説明

非常に高い強度と伸び特性および優れた均質性を有するオーステナイト系鉄/カーボン/マンガン鋼シートの製造方法

【課題】オーステナイト系鉄/カーボン/マンガン鋼から作られ、少なくとも1200MPaの強度を有し、積P(抵抗(MPa)×破断時伸び(%))が65000MPa%を超える熱圧延または冷間圧延鋼板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】含有率を重量で表して、0.85%≦C≦1.05%、16%≦Mn≦19%、Si≦2%、Al≦0.050%、S≦0.030%、P≦0.050%、N≦0.1%と、任意選択的に、Cr≦1%、Mo≦0.40%、Ni≦1%、Cu≦5%、Ti≦0.50%、Nb≦0.50%、V≦0.50%から選択された1種以上の元素とを含み、組成物の残りは鉄および製錬から由来する不可避的な不純物を含む。鋼の再結晶化表面フラクションは100%であり上記鋼の析出した炭化物の表面フラクションは0%であり、平均結晶粒サイズは10ミクロンまたはそれ未満である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非常に高い機械的特性、詳細には、優れた機械的特性の均一性とともに、高度に有利な機械的強度と破断時伸びの組み合わせを有する、熱圧延および冷間圧延されたオーステナイト系鉄/カーボン/マンガン鋼シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車分野において、車両装備のレベルが連続的に増加しているため、金属構造自体を軽量化する必要が高くなっている。これを行うためには、各機能を再検討して、その性能を改善しその重量を低減しなければならない。したがって、これらの増加し続ける要件を満たすために、様々な種類の鋼が開発され、年代順に、例えば、ニオブ、バナジウム、またはチタンの微細析出によって硬化された高抗張力鋼、二重相構造を有する鋼(25%までのマルテンサイトを含有するフェライト)、およびフェライト、マルテンサイト、およびオーステナイトを含む変形下で転移可能なTRIP(転移によって生じる可塑性)鋼を列挙することができる。各種類の構造について、抗張力と変形性は競合する特性であり、一般に特性の1つを、他を大きく低下させずに非常に高い値を得ることは不可能である。したがって、TRIP鋼の場合、900MPaを超える強度と同時に25%を超える伸びを同時に得ることは困難である。また、ベイナイトまたはマルテンサイト−ベイナイト構造を有する鋼も挙げることができ、その強度は熱圧延シートで1200MPaまで高くなるが、その伸びはわずかに約10%である。これらの特性は多くの用途を満足させることができるが、それでも高い強度および後続の変形加工とエネルギー消費の高い適性を同時に組み合わせて、さらに軽量化が望まれる場合、それらは不十分なままである。
【0003】
熱圧延シートの場合、すなわち、厚さ約1mm〜10mmの範囲のシートの場合、そのような特性は、床接続部品、ホイール、ドア衝撃防止(anti−intrusion)棒等の補強部品、または重量車両(トラック、バス等)用部品の軽量化のために有益に用いられる。冷間圧延シート(厚さ約0.2mm〜6mmの範囲)の場合、用途は、自動車の安全および耐久性のための部品、または他の外部部品を製造するためである。
【0004】
これらの強度/延性の要件を同時に満たすためには、1.5%のCおよび15%〜35%のMn(重量で示した含有率)を含み、ケイ素、アルミニウム、またはクロム等の他の元素を含む可能性のあるFe−C−Mn鋼等、オーステナイト構造を有する鋼が知られている。所与の温度で、オーステナイト鋼の変形モードは積層欠陥エネルギーすなわちSFEにのみ依存し、その物理量自体は組成物と温度にのみ依存する。SFEが低下するとき、変形は、連続的に転位滑りモードから双晶化へ、最終的にマルテンサイト転移モードを通る。これらのモードの中で、機械的双晶化は高い加工硬化性を得ることを可能にし、双晶化は、変位の伝播に対する障害物として作用することによって、降伏点強度の増加を助ける。SFEは特にカーボンとマンガン含有率とともに増加する。
【0005】
したがって、双晶化によって変形することの可能なFe−0.6%C−22%Mnオーステナイト鋼が知られている。結晶粒のサイズに応じて、これらの鋼組成物は、50%〜80%の範囲の破断時伸びとともに、900MPa〜1150MPaの範囲の抗張力値をもたらす。
【0006】
しかし、1150MPaを大きく超える強度を有し、良好な変形性も有し、また、高価な合金を追加することなくそれを達成する熱圧延または冷間圧延鋼シートの必要性が解決されずに存在する。後続の機械的応力の間に非常に均一な挙動を示す鋼シートが望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、少なくとも1200MPa、または1400MPaの強度と、それとともに、各々上記強度レベルで、積P:強度(MPa)×破断時伸び(%)が60000または50000MPa%を超えるような伸びと、後続の変形または機械的応力の間に均一な機械的特性と、このシートまたは製品の冷間変形中、または変形後に任意の点でマルテンサイトのない構造を有する、製造の安価な熱圧延または冷間圧延鋼シートまたは製品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のために、本発明の主題は熱圧延オーステナイト系鉄/カーボン/マンガン鋼シートであり、強度は1200MPaを超え、積P(強度(MPa)×破断時の伸び(%))は65000MPa%を超え、公称化学組成物は、含有率を重量で表して、0.85%≦C≦1.05%、16%≦Mn≦19%、Si≦2%、Al≦0.050%、S≦0.030%、P≦0.050%、N≦0.1%と、任意選択的に、Cr≦1%、Mo≦1.50%、Ni≦1%、Cu≦5%、Ti≦0.50%、Nb≦0.50%、V≦0.50%から選択された1種以上の元素を含み、組成物の残りは鉄および製錬(smelting)から由来する不可避的な不純物からなり、鋼の再結晶表面のフラクションは100%であり、鋼の析出した炭化物の表面フラクションは0%であり、鋼の平均結晶粒サイズは10ミクロンまたはそれ未満である。
【0009】
また、本発明の主題は冷間圧延およびアニールされたオーステナイト系鉄/カーボン/マンガン鋼シートであり、強度は1200MPaを超え、積P(強度(MPa)×破断時の伸び(%))は65000MPa%を超え、公称化学組成物は、含有率を重量で表して、0.85%≦C≦1.05%、16%≦Mn≦19%、Si≦2%、Al≦0.050%、S≦0.030%、P≦0.050%、N≦0.1%と、任意選択的に、Cr≦1%、Mo≦1.50%、Ni≦1%、Cu≦5%、Ti≦0.50%、Nb≦0.50%、V≦0.50%から選択された1種以上の元素を含み、組成物の残りは鉄および製錬から由来する不可避的な不純物からなり、鋼の再結晶表面のフラクションは100%であり、鋼の平均結晶粒サイズは5ミクロン未満である。
【0010】
また、本発明の主題は冷間圧延およびアニールされたオーステナイト鋼シートであり、強度は1250MPaを超え、積P(強度(MPa)×破断時の伸び(%))は65000MPa%を超え、鋼の平均結晶粒サイズは3ミクロン未満であることを特徴とする。
【0011】
好ましい特徴によれば、オーステナイト鋼シートの任意の点で鋼の局部的カーボン含有量Cおよび局部的マンガン含有量Mnは、重量で表して、%Mn+9.7%C≧21.66である。
【0012】
鋼の公称ケイ素含有量は0.6%またはそれ未満であることが好ましい。
【0013】
好ましい実施形態によれば、鋼の公称窒素含有量は0.050%またはそれ未満であることが好ましい。
【0014】
また、鋼の公称アルミニウム含有量は0.030%またはそれ未満であることが好ましい。
【0015】
好ましい実施形態によれば、鋼の公称リン含有量は0.040%またはそれ未満であることが好ましい。
【0016】
また、本発明の主題は熱圧延オーステナイト系鉄/カーボン/マンガン鋼シートの製造方法であり、強度は1200MPaを超え、積P(強度(MPa)×破断時の伸び(%))は65000MPa%を超え、方法において鋼は製錬され、公称組成物は、含有率を重量で表して、0.85%≦C≦1.05%、16%≦Mn≦19%、Si≦2%、Al≦0.050%、S≦0.030%、P≦0.050%、N≦0.1%と、任意選択的に、Cr≦1%、Mo≦1.50%、Ni≦1%、Cu≦5%、Ti≦0.50%、Nb≦0.50%、V≦0.50%から選択された1種以上の元素とを含み、組成物の残りは鉄および製錬から由来する不可避的な不純物からなり、
半完成製品はこの鋼から鋳造され、
鋼組成物の半完成製品は1100℃〜1300℃の温度で加熱され、
半完成製品は圧延の終わりの900℃以上の温度まで圧延され、
必要であれば、鋼の再結晶化表面フラクションが100%であるように保持時間を維持し、
シートは20℃/s以上の速度で冷却され、
シートは400℃以下の温度で巻き取られる。
【0017】
また、本発明の主題は熱圧延オーステナイト系鋼シートの製造方法であり、強度は1400MPaを超え、積P(強度(MPa)×破断時の伸び(%))は50000MPa%を超え、熱圧延され、巻き取り後に冷却され、巻き出されたシートは、少なくとも13%であるが最大17%の等積変形比率で冷間変形を受けることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の主題は冷間圧延およびアニールされたオーステナイト系鉄/カーボン/マンガン鋼シートの製造方法であり、強度は1250MPaを超え、積P(強度(MPa)×破断時の伸び(%))は60000MPa%を超え、上記方法によって得られた熱圧延シートが提供され、各サイクルがシートを1回以上連続的に通して冷間圧延し、再結晶化アニール処理を行うことを含むサイクルを少なくとも1回行い、最終冷間圧延サイクルに続く再結晶化アニール処理前の平均オーステナイト結晶粒サイズが15ミクロン未満であることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の主題は冷間圧延されたオーステナイト系鉄/カーボン/マンガン鋼シートの製造方法であり、強度は1400MPaを超え、積P(強度(MPa)×破断時の伸び(%))は50000MPa%を超え、シートは、最終再結晶化アニール処理の後、少なくとも6%であるが最大17%の等積変形比率で冷間変形を受けることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の主題は冷間圧延されたオーステナイト系鉄/カーボン/マンガン鋼シートの製造方法であり、強度は1400MPaを超え、積P(強度(MPa)×破断時の伸び(%))は50000MPa%を超え、本発明による冷間圧延されアニールされたシートが提供され、このシートは少なくとも6%であるが最大17%の等積変形比率で冷間変形を受けることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の主題はオーステナイト系鋼シートの製造方法であり、この半完成製品の鋳造温度、電磁気力による液体金属の攪拌、および拡散によってカーボンとマンガンの均一化に導く再加熱条件等、この半完成製品が鋳造されまたは再加熱される条件は、シートの任意の点において、局部的なカーボン含有量Cと局部的なマンガン含有量Mnが、重量で表して、%Mn+9.7%C≧21.66であるように選択されることを特徴とする。
【0022】
好ましい実施形態によれば、半完成製品はスラブ形状に鋳造され、または反対方向に回転する鋼製ロール間で薄片として鋳造される。
【0023】
また、本発明の主題は、自動車分野における構造または補強要素または外部部品を製造するためのオーステナイト鋼シートの使用である。
【0024】
また、本発明の主題は、自動車分野における構造または補強要素または外部部品を製造するための、上述の方法によって製造されたオーステナイト鋼シートの使用である。
【0025】
本発明の他の特徴および利点は、添付図面1を参照して例として与えられる、室温(300K)でのカーボンとマンガン含有量を関数とする積層欠陥エネルギーの理論的変動を示す、以下の説明を通じて明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】室温300Kでのカーボンとマンガン含有量を関数とする積層エネルギーの理論的変動を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
多くの試みの後、本発明者らは上で報告した様々な要件が以下の条件を実施することによって満たされることを示した。鋼の化学組成物については、カーボンは微小構造の形成と得られる機械的特性に重要な役割を果たす。16重量%〜19重量%の範囲のマンガン含有量とともに、0.85%を超える公称カーボン含有量は、安定なオーステナイト構造の獲得を可能にする。しかし、1.05%を超える公称カーボン含有量では、工業的製造における或る熱サイクル中、特に鋼が巻き取りで冷却されるとき、カーボンの析出を防止するのが困難になり、この析出は延性と靭性を劣化させる。さらに、カーボン含有量の増加は溶接性を低下させる。
【0028】
また、マンガンは強度を高め、積層欠陥エネルギーを高め、オーステナイト相を安定化するために重要な元素である。その公称含有率が16%未満であると、後に判明するように、マルテンサイト相が形成する危険性があり、変形性を大きく認め得る程度に低下させる。さらに、公称マンガン含有率が19%を超えると、完全な転移滑りモードのほうが双晶変形モードよりも優先する。さらに、コスト的な理由により、マンガン含有率が高いことは望ましくない。
【0029】
アルミニウムは鋼の脱酸素に特に有効な元素である。カーボンのように、それは積層欠陥エネルギーを増加させる。しかし、アルミニウムはそれがマンガン含有率の高い鋼中に過剰に存在すると欠点になる。これは、マンガンが液体鉄中への窒素の溶解性を高めるからであり、過剰のアルミニウムが鋼中に存在すると、アルミニウムと結合する窒素がアルミニウム窒化物の形で析出して熱転移中の結晶粒境界の移動を妨げ、亀裂の発生の危険性が認め得る程大きくなる。0.050%未満の公称アルミニウム含有率はAlNの析出を防止する。したがって、この析出および固化中の容積欠陥の形成を防止するために、公称窒素含有率は0.1%未満でなければならない。公称アルミニウム含有率が0.030%未満、および公称窒素含有率が0.050%未満であるとき、この危険性は特に低くなる。
【0030】
また、ケイ素は鋼の脱酸素および固相硬化に特に有効な元素である。しかし、公称含有率2%を超えると、それは伸びを低下させ、或る組み立て工程中に望ましくない酸化物を形成する傾向があり、したがって、この限界値を下回る値に保たなければならない。この現象は公称ケイ素含有率が0.6%未満になると大きく低減される。
【0031】
硫黄およびリンは結晶粒境界を脆化させる不純物である。十分な熱間延性を保つために、それらの各々の公称含有率は0.030%および0.050%を各々超えてはならない。公称リン含有率が0.040%未満のとき、脆化の危険性は特に低くなる。
【0032】
場合によって、クロムは固相硬化による鋼の強度向上に用いられる。しかし、クロムは積層欠陥エネルギーを低下させるので、その公称含有率は1%を超えてはならない。ニッケルは積層欠陥エネルギーを増加させ、破断時の伸びを高くするのに貢献する。しかし、コスト的な理由から、公称ニッケル含有率は最大1%以下に制限するのが望ましい。また、モリブデンは同様の理由で用いることができ、この元素は炭化物の析出をさらに阻止する。有効性とコスト的な理由から、その公称含有率は1.5%まで、好ましくは0.4%に制限することが望ましい。
【0033】
同様に、場合によって、5%を超えない公称含有率の銅を加えることは、銅金属の析出によって鋼を硬化する1つの手段である。しかし、この含有率を超えると、銅は熱圧延シートに表面欠陥を発生させる。
【0034】
また、チタン、ニオブ、およびバナジウムは炭窒化物の析出によって硬化させるために場合によって用いることのできる元素である。しかし、公称NbまたはVまたはTi含有率が0.50%を超えるとき、過剰の炭窒化物析出が延性と引張り性の低下を招き、これは避けなければならない。
【0035】
本発明による製造方法の実施方法は以下の通りである。上述の組成物を有する鋼は製錬される。この製錬の後、鋼は厚さ約200mmのインゴット形状、または連続的なスラブ形状に鋳造することができる。また、鋼は、厚さ数十ミリメートルの薄いスラブ形状、または反対方向に回転する鋼ロール間で薄片状に鋳造することもできる。無論、本説明は平坦な製品への本発明の応用を説明しているが、同様に、Fe−C−Mn鋼から作られた長尺製品の製造に用いることができる。
【0036】
これらの鋳造された半完成製品は最初に1100℃〜1300℃の温度に加熱される。この目的は、全ての点が、圧延中に鋼の受ける大きな変形のために好適な温度範囲に達するようにするためである。しかし、あらゆるマンガンおよび/またはカーボン偏析ゾーン中に到達することができる固相線温度にあまりにも近くなるおそれがあり、熱間形成に悪影響を与えるであろう液体状態の局部的な開始を招くおそれがあるので、温度は1300℃を超えてはならない。反対方向に回転するロール間で薄片を直接鋳造する場合、1300℃〜1100℃で始まるこれらの半完成製品の熱圧延段階は鋳造直後に行うことができるので、この場合中間の再加熱段階は不必要である。
【0037】
半完成製品製造条件(鋳造、再加熱)はカーボンとマンガン偏析の可能性に直接影響を及ぼし、この点については後に詳述する。
【0038】
半完成製品は、例えば、数ミリメートルの厚さの熱圧延片まで熱圧延される。本発明による鋼のアルミニウム含有率の低さはAlNの過剰な析出を防止し、これは圧延中の熱変形性を付与する。延性に乏しいことによるあらゆる亀裂問題を回避するために圧延の終わりの温度は900℃以上でなければならない。
【0039】
本発明者らは、鋼の再結晶表面フラクションが100%未満であるとき、得られたシートの延性特性は低下することを示した。したがって、熱圧延条件がオーステナイトの完全な再結晶化をもたらさない場合、本発明者らは、熱圧延段階の後に、再結晶化表面フラクションが100%であるように保持時間を持つべきであることを教示した。このようにして、圧延後のこの高温等熱の均熱(soak)段階は完全な再結晶化をもたらす。
【0040】
また、熱圧延シートについて、機械的特性の劣化、特に延性の低下および降伏点強度の増加を招くであろう炭化物(本質的にセメンタイト(Fe、Mn)Cおよびパーライト)の析出を防止するのが必要であることも教示された。この目的のために、本発明者らは圧延段階の後(または場合によって再結晶化に必要な保持時間後)の20℃/s以上の冷却速度がこの析出を完全に防止することを発見した。この冷却段階の後、巻き取り作業が続く。また、巻き取り温度は、やはり析出を避けるために400℃を下回るべきであることが教示された。
【0041】
本発明による鋼の組成物について、本発明者らは、平均オーステナイト結晶粒サイズが10ミクロン以下であるとき、特に高い強度と破断時の伸び特性が得られたことを教示した。これらの条件下で、このようにして得られた熱圧延シートの抗張力は1200MPaより大きく、積P(強度×破断時の伸び)は65000MPa%よりも大きい。
【0042】
熱圧延シートには、1400MPa以上のレベルのさらに高い強度特性を獲得するのが望ましい用途がある。本発明者らは、そのような特性が上述の熱圧延鋼シートを少なくとも13%であるが最大17%の等積変形比率で冷間変形を行うことによって得られたことを示した。したがって、この冷間変形は、巻き取り、巻き出し、および通常酸洗浄の後に冷却されたシート上に与えられる。比較的小さな比率のこの変形は、後続の加工に影響を与えることなく、異方性の低い製品の製造をもたらす。したがって、加工は冷間変形ステップを含むが、薄いシートを製造するために、冷間変形比率がアニール前の冷間圧延中に生成された通常の比率に比べて非常に小さいかぎり、および、このようにして製造されたシートの厚さが熱圧延シートの通常の厚さ範囲であるかぎり、製造されたシートは「熱圧延シート」と称することができる。しかし、等積冷間変形比率が17%よりも大きいとき、伸びの低下によって、パラメータP(強度R×破断時の伸びA)が50000MPa%に到達できなくなる。本発明の条件下では、その非常に高い強度にかかわらずこのようにして得られたシートの積Pが50000MPa%またはそれ以上であるので、シートは良好な伸び性を保つ。
【0043】
また、冷間圧延およびアニールされたシートの場合、本発明者らは、所望の特性を達成するためにはアニールの後、構造が完全に再結晶化されるべきであることを教示した。同時に、平均結晶粒サイズが5ミクロン未満のとき、強度は1200MPaを超え、積Pは65000MPa%より大きい。アニールの後に得られた平均結晶粒サイズが3ミクロン未満のとき、強度は1250MPaを超え、積Pはやはり65000MPa%よりも大きい。
【0044】
また、本発明者らは、上述の方法による熱圧延シートを供給し、次いで、各サイクルが以下のステップからなるサイクル、
1回以上冷間圧延を通すステップ、
再結晶化アニールステップ(再結晶アニールを行った最終冷間圧延サイクル前の平均オーステナイト結晶粒サイズは、15ミクロン未満である。)、を少なくとも1回行うことによって、強度が1250MPaを超え、積Pが60000MPa%よりも大きい冷間圧延およびアニールされた鋼シートを製造する方法を発見した。
【0045】
さらに高い強度、1400MPaを超える強度を有する冷間圧延シートを得ることが望ましい。本発明者らは、そのような特性が、上述の本発明による特性を有する冷間圧延シートを提供することによって、または上述の本発明による方法を用いて得られる冷間圧延シートを提供することによって達成できることを教示した。本発明者らは、そのようなシートに、少なくとも6%であるが最大17%の等積変形比率で冷間変形を行うことによって、1400MPaより大きな強度と、50000MPa%より大きな積Pを得ることが可能であることを発見した。等積冷間変形比率が17%より大きいとき、伸びの低下によってパラメータPは50000MPa%に到達できなくなる。
【0046】
ここで、本発明の内容に関してカーボンとマンガンの果たす特に重要な役割を詳細に説明する。これを行うために、図1を参照すれば、カーボン−マンガン(残りは鉄)のプロットにおいて、計算された積層欠陥の等エネルギー曲線が示され、その値は5mJ/m〜30mJ/mの範囲である。所与の変形温度および所与の結晶粒サイズについて、同じSFEを有するFe−C−Mn合金の全てについて変形モードは理論的に同一である。また、マルテンサイト開始領域がこのプロットに示される。
【0047】
本発明者らは、機械的挙動を理解するために、合金の公称化学組成物、例えば、カーボンとマンガンの公称または平均含有率だけでなく、その局部的含有率を考慮する必要があることを教示した。
【0048】
これは、鋼の生産中に、固化によっていくつかの元素が多少とも偏析するためであることが知られている。これは固相内の元素の溶解性が液相内のそれと異なることから起きる。したがって、溶質含有率が公称組成物を下回る固体核がしばしば発生し、固化の最終相は溶質に富む液相残部を含む。この主要な固化構造は様々なモルホロジー(例えば、樹枝状または等軸状モルホロジー)を呈することができ、多かれ少なかれ出現する。これらの特性が圧延と後続の熱処理によって修正されても、局部的な元素含有率の分析は、この元素の平均または公称含有率に等しい値の近傍で変動することを示す。
【0049】
用語「局部的な含有率」は、本明細書において、電子プローブ等のデバイスによって測定された含有率を意味する。そのようなデバイスによる線形または表面走査によって、局部的な含有率の変動を求めることが可能になる。
【0050】
したがって、公称組成物が、C=0.23%、Mn=24%、Si=0.203%、N=0.001%であるFe−C−Mn合金の局部含有率の変動を測定した。本発明者らは、局部的にカーボン富裕な(またはカーボンに乏しい)ゾーンがマンガン富裕(またはマンガンに乏しい)ゾーンにも一致する、カーボンとマンガンの共偏析を示した。図1には、局部的なカーボン濃度(C)および局部的なマンガン濃度(Mn)を有する各測定点がプロットされ、組み合わせは、公称含有率(C=0.23%/Mn=24%)を中心として、鋼シート中の局部的なカーボンとマンガンの変動を表す線分を形成する。この場合、積層欠陥エネルギーの値がCとMnに乏しいゾーンの7mJ/mから最も富裕なゾーンの20mJ/mの範囲になるので、局部的なカーボンとマンガン含有率の変動は、積層欠陥エネルギーの変動によって明らかにされることが判る。さらに、SFEが約15mJ/m〜30mJ/mであるとき、室温での優先的な変形モードとして双晶化が起きることが知られている。上の場合に、この変形の優先モードは鋼シート全体に絶対的に存在しなくてもよく、或る特定のゾーンは、公称組成物の鋼シートに予測されるものとは異なる機械的挙動、特に、或る結晶粒内の双晶化によるより低い変形性を示す。さらに一般に、非常に特別な条件下、例えば、変形または応力温度、結晶粒サイズに応じて、局部的なカーボンおよびマンガン含有量は、変形により生じたマルテンサイト転移を局部的にもたらす点まで低下するであろうと考えられる。
【0051】
本発明者らは、非常に高い機械的特性と、同時に鋼シート内にこれらの特性の高い均一性を得るための特別な条件を探求した。上述のように、本発明の他の特性に結びついて、カーボン含有率(0.85%〜1.05%)とマンガン含有率(16%〜19%)の組み合わせは、1200MPaを超える強度値と、60000または65000MPa%を超える積P(強度×破断時伸び)をもたらす。図1において、これらの鋼組成物はSFEが約19mJ/m〜24mJ/mの範囲、すなわち、双結晶化による変形に好ましい領域にあることが見えるであろう。しかし、本発明者らは、局部的なカーボンまたはマンガン含有率の変動が前の例で述べたよりもはるかに少ない影響を与えることも示した。これは、同一の製造条件下の様々なFe−C−Mnオーステナイト鋼組成物で行った局部的含有率(C、Mn)の変動の測定が、図1に示したものと非常に近いカーボンとマンガンの共偏析を示したことによる。これらの条件下で、この共偏析を表す部分が等SFE曲線にほぼ平行な方向に沿って存在するので、局部的含有率(C、Mn)の変動は機械的挙動に僅かな影響しか与えない。
【0052】
さらに、本発明者らは、変形作業またはシートの使用中のマルテンサイトの形成は、部品の機械的特性が異質になる危険性があるため、絶対に回避すべきであることを教示した。本発明者らは、シートのあらゆる点で、シートの局部的なカーボンとマンガンの含有率が、%Mn+9.7%C≧21.66であるとき、この条件が満たされることを求めた。したがって、本発明によって画定され、局部的なカーボンとマンガンの含有率によって画定される公称化学組成物の特徴のおかげで、非常に高い機械的特性だけでなく、これらの特性の分散が非常に低いオーステナイト鋼シートが得られる。
【0053】
当業者であれば、局部的な含有率に関する関係を満足するために、その一般的な知識を通して、特に、拡散によってカーボンとマンガンの均一化が得られる鋳造条件(鋳造温度、液体金属の電磁気攪拌)または再加熱条件によって製造条件を適合させるであろう。
【0054】
特に、これらの方法は一般に局部的な組成物の異質性を低減するので、半完成製品を薄いスラブ状(数センチメートルの厚さ)または薄片状に鋳造する方法を実施するのが有利であろう。
【0055】
非制限的な実施例として、以下の結果は本発明によって与えられる有利な特徴を示す。
【0056】
実施例
以下の公称組成物を有する鋼(重量%で表した含有率)を製錬した。
【表1】

【0057】
鋳造の後、本発明による鋼Iの半完成製品を1180℃の温度まで再加熱し、900℃を超える温度まで熱圧延して3mmの厚さを得た。完全な再結晶化のため圧延後に2sの保持時間を加え、次いで、製品を20℃/sよりも速い速度で冷却し、室温で巻き取った。
【0058】
参照鋼を1150℃を超える温度まで再加熱し、圧延の終わりの温度が940℃を超えるまで圧延し、次いで、450℃を下回る温度で巻き取った。
【0059】
再結晶化表面フラクションは全ての鋼で100%であり、炭化物の析出は0%であり、平均結晶粒サイズは9ミクロン〜10ミクロンであった。
【0060】
熱圧延シートの引張り特性は以下の通りであった。
【表2】

【0061】
参照鋼R1と比較すると、機械的特性は既に高く、本発明による鋼は、約200MPaの強度増加と、非常に類似の伸びを得ることが可能であった。
【0062】
変形中の構造的および機械的均一性を評価するために、引張りカップを作成し、それについて微小構造をX線回折によって試験した。参照鋼R2の場合、変形比率が17%を超えるときは常にマルテンサイトの出現が観察され、引張り作業全体は破壊を招いた。分析によって、%Mn+9.7%C≧21.66の特徴はいかなる点でも満足されなかった(図1)。
【0063】
本発明による鋼の場合、マルテンサイトの痕跡は見出すことができず、類似の分析は、%Mn+9.7%C≧21.66の特性があらゆる点で満足されたことを示し、それによって、マルテンサイトの出現が阻止された。
【0064】
次いで、本発明による鋼シートを14%の等積変形の圧延によって僅かに冷間変形を行った。次いで、製品の強度は1420MPaであり、その破断時の伸びは42%、すなわち、積P=59640MPa%であった。例外的に高い機械的特性を有するこの製品は、その塑性の保持とその低い異方性のため、後続の変形に対して大きな可能性を提供する。
【0065】
さらに、冷却、巻き出し、および酸洗浄ステップの後、本発明による鋼および鋼R1の熱圧延シートをアニールの前に冷間圧延して完全な再結晶化構造を得た。平均オーステナイト結晶粒サイズ、強度、および破断時伸びは次の表に示される。
【表3】

【0066】
本発明によって製造された鋼シートは、平均結晶粒サイズが4ミクロンであり、したがって、特に有利な強度/伸びの組み合わせを与え、参照鋼に比べて強度が大きく増加する。熱圧延シート製品の場合のように、これらの特性は製品中に非常に高い均一性で得られ、変形の後マルテンサイトの痕跡は存在しない。
【0067】
本発明による冷間圧延およびアニールされた厚さ1.6mmのシートで行った直径75mmの半球状パンチを用いる等方二軸膨張試験は、33mmの引張り限界深さを与え、優れた変形性を示した。この同じシートで行った曲げ試験も、亀裂が現れる前の限界変形が50%を超えたことを示した。
【0068】
本発明により製造された鋼シートに等積変形比率8%の圧延によって冷間変形を行った。製品の強度は1420MPaであり、その破断時伸びは48%、すなわち積P=68160MPa%であった。
【0069】
したがって、その特に高い機械的特性、その非常に均一な機械的挙動、およびその微小構造の安定性によって、本発明による熱圧延または冷間圧延鋼は、高い変形性と非常に高い強度を達成することが望まれる用途に有利に用いられるであろう。それらが自動車産業に用いられるとき、その利点は構造部品、補強要素、または外部部品の製造にさえ有益に用いられるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
強度が、1200MPaを超え、積P(強度(MPa)×破断時伸び(%))が65000MPa%を超え、公称化学組成物が、含有率を重量で表して、
0.85%≦C≦1.05%、
16%≦Mn≦19%、
Si≦2%、
Al≦0.050%、
S≦0.030%、
P≦0.050%、
N≦0.1%と、任意選択的に、
Cr≦1%、
Mo≦1.50%、
Ni≦1%、
Cu≦5%、
Ti≦0.50%、
Nb≦0.50%、
V≦0.50%から選択された1種以上の元素とを含み、
組成物の残りが鉄および製錬から由来する不可避的な不純物からなり、前記鋼の再結晶化表面フラクションが100%であり、前記鋼の析出した炭化物の表面フラクションが0%であり、鋼の平均結晶粒サイズが10ミクロンまたはそれ未満である、熱圧延されたオーステナイト系鉄/カーボン/マンガン鋼シート。
【請求項2】
強度が、1200MPaを超え、積P(強度(MPa)×破断時伸び(%))が65000MPa%を超え、公称化学組成物が、含有率を重量で表して、
0.85%≦C≦1.05%、
16%≦Mn≦19%、
Si≦2%、
Al≦0.050%、
S≦0.030%、
P≦0.050%、
N≦0.1%と、任意選択的に、
Cr≦1%、
Mo≦1.50%、
Ni≦1%、
Cu≦5%、
Ti≦0.50%、
Nb≦0.50%、
V≦0.50%から選択された1種以上の元素とを含み、
組成物の残りが鉄および製錬から由来する不可避的な不純物からなり、鋼の再結晶化表面フラクションが100%であり、前記鋼の平均結晶粒サイズが5ミクロン未満である、冷間圧延およびアニールされたオーステナイト系鉄/カーボン/マンガン鋼シート。
【請求項3】
強度が、1250MPaを超え、積P(強度(MPa)×破断時伸び(%))が65000MPa%を超える請求項2に記載の冷間圧延およびアニールされたオーステナイト鋼シートであって、前記鋼の平均結晶粒サイズが3ミクロン未満であることを特徴とする、鋼シート。
【請求項4】
前記鋼の任意の点の局部的なカーボン含有率Cおよび局部的なマンガン含有率Mnが、重量で表して、%Mn+9.7%C≧21.66であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のオーステナイト鋼シート。
【請求項5】
前記鋼の公称ケイ素含有率が、0.6%またはそれ未満であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の鋼シート。
【請求項6】
前記鋼の公称窒素含有率が、0.050%またはそれ未満であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の鋼シート。
【請求項7】
前記鋼の公称アルミニウム含有率が、0.030%またはそれ未満であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の鋼シート。
【請求項8】
前記鋼の公称リン含有率が、0.040%またはそれ未満であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の鋼シート。
【請求項9】
強度が、1200MPaを超え、積P(強度(MPa)×破断時伸び(%))が65000MPa%を超え、方法において鋼が製錬され、公称組成物が、含有率を重量で表して、
0.85%≦C≦1.05%、
16%≦Mn≦19%、
Si≦2%、
Al≦0.050%、
S≦0.030%、
P≦0.050%、
N≦0.1%と、任意選択的に、
Cr≦1%、
Mo≦1.50%、
Ni≦1%、
Cu≦5%、
Ti≦0.50%、
Nb≦0.50%、
V≦0.50%から選択された1種以上の元素とを含み、
組成物の残りが鉄および製錬から由来する不可避的な不純物からなり、
半完成製品がこの鋼から鋳造され、
前記鋼の組成物の前記半完成製品が1100℃〜1300℃の温度で加熱され、
前記半完成製品が圧延の終わりの温度が900℃以上まで圧延され、
必要であれば、鋼の再結晶化表面フラクションが100%であるように保持時間を維持し、
前記シートが20℃/s以上の速度で冷却され、
前記シートが400℃以下の温度で巻き取られる、熱圧延オーステナイト系鉄/カーボン/マンガン鋼シートの製造方法。
【請求項10】
強度が、1400MPaを超え、積P(強度(MPa)×破断時伸び(%))が50000MPa%を超える請求項9に記載の熱圧延オーステナイト鋼シートの製造方法であって、熱圧延され、巻き取り後に冷却され、巻き出された前記シートが、少なくとも13%であるが最大17%の等積変形比率で冷間変形を受けることを特徴とする、製造方法。
【請求項11】
強度が、1250MPaを超え、積P(強度(MPa)×破断時伸び(%))が60000MPa%を超える冷間圧延されアニールされたオーステナイト系鉄/カーボン/マンガン鋼シートの製造方法であって、
請求項9に記載の方法によって得られた熱圧延シートを提供すること、
各サイクルが、前記シートを1回以上連続的に通過させて冷間圧延することと、再結晶化アニール処理を行うことからなるサイクルを少なくとも1回行い、
再結晶アニールを行った最終冷間圧延サイクル前の平均オーステナイト結晶粒サイズが15ミクロン未満であることを特徴とする、製造方法。
【請求項12】
強度が、1400MPaを超え、積P(強度(MPa)×破断時伸び(%))が50000MPa%を超え請求項11に記載の冷間圧延されたオーステナイト系鉄/カーボン/マンガン鋼シートの製造方法であって、シートが、最終再結晶化アニール処理の後、少なくとも6%であるが最大17%の等積変形比率で冷間変形を受けることを特徴とする、製造方法。
【請求項13】
強度が、1400MPaを超え、積P(強度(MPa)×破断時伸び(%))が50000MPa%を超える冷間圧延されたオーステナイト系鉄/カーボン/マンガン鋼シートの製造方法であって、請求項2から8のいずれか一項に記載の冷間圧延されアニールされたシートが提供され、前記シートが、少なくとも6%であるが最大17%の等積変形比率で冷間変形を受けることを特徴とする、製造方法。
【請求項14】
前記半完成製品の鋳造温度、電磁気力による液体金属の攪拌等、前記半完成製品が鋳造されまたは再加熱される条件と、拡散によってカーボンとマンガンの含有率の均一化に導く再加熱条件が、前記シートの任意の点の局部的なカーボン含有量Cと局部的なマンガン含有量Mnが重量で表して%Mn+9.7%C≧21.66であるように選択されることを特徴とする、請求項9から13のいずれか一項に記載のオーステナイト鋼シートの製造方法。
【請求項15】
前記半完成製品がスラブ状に鋳造され、または反対方向に回転する回転鋼ロール間で薄片に鋳造されることを特徴とする、請求項9から14のいずれか一項に記載のオーステナイト鋼シートの製造方法。
【請求項16】
請求項1から8のいずれか一項に記載のオーステナイト鋼シートの使用、または自動車分野における構造部品、補強要素または外部部品の製造。
【請求項17】
自動車分野における構造部品、補強要素または外部部品を製造するための請求項9から15のいずれか一項に記載の方法によって製造されたオーステナイト鋼シートの使用。

【図1】
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【公開番号】特開2012−72499(P2012−72499A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−251070(P2011−251070)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【分割の表示】特願2007−542029(P2007−542029)の分割
【原出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【出願人】(506166491)アルセロールミタル・フランス (43)
【Fターム(参考)】