説明

非放射性標識を用いるDNA合成酵素及び該酵素に対する抗体の活性測定方法

【課題】測定感度が十分に高く、サンプルの濃縮等の前処理を必要とせずに一段階で測定可能なDNA合成酵素の活性測定方法を提供する。
【解決手段】DNA合成酵素の鋳型となるヌクレオチド鎖が固相化された容器に、このヌクレオチド鎖に相補的であり、かつ非放射性標識されたデオキシリボヌクレオチド、プライマー及び界面活性剤を含有する反応液と検体とを導入してDNA合成反応を行ない、次いで、該容器に固定化された該非放射性標識を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、逆転写酵素、DNAポリメレース酵素等のDNA合成酵素の活性を、非放射性標識を用いて測定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
DNAポリメレース酵素は、DNAを鋳型としてDNA鎖を合成する反応を触媒する酵素である。したがって、DNAポリメレース酵素の活性を測定することにより、DNAを遺伝子として持ち、DNAポリメレースを有するウイルスの検出を行なうことができる。DNAポリメレース酵素の活性を測定する方法は、この特徴を利用して、従来、B型肝炎ウイルス(HBV)等のウイルスに感染した患者から採取した血液中におけるウイルスの検出に用いられている。また、未知のウイルスが分離されたときに、そのウイルスがDNA依存性のDNA合成を行なうかどうかの確認にも用いられている。
【0003】
このようなDNAポリメレース酵素の活性測定は、従来、放射性物質を標識として広く行なわれている。
【0004】
一方、逆転写酵素(Reverse Transcriptase :以下、RTと称することがある)は、RNA依存性DNA合成酵素とも呼ばれ、RNAを鋳型としてDNAを合成する反応を触媒する酵素である。したがって、逆転写酵素の活性を測定することにより、RNAを遺伝子として持ち、逆転写酵素を有するウイルス、すなわちHIV、HTLV等のレトロウイルスの検出を行なうことができる。逆転写酵素の活性を測定する方法は、この特徴を利用して、従来、HIVに感染した患者から採取したリンパ球より分離されるHIVの検出、分離されたHIVに対する薬剤感受性試験等に用いられている。また、未知のウイルスが分離されたときに、そのウイルスがRNA依存性のDNA合成を行なうかどうかの確認にも用いられている。
【0005】
逆転写酵素の活性測定方法としては、例えば、1)米国特許 7859 号及び K.Suzuki, B.Craddock, N.Okamoto, T.Kano, andR.Steigbigel, Poly A linked colorimetric microtiter plate assay for HIVreverse transcriptase, J. Virol. Methods, 44 (1993), 189-198、2)特開平 4-148689 号公報、3)Josef Eberle and Rudolf Seibl, A new method for measuring reversetranscriptase activity by ELISA, J. Virol. Methods, 40 (1992), 347-356、4)EP 393459 A3及び欧州特許出願 90106847.8 、5)DE 41 09599 A1、DD 298 603 A5 及び J. Virol. Methods, 31 (1991), 181-188、6) WO 91/05066、及び7)第6回AIDS国際会議における Lee, Moon et al. の報告(the non-radioactive sensitive reverse transcriptase assay, 6th International Conference on AIDS, San Francisco CA, Abstract 1028)、にそれぞれ開示される方法が知られている。
【0006】
上記1)の刊行物には、鋳型となるRNAとしてポリA(Poly A)を用い、このポリAを固相に固定する方法が開示されている。図101 はこの方法の各工程を模式的に示す図である。
【0007】
この方法では、まず、ウイルスを含むサンプルをマイクロ遠心機で2回遠心処理する。すなわち、最初の遠心処理で細胞等の残骸を沈殿させ、次いで得られた上清を別の遠心管に移してより高速で遠心処理することによりウイルスを沈殿させる。次に、得られた沈殿を、オリゴ−dT(DNA)及びビオチン標識dUTPを含む溶液と共に、ポリAが固相化されている容器、例えばマイクロタイタープレートのウェルに入れる。
【0008】
容器内では、図17(a)に示すように、まず、容器171 に固相化されているポリA172 にオリゴ−dT173 がハイブリダズする。次に、サンプル中に逆転写酵素が含まれる場合には、逆転写酵素174 がこの複合体に結合し、オリゴ−dT173 の末端からポリA172 に沿ってDNAの合成を開始する。この際、ビオチン標識dUTP175 が取り込まれ、ビオチン176 で標識されたDNA鎖が生成する。この反応は37℃で15分程度行なう。反応終了後、容器内を洗浄し、酵素177 で標識したストレプトアビジン178 を加える。これにより、サンプル中に逆転写酵素が含まれ、DNA鎖179 が形成されている場合には、図17(b)に示すように、DNAに含まれるビオチン176 とストレプトアビジン178 とが結合する。さらに容器内を洗浄して、未結合のストレプトアビジン178 を除去した後、標識に使用した酵素177 の基質180 を加え、呈色や吸光度の変化を測定する(図17(c))。
【0009】
上記2)の刊行物には、上記1)の刊行物に開示される方法とは逆に、マイクロタイタープレートのような固相にオリゴ−dTを固定する方法が開示されている。すなわち、オリゴ−dTを固相化した容器内に、ポリA及びビオチン標識dUTPと共に、上記1)と同様に前処理したサンプル(2回遠心した後に得られる沈殿)を入れ、オリゴ−dTとポリAをハイブリダイズさせる。その後は、上記1)の刊行物に開示される方法と同様に、酵素標識ストレプトアビジンを加え、さらに酵素の基質を添加して呈色、吸光度の変化を測定する。
【0010】
上記3)の刊行物は、遊離のポリA及びオリゴ−dTを用る方法を開示する。この方法は、まず、上記1)と同様に前処理したサンプル、ポリA、オリゴ−dT、ジゴキシゲニン標識dUTP及びビオチン標識dUTPを混合し、ポリAとオリゴ−dTとのハイブリダイズ、並びに逆転写酵素によるDNA合成を行なう。この際、合成されるDNAにはジゴキシゲニンとビオチンが取り込まれる。次に、これらの生成物をストレプトアビジンを固相化した容器に入れ、このストレプトアビジンと標識に用いられたビオチンとを結合させる。最後に、未結合の物質を除去した後、DNAに取り込まれ、容器表面に固相化されたジゴキシゲニンの量をEIA法により測定する。
【0011】
上記4)の刊行物は、遊離のポリA及びオリゴ−dTを用いる方法を開示する。この方法は、まず、上記1)と同様に前処理したサンプル、ポリA、オリゴ−dT及びビオチン標識dUTPを混合し、ポリAとオリゴ−dTとのハイブリダイズ、並びに逆転写酵素によるDNA合成を行なう。この際、合成されるDNAにはビオチンが取り込まれる。次に、これらの生成物をニトロセルロース膜にスポットし、膜上にDNAを固相化する。最後に、膜上に固相化されたDNAに取り込まれたビオチンを測定する。
【0012】
上記5)の刊行物は、遊離のポリA及びオリゴ−dTを用いる方法を開示する。この方法は、まず、上記1)と同様に前処理したサンプル、ポリA、オリゴ−dT及びハプテン標識ヌクレオシドトリホスフェート(ここではBrdUTP;5-ブロモ-2'-デオキシウリジントリホスフェート)を混合し、ポリAとオリゴ−dTとのハイブリダイズ、並びに逆転写酵素によるDNA合成を行なう。この際、合成されるDNAにはBrdUTPが取り込まれる。次に、抗ブロモ抗体を固相化したマイクロタイタープレートで合成されたDNAを分離し、さらに分離したDNAに酵素標識抗ブロモ抗体を加えてEIA法により測定する。
【0013】
上記6)の刊行物に開示される方法は、逆転写酵素そのものをタンパク質として捉え、逆転写酵素に対する抗体と標識抗体とを使用してELISAの手法で測定を行なうものである。
【0014】
上記7)の刊行物は、上記4)の刊行物に開示される方法に類似し、遊離のポリA及びオリゴ−dTを用いる方法を開示する。この方法は、まず、上記1)と同様に前処理したサンプル、ポリA、オリゴ−dT及びジゴキシゲニン標識dUTPを混合し、ポリAとオリゴ−dTとのハイブリダイズ、並びに逆転写酵素によるDNA合成を行なう。この際、合成されるDNAにはジゴキシゲニンが取り込まれる。次に、これらの生成物をニトロセルロース膜にスポットし、膜上にDNAを固相化する。最後に、膜上に固相化されたDNAに取り込まれたジゴキシゲニンを測定する。
【0015】
さらに、逆転写酵素については、以上の活性測定法の他に、逆転写酵素に対する抗体、すなわち抗逆転写酵素抗体の抗体価を測定する方法も知られている。逆転写酵素を有するウイルス、すなわちHIV等のレトロウイルスが生体内に侵入すると、免疫反応により抗逆転写酵素抗体が産生される。したがって、この方法を用いると、現在の感染の有無にかかわらず過去にレトロウイルスに感染した事実があるかどうかが明らかとなり、被検者の病歴や疾患の進行情況を把握し得る可能性がある。
【特許文献1】米国特許 7859 号公報
【特許文献2】特開平 4-148689 号公報
【特許文献3】欧州特許第 393459 A3 号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第 90106847.8 号明細書
【特許文献5】DE 41 09599 A1明細書
【特許文献6】DD 298 603 A5明細書
【特許文献7】WO 91/05066パンフレット
【非特許文献1】J. Virol. Methods, 44 (1993), 189-198
【非特許文献2】J. Virol. Methods, 40 (1992), 347-356
【非特許文献3】J. Virol. Methods, 31 (1991), 181-188
【非特許文献4】第6回AIDS国際会議における Lee, Moon et al. の報告
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上述のように、転写酵素活性の測定は、通常、ウイルス検出の一手段として行なわれている。ところで、一般に、酵素が関与する反応の測定は、酵素の安定性を考慮して短時間で行なわれている。実際、上記従来の測定法においても、酵素反応の定量に用いることができる直線性が得られるのはせいぜい30分程度までであり、さらにこの直線性が安定して得られるのは15分程度までである。このため、通常は、酵素反応は 5ないし10分以内に終了するように行なわれており、これより長い時間をかけて測定が行なわれることはない。
【0017】
このように酵素反応に長い時間をかけることができないため、従来の測定法はいずれも感度が低く、培養細胞中におけるウイルスの転写酵素活性の測定のようにウイルス量が非常に多いサンプルでなければ測定を行なうことができない。したがって、患者の血液中に存在するウイルスの検出のような微量のウイルスの測定を行なうためには、何らかの手段を用いてサンプル中のウイルスの濃度を高める必要がある。
【0018】
従来の測定法では、この点を、サンプルを前処理することにより補っている。すなわち、上述のように、サンプルを2回遠心処理して濃縮することによりウイルスの濃度を高めている。
【0019】
しかしながら、このような前処理では、第1回目の遠心処理の前、第1回目と第2回目の遠心処理の間、及び第2回目の遠心処理の後にサンプルの分注作業を必要とする。これは、特にサンプル数が多い場合には、非常に繁雑で労力を要する作業である。また、1回に遠心処理できるサンプル数は限られているので、サンプル数が多い場合には複数回に分けて処理しなければならず、繁雑さはさらに増加する。
【0020】
また、DNAポリメレース酵素の活性測定は、上述のように従来放射性物質を標識として行なわれているが、放射性物質の取扱いには特別な施設と熟練した技術者が必要であり、汎用性に欠ける。加えて、分析方法も繁雑である。
【0021】
さらに、抗逆転写酵素抗体の抗体価を測定する方法としては、従来、ウェスタンブロット法が用いられているが、この方法の測定感度は十分なものではない。また、この方法は単にサンプル中に含まれる抗逆転写酵素抗体全体の抗体価を測定するものであり、逆転写酵素の活性を阻害してウイルス感染の成立を阻止するのに必要な抗体の抗体価を測定することはできない。
【0022】
したがって、この発明は、測定感度が十分に高く、サンプルの濃縮等の前処理を必要とせずに一段階で測定可能なDNA合成酵素の活性測定方法を提供することを目的とする。
【0023】
また、この発明は、特にDNAポリメレースの活性を、放射性物質を用いることなく簡便に測定することが可能な方法を提供することをも目的とする。
【0024】
さらに、この発明は、測定感度が十分に高く、サンプルの濃縮等の前処理を必要とせずに一段階で測定可能であり、かつDNA合成酵素の活性を阻害してウイルス感染の成立を阻止するのに必要な抗DNA合成酵素抗体の抗体価を測定することが可能な方法を提供することをも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明者は、上記事情に鑑み、鋭意研究の結果、反応液中に界面活性剤を用いてウイルスを破壊することによりDNA合成酵素の反応時間を長くし、標識された核酸の取り込み量を増大させて感度を向上させることが可能であることを見出し、この発明を完成するに至った。すなわち、この発明によるDNA合成酵素の活性測定方法の特徴は、DNA合成酵素の鋳型であり、かつ固相化された状態のヌクレオチド鎖と、該ヌクレオチド鎖に相補的であり、かつ非放射性標識されたデオキシリボヌクレオチド、プライマー及び界面活性剤を含有する反応液と検体と所定の容器において接触させてDNA合成反応を行ない、次いで、固定化された該非放射性標識を選択的に測定することを具備することにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
この発明において、DNA合成酵素とは、DNA又はRNAを鋳型としてDNAを合成する反応を触媒する酵素を意味し、具体的には、DNAポリメレース又は逆転写酵素(RNA依存性DNAポリメレース)を含む。DNAポリメレースはDNAを、逆転写酵素はRNAをそれぞれ鋳型とする。したがって、活性を測定しようとする酵素により容器に固相化されるヌクレオチド鎖は異なる。
【0027】
固相化されるヌクレオチド鎖の種類及び分子量は特に限定されるものではないが、入手が容易であり、かつ反応が簡潔になることから、通常、逆転写酵素に対してはポリAが、DNAポリメレースに対してはポリdAがそれぞれ用いられる。ヌクレオチド鎖を固相化する方法は特に限定されるものではなく、通常この分野において用いられる方法により固相化することができる。
【0028】
この発明による測定方法に用いられる反応液には、容器に固相化されたヌクレオチド鎖に相補的であり、かつ非放射性標識されたデオキシリボヌクレオチド、プライマー及び界面活性剤が含まれる。デオキシリボヌクレオチド及びプライマーはいずれも容器に固相化されたヌクレオチド鎖に相補的であればどのようなものでもよく、例えば、容器に固相化されるヌクレオチド鎖がポリAもしくはポリdAである場合には、ヌクレオチドとしてdUTPが、プライマーとしてオリゴdTが用いられる。また、以下の表に示す組み合わせを用いることもできる。
【0029】
固相ヌクレオチド鎖 ヌクレオチド鎖 プライマー
ポリGまたはポリdG dCTP オリゴdC
ポリCまたはポリdC dGTP オリゴdG
ポリUまたはポリdT dATP オリゴdA。
【0030】
反応液に含まれるデオキシリボヌクレオチドに標識される非放射性物質としては、通常この分野において標識として用いられる、放射性同位体以外のあらゆる物質を用いることが可能であり、それ自体が検出可能な信号を発生するものであっても、あるいは検出可能な2次標識物質に親和性を有する1次標識物質であってもよい。それ自体検出可能な信号を発生する物質としては、例えば、蛍光物質、酵素、化学発光物質を挙げることができる。また、検出可能な2次標識物質に親和性を有する1次標識物質としては、例えば、ビオチン、ジゴキシゲニン、ハプテンを挙げることができ、この際2次標識物質としては、ビオチンに対してはストレプトアビジン(もしくはアビジン)を、ジゴキシゲニンに対しては抗ジゴキシゲニン抗体を、ハプテンに対しては抗体をそれぞれ用いることができ、これらを上述の検出可能な信号を発生する物質で標識しておけばよい。
【0031】
この発明において界面活性剤とは、ウイルスや菌体の外被膜は破壊するが、膜内に存在するDNA合成酵素の合成反応を阻害しないという特性及び濃度を有する化学物質を指す。このような界面活性剤の例としては、グリコデオキシコール酸やラウリルスルフェートのような陰イオン性界面活性剤、セチルピリジニウムクロライドやドデシルトリメチルアンモニウムブロマイドのような陽イオン性界面活性剤、CHAPSやCHAPSOのような両イオン性界面活性剤並びにNP-40 、トリトンX-100、トウィーン20、MEGA-8のような非イオン性界面活性剤を挙げることができ、とりわけ非イオン性界面活性剤がDNA合成酵素の構造を破壊し難いという点で優れている。また、この発明において用いられる界面活性剤の量は、反応液中の濃度で 0.001%以上、好ましくは0.01%以上であるが、粘性や起泡性が高まると処理効率が低下し易いので、実用上は 0.001〜 3%、好ましくは 0.01 〜 1%の濃度範囲で使用するとよい。但し、陰イオン性および/または陽イオン性の界面活性剤のように、酵素自体の分子構造を変化させる可能性がある界面活性剤を適用する場合には、上記実用的濃度範囲のうち、なるべく低い濃度を用いるか、あるいは非イオン性界面活性剤と組み合わせることにより初めて上記実用的濃度範囲内に含まれるような極低濃度で使用することが好ましい。これらの界面活性剤は単独で用いることもできるが、界面活性剤の種類に応じた特性を利用することが好都合であれば、適宜、複数の種類及び濃度を組み合わせて用いることもできる。
【0032】
反応液には、上述の成分の他に、通常DNA合成酵素によるDNAの合成反応の際に添加される種々の添加剤を任意に添加することができる。
【0033】
この反応液を、例えばヒトの血清のような検体と、上記固相化された状態のヌクレオチド鎖と共に所定の容器において混合し、DNA合成酵素がDNA合成を行なうに適した条件下に放置する。この際の条件は、DNA合成が可能となるものであれば特に限定されるものではないが、通常は、pH 5〜 8、温度25〜40℃、反応時間15分〜24時間で行なう。さらに、反応性を高めて効率よく分析するためには、pH 7.5付近、温度37℃付近、反応時間90分〜15時間とすることが好ましい。
【0034】
これにより、検体中にDNA合成酵素を有するウイルスが存在する場合には、非放射性標識されたヌクレオチドが取り込まれたDNAが合成される。具体的には、まず、反応液中に含まれる界面活性剤によりウイルスの膜が短時間で破壊され、ウイルスが有するDNA合成酵素が溶液中に十分量放出される(例えば 1分以内)。一方、固相化されたヌクレオチド鎖にはプライマーが短時間(例えば数分以内)で十分量ハイブリダイズし、このプライマーにウイルスから放出されたDNA合成酵素が結合する。ここで、プライマーの使用量は、固相化ヌクレオチドよりも十分多いほうがその分多くハイブリダイズするため好ましい。次いで、DNA合成酵素が鋳型であるヌクレオチド鎖に沿って移動しながら非放射性標識されたヌクレオチドを取り込んでDNAを合成する。ここにおいて、これら結合反応を含む合成過程が進行する限り、各反応要素の混合順序は任意であるが、ほぼ同時に混合するのが最も測定効率が高い。また、プライマーの混合時点を調節することにより、複数の検体の特定を効率よく処理することができる。
【0035】
このDNA合成反応では、反応時間を長くするに従って合成されるDNA鎖も長くなり、その結果、DNA鎖に取り込まれる標識の量も多くなって測定の感度を向上させることができる。この発明の測定方法によれば、反応時間の上限は特に限定されず、望むだけ長くすることができるが、実用上は24時間以内であることが好ましい。
【0036】
この発明において用いられる容器としては、タンパク質の固定処理が可能な材質であるか、もしくは適宜表面処理することによりタンパク質の固定能を有するものであればよく、形状、寸法等は特に限定されるものではない。容器の形状及び寸法は、反応液量や測定装置の種類に応じて任意に選択すればよい。容器の形状の例としては、凹状の内側側面に固相用表面を有するもの、例えば試験管、マイクロプレート及びキュベット、中空状の内壁を固相表面とするもの、例えばフローセル、マイクロスライドセル(特開昭57-156028 号公報、特開平 5-253498号公報を参照)及びアフィニティーカラムを挙げることができる。また、反応液を収容する所定の凹状容器に浸漬することで反応液と接触し得る表面を有する担体粒子(特開昭59-135367 号公報、特開昭60-159651 号公報を参照)やシリコン性チップなどを用いることもできる。
【0037】
合成されたDNAは、鋳型となるヌクレオチド鎖に固定されている。換言すると、反応液中の遊離のヌクレオチドに標識された非放射性物質が、DNAに取り込まれ、鋳型となるヌクレオチド鎖を介して容器に固定される。
【0038】
DNA合成反応を所望の時間行なった後、容器に固定されたこれら非放射性物質を、用いた物質に適した手段で測定する。具体的には、未反応の非放射性標識されたヌクレオチドを適当な洗浄液を用いて容器から除去した後、標識物質として蛍光物質を用いた場合には、蛍光光度計でその強度を測定する。また、標識物質として酵素を用いた場合には、その酵素の基質を添加して吸光度等の変化を測定すればよい。さらに、標識物質として2次標識物質に親和制を有する1次標識物質を用いた場合には、検出可能な標識物質で標識された2次標識物質を添加して結合させ、未反応の2次標識物質を除去した後、2次標識物質に標識された標識物質を適当な手段で測定すればよい。
【0039】
以上の工程をDNAポリメレースの活性測定を例として、図面を参照してさらに詳細に説明する。図1は、この発明によるDNAポリメレースの活性測定の具体例の工程を模式的に示す図である。
【0040】
この方法では、まず図1(a)に示すように、容器 1に固相化されているポリdA 2にオリゴ−dT 3がハイブリダズする。次に、検体中にDNAポリメレース 4が含まれる場合には、DNAポリメレース 4がこの複合体に結合し、オリゴ−dT 3の末端からポリdA 2に沿ってDNAの合成を開始する。この際、ビオチン標識dUTP 5が取り込まれ、ビオチン 6で標識されたDNA鎖が生成する。この反応は37℃で15分程度行なう。反応終了後、容器内を洗浄し、酵素 7で標識されたストレプトアビジン 8を加える。これにより、検体中にDNAポリメレースが含まれ、DNA鎖 9が形成されている場合には、図1(b)に示すように、DNAに含まれるビオチン 6とストレプトアビジン 8とが結合する。さらに容器内を洗浄して、未結合のストレプトアビジン 8を除去した後、図1(c)に示すように、標識に使用した酵素 7の基質10を加えて呈色や吸光度の変化を測定する。
【0041】
以上のように、この発明の測定方法により、DNAポリメレース、逆転写酵素等のDNA合成酵素の活性を、遠心等の前処理を必要とせず、しかも高い感度で測定することが可能となるが、さらにこの発明の測定方法を利用することにより、抗DNA合成酵素抗体の抗体価を簡便に測定することができる。
【0042】
上述のように、抗DNA合成酵素抗体は、DNAポリメレース、逆転写酵素等のDNA合成酵素を有するウイルスが生体内に侵入した際に生体の免疫系が産生するものであり、DNA合成酵素の活性を阻害する。したがって、この発明によるDNA合成酵素活性の測定方法において、予め活性が既知のDNA合成酵素を加え、さらに抗DNA合成酵素抗体を含む検体を加えてDNA合成酵素の活性を阻害させることにより、その活性阻害の程度から抗DNA合成酵素抗体の抗体価を知ることができる。すなわち、この抗DNA合成酵素抗体の抗体価の測定方法の特徴は、DNA合成酵素の鋳型であり、かつ固相化された状態のヌクレオチド鎖と、該ヌクレオチドを鋳型とするDNA合成酵素、該ヌクレオチド鎖に相補的であり、かつ非放射性標識されたヌクレオチド、プライマー及び界面活性剤を含有する反応液と検体とを所定の容器において接触させてDNA合成反応を行ない、次いで、固定化された該非放射性標識を選択的に測定することを具備することにある。
【0043】
この方法によると、検体中に抗DNA合成酵素抗体が存在する場合には、DNA合成酵素の活性が阻害されてDNAの合成速度が低下し、あるいは合成能力が失われる。このため、DNAに取り込まれて容器に固定される標識の量も減少し、その結果、蛍光や化学発光等の標識物質由来の信号の強度も減少する。この信号の強度はDNA合成酵素の活性の程度を表わすものであるため、強度の減少の程度がそのまま抗DNA合成酵素抗体の抗体価を示す。
【実施例】
【0044】
[実施例1] 逆転写酵素に対する標準曲線の作成逆転写酵素に対する標準曲線を、以下の手順により比色法を用いて作成した。
【0045】
a)アッセイプレートの作製マイクロタイタープレート(Covalink、Nunc社製)もしくは発光用プレート(MS-8696W、住友化学社製)に、40μg/mlのポリA(Boehringer Mannheim 社製)を含有する12.7mM N-ハイドロキシスルホサクシンイミド(Pierce社製)溶液50μlを分注し、さらに、50μlの10mM 1-エチル-3- (3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドハイドロクロライド(Pierce社製)を分注して混合した後、室温で一晩(14ないし18時間)放置した。
【0046】
b)比色法による逆転写酵素活性の測定市販の逆転写酵素(HIV−RT;Cat. No. 1465 333 、Boehringer Mannheim 社製)を生理食塩水(PBS)で希釈し、下記表1に示す濃度のサンプル 1〜15を調製した。これらのサンプルのそれぞれ10μlを上記工程a)において作製したポリA固相化マイクロタイタープレートに分注し、さらに40μlの反応溶液(4.16μM ビオチン−dUTP(Boehringer Mannheim 社製)、8.33μM TTP(Boehringer Mannheim 社製)、 167.5mM KCl( Sigma社製)、12.5mM MgCl2 ( Sigma社製)、50mM トリス、pH 7.8( Sigma社製)、5.625mM ジチオスレオトール( Sigma社製)、 0.437mM EDTA( Sigma社製)、 0.287% トリトンX100 ( Sigma社製)及び 0.0625 OD/mlオリゴ−dT12-18 (Pharmacia LKB 社製))と混和して、37℃で酵素反応を行なってDNA鎖を合成した。反応時間は、各サンプルについて、それぞれ15分並びに 1.5、 5、 9、15及び20時間に設定して行なった。
【0047】
酵素反応終了後、プレートを洗浄液(10mM トリス−HCl、pH 7.5、0.15M NaCl、 1mM EDTA及び0.01% Tween 20)で3回洗浄した。その後、希釈液(10mM トリス、pH 7.5、0.15M NaCl、 1mM EDTA及び 1% BSA)を用いて 1:5000に希釈した西洋ワサビペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン(Bethesda Reseach Laboratory 製) 100μlを分注し、37℃で10分間放置した。次に、プレートを上記洗浄液で6回洗浄した後、反応基質である3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン(TMB;Kirkegaard and PerryLaboratories 社製) 100μlを分注し、さらに37℃で15分間放置した後、 100μlの 1M リン酸(Sigma 社製)を分注して反応を停止させた。
【0048】
反応停止後、プレートリーダー(Dynatech MR5000 )を用いて、波長 450nmで各サンプルの吸光度を測定した。結果を表1に併記する。また、これらの結果を基に、縦軸に 450nmでの吸光度を、横軸にHIV−RTの濃度(pg/ml)をとって作成した各反応時間毎の標準曲線を図2〜7に示す。さらに、吸光度が 0.1となる濃度を各標準曲線から読取り、これを各反応時間における検出限界として、縦軸に検出限界濃度(pg/ml)を、横軸にRT反応時間(時間)をそれぞれとって作成したグラフを図8に示す。
【表1】

【0049】
これらの表及び図より明らかなように、逆転写酵素の反応時間を増加させるに従って検出限界濃度が低下する、すなわち感度が上昇する。例えば、従来行なわれている反応時間15分では検出限界濃度は11mUnits/mlであるのに対して、反応時間15時間では10μUnits/mlと飛躍的に向上することが分かる。
【0050】
[実施例2] DNAポリメレースに対する標準曲線の作成DNAポリメレースに対する標準曲線を、以下の手順により比色法を用いて作成した。
【0051】
a)アッセイプレートの作製マイクロタイタープレート(Covalink、Nunc社製)もしくは発光用プレート(MS-8696W、住友化学社製)に、 6.6μg/mlのポリdA(Boehringer Mannheim 社製)を含有する12.7mM N-ハイドロキシスルホサクシンイミド(Pierce社製)溶液50μlを分注し、さらに、50μlの10mM 1-エチル-3- (3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドハイドロクロライド(Pierce社製)を分注して混合した後、室温で一晩(14ないし18時間)放置した。
【0052】
b)比色法によるDNAポリメレース活性の測定市販のTaq DNAポリメレース(Perkin Elmer社製)、シクエネース(Sequenase ;Boehringer Mannheim 社製)及びT4 DNAポリメレース(BRL 社製)の3種類のDNAポリメレースをそれぞれPBSで希釈し、下記表2に示す濃度のサンプルを調製した。これらのサンプルのそれぞれ10μlを40μlの反応溶液(4.16μM ビオチン−dUTP(Boehringer Mannheim 社製)、8.33μMTTP(Boehringer Mannheim 社製)、 167.5mM KCl( Sigma社製)、12.5mM MgCl2 ( Sigma社製)、50mM トリス、pH 7.8( Sigma社製)、 5.625mM ジチオスレオトール( Sigma社製)、 0.437mM EDTA( Sigma社製)、 0.287% トリトンX100 ( Sigma社製)及び 0.0625 OD/mlオリゴ−dT12-18 (Pharmacia LKB 社製))と混和し、37℃で90分間酵素反応を行なってDNA鎖を合成した。
【0053】
酵素反応終了後、プレートを洗浄液(10mM トリス−HCl、pH 7.5、0.15M NaCl、 1mM EDTA及び0.01% Tween 20)で3回洗浄した。その後、希釈液(10mM トリス、pH 7.5、0.15M NaCl、 1mM EDTA及び 1% BSA)を用いて 1:5000に希釈した西洋ワサビペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン(Bethesda Reseach Laboratory 製) 100μlを分注し、37℃で10分間放置した。次に、プレートを上記洗浄液で6回洗浄した後、反応基質であるTMB(Kirkegaard and Perry Laboratories 社製) 100μlを分注し、さらに37℃で15分間放置した後、 100μlの 1M リン酸(Sigma 社製)を分注して反応を停止させた。
【0054】
反応停止後、プレートリーダー(Dynatech MR5000 )を用いて、波長 450nmで各サンプルの吸光度を測定した。結果を表2に併記する。また、これらの結果を基に、縦軸に 450nmでの吸光度を、横軸にDNAポリメレースの濃度(Unit/Reaction)をとって作成した標準曲線を図9に示す。
【表2】

【0055】
以上のように、この発明の方法により、DNAポリメレースの活性を比色法で測定することが可能となる。
【0056】
[実施例3] 抗逆転写酵素抗体の抗体価の測定抗逆転写酵素抗体の抗体価を、この発明による逆転写酵素の活性測定法を利用し、比色法により測定した。
【0057】
a)アッセイプレートの作製アッセイプレートは、実施例1と同様にして作製した。
【0058】
b)抗逆転写酵素抗体の抗体価の測定市販の逆転写酵素(HIV−RT;Cat. No. 1465 333 、Boehringer Mannheim 社製)をPBSで 1/300 に希釈した。また、これとは別に、10人の被検者から採取した血清検体をPBSで下記表3に示す通り倍率で希釈した。この10人のうち、4人はHIVに対する抗体検査は陽性であるもののAIDSは発症していない患者(AC-1〜AC-4)であり、3人は抗体検査が陽性であり、AIDSを発症している患者(AIDS-1〜AIDS-3)であり、残りの3人は抗体検査で陰性の正常人(NC-1〜NC-3)である。この希釈RTと希釈血清検体のそれぞれ10μlずつを、40μlの反応溶液(4.16μM ビオチン−dUTP(Boehringer Mannheim 社製)、8.33μM TTP(Boehringer Mannheim 社製)、 167.5mM KCl( Sigma社製)、12.5mM MgCl2 ( Sigma社製)、50mMトリス、pH 7.8( Sigma社製)、 5.625mM ジチオスレオトール( Sigma社製)、 0.437mM EDTA( Sigma社製)、 0.287% トリトンX100 ( Sigma社製)及び 0.0625 OD/ml オリゴ−dT12-18 (Pharmacia LKB 社製))と混和し、37℃で15時間逆転写酵素反応を行なってDNA鎖を合成した。
【0059】
酵素反応終了後、プレートを洗浄液(10mM トリス−HCl、pH 7.5、0.15M NaCl、 1mM EDTA及び0.01% Tween 20)で3回洗浄した。その後、希釈液(10mM トリス、pH 7.5、0.15M NaCl、 1mM EDTA及び 1% BSA)を用いて 1:5000に希釈した西洋ワサビペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン(Bethesda Reseach Laboratory 製) 100μlを分注し、37℃で10分間放置した。次に、プレートを上記洗浄液で6回洗浄した後、反応基質であるTMB(Kirkegaard and Perry Laboratories 社製) 100μlを分注し、さらに37℃で15分間放置した後、 100μlの 1M リン酸(Sigma 社製)を分注して反応を停止させた。
【0060】
反応停止後、プレートリーダー(Dynatech MR5000 )を用いて、波長 450nmで各サンプルの吸光度を測定した。結果を表3に併記する。また、これらの結果を基に、縦軸に 450nmでの吸光度を、横軸に希釈倍率をとってプロットしたグラフを被検者の症状毎に作成した。このグラフを図10〜12に示す。
【表3】

【0061】
表及び図面から明らかなように、NCの群では血清検体の希釈倍率に関わりなく高い吸光度を示し、ACの群では希釈倍率が高くなるに従って吸光度も高くなる。AIDSの群は希釈倍率により吸光度が若干変化するが、ACほど大きな変化ではない。これは、ACの群には逆転写酵素の活性を阻害する抗逆転写酵素抗体が多く存在するため希釈倍率により逆転写酵素の活性が大きく影響を受け、逆にNCには逆転写酵素の活性に影響を及ぼす抗体が存在しないことを示唆している。AIDSの群には若干の抗逆転写酵素抗体が存在することが見てとれるが、その量はACと比較すると遥かに少なく、抗体の産生能力が衰えていることが示唆される。
【0062】
このように、この発明による転写酵素活性の測定方法を利用することにより、被検者の症状を把握するのに有用な抗転写酵素抗体の抗体価を測定することが可能となる。
【0063】
[実施例4] 比色法によるレトロウイルスの逆転写酵素活性の測定HIV-1、HIV-2及びFIV(ネコのレトロウイルス)の逆転写酵素の活性を、以下の手順により比色法を用いて測定した。
【0064】
a)アッセイプレートの作製アッセイプレートは、実施例1と同様にして作製した。
【0065】
b)各レトロウイルスの逆転写酵素活性の測定培養したHIV-1、HIV-2及びFIVの各培養液、並びに陰性コントロール(NC)としての培養液をPBSで10倍づつに希釈してウイルス希釈系列を調製した。これらの溶液の各10μlを40μlの反応溶液(4.16μM ビオチン−dUTP(Boehringer Mannheim 社製)、8.33μM TTP(Boehringer Mannheim社製)、 167.5mM KCl( Sigma社製)、12.5mM MgCl2 ( Sigma社製)、50mM トリス、pH 7.8( Sigma社製)、 5.625mM ジチオスレオトール( Sigma社製)、 0.437mM EDTA( Sigma社製)、 0.287% トリトンX100 ( Sigma社製)及び 0.0625 OD/ml オリゴ−dT12-18 (Pharmacia LKB 社製))と混和し、37℃で15時間逆転写酵素反応を行なってDNA鎖を合成した。
【0066】
酵素反応終了後、プレートを洗浄液(10mM トリス−HCl、pH 7.5、0.15M NaCl、 1mM EDTA及び0.01% Tween 20)で3回洗浄した。その後、希釈液(10mM トリス、pH 7.5、0.15M NaCl、 1mM EDTA及び 1% BSA)を用いて 1:5000に希釈した西洋ワサビペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン(Bethesda Reseach Laboratory 製) 100μlを分注し、37℃で10分間放置した。次に、プレートを上記洗浄液で6回洗浄した後、反応基質であるTMB(Kirkegaard and Perry Laboratories 社製) 100μlを分注し、さらに37℃で15分間放置した後、 100μlの 1M リン酸(Sigma 社製)を分注して反応を停止させた。
【0067】
反応停止後、プレートリーダー(Dynatech MR5000 )を用いて、波長 450nmで各サンプルの吸光度を測定した。その結果を、縦軸に 450nmでの吸光度、横軸に希釈倍率をとったグラフにプロットして図13に示す。
【0068】
図より明らかなように、この発明による測定方法により、微量のレトロウイルスの逆転写酵素の活性を比色法で測定することが可能となる。
【0069】
[実施例5] この発明による逆転写酵素活性の測定法を利用したHIV検出と、他のHIV検出法との検出感度の比較この発明による逆転写酵素活性の測定方法を利用した比色法によるHIVの検出と、市販のキットを利用したHIVの検出との測定感度の比較を行なった。市販のキットとしては、ダイナボット社のp24検出キット及び第一製薬社の blanched DNA検出キットを用いた。
【0070】
a)この発明による逆転写酵素活性の測定方法を利用した比色法による検出培養したHIV-1の培養液をPBSで10倍づつに希釈してウイルス希釈系列を調製した。この溶液10μlを実施例1と同様にしてポリAを固相化したマイクロタイタープレートに分注し、さらに40μlの反応溶液(4.16μM ビオチン−dUTP(Boehringer Mannheim 社製)、8.33μM TTP(Boehringer Mannheim 社製)、 167.5mM KCl( Sigma社製)、12.5mM MgCl2 ( Sigma社製)、50mM トリス、pH 7.8( Sigma社製)、 5.625mM ジチオスレオトール( Sigma社製)、 0.437mM EDTA( Sigma社製)、 0.287% トリトンX100 ( Sigma社製)及び 0.0625 OD/ml オリゴ−dT12-18 (Pharmacia LKB 社製))を加えて混和し、37℃で15時間逆転写酵素反応を行なってDNA鎖を合成した。
【0071】
酵素反応終了後、プレートを洗浄液(10mM トリス−HCl、pH 7.5、0.15M NaCl、 1mM EDTA及び0.01% Tween 20)で3回洗浄した。その後、希釈液(10mM トリス、pH 7.5、0.15M NaCl、 1mM EDTA及び 1% BSA)を用いて 1:5000に希釈した西洋ワサビペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン(Bethesda Reseach Laboratory 製) 100μlを分注し、37℃で10分間放置した。次に、プレートを上記洗浄液で6回洗浄した後、反応基質であるTMB(Kirkegaard and Perry Laboratories 社製) 100μlを分注し、さらに37℃で15分間放置した後、 100μlの 1M リン酸(Sigma 社製)を分注して反応を停止させた。
【0072】
反応停止後、プレートリーダー(Dynatech MR5000 )を用いて、波長 450nmで各サンプルの吸光度を測定した。この吸光度から求めた逆転写酵素濃度(pg/ml)を縦軸に、希釈倍率を横軸にとって作成したグラフを図14に示す。
【0073】
b)p24検出キット及び blanched DNA検出キットを用いた検出p24検出キット及び blanched DNA検出キットを用いた検出は、それぞれ、上記a)と同様にして調製したウイルス希釈系列の溶液10μlを用い、各々プロトコルに従って行なった。結果を図15及び16にそれぞれ示す。図15において、縦軸はp24抗原濃度(ng/ml)を、横軸は希釈倍率をそれぞれ示す。また、図16において、縦軸はHIV−RNA当量(103 当量)を、横軸は希釈倍率をそれぞれ示す。
【0074】
図14より明らかなように、この発明による転写酵素活性の測定方法は、ウイルス溶液を 1/10000 倍まで希釈しても検出可能であり、これは図15及び16に示す市販のキットと同程度の感度である。
【0075】
この実施例において比較に用いたp24検出キット及び blanched DNA検出キットはいずれも比較的高感度の検出キットである。しかしながら、いずれも高価であり、かつ活性を失ったウイルスや菌体にも反応するため、その感染力を判断できないという欠点を有している。この発明による測定方法を用いることにより、入手しやすい材料で、従来低い感度しか得られていないDNA合成酵素活性の測定を高感度に行なうことが可能となり、ウイルスや菌体の検出を安価に、かつ高感度に行なうと共に、それらの感染力をも判断することができる。
【0076】
[実施例6] ポリA固相化プレートとオリゴdT固相化プレートとの逆転写酵素活性測定における感度の比較ポリA固相化プレートを用いた逆転写酵素活性測定とオリゴdT固相化プレートを用いた逆転写酵素活性測定との感度の比較実験を、市販の逆転写酵素(AMV−RT、GIBCO-BRL 社製)を用いて行なった。
【0077】
a)アッセイプレートの作製ポリA固相化マイクロタイタープレートは、Nunc社のプレートを用いて実施例1の工程a)に従って作製した。
【0078】
また、オリゴdT固相化マイクロタイタープレートは、Nunc社及び住友ベークライト社のプレートを用いて以下の手順により作製した。すなわち、まず、それぞれのプレートにオリゴdTを40μg/ml含有する12.7mM N-ヒドロキシスルホサクシンイミド(Pierce社製)溶液50μlを分注し、さらに10mM 1-エチル-3- (3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・ハイドロクロライド(Pierce社製)50μlを分注して混合した。次いで、これらのプレートを室温で一晩(14〜18時間)放置した。
【0079】
b)比色法による逆転写酵素活性の測定市販の逆転写酵素(AMV−RT、GIBCO-BRL 社製)をPBSで希釈し、濃度の異なる5種類のサンプルを調製して各々の活性測定に供した。
【0080】
ポリA固相化マイクロタイタープレートを用いた測定は、これらのサンプルを用い、酵素反応時間を90分とした以外は実施例1と同様に行なった。
【0081】
オリゴdT固相化マイクロタイタープレートを用いた測定は、以下の通り行なった。すなわち、まず、このプレートに上記サンプルのそれぞれ10μlを分注し、次いで、40μlの反応溶液(4.16μM ビオチン−dUTP(Boehringer Mannheim 社製)、8.33μM TTP(Boehringer Mannheim 社製)、 167.5mMKCl( Sigma社製)、12.5mM MgCl2 ( Sigma社製)、50mM トリス、pH 7.8( Sigma社製)、 5.625mM ジチオスレオトール( Sigma社製)、0.437mM EDTA( Sigma社製)、 0.287% トリトンX100 ( Sigma社製)及び 0.0625 OD/ml ポリA(Boehringer Mannheim 社製))と混和して、37℃で90分間酵素反応を行なった。
【0082】
酵素反応終了後、プレートを洗浄液(10mM トリス−HCl、pH 7.5、0.15M NaCl、及び0.01% Tween 20)で3回洗浄した。その後、希釈液(10mM トリス、pH 7.5、0.15M NaCl、 1mM EDTA及び 1% BSA)を用いて 1:1000に希釈したアルカリホスファターゼ標識ストレプトアビジン(Bethesda Reseach Laboratory 製) 100μlを分注し、37℃で10分間放置した。次に、プレートを上記洗浄液で6回洗浄した後、反応基質であるp-ニトロフェニルホスファターゼ(pNPP;Kirkegaard and Perry Laboratories 社製)100μlを分注し、さらに37℃で15分間放置した後、 100μlの 5% EDTA(Sigma 社製)を分注して反応を停止させた。
【0083】
反応停止後、プレートリーダー(Dynatech MR5000 )を用いて、波長 450nmで各サンプルの吸光度を測定した。結果を図18に示す。この図において、縦軸は450nmでの吸光度を、横軸はAMV−RTの濃度(mU)をそれぞれ示し、ポリA固相化プレートでの結果は白抜きの四角、オリゴdT固相化プレート(住友ベークライト社製)での結果は白抜きの菱形、オリゴdT固相化プレート(Nunc社製)での結果は白抜きの丸でそれぞれ表わされている。
【0084】
これらの結果から明らかなように、ポリAを固相化したプレートを用いた場合の方がオリゴdTを固相化したプレートを用いた場合よりも高感度である。
【0085】
[実施例7] 界面活性剤の種類が測定結果に及ぼす影響の検証ポリA固相化プレートを用いる逆転写酵素の活性測定において、反応溶液に添加する界面活性剤の種類を変えて測定を行ない、各々の濃度と測定される逆転写酵素活性との関係を調べて比較した。ここでは、界面活性剤としてはトリトンX100 (Triton X 100)またはNP40を用い、サンプルとしてはHTLV-3b株を用いた。
【0086】
a)アッセイプレートの作製アッセイに使用するポリA固相化マイクロタイタープレートは、Nunc社のプレートを用いて、実施例1の工程a)に従って作製した。
【0087】
b)比色法による逆転写酵素活性の測定まず、HTLV-3b株をPBSで 1:300 に希釈し、この溶液10μlを上記工程a)で作製したプレートに分注した。次いで、この分注した溶液に、50μlの反応液(4.16μM ビオチン−dUTP(Boehringer Mannheim 社製)、8.33μM TTP(Boehringer Mannheim 社製)、 167.5mM KCl( Sigma社製)、12.5mM MgCl2 ( Sigma社製)、50mM トリス、pH 7.8( Sigma社製)、 5.625mM ジチオスレオトール( Sigma社製)、 0.437mM EDTA( Sigma社製)、下記表4に示す各濃度のトリトンX100 ( Sigma社製)及び 0.0625 OD/ml オリゴ−dT12-18 (Pharmacia LKB 社製))を添加して混和し、37℃で15時間酵素反応を行なった。その後、実施例6の工程b)と同様に、アルカリホスファターゼ標識ストレプトアビジン(Bethesda Research Laboratory社製)を用いて比色法によるDNA鎖の検出を行なった。
【0088】
また、反応溶液に含まれるトリトンX100 の代わりに下記表4に示す各濃度のNP40(Sigma 社製)を用いて同様の測定を行なった。各々の結果を表4に併記する。
【表4】

【0089】
表4より明らかなように、トリトンX100 及びNP40のいずれを用いた場合であっても、 0.1%から 1%の広い濃度範囲において同様に逆転写酵素の活性を測定することができた。また、非イオン性界面活性剤の代わりにSDS等の陰イオン性界面活性剤を使用したところ、界面活性剤濃度が 0.1%よりも低い反応液でなければRT活性の測定が困難であった。
【0090】
[実施例8] 逆転写酵素活性を利用したウイルス感染能の薬剤耐性試験この発明による酵素活性測定方法を利用して、AIDS患者より分離されたHIV-1の感染能の薬剤に対する耐性試験を行なった。すなわち、長期間AZTを投与されたAIDS患者から分離されたHIV-1 043株とAZTの投与を受けていないAIDS患者から分離されたHIV-1 046株を用い、2種類の異なる薬剤AZTおよびDDIの存在下における正常リンパ球への感染能力を測定した。
【0091】
a)アッセイプレートの作製アッセイに使用するポリA固相化マイクロタイタープレートは、Nunc社のプレートを用いて、実施例1の工程a)に従って作製した。
【0092】
b)比色法による逆転写酵素活性の測定常法により分離した健常人由来の正常な末梢リンパ球(peripheral blood mononuclear cell ;PBMC) 1× 1000,000 を24穴の培養容器に入れ、さらにこれを4群に分けて、i)PBMCのみで何も添加しない群(PBMC)
ii)PBMCに市販のAZT10μMを添加した群(PBMC+AZT)
iii)PBMCに市販のDDI10μMを添加した群(PBMC+DDI)
iv)PBMCからリンパ球を除いた群(培地のみ)を調製した。次いで、これら4群の各々を2つに分け、一方には長期間AZTを投与したAIDS患者から分離したHIV-1(HIV-1 043株) 100μlを、他方にはAZT未投与のAIDS患者から分離したHIV-1(HIV-1 046株) 100μlをそれぞれ添加し、CO2 インキュベーターを用いて37℃で培養した。
【0093】
培養開始後、 0、 1、 3、 5及び 7日目にそれぞれの培養上清を回収し、この培養上清10μlを上記工程a)において作製したポリA固相化プレートに分注した。次いで、この分注した上清に、50μlの反応液(4.16μM ビオチン−dUTP(Boehringer Mannheim 社製)、8.33μM TTP(Boehringer Mannheim社製)、 167.5mM KCl( Sigma社製)、12.5mM MgCl2 ( Sigma社製)、50mM トリス、pH 7.8( Sigma社製)、 5.625mM ジチオスレオトール( Sigma社製)、 0.437mM EDTA( Sigma社製)、 0.287% トリトンX100 ( Sigma社製)及び 0.0625 OD/ml オリゴ−dT12-18 (Pharmacia LKB 社製))を添加して混和し、37℃で15時間酵素反応を行なった。その後、実施例6の工程b)と同様に、アルカリホスファターゼ標識ストレプトアビジン(Bethesda Research Laboratory社製)を用いて比色法によるDNA鎖の検出を行なった。
【0094】
得られた結果を基にして求められたHIV-1 043株及びHIV-1 046株の感染能を示すグラフを図19及び20にそれぞれ示す。これらの図において、縦軸はHIV-1のRT活性を反映する吸光度(OD)を、横軸は培養期間を示す。また、PBMC(薬剤無添加)は白抜きの四角で、PBMC+AZTは白抜きの菱形で、PBMC+DDIは白抜きの丸で、並びに培地のみは白抜きの三角でそれぞれ表わされている。
【0095】
図19より明らかなように、HIV-1 043株(長期間AZTを投与したAIDS患者より分離されたHIV-1)は、AZTの存在下ではRT活性が測定されるものの、DDIの存在下ではRT活性は測定されない。すなわち、HIV-1 043株は、AZTの存在下では増殖可能であるものの、DDIの存在下では増殖が抑制される。したがって、HIV-1 043株の感染能は、AZTに対しては耐性であるが、DDIに対しては耐性がないことが分かる。
【0096】
一方、図20より明らかなように、HIV-1 046株(AZT未投与のAIDS患者より分離されたHIV-1)は、AZT及びDDIのいずれの存在下においてもRT活性は測定されず、増殖が抑えられている。すなわち、HIV-1 046株の感染能は、AZT及びDDIのいずれに対しても耐性がないことが分かる。
【0097】
このように、この発明による酵素活性測定方法を利用することにより、ウイルスの感染能の薬剤耐性を確実に判定することが可能となる。これは、特にAIDS患者において、その患者に適した薬剤を早期に確定することが可能であることを意味し、医学に大きく貢献することが期待される。
【0098】
[効果]以上のように、この発明によるDNA合成酵素活性の測定方法は、DNA合成酵素によるDNA合成反応の時間を飛躍的に長くすることが可能であり、遠心処理のような検体の前処理を必要とせずに、非放射性標識を用いて、一段階で十分高い感度を得ることができる。
【0099】
また、この発明によるDNA合成酵素活性の測定方法によれば、DNAポリメレースの活性を放射性同位体を用いずに、非放射的に測定することが可能となる。
【0100】
さらに、この発明によると、抗DNA合成酵素抗体の抗体価を簡便に測定できる方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】この発明によるDNA合成酵素活性の測定方法の具体例における各工程を模式的に示す図。
【図2】この発明によるDNA合成酵素活性の測定方法に従って求めた、DNA合成反応の時間が15分の場合の、逆転写酵素濃度と 450nmでの吸光度との関係を示す標準曲線を表わすグラフ。
【図3】この発明によるDNA合成酵素活性の測定方法に従って求めた、DNA合成反応の時間が 1.5時間の場合の、逆転写酵素濃度と 450nmでの吸光度との関係を示す標準曲線を表わすグラフ。
【図4】この発明によるDNA合成酵素活性の測定方法に従って求めた、DNA合成反応の時間が 5時間の場合の、逆転写酵素濃度と 450nmでの吸光度との関係を示す標準曲線を表わすグラフ。
【図5】この発明によるDNA合成酵素活性の測定方法に従って求めた、DNA合成反応の時間が 9時間の場合の、逆転写酵素濃度と 450nmでの吸光度との関係を示す標準曲線を表わすグラフ。
【図6】この発明によるDNA合成酵素活性の測定方法に従って求めた、DNA合成反応の時間が15時間の場合の、逆転写酵素濃度と 450nmでの吸光度との関係を示す標準曲線を表わすグラフ。
【図7】この発明によるDNA合成酵素活性の測定方法に従って求めた、DNA合成反応の時間が20時間の場合の、逆転写酵素濃度と 450nmでの吸光度との関係を示す標準曲線を表わすグラフ。
【図8】上記図1ないし図7に示される標準曲線から求められた検出限界濃度と、DNA合成反応の時間との関係を示すグラフ。
【図9】この発明によるDNA合成酵素活性の測定方法に従って求めた、DNAポリメレース濃度と 450nmでの吸光度との関係を示す標準曲線を表わすグラフ。
【図10】この発明による抗DNA合成酵素抗体の抗体価の測定方法に従って、HIV抗体検査で陽性ではあるもののAIDSは発症していない患者について得られた、抗逆転写酵素抗体による逆転写酵素の活性の阻害の程度を示すグラフ。
【図11】この発明による抗DNA合成酵素抗体の抗体価の測定方法に従って、AIDS患者について得られた、抗逆転写酵素抗体による逆転写酵素の活性の阻害の程度を示すグラフ。
【図12】この発明による抗DNA合成酵素抗体の抗体価の測定方法に従って、正常人について得られた、抗逆転写酵素抗体による逆転写酵素の活性の阻害の程度を示すグラフ。
【図13】この発明によるDNA合成酵素活性の測定方法に従って求めた、各種レトロウイルスの逆転写酵素の活性を示すグラフ。
【図14】この発明によるDNA合成酵素活性の測定方法に従い、比色法を用いて得られた、ウイルス検出の結果を示すグラフ。
【図15】市販の検出キットであるp24検出キットを用いて得られた、ウイルス検出の結果を示すグラフ。
【図16】市販の検出キットである blanched DNA検出キットを用いて得られた、ウイルス検出の結果を示すグラフ。
【図17】従来の逆転写酵素活性の測定方法の一例における各工程を模式的に示す図。
【図18】この発明による酵素活性測定方法において、ポリAを固相化したプレートを用いた場合の感度と、オリゴdT固相化プレートを用いた場合の感度とを比較して示すグラフ。
【図19】各種薬剤の存在下における、HIV-1 043株の感染能を示すグラフ。
【図20】各種薬剤の存在下における、HIV-1 046株の感染能を示すグラフ。
【符号の説明】
【0102】
1、 171…容器、 2…ポリA、 172…ポリdA、 3、 173…オリゴdT、4…DNAポリメレース、 174…逆転写酵素、 5、 175…dUTP、6、 176…ビオチン、 7、 177…酵素、 8、 178…ストレプトアビジン、9、 179…DNA、10、 180…基質

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DNA合成酵素の鋳型であり、かつ固相化された状態のヌクレオチドと、該ヌクレオチド鎖に相補的であり、かつ非放射性標識されたデオキシリボヌクレオチド、プライマー及び界面活性剤を含有する反応液と検体とを所定の容器において接触させてDNA合成反応を行ない、次いで、固定化された該非放射性標識を選択的に測定することを具備するDNA合成酵素の活性測定方法。
【請求項2】
前記DNA合成酵素がDNAポリメレースであり、かつ容器に固相化されるヌクレオチド鎖がポリdAである請求項1記載の方法。
【請求項3】
DNA合成酵素の鋳型であり、かつ固相化された状態のヌクレオチド鎖と、該ヌクレオチドを鋳型とするDNA合成酵素、該ヌクレオチド鎖に相補的であり、かつ非放射性標識されたヌクレオチド、プライマー及び界面活性剤を含有する反応液と検体とを所定の容器において接触させてDNA合成反応を行ない、次いで、固定化された該非放射性標識を選択的に測定することを具備するDNA合成酵素に対する抗体の抗体価の測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−187293(P2006−187293A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−35310(P2006−35310)
【出願日】平成18年2月13日(2006.2.13)
【分割の表示】特願平7−2875の分割
【原出願日】平成7年1月11日(1995.1.11)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】