説明

非接触給電システム及び非接触給電スタンド

【課題】複数の車両に対して非接触で電力を供給可能な非接触給電システム及び非接触給電スタンドにおいて、コストを抑えることを目的とする。
【解決手段】給電装置40−1〜40−nのうち、非接触給電スタンド10が給電要求信号Aを受信してから一定時間T後に受電コイル33及び給電コイル41を介して給電要求信号Bを受信した給電装置40を、バッテリ36を充電するための電力の供給先の給電装置40として特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の車両に対して非接触で電力を供給可能な非接触給電システム及び非接触給電スタンドに関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車や電気自動車などの車両に搭載されるバッテリを充電する際、車両へ流れる電流の最大値を示す情報などを車両と給電スタンドとの間で通信する必要がある。
車両と給電スタンドとを充電ケーブルで接続する場合は、その充電ケーブルを使用して車両と給電スタンドとの間で通信を行うことができる。
【0003】
また、非接触でバッテリを充電する場合は、車両と非接触給電スタンドとの間で無線通信を行う必要がある(例えば、特許文献1〜4参照)。この場合の無線通信としては、例えば、赤外線通信などの狭域通信、又は、Bluetooth(登録商標)やZigBee(登録商標)などの近距離電波通信を採用することができる。
【0004】
ところで、1つの非接触給電スタンドにおいて同時に複数の車両のバッテリを充電することができるように、非接触で車両に電力を供給する給電装置を非接触給電スタンドが複数備える場合、どの給電装置に車両が停車しているかを特定するためにセンサなどを設ける必要であり、その分コストが増大してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−074868号公報
【特許文献2】特開2003−284264号公報
【特許文献3】特開2010−193657号公報
【特許文献4】特開2007−325339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、複数の車両に対して非接触で電力を供給可能な非接触給電システム及び非接触給電スタンドにおいて、コストを抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の非接触給電システムは、車両と、その車両に搭載されるバッテリを充電するための電力を非接触で前記車両に供給する非接触給電スタンドとを備える。
前記車両は、第1の給電要求信号を無線通信により前記非接触給電スタンドへ送信してから一定時間後、非接触給電用の受電コイルに交流電流を流すことにより第2の給電要求信号を外部へ送信する。
【0008】
前記非接触給電スタンドは、前記第1の給電要求信号を受信する給電側無線通信部と、非接触給電用の給電コイルと、その給電コイルを介して前記第2の給電要求信号を受信する信号受信部とを備える複数の給電装置と、前記複数の給電装置のうち、前記第1の給電要求信号を受信してから前記一定時間後、前記第2の給電要求信号を受信する前記信号受信部を備える前記給電装置を、前記バッテリを充電するための電力の供給先の給電装置として特定する給電側制御部とを備える。
【0009】
これにより、どの給電装置に対して車両が停車しているかを特定するためにセンサを設ける必要がないため、その分コストを抑えることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、複数の車両に対して非接触で電力を供給可能な非接触給電システム及び非接触給電スタンドにおいて、コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態の非接触給電システムを示す図である。
【図2】第1実施形態の非接触給電スタンド、給電装置、及び車両のブロック構成図である。
【図3】第1実施形態の非接触給電スタンド及び車両の動作を示すフローチャートである。
【図4】給電要求信号A、Bの一例を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態の非接触給電システムを示す図である。
【図6】第2実施形態のサーバの動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第3実施形態の非接触給電システムを示す図である。
【図8】第3実施形態の非接触給電スタンド、サーバ、及び車両の動作を示すフローチャートである。
【図9】給電要求信号A〜Cの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態の非接触給電システムを示す図である。
図1に示す非接触給電システムにおける複数の非接触給電スタンド10(10−1〜10−n)は、それぞれ、交流電源20から車両30へバッテリ充電用の電力を非接触で供給する、複数の給電装置40(40−1〜40−n)を備えている。なお、車両30は、例えば、ハイブリッド車や電気自動車などが考えられる。また、非接触給電スタンド10と各給電装置40との間の通信は、有線通信や無線通信など特に限定されないが、例えば、交流電源20と各給電装置40とを接続する電力ケーブルを利用したPLC(Power Line Communication)通信が考えられる。
【0013】
第1実施形態の非接触給電システムでは、非接触給電スタンド10が複数の給電装置40の動作を制御して複数の車両30にそれぞれ電力を供給させることにより、それら車両30に搭載されるバッテリを同時に充電することができる。
【0014】
図2は、第1実施形態の非接触給電スタンド10、給電装置40、及び車両30のブロック構成図である。なお、図1に示す構成と同じ構成には同じ符号を付している。また、各非接触給電スタンド10の構成は互いに同じものとする。
【0015】
非接触給電スタンド10は、無線通信部11(給電側無線通信部)と、制御部12(給電側制御部)と、インターフェース(I/F)部13とを備える。
制御部12は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やプログラマブルなデバイス(例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)やPLD(Programmable Logic Device))などで構成され、各給電装置40(40−1〜40−n)や無線通信部11の動作を制御する。
【0016】
無線通信部11は、車両30から送信される給電要求信号A(第1の給電要求信号)や認証処理に使用されるID情報などを受信したり、車両30へID要求信号を送信する。
各給電装置40は、それぞれ、給電コイル41と、給電駆動部42と、信号受信部43と、制御部44と、インターフェース(I/F)部45とを備える。なお、各給電装置40の設置場所は、地中や地表面など特に限定されない。
【0017】
制御部44は、例えば、CPUやプログラマブルなデバイス(例えば、FPGAやPLD)などで構成され、給電駆動部42及び信号受信部43の動作を制御する。
給電駆動部42は、交流電源20から得られる交流の電力を給電コイル41に供給する。給電コイル41に交流の電力が供給されると、給電コイル41に交流の電流が流れ、給電コイル41の周囲に交流の磁界(磁場)が発生する。このとき、給電コイル41の周囲に発生する交流の磁界は給電装置40の外部に十分に拡がるように構成されているものとする。
【0018】
信号受信部43は、車両30から送信される給電要求信号B(第2の給電要求信号)を、給電コイル41を利用して受信する。例えば、信号受信部43は、車両30側から発生する交流の磁界を、給電コイル41が受けたときに電磁誘導により給電コイル41に流れる給電要求信号Bとしての1パルスからなる交流の電流を検出する。
【0019】
車両30は、無線通信部31と、制御部32と、受電コイル33と、整流器34と、充電器35と、バッテリ36と、信号送信部37とを備える。
無線通信部31は、非接触給電スタンド10に給電要求信号AやID情報などを送信したり、非接触給電スタンド10から送信されるID要求信号を受信する。
【0020】
制御部32は、例えば、CPUやプログラマブルなデバイス(例えば、FPGAやPLD)などで構成され、無線通信部31、充電器35、及び信号送信部37の動作を制御する。
【0021】
整流器34は、例えば、ダイオードやコンデンサなどで構成され、バッテリ36の充電時、給電コイル41の周囲で発生する交流の磁界を受電コイル33が受けて電磁誘導により受電コイル33に発生する交流の電力を直流に変換する。
【0022】
充電器35は、例えば、DC/DCコンバータなどで構成され、バッテリ36の充電時、整流器34で直流に変換された電力の電圧を昇圧又は降圧し、その昇圧又は降圧した電力によりバッテリ36を充電する。
【0023】
信号送信部37は、受電コイル33を利用して給電要求信号Bを外部に送信する。例えば、信号送信部37は、給電要求信号Bとしての1パルスからなる交流の電流を受電コイル33に流すことにより、受電コイル33の周囲に交流の磁界を発生させる。このとき、受電コイル33に対向する位置に給電装置40の給電コイル41が存在し、その給電コイル41が交流の磁界を受けると、電磁誘導により給電要求信号Bとしての1パルスからなる交流の電流が給電コイル41に流れる。そして、その給電コイル41に流れる交流の電流は、給電装置40の信号受信部43により検出される。すなわち、信号送信部37は、受電コイル33及び給電コイル41を利用して給電装置40へ給電要求信号Bを送信することができる。
【0024】
図3は、第1実施形態の非接触給電スタンド10の制御部12及び車両30の制御部32のそれぞれの動作を示すフローチャートである。なお、非接触給電スタンド10の無線通信部11や車両30の無線通信部31はすでに電源が入っているものとする。また、車両30の充電器35もすでに電源が入っているものとする。また、車両30は、給電装置40−1〜40−nのうちの一の給電装置40の給電コイル41と、車両30の受電コイル33とが対向するように、停車しているものとする。
【0025】
まず、車両30の制御部32は、車両30に備えられる不図示の充電開始スイッチがユーザによりオンされたことを判断すると(S30がYes)、無線通信部31により給電要求信号Aを非接触給電スタンド10へ送信させるとともに(S31)、信号送信部37を起動させ(S32)、一定時間T後(S33)、信号送信部37から受電コイル33を利用して車両30へ給電要求信号Bを送信する(S34)。例えば、無線通信部31は、図4に示すように、1パルスからなる給電要求信号Aを非接触給電スタンド10の無線通信部11へ送信する。また、例えば、信号送信部37は、図4に示すように、給電要求信号Aの立下りタイミングから一定時間T後、1パルスからなる給電要求信号Bとしての交流の電流を受電コイル33に流し、受電コイル33の周囲に交流の磁界を発生させる。なお、無線通信部31は、非接触給電スタンド10側の受信精度を向上させるために、給電要求信号Aを一定周期で繰り返し送信するように構成してもよい。また、一定時間Tは、信号送信部37の起動にかかる時間も含んでいてもよい。
【0026】
次に、制御部32は、車両30から送信されるID要求信号を無線通信部31が受信すると、そのID要求信号に対応するID情報を無線通信部31により車両30へ送信させ、認証OKを示す信号を無線通信部31が受信すると(S35)、充電器35の動作を制御してバッテリ36を充電させる(S36)。
【0027】
また、非接触給電スタンド10の制御部12は、車両30から送信される給電要求信号Aを無線通信部11が受信すると(S37がYes)、給電装置40−1〜40−nのそれぞれの信号受信部43を起動させて(S38)、一定時間T後(S39がYes)、給電装置40−1〜40−nのうちの一の給電装置40で給電要求信号Bが受信されたか否かを判断する(S40)。例えば、信号受信部43は、図4に示すように、給電要求信号Aの立下りタイミングから一定時間T後に交流の電流が給電コイル41に流れ始めたこと(給電要求信号Bの立ち上がりタイミング)を検出すると、給電要求信号Bを受信したと判断する。このように、給電要求信号Bの立ち上がりタイミングと、給電要求信号Aの立下りタイミングから一定時間T2経過後のタイミングとを一致させることができる。そのため、非接触給電スタンド10の制御部12において、給電要求信号Aを送信した車両30と、給電要求信号Bを送信した車両30とが同一であるとの判断結果の精度を上げることができる。
【0028】
給電要求信号Bが受信されていないと判断すると(S40がNo)、制御部12は、給電装置40−1〜40−nの各信号受信部43を停止させて(S41)、S37に戻る。
一方、給電要求信号Bが受信されたと判断すると(S40がYes)、制御部12は、給電装置40−1〜40−nのうち、給電要求信号Bを受信した信号受信部43を備える給電装置40を、交流電源20の電力供給先の給電装置40として特定する(S42)。
【0029】
次に、制御部12は、無線通信部11によりID要求信号を車両30へ送信させ、そのID要求信号に対応するID情報を無線通信部11が受信すると、認証処理を行い、認証OKであると、その旨を示す信号を無線通信部11により車両30へ送信させる(S43)。
【0030】
そして、制御部12は、S42で特定した給電装置40の給電駆動部42を起動させた後、その給電駆動部42の動作を制御することにより給電コイル41を介して車両30へ電力を供給する(S44)。
【0031】
このように、第1実施形態の非接触給電システムでは、非接触給電スタンド10が給電要求信号Aを受信してから一定時間T後に受電コイル33及び給電コイル41を利用して給電要求信号Bを受信した給電装置40を、交流電源20の電力供給先の給電装置40として特定する構成である。これにより、どの給電装置40に対向して車両30が停車しているかを検出するためのセンサを設ける必要がないため、その分コストを抑えることができる。
【0032】
また、第1実施形態の非接触給電システムは、非接触給電スタンド10が給電要求信号Aを受信するまで、給電装置40−1〜40−nのそれぞれの信号受信部43を停止させておくことができるため、消費電力を抑えることができる。
<第2実施形態>
図5は、本発明の第2実施形態の非接触給電システムを示す図である。なお、図1や図2に示す構成と同じ構成には同じ符号を付している。
【0033】
第2実施形態の非接触給電システムにおいて、第1実施形態の非接触給電システムと異なる点は、非接触給電スタンド10−1〜10−nとそれぞれデータの送受信を行うサーバ50を備えている点である。
【0034】
サーバ50は、非接触給電スタンド10−1〜10−nにそれぞれ備えられる通信部14とLAN(Local Area Network)などを介してデータの送受信を行う通信部51と、制御部52と、記憶部53とを備える。なお、制御部52は、例えば、CPUやプログラマブルなデバイス(例えば、FPGAやPLD)などで構成されるものとする。また、記憶部53は、例えば、HDD(Hard disk drive)、ROM(Read Only Memory)、又はRAM(Random Access Memory)などにより構成されるものとする。
【0035】
図6は、第2実施形態の非接触給電システムにおけるサーバ50の制御部52の動作を示すフローチャートである。
まず、制御部52は、非接触給電スタンド10−1〜10−nのうちの一の非接触給電スタンド10から、新たに車両30への電力供給を開始した旨を通信部51が受信すると(S60がYes)、交流電源20から各給電装置40へ流れる電流の最大値の合計を算出する(S61)。例えば、交流電源20から各給電装置40へ流れる電流の最大値を互いに同じものとする場合、制御部52は、現在駆動中の給電装置40の数を非接触給電スタンド10−1〜10−nからそれぞれ受信し、その受信した数と、1つの給電装置40に流れる電流の最大値とを乗算することにより、交流電源20から各給電装置40へ流れる電流の最大値の合計を求める。
【0036】
そして、制御部52は、S61で算出した合計が閾値Ith以上であると判断すると(S62がYes)、各給電装置40へ流れる電流の最大値を小さくさせる旨を非接触給電スタンド10−1〜10−nにそれぞれ送信する(S63)。
【0037】
このように、第2実施形態の非接触給電システムでは、交流電源20から各給電装置40へ流れる電流の最大値の合計が閾値Ith以上のとき、各給電装置40へ流れる電流の最大値を小さくさせることができるため、交流電源20の電流の最大値を抑えることができる。そのため、交流電源20の電流の最大値の増大に伴う電気料金の上昇を抑えることができる。
【0038】
また、第2実施形態の非接触給電システムでは、非接触給電スタンド10−1〜10−nそれぞれで行われる認証処理において使用されるデータを一括して記憶部53に記録しておき、制御部52が非接触給電スタンド10からの要求に応じて記憶部53からデータを取り出し、その取り出したデータを非接触給電スタンド10へ送信するように構成してもよい。
<第3実施形態>
図7は、第3実施形態の非接触給電システムを示す図である。なお、図1、図2、又は図5に示す構成と同じ構成には同じ符号を付している。
【0039】
第3実施形態の非接触給電システムにおいて、第1実施形態の非接触給電システムや第2実施形態の非接触給電システムと異なる点は、非接触給電スタンド10−1〜10−nにそれぞれ無線通信部11を備えず、非接触給電スタンド10−1〜10−nとそれぞれデータの送受信を行うサーバ50に車両30と無線通信を行う無線通信部54を備えている点である。
【0040】
図8は、第2実施形態の非接触給電システムにおける車両30の制御部32、非接触給電スタンド10の制御部12、及びサーバ50の制御部52のそれぞれの動作を示すフローチャートである。なお、サーバ50の無線通信部54や車両30の無線通信部31はすでに電源が入っているものとする。また、車両30の充電器35もすでに電源が入っているものとする。また、車両30は、給電装置40−1〜40−nのうちの一の給電装置40の給電コイル41と、車両30の受電コイル33とが対向するように、停車しているものとする。
【0041】
まず、車両30の制御部32は、車両30に備えられる不図示の充電開始スイッチがユーザによりオンされたことを判断すると(S80がYes)、無線通信部31により給電要求信号Aをサーバ50へ送信させるとともに(S81)、信号送信部37を起動させ(S82)、一定時間T1経過後(S83)、信号送信部37から受電コイル33を利用して車両30へ給電要求信号Bを送信する(S84)。例えば、無線通信部31は、図9に示すように、1パルスからなる給電要求信号Aをサーバ50の無線通信部54へ送信する。また、信号送信部37は、図9に示すように、給電要求信号Aの立下りタイミングから一定時間T1後、1パルスからなる給電要求信号Bとしての交流の電流を受電コイル33に流し、受電コイル33の周囲に交流の磁界を発生させる。なお、無線通信部31は、サーバ50側の受信精度を向上させるために、給電要求信号Aを一定周期で繰り返し送信するように構成してもよい。また、一定時間T1は、信号送信部37の起動にかかる時間も含んでいてもよい。
【0042】
次に、制御部32は、車両30から送信されるID要求信号を無線通信部31が受信すると、そのID要求信号に対応するID情報を無線通信部31により車両30へ送信させ、認証OKを示す信号を無線通信部31が受信すると(S85)、充電器35の動作を制御してバッテリ36を充電させる(S86)。
【0043】
また、サーバ50の制御部52は、無線通信部54が給電要求信号Aを受信すると(S87)、通信部51により非接触給電スタンド10−1〜10−nへそれぞれ給電要求信号Cを送信させる(S88)。例えば、通信部51は、図9に示すように、給電要求信号Aが立ち下がると、1パルスからなる給電要求信号Cを非接触給電スタンド10−1〜10−nの通信部14へそれぞれ送信する。
【0044】
また、各非接触給電スタンド10の制御部12は、それぞれ、サーバ50から送信される給電要求信号Cを無線通信部11が受信すると(S89がYes)、給電装置40−1〜40−nのそれぞれの信号受信部43を起動させて(S90)、一定時間T2(<一定時間T1)後(S91がYes)、給電装置40−1〜40−nのうちの一の給電装置40で給電要求信号Bが受信されたか否かを判断する(S92)。例えば、信号受信部43は、図9に示すように、無線通信部11が受信する給電要求信号Cの立下りタイミングから一定時間T2後に交流の電流が給電コイル41に流れたこと(給電要求信号Bの立ち上がりタイミング)を検出すると、給電要求信号Bを受信したと判断する。なお、一定時間T2は、「一定時間T1」−「サーバ50における給電要求信号Aの受信から給電要求信号Cの送信までにかかる時間」により求められる時間としてもよい。このように、給電要求信号Bの立ち上がりタイミングと、給電要求信号Cの立下りタイミングから一定時間T2経過後のタイミングとを一致させることができる。そのため、非接触給電スタンド10の制御部12において、給電要求信号Aを送信した車両30と、給電要求信号Bを送信した車両30とが同一であるとの判断結果の精度を上げることができる。
【0045】
給電要求信号Bが受信されていないと判断すると(S92がNo)、制御部12は、給電装置40−1〜40−nのそれぞれの信号受信部43を停止させて(S93)、S89に戻る。
【0046】
一方、給電要求信号Bが受信されたと判断すると(S92がYes)、制御部12は、給電装置40−1〜40−nのうち、給電要求信号Bを受信した信号受信部43を備える給電装置40を、交流電源20の電力供給先の給電装置40として特定する(S94)。
【0047】
次に、制御部12は、通信部14により認証要求信号をサーバ50へ送信させる(S95)。
次に、サーバ50の制御部52は、通信部51が認証要求信号を受信すると(S96がYes)、無線通信部54によりID要求信号を車両30へ送信させ、そのID要求信号に対応するID情報を無線通信部54が受信すると、認証処理を行い、認証OKであると、その旨を示す信号を無線通信部54により車両30へ送信させるとともに(S97)、通信部51により起動信号をS94で特定した給電装置40を備える非接触給電スタンド10に送信する(S98)。
【0048】
そして、非接触給電スタンド10の制御部12は、通信部14が起動信号を受信すると(S99がYes)、S94で特定した給電装置40の給電駆動部42の動作を制御することにより給電コイル41を介して車両30へ電力を供給する(S100)。
【0049】
このように、第3実施形態の非接触給電システムでは、第1実施形態の非接触給電スタンドと同様に、非接触給電スタンド10が給電要求信号Cを受信してから一定時間T2後に受電コイル33及び給電コイル41を利用して給電要求信号Bを受信した給電装置40を、交流電源20の電力供給先の給電装置40として特定する構成である。これにより、どの給電装置40に対向して車両30が停車しているかを検出するためのセンサを設ける必要がないため、その分コストを抑えることができる。
【0050】
また、第3実施形態の非接触給電システムは、非接触給電スタンド10が給電要求信号Cを受信するまで、給電装置40−1〜40−nのそれぞれの信号受信部43を停止させておくことができるため、消費電力を抑えることができる。
【0051】
また、第3実施形態の非接触給電システムでは、非接触給電スタンド10−1〜10−nにそれぞれ無線通信部11を備える必要がないため、その分コストを低減することができる。
【符号の説明】
【0052】
10 非接触給電スタンド
11 無線通信部
12 制御部
13 I/F部
14 通信部
20 交流電源
30 車両
31 無線通信部
32 制御部
33 受電コイル
34 整流器
35 充電器
36 バッテリ
37 信号送信部
40 給電装置
41 給電コイル
42 給電駆動部
43 信号受信部
44 制御部
45 I/F部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両と、その車両に搭載されるバッテリを充電するための電力を非接触で前記車両に供給する非接触給電スタンドとを備える非接触給電システムであって、
前記車両は、第1の給電要求信号を無線通信により前記非接触給電スタンドへ送信してから一定時間後、非接触給電用の受電コイルに交流電流を流すことにより第2の給電要求信号を外部へ送信し、
前記非接触給電スタンドは、
前記第1の給電要求信号を受信する給電側無線通信部と、
非接触給電用の給電コイルと、その給電コイルを利用して前記第2の給電要求信号を受信する信号受信部とを備える複数の給電装置と、
前記複数の給電装置のうち、前記第1の給電要求信号を受信してから前記一定時間後、前記第2の給電要求信号を受信する前記信号受信部を備える前記給電装置を、前記バッテリを充電するための電力の供給先の給電装置として特定する給電側制御部と、
を備える非接触給電システム。
【請求項2】
請求項1に記載の非接触給電システムであって、
駆動中の前記各給電装置への電流の最大値の合計を算出し、その合計が閾値以上のとき、駆動中の前記各給電装置への電流の最大値を小さくさせるサーバを備える
ことを特徴とする非接触給電システム。
【請求項3】
車両と、その車両に搭載されるバッテリを充電するための電力を非接触で前記車両に供給する非接触給電スタンドと、サーバとを備える非接触給電システムであって、
前記車両は、第1の給電要求信号を無線通信により前記サーバへ送信してから一定時間後、非接触給電用の受電コイルに交流電流を流すことにより第2の給電要求信号を外部へ送信し、
前記サーバは、前記第1の給電要求信号を受信すると、第3の給電要求信号を前記非接触給電スタンドに送信し、
前記非接触給電スタンドは、
前記第3の給電要求信号を受信する通信部と、
非接触給電用の給電コイルと、その給電コイルを利用して前記第2の給電要求信号を受信する信号受信部とを備える複数の給電装置と、
前記複数の給電装置のうち、前記第3の給電要求信号を受信してから一定時間後、前記第2の給電要求信号を受信する前記信号受信部を備える前記給電装置を、前記バッテリを充電するための電力の供給先の給電装置として特定する給電側制御部と、
を備える非接触給電システム。
【請求項4】
車両に搭載されるバッテリを充電するための電力を非接触で前記車両に供給する非接触給電スタンドであって、
前記車両から送信される第1の給電要求信号を受信する給電側無線通信部と、
非接触給電用の給電コイルと、その給電コイルを利用して前記車両から送信される第2の給電要求信号を受信する信号受信部とを備える複数の給電装置と、
前記複数の給電装置のうち、前記第1の給電要求信号を受信してから一定時間後、前記第2の給電要求信号を受信する前記信号受信部を備える前記給電装置を、前記バッテリを充電するための電力の供給先の給電装置として特定する給電側制御部と、
を備える非接触給電スタンド。


【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−48527(P2013−48527A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186316(P2011−186316)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】