説明

非切断条件下で核酸を分析するための配列特異的エンドヌクレアーゼの使用に関連した方法および組成物

本発明は、配列特異的エンドヌクレアーゼのような核酸結合タンパク質を使用して核酸分子を分析するための方法、生成物およびシステムに関連する。本方法は、上記核酸分子についての配列情報を得るために使用され得る。本発明は、核酸分子を分析するための方法であって、核酸分子と検出可能な配列特異的エンドヌクレアーゼとを、非切断条件下で、配列特異的様式で該配列特異的エンドヌクレアーゼが該核酸分子に結合するのに十分な時間接触させる工程、および該結合された配列特異的エンドヌクレアーゼを検出する工程を包含する、方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連した出願)
本出願は、米国特許法中119条の下で米国仮特許出願番号第60/492,143号(2003年8月1日出願)の優先権を主張し、その内容の全ては、参考として本明細書中に援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、配列特異的結合を支持し、切断を支持しない条件下でエンドヌクレアーゼを使用する核酸分子の分析に関連する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
制限エンドヌクレアーゼは、外来DNAによる侵襲から細菌細胞を保護するために働く細菌酵素である。これらの酵素は、認識部位または認識配列と称されるDNA分子内の特異的配列を認識し、そしてこれらの部位内またはこれらの部位に近接するホスホジエステル骨格の切断を触媒する。制限改変(RM)システムは、制限エンドヌクレアーゼおよび同系のDNAメチルトランスフェラーゼ(Mtase)を含む。Mtaseは、上記制限酵素認識部位内の特定のヌクレオチドに対する、メチル基の共有結合的な結合を触媒する。このメチル化は、上記宿主DNAを制限から保護する一方で、保護されない外来DNAは切断される。これらは、I型、II型およびIII型と称される少なくとも3つの型のRMシステムである。II型制限酵素は、組換えDNA技術において必要とされる配列特異的切除に対する貴重な手段であると証明されている。それらの有用性から、それらは研究の網羅的な量の研究の主題である。3000を超えるII型制限エンドヌクレアーゼが同定されている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の要旨)
本発明は、核酸分子を改変せずに核酸分子に結合可能なタンパク質は、標識化方法および配列決定方法において活用され得るという知見を、一部前提とする。種々の核酸結合タンパク質は、それらが配列特異的結合能力を有する場合、この目的のために使用され得る。これらの核酸結合タンパク質は、ポリメラーゼ(例えば、DNAポリメラーゼまたはRNAポリメラーゼ)、メチラーゼ、転写調節因子、および特に重要な実施形態における制限エンドヌクレアーゼが挙げられるがこれらに限定されないDNA結合タンパク質またはRNA結合タンパク質であり得る。
【0005】
従って、1つの局面において、本発明は、核酸分子と検出可能な核酸結合タンパク質とを、結合条件において、配列特異的様式で上記核酸結合タンパク質が上記核酸分子に結合するために十分な時間接触させる工程、および上記結合された検出可能な核酸結合タンパク質を検出する工程を包含する、核酸分子を分析するための方法を提供する。上記核酸結合タンパク質は、本質的に検出可能であり得るか、または以下に、より詳細に記載されるように、検出可能にするために外因的に操作され得る。重要な実施形態において、上記核酸結合タンパク質は、DNA結合タンパク質である。上記核酸結合タンパク質は、ポリメラーゼ、メチラーゼ、転写調節因子、ミスマッチ修復酵素、クロマチン改変複合体、およびRNA干渉に関係するタンパク質からなる群より選択され得る。
【0006】
上記接触は、上記核酸結合タンパク質の上記核酸分子に対する結合を許容するが、この核酸結合タンパク質の他の酵素活性を妨げる結合条件下で起こる。従って、1つの実施形態において、上記核酸結合タンパク質はメチラーゼであり、そして上記結合条件はメチラーゼインヒビターを包含する。上記メチラーゼインヒビターは、DNAメチラーゼインヒビター(例えば、5−アザシチジン(5−アザ)、5−アザ−2’デオキシシチジン(欧州においてデシタビン(Decitabine)としても公知である)、5,6−ジヒドロ−5−アザシチジン、5,6−ジヒドロ−5−アザ−2’デオキシシチジン、5−フルオロシチジン、5−フルオロ−2’デオキシシチジン、ならびに5−アザ−2’デオキシシトシン、5,6−ジヒドロ−5−アザ−2’デオキシシトシン、5−フルオロ−2’デオキシシトシン、シンフンギン(sinfungin)、およびホモシステインを含む短いオリゴヌクレオチド)であり得る。
【0007】
別の実施形態において、上記核酸結合タンパク質はポリメラーゼであり、そして上記結合条件は、プライマーまたは取り込まれないヌクレオチドの集団を欠き、それによって、合成する能力を妨げ、従って、上記核酸分子に沿って転位する能力を妨げる。
【0008】
本発明はさらに、特定の条件下で、配列特異的様式で配列特異的制限エンドヌクレアーゼが、核酸分子に結合し得るが、上記核酸分子を切断し得ないという知見を前提としている。例えば、制限エンドヌクレアーゼは通常、核酸分子を切断するために、十分な濃度の2価のマグネシウムカチオンを必要とする。制限エンドヌクレアーゼは、配列特異的様式で核酸分子に結合するが、2価のマグネシウムカチオンの非存在下においては、2価のカルシウムカチオンの存在下であり得るとしても、上記核酸分子を切断しないことが、本発明によってここに見出された。同様に、これらの酵素は、不十分な濃度のMg2+では、核酸分子を切断しない。従って、核酸切断に関して不十分であるMg2+濃度もまた使用され得る。
【0009】
従って、別の局面において、本発明は、核酸分子と検出可能な配列特異的エンドヌクレアーゼとを、非切断条件下で、配列特異的様式で上記配列特異的エンドヌクレアーゼが上記核酸分子に結合するために十分な時間接触させる工程、および上記結合された検出可能な配列特異的エンドヌクレアーゼを検出する工程を包含する、核酸分子を分析するための方法を提供する。上記配列特異的エンドヌクレアーゼは、本質的または内因的に検出可能であり得るか、あるいはそれは検出可能にするために外因的に操作され得る。
【0010】
上記配列特異的エンドヌクレアーゼは、制限エンドヌクレアーゼ(例えば、II型制限エンドヌクレアーゼ)であり得る。II型制限エンドヌクレアーゼの例としては、BamHI、BglI、BglII、EcoRI、EcoRV、MunI、PvuII、HaeIII、HinPI、NotI、PmeIおよびEagIが挙げられるがこれらに限定されない。
【0011】
1つの実施形態において、上記非切断条件は、上記核酸分子の切断を許容しないMg2+濃度を包含する。別の実施形態において、上記非切断条件はMg2+を欠く(即ち、0濃度のMg2+)。上記非切断条件は、好ましくは、Ca2+、Co2+およびMn2+からなる群より選択される2価のカチオンの存在を包含する。重要な実施形態において、上記非切断条件は、Ca2+の存在を包含する。
【0012】
Mg2+およびCa2+の相対的濃度はまた、エンドヌクレアーゼによる、核酸分子の結合の程度および切断の程度を制御することが見出された。従って、上記非切断条件は、Mg2+濃度を上回るCa2+濃度を包含し得る。いくつかの実施形態において、上記Ca2+濃度は、上記Mg2+濃度を、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも500倍、少なくとも1000倍、少なくとも2000倍、および少なくとも5000倍上回る。さらに他の実施形態において、上記Ca2+濃度は、約5nMである。好ましくは、上記Mg2+濃度は、Ca2+の存在下またはCa2+の非存在下において、上記核酸分子を切断するのに不十分である。
【0013】
いくつかの実施形態は、本発明の種々の局面に等しく関連し、そしてそれらは以下に記載される。
【0014】
上記核酸分子は、ゲノムDNA(例えば、核DNAもしくはミドコンドリアDNA)またはcDNAのようなDNA、あるいはmRNA、rRNA、snRNA、RNAi、miRNAまたはsiRNAのようなRNAであり得る。重要な実施形態において、上記核酸分子は非インビトロで増幅された核酸分子である。上記核酸分子は、本発明の種々の方法における分析の前に、非線形化され得る。あるいは、上記核酸分子は、分析の前、または分析の間に線形化され得る。いくつかの事例において、本方法は、結合された配列特異的エンドヌクレアーゼまたは結合された核酸結合タンパク質の、存在または非存在を決定する工程に基づき、一方で他の事例において、本方法は、1つの、より結合された配列特異的エンドヌクレアーゼ、または1つの、より結合された核酸結合タンパク質の位置を決定する工程に基づく。
【0015】
さらに他の実施形態において、上記核酸結合タンパク質または上記配列特異的エンドヌクレアーゼは、検出可能な標識を用いて標識され、そしてこの標識化は、共有結合的であり得るか、または非共有結合的(例えば、イオン性)であり得る。いくつかの重要な実施形態において、上記核酸結合タンパク質または上記配列特異的エンドヌクレアーゼは、単一の検出可能な標識を用いて標識される。いくつかの事例における上記検出可能な標識はまた、好ましくは、非ビーズ標識または非蛍光標識ビーズである。
【0016】
上記検出可能な標識としては、蛍光分子、化学発光分子、放射性同位体、酵素基質、ビオチン分子、アビジン分子、荷電された変換分子、核磁気共鳴分子、半導体ナノ結晶、電磁的分子、電気伝導粒子、リガンド、マイクロビーズ、色素生産性基質、親和性分子、量子ドット、タンパク質、ペプチド、核酸、炭水化物、抗体、抗体フラグメント、抗原、ハプテン、および脂質が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0017】
上記結合された核酸結合分子または上記結合された配列特異的エンドヌクレアーゼは、蛍光検出システム、電気的検出システム、写真用フィルム検出システム、化学発光検出システム、酵素検出システム、原子間力顕微鏡(AFM)検出システム、走査トンネル顕微鏡(STM)検出システム、光学的検出システム、核磁気共鳴(NMR)検出システム、近視野検出システム、全反射(TIR)システム、および電磁的検出システムを含むがこれらに限定されない検出システムを使用して検出され得る。上記検出可能な標識はまた、任意の上述の検出システムを使用して検出されるものとして定義され得る。
【0018】
上記核酸分子は、検出可能な標識(例えば、バックボーン標識または末端標識が挙げられるがこれらに限定されない)を用いて、さらに標識され得る。あるいは、上記核酸分子は、「目印」(例えば、セントロメア、反復配列など)を同定するために標識され得る。
【0019】
好ましくは、上記結合された核酸結合タンパク質または上記結合された配列特異的エンドヌクレアーゼは、単一分子検出システムを使用して検出される。より一層好ましくは、上記単一分子検出システムは、直鎖状ポリマー分析システム(例えば、Gene EngineTMシステム、光学的マッピングシステム、およびDNAコーミングシステムが挙げられるがこれらに限定されない)である。上記核酸分子は、遊離形態(例えば、流動系において)、または固定形態のいずれかにおいて分析され得る。
【0020】
さらに別の局面において、本発明は、単一の検出可能な標識で標識された核酸結合タンパク質を含有する組成物を提供する。前述のように、上記核酸結合タンパク質は、DNA結合タンパク質、またはRNA結合タンパク質であり得る。上記核酸結合タンパク質は、配列特異的エンドヌクレアーゼ、ポリメラーゼ、メチラーゼ、および転写調節因子からなる群より選択され得る。
【0021】
いくつかの実施形態において、上記核酸結合タンパク質は、単一の検出可能な標識を用いて共有結合的に標識される。他の実施形態において、上記核酸結合タンパク質は、単一の検出可能な標識を用いてイオン的に標識される。
【0022】
上記検出可能な標識は、蛍光分子、化学発光分子、放射性同位体、酵素基質、ビオチン分子、アビジン分子、荷電された変換分子、核磁気共鳴分子、半導体ナノ結晶、電磁的分子、電気伝導粒子、リガンド、色素生産性基質、親和性分子、量子ドット、タンパク質、ペプチド、核酸、炭水化物、抗体、抗体フラグメント、抗原、ハプテン、および脂質からなる群より選択され得る。他の実施形態において、上記検出可能な標識は、上述された検出システムを使用して検出される。
【0023】
本発明のあらゆる局面において、上記検出可能な標識は、非ビーズ標識、または非蛍光標識ビーズであり得る。
【0024】
本発明の、前述の局面および実施形態の全ては、本明細書中で、より詳細に説明される。
【0025】
本発明の、これら実施形態および他の実施形態は、本明細書中で、より詳細に議論される。
【0026】
図は、本発明を可能にするために必要とされないことが理解される。
【0027】
(発明の詳細な説明)
本発明は、核酸分子を改変せずに核酸分子に結合するという特定のタンパク質の能力を、標識化目的および配列決定目的のために活用する。それによって、情報は、結合された核酸結合タンパク質の、存在もしくは非存在について分析する工程によってか、または1つ以上の結合されたタンパク質の、配置および相対的位置を決定する工程によって得られ得る。これらの方法は、直鎖状態にある上記核酸分子に依存しない。例えば、上記核酸分子は、特に、得られる唯一の情報が、タンパク質が核酸分子に結合されるか否かである場合に、詰まった(compacted)非直鎖状態で分析され得る。
【0028】
これらの分析に適したタンパク質は、配列特異的様式で核酸分子に結合し、それによってそのような結合事象から配列情報を得ることを可能にする。これらのタンパク質は、DNA結合タンパク質もしくはRNA結合タンパク質であり得るか、またはそれらはDNAとRNAの両方に結合可能であり得る。そのようなタンパク質の例としては、DNAポリメラーゼおよびRNAポリメラーゼのようなポリメラーゼ、DNAメチルトランスフェラーゼのようなメチラーゼ、EcoRIおよびBamHIのような配列特異的エンドヌクレアーゼ、ならびに配列特異的転写調節因子、またはリプレッサー(例えば、GATAファミリーメンバー、イカロス(Ikaros)、NF−κB、SpI、Hoxファミリーメンバー、MyoD、fos、jun、NFAT、核ホルモンレセプターなどが挙げられるがこれらに限定されない)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0029】
上記タンパク質は、上記標的核酸を改変するそれらの能力を阻害する条件下で、核酸に結合される。例えば、エンドヌクレアーゼは、以下に記載されるような非切断条件下で、核酸分子に接触される。ポリメラーゼは、新しい核酸鎖の合成を妨げ、そしてより重要なことには、上記標的核酸分子に沿った上記ポリメラーゼの転位を妨げる条件において、核酸分子に接触される。そのような条件としては、取り込まれなかったヌクレオチドまたはプライマーの非存在が挙げられるが、これに限定されない。メチラーゼは、好ましくは上記標的核酸分子のメチル化を防ぐ条件において、核酸分子に接触される。そのような条件としては、メチラーゼインヒビター(例えば、5−アザシチジン(5−アザ)、5−アザ−2’デオキシシチジン(欧州においてデシタビンとしても公知である)、5,6−ジヒドロ−5−アザシチジン、5,6−ジヒドロ−5−アザ−2’デオキシシチジン、5−フルオロシチジン、5−フルオロ−2’デオキシシチジン、ならびに5−アザ−2’デオキシシトシン、5,6−ジヒドロ−5−アザ−2’デオキシシトシン、5−フルオロ−2’デオキシシトシン、シンフンギン、およびホモシステインを含む短いオリゴヌクレオチド)の存在が挙げられ得るが、これに限定されない。
【0030】
本発明はまた、単一の検出可能な標識を用いて標識される核酸結合タンパク質の組成物を提供する。これらのタンパク質は、本発明の他の局面について本明細書中に列挙されるタンパク質と同じものである。「単一の検出可能な標識」は、複数ではなく、1つの検出可能な標識を称する。
【0031】
特に重要な局面において、本発明は、特定の条件下で、核酸分子に結合し得るが、その核酸分子を切断し得ない配列特異的エンドヌクレアーゼの使用に基づいて核酸を分析するための、方法、組成物およびシステムを提供する。核酸分子に対する上記エンドヌクレアーゼの結合のパターンは、配列情報を導くために使用され得る。
【0032】
本発明は、制限エンドヌクレアーゼの同系の認識配列を標識するために、制限エンドヌクレアーゼを利用する。結合反応がカルシウムカチオンの存在下で起こされる場合、上記核酸分子の切断は、ほとんどまたは全く生じないことが見出されている。むしろ、カルシウムイオンの存在下において、上記制限酵素/DNA複合体の、結合および安定性は増強される。また、他の2価のカチオンは使用され得、そしてこれらとしては、Co2+、Mn2+などが挙げられる。従って、Mg2+カチオンのみの非存在では、配列特異的エンドヌクレアーゼの標的核酸分子への、適切かつ有効な結合について不十分であるようである。任意の特定の機構によって結合されることを意図しないが、Ca2+カチオンは、上記切断反応を阻害する可能性がある。さらに、Ca2+カチオンはまた、上記核酸分子からの上記エンドヌクレアーゼの解離を阻害し得る。
【0033】
従って、本発明は、「非切断条件」下で、核酸(好ましくはDNA分子)を標識する標識化方法上のいくつかの局面に基づく。本明細書中で使用される場合、「非切断条件」は、上記配列特異的エンドヌクレアーゼが、配列特異的様式で核酸分子に結合し得るが、上記核酸分子をそれほど切断しない条件である。これは、50%未満、75%未満、80%未満、90%未満、95%未満、99%未満の核酸が切断されるか、または核酸が全く切断されないことを意味する。これは、2価のカチオン(型および濃度の両方)、温度、pHなどの調節によって達成され得る。これはまた、概してカルシウムカチオンの存在を必要とする。非切断条件はさらに、測定可能な量のマグネシウムカチオンを含み得るが、この量は、上記制限酵素が上記核酸を多く切断するのには不十分である。
【0034】
非切断条件は、上記エンドヌクレアーゼに依存して変動し得るが、概してそれらは、ほとんど、または全くMg2+の存在を有さないことによって特徴付けられる。それらはまた、概して、別の2価のカチオン(例えば、Ca2+、Co2+またはMn2+が挙げられるが、これらに限定されない)を含むこととして特徴付けられる。好ましい実施形態において、上記2価のカチオンはCa2+である。また、Mg2+およびCa2+が両方とも存在する場合に、そのMg2+濃度は、Ca2+の濃度より桁が小さいことが重要である。これについての1つの理由は、エンドヌクレアーゼが概して、それらがCa2+に対して示す親和性より大きい親和性をMg2+に対して示すことである。従って、上記Ca2+濃度は、上記Mg2+濃度より、少なくとももしくは約、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、50倍、100倍、500倍、1000倍、2000倍、5000倍または10000倍以上であり得る。しかし、前述にかかわらず、上記Mg2+濃度は、上記核酸分子の切断を促進するのに不十分であることに関しては、非常に低いことがさらに好ましい。上記Ca2+濃度は、5nMであり得るが、この量は、上記Mg2+濃度に依存して変動し得る。
【0035】
全ての制限エンドヌクレアーゼは、切断のために2価のカチオンを必要とする。ほぼ例外なく必要とされる上記2価のカチオンはマグネシウムであるが、マグネシウムはいくつかの制限酵素によって使用され得る。切断の触媒における上記2価のカチオンの正確な役割には議論の余地がある。一般的な機構は、水分子に由来する反応性求核物質の発生、切断しやすいホスホジエステル結合上のホスフェートにおける初期の水酸化物の求核攻撃、5配位中間体上の余分な負電荷の安定化、ならびに離脱基(この場合は3‘OH)のプロトン化を包含すると考えられる。いくつかの制限酵素の結晶構造は、上記Mg2+の水和層内における水分子の存在を示す。この水分子は、離脱基のプロトン化に関与し得ると考えられる。上記2価の金属は、上記反応性求核物質の発生を支援し得るか、または上記5配位中間体上の負電荷の安定化を支援し得るかのいずれかである。カルシウムの存在下における配列特異的結合は、BamHI、BglI、BglII、EcoRI、EcoRV、MnuI、PvuII、HaeIIIおよびHinP1で観察されている。
【0036】
BamHI複合体、EcoRI複合体、およびEcoRV複合体の動態解析は、カルシウムが、上記制限酵素のその認識部位への特異的結合を可能にするだけでなく、上記複合体を安定させることも明らかにした。これらの複合体の半減期は、数時間の次数であり、そして非切断活性は観察可能である。データは、カルシウムが上記エンドヌクレアーゼ/DNA複合体の動態に、2つの効果を有することを示唆する。第1に、低濃度(0.1mM〜0.2mM)のカルシウムは、会合平衡定数(K)を有意に増加する。このKの増加は、EcoRI、EcoRV、BamHIおよびPvuIIについて観察されている。第2に、カルシウムは、上記エンドヌクレアーゼの、その認識配列からの解離を強力に阻害する。これは、酵素/DNA複合体の寿命を、数秒間から数時間に増加する。EcoRVと短いDNA二本鎖との結合反応へのカルシウムの導入は、上記複合体の寿命を、740倍増加(38秒間から28,000秒間)させる。カルシウム存在下での短い二重鎖に対するBamHI結合の寿命は、約39,600秒間である(未発表の観察、図1を参照のこと)。
【0037】
DNAの直鎖上に上記酵素「タグ」を配置するために、上記制限エンドヌクレアーゼは、可視化されるべきであり、そして上記DNA骨格に沿って位置を割り当てられるべきである。上記制限エンドヌクレアーゼの可視化としては、上記エンドヌクレアーゼまたは上記核酸結合タンパク質への、蛍光成分または他の検出可能な成分(例えば、フルオロフォア、フルオロスフェア、量子ドット、GFPまたは蛍光抗体)の共有結合的付着もしくは非共有結合が挙げられる。上記DNAに沿った蛍光タグの配置についての位置情報は、標識されたDNA分子の使用によって達成され得る。上記線形化されたDNA分子は、末端標識またはバックボーン染色のいずれかを保有し得る。上記タグの位置は、GeneEngineTMのような単一分子検出器におけるサンプルの分析によって、直接的に観察され得る。
【0038】
さらに他の実施形態(本明細書中で議論されるような)において、結合パターンは、公知の配列および公知の構造(例えば、テロメア、セントロメア、Alu反復のような反復配列など)について、上記分子を染色する工程によって単一の核酸分子内に配向され得る。なおさらなる実施形態において、上記核酸は、遺伝子地図との比較のためにその核酸を標識するために、さらに加工され得る。例えば、上記核酸地図は、既に特定のゲノムを位置付けるために使用されてきた任意の標識を用いて標識され得る。その後、そのように染色された核酸は、同じ標識を使用して作成された遺伝子地図と比較され得る。特定の例として、上記核酸は、Alu反復のような反復配列に結合するプローブを用いて標識され得、その後、上記核酸分子の配置および配向性を決定するために、全ゲノムのAlu地図と比較され得る。これは一旦決定されると、上記核酸結合タンパク質または上記配列特異的エンドヌクレアーゼの結合の配置は、上記遺伝子地図に対して決定され得る。
【0039】
上記遺伝子地図は、ヒトゲノム計画を含む公式のデータベースを通じて入手され得、その結果は、NCBIウェブサイトまたはNIHウェブサイトから入手可能である。これらの遺伝子地図は、解決の種々のレベルにおける配列地図であり得るか、またはそれらはモチーフ地図、もしくは構造的地図であり得るが、それらに限定されない。
【0040】
本明細書中において、用語「核酸」は、複数のヌクレオチド(即ち、ピリミジン(例えば、シトシン(C)、チミジン(T)もしくはウラシル(U))またはプリン(例えば、アデニン(A)もしくはグアニン(G))のいずれかである、交換可能な有機塩基と結合した糖(例えば、リボースまたはデオキシリボース)を含む分子)、あるいはイノシン(I)を意味するために使用される。本明細書中で使用される場合、上記用語は、オリゴリボヌクレオチドならびにオリゴデオキシリボヌクレオチドを称する。上記用語はとしてはまた、ポリヌクレオシド(即ち、ポリヌクレオチドからリン酸を引いたもの)およびポリマーを含む任意の他の有機塩基が挙げられる。核酸分子は、存在する核酸供給源(例えば、ゲノムDNAまたはゲノムRNA)から入手され得るか、または合成手段(例えば、核酸合成、組換えDNA技術、もしくは増幅反応によって生成される)によって入手され得る。
【0041】
より具体的には、DNAは、付随するプリン窒素性塩基または付随するピリミジン窒素性塩基を有するペントースデオキシリボース糖に連結した、ホスホジエステルからなる二本鎖ポリマーである。上記ペントース糖における不斉性は、ホスホジエステル連結における方向性を導き、これによりその糖単位は、異なる糖単位の5’炭素と3’炭素との間のホスホジエステル結合によって連結される。従って、上記DNA分子の2つのポリマー鎖は、逆平行である。上記糖に天然に結合する窒素性塩基の型を構成する、2つのプリン(アデニンおよびグアニン)ならびに2つのピリミジン(チミンおよびシトシン)が存在する。アデニンは、チミンに優先的に水素結合し、そしてシトシンは、グアニンに優先的に水素結合する。核酸分子の配列は、その長さに沿った塩基の順序を称する。任意の一本鎖上の塩基の順序は、適切なプリン塩基と適切なピリミジン塩基との間に生じ得る、上記DNA鎖の逆平行性質および上記水素結合の相補的性質によって、他の鎖上の塩基の順序を決定する(または代替的に、他の鎖上の塩基の順序によって決定される)。
【0042】
「核酸分子」は、一本鎖または二本鎖のどちらかである、DNAであり得るか、またはRNAであり得る。用語「核酸」および用語「核酸分子」は、交換可能に使用される。DNAとしては、ゲノムDNA(例えば、核DNAおよびミトコンドリアDNA)、ならびにいくつかの事例においてはcDNAが挙げられる。上記RNAは、mRNA、rRNA、snRNA、RNAi、miRNA、siRNAなどであり得る。本明細書中に記載される例示におけるDNAに対する参照は単に、便宜および明瞭さのためにすぎず、そして上に列挙された核酸分子を含む任意の核酸分子は、本明細書中に記載されるように、加工され得、および分析され得ることが理解されるべきである。上記核酸分子は、数ヌクレオチドの長さ、数百ヌクレオチドの長さ、数千ヌクレオチドの長さ、そして数百万ヌクレオチドの長ささえも含む任意の大きさであり得る。いくつかの実施形態において、上記核酸分子は、クロモソームの長さである。
【0043】
本発明の方法は、インビトロにおける事前の核酸増幅の非存在下で行われ得る。いくつかの好ましい実施形態において、上記核酸分子は、上記核酸分子の増幅を伴わずに生物学的サンプル(例えば、組織または細胞培養物)から、直接的に収集および単離される。従って、本発明のいくつかの実施形態は、「非インビトロで増幅された核酸分子」の分析を包含する。本明細書中で使用される場合、「非インビトロで増幅された核酸分子」は、ポリメラーゼ連鎖反応または組換えDNA方法のような技術を使用して、インビトロで増幅されていない核酸分子を称する。
【0044】
しかし、非インビトロで増幅された核酸分子は、生物学的サンプルにおける細胞の発達の当然の結果として、インビボ(例えば、核酸分子が収集された生物学的サンプル中)で増幅された核酸分子であり得る。これは、非インビトロ核酸分子は、遺伝子増幅の一部としてインビボで増幅される核酸分子であり得ることを意味し、その核酸分子は、変異の結果または癌の進行の結果としていくつかの細胞型において通常観察される。
【0045】
核酸の収集および単離は、当該分野において日常的に行われ、そして適切な方法は、標準的な分子生物学の教科書に見出され得る。上記核酸分子は、生物学的サンプル(例えば、組織または生物体液)から収集され得る。本明細書中で使用される場合、用語「組織」は、局在的な細胞集団および散在的な細胞集団(脳、心臓、乳房、大腸、膀胱、子宮、前立腺、胃、精巣、卵巣、膵臓、下垂体、副腎、甲状腺、唾液腺、乳腺、腎臓、肝臓、腸、脾臓、胸腺、骨髄、気管および肺が挙げられるがこれらに限定されない)の両方を称する。生物体液としては、唾液、精液、血清、血漿、血液および尿が挙げられるが、これらに限定されない。侵襲技術および非侵襲技術の両方は、そのようなサンプルを得るために使用され得、そしてその技術は、当該分野において良く実証されている。
【0046】
いくつかの実施形態において、本発明は、核酸誘導体を分析するために使用され得る。本明細書中で使用される場合、「核酸誘導体」は、非天然に存在する核酸分子である。核酸誘導体は、非天然に存在する要素(例えば、非天然に存在するヌクレオチドおよび非天然に存在するバックボーン結合(backbone linkage))を含み得る。
【0047】
核酸誘導体は、置換したプリンおよび置換したピリミジン(例えば、C−5プロピン改変塩基(Wagnerら、Nature Biotechnology 14:840−844,1996))を含み得る。プリンおよびピリミジンとしては、アデニン、シトシン、グアニン、チミジン、5−メチルシトシン、2−アミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、2,6−ジアミノプリン、ヒポキサンチン、ならびに芳香族成分を置換したおよび芳香族成分を置換していない、他の天然に存在する核酸塩基および非天然に存在する核酸塩基が挙げられるが、これらに限定されない。核酸誘導体としてはまた、ペプチド核酸(PNA)およびロックされた(locked)核酸(LNAS)が挙げられる。他のこのような改変は、当業者にとって周知である。
【0048】
上記核酸誘導体はまた、例えば、塩基および/または糖における置換もしくは改変を包含し得る。例えば、それらとしては、3’位のヒドロキシル基以外かつ5’位のホスフェート基以外の低分子量有機基に、共有結合される骨格糖を有する核酸が挙げられる。従って、核酸誘導体は、2’−O−アルキル化リボース基を含み得る。さらに、改変された核酸は、リボースの代わりに、アラビノースのような糖を含み得る。従って、上記核酸誘導体は、骨格組成物において異質であり得、それによって一緒に連結されたポリマー単位の、いくつかの可能な組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、上記核酸は、骨格組成物中で同質である。
【0049】
非天然に存在する骨格結合としては、ホスホロチオネート結合、メチルホスホネート結合、アルキルホスホネート結合、ホスフェートエステル結合、アルキルホスホノチオエート結合、ホスホラミデート結合、カルバメート結合、カルボネート結合、ホスフェートトリエステル結合、アセトアミデート結合、カルボキシメチルエステル結合、メチルホスホロチオエート結合、ホスホロジチオエート結合、p−エトキ結合シおよびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
前述のように、本発明の方法は、種々の状態における核酸分子上で行われ得る。例えば、上記核酸分子は、流動中に存在し得るか、またはそれは、固体表面に固定され得る。別の例として、上記核酸分子は、分析の前または分析の間に線形化され得るが、それに限定されない。むしろ、非線形化核酸分子からも有用な情報を導くことが可能である。これは、直接的分子分析(直鎖状核酸分子を必要とする直接的線形分析と比較して)と称される。直接的分子分析は、核酸分子が、特定の配列(例えば、多型または変異)を含むか否かを決定するために使用され得る。この配列の存在または非存在は、その配列に特異的に結合する核酸結合タンパク質の結合の、存在または非存在に基づいて決定され得る。これらの分析は、そのような配列の、配置または相対的位置にそれほど関係しない。しかし、それらは、上記核酸分子中に存在するそのような配列の数についての有用な情報を提供し得る。この後の実施形態は、上記核酸分子由来のシグナルのレベルを、シグナルレベルが、上記分子に結合した核酸結合タンパク質の数に相関するとして、測定する工程によって達成され得る。
【0051】
本方法は、単一の核酸結合タンパク質の分析に限定されない。むしろ、多くの核酸結合タンパク質は、所定の時間で核酸結合タンパク質と接触され得、そしていくつかの事例においてタンパク質の型のそれぞれは、他のタンパク質の型から区別して標識される。
【0052】
本発明のいくつかの局面は、単一分子検出システムを使用する。本発明の他の局面は、上記核酸分子、および上記核酸分子への、上記核酸結合タンパク質または上記配列特異的エンドヌクレアーゼの結合のパターンを検出するために、直鎖状ポリマー分析システムを使用する。直鎖状ポリマー分析システムは、直鎖状様式(即ち、ポリマー上の1つの位置で開始し、そしてそこから、どちらの方向へも直線的に進行する)でポリマーを分析するシステムである。ポリマーが分析された場合、ポリマーに付着した検出可能な標識は、連続的な様式または同時的な様式のいずれかで検出される。同時に検出された場合、そのシグナルは、通常、上記ポリマーの画像を形成し、そこから標識間の距離が決定され得る。連続して検出された場合、上記シグナルは、後に上記核酸分子の速度の知識を用いて地図に翻訳され得るヒストグラム(シグナル強度対時間)と見なされる。いくつかの実施形態において、上記核酸分子は固体支持体に付着されるが、他の実施形態において、その核酸分子は自由に流れることが理解される。いずれの場合においても、通り過ぎる(例えば、相互作用ステーションまたは検出器を)核酸分子の速度は、相互に対する標識の位置および、上記核酸分子上に存在し得る検出可能な他のマーカーに対する標識の位置を決定する工程を支援する。
【0053】
従って、上記直鎖状ポリマーシステムは、核酸分子上の標識の総量だけでなく、いくつかの実施形態についてより重要な、そのような標識の配置も推定し得る。上記標識を配置し、そして位置付ける能力は、配列決定を容易にするために、上記結合パターンが他の遺伝子地図上に重ね合わされることを可能にする。
【0054】
DNA分子の伸長を包含する他の単一分子核酸分析の方法はまた、本発明の方法に使用され得る。これらはとしては、光学的マッピング(Schwartzら、1993,Science 262:110−113;Mengら、1995,Nature Genet.9:432;Jingら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:8046−8051)およびファイバー蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(fiber−FISH)(Bensimonら、Science 265:2096;Michaletら、1997,Science 277:1518)が挙げられる。光学的マッピングにおいて、核酸分子は、液体サンプル中で伸長され、そしてゲル中または表面上に、伸長されたコンホメーションとして固定される。その後、制限消化は、伸長されかつ固定された核酸分子について行われる。その後、指定された制限地図は、制限フラグメントの大きさを決定することによって作成される。ファイバー−FISHにおいて、核酸分子は伸長され、そして分子コーミングによって表面上に固定される。蛍光標識プローブ配列を用いるハイブリダイゼーションは、上記核酸分子上の配列目印の決定を可能にする。分子長および/またはマーカー間の距離が測定され得るように、両方法は、伸長された分子の固定を必要とする。パルスフィールドゲル電気泳動はまた、上記標識された核酸分子を分析するために使用され得る。パルスフィールドゲル電気泳動は、Schwartzら(Cell(1984,37:67))によって記載される。他の核酸検出システムは、Otobeら(NAR,2001,29:109)、Bensimonら(2001年6月19日に発行された米国特許第6,248,537号)、HerrickおよびBensimon(Chromosome Res 1999,7(6):409−423)、Schwartz(2000年11月21日に発行された米国特許第6,150,089号および2001年9月25日に発行された米国特許第6,294,136号)によって記載される。
【0055】
いくつかの局面において、Gene EngineTMシステムは、核酸分子を調べるために使用される。Gene EngineTM技術は、出願番号WO98/35012(1998年8月13日公開)および出願番号WO00/09757(2000年2月24日公開)を有する公開されたPCT特許出願中、ならびに発行された米国特許第6,355,420B1号(2002年3月12日発行)中に、より詳細に記載される。これらの出願および特許の内容、ならびに本明細書中に列挙される他の特許、出願および参考文献の内容は、その全てが参考として援用される。このシステムは、核酸分子にそった配列特異的タグの空間的な配置を決定できる。上記核酸分子内の特異的配列の地図は、上記タグの相対的な空間配置に由来し得る。上記空間配置は、上記配列特異的タグ上の標識に対応する検出システムを用いて核酸分子(好ましくは単一分子)を調べることによって決定される。前述のシステムの感受性は、単一の核酸が研究されることを可能にする。
【0056】
「配列特異的エンドヌクレアーゼ」は、適切な条件下において配列特異的様式で核酸を切断する酵素である。本明細書中で使用される場合、「配列特異的」は、上記酵素が、ヌクレオチドまたはこれらの誘導体の、特定の直鎖状配列を認識し、そしてその配列内またはその配列の近傍において、その骨格を切断する(例えば、一本鎖状の切断部または二本鎖状の切断部を生成する)ことを意味する。いくつかの重要な実施形態において、上記切断部は、二本鎖状である。通常、上記配列特異的制限酵素は、それが認識する同じ配列内で、上記骨格を切断する。
【0057】
多くのII型制限酵素は、1つのDNA結合部位、および上記認識配列内において、対称的に切断する2つの触媒ユニットを形成する、2つの同一のサブユニットの二量体である。触媒部位は、上記制限酵素が、その特定の認識部位でその二本鎖DNA基質に結合される場合にのみ、活性である。EcoRVは、研究のための原型的な制限酵素であり、そしてかなりの数の機構的研究および構造的研究、ならびにタンパク質工学の対象であった(Stahl F.,W.Wende,A.JeltschおよびA.Pingoud PNA 93: 6175−6180 1996)。
【0058】
本方法はまた、ホーミングエンドヌクレアーゼを使用して実施され得る。ホーミングエンドヌクレアーゼは、35塩基対以上の特異的DNA配列部位を認識し、そして適切な条件下で、その認識部位内における二本鎖DNAの切断を触媒する酵素である。これらの酵素は、遺伝的要素の挿入および遺伝的要素の切除に関係している。ホーミングエンドヌクレアーゼのファミリーは、以下のモチーフ:(1)LAGLIDADG、(2)GIY−YIG、(3)H−N−Hおよび(4)His−Cysによって特徴付けられる、4つのサブファミリーに分けられ得る。ホーミングエンドヌクレアーゼは、二量体または単量体のいずれかであり得る。そのような代表的な単量体のホーミングエンドヌクレアーゼの1つであるPI−SceIは、2つの異なる触媒サブユニットであるようであるものの中にLAGLIDADGモチーフの2つの複製を有する。それぞれのサブユニットは、上記二本鎖基質の、一番上の鎖および一番下の鎖のそれぞれの切断を、特異的に触媒することが示された。上記単量体ホーミングエンドヌクレアーゼPI−SceIは、そのDNA基質の2つの鎖の切断のための2つの触媒中心を有する(EMBO 18:6908−6916,1999)。
【0059】
全てでなくとも、いくつかの配列特異的エンドヌクレアーゼは、上記エンドヌクレアーゼが配列特異的様式で上記核酸分子に結合するが、その核酸分子をそれほど切断しない条件下で、本発明の方法に使用され得ることが明らかである。
【0060】
配列特異的エンドヌクレアーゼはとしてはまた、あるタンパク質のDNA結合モチーフと別のタンパク質の切断モチーフとを連結することによって操作された、合成制限エンドヌクレアーゼが挙げられる。DNA結合タンパク質モチーフ(例えば、ジンクフィンガーモチーフ、ホメオボックス結合ドメイン、lacリプレッサー、GAL、croなど)は、配列特異的制限酵素を構築するために、DNA切断ドメインと融合され得る。そのようなキメラ制限酵素が構築され、そして記載されてきた。Yang−Gyun K.およびChandrasegaran S.(PNAS 91:883−887,1994)は、Fok I制限酵素の切断ドメインにDrosophila Ultrabithoraxホメオドメインが融合することを報告した。より関連することとして、キメラ制限酵素は、ジンクフィンガードメインがFok Iの切断ドメインに融合する工程、およびそれによって構築する配列特異的制限酵素から構築され得る。
【0061】
トランスポザーゼはまた、分離した配列部位で核酸を標識するために使用され得る。トランスポザーゼは、ゲノムにおけるトランスポゾンの周囲への移動に関連する酵素である。トランスポザーゼの配列特異的DNA結合特性は、本発明によって活用され得る。
【0062】
上記核酸結合タンパク質(配列特異的エンドヌクレアーゼを含む)は、検出可能である。それらは、本質的に検出可能であり得るか、もしくは内因的に検出可能(例えば、自発蛍光)であり得るか、または検出可能にするために外因的に操作され得る。従って、いくつかの実施形態において、上記核酸結合タンパク質、上記配列特異的エンドヌクレアーゼおよび/または上記核酸分子は、検出可能な標識を用いて標識される。上記タンパク質または上記エンドヌクレアーゼは、上記検出可能な標識を用いて、共有結合的に標識され得るか、またはイオン的に標識され得る。一般的に、標識の検出は、その標識によるエネルギーの、吸収または放射に関係する。上記標識は、特定波長の光を放射および/または吸収する、その標識の能力によって直接的に検出され得る。直接的検出の例は、特定波長の光を吸収し、そして一般的に、より長い波長の光を放射するフルオロフォアの使用である。あるいは、上記標識は、結合する、補充するおよび、いくつかの場合において、その成分自体が、特定波長の光を放射し得るか、または吸収し得る別の成分を切断するその標識の能力によって、間接的に検出され得る。間接的検出の例は、基質を可視の生成物に切断する、第1の酵素標識の使用である。
【0063】
上記標識は、化学物質性質の標識、ペプチド性質の標識または核酸性質の標識であり得るが、その標識はそれらに限定されない。標識の他の例としては、放射性同位体(例えば、P32またはH)、化学発光基質、色素産生性基質、蛍光色素のような蛍光マーカー(例えば、フルオレッセインイソチオシアネート(FITC)、TRITC、ローダミン、テトラメチルローダミン、R−フィコエリトリン、Cy−3、Cy−5、Cy−7、テキサスレッド、ファーレッド(Phar−Red)、アロフィコシアニン(APC)など)、光学密度マーカーまたは電子密度マーカー、ビオチン、アビジン、ジゴキシゲニン、FLAGエピトープまたはHAエピトープのようなエピトープタグ、およびアルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼなどのような酵素タグが挙げられるが、これらに限定されない。標識として、米国特許第6,207,392号に記載される、量子ドットのような半導体ナノ結晶の使用も本発明に想定される。量子ドットは、Quantum Dot Corporationならびにその他から市販されている。
【0064】
いくつかの事例において、上記検出可能な標識は、多数の検出可能な標識を負荷可能な、ビーズまたは粒子ではない。例えば、上記ビーズまたは粒子が、それ自体、本質的に検出可能であり、そして複数の検出可能な標識(例えば、蛍光成分)を事前に負荷していなければ、上記検出可能な標識は、ビーズまたは粒子であり得る。他の実施形態において、上記検出可能な標識は、非蛍光標識ビーズまたは非蛍光標識粒子である。磁性粒子は、非蛍光標識ビーズまたは非蛍光標識粒子の例である。
【0065】
上記標識は、直接的に、または間接的にタンパク質、エンドヌクレアーゼまたは核酸分子に結合し得る。
【0066】
上記核酸分子の分析は、上記標識からシグナルを検出する工程、およびいくつかの事例において、それらの標識の位置を決定する工程を包含する。いくつかの事例において、分析された他の核酸由来の情報、または遺伝子地図を用いて入手されるような情報の比較を容易にする標準マーカーを用いて、上記核酸分子をさらに標識することが所望され得る。例えば、上記標準マーカーは、バックボーン標識、ヌクレオチドの特定の配列(固有であるか否かに関わらず)に結合する標識、または核酸分子中で特定の配置に結合する標識(例えば、複製の起点、転写プロモーター、セントロメアなど)であり得る。
【0067】
バックボーン標識の部分集合の1つは、実質的に配列非依存様式で核酸に結合する核酸染色物質である。例としては、フェナントリジンおよびアクリジンのようなインターカレーションする色素(例えば、臭化エチジウム、ヨウ化プロピジウム、ヨウ化ヘキシジウム、ジヒドロエチジウム、エチジウムホモダイマー−1、エチジウムホモダイマー−2、エチジウムモノアジド、およびACMA);インドールおよびイミダゾールのようなマイナーグローブバインダー(grove binder)(例えば、Hoechst 33258、Hoechst 33342、Hoechst 34580およびDAPI);そして種々の核酸染色物質(例えば、アクリジンオレンジ(インターカレーションすることも可能である)、7−AAD、アクチノマイシンD、LDS751、およびヒドロキシスチルバミジン)が挙げられる。前述した全ての核酸染色物質は、Molecular Probes,Inc.のような業者から市販されている。
【0068】
核酸染色物質のさらに他の例としては、Molecular Probes由来の、以下の色素:シアニン色素(例えば、SYTOX Blue、SYTOX Green、SYTOX Orange、POPO−1、POPO−3、YOYO−1、YOYO−3、TOTO−1、TOTO−3、JOJO−1、LOLO−1、BOBO−1、BOBO−3、PO−PRO−1、PO−PRO−3、BO−PRO−1、BO−PRO−3、TO−PRO−1、TO−PRO−3、TO−PRO−5、JO−PRO−1、LO−PRO−1、YO−PRO−1、YO−PRO−3、PicoGreen、OliGreen、RiboGreen、SYBR Gold、SYBR Green I、SYBR Green II、SYBR DX、SYTO−40、SYTO−41、SYTO−42、SYTO−43、SYTO−44、SYTO−45(青色)、SYTO−13、SYTO−16、SYTO−24、SYTO−21、SYTO−23、SYTO−12、SYTO−11、SYTO−20、SYTO−22、SYTO−15、SYTO−14、SYTO−25(緑色)、SYTO−81、SYTO−80、SYTO−82、SYTO−83、SYTO−84、SYTO−85(橙色)、SYTO−64、SYTO−17、SYTO−59、SYTO−61、SYTO−62、SYTO−60、SYTO−63(赤色))が挙げられる。
【0069】
上記直鎖状ポリマー分析システムは、使用される標識の型に対応して選択される検出システムを備える。上記標識は、空間的様式または時間的様式で検出されるシグナルを放射する。1つの適切なシステムの例として、Gene EngineTMシステムは、単一核酸分子が、直鎖状様式で相互作用ステーションを通過することを可能にする。上記ヌクレオチドは、それらが検出可能な標識に結合されるか否かを決定するために、個別に問い合わせられる。問い合わせは、規定の波長の光学的放射のようなエネルギー源に、上記核酸分子を曝す工程を包含する。上記エネルギー源曝露に対する応答において、上記ヌクレオチド上の検出可能な標識は、特有の検出可能なシグナルを放射する。上記直鎖状ポリマー分析システムはまた、DNAコーミングシステムのような光学的マッピングシステムであり得る。
【0070】
シグナル放射の機構は、標識の型に依存する。上記検出システムは、蛍光検出システム、電気的検出システム、写真用フィルム検出システム、化学発光検出システム、酵素検出システム、原子間力顕微鏡(AFM)検出システム、走査トンネル顕微鏡(STM)検出システム、光学的検出システム、核磁気共鳴(NMR)検出システム、近視野検出システム、全反射(TIR)システム、および電磁的検出システムからなる検出システムの群より選択され得るが、これらに限定されない。
【0071】
本発明は、核酸分子の長さに従う、標識の任意の組み合わせの使用を包含する。これは、核酸分子がその長さに従って、例えば、フルオロフォア、発色団、核磁気共鳴標識および半導体ナノ結晶を用いて標識され得、そしてその核酸が、本明細書中に記載されるシステムによって分析され得ることを意味する。上記直鎖状ポリマー分析システムは、異なる多数の「シグナル様式」からシグナルを検出する能力を有する。1つの重要な実施形態において、上記システムは、蛍光標識によって明確にされる配列の配置を決定するために、レーザーによって誘導された蛍光検出を使用する。
【0072】
上記配列特異的情報は、単一分子についての情報または分子の集団についての情報のいずいれかであり得る。従って、分子上の配列特異的部位の全てを標識する必要はない。同種の分子の集団が存在する場合、その集団のメンバーを部分的に標識し、ついで、個々のメンバーが整列され得る場合、特定の配列における完全な地図を作成するためのデータを再構築することが可能である。この方法は、「ネスト化された(nested)」配列特異的データの一式を用いて、単一DNA分子データの集団を効率的に生成する。
【0073】
そのように標識されたそれぞれの核酸分子は、上記エンドヌクレアーゼによる結合の、固有のパターンを有する。この固有のパターンは、上記核酸分子の「フィンガープリント」と同種であり得る。より多くの数の異なるエンドヌクレアーゼを使用(それぞれ異なる認識配列を有する)した場合、より多くの配列情報が、入手可能である。
【0074】
本発明の方法を使用して導かれる配列決定情報は、ヒトゲノム計画のような情報源から入手可能であるゲノム配列決定情報と比較され得る。本発明の方法を使用して推定される結合パターンはまた、物理的ゲノム地図上に重ね合わされ得る。これらの地図(配列地図、モチーフ地図および構造的地図を含む)はヒトゲノム計画、または他の生物のゲノム配列決定計画のような公式の情報源から入手可能である。配列決定情報もしくは制限酵素結合パターンの、いずれかまたは両方の重ね合わせは、そのような情報を正しく判断するのに役立ち、従って分析されている上記ゲノムの領域を同定するのに役立つ。これにより、ゲノムの物理的地図は、本発明の方法を使用して決定される結合パターンを正しく判断するための参考として使用される。さらに、それはまた、結合された上記遺伝子座を同定するのに役立つ。本発明の全ての局面は、特定の種において、制限酵素結合パターンを、ゲノムまたはそれらの一部の物理的地図と比較する工程を包含し得る。
【0075】
【化1−1】

【0076】
【化1−2】

【実施例】
【0077】
(実施例1)
100pMの、単一のBamHI認識配列を含む放射性標識されたDNA二本鎖を、5mM CaClの存在下で2nM BamHIと共にインキュベートした。示された時点で、6000倍過剰のモル濃度の、標識されていない特異的競合DNAを添加した。複合体の半減期を示す、複合体解離データの最小二乗分析は、約39,600分である。
【0078】
(実施例2)
カルシウムの存在下でのNotI制限エンドヌクレアーゼ、PmeI制限エンドヌクレアーゼおよびEagI制限エンドヌクレアーゼの平衡結合を調べた。予備データは、これらのエンドヌクレアーゼが、カルシウムの存在下で、かなりの切断活性も観察されずにエンドヌクレアーゼの標的認識部位にしっかりと結合することを示す(図2を参照のこと)。従って、制限エンドヌクレアーゼ反応におけるカルシウムの含有は、堅固な複合体形成を促進する一方で、切断を阻害する一般的な方法であり得る。
【0079】
(実施例3)
図3Aに示されるように、λDNAは、5つのBamHI結合部位を有する。引き伸ばされているが、未配向のλDNA分子の集団上で予期されたタグ配置の位置を、下端の分子に示す。青い楕円は、上記λDNA分子の「ヘッド」を表す一方で、紫の楕円は、テイルを表す。分子は、分析前に配向されないので、それらは「ヘッドを先にした(head−first)」配向または「テイルを先にした(tail−first)」配向のいずれかで、検出地点に入り得る。
【0080】
図3Bは、Alexa 546 BamHIによって結合されたλDNAに由来する標識平均を示す。上記標識平均は、分析のために選択されるDNA分子のDNA骨格に従って光子カウントを合計する。ピークは、増加した光子放射が観察される、上記λDNA骨格に沿った位置を、質量の中心(COM)からのマイクロメートルで表す。これらの分子は、分析前に配向されず、従ってそれらの分子は、「ヘッドを先にした」配向および「テイルを先にした」配向の両方で検出地点に入ることが予期される。予期されたBamHIタグ配置を、上記λDNA配列によって示されるように、赤い線によって示す。データを、ガウス分布にあてはめ、そして正規曲線の平均を、観察されたタグ配置を示すために使用する。上記観察されたタグの位置は、予期された位置と良く一致しており、そしてその平均差異は、0.2マイクロメートル未満である。
【0081】
同様の分析を、λDNA上のEcoRI結合部位について行った。図4Aは、λDNAが5つのEcoRI結合部位を有することを図示する。未配向のDNA分子上に結合するEcoRIの予期された配置を示す。図4Bは、Alexa 546 EcoRIによって結合されたλDNAに由来する標識平均を示す。予期されたタグの位置を、赤い線によって示す。観察されたタグの位置は、0.5マイクロメートル未満である平均差異で、予期されたタグの位置と良く一致している。λDNA分子に結合したBamHIとλDNA分子に結合したEcoRIとの間のバーコード(barcode)パターンの違いに注意すること。
【0082】
同様の分析を、細菌人工染色体(BAC)RP11 12M9消化フラグメント上で行った。図5Aは、NotI大フラグメントba12M9(129348塩基対)DNAが、13個のBamHI結合部位を有することを図示する。青い楕円は、上記DNA分子の「ヘッド」を示す一方で、紫の楕円は「テイル」を示す。未配向分子の集団上のタグ配置を示す。図5Bは、Alexa 546 BamHIによって結合されたNotI大フラグメントba12M9DNAに由来する標識平均を示す。上記標識平均は、観察されたピークと0.5マイクロメートル未満の予測されたピークとの間の平均差異を有する、予測されたタグ配置に密接に対応するピークを含む。
【0083】
(等価物)
前述の内容は単に、特定の実施形態の詳細な説明にすぎないことが理解されるべきである。従って、種々の改変および等価物が、本発明の精神および本発明の範囲から逸脱することなく、そして汎用的に過ぎない実験法を用いて行われ得ることが、当業者にとって明らかであるべきである。特許請求の範囲内の、そのような改変および等価物の全てを包含することが意図される。
【0084】
本出願中に列挙される全ての、参考文献、特許および特許出願は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】図1Aは、Ca2+の存在下かつMg2+の非存在下における時間の関数としての、BamHI/DNA複合体の複合体の存在を示すオートラジオグラムの表示である。図1Bは、時間の関数として全核酸に対する結合された核酸の比の自然対数のグラフであり、上記BamHI/DNA複合体の半減期を計算するために使用される。
【図2】図2は、カルシウム濃度の関数としての、NotI結合二重鎖およびNotI非結合二重鎖のレベルを示すオートラジオグラムの表示である。
【図3】図3Aは、λファージDNA上のBamHI部位を示す構造図である。図3Bは、Alexa 546 BamHIによって結合されたλDNAに由来する標識平均を示すグラフである。
【図4】図4Aは、λファージDNA上のEcoRI部位を示す構造図である。図4Bは、Alexa 546 EcoRIによって結合されたλDNAに由来する標識平均を示すグラフである。
【図5】図5Aは、NotI大フラグメントba12M9(BACに由来する)上のBamHI部位を示す構造図である。図5Bは、Alexa 546 BamHIによって結合されたNotI大フラグメントba12M9DNAに由来する標識平均を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸分子を分析するための方法であって、以下:
核酸分子と検出可能な配列特異的エンドヌクレアーゼとを、非切断条件下で、配列特異的様式で該配列特異的エンドヌクレアーゼが該核酸分子に結合するのに十分な時間接触させる工程、および
該結合された配列特異的エンドヌクレアーゼを検出する工程
を包含する、方法。
【請求項2】
前記配列特異的エンドヌクレアーゼが制限エンドヌクレアーゼである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記制限エンドヌクレアーゼがII型制限エンドヌクレアーゼである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記II型制限エンドヌクレアーゼが、BamHI、BglI、BglII、EcoRI、EcoRV、MunI、PvuII、HaeIII、HinPI、NotI、PmeIおよびEagIを含む群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記非切断条件が、前記核酸分子の切断を許容しないMg2+濃度を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記Mg2+濃度が0である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記非切断条件が、Ca2+、Co2+およびMn2+からなる群より選択される2価のカチオンの存在を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記非切断条件がCa2+の存在を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記非切断条件が、Mg2+濃度を上回るCa2+濃度を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記Ca2+濃度が、前記Mg2+濃度を、少なくとも50倍、少なくとも100倍、少なくとも500倍、少なくとも1000倍、少なくとも2000倍または少なくとも5000倍上回る、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記Ca2+濃度が、前記Mg2+濃度を少なくとも500倍上回る、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記Ca2+濃度が約5nMである、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記核酸分子が、DNAまたはRNAである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記DNAが、核DNAおよびミトコンドリアDNAからなる群より選択されるゲノムDNAである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記DNAがcDNAである、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記RNAが、mRNA、rRNA、snRNA、RNAi、miRNAまたはsiRNAである、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記核酸分子が、非インビトロで増幅された核酸分子である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記配列特異的エンドヌクレアーゼが、検出可能な標識を用いて標識される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記配列特異的エンドヌクレアーゼが、検出可能な標識を用いて共有結合的に標識される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記配列特異的エンドヌクレアーゼが、検出可能な標識を用いてイオン的に標識される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記検出可能な標識が、蛍光分子、化学発光分子、放射性同位体、酵素基質、ビオチン分子、アビジン分子、荷電された変換分子、核磁気共鳴分子、半導体ナノ結晶、電磁的分子、電気伝導粒子、リガンド、マイクロビーズ、色素生産性基質、親和性分子、量子ドット、タンパク質、ペプチド、核酸、炭水化物、抗体、抗体フラグメント、抗原、ハプテン、および脂質からなる群より選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記結合された配列特異的エンドヌクレアーゼが、蛍光検出システム、電気的検出システム、写真用フィルム検出システム、化学発光検出システム、酵素検出システム、原子間力顕微鏡(AFM)検出システム、走査トンネル顕微鏡(STM)検出システム、光学的検出システム、核磁気共鳴(NMR)検出システム、近視野検出システム、全反射(TIR)システム、および電磁的検出システムからなる群より選択される検出システムを使用して検出される、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記核酸分子が、検出可能な標識を用いてさらに標識される、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記検出可能な標識が、バックボーン標識(backbone label)または末端標識である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記結合された配列特異的エンドヌクレアーゼが、単一分子検出システムを使用して検出される、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記単一分子検出システムが、直鎖状ポリマー分析システムである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記直鎖状ポリマー分析システムが、Gene EngineTMシステム、光学的マッピングシステム、およびDNAコーミングシステムからなる群より選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記配列特異的エンドヌクレアーゼが、単一の検出可能な標識を用いて標識される、請求項18に記載の方法。
【請求項29】
前記検出可能な標識が非ビーズ標識である、請求項18または請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記核酸が分析の前に非線形化される、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記核酸分子が流動系において分析される、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記検出可能な標識が非蛍光標識ビーズである、請求項18または請求項28に記載の方法。
【請求項33】
核酸分子を分析するための方法であって、以下:
核酸分子と検出可能な核酸結合タンパク質とを、結合条件下で、配列特異的様式で該検出可能な核酸結合タンパク質が該核酸分子に結合するのに十分な時間接触させる工程、および
該結合された検出可能な核酸結合タンパク質を検出する工程
を包含する、方法。
【請求項34】
前記検出可能な核酸結合タンパク質がDNA結合タンパク質である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記検出可能な核酸結合タンパク質が、ポリメラーゼ、メチラーゼ、および転写調節因子からなる群より選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記結合条件は、前記検出可能な核酸結合タンパク質の前記核酸分子に対する結合を許容するが、該検出可能な核酸結合タンパク質の他の酵素活性を妨げる、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記検出可能な核酸結合タンパク質がメチラーゼであり、そして前記結合条件がメチラーゼインヒビターを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記検出可能な核酸結合タンパク質がポリメラーゼであり、そして前記結合条件が、プライマーまたは取り込まれないヌクレオチドの集団を欠く、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記核酸分子が、DNAまたはRNAである、請求項33に記載の方法。
【請求項40】
前記DNAが、核DNAおよびミトコンドリアDNAからなる群より選択されるゲノムDNAである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記DNAがcDNAである、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記RNAが、mRNA、rRNA、snRNA、RNAi、miRNAまたはsiRNAである、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記核酸分子が、非インビトロで増幅された核酸分子である、請求項33に記載の方法。
【請求項44】
前記検出可能な核酸結合タンパク質が、検出可能な標識を用いて標識される、請求項33に記載の方法。
【請求項45】
前記検出可能な核酸結合タンパク質が、検出可能な標識を用いて共有結合的に標識される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記検出可能な核酸結合タンパク質が、検出可能な標識を用いてイオン的に標識される、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記検出可能な標識が、蛍光分子、化学発光分子、放射性同位体、酵素基質、ビオチン分子、アビジン分子、荷電された変換分子、核磁気共鳴分子、半導体ナノ結晶、電磁的分子、電気伝導粒子、リガンド、マイクロビーズ、色素生産性基質、親和性分子、量子ドット、タンパク質、ペプチド、核酸、炭水化物、抗体、抗体フラグメント、抗原、ハプテン、および脂質からなる群より選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記結合された検出可能な核酸結合タンパク質が、蛍光検出システム、電気的検出システム、写真用フィルム検出システム、化学発光検出システム、酵素検出システム、原子間力顕微鏡(AFM)検出システム、走査トンネル顕微鏡(STM)検出システム、光学的検出システム、核磁気共鳴(NMR)検出システム、近視野検出システム、全反射(TIR)システム、および電磁的検出システムからなる群より選択される検出システムを使用して検出される、請求項33に記載の方法。
【請求項49】
前記核酸分子が、検出可能な標識を用いてさらに標識される、請求項33に記載の方法。
【請求項50】
前記検出可能な標識が、バックボーン標識または末端標識である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記結合された検出可能な核酸結合タンパク質が、単一分子検出システムを使用して検出される、請求項33に記載の方法。
【請求項52】
前記単一分子検出システムが、直鎖状ポリマー分析システムである、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記直鎖状ポリマー分析システムが、Gene EngineTMシステム、光学的マッピングシステム、およびDNAコーミングシステムからなる群より選択される、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記検出可能な核酸結合タンパク質が、単一の検出可能な標識を用いて標識される、請求項44に記載の方法。
【請求項55】
前記検出可能な標識が非ビーズ標識である、請求項44または請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記核酸が分析の前に非線形化される、請求項33に記載の方法。
【請求項57】
前記核酸分子が流動系において分析される、請求項33に記載の方法。
【請求項58】
前記検出可能な標識が非蛍光標識ビーズである、請求項44または請求項54に記載の方法。
【請求項59】
単一の検出可能な標識を用いて標識された核酸結合タンパク質を含有する組成物。
【請求項60】
前記核酸結合タンパク質がDNA結合タンパク質である、請求項59に記載の組成物。
【請求項61】
前記核酸結合タンパク質が、配列特異的エンドヌクレアーゼ、ポリメラーゼ、メチラーゼ、および転写調節因子からなる群より選択される、請求項59に記載の組成物。
【請求項62】
前記核酸結合タンパク質が、前記単一の検出可能な標識を用いて共有結合的に標識される、請求項59に記載の組成物。
【請求項63】
前記核酸結合タンパク質が、前記単一の検出可能な標識を用いてイオン的に標識される、請求項59に記載の組成物。
【請求項64】
前記検出可能な標識が、蛍光分子、化学発光分子、放射性同位体、酵素基質、ビオチン分子、アビジン分子、荷電された変換分子、核磁気共鳴分子、半導体ナノ結晶、電磁的分子、電気伝導粒子、リガンド、色素生産性基質、親和性分子、量子ドット、タンパク質、ペプチド、核酸、炭水化物、抗体、抗体フラグメント、抗原、ハプテン、および脂質からなる群より選択される、請求項59に記載の組成物。
【請求項65】
前記検出可能な標識が、蛍光検出システム、電気的検出システム、写真用フィルム検出システム、化学発光検出システム、酵素検出システム、原子間力顕微鏡(AFM)検出システム、走査トンネル顕微鏡(STM)検出システム、光学的検出システム、核磁気共鳴(NMR)検出システム、近視野検出システム、全反射(TIR)システム、および電磁的検出システムからなる群より選択される検出システムを使用して検出される、請求項59に記載の組成物。
【請求項66】
前記単一の検出可能な標識が非ビーズ標識である、請求項59に記載の組成物。
【請求項67】
前記単一の検出可能な標識が非蛍光標識ビーズである、請求項59に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−501003(P2007−501003A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521946(P2006−521946)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/023841
【国際公開番号】WO2005/012575
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(503447449)ユー.エス. ジェノミクス, インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】