説明

非接触データ伝送装置

【課題】 電力伝送とともにデータ伝送を行うことができる非接触データ伝送装置を提供する。
【解決手段】 一対の送受電用コイルを対応させて配置した電力伝送システムにおいて、各コイルでの一方の端子にデータ送受信回路を接続することにより電力伝送と同一のコイルでデータの伝送も同時に行えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触でのデータ伝送装置に関し、特に、非接触電力伝送システムを利用してのデータ伝送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、非接触電力伝送の技術では、電力伝送用のコイルを使用して電力を伝送しながらデータも同時に送ると、1次側2次側での容量成分、インダクタンス、結合係数の低さにより送信信号波形が劣化し、受信側で復調することができ内ことから実用化が困難であった。
さらにデータ伝送速度もコイルの持つインダクタンス成分が抵抗となりスループットを上げることが困難であった。
【0003】
一般に非接触でデータを搬送する場合、送信コイルと対応させて受信コイルを配置し、送信コイルに発生した磁界に対応して受信コイルを電磁誘導させて、データに対応する電流を生起させるようにしている。そして、このようなものとして、例えば特許文献1に示されたものが提案されている。
【0004】
また、無接点電力伝送技術として、例えば特許文献2に示されているものが提案されている。この特許文献2に示されてる無接点電力伝送技術を応用して電力伝送とともにデータ伝送を行う場合、図2に示す形態が考えられる。
【特許文献1】特開2006−157230号公報
【特許文献2】特開2006−230032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、前記特許文献1に示されたものでは、信号の伝送はできうるもののコイルの持つインダクタンスが少なすぎて電力を同時に伝送することが困難であった。
また、特許文献2に記載の技術をベースにした電力伝送及びデータ伝送装置では、信号の搬送に十分な電力、速度が得られず実用化が困難である。
【0006】
本発明はこれらを鑑みてなされたもので、電力伝送とともにデータ伝送を行うことができる非接触データ伝送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、一対の送受電用コイルを対応させて配置した電力伝送システムにおいて、各送受信用コイルでの一方の端子にデータ送受信回路を接続し、電力伝送と同一のコイルでデータの伝送も同時に行えるようにしたことを特徴とし、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、コイルとデータ送受信回路とをコンデンサを介して接続し、受電側ではコンデンサの両端電圧の監視により信号の復調を行うようにしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、送電側コイル、受電側コイルのそれぞれにおいて、入出力端子に接続している出入力回路に送受信回路を接続しているので、電力伝送とともにデータの伝送も行えるようになる。また、請求項2に記載の発明のように、送電側コイル及び受電側コイルとデータ送受信回路とをコンデンサを介してそれぞれ接続し、受電側ではコンデンサの両端電圧の監視により信号の復調を行うようにした場合には、コイルインダクタンス及び後段の回路の容量による信号の劣化の影響を受けることなく送信側からの信号を復調することが可能となる。すなわち電力伝送の周波数に依存せずさらに電力の大小かかわらず高速のデータ送受信システムが構成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は本発明の一実施形態を示すシステムの概略図である。
このシステムは、発振回路、制御回路、ID認証回路等を組み込んだ発振回路装置(1)と、ドライバ回路、保護回路、位相検出回路等を組み込んだドライバ回路装置(2)及び送電用コイル(3)とを具備する送電側回路(4)と、送電側回路(4)の送電用コイル(3)と対向する受電用コイル(5)と、整流回路、ID回路、信号伝送回路等を組み込んだ整流回路装置(6)及び定電圧回路、保護回路等を組み込んだ定電圧回路装置(7)とを具備する受電側回路(8)とを有している。
【0010】
送電側回路(4)において、ドライバ回路装置(2)と送電用コイル(3)との間に、差動増幅回路及びトライステートバッファから構成されるデータ送受信回路(9)がコンデンサ(10)を介して接続してある。又、受電側回路(8)でも、受電用コイル(5)と整流回路装置(6)との間に差動増幅回路及びトライステートバッファから構成されるデータ送受信回路(11)がコンデンサ(12)を介して接続してある。
【実施例1】
【0011】
送電側回路(4)及び受電側回路(8)で、データ送受信用回路(11)(12)との間に介装したコンデンサ(10)(12)の容量を1000pFとし、電力の伝送中に送信側データ送受信回路(9)のトライステートバッファから電圧5V幅10nsからなるパルスを100ns間隔で送信したところ、受信側のコンデンサ(12)の両端電圧は100mVの信号の再生が認められた。この時の電力の伝送は送電側5W、受電側3.5Wで受電コイルの両端電圧は−10V〜+10Vの交流となるが受電側回路(8)は差動増幅されているので電力伝送の信号に影響されることなく受信回路で復調ができる。
【0012】
例えば信号を10ns幅のパルスとし100ns間隔で次の10ns幅のパルスを送信すると‘0’、10ns幅のパルスと次のパルスの間に例えば50ns後に10ns幅のパルスを入れた場合‘1’とすれば10Mbpsの信号を搬送することができる。誤動作防止のため信号はNRZIが望ましい。
【0013】
パルスの幅を小さくして差動増幅回路のゲインを大きくとり適切な容量のコンデンサを配置すればパルスとパルスの間隔がさらに縮めることができ、数百Mbpsのデータ伝送システムが構築できる。
【0014】
なお、パルス波形ではない信号状波形も送信エネルギーに見合った容量のコンデンサを備えると信号の復調が可能となり不要輻射ノイズの対策もパルスでの送信に比して安易になると同時に速度もパルスでの送信に比して増加する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態を示すシステムの概略図である。
【図2】従来技術から想定したシステムの概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の送受電用コイルを対応させて配置した電力伝送システムにおいて、各コイルでの一方の端子にデータ送受信回路を接続することにより電力伝送と同一のコイルでデータの伝送も同時に行えることを特徴とする非接触データ伝送装置。
【請求項2】
コイルとデータ送受電回路とをコンデンサを介して接続し、受電側ではコンデンサの両端電圧の監視により信号の復調を行うようにした請求項1に記載の非接触データ伝送装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−76994(P2009−76994A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−241674(P2007−241674)
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(507313102)
【Fターム(参考)】