説明

非接触テープガイド装置

【課題】配線パターン部分に損傷を与えることなく半導体装置用テープを搬送可能とする非接触テープガイド装置を提供する。
【解決手段】非接触ガイド面部を構成するため微細な貫通孔多数を平均的に分散させて穿設した多孔板68を湾曲させた状態でハウジング54、62の一部に設置して半密閉空間を構成し、空気供給手段58でハウジング54、62の内部空洞に空気を供給して多孔板68の多数の貫通孔から噴射させることにより半導体装置用テープ16を非接触ガイド面部から浮上させると共に、半導体装置用テープ16の長手方向両側端部を幅可変ガイド56でガイドしながら搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体チップを搭載するTAB(Tape Automated Bonding)テープ等の半導体装置用テープを検査するために搬送するのに用いて好適な非接触テープガイド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体装置の小型化の要求が強まっており、そのため、半導体装置の外形寸法をほぼ半導体素子の外形寸法にまで小型化したチップサイズパッケージ(以後、CSPと称す。)の半導体装置が用いられている。
【0003】
このCSPの半導体装置では、基板の材料となる半導体装置用テープ上に半導体素子を接着剤などで固着し、半導体素子の周縁部に形成された電極と基板の周縁部に形成された電極とを金線等のワイヤボンディングで電気的に接続した構成のものや、半導体装置用テープ上に形成したアレイ状の電極と半導体素子の裏面側にアレイ状に形成された半田ボールとを、半田ろう付けして電気的に接続する構成のものといった様々な構成のCSPの半導体装置が提案されている。
【0004】
また、半導体装置の製造においては、長尺に形成された半導体装置用テープに、1チップに対応して配線、電極、ビームリード及びスルーホール等の配線パターンを複数繰り返してパタンニングし、各チップに対応して半導体素子を実装してから、チップ毎に切断し、一度に大量の半導体装置を製造する方法が提案されている。
【0005】
このように用いられる半導体装置用テープは、ポリイミド基材等の可撓性を有する長尺のシート状基材の表面に形成された銅の導電膜を、エッチング技術又はプレス加工等により、各チップに対応した所定の配線、電極、ビームリード及びスルーホール等の配線パターンを複数繰り返して構成する。
【0006】
また、この半導体装置用テープには、その各チップに対応した配線パターンの範囲外となる長手方向両端部に、それぞれ送り操作をする送り爪を挿入するための小矩形透穴を所定間隔で一列に穿設する。
【0007】
この半導体装置用テープには、その幅を35mm、48mm、70mm或いは96mm等の各所定サイズに形成したものがある。
【0008】
また、このように構成される半導体装置用テープは、そのパターン形成後に配線に断線や欠け等のパターン欠陥を検査装置で検査してから半導体装置の製造に用いられる。
【0009】
この検査装置では、半導体装置用テープ表面の配線パターンをCCD等の画像読取装置により画像データとして読み取り、この読み取られた画像データに基づいてパターン幅や配線パターンの断線、ショートなどの欠陥を検出する検査を行う。
【0010】
この検査装置は、半導体装置用テープを引き出す巻き出しユニットと半導体装置用テープを巻き取る巻き取りユニットとの間に、複数の搬送用のローラーを用いた搬送手段で搬送路を構成し、この搬送路上に、画像読取装置を備えたスキャナーユニット、不良部分に対応してマーキングを施すマーキングユニット等を順に配置して構成する(例えば、特許文献1参照)。
【0011】
また、この検査装置では、半導体装置用テープを搬送路上で搬送する際に搬送用のローラーの外周面に半導体装置用テープの表面に形成された配線パターン部分が摺接するため、半導体装置用テープに形成された配線パターンに、断線や回路のショート等の損傷を生じることがあるという問題がある。
【特許文献1】特開2000―309457号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上述した点に鑑み、半導体装置用テープにおける配線パターン部分に損傷を与えることなく、半導体装置用テープを搬送可能に構成した非接触テープガイド装置を新たに提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の請求項1に記載の非接触テープガイド装置は、長尺帯状の半導体装置用テープを非接触ガイド面部に巻き掛けた状態で、非接触ガイド面部から噴射される空気によって半導体装置用テープを浮上させながら半導体装置用テープを非接触で搬送するのに用いる非接触テープガイド装置において、非接触ガイド面部を構成するため微細な貫通孔多数を平均的に分散させて穿設した多孔板と、多孔板を湾曲させた状態で設置して半密閉空間を構成するハウジングと、ハウジングの内部空洞に空気を供給して多孔板の多数の貫通孔から噴射させる空気供給手段と、多孔板に巻回された半導体装置用テープの長手方向両側端部をそれぞれガイドするよう装着した幅可変ガイドと、幅可変ガイドを幅の異なる半導体装置用テープに対応するよう幅方向へ移動調整して固定する位置調整手段と、を有することを特徴とする。
【0014】
上述のように構成することにより、非接触ガイド面部に半導体装置用テープを巻回した状態で搬送する際に、空気供給手段からハウジングの内部空洞に空気を供給して非接触ガイド面部を構成する多孔板の多数の貫通孔から噴射させることにより半導体装置用テープを非接触ガイド面部から浮上した状態を維持しながら、非接触で半導体装置用テープを搬送するので、半導体装置用テープに形成された配線パターン部分に損傷を与えることなく良好に搬送できる。また、非接触ガイド面部から浮上した状態で搬送されている半導体装置用テープの長手方向両側端部を、これらに隣接するよう位置調整された幅可変ガイドでガイドするので、非接触ガイド面部の上方に浮上している半導体装置用テープが蛇行したり振動することを抑制し、安定して搬送することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の非接触テープガイド装置において、幅可変ガイドにおける半導体装置用テープの長手方向両側の端部に臨む部分に縦端面を形成し、縦端面の多孔板側下端部から所定の薄い厚さでかつ所定の小幅で段状に一体形成した補助ガイド部を形成したことを特徴とする。
【0016】
上述のように構成することにより、請求項1に記載の発明の作用、効果に加えて、多孔板の多数の小孔から吹き出した空気が、半導体装置用テープの裏面を伝わって幅方向両側へ流れて補助ガイド部と半導体装置用テープの両端部との間を通り、半導体装置用テープの両端辺と補助ガイド部から幅可変ガイドの縦端面との間を通って外気へ抜けるので、半導体装置用テープの長手方向両側部を補助ガイド部から浮上させると共に、半導体装置用テープの両端辺と補助ガイド部から幅可変ガイドの縦端面との間に常に空隙を作り、搬送される半導体装置用テープの幅方向両端辺付近が幅可変ガイドの縦端面と補助ガイド部とに摺接することを防止して安定して搬送できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の非接触テープガイド装置によれば、半導体装置用テープにおける配線パターン部分に損傷を与えることなく、半導体装置用テープを搬送できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の非接触テープガイド装置に関する実施の形態について、図1乃至図8を参照しながら説明する。
【0019】
図1及び図2は、本実施の形態に係る非接触テープガイド装置を備えた半導体装置用テープの欠陥を検査するための検査装置の全体概略正面図と、全体概略側面図であり、図で10は、検査装置の本体である。
【0020】
この検査装置10の前面には、検査対象である長尺帯状の半導体装置用テープ16を供給するための巻き出しユニット12と、検査済みの半導体装置用テープ16を回収するための巻き取りユニット14とを配置する。
【0021】
この巻き出しユニット12は、予め多数のパッケージパターンが繰り返し形成された半導体装置用テープ16を巻装したテープリール20を回動可能に保持する巻き出し側リール軸22を備える。
【0022】
また、巻き取りユニット14は、検査済みの半導体装置用テープ16を巻き取るテープリール24を回転駆動可能に装填する巻き取り側リール軸18を備える。
【0023】
この検査装置10の前面には、巻き出しユニット12から巻き取りユニット14へかけて半導体装置用テープ16を搬送するための搬送路を構成するため、巻き出しユニット12から引き出した半導体装置用テープ16の搬送方向を変更するガイド26、供給側でテープテンションを調整するショートダンサー28、スキャナユニット用の送りローラー30及び第2の送りローラー32、搬送路途中でテープテンションを調整するロングダンサー34、マーキングユニット用のガイドローラー36及び第2のガイドローラー38、巻き取り側でテープテンションを調整するショートダンサー40、半導体装置用テープ16の搬送方向を変更するガイド42を順に配置する。
【0024】
この検査装置10では、スキャナユニットを構成するための送りローラー30と第2の送りローラー32とを所定間隔を開けて水平に配置し送りローラー30と第2の送りローラー32との間に浮上ステージ44を配置する。
【0025】
そして、このスキャナユニットでは、半導体装置用テープ16が送りローラー30から所定高さ上側に位置する浮上ステージ44のガイド面上を通過して第2の送りローラー32へ移行するよう構成する。
【0026】
図示しないが、この浮上ステージ44は、中空構造とし、その内部に圧縮空気を供給してガイド面に形成した細孔から半導体装置用テープ16の裏面に向けて空気を噴出することにより、ガイド面上を半導体装置用テープ16が非接触で移動するよう構成する。
【0027】
この浮上ステージ44のガイド面中央の上方には、フォーカスユニットを備えたカメラユニット46からなる画像読取部を設置する。
【0028】
このスキャナーユニットでは、第1の送りローラー30と第2の送りローラー32とを回動することにより半導体装置用テープ16を一方向に一定の速度で搬送しながら、浮上ステージ44上を通過している半導体装置用テープ16上に形成された回路パターンをカメラユニット46で撮影する。
【0029】
このスキャナーユニットでは、カメラユニット46で撮影した画像情報を図示しない制御装置に送信して画像処理し、適正なパターンの画像処理情報と比較して配線パターンの欠陥があれば、これを検出する。なお、カメラユニット46で撮影した画像情報等は、モニタ48に表示する。
【0030】
この検査装置10では、マーキングユニット(この検査装置10ではパンチユニットとする)を構成するためのガイドローラー36と第2のガイドローラー38の間には、欠陥有りと検知されたパッケージパターンの予め定めた位置にパンチ孔を穿孔してマーキングを施すパンチユニット50を設置する。
【0031】
上述のように構成した検査装置10では、ショートダンサー28及びショートダンサー40(必要に応じてロングダンサー34も同じ)を、非接触テープガイド装置で構成する。
【0032】
図3に示すように、非接触テープガイド装置としてのショートダンサー28及びショートダンサー40は、テープガイド本体52のテープガイド用円弧面部54に、半導体装置用テープ16の長手方向(幅方向)両側端部をそれぞれガイドするための幅可変ガイド56を半導体装置用テープ16の幅方向へ移動調整可能に装着して構成する。
【0033】
テープガイド本体52は、側面視で円の上部を切欠した形状のテープガイド用円弧面部54と、この上部切欠面部に装着した空気供給手段としての送気ファン58とを有する。
【0034】
図4に示すように、テープガイド用円弧面部54には、その平面視略矩形の台座部60の中央部に貫通するように穿設した送気用の円形開口60Aの部分に、送気ファン58を装着する。この送気ファン58は、例えば、一般に用いられている空冷用のファンを2段重ねに配置して、送気用の円形開口60Aから内部へ送気する時の空気圧を高めるように構成することができる。なお、テープガイド本体52の空気供給手段は、送気ファン58の代わりに図示しない圧搾空気減から空気を供給するエアホースを接続してテープガイド用円弧面部54の内部空洞へ空気を供給する手段を用いても良い。
【0035】
この台座部60には、その搬送する半導体装置用テープ16の幅方向に対応した両端部に、それぞれ側板62をねじで締結して配置する。この側板62は、円の上部を切欠した形状の平板部64の円弧状の外周縁から、一部を切欠した円筒状の支持枠部66を延設して形成する。
【0036】
このように台座部60の両側部にそれぞれ配置した側板62間には、構造上の剛性を増すため図示しない補強部材を架設する。
【0037】
さらに、台座部60の両側部にそれぞれ配置した側板62における支持枠部66の一部を切欠した円筒状部分の間には、薄い矩形平板に微細な貫通孔多数を平均的に分散させて穿設したいわゆる網目板である多孔板68を湾曲させた状態で張り渡すように配置する。このように配置された多孔板68は、所定の湾曲形状(ここでは円弧状)に配置された非接触ガイド面部を構成する。
【0038】
すなわち、このテープガイド用円弧面部54では、台座部60及び両側の側板62によってハウジングを形成し、このハウジングの両側の側板62間に多孔板68を湾曲させた状態で配置して半密閉空間を構成し、このテープガイド用円弧面部54の半密閉空間である内部の空洞に送気ファン58で外気を供給して多孔板68の多数の小透孔から噴射させるように構成する。
【0039】
この多孔板68は、その両端部を台座部60における半導体装置用テープ16の搬送方向に対応した各端部にねじ70で締結して設置する。
【0040】
また台座部60には、テープガイド用円弧面部54に装着した各幅可変ガイド56を半導体装置用テープ16の幅方向へ移動調整した際に位置決めして固定する位置調整手段を構成するために、支持突片72を突設する。
【0041】
この支持突片72は、台座部60における半導体装置用テープ16の搬送方向に直交する方向(半導体装置用テープ16の幅方向)両側中央からそれぞれ矩形小突片状に突設し、その外側面に半導体装置用テープ16の搬送方向と平行な線分状の位置決め用の係止溝74を複数本(ここでは3本)穿設して構成する。なお、位置決め用の係止溝74は、固定用のねじ84を螺挿するねじ穴又は透孔で構成しても良い。
【0042】
このように構成したテープガイド用円弧面部54に装着する幅可変ガイド56は、図3及び図4に示すように、プラスチック製でリング状に形成したテープ端辺部ガイド部材76の円周内側に、小円弧の切片状に形成された保持部材78を固着して構成する。
【0043】
このテープ端辺部ガイド部材76には、半導体装置用テープ16の長手方向両側の端部に臨む縦端面における多孔板68側の下端部から所定の薄い厚さでかつ所定の小幅で段状に一体形成した補助ガイド部76Aを設ける。
【0044】
このテープ端辺部ガイド部材76における保持部材78を配置した部分には、幅可変ガイド56を移動したときに、送気ファン58に衝突することを防止するため矩形に切欠した逃げ部80を形成する。
【0045】
さらに、このテープ端辺部ガイド部材76に固着した保持部材78の円弧部分の中央部には、テープガイド用円弧面部54に装着した各幅可変ガイド56を半導体装置用テープ16の幅方向へ移動調整した際に位置決めして固定する位置調整手段を構成するため、その円弧の中心線方向に延びるねじ孔82を穿設する。
【0046】
このように構成した幅可変ガイド56は、そのテープ端辺部ガイド部材76を側板62の支持枠部66に移動可能に嵌め、保持部材78の直線状下端部を支持突片72の上に置き、位置調整手段を構成する固定用のねじ84をねじ孔82に螺挿して固定用のねじ84の先端部を位置決め用の係止溝74底面に圧接させて配置する。
【0047】
このようにテープガイド用円弧面部54に装着する各幅可変ガイド56は、固定用のねじ84を締結する、3つの所定位置にある位置決め用の係止溝74を選択することによって、半導体装置用テープ16の異なる幅に対応して設定することができる。
【0048】
このテープガイド用円弧面部54に装着した各幅可変ガイド56は、例えば図6に示すように、各支持突片72の最も内側にある位置決め用の係止溝74に固定用のねじ84を締結した場合に、最も幅の狭い半導体装置用テープ16に対応した状態に設定できる。
【0049】
また、このテープガイド用円弧面部54に装着した各幅可変ガイド56は、図7に示すように、各支持突片72の最も外側にある位置決め用の係止溝74に固定用のねじ84を締結した場合に、最も幅の広い半導体装置用テープ16に対応した状態に設定できる。
【0050】
さらに、図示しないが、このテープガイド用円弧面部54に装着した各幅可変ガイド56は、各支持突片72の中間にある位置決め用の係止溝74に固定用のねじ84を締結した場合に、中間の幅を持つ半導体装置用テープ16に対応した状態に設定できる。
【0051】
このように構成した非接触テープガイド装置としてのショートダンサー28、40では、送気ファン58で外気をテープガイド用円弧面部54の内部空洞へ送気して多孔板68の多数の小孔から半導体装置用テープ16に向けて吹き付けることにより、図8に示すように半導体装置用テープ16を多孔板68から所定距離だけ浮き上がらせた状態を維持する。
【0052】
さらに、このショートダンサー28、40では、図8に矢印Aで示すように、多孔板68の多数の小孔から吹き出した空気が、半導体装置用テープ16の裏面を伝わって幅方向両側へ流れて補助ガイド部76Aと半導体装置用テープ16の両端部との間を通り、半導体装置用テープ16の両端辺と補助ガイド部76Aからテープ端辺部ガイド部材76へ立ち上がる壁との間を通って外気へ抜けるので、半導体装置用テープ16の長手方向両側部を補助ガイド部76Aから浮上させると共に、半導体装置用テープ16の両端辺と補助ガイド部76Aからテープ端辺部ガイド部材76へ立ち上がる壁との間に常に空隙を作るように作用する。
【0053】
このため、ショートダンサー28、40に巻回されて搬送される半導体装置用テープ16は、その幅方向両端辺付近がテープ端辺部ガイド部材76及び補助ガイド部76Aに強く摺接することなく安定して搬送される。
【0054】
よって、このショートダンサー28、40では、その多孔板68に半周巻回された半導体装置用テープ16が多孔板68の多数の小孔から吹き出した空気に押圧されて浮上し非接触の状態で移動するので、半導体装置用テープ16に形成された配線パターンに、断線や回路のショート等の損傷を生じることを防止できる。
【0055】
上述のように構成した非接触テープガイド装置としてのショートダンサー28、40は、検査装置10に対して図5に示すように、いわゆる吊り下げ手段を利用して装着することができる。
【0056】
この吊り下げ手段を利用する場合には、ショートダンサー28、40の台座部60に、略逆U字状に形成した吊り下げ部材86を、例えばねじ70で締結する。そして、この吊り下げ手段では、吊り下げ部材86にワイヤ88の一端部を係着し、滑車90、92に巻き掛けてから、ワイヤ88の他端部に錘94を係着する。
【0057】
このように吊り下げ手段を利用してショートダンサー28、40を吊下した場合には、ショートダンサー28、40の自重が錘94の重さだけ相殺されて、ショートダンサー28、40が所定の荷重を伴って上下方向に移動可能となる。
【0058】
よって、このショートダンサー28、40は、半導体装置用テープ16を巻回させた状態で半導体装置用テープ16を搬送するときに半導体装置用テープ16にテープテンションの変動が生じることを、このショートダンサー28、40が上下動することで吸収して搬送中の半導体装置用テープ16に一定のテープテンションが働くように調整する。
【0059】
すなわち、このショートダンサー28、40を吊り下げ手段を利用して装着した検査装置10では、半導体装置用テープ16をショートダンサー28、40にそれぞれ半周程度巻回した状態で搬送することにより、半導体装置用テープ16の搬送動作に連れて、半導体装置用テープ16が多孔板68の多数の小孔から噴射される空気の圧力で浮上した非接触の状態でショートダンサー28、40の表面上を移動しながら、半導体装置用テープ16に加わるテープテンションの変動をショートダンサー28、40の上下動作で吸収する。
【0060】
図3に例示するように、このショートダンサー28、40を利用して搬送される半導体装置用テープ16は、その長手方向両側部にそれぞれ搬送用の爪を引っ掛けるための小矩形透孔96が所定間隔を開けて一列に穿設されている。
【0061】
次に、上述のように構成した検査装置10の作用及び動作を説明する。この検査装置10では、テープリール20から引き出した半導体装置用テープ16を、ガイド26、ショートダンサー28及びの送りローラー30により浮上ステージ44のガイド面上を、湾曲した状態で非接触で搬送する。
【0062】
このとき、浮上ステージ44のガイド面上にある半導体装置用テープ16は、搬送方向に湾曲され、幅方向に一直線状となり、かつカメラユニット46と平行になる。さらに、半導体装置用テープ16は、浮上ステージ44のガイド面からの浮上量が制御されているので、カメラユニット46で適切にピントを合わせて撮影することができる。
【0063】
このカメラユニット46で撮影された画像情報は、図示しない制御装置へ送信される。制御装置では、送信された画像情報に基づいて画像処理を行ってパターンの欠陥を検出する。
【0064】
制御装置は、欠陥を検出した場合に、パンチユニット50を駆動制御して、欠陥のあるパターンに対応して予め定められた箇所にパンチ孔を穿孔してマーキングを施す。
【0065】
なお、この検査装置10は、ショートダンサー28、ロングダンサー34、ショートダンサー40等を非接触テープガイド装置で構成したので、半導体装置用テープ16を非接触でガイドすることにより、搬送時の抵抗を少なくし、薄い半導体装置用テープ16を最適に搬送することができる。
【0066】
また、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、その他種々の構成を取り得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の実施の形態に係わる非接触テープガイド装置を装備した検査装置を示す正面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係わる非接触テープガイド装置を装備した検査装置を示す右側面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係わる非接触テープガイド装置を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係わる非接触テープガイド装置を示す分解斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態に係わる非接触テープガイド装置を示す概略断面図である。
【図6】本発明の実施の形態に係わる非接触テープガイド装置で幅の狭い半導体装置用テープを巻回する状態を示す要部概略断面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係わる非接触テープガイド装置で幅の広い半導体装置用テープを巻回する状態を示す要部概略断面図である。
【図8】本発明の実施の形態に係わる非接触テープガイド装置で半導体装置用テープを非接触で搬送する状態の要部を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0068】
10 検査装置
16 半導体装置用テープ
28 ショートダンサー
34 ロングダンサー
40 ショートダンサー
52 テープガイド本体
54 テープガイド用円弧面部
56 幅可変ガイド
58 送気ファン
60 台座部
62 側板
64 平板部
66 支持枠部
68 多孔板
72 支持突片
74 係止溝
76 テープ端辺部ガイド部材
76A補助ガイド部
78 保持部材
82 ねじ孔
84 固定用のねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺帯状の半導体装置用テープを非接触ガイド面部に巻き掛けた状態で、前記非接触ガイド面部から噴射される空気によって前記半導体装置用テープを浮上させながら前記半導体装置用テープを非接触で搬送するのに用いる非接触テープガイド装置において、
前記非接触ガイド面部を構成するため微細な貫通孔多数を平均的に分散させて穿設した多孔板と、
前記多孔板を湾曲させた状態で設置して半密閉空間を構成するハウジングと、
前記ハウジングの内部空洞に空気を供給して前記多孔板の多数の貫通孔から噴射させる空気供給手段と、
前記多孔板に巻回された前記半導体装置用テープの長手方向両側端部をそれぞれガイドするよう装着した幅可変ガイドと、
前記幅可変ガイドを幅の異なる前記半導体装置用テープに対応するよう幅方向へ移動調整して固定する位置調整手段と、
を有することを特徴とする非接触テープガイド装置。
【請求項2】
前記幅可変ガイドにおける前記半導体装置用テープの長手方向両側の端部に臨む部分に縦端面を形成し、前記縦端面の多孔板側下端部から所定の薄い厚さでかつ所定の小幅で段状に一体形成した補助ガイド部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の非接触テープガイド装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−201381(P2007−201381A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−21208(P2006−21208)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(000170554)国際技術開発株式会社 (34)
【Fターム(参考)】