は、インビトロ環境及びインビボ環境において、カプセル化された分子の徐放性の配送を最大で1週間又は場合によってはそれ以上の期間で提供することが可能であり得る。
【0013】
本発明の一側面においては、本方法は、例えば、抗癌剤を含有するナノ粒子などの治療用及び/又は診断用のナノ粒子を製造するために利用される。そのようなナノ粒子は、しばしば、例えば低分子薬、核酸、タンパク質、ワクチン、抗体、化学物質或いは他の薬剤又は物質などの治療薬剤である活性薬剤の標的配送及び放出の時間的制御を提供することができる。記載される本治療法に加えて、本発明は、例えば、造影剤、及びプローブなどの診断成分(moieties)を有するナノ粒子を製造するための手段を提供する。
【0014】
本発明の更なる側面においては、本発明の方法によるナノ粒子を調製するためのキットが提供される。このキットは、選択された量の水溶性タンパク質、少なくとも1つの緩衝剤、及び少なくとも1つの界面活性剤を含む。このキットは、水アルコール溶媒(hydroalcoholic solvent)も含み得る。このキットは少なくとも1つのリン脂質も含み得、このリン脂質の量は、界面活性剤に対してリン脂質が選択された比率を提供するように選択され得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の方法に係るブランクゼイン(blank zein)のナノ粒子を形成する一般的なステップをフローチャートによって例示する。
【図2】本発明に係る6,7ヒドロキシクマリンがロードされたナノ粒子を形成するステップをフローチャートによって例示する。
【図3】ゼインのナノ粒子の様々な電子顕微鏡マイクロ写真を描く。図3の(a)はブランクゼインのナノ粒子の走査電子顕微鏡写真である。粒子は球形で滑らかな表面を有することが示されている。(寸法は1mm=1.76μmを表す。)図3の(b)はブランクゼインのナノ粒子の透過電子顕微鏡写真である。(寸法は1mm=8.038nmを表す。)図3の(c)は、クマリンがロードされたゼインのナノ粒子の走査電子顕微鏡写真である。(寸法は1mm=0.87μmを表す。)図3の(d)は、6,7ヒドロキシクマリンがロードされたゼインのナノ粒子の透過電子顕微鏡写真である。(寸法は1mm=8.04nmを表す。)
【図4】空気中、タッピングモードで、本発明の方法によって製造されるブランクゼインのナノ粒子の原子間力顕微鏡(AFM)画像を描く。左から右にそれぞれ、z‐スケール(z-scale)14.19nm、22.2V、及び45度での代表的なサンプルの凹凸像(height image)、振幅像、及び位相像である。スキャンサイズは、1.14×1.14μmである。AFMで測定された50個の粒子の間での平均粒径は185nmである。
【図5】凍結乾燥の前と後での本発明の方法よって製造されるクマリンがロードされたゼインのナノ粒子の粒径に対するバッファーの種類の影響を例示するグラフである。本発明の析出方法においてクエン酸バッファーを使用すると、リン酸バッファーを使用するのと比較して、凍結乾燥の後に常により小さいサイズのナノ粒子が製造される。(*p<0.05)。グラフの各点は、平均±SD(n=3)を表す。クエン酸バッファーは、脱イオン水中にクエン酸(0.0153g/L)及びクエン酸ナトリウム(2.91g/L)で構成された。リン酸バッファーは、脱イオン水中に第二リン酸ナトリウム(1.44g/L)、第一リン酸カリウム(0.25g/L)、及び塩化ナトリウム(10g/L)で構成された。いずれのバッファーも、本発明に係る第2の水性フェーズをpH7.4に維持するために使用された。
【図6】ドキソルビシンがロードされたナノ粒子を調製するための本発明の方法の一般的なステップをフローチャートによって例示する。
【図7】リン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)中の6,7ヒドロキシクマリンがロードされたゼインのナノ粒子のインビトロでの放出プロファイルを例示する。本発明の方法によって調製したクマリンがロードされたゼインのナノ粒子(10mg/ml)は、透析膜(SpectraporTM、M.wt.5000Da)内に配置され、そして、リン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)中で、トリプシン(10mg/ml)の存在下(酵素的)及びトリプシンの非存在下(非酵素的)でインキュベートされた。浸漬条件(sink conditions)を維持するためにエタノール(20%v/v)が媒体に加えられ、また、アジ化ナトリウム(0.005%w/v)が抗菌剤として使用された。この溶液は、50rpmの水平振とう水浴中で37°Cに維持された。この透析物のアリコート(1ml)が7日間に亘って異なる時点で回収され、そして、浸漬条件を維持するために新しい媒体と交換された。透析物は、蛍光分光分析(λex=490nm;λem=520nm)を用いて、ゼインのナノ粒子から放出されるクマリンに関して分析された。それぞれのデータ点は、3つの実験の平均(±SD)である。酵素的な放出は、すべての時点において、非酵素的な放出よりも高かった(p<0.05)。
【図8】リン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)中のゼインのナノ粒子からのドキソルビシンのインビトロでの放出プロファイルを例示する。本発明のナノ析出(nanopreciptation)方法によって調製されるドキソルビシンがロードされたゼインのナノ粒子(10mg/ml)は、遠心管内の1mlのリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)中でインキュベートされ、その後、この溶液は50rpmの水平振とう水浴において、37°Cに維持された。このサンプルを、10,000rpmで10分間遠心分離し、その後、この上澄みは、ナノ粒子から放出されるドキソルビシンに関して、HPLCを用いて分析された。AC‐18カラムが使用され、そして、移動相(流速1ml/min)は0.1%TFA:アセトニトリル(5%から80%までのアセトニトリル勾配が使用された)であった。蛍光検出器(λex=505nm;λem=550nm)はドキソルビシンを検出するために使用された。放出の研究は、最大で4日間に亘って実行された。それぞれのデータ点は、3つの実験の平均(±SD)である。
【図9】デキストラン‐FITC(フルオロイソチオシアネート)がロードされたナノ粒子の調製のための本発明の方法の一般的なステップをフローチャートによって例示する。デキストランの分子量は4000Daである。
【図10】リン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)中のゼインのナノ粒子からのデキストラン‐FITCのインビトロでの放出プロファイルを例示する。本発明の方法によって調製されるデキストラン‐FITCがロードされたゼインのナノ粒子(10mg/ml)は、遠心管中の1mlのリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)中でインキュベートされ、50rpmの水平振とう水浴で37°Cに維持された。このサンプルは10,000rpmで10分間遠心分離され、そして、この上澄みは蛍光分光分析(λex=490nm;λem=520nm)を使用することによりナノ粒子から放出されるデキストラン‐FITCに関して分析された。この研究は8日間に亘って実行された。各点は、平均±SD(n=3)を表す。
【図11】プラスミドDNAがロードされたナノ粒子を調製するための本発明の方法の一般的なステップをフローチャートによって例示する。本研究において使用された緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードするプラスミドDNA(pDNA)は、大腸菌のDH5α株を用いて増殖された。この大腸菌のDH5α株はLB培地中で培養された。プラスミドは、Qiagenの“EndoFree Plasmid Mega Kit”を使って分離された。精製したpDNAは、UV‐分光光度計を用いて260/280nmにおけるUV吸光度の比率を計算することによって解析され、また、アガロースゲル電気泳動によって解析された。
【図12】ブタ多形核細胞によるゼインのナノ粒子の取り込みに対する粒径の影響を例示する。図は、ゼイン粒子及び陽性対照のザイモサンの存在下での、ルミナル化学ルミネセンス(luminal chemiluminescence)(90分以上)についての曲線下面積のパーセント(percent area under the curve)を示す。それぞれの実験は4つの実験の平均(±SEM)である。取り込みは、他のグループと比較して、より小さなサイズの粒子において著しく少なかった(p<0.05)。
【図13】それぞれ、ゼイン粒子のプライマリ(primary)の皮下注入及びブースターの皮下注入の3週目及び5週目後に測定される抗ゼイン抗体(光学濃度)を例示する。各値は平均±SEM(n=4)として表される。プライマリ及びブースターの力価(titres)は、生理食塩水のグループと比較して統計学的に有意ではなかった(p>0.05)。生理食塩水中の粗ゼイン懸濁液又はゼイン粒子(100μg/50μlに相等する)は、メスのBalb/cマウスに皮下注射された。血液は、眼窩静脈叢(orbital plexus)から回収され、そして、希釈した血清(1/16)中で抗ゼイン抗体の濃度がマウスELISAキットを使用して測定された。
【図14】ジメチルチアゾール‐2‐イル‐2,5‐ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)分析を使いる4時間の処置の後のミトコンドリアデヒドロゲナーゼの相対活性として表されるブタ腸上皮細胞(IPEC‐J2細胞)(20,000細胞/ウェル)の細胞生存能力に対する黄色ゼイン(Y)及び白色ゼイン(W)の影響を例示するグラフである。何も処置していないプレートを対照として用い、生存率100%と見なした。ゼインの粉末は55%v/vのエタノールに溶解され、そして、希釈系列(subsequent dilutions)が無血清媒体の5mg/mlストックから作成された。すべての濃度において、黄色ゼイン及び白色ゼインは共に、何も処置していない対照と著しく異なるというわけではなかった(*p<0.05)。各データ点は3つの実験の平均±SEMである。
【図15】OVACAR‐3細胞(ヒト卵巣癌細胞)における、ドキソルビシン溶液及び本発明によって調製されたドキソルビシン‐ゼインのナノ粒子のインビトロでの細胞毒性プロファイルを例示する。細胞は、24時間の間、0.0001μMから10μMの濃度で、ドキソルビシン溶液及びドキソルビシンがロードされたナノ粒子に曝された。この薬物処理は24時間後に除去され、そして、この細胞は5日間、ブランク媒体を用いてインキュベートされた(媒体は48時間おきに交換された)、そして、この細胞の生存率はMTT分析によって5日目に測定された。それぞれのデータ点は4つの実験の平均である。ドキソルビシン溶液及びドキソルビシン‐ゼインのナノ粒子のIC50は、それぞれ3.1nM及び0.20nMであった。(Dox=ドキソルビシン溶液;Dox‐NP=ドキソルビシン‐ナノ粒子)
【図16】ドキソルビシン耐性のヒト乳がん細胞(NCI/ADR‐RES細胞)における、ドキソルビシン溶液及び本発明によって調製されたドキソルビシン‐ゼインのナノ粒子のインビトロでの細胞毒性プロファイルを例示する。細胞は、24時間の間、0.0001μMから10μMの濃度で、ドキソルビシン溶液及びドキソルビシンがロードされたナノ粒子に曝された。この薬物処理は24時間後に除去され、そして、この細胞は5日間、ブランク媒体を用いてインキュベートされ(媒体は48時間おきに交換された)、そして、この細胞の生存率はMTT分析によって5日目に測定された。それぞれのデータ点は4つの実験の平均である。ドキソルビシン溶液及びドキソルビシンがロードされたゼインのナノ粒子のIC50は、それぞれ81.73nM及び6.41nMであった。(Dox=ドキソルビシン溶液;Dox‐NP=ドキソルビシンがロードされたナノ粒子)
【図17】架橋ブランクゼインのナノ粒子を調製するための本発明の方法をフローチャートによって例示する。
【図18】24時間に亘る架橋剤に応じたゼインのナノ粒子の架橋度を示すグラフである。この架橋度は、TNBS分析を用いて決定された。使用された架橋剤は、GTA‐グルタルアルデヒド(25%w/vのストック溶液の500μl),EDC:1‐エチル‐3‐[3‐ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド(0.6%w/v),及びNHS:Nヒドロキシスクシンイミド(0.6%w/v)であった。使用されたゲニピン(genipin)の濃度は0.05%w/vであった。「ブランク(blank)」はいかなる架橋剤も用いられていないゼインのナノ粒子を表す。データは2つの実験の平均である。
【図19】ローダミン‐123がロードされ架橋されたゼインのナノ粒子を調製するための本発明の方法をフローチャートによって例示する。
【図20】リン酸緩衝生理食塩水(0.1M)pH7.4中のゼインのナノ粒子からのローダミン‐123のインビトロでの放出プロファイルを例示する。結果は平均±SEM(n=4)を表す。NCS=非架橋粒子;CS=架橋粒子。架橋されたナノ粒子からの薬の放出は、非架橋のナノ粒子より著しく低かった(p>0.05)。本発明の方法によって調製されるローダミンがロードされたゼインのナノ粒子(20mg/ml)は、透析膜(SpectraporTMのM.wt.10,000Da)内に配置され、そして、5mlのリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)中でインキュベートされた。この溶液は、100RPMの水平振とう水浴中で37°Cに維持された。この透析物のアリコート(1ml)が48時間に亘って異なる時点で回収され、そして、浸漬条件を維持するために新しい媒体と交換された。透析物は、蛍光分光分析(λex=485nm;λem=530nm)を用いて、ゼインのナノ粒子から放出されるローダミンに関して分析された。
【図21】pH7.4、トリプシン存在下におけるゼインのナノ粒子からのローダミン‐123のインビトロでの放出プロファイルを例示する。結果は平均±SEM(n=4)を表す。ENCS=非架橋粒子;ECS=架橋粒子。架橋されたナノ粒子からの薬の放出は、非架橋のナノ粒子より著しく低かった(p>0.05)。本発明の方法によって調製されるローダミン‐123がロードされたゼインのナノ粒子(20mg/ml)は、透析膜(SpectraporTM,M.wt.10,000Da)内に配置され、そして、205μg/mlのトリプシンを含む5mlのリン酸緩衝生理食塩水(0.1M,pH7.4)中でインキュベートされた。この溶液は、100rpmの水平振とう水浴中で37°Cに維持された。この透析物のアリコート(1ml)は48時間に亘って異なる時点で回収され、そして、浸漬条件を維持するために新しい媒体と交換された。透析物は、蛍光分光分析(λex=485nm;λem=530nm)を用いて、ゼインのナノ粒子から放出されるローダミン‐123に関して分析された。
【図22】ブランクPEG化ゼインのナノ粒子を調製するための一般的な方法をフローチャートによって例示する。
【図23】PEG化されたナノ粒子の重み付けサイズ分布の強度(an intensity of weighted size distribution)を例示するグラフである。PEG化ゼインのナノ粒子の粒径は、0.282±0.01の多分散指数(PDI:Polydispersity Index)で131±1nmであった。このデータはまた、PEGを有するゼインナノ粒子の表面の修飾が粒径を増やさないこと、及びこのナノ粒子が薬物配送用途にとって望ましいサイズ範囲にあることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書で使われるように、「ナノ粒子」という語は、少なくとも一次元が、多くても1000nmである粒子を指すことが一般に知られている。しかしながら、本発明の方法によって形成されるナノ粒子は、本明細書において規定されるように、特定の値の直径を有する。更に、「ナノ粒子」という語の用法は、本発明の方法によって形成される、ブランクナノ粒子及び分子がロードされたナノ粒子を総称的に指すことが意図されている。
【0017】
本明細書で使用されるように、別に定め(即ち、図18)が無い限り、「ブランクナノ粒子」とは、ナノ粒子と共に形成される、又はナノ粒子に結合される、選択された粒子、分子或いは材料を有さない、本発明の方法によって形成されるナノ粒子を指し、及び意味する。
【0018】
本明細書で使われるように、「直径」という語は、ナノ粒子の寸法と関連して使用される場合に、粒子の塊の中心を通る線に亘る粒子の平均長さ寸法を指す。非球状粒子の直径の許容できる近似値は、例えば、粒子の最も長い寸法に沿った軸のうちの1つを用いる座標系の3本の直交軸に沿って、粒子の厚みの平均値をとることによって与えられ得る。
【0019】
本明細書で使用されるように、「投与する」又は「投与」とは、ナノ粒子の治療用途及び診断用途に関連して用いられる場合には、例えば、治療薬剤を標的部位に配送する目的で、インビボ又はインビトロ環境へと、ナノ粒子の選択された量を導入すること指す、及び含む。
【0020】
本明細書で使用されるように「インビボ」とは、例えば患者の身体などの被検体の身体又は身体の内部を意味し、そして、経口経路、静注経路、腹腔内経路、非経口経路、経皮経路、局所的経路、オプソモジカル(opthomogical)な経路、及び経鼻経路による投与を含むが、これらに限定されない、様々な手段によるナノ粒子の投与を含む。
【0021】
本明細書で使用されるように、「インビトロ」は、被検体又は患者の身体の外側の環境を意味する又は指す。
【0022】
本明細書で使用されるように、「被検体」又は「患者」という語は、いずれも個々の複雑な生物(例えば、ヒト又はヒト以外の動物)を指す、又は意味する。
【0023】
本明細書で使用されるように、「ゼインの等級」とは、例えば米国特許第5,254,673号[9](この特許文献の内容は本明細書に組み込まれる)に開示されるような様々な手法により得られる白色ゼイン及び黄色ゼインを含む、様々な種類又は形態のゼインを指す。
【0024】
本明細書で使用されるように、「治療薬剤」という語及びそれに類似する治療的又は医薬的な機能を参照する語は、参照される分子(referenced molecule)、高分子、薬又は他の物質が、被検体の病気又は疾患の発症、経過、及び/又は一つ以上の症状に有益な影響を及ぼすことが可能であり、並びに、病気又は他の状態を治療するための薬剤の製造においてナノ粒子とともに使用され得ることを意味する。
【0025】
本明細書で使用されるように、「生体適合(性)」という語は、被検体にインビボで投与される場合に、本発明の開示された方法によって製造されるナノ粒子が深刻な副作用を引き起こさない、又は誘発しないことを意味する。起こり得る副作用の例は、過度の炎症、及び/又は過度若しくは有害な免疫反応、並びに毒性を含むが、これらに限定されるものでは無い。
【0026】
本明細書及び添付の請求項において使用されるように、単数形(例えば、「a」,「an」,及び「the」)は、文脈において明確に別の定めがない限りは、複数を含むものとする。例えば、「ナノ粒子」と言った場合には複数のそのようなナノ粒子を含み、また、「分子」と言った場合には複数の分子及びその均等物を言及する。
【0027】
本明細書で使用されるように、「約」又は「近似」とは、妥当な範囲で、言及された数若しくは量の付近、或いは言及された数若しくは量よりも僅かに大きい又は僅かに小さい数若しくは量を意味する。
【0028】
本明細書で使用されるように、「含む」,「有する」,「特徴付けられる」(「comprising」,「including」,「having」,「containing」,「characterized by」)及びその文法的な均等物は、包括的な用語又はオープンエンド(open‐ended)な用語であり、追加の構成要素、列挙していない構成要素、又は追加の方法ステップ、列挙していない方法ステップを排除するものではなく、より限定的な用語「〜からなる」及び「本質的に〜からなる」を包含する。
【0029】
本発明は、約100nmから約400nmのサイズ範囲、最適には約100nmと約300nmの間のサイズ範囲でナノ粒子の粒径を制御することによって疎水性水不溶性タンパク質から非免疫原性ナノ粒子を製造する方法に関する。図1は、本発明の方法による非免疫原性のナノ粒子を調製する一般的なステップをフローチャートによって例示する。
【0030】
本方法の最初のステップ又はフェーズでは、水不溶性タンパク質(0.4〜1.25%w/v)が、エタノール及び脱イオン水を含み得る水アルコール溶媒に溶解される。この溶媒の組成は、例えば90:10%v/v又は92:8%v/vであり得る。選択された分子がナノ粒子にカプセル化されることになる方法の場合、カプセル化されることになる分子(0.03〜0.3%w/v)は、この第1の水性溶液に加えられる。カプセル化されることになる分子は、タンパク質ポリマーの約5〜約50%w/wである。
【0031】
この溶液のpHは、溶液のpHを約pH6から約pH7の間にするために、0.01NaOH又は0.01N HCの添加によって変更され得る。クマリンなどの酸性分子の添加後、又は、塩基性分子によってこの水のpHが変化する場合、このpHをpH6〜7に調節すべきである。第1のフェーズの溶液は、タンパク質の溶解を促進するために、プローブ超音波(probe sonication)によって処理され得る。
【0032】
本方法の次のステップでは、最初のステップ又はフェーズの水性溶液は、超音波剪断中に緩衝剤に加えられる。クエン酸バッファーは特に好ましい。第2の水性フェーズのために利用される緩衝剤の選択は、ナノ粒子形成の期間中のpHを維持するために重要であると考えられ、本開示で後述するように、続いて行われる形成されたナノ粒子の凍結乾燥のためにも重要である。バッファーが使用されない場合、又は、例えば、0.lN HClが第2の水相溶液のpHを調節するために用いられる場合、製造される粒子は、クエン酸バッファーを用いて製造されるものよりも大きい傾向があり、また、製造される粒子はより広いサイズ範囲を示す傾向がある。クエン酸バッファーの使用は、例えば約100nmなどの最小粒子直径サイズのいくつかの粒子を製造する。他のバッファーの使用は、約100nm〜約300nmの同じ又は類似した直径サイズ範囲で粒子を製造し得るが、凍結乾燥ステップ後に他の緩衝剤を用いて形成されるナノ粒子のサイズは2〜3倍増加する傾向がある。
【0033】
重要なこととして(significantly)、第2の水性フェーズの溶液のpHは、望ましいサイズのナノ粒子を得るためには約pH6.8から約pH7.4の間であることが好ましい。pHがこの範囲の外側にある場合、粒子サイズはより大きくなる傾向があり、また、製造される粒子の多分散指数(PDI)はより高くなる。PDIは、異なるサイズ範囲の粒子の分布の評価基準である。それ故、本方法は、ゼインの等電点の付近の約6.8〜約7.4の選択されたpHを有する水アルコール溶液及び水性溶液において、例えばゼインなどのタンパク質の溶解度の違いを利用し得る。
【0034】
更に、第2の水性フェーズの溶液への緩衝剤の添加は、高出力の超音波剪断中、若しくは高圧ホモジナイゼーション(homogenization)中、又は超音波剪断と高圧ホモジナイゼーションの組合せの最中に実行され得る。超音波剪断の超音波エネルギー及び期間は、望ましい直径サイズ範囲の粒子の形成に特に重要であり得る。超音波剪断エネルギーは5秒から10秒のパルス駆動時間(オンタイム)と、1秒から5秒のパルス停止時間(オフタイム)とを有する約2分から約10分の期間、0.6kW/hから1.39kW/hで実施され得る。超音波処理は、望ましいサイズ範囲の粒子の製造に重要であり得る。高圧ホモジナイゼーションを使用する場合、処理は、5,000psiから40,000psiの圧力で、5分から10分の期間、0.1mmから0.25mmの間の開口部サイズを用いて実施され得る。
【0035】
第2のフェーズの緩衝剤はまた、選択された比率で界面活性剤及びリン脂質を好ましくは含み得る。界面活性剤とリン脂質の比は約2:1%w/wあり得、この比率は最も好ましい結果をもたらすと考えられる。この比率はまた、1:0.5%w/w又は1:1%w/w又は1:2%w/wであってもよい。重要なこととして、界面活性剤及びリン脂質の組合せの利用は、製造される粒子を安定化し、粒子の凝集を防ぐのに役立つため、非常に望ましい。ほんの一例として、界面活性剤は、例えばPluronic F68などのポロキサマーであり得、また、リン脂質はレシチンであり得る。本方法で使用され得る他の界面活性剤は、ポロキサマー(Pluronic)、ポリオキシエチレン・アルキル・エーテル(Brij)、ソルビタンエステル(Span)、ポリオキシエチレン・ソルビタン脂肪酸エステル(Tween)などの他の非イオン性界面活性剤、及びジオクチル・スルホサクシネート・ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、臭化セチル・トリメチル・アンモニウム、臭化n‐ドデシル・トリメチル・アンモニウムなどのイオン性界面活性剤、並びに、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどのポリマーを含む。本方法で使用され得る他のリン脂質は、非イオン性脂質及び荷電脂質、或いは、例えば卵レシチン、大豆レシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、1,2‐ジオレイル‐3‐トリメチル・アンモニウム・プロパンなどのリン脂質を含む。
【0036】
選択された比率のポロキサマー及びレシチンの組合せ(例えば、0.9%w/w:0.45%w/w)は、約100nmから約300nmの望ましい直径サイズ範囲のナノ粒子を製造することが分っている。界面活性剤又はリン脂質のいずれかだけを使用すると、通常、望ましい直径サイズ範囲外のより大きな粒径サイズをもたらすことが分っている。しかしながら、本明細書に開示される方法に係る界面活性剤又はリン脂質のいずれかの使用は、非免疫原性のために望ましいサイズのナノ粒子をもたらす。
【0037】
第2のフェーズの溶液に対する超音波剪断又は/又は高圧ホモジナイゼーションの適用後に、混合物は、エタノール又は他の溶媒を揮発させることでナノ粒子を形成するために撹拌され得る。撹拌は、機械的な撹拌器よって実行され得、また、室温で約3時間、約300rpmから約500rpmの速度で実行され得る。
【0038】
その後、好ましくは、残留物からナノ粒子を分離する目的で、ナノ粒子は超遠心濾過にかけられ得る。超遠心は、分子量のカットオフが約5000Daの遠心フィルタ(又は分子量(Mwt)のカットオフが5000Daより高い若しくは低い他の適切なフィルタ)を用いて実施され得、また、カプセル化される分子又は薬に依存して、或いは例えばPEG化などのナノ粒子に対する特定の処理に依存して、2000gから40,000gの間で実施され得る。超遠心の時間は、20から50分の間で様々であり得る。
【0039】
抗凍結剤は、その後ナノ粒子に加えられ得る。例えば、2%w/vのトレハロースは、抗凍結剤として加えられ得る。また、例えば、ブドウ糖、ショ糖、ラクトース、フィコール(ficoll)、ベタイン、又はマンニトールなどを含む糖類、或いは例えばマンニトール、ソルビトールなどのポリオール(poyols)などの他の凍結‐又は凍結乾燥‐保護剤が使用され得、これらは凍結乾燥保護剤(lyoprotectant)として使用され得る。ナノ粒子は、硬い固形物を形成するために−80°Cに保持され得、この固形物はその後、例えば高真空下において凍結状態でナノ粒子を乾燥させることによって凍結乾燥される。超音波エネルギーの期間、界面活性剤の種類、界面活性剤の濃度、及びバッファーは様々であり得る。
【0040】
例として、約100nmから約400nmの間のサイズ範囲の分布を有するナノ粒子は、以下のように調製された:
【0041】
<実施例1>
第1の水性フェーズでは、0.0135gの白色ゼインは、3mlのエタノールと0.25mlの水との混合物に溶解された。ゼインの濃度又は使用される溶媒の組合せは、最適であった;しかしながら、望まれる別のサイズ範囲のナノ粒子を、ゼインの濃度又は溶媒の組成を変更することで製造することができる。ゼインの溶解は、約20秒間のプローブ超音波の適用で促進された。結果として得られる第1の水性フェーズの溶液は、その後、10秒のパルス・オンタイムと1秒のパルス・オフタイムを有する10分間の超音波エネルギー(1.39kW/h,振幅37%)の一定した適用の下で、pH7.4のクエン酸バッファーと、レシチン(0.45%w/v)及びPluronic F68(0.9%w/v)の組み合わせとの溶液15mlへと滴下された。超音波剪断処理の間、その温度を約10°Cに維持するために、この分散系は氷浴に保持された。この分散系は、その後、エタノールが完全に揮発するまで、室温で、300rpm〜500rpmの間で磁気撹拌器に置かれた。エタノールの完全な揮発の後、ナノ粒子は残留物及び/又は界面活性剤を除去するために精製された。精製は、脱イオン化したpH7.4のクエン酸バッファーと、分子量5000Daのカットオフの遠心フィルタを使用する、50分間、3950gの超遠心とを用いて、繰り返し洗浄することによって達成された。結果として得られるゼインのナノ粒子の水性懸濁液(pH7.4のクエン酸バッファー)の4mlに対して、抗凍結剤として2%w/vのトレハロースが加えられ、その後、ナノ粒子は、硬い固形物を形成するために−80°Cに保持された。この材料は、その後、−47°C、真空度60mTorrで12時間〜14時間に亘って凍結乾燥された。ナノ粒子は、その後、10°Cの冷蔵室内のデシケーター(dessicator)中に保存された。
【0042】
本発明の代替形態の方法では、第2のフェーズの溶液の超音波剪断は、高圧下で狭い開口部に分散系を通すことにより粒子サイズを減らす高圧ホモジナイザーによって補助されてもよく、又は高圧ホモジナイザーと取り替えられてもよい。これは、高濃度のゼインが使用される場合に、より小さなサイズ範囲でナノ粒子を製造するため特に有用である。また、高圧ホモジナイゼーションは、ゼインのナノ粒子の調製のスケールアップした方法として使用することができる。この方法の例を以下に記載する。
【0043】
<実施例2>
或る量の0.65%w/v白色ゼインが、6mlのエタノールと、0.50mlの水との混合物に溶解された。結果として得られる第1の水性フェーズの溶液の組成は、所望の約pH6から約pH7を得るために変更された。ゼインの溶解は、約20秒間のプローブ超音波の適用によって促進された。結果として得られる第1の水性フェーズの溶液は、その後、10秒のパルス・オンタイムと1秒のパルス・オフタイムを有する2分間の超音波エネルギー(1.39kW/h,振幅37%)の一定した適用の下で、pH7.4を有するクエン酸バッファーと、レシチン(0.45%w/v)及びPluronic F68(0.9%w/v)の組み合わせとの溶液30mlへと滴下された。超音波剪断処理の期間中、この分散系は、温度を約10°Cに維持するために氷浴に保持された。結果として得られる粗懸濁液は、その後、20,000psiで5分間、0.1mmから0.25mmの間の開口部サイズを有する高圧ホモジナイザー(Nano Debee、USA)に通された。高圧ホモジナイゼーション処理の期間中、冷却装置を用いて高圧ホモジナイザー内に水を循環することで温度が約10℃に維持される。続いて、この分散系は、エタノールが完全に揮発するまで、室温で、磁気撹拌器に300r.p.m〜500r.p.mで保持された。完全に揮発した後、ナノ粒子は残留物又は界面活性剤を除去するために精製された。精製は、pH7.4のクエン酸バッファーと、分子量5000Daのカットオフの遠心フィルタを使用する、50分間、3950gの超遠心とを用いて、繰り返し洗浄することによって達成された。ナノ粒子の4ミリリットルの水性懸濁液(pH7.4クエン酸バッファー)は、35mgの2%w/vトレハロースと混合され、硬い固形物を形成するために−80°Cに保持された。この固形物は、その後、−47°C、真空度60mTorrで12時間〜14時間に亘って凍結乾燥された。
【0044】
実施例1及び実施例2に記述される本発明の方法は、選択された分子(例えば治療薬)がナノ粒子内にカプセル化される(図2)ナノ粒子の形成に適している可能性がある。分子がカプセル化されたナノ粒子を形成するための本発明の方法の例は、以下の通りである:
【0045】
<実施例3>
0.0135gの量の白色ゼインは、3mlのエタノールと0.25mlの0.01N NaOHとの混合物に溶解され、pH6からpH7の間に調節された。この溶液には、0.0066gの6,7‐ヒドロキシクマリンが加えられ、その後、この混合物は溶解を保証するために20秒間のプローブ超音波処理にかけられた。結果として得られる溶液は、10秒のパルス・オンタイムと、1秒のオフタイムとを有する10分の間、1.39kW/h及び振幅37%の一定した超音波エネルギーの下で、0.0675gのレシチンと0.135gのPluronic F68とを含む15mlのクエン酸バッファー(pH7.4)へと滴下された。超音波処理の期間中、この溶液は、温度を約10°Cに維持するために氷浴に保持された。続いて、この分散系は、エタノールが完全に揮発するまで、室温で、磁気撹拌器に300r.p.m〜500r.p.mで置かれた。アルコールの完全な揮発後、ナノ粒子は余分な薬及び/又は界面活性剤を除去するために精製された。精製は、pH7.4のクエン酸バッファーと、分子量5000Daのカットオフの遠心フィルタを使用する、50分間、3950gの超遠心とを用いて、繰り返し洗浄することによって達成された。クマリンがロードされたナノ粒子の4ミリリットルの水性懸濁液(pH7.4クエン酸バッファー)は、35mgのトレハロースが加えられ、硬い固形物を形成するために−80°Cに保持された。この固形物は、その後、−47°C、真空度60mTorrで12時間〜14時間に亘って凍結乾燥された。
【0046】
白色ゼインは、ベースとなるタンパク質として本発明の方法で適切に使用され得ることが示されてきた。白色ゼインは約100nm〜約400nmの望ましい狭いサイズ範囲で再生可能なナノ粒子を与えるが、黄色ゼインはより広い粒径分布を有するより大きな粒子を与える。この違いは、以下に表1及び表2で例示される。表1は、上記の実施例1及び実施例3の方法によって、黄色ゼインから作成したナノ粒子のデータを提供する。ブランクナノ粒子と、クマリンがロードされたナノ粒子の両方が示される。各粒径が、それぞれ約460nm及び610nmであることがわかり得る。比較すると、以下の表2に示されるように、実施例1及び実施例3の方法によって白色ゼインから作成されるブランク及びクマリンがロードされたナノ粒子はより小さい。図3及び図4は、ブランクゼインのナノ粒子及びクマリンがロードされたゼインのナノ粒子の電子顕微鏡画像及び原子間力画像を示す。
【0047】
【表1】

【0048】
【表2】

【0049】
黄色ゼインの色素は、ゼインの可溶性と望ましいサイズ分布のナノ粒子の形成とに影響を及ぼすように見える。例えばタンパク質等の天然ポリマーを用いて、常に望ましいサイズ範囲内にある粒子を調製することは、従来技術では特に困難なことであることが分かっている。しかしながら、本発明は、例えば白色ゼインなどの適切な等級のタンパク質を用いて常に望ましいサイズ範囲にあるナノ粒子を製造することができる。
【0050】
重要なこととして、本発明の方法は、80nm〜100nmの短さの直径サイズを有するナノ粒子を製造する、及び製造している可能性がある。上記の実施例2に記載されるように、超音波剪断の部分が高圧ホモジナイゼーションと取り替えられた場合、結果として得られるブランクナノ粒子の粒径はまた、上記した表2に示される粒径と似たようなものとなる(即ち、約220±15nmの粒径と0.4±0.07のPDIを有する)。
【0051】
望ましいサイズ範囲にある本発明のナノ析出方法によって製造されるナノ粒子の収率は、約60%より高いことが分っている。本方法は、身体に投与される際に免疫原性の反応を避けるために、約400nm未満の範囲、また、好ましくは約100nm〜約300nmの比較的狭い直径サイズ分布を有する範囲で主として測定される直径を、製造される粒子が有する点で重要である。有利なことに、豚の血液を用いてインビトロで試験した場合、約400nmより大きな直径サイズの大きめの粒子は、食細胞によって迅速に取り込まれるが、例えば本発明の方法によって製造されるような、約100〜約400nmの直径サイズ範囲のゼインのナノ粒子は、食細胞によって取り込まれない。これは、ゼインのナノ粒子の粒子直径サイズをより小さいサイズ範囲内に制御することで、ナノ粒子の貪食(ファゴサイトーシス)が回避されることを示唆している。
【0052】
マウスにおける免疫原性の研究は、約400nmより大きい直径サイズを有するゼインのナノ粒子は、深刻な免疫反応をもたらす(抗ゼイン抗体は、生理食塩水の対照と比較して2倍〜4倍より高かった)が、約100nm〜約400nmの直径サイズ範囲のゼインのナノ粒子は非免疫原性であることを示した。これらの結果は、約400nm未満の直径サイズを有するナノ粒子を調製して用いることが、粒子の疎水性タンパク質に起因したあらゆる深刻な免疫原性を回避することに役立つことを示す。
【0053】
ナノ粒子のサイズの制御は、一つには、本方法の第2の水性フェーズにおける溶液のpHを制御することによって達成することが可能である。以下の表3のデータは、より低いPDIを有するより小さいサイズのナノ粒子がpH6.8〜pH7.4の間で達成されることを例示する。
【0054】
【表3】

【0055】
ナノ粒子形成サイズを制御することにおける更なる重要なファクターは、界面活性剤と、リン脂質との組合せであり、この組合せはナノ粒子を安定化し、粒子の凝集を防止するために必要である。例えば2:1の比率(例えば、0.9:0.45%w/w)のポロキサマーとレシチンの組合せは、望ましいサイズ範囲のナノ粒子を製造する。界面活性剤又はリン脂質のいずれかが単独で用いられる場合は、以下の表4のデータで示唆されるように、より大きな粒子が得られる。
【0056】
【表4】

【0057】
第2の水性フェーズのための緩衝剤の選択は、ナノ粒子の形成期間中、最適なpHを維持するために重要であるだけでなく、以降の凍結乾燥のためにも重要である。例えば、緩衝剤が第2の水性フェーズの溶液に使用されない場合、又は、0.1N HClがpHを調節するために用いられた場合、結果として得られるナノ粒子は、より広いサイズ範囲又はPDIを有するより大きなサイズのものとなる。図5に示されるように、クエン酸バッファーの使用は、最小の粒径(109±12nm)を与えた。他の緩衝剤(特にリン酸)の使用では、結果として、凍結乾燥後にゼインのナノ粒子の粒径が3倍から2倍に増加することになる。
【0058】
第2の水性フェーズからの溶液に緩衝剤としてリン酸を用いて、本方法により調製され、及び凍結乾燥後に得られたゼインのナノ粒子は、第2の水性フェーズにおいて緩衝剤としてクエン酸バッファーを用いて調製されたナノ粒子と比較すると非常に大きな粒子を製造したことを図5のグラフは例示する。リン酸バッファーにおける粒径の増加は、恐らくは、凍結乾燥の温度でのpHの降下によって引き起こされるバッファーの結晶化及び析出に起因する[10]。この問題は、凍結乾燥温度の期間中のpH変化に効果的に耐えるクエン酸バッファーを用いて解決される。ゼイン中のアミノ基はクエン酸によって架橋され得、これもゼインのナノ粒子を安定化する[11]。
【0059】
ゼインが生分解可能なタンパク質であること、また、合成ポリマーよりも生体適合性でもあることは注目すべき点である。ゼインは、FDA基準によってGRAS(一般に安全であると見なされる:Generally Regarded As Safe)ポリマーとして挙げられるポリマーである[12]。本発明の方法は、それ故、様々な物理化学的特性の分子又は薬をカプセル化して備えるゼインのナノ粒子を調製することに適している。以下の表5は、本発明による方法を使用して、ナノ粒子によってカプセル化され得るいくつかの分子のサンプリングを例として示す。ナノ粒子のカプセル化に用いられ得る分子の数又は種類は、本明細書に記されたものに限定されない。
【0060】
【表5】

【0061】
6,7ヒドロキシクマリンを用いて形成されるナノ粒子の例は、上記の実施例3に記載され及び図2示される。治療剤を含むナノ粒子の別の例は、ドキソルビシンがロードされたゼインのナノ粒子であり、この例の一般的なステップは図6に図示される。ドキソルビシンがロードされたゼインのナノ粒子を調製する具体的な方法は、以下の通りである:
【0062】
<実施例4>
0.0135gの量の白色ゼインは、3mlのエタノールと0.25mlの水との混合物に溶解された。第1の水性フェーズのこの溶液に、0.001gのドキソルビシン塩酸塩が加えられ、そして、この混合物はドキソルビシン塩酸塩を溶解するために20秒間のプローブ超音波にかけられた。結果として得られる溶液は、10秒のパルス・オンタイムと、1秒のオフタイムとを有する10分の間、1.39kW/h及び振幅37%の一定した超音波エネルギーの下で、0.0675gのレシチンと0.135gのPluronic F68を含む15mlのクエン酸バッファー(pH7.4)へと滴下された。超音波処理の期間中、この溶液は、温度を約10°Cに維持するために氷浴に保持された。続いて、この分散系は、エタノールが完全に揮発するまで、室温で、磁気撹拌器に300r.p.m〜500r.p.mで置かれた。アルコールが完全に揮発した後、このナノ粒子は残留物を除去するために精製された。精製は、pH7.4のクエン酸バッファーを用いて、及び分子量5000Daのカットオフの遠心フィルタを使用する、50分間、3950gの超遠心にかけて、繰り返し洗浄することによって達成された。ドキソルビシンのナノ粒子の水性懸濁液(pH7.4クエン酸バッファー)に、35mgのトレハロースが加えられ、そして、この混合物は硬い固形物を形成するために−80°Cに保持された。この材料は、その後、−47°C、真空度60mTorrで12時間〜14時間に亘って凍結乾燥された。
【0063】
本方法に係るドキソルビシンがロードされたゼインのナノ粒子の調製において(図6)、粒子は約171±45nmの平均直径と、約0.3のPDIとを有して形成された。ゼインのナノ粒子によるドキソルビシンのカプセル化効率は、約61±16%であった。
【0064】
本発明によって作成されるゼインのナノ粒子は、一つには水不溶性のゼインのナノ粒子に起因するカプセル化された分子若しくは薬の有益な及び/又は好都合な持続放出(徐放)をもたらし、これは粒子が長期間にわたって薬の放出を持続することを可能にする。例えば、図7は、上記の実施例2に記述される方法によって作成されるクマリンがロードされたナノ粒子のインビトロでの放出プロファイルを表す。このデータは、インビトロにおいて最大7日間にわたって薬の持続放出があること、酵素の存在下でより高い放出率が観察さることを示す。このデータは、ナノ粒子からの薬の拡散を遅くすることによって、及びゼインのナノ粒子の酵素による分解を遅くすることによって、ゼインのナノ粒子の放出が調節されることを示す。図8は、実施例4によって作成されるドキソルビシンがロードされたゼインのナノ粒子からのドキソルビシンのインビトロでの放出プロファイルを表し、初期のバースト、それに続く約24時間後の持続放出の混合されたオーダーを示している。
【0065】
本発明に係るナノ粒子として形成され得る治療薬剤又は診断薬剤のさらなる例は、デキストラン‐FITCである(図9)。デキストラン‐FITCがロードされたゼインのナノ粒子を調製する例は、以下の通りである:
【0066】
<実施例5>
0.0135gの量の白色ゼインは、3mlのエタノールと0.25mlの水との混合物に溶解された。このゼインの溶液に、FITCでラベルされたデキストラン(Mwt4000Da)を0.003g加え、そして、デキストラン‐FITCはこの溶液に溶解された。結果として得られる溶液は、10秒のパルス・オンタイムと、1秒のオフタイムとを有する10分の間、1.39kW/h及び振幅37%の一定した超音波エネルギーの下で、0.0675gのレシチンと0.135gのPluronic F68とを含む15mlのクエン酸バッファー(pH7.4)へと滴下された。超音波処理の期間中、この溶液は、温度を約10°Cに維持するために氷浴に保持された。続いて、この分散系は、エタノールが完全に揮発するまで、室温で、磁気撹拌器に300r.p.m〜500r.p.mで置かれた。アルコール溶媒が完全に揮発した後、ナノ粒子は残留物を除去するために精製された。精製は、pH7.4のクエン酸バッファーと、分子量5000Daのカットオフの遠心フィルタを使用する、50分間、3950gでの超遠心とを用いて、繰り返し洗浄することによって達成された。デキストラン‐FITCがロードされたナノ粒子の水性懸濁液(pH7.4クエン酸バッファー)に、35mgのトレハロースが加えられ、そして、この混合物は硬い固形物を形成するために−80°Cに保持された。この材料は、その後、−47°C、真空度60mTorrで12時間〜14時間に亘って凍結乾燥された。
【0067】
図10で示されるように、本発明によって調製されたデキストラン‐FITCナノ粒子(図9)は、インビトロで持続した放出プロファイルを示す。
【0068】
更に本発明によると、遺伝子治療に適した分子(例えば、プラスミド、DNA、オリゴヌクレオチド、及びsiRNA)は、治療用途及び診断用途のためにナノ粒子中にカプセル化され得る。図11は、遺伝子に基づく(gene‐based)分子を含むナノ粒子を調製するための一般的な方法を例示する。ナノ粒子にカプセル化されたpDNA(プラスミドDNA)を含むナノ粒子を作成するための具体的な例は、以下の通りである:
【0069】
<実施例7>
0.0135gの量の白色ゼインは、3mlのエタノールと0.25mlの水との混合物に溶解された。このゼインの溶液に0.187μgのpDNA GFP(緑色蛍光タンパク質)を加え、このpDNA GFPはこのゼインの溶液に溶解された。結果として得られる溶液は、10秒のパルス・オンタイムと、1秒のオフタイムとを有する10分の間、1.39kW/h及び振幅37%の一定した超音波エネルギーの下で、0.0675gのレシチン、0.135gのPluronic F68、及び7.5mMのCaClを含む15mlのクエン酸バッファー(pH7.4)へと滴下された。超音波処理の期間中、この溶液は、温度を約10°Cに維持するために氷浴に保持された。続いて、この分散系は、エタノールが完全に揮発するまで、室温で、磁気撹拌器に300r.p.m〜500r.p.mで置かれた。アルコール溶媒が完全に揮発した後、過剰な薬及び界面活性剤を除去するために、分子量5000Daのカットオフの遠心フィルタを使用し、50分間、3950gの処理で超遠心することで、ナノ粒子は精製された。2サイクルの超遠心が実行され、ナノ粒子は水で洗浄された。pDNAがロードされたナノ粒子の水性懸濁液に、35mgのトレハロースが加えられ、そして、この混合物は硬い固形物を形成するために−80°Cに保持された。この材料は、その後、−47°C、真空度60mTorrで12時間〜14時間に亘って凍結乾燥された。
【0070】
例えば、図6、図8及び図10で示されるように、様々なカプセル化された分子に関する薬の放出プロファイルは、非経口経路及び経口(non-parenteral)経路の投与(経口経路、経頬経路(buccal route)、経皮経路、経鼻経路、経肺経路(pulmonary route)、経眼経路による配送を含む)によって、ゼインのナノ粒子が万能で安全な薬配送媒体(ドラッグデリバリー媒体)として使用できることを示す。多くの他の分子、粒子、及び薬が同様にカプセル化され得、これらには、治療用途、診断用途、美容用途、又は療法のためのワクチン、化粧用の物質(例えば、ミノキシジル、ビタミンC、など)が、限定されることなく含まれる。
【0071】
更に、本発明の方法によって形成されるナノ粒子の比較的小さなサイズに起因して、分子がロードされた(例えば、薬がロードされた)ゼインのナノ粒子は、食細胞に認識されて除去されることなく、体内を長期間にわたって循環することができる。豚の血液を使ってインビトロで試験した場合、>400nmのサイズのより大きな粒子は食細胞によって迅速に取り込まれるが、100nm‐400nmのサイズ範囲のゼインのナノ粒子は血液の食細胞によって取り込まれないことを図12のデータは例示する。それ故、より小さいサイズ範囲内にゼインのナノ粒子の粒子サイズを制御することで、食細胞の取り込みが回避されることが示唆され得る。マウスにおける免疫原性の研究は、100nm〜400nmのサイズ範囲のゼインのナノ粒子が非免疫原性であることを示した。その一方で、図13で示されるように、>400nmのサイズを有するゼインのナノ粒子は、対照と比較して深刻な免疫反応(2倍〜4倍)を引き起こす。
【0072】
ナノ粒子を作成するために使用されるゼインの細胞毒性は、豚の腸上皮細胞(IPEC‐J2)を用いた細胞増殖の研究において調べられた。例示的な細胞毒性の研究の結果が図14に示される。どの濃度においても、バッファーで処理した対照と比較して、白色ゼイン及び黄色ゼインの間では深刻なレベルの細胞毒性は、観察されなかった。
【0073】
開示された方法によって作成されるゼインのナノ粒子の治療効果は、ヒト卵巣ガン細胞(OVCAR‐3)(図15)と、ドキソルビシン耐性のヒト乳がん細胞(NCI/ADR‐RES)(図16)とを用いて、ドキソルビシンがロードされたゼインのナノ粒子を使って、インビトロで試験された。細胞は、2000細胞/ウェル/0.1mlの播種密度(seeding density)で塗沫された。一晩(オーバーナイト)付着させた後、この細胞は、ドキソルビシン溶液又はドキソルビシンのナノ粒子のいずれかを0.07〜70nM(OVCAR‐3)と、0.1〜10000nM(NCI/ADR‐RES)の濃度で用いて24時間処理された。24時間後に、それぞれの薬処理は取り除かれた。この細胞は、氷で冷やしたリン酸バッファーで2度洗浄され、新しい媒体と交換された。媒体は、48時間おきに交換された。MTT分析は、処置後5日目に細胞毒性を評価するために用いられた(NCI及びOVCAR‐3)。この結果は、ヒトのガン細胞において、ゼインのナノ粒子にロードされたドキソルビシンが遊離したドキソルビシン溶液よりも著しく高い効能を有したことを示す。ドキソルビシンがロードされたナノ粒子は、遊離したドキソルビシンよりも約12〜約16倍高い効能であった。効能の差は、遊離した薬の細胞取り込み機構と、ナノ粒子にカプセル化された薬の細胞取り込み機構の違いに起因すると考えられる。ドキソルビシンがロードされたナノ粒子は能動的なエンドサイトーシス過程で取り込まれるが、遊離したドキソルビシンは濃度勾配によって決まる受動的な拡散によって取り込まれる。更に、ドキソルビシンがロードされたナノ粒子のエンドサイトーシスは、耐性ガン細胞における薬剤排出ポンプを回避することができると考えられており、それ故より良い効能がもたらされる。
【0074】
本発明の更なる側面では、本発明の開示した方法によって製造されるナノ粒子の酵素安定性が架橋することによって更に強化され得る。図17は、架橋剤としてグルタルアルデヒドを用いる架橋されたブランクゼインのナノ粒子を調製するための一般的な方法を例示する。そのような調製の具体的な例は、以下の通りである:
【0075】
<実施例8>
ブランクゼインのナノ粒子は、開示したナノ析出方法を使用して調製された。架橋剤は、第2の水性フェーズのプローブ超音波処理以降に加えられた。ナノ粒子は、更に24時間インキュベートされた。インキュベートの終わりに、ナノ粒子は遠心濾過を用いて精製され、その後、凍結乾燥された。
【0076】
0.0135gの量の白色ゼインは、3mlのエタノールと0.25mlの水との混合物に溶解された。第1のフェーズの溶液は、その後、10秒のパルス・オンタイムと、1秒のオフタイムとを有する10分の間、1.39kW/h及び振幅37%の超音波エネルギーの一定した適用の下で、0.45%w/vのレシチンとPluronic F68(0.9%w/v)を含むpH7.4のクエン酸バッファー15mlへと滴下された。超音波処理の期間中、この溶液は温度を約10°Cに維持するために氷浴に保持された。この溶液に、25%w/vのグルタルアルデヒドを0.5ml加え、300〜500rpmで撹拌しながら、37°Cで3〜24時間インキュベートした。残存するグルタルアルデヒドは、10%w/vメタ重亜硫酸塩で中和された。続いて、この分散系は、エタノールが完全に揮発するまで、室温で、磁気撹拌器に300r.p.m〜500r.p.mで置かれた。アルコールが完全に揮発した後、ナノ粒子は残留物を除去するために精製された。精製は、pH7.4のクエン酸バッファーと、分子量5000Daのカットオフの遠心フィルタを使用する、50分間、3950gの超遠心とを用いて、繰り返し洗浄することによって達成された。ナノ粒子の水性懸濁液に、35mgのトレハロースを加え、そして、この溶液は硬い固形物を形成するために−80°Cに保持された。この材料は、その後、−47°C、真空度60mTorrで12時間〜14時間に亘って凍結乾燥された。
【0077】
注目すべきことに、EDC/NHS及びゲニピンなどの他の架橋剤を、図13の方法で使用する場合、反応時間は24時間から72時間の間で変えることができる。ゼイン中の表面のアミノ基は架橋結合に含まれる。トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)は、架橋前及び架橋後のゼイン中の遊離アミノ基を見積もるために使用された。検量線は、波長440nmの吸収度に対する、非架橋のゼイン及び架橋したゼインの濃度の増加を用いて作成された。架橋効率は、以下の式を用いて計算された。
架橋効率%=[a−b/a]×100
ここで、a=非架橋ゼイン対吸光度の傾きであり、また、b=架橋ゼイン対吸光度の傾きである。検量線を作成するために使用されるゼインの濃度範囲は0.357mg/ml〜12mg/mlであり、また、相関係数は0.9994である。
【0078】
様々な架橋剤を用いたゼインのナノ粒子中の架橋度が図18に示される。架橋率(cross-linking efficiency)は約70%から約100%まで変化した。架橋度は、架橋剤によって反応時間を約3時間から約3日までの範囲で変えることで、変更することができる。本明細書で示される架橋剤は、ただの一例に過ぎず、本発明の方法は、開示した架橋剤の使用だけに限定されるものではない。例えば、ポリカルボン酸(クエン酸又は1,2,3,4‐ブタンテトラカルボン酸)などの他の架橋剤が、使用され得る。
【0079】
加えて、本方法はブランクゼインのナノ粒子を調製することに関して例示されるが、特定の分子を含むナノ粒子の形成に架橋が提供されてもよい。ナノ粒子中に水溶性染料であるローダミンを調製するための具体的な例は、以下の通りである:
【0080】
<実施例9>
0.0135gの量の白色ゼインは、3mlのエタノールと0.25mlの水(0.25ml)との混合物に溶解された。この第1の水性の溶液に0.005gのローダミン‐123が加えられた。結果として得られる溶液は、10秒のパルス・オンタイムと、1秒のオフタイムとを有する10分の間、1.39kW/h及び振幅37%の超音波エネルギーの一定した適用の下で、0.0675gのレシチンと0.135gのPluronic F68とを含む、pH7.4のクエン酸バッファー15mlへと滴下された。超音波処理の期間中、この溶液は、温度を約10°Cに維持するために氷浴に保持された。その後、25%w/vのグルタルアルデヒド0.5mlが加えられ、300〜500rpmで撹拌しながら、37°Cで3時間インキュベートされた。残存する架橋剤は、10%w/vメタ重亜硫酸ナトリウムで中和された。続いて、この分散系は、エタノールが完全に揮発するまで、室温で、磁気撹拌器に300r.p.m〜500r.p.mで置かれた。アルコールが完全に揮発した後、ナノ粒子は超遠心で精製された。精製は、pH7.4のクエン酸バッファーと、分子量5000Daのカットオフの遠心フィルタを使用する、50分間、3950gの超遠心とを用いて、繰り返し洗浄することによって達成された。ローダミンがロードされたナノ粒子の水性懸濁液(pH7.4のクエン酸バッファー)に、35mgのトレハロースが加えられ、そして、この溶液は硬い固形物を形成するために−80°Cに保たれ、この固形物は、その後、−47°C、真空度60mTorrで12時間〜14時間に亘って凍結乾燥された。
【0081】
非架橋及び架橋(架橋剤としてグルタルアルデヒドを使用する)ローダミン粒子の粒径、多分散指数、及びゼータ電位は、表6に示される。
【0082】
【表6】

【0083】
ゼインのナノ粒子が架橋された場合、pH7.4におけるインビトロでの薬の放出はより遅く(図20)、また、同様に、酵素の放出もより遅かった(図21)。ゼインのナノ粒子の表面上の遊離アミノ基の架橋は、粒径を減らし、また、溶媒のアクセスも減らし、及びナノ粒子の酵素分解を遅らせた。架橋はまた、バースト放出を著しく低減した。従って、架橋は、更にナノ粒子を安定化し得、また、薬の放出を持続させ得る。
【0084】
本発明の方法によって製造されるナノ粒子の治療活性及び効能は、ポリエチレングリコール(PEG)をナノ粒子に結合させることによって、更に増強され得る。ナノ粒子の循環半減期の増加は、PEG化で付加される利点の一つである。PEGの更なる長所は、直接の結合が可能でない場合に、標的となるリガンド、薬、及び造影剤をゼインのナノ粒子に結合するためのスペーサーとしてPEGが機能し得ることである。
【0085】
図22は、本発明の方法の別の側面によるPEG化ゼインのナノ粒子を調製する方法を例示する。ナノ粒子の作成に関するPEG化ゼインの長所は、非PEG化ゼインの場合の界面活性剤及びリン脂質の組合せの使用とは対照的に、界面活性剤(例えばPluronic F68)のみを使って作成され得ることである。PEG化ゼインのナノ粒子を形成する具体的な方法は、以下の通りである:
【0086】
<実施例10>
PEG化ゼインは、5mlの90%エタノール中の白色ゼイン0.1gに、メトキシPEG‐スクシンイミドコハク酸(methoxy PEG‐succinimidyl succinate)(Mwt5000Da)を0.1g加えることによって製造された。この混合物は、37°Cで3時間から24時間の間インキュベートされた。この溶液は、その後、残留物を除去するために、24時間に亘って室温で磁気撹拌器(100rpmでかき回す磁気撹拌子)において、水に対して透析された(分子量のカットオフ10,000Da)。結果として得られる産物を、その後、−80°Cで凍結した後で、−47°C、真空度60mTorrで12時間〜14時間に亘って凍結乾燥した。様々なインキュベート時間で観察されたPEG化効率が以下の表7に示されており、表7において、効率のパーセンテージは、前述したTNBS分析工程を使用して測定された。他の分子量のPEG(例えば500Daから5000Da)を使用することもできる。同様に、メトキシPEG‐N‐ヒドロキシコハク酸エステル(methoxy PEG‐N‐hydroxyl succinate ester)などのPEG誘導体又は他の誘導体を使用することもできる。
【0087】
【表7】

【0088】
50ミリグラムのPEG化白色ゼインは、3mlのエタノールと0.25mlの脱イオン水との混合物に溶解された。PEG化ゼインの溶液は、その後、10秒のパルス・オンタイムと、1秒のオフタイムとを有する10分の間、1.39kW/h及び振幅37%の超音波エネルギーの一定した適用の下で、Pluronic F68(0.9%w/v)を含むpH7.4のクエン酸バッファー15mlへと滴下された。超音波処理の期間中、この溶液は、温度を約10°Cに維持するために氷浴に維持された。続いて、このゼインの懸濁液は、エタノールが完全に揮発するまで、室温で、磁気撹拌器に300r.p.m〜500r.p.mで置かれた。揮発が完了すると、ナノ粒子は精製された。精製は、pH7.4のクエン酸バッファーと、分子量10000Daのカットオフの遠心フィルタを使用する、35分間、44,000gの超遠心とを用いて、繰り返し洗浄することによって達成された。ゼインのナノ粒子のこの水性懸濁液(pH7.4クエン酸バッファー)に、30mgの2%w/vトレハロースを加え、そして、この溶液は硬い固形物を形成するために−80°Cに保持され、その後、この硬い固形物は、−47°C、真空度60mTorrで12時間〜14時間に亘って凍結乾燥された。上記した実施例2に開示されるように、上記に開示したPEG化処理は、高圧ホモジナイゼーションを使用して実施されてもよい。PEG化したナノ粒子のサイズ分布を図23に示す。
【0089】
ゼインはタンパク質であるため、特定の組織への薬のターゲティング及び他の生物医学用途のために、標的リガンド、造影剤、薬、及び他のポリマーを結合するのに用いることができる多くの表面官能基をゼインが有しているという点で、ナノ粒子の形成にゼインを用いる更なる長所は実現される。
【0090】
開示した方法を使用して形成されたゼインのナノ粒子は、他の用途(特に身体の外側での他の用途)を有してもよい。例えば、薬がロードされたゼインのナノ粒子は、心臓血管、及び他の生物医学装置をコーティングする材料として使用することができる。薬物配送に関して本明細書では記述されるが、開示された方法によって製造されるナノ粒子は、同様に、食品産業、酪農産業、及び化粧品産業に関連する分子の放出を、カプセル化して持続させるために使用されてもよい。ヒトの薬に加えて、獣医用医薬品もまた、開示された方法を使用してナノ粒子にカプセル化され得る。ゼインのナノ粒子は、湿気、酸化、光などの悪影響を及ぼす環境条件から分子を保護するために使用されてもよい。この利用は、製薬産業、食品産業、酪農産業、及び化粧品産業に関連する分子を含んでいてもよい。
【0091】
ゼインは、生物医学産業、製薬産業、食品産業、酪農産業、及び化粧品産業における様々な用途のための特有の特性を有する新規のナノ粒子を設計するために、他の天然及び合成ポリマーと結合され得る。例えば、pH感受性ポリマー又はpH感受性リンカーをゼインに結合することによって、ゼインのナノ粒子は、pH刺激に応じて薬を放出するように作成され得る。
【0092】
出版物、特許、及び特許出願を含む、本明細書で引用されたすべての引用文献は、それぞれの引用文献が参照によって組み込まれることが個別に及び具体的に示され、及び本明細書においてその全容が記述されるかのように、全く同じ内容が参照によって本明細書に組み込まれるものとし、これらの引用文献には以下が含まれる:

1. H. Bernstein, E. Morrel, E. Mathowitz, K. Shwaller, T.R. Beck. Protein microspheres and methods of using them. U.S Patent No. 5,679,377 issued October 21, 1997.
2. X. Liu, Q. Sun, H. Wang, L. Zhang , J.Y. Wang. Microspheres of corn protein, zein, for an ivermectin drug delivery system. Biomaterials 26 (2005) 109-115.
3. P. H. Lopez, S. Murdan. Zein microspheres as drug/antigen carriers: A study of their degradation and erosion, in the presence and absence of enzymes. J. Microencapsulation 23 (2006) 303-314.
4. Q. Zhong, M. Jin, D. Xiao, H. Tian, W. Zhang. Application of supercritical anti-solvent techniques for syntheses of delivery systems of bioactive food components. Food. Biophysics 3 (2008) 186-190.
5. N. Parris, P.H. Cooke, K.B Hicks. Encapsulation of Essential Oils in Zein Nanospherical Particles. J.Agric. Food. Chemistry 53 (2005) 4788-4792.
6. L. E. Stark, A.T. Gross. Hydrophobic protein microparticles. U.S Patent No.5,330.778 issued July 19, 1994.
7. S. Rudt, R.H. Muller. In vitro phagocytosis assay of nano- and microparticles by chemiluminescence. II. Effect of surface modification by coating of particles with poloxamer on the phagocytic uptake. J. Control. Release. 25 (1993) 51-59.
8. P.H. Lopez, S. Murdan. An investigation into the immunogenicity and adjuvanticity of zein microspheres used as vaccine carriers. J. Pharm. Pharmacol. 58 (2006) 769-774.
9. R. B. Cook, F.M. Mallee, M. L. Shulman. Purification of zein from corn gluten meal. U.S Pat. No. 5,245,673 issued October 19, 1993.
10. E. Y. Shalaev, T. D. Johnson-Elton, L. Chang, M. J. Pikal. Thermophysical Properties of Pharmaceutically Compatible Buffers at Sub-Zero Temperatures: Implications for Freeze-Drying. Pharm. Res. 19 (2002) 195-201.
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12. Wheat gluten, corn gluten and zein film: affirmation of GRAS status. Fed.Register 50(1985) 8997-8999.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水性水不溶性タンパク質を提供するステップ;
水アルコール溶媒で前記タンパク質を溶解し、第1の水性フェーズ溶液を提供するステップ;
界面活性剤及びリン脂質の存在下で、前記第1の水性フェーズ溶液に緩衝剤を加えて、約pH6.8から約pH7.4の間のpHを有する第2の水性フェーズ溶液を製造するステップ;
前記溶液内で粒子の直径サイズの縮小させるために、前記第2の水性フェーズ溶液を処理するステップ;
約400nm未満の直径サイズを有するナノ粒子を製造するために、任意の残留する溶媒を揮発させるステップ;及び
前記ナノ粒子を遠心するステップ、
とを含む、非免疫原性ナノ粒子を製造する方法。
【請求項2】
遠心後に、前記ナノ粒子を凍結乾燥するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ナノ粒子の大気圧への暴露を制限する条件下に前記ナノ粒子を保存するステップを更に含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ベースとなる前記タンパク質が、選択された等級のゼインであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記選択された等級のゼインが白色ゼインであることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記緩衝剤がクエン酸バッファーであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記界面活性剤がポロキサマーであり、また、前記リン脂質がレシチンであることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記界面活性剤と前記リン脂質の比率は2:1である請求項7に記載の方法。
【請求項9】
粒子の直径サイズを縮小させる前記第2の水性フェーズ溶液の前記処理が、ナノ粒子を超音波剪断、高圧ホモジナイゼーション、又はそれらの組合せにかけるステップを更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のフェーズ溶液の形成において、前記ナノ粒子のカプセル化のために選択される分子を、前記タンパク質に加えるステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記分子が被検体に投与するために選択された治療用の物質であることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
患者に前記ナノ粒子を投与するステップを更に含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記タンパク質がPEG化されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
請求項10に係る方法によって形成される治療活性のある非免疫原性ナノ粒子。
【請求項15】
前記ナノ粒子を架橋するステップをさらに含む、請求項1又は請求項10に記載の方法。
【請求項16】
疎水性の水不溶性タンパク質に治療用の分子をカプセル化することによって形成される非免疫原性ナノ粒子を含み、前記ナノ粒子は約400nm未満の直径サイズを有する、治療用組成物。
【請求項17】
前記ナノ粒子の前記直径サイズは約100nmから約300nmの間である、請求項16に記載の治療用組成物。
【請求項18】
病気又は疾患を患う、或いは患う危険性のある被検体における、病気又は疾患の治療に使用するための薬剤を製造するための、400nm未満の直径サイズを有し、治療剤を含む非免疫原性のナノ粒子の薬理学的に治療的な量を含む物質の使用。
【請求項19】
前記ナノ粒子が約100nmから約300nmまでの直径サイズを有する請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ナノ粒子を前記投与するステップが、経口経路、非経口経路、静注経路、腹腔内経路、経皮経路、局所的経路、経鼻経路、又はオプソモロジカルな経路による投与であることを特徴とする、請求項12又は21に記載の方法。
【請求項21】
選択された量の水不溶性タンパク質;
前記タンパク質を溶解するための水アルコール溶媒;
少なくとも1つの緩衝剤;
選択された界面活性剤;
を含む、非免疫原生のナノ粒子を製造するためのキット。
【請求項22】
前記選択された界面活性剤と組み合わせて選択された比率を与える量の少なくとも1つの選択されたリン脂質を更に含む、請求項21に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公表番号】特表2011−519932(P2011−519932A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−508521(P2011−508521)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【国際出願番号】PCT/US2009/002935
【国際公開番号】WO2009/137112
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(509352152)サウス ダコタ ステート ユニバーシティー (2)
【Fターム(参考)】