説明

非接触型電子マネー決済システムにおける本人認証方法

【課題】非接触ICカードと非接触型電子マネー決済端末装置とを用いた非接触型電子マネー決済時に、取引時間を増加させることなく、非接触ICカードの不正利用を防ぐための本人認証を可能とする。
【解決手段】認証用のIDタグを内蔵する指輪と、認証用のIDを格納する非接触ICカードと、非接触型電子マネー決済端末100とを備え、前記非接触型電子マネー決済端末100は、前記指輪に内蔵されたIDタグよりIDを取得するIDタグリーダ103と、前記非接触ICカードに格納された認証用のIDを取得する読み取り部102とを有し、前記指輪を装着した手で、前記非接触ICカードを用いる非接触型電子マネー決済が行われた場合に、前記非接触型電子マネー決済端末100が、前記IDタグリーダ103で取得したIDと、前記読み取り部102で取得したIDとを比較し本人認証を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触型電子マネー決済システムにおける本人認証方法に係り、特に、非接触ICカードの不正使用を防止するための本人認証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、非接触ICカードの普及に伴い、非接触ICカードに電子マネーの機能を持たせて、取引時間を短縮するといった、利便性の向上を目的とした決済システムが知られている。(例えば、下記特許文献1参照)
【0003】
なお、本願発明に関連する先行技術文献としては以下のものがある。
【特許文献1】特開2006−99750号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した非接触ICカードと非接触型電子マネー決済端末装置とを用いた非接触型電子マネー決済では、一取引毎に非接触ICカード利用者の本人認証を行うと、パスワードを入力するといった認証のための行動に時間を要し、取引時間が増加するといった問題が生じるため、非接触ICカード利用者の本人認証を行っていない。
そのため、盗難等による非接触ICカードの不正利用を防ぐことができないという問題点があった。
本発明は、前記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、非接触ICカードと非接触型電子マネー決済端末装置とを用いた非接触型電子マネー決済時に、取引時間を増加させることなく、非接触ICカードの不正利用を防ぐための本人認証が可能となる、非接触型電子マネー決済システムにおける本人認証方法を提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。
前述の目的を達成するために、本発明は、認証用のIDタグを内蔵する指輪と、認証用のIDを格納する非接触ICカードと、非接触型電子マネー決済端末とを備える非接触型電子マネー決済システムにおける本人認証方法であって、前記非接触型電子マネー決済端末は、前記指輪に内蔵されたIDタグよりIDを取得するIDタグリーダと、前記非接触ICカードに格納された認証用のIDを取得する読み取り部とを有し、前記指輪を装着した手で、前記非接触ICカードを用いる非接触型電子マネー決済が行われた場合に、前記非接触型電子マネー決済端末が、前記IDタグリーダで取得したIDと、前記読み取り部で取得したIDとを比較し本人認証を行うことを特徴する。
【発明の効果】
【0006】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。
本発明の非接触型電子マネー決済システムにおける本人認証方法によれば、非接触ICカードと非接触型電子マネー決済端末装置とを用いた非接触型電子マネー決済時に、取引時間を増加させることなく、非接触ICカードの不正利用を防ぐための本人認証が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
図1は、本発明の実施例の非接触型電子マネー決済システムにおける本人認証方法を実現するための非接触型電子マネー決済端末装置の制御ブロック図である。
図1において、100は非接触型電子マネー決済端末装置、101は処理結果・エラーメッセージを出力するためのメッセージ出力部、102は非接触ICチップに対して読取/書込みを行う非接触ICチップリーダライタ部、103はIDタグに対して読取を行うIDタグリーダ部、104は効果音を鳴らすための音声部、105は非接触型電子マネー決済端末の中枢をコントロールする制御部、106は非接触型電子マネー決済端末の各種アプリケーションやデータベースを格納する主記憶装置、107は非接触型電子マネー決済端末全体に電源を供給する電源部、108はカード決済端末に接続するための通信回線である。
図2は、本実施例の非接触型電子マネー決済システムにおける本人認証方法を実現するためのIDタグ内蔵指輪の外観構造図を説明する図である。
図2において、200は指輪、201はIDタグを示す。
図3は、本実施例の非接触型電子マネー決済システムにおける本人認証方法を実現するための非接触ICカードの外観構造図を説明する図である。
図3において、300は非接触ICカード、301は非接触ICチップ、302は通信範囲を広げるためのアンテナである。
【0008】
図4、図5は、本実施例の非接触型電子マネー決済システムにおける本人認証方法の処理手順を示すフローチャートである。
以下、図1〜図5を用いて、本実施例の非接触型電子マネー決済システムにおける本人認証方法について説明する。
始めに、非接触型電子マネー決済端末装置100は、非接触ICカード300を検知するために電波を発振し(ステップ401)、非接触ICカード300が検知できたか否かを判断する(ステップ402)。
ステップ402において、非接触ICカード300が検知できなかった場合は、非接触ICカード300と非接触型電子マネー決済端末装置100とを用いる非接触型電子マネー決済が行われない場合であるので処理を終了する。
ステップ402において、非接触ICカード300が検知できた場合は、非接触ICチップリーダライタ部102を用いて、非接触ICカード300内の非接触ICチップ301からカードデータを読取り(ステップ403)、非接触ICチップ301から読取ったデータから認証用IDデータを抽出し、主記憶装置106にセットする(ステップ404)。
次に、非接触型電子マネー決済端末装置100は、IDタグ内蔵の指輪200を検知するための電波を発振し(ステップ405)、IDタグ内蔵の指輪200が検知できたか否かを判断する(ステップ406)。
【0009】
ステップ406において、IDタグ内蔵の指輪200が検知できなかった場合は、メッセージ出力部101に認証失敗のエラーメッセージを表示し(ステップ411)、処理を終了する。
ステップ406において、IDタグ内蔵の指輪200が検知できた場合は、IDタグリーダ部103を用いて、指輪200に内蔵されたIDタグ201のIDタグデータの読取を行う(ステップ407)。
次に、制御部105が、ステップ407で読み取ったIDタグデータと、ステップ404で主記憶装置106にセットした認証用IDデータとが一致するか否かを判断する(ステップ408)。
ステップ408において、ステップ407で読み取ったIDタグデータと、ステップ404で主記憶装置106にセットした認証用IDデータとが「一致しない」場合は、メッセージ出力部101に認証失敗のエラーメッセージを表示し(ステップ411)、処理を終了する。
ステップ408において、ステップ407で読み取ったIDタグデータと、ステップ404で主記憶装置106にセットした認証用IDデータとが「一致した」場合は、本人認証が完了したので、非接触ICカード300を用いた非接触型電子マネー決済を開始する(ステップ409)。
このステップ409では、本人認証の成功後に、ステップ404で、非接触ICチップ301から読取った非接触ICカード情報と、非接触型電子マネー決済端末装置100に入力された取引情報を用いて取引結果を算出する。
【0010】
次に、ステップ409での非接触型電子マネー決済が完了したか否かを判断する(ステップ410)。
ステップ410において、ステップ409での非接触型電子マネー決済が正常に完了した場合は、メッセージ出力部101に決済結果を表示し(ステップ412)、処理を終了する。
ステップ410において、ステップ409での非接触型電子マネー決済が正常に完了しなかった場合は、メッセージ出力部101に決済失敗のメッセージを表示し(ステップ413)、処理を終了する。
以上説明したように、本実施例では、非接触ICカード300と非接触型電子マネー決済端末100とを用いた非接触型電子マネー決済時に、非接触ICカード300と、認証用IDタグ内蔵の指輪200とを同時に、非接触型電子マネー決済端末装置100にかざすことによって本人認証が可能となるので、取引速度を維持したまま、非接触ICカードの不正利用を防ぐための本人認証が可能となる。
以上、本発明者によってなされた発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例の非接触型電子マネー決済システムにおける本人認証方法を実現するための非接触型電子マネー決済端末装置の制御ブロック図である。
【図2】本発明の実施例の非接触型電子マネー決済システムにおける本人認証方法を実現するためのIDタグ内蔵指輪の外観構造図を説明する図である。
【図3】本発明の実施例の非接触型電子マネー決済システムにおける本人認証方法を実現するための非接触ICカードの外観構造図を説明する図である。
【図4】本発明の実施例の非接触型電子マネー決済システムにおける本人認証方法の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施例の非接触型電子マネー決済システムにおける本人認証方法の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0012】
100 非接触型電子マネー決済端末装置
101 メッセージ出力部
102 非接触ICチップリーダライタ部
103 IDタグリーダ部
104 音声部
105 制御部
106 主記憶装置
107 電源部
108 通信回線
200 指輪
201 IDタグ
300 非接触ICカード
301 非接触ICチップ
302 アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証用のIDタグを内蔵する指輪と、
認証用のIDを格納する非接触ICカードと、
非接触型電子マネー決済端末とを備える非接触型電子マネー決済システムにおける本人認証方法であって、
前記非接触型電子マネー決済端末は、前記指輪に内蔵されたIDタグよりIDを取得するIDタグリーダと、
前記非接触ICカードに格納された認証用のIDを取得する読み取り部とを有し、
前記指輪を装着した手で、前記非接触ICカードを用いる非接触型電子マネー決済が行われた場合に、前記非接触型電子マネー決済端末が、前記IDタグリーダで取得したIDと、前記読み取り部で取得したIDとを比較し本人認証を行うことを特徴する非接触型電子マネー決済システムにおける本人認証方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−301205(P2009−301205A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−153142(P2008−153142)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【出願人】(391002409)株式会社 日立システムアンドサービス (205)
【Fターム(参考)】