説明

非接触型データ受送信体およびその製造方法

【課題】非接触型データ受送信体の厚みが大きくなることなく、記録されている情報の改ざんが困難であり、製造番号を記録することができ、かつ、製造コストが低い非接触型データ受送信体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の非接触型データ受送信体は、ベース基材12とベース基材12に設けられたアンテナ14とアンテナ14を通じて通信するICチップ13を有するインレットとを備え、ICチップ13を被覆する被覆材15においてICチップ13の最表面13bに沿って設けられたホログラム16を有し、ホログラム16が非接触型データ受送信体の一方の面側に露出していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFID(Radio Frequency IDentification)用途の情報記録メディアのように、電波または電磁波を媒体として外部から情報を受信し、また、外部に情報を送信できるようにした非接触型データ受送信体およびその製造方法に関し、さらに詳しくは、ホログラムを設けて偽造を防止した非接触型データ受送信体およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ICカードやICタグなどが普及するに伴って、外見上は見分けがつき難いように造られた偽造品が出回るおそれがある。そのため、近年、光の干渉および回折現象を利用して三次元情報を表示するホログラムが、ICカードなどの偽造防止手段として用いられている。
【0003】
ICカードなどの偽造防止手段としてホログラムを用いた技術としては、シートと、このシート上に形成された透光性のDLC(ダイアモンド状カーボン)膜とを含み、DLC膜が相対的に高屈折率の局所的領域と相対的に低屈折率の局所的領域とを有するホログラムシートが開示されている(例えば、特許文献1参照)。このホログラムシートは、ICカードなどの表面に貼着されて用いられる。
【特許文献1】特開2006−84944号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のようなホログラムシートは、ICカードなどの表面に貼着されて用いられるため、ホログラムシートを含めたICカードなどの厚みが大きくなってしまうという問題があった。また、ホログラムシートは、貼り替えが可能であるため、ホログラムとして記録されている情報の改ざんが容易であるという問題があった。また、ホログラムシートは、ICカードなどとは別の製造工程にて製造されるため、ICカードなどの製造と同時に、その製造番号(通し番号)をホログラムとして記録するためには使用し難い上に、製造コストが増加するという問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、非接触型データ受送信体の厚みが大きくなることがなく、記録されている情報の改ざんが困難であり、製造番号を記録することができ、かつ、製造コストが低い非接触型データ受送信体およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の非接触型データ受送信体は、ベース基材と該ベース基材に設けられたアンテナと該アンテナを通じて通信するICチップを有するインレットとを備えた非接触型データ受送信体であって、前記ICチップを被覆する被覆材において前記ICチップの最表面に沿って設けられたホログラム、および/または、前記アンテナの少なくとも一部を被覆する被覆材において前記アンテナの最表面に沿って設けられたホログラムを有し、前記ホログラムが表面に露出していることを特徴とする。
【0007】
本発明の非接触型データ受送信体の製造方法は、ベース基材と該ベース基材に設けられたアンテナと該アンテナを通じて通信するICチップを有するインレットとを備えた非接触型データ受送信体の製造方法であって、前記ICチップに被覆材を塗布し、該被覆材にレーザー光を照射して、該被覆材を硬化させるとともに、前記レーザー光を前記ICチップの最表面にて反射させ、その反射光により前記被覆材にホログラムを形成する工程、および/または、前記アンテナの少なくとも一部に被覆材を塗布し、該被覆材にレーザー光を照射して、該被覆材を硬化させるとともに、前記レーザー光を前記アンテナの最表面にて反射させ、その反射光により前記被覆材にホログラムを形成する工程を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の非接触型データ受送信体によれば、ベース基材と該ベース基材に設けられたアンテナと該アンテナを通じて通信するICチップを有するインレットとを備えた非接触型データ受送信体であって、前記ICチップを被覆する被覆材において前記ICチップの最表面に沿って設けられたホログラム、および/または、前記アンテナの少なくとも一部を被覆する被覆材において前記アンテナの最表面に沿って設けられたホログラムを有し、前記ホログラムが表面に露出しているので、ホログラムに対して、太陽光などの白色光を入射すると、ホログラムの形成に用いられたレーザー光と同じ波長の光が再生され、再生された光の色(波長)、および、この光が表す情報を目視によって確認することにより、非接触型データ受送信体の真偽を判別することができる。また、ホログラムが、ベース基材の一方の面にICチップまたはアンテナを固定するために用いられる被覆材に設けられているので、ホログラムを設けることによって非接触型データ受送信体の厚みが大きくなることがない。また、ICチップの実装およびアンテナの固定に用いられる被覆材にホログラムが設けられているので、ホログラムによって記録されている情報の改ざんをすることができないから、偽造を防止できる。
【0009】
本発明の非接触型データ受送信体の製造方法によれば、ベース基材と該ベース基材に設けられたアンテナと該アンテナを通じて通信するICチップを有するインレットとを備えた非接触型データ受送信体の製造方法であって、前記ICチップに被覆材を塗布し、該被覆材にレーザー光を照射して、該被覆材を硬化させるとともに、前記レーザー光を前記ICチップの最表面にて反射させ、その反射光により前記被覆材にホログラムを形成する工程、および/または、前記アンテナの少なくとも一部に被覆材を塗布し、該被覆材にレーザー光を照射して、該被覆材を硬化させるとともに、前記レーザー光を前記アンテナの最表面にて反射させ、その反射光により前記被覆材にホログラムを形成する工程を有するので、ホログラムを設けるために非接触型データ受送信体の厚みを大きくすることがない上に、製造工程が増えることがないので、製造コストを増加することなくホログラムを設けることができる。また、非接触型データ受送信体を製造する毎に、被覆材にホログラムを形成することができるので、ホログラムによって製造番号などの情報を記録することができるとともに、その情報を第三者が改ざんすることはできないから、偽造を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の非接触型データ受送信体およびその製造方法の最良の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0011】
(1)第一の実施形態
図1は、本発明の非接触型データ受送信体の第一の実施形態を示す概略斜視図であり、(a)は完成図、(b)は分解図である。図2は、本発明の非接触型データ受送信体の第一の実施形態を示す概略図であり、図1(b)のA−A線に沿う断面図である。
図1、2中、符号10は非接触型データ受送信体、11はインレット、12はベース基材、13はICチップ、14はアンテナ、15は被覆材、16はホログラム、17は表面基材をそれぞれ示している。
【0012】
この非接触型データ受送信体10は、インレット11と、インレット11のICチップ13を覆う被覆材15に設けられたホログラム16と、インレット11に対して、ベース基材12の一方の面12aを覆うように貼り合せられた表面基材17とから概略構成されている。
また、被覆材15に設けられたホログラム16は、表面基材17の厚み方向に貫通するように設けられた窓部17bを介して、表面基材17のインレット11と接する面とは反対側の面(一方の面)17a側、すなわち、非接触型データ受送信体10の一方の面10a側に露出している。
【0013】
インレット11は、ベース基材12と、ICチップ13と、アンテナ14とから概略構成されている。また、ICチップ13およびアンテナ14は、ベース基材12の一方の面12aに設けられ、ICチップ13の接点13aと、アンテナ14の接点14aとを介して、互いに電気的に接続されている。
また、ベース基材12の一方の面12aにおいて、ICチップ13が被覆材15によって被覆されている。そして、この被覆材15によって、ベース基材12の一方の面12aに、ICチップ13が固定されている。
さらに、被覆材15には、ICチップ13の最表面(ICチップ13の接点(バンプ)13aが設けられた面とは反対側の面)13bに沿って、ICチップ13の最表面13bとは間隔を置いてホログラム16が設けられている。
【0014】
また、ホログラム16は、レーザー光によって被覆材15に形成された干渉縞からなる。この干渉縞として記録される情報としては、非接触型データ受送信体10の製造番号(通し番号)、製造年月日、製造会社名などを表す文字や記号からなる情報、図形からなる情報、画像情報などが挙げられる。
【0015】
ベース基材12、表面基材17としては、少なくとも表層部には、ガラス繊維、アルミナ繊維などの無機繊維からなる織布、不織布、マット、紙などまたはこれらを組み合わせたもの、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などの有機繊維からなる織布、不織布、マット、紙などまたはこれらを組み合わせたものや、あるいはこれらに樹脂ワニスを含浸させて成形した被覆部材や、ポリアミド系樹脂基材、ポリエステル系樹脂基材、ポリオレフィン系樹脂基材、ポリイミド系樹脂基材、エチレン−ビニルアルコール共重合体基材、ポリビニルアルコール系樹脂基材、ポリ塩化ビニル系樹脂基材、ポリ塩化ビニリデン系樹脂基材、ポリスチレン系樹脂基材、ポリカーボネート系樹脂基材、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合系樹脂基材、ポリエーテルスルホン系樹脂基材、(ガラス)エポキシ樹脂基材などのプラスチック基材や、あるいはこれらにマット処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、フレームプラズマ処理、オゾン処理、または各種易接着処理などの表面処理を施したものなどの公知のものから選択して用いられる。
【0016】
ICチップ13としては、その最表面13bが鏡面をなしているものであれば特に限定されず、アンテナ14を介して非接触状態にて情報の書き込みおよび読み出しが可能なものであれば、非接触型ICタグや非接触型ICラベル、あるいは非接触型ICカードなどのRFIDメディアに適用可能なものであればいかなるものでも用いられる。
【0017】
アンテナ14は、ベース基材12の一方の面12aにポリマー型導電インクを用いて所定のパターン状にスクリーン印刷により形成されてなるものか、もしくは、導電性箔をエッチングしてなるもの、金属メッキしてなるものである。
【0018】
ポリマー型導電インクとしては、例えば、銀粉末、金粉末、白金粉末、アルミニウム粉末、パラジウム粉末、ロジウム粉末、カーボン粉末(カーボンブラック、カーボンナノチューブなど)などの導電微粒子が樹脂組成物に配合されたものが挙げられる。
【0019】
樹脂組成物として熱硬化型樹脂を用いれば、ポリマー型導電インクは、200℃以下、例えば100〜150℃程度でアンテナ14をなす塗膜を形成することができる熱硬化型となる。アンテナ14をなす塗膜の電気の流れる経路は、塗膜をなす導電微粒子が互いに接触することによる形成され、この塗膜の抵抗値は10-5Ω・cmオーダーである。
また、本発明におけるポリマー型導電インクとしては、熱硬化型の他にも、光硬化型、浸透乾燥型、溶剤揮発型といった公知のものが用いられる。
【0020】
光硬化型のポリマー型導電インクは、光硬化性樹脂を樹脂組成物に含むものであり、硬化時間が短いので、製造効率を向上させることができる。光硬化型のポリマー型導電インクとしては、例えば、熱可塑性樹脂のみ、あるいは、熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特にポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、導電微粒子が60質量%以上配合され、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、溶剤揮発型かあるいは架橋/熱可塑併用型(ただし熱可塑型が50質量%以上である)のものや、熱可塑性樹脂のみ、あるいは熱可塑性樹脂と架橋性樹脂(特にポリエステルとイソシアネートによる架橋系樹脂など)とのブレンド樹脂組成物に、ポリエステル樹脂が10質量%以上配合されたもの、すなわち、架橋型かあるいは架橋/熱可塑併用型のものなどが好適に用いられる。
【0021】
また、アンテナ14をなす導電性箔としては、銅箔、銀箔、金箔、白金箔、アルミニウム箔などが挙げられる。
さらに、アンテナ14をなす金属メッキとしては、銅メッキ、銀メッキ、金メッキ、白金メッキなどが挙げられる。
【0022】
被覆材15としては、特定の波長のレーザー光を照射することによって硬化すると同時に、このレーザー光によってホログラムを形成することが可能なものであれば特に限定されないが、熱硬化型接着剤、紫外線硬化型接着剤、電子線硬化型接着剤などが用いられる。
熱硬化型接着剤としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アクリル系反応樹脂などが挙げられる。具体的には、ビスフェノールF型エポキシドが挙げられる。
紫外線硬化型接着剤としては、紫外線硬化性アクリル樹脂、紫外線硬化性ウレタンアクリレート樹脂、紫外線硬化性ポリエステルアクリレート樹脂、紫外線硬化性ポリウレタン樹脂、紫外線硬化性エポキシアクリレート樹脂、紫外線硬化性イミドアクリレート樹脂などが挙げられる。
電子線硬化型接着剤としては、電子線硬化性アクリル樹脂、電子線硬化性ウレタンアクリレート樹脂、電子線硬化性ポリエステルアクリレート樹脂、電子線硬化性ポリウレタン樹脂、電子線硬化性エポキシアクリレート樹脂、カチオン硬化型樹脂などが挙げられる。
【0023】
この非接触型データ受送信体10によれば、図3に示すように、ホログラム16に対して、太陽光などの白色光を入射すると、ホログラム16の形成に用いられたレーザー光と同じ波長の光が再生され、再生された光の色(波長)、および、この光が表す情報を目視によって確認することにより、この非接触型データ受送信体10の真偽を判別することができる。また、ホログラム16が、ベース基材12の一方の面12aにICチップ13を固定するために用いられる被覆材15に設けられているので、ホログラム16を設けることにより非接触型データ受送信体10の厚みが大きくなることがない。また、ICチップ13の実装に用いられる被覆材15にホログラム16が設けられているので、ホログラム16によって記録されている情報の改ざんをすることができないから、偽造を防止できる。
【0024】
なお、この実施形態では、表面基材17が設けられた非接触型データ受送信体10を例示したが、本発明の非接触型データ受送信体はこれに限定されない。本発明の非接触型データ受送信体にあっては、表面基材が設けられていなくてもよい。
【0025】
次に、図1、図2および図4を参照して、この実施形態の非接触型データ受送信体の製造方法を説明する。
まず、ベース基材12の一方の面12aに、アンテナ14を形成する。
次いで、アンテナ14の接点14a上に、接点13aを介してICチップ13を配置する。
次いで、ICチップ13、および、ICチップ13とアンテナ14とが接触している部分を覆うように、未硬化の被覆材15を塗布する。
次いで、被覆材15に対して所定の入射角度にてレーザー光20を照射して、被覆材15を硬化させて、ベース基材12の一方の面12aにICチップ13を固定するとともに、レーザー光20をICチップ13の最表面(鏡面)13bにて反射させ、その反射光21により被覆材15にホログラムを形成する。
次いで、接着剤を用いるか、あるいは、熱融着により、一方の面12aを覆うように、ベース基材12に表面基材17を貼り合せて、非接触型データ受送信体10を得る。
【0026】
レーザー光20の入射角度は、被覆材15を硬化させることができるとともに、被覆材15にホログラム16を形成できる角度であれば特に限定されないが、非接触型データ受送信体10の製造ロット毎にレーザー光20の入射角度を変えれば、偽造防止効果がより一層高くなる。
また、レーザー光20の波長は、可視域の光であれば特に限定されない。
【0027】
この実施形態の非接触型データ受送信体の製造方法によれば、ICチップ13に未硬化の被覆材15を塗布し、この被覆材15にレーザー光20を照射して、被覆材15を硬化させるとともに、レーザー光20をICチップ13の鏡面をなす最表面13bにて反射させ、その反射光21により被覆材15にホログラム16を形成するので、ホログラム16を設けるために非接触型データ受送信体10の厚みを大きくすることがない上に、製造工程が増えることがないので、製造コストを増加することなくホログラム16を設けることができる。また、非接触型データ受送信体10を製造する毎に、被覆材15にホログラム16を形成することができるので、ホログラム16によって製造番号などの情報を記録することができるとともに、その情報を第三者が改ざんすることはできないから、偽造を防止できる。
【0028】
(2)第二の実施形態
図5は、本発明の非接触型データ受送信体の第二の実施形態を示す概略斜視図であり、(a)は完成図、(b)は分解図である。
図5中、符号30は非接触型データ受送信体、31はインレット、32はベース基材、33はICチップ、34はアンテナ、35は被覆材、36はホログラム、37は表面基材、38は印刷情報をそれぞれ示している。
【0029】
この非接触型データ受送信体30は、インレット31と、インレット31のアンテナ34の一部を覆う被覆材35に設けられたホログラム36と、インレット31に対して、ベース基材32の一方の面32aを覆うように貼り合せられた表面基材37と、表面基材37の一方の面37aに設けられた印刷情報38とから概略構成されている。
また、被覆材35に設けられたホログラム36は、表面基材37の厚み方向に貫通するように設けられた窓部37bを介して、表面基材37のインレット31と接する面とは反対側の面(一方の面)37a側、すなわち、非接触型データ受送信体30の一方の面30a側に露出している。
【0030】
インレット31は、ベース基材32と、ICチップ33と、アンテナ34とから概略構成されている。また、ICチップ33およびアンテナ34は、ベース基材32の一方の面32aに設けられ、ICチップ33の接点と、アンテナ34の接点とを介して、互いに電気的に接続されている。
また、被覆材35には、アンテナ34の最表面(アンテナ34のベース基材32の一方の面32aと接する面とは反対側の面)に沿って、ICチップ33の最表面とは間隔を置いてホログラム36が設けられている。
【0031】
また、ホログラム36として記録される情報としては、非接触型データ受送信体30の製造番号(通し番号)、製造年月日、製造会社名などを表す文字や記号からなる情報、図形からなる情報、画像情報などが挙げられる。
【0032】
ベース基材32、ICチップ33、アンテナ34、被覆材35、表面基材37としては、第一の実施形態と同様のものが用いられる。
【0033】
印刷情報38は、一般的な印刷インキを用いて、一般的な印刷方法により形成された文字、記号、図形、画像などからなる情報である。この印刷情報38は、表面基材37の一方の面37aの一部または全面に設けられる。
【0034】
この非接触型データ受送信体30によれば、ホログラム36に対して、太陽光などの白色光を入射すると、ホログラム36の形成に用いられたレーザー光と同じ波長の光が再生され、再生された光の色(波長)、および、この光が表す情報を目視によって確認することにより、この非接触型データ受送信体30の真偽を判別することができる。また、ホログラム36が、ベース基材32の一方の面32aにアンテナ34を固定するために用いられる被覆材35に設けられているので、ホログラム36を設けることにより非接触型データ受送信体30の厚みが大きくなることがなく、また、ホログラム36によって記録されている情報の改ざんをすることができないから、偽造を防止できる。
【0035】
なお、この実施形態では、表面基材37が設けられた非接触型データ受送信体30を例示したが、本発明の非接触型データ受送信体はこれに限定されない。本発明の非接触型データ受送信体にあっては、表面基材が設けられていなくてもよい。
また、アンテナ34の一部が被覆材35によって被覆された非接触型データ受送信体30を例示したが、本発明の非接触型データ受送信体はこれに限定されない。本発明の非接触型データ受送信体にあっては、アンテナの全部を被覆材により被覆し、その被覆材の一部または全部にホログラムを設けてもよい。
【0036】
次に、図5を参照して、この実施形態の非接触型データ受送信体の製造方法を説明する。
まず、ベース基材32の一方の面32aに、アンテナ34を形成する。
次いで、アンテナ34の接点上にICチップ33を固定する。
次いで、アンテナ34の一部を覆うように、未硬化の被覆材35を塗布する。
次いで、被覆材35に対して所定の入射角度にてレーザー光を照射して、被覆材35を硬化させるとともに、レーザー光をアンテナ34の最表面にて反射させ、その反射光により被覆材35にホログラムを形成する。
次いで、接着剤を用いるか、あるいは、熱融着により、一方の面32aを覆うように、ベース基材32に表面基材37を貼り合せて、非接触型データ受送信体30を得る。
【0037】
レーザー光の入射角度は、被覆材35を硬化させることができるとともに、被覆材35にホログラム36を形成できる角度であれば特に限定されない。
また、レーザー光の波長は、可視域の光であれば特に限定されない。
【0038】
この実施形態の非接触型データ受送信体の製造方法によれば、アンテナ34に未硬化の被覆材35を塗布し、この被覆材35にレーザー光を照射して、被覆材35を硬化させるとともに、レーザー光をアンテナ34の最表面にて反射させ、その反射光により被覆材35にホログラム36を形成するので、ホログラム36を設けるために非接触型データ受送信体30の厚みを大きくすることがない上に、製造工程が増えることがないので、製造コストを増加することなくホログラム36を設けることができる。また、非接触型データ受送信体30を製造する毎に、被覆材35にホログラム36を形成することができるので、ホログラム36によって製造番号などの情報を記録することができるとともに、その情報を第三者が改ざんすることはできないから、偽造を防止できる。
【0039】
なお、第一の実施形態では、ICチップ13を被覆する被覆材15にホログラム16を設けた非接触型データ受送信体10を例示し、第二の実施形態では、アンテナ34を被覆する被覆材35にホログラム36を設けた非接触型データ受送信体30を例示したが、本発明の非接触型データ受送信体はこれに限定されない。本発明の非接触型データ受送信体にあっては、ICチップを被覆する被覆材およびアンテナを被覆する被覆材にホログラムが設けられていてもよい。
また、第一の実施形態では、ICチップ13を被覆する被覆材15にホログラム16を設ける工程を有する非接触型データ受送信体の製造方法を例示し、第二の実施形態では、アンテナ34を被覆する被覆材35にホログラム36を設ける工程を有する非接触型データ受送信体の製造方法を例示したが、本発明の非接触型データ受送信体の製造方法はこれに限定されない。本発明の非接触型データ受送信体の製造方法にあっては、ICチップを被覆する被覆材およびアンテナを被覆する被覆材にホログラムを設ける工程を有していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の非接触型データ受送信体の第一の実施形態を示す概略斜視図であり、(a)は完成図、(b)は分解図である。
【図2】本発明の非接触型データ受送信体の第一の実施形態を示す概略図であり、図1(b)のA−A線に沿う断面図である。
【図3】本発明の非接触型データ受送信体の第一の実施形態の作用を示す概略断面図である。
【図4】本発明の非接触型データ受送信体の製造方法の第一の実施形態を示す概略断面図である。
【図5】本発明の非接触型データ受送信体の第二の実施形態を示す概略斜視図であり、(a)は完成図、(b)は分解図である。
【符号の説明】
【0041】
10,30・・・非接触型データ受送信体、11,31・・・インレット、12,32・・・ベース基材、13,33・・・ICチップ、14,34・・・アンテナ、15,35・・・被覆材、16,36・・・ホログラム、17,37・・・表面基材、20・・・レーザー光、21・・・反射光、38・・・印刷情報。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基材と該ベース基材に設けられたアンテナと該アンテナを通じて通信するICチップを有するインレットとを備えた非接触型データ受送信体であって、
前記ICチップを被覆する被覆材において前記ICチップの最表面に沿って設けられたホログラム、および/または、前記アンテナの少なくとも一部を被覆する被覆材において前記アンテナの最表面に沿って設けられたホログラムを有し、
前記ホログラムが表面に露出していることを特徴とする非接触型データ受送信体。
【請求項2】
ベース基材と該ベース基材に設けられたアンテナと該アンテナを通じて通信するICチップを有するインレットとを備えた非接触型データ受送信体の製造方法であって、
前記ICチップに被覆材を塗布し、該被覆材にレーザー光を照射して、該被覆材を硬化させるとともに、前記レーザー光を前記ICチップの最表面にて反射させ、その反射光により前記被覆材にホログラムを形成する工程、および/または、前記アンテナの少なくとも一部に被覆材を塗布し、該被覆材にレーザー光を照射して、該被覆材を硬化させるとともに、前記レーザー光を前記アンテナの最表面にて反射させ、その反射光により前記被覆材にホログラムを形成する工程を有することを特徴とする非接触型データ受送信体の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−289186(P2009−289186A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−143337(P2008−143337)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】