説明

非木材パルプの無塩素漂白方法

【課題】非木材パルプの漂白において、漂白剤として塩素系薬品をまったく使用せず、過酸化物のみで、漂白コストの増大を最小限にとどめ、かつパルプ粘度を維持しながら、非木材パルプを高白色度に漂白する方法を提供する。
【解決手段】非木材パルプを高白色度に漂白する方法において、キレート剤または酸でパルプを処理し、該処理パルプに過酸化物を添加し第1段の漂白処理を行い、次いで洗浄せず更に過酸化物を添加して第2段の漂白処理をすることを特徴とする、非木材パルプの無塩素漂白方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非木材パルプの漂白方法に関し、さらに詳しくは、まったく塩素系漂白剤を使用しない非木材パルプの漂白に関する方法である。
【背景技術】
【0002】
非木材パルプとは、木材繊維以外の繊維質から得られるパルプである。製紙用に利用される非木材植物では、コウゾ、ミツマタ、ガンピ、亜麻、大麻、ケナフ、チョマ、ジュート、サンヘンプ、綿、単子葉植物では、マニラ麻、サイザル麻、エスパルト、竹、イネワラ、ムギワラ、サトウキビバガス、アシ等がある。
【0003】
これらの植物は、蒸解処理によりパルプ化される。蒸解処理としては、ソーダ法(NaOH)、亜硫酸塩法(Na2SO4、NaOH)、クラフト法(Na2S、NaOH)、ソーダ灰法(NaCO)などがある。蒸解後ビーターで叩解、洗浄を行う。次いで、除塵後、ポーチャー、タワーなどで漂白される。漂白方法としては、麻類のパルプ(亜麻、大麻、ジュートなど)は次亜塩素酸ナトリウム、塩素−アルカリ−次亜塩素酸ナトリウムの3段で漂白される。木本靭皮のパルプは晒粉、次亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウムなどで漂白される。マニラ麻パルプは用途に応じて、過酸化水素、晒粉、塩素などで漂白される。穀物ワラのパルプは、次亜塩素酸塩、塩素−アルカリ−次亜塩素酸ナトリウムの3段で漂白される。サトウキビバガスのパルプについては、次亜塩素酸塩、過酸化水素、塩素−アルカリ−次亜塩素酸ナトリウムの3段で漂白される。
【0004】
非木材パルプを高白色度に漂白する方法として、靭皮繊維を酵素でパルプ化した後、酸化剤或いは還元剤或いはこれらの組み合わせで漂白方法を開示している(特許文献1参照)。この方法によると、塩素系漂白剤或いはその組み合わせで漂白した場合高白色度のパルプが得られているが、ダイオキシン或いはクロロホルム等の有機塩素化合物が生成し、環境を汚染するとの問題がある。また、酸化剤として過酸化水素を使用した場合は、パルプ中の多量の重金属のために、過酸化水素が無駄に分解され、高白色度に漂白することは難しい。
【0005】
非木材は、木材に比べ成長が早いことから繊維中に多量の金属を含有しており、パルプ化した後も多量の金属を含有しているために非塩素系漂白剤である過酸化水素による非木材パルプの高白色度化を難しくしている。
【0006】
過酸水素で漂白する方法としては、椰子の実の繊維の漂白方法として過酸化水素を主成分とする漂白剤による漂白方法が開示されている(特許文献2参照)。この方法は、過酸化水素の他に苛性ソーダ、ソーダ塩、界面活性剤で漂白する方法であるが、過酸化水素の安定剤としてソーダ塩を主成分(ケイ酸ソーダと思われる)とする安定剤が使用されている。しかし、高白色度に漂白する場合はこの安定剤では不十分であり、多量に使用した場合はスケールの生成などの問題がある。
【0007】
靭皮原料をシュウ酸またはシュウ酸塩、過酸化水素または過酸化水素発生剤、アルカリ金属の炭酸塩、キレート化剤及び水からなる混合液またはこれにアントラキノン類を加えた混合液を用い、60〜130℃の温度で蒸解する方法が開示されている(特許文献3参照)。この方法は蒸解について開示している方法であり、原料中の重金属による過酸化水素の分解防止対策については何ら開示されておらず、靭皮パルプを高白色度にすることはできない。
【0008】
非木質リグノセルロース基材の改良アルカリ性過酸化物処理法として、過酸化水素の使用が開示されているが、この目的は非木質リグノセルロース農産不要残渣を人間または反芻動物のための食用繊維を得ることを目的とし、高白色度に漂白することを目的としていない(特許文献4参照)。
【0009】
非木材パルプの過酸化水素による漂白において、多量の重金属による過酸化水素の無駄分解防止対策として、次亜塩素酸塩とキレート剤による前処理後、過酸化水素漂白を行う方法が開示されている(特許文献5参照)。この方法は、重金属を除去して次段の過酸化水素漂白の効率を改善して、高白色度に漂白できるが塩素系化合物を使用しているために有機塩素化合物が生成し、環境にとって好ましくはない。
【0010】
高白色度の非木材機械パルプの製造法として、過炭酸ソーダまたはアルカリ炭酸塩と過酸化水素を漂白液として漂白し、次いで漂白された繊維原料を機械的に解繊し、パルプを製造する方法が開示されている(特許文献6参照)。この方法はパルプ中の重金属に対して何ら対策がなされておらず、パルプを高白色度に漂白することはできない。
【特許文献1】特開昭54−68402号公報
【特許文献2】特開昭60−181390号公報
【特許文献3】特開昭63−264991号公報
【特許文献4】特開平2−119751号公報
【特許文献5】特開2001−140181号公報
【特許文献6】特開2003−147690号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、非木材パルプの漂白で、漂白剤として塩素系薬品をまったく使用せず、過酸化物のみで、漂白コストの増大を最小限にとどめ、かつパルプ粘度を維持しながら、非木材パルプを高白色度に漂白することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者等は、非木材パルプの漂白方法について鋭意研究した結果、キレート剤または酸で非木材パルプを処理した後、2段階の過酸化物処理の間に洗浄することなく漂白を行うことにより、極めて効果的に高白色度化された非木材パルプが得られることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下のようである。
【0013】
(1)非木材パルプを高白色度に漂白する方法において、キレート剤または酸でパルプを処理し、該処理パルプに過酸化物を添加し第1段の漂白処理を行い、次いで洗浄せずに更に過酸化物を添加して第2段の漂白処理をすることを特徴とする、非木材パルプの無塩素漂白方法。
(2)第1段の漂白処理で、珪酸ソーダを添加する前記(1)記載の非木材パルプの無塩素漂白方法。
(3)第1段の漂白処理で、キレート剤及びマグネシウム塩を添加する前記(1)記載の非木材パルプの無塩素漂白方法。
(4)キレート剤がアミノカルボン酸系キレート剤および一般式(1)で表されるアミノアルキルリン酸系キレート剤から選ばれた少なくとも1種である前記(1)記載の非木材パルプの無塩素漂白方法。
【0014】
【化1】

(式中のXは水素、アンモニウムまたはアルカリ金属を示し、mは2〜3の整数、nは0〜3の整数を示す。)
【0015】
(5)酸処理温度が85℃以上である前記(1)記載の非木材パルプの無塩素漂白方法。
(6)第1段と第2段の過酸化物の添加量の比率が1:9〜5:5である前記(1)記載の非木材パルプの無塩素漂白方法。
(7)過酸化物が過酸化水素である前記(1)記載の非木材パルプの無塩素漂白方法。
(8)非木材パルプが、アバカ、ケナフ、ワラ、バカスである前記(1)記載の非木材パルプの無塩素漂白方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、少量の過酸化水素を使用して高白色度の非木材パルプを経済的に得ることができる。また、過酸化水素を使用するためにパルプ中、または排水中に有機塩素化合物等の有害物質も残留、または排出せず環境的にも非常にクリーンなパルプを経済的に製造することができる。さらに、得られたパルプの物性においても塩素系化合物を使用していないため、塩素系化合物の残留を嫌うような用途に使用できるとのメリットがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に用いられる非木材は、コウゾ、ミツマタ、ガンピ、亜麻、大麻、ケナフ、チョマ、ジュート、サンヘンプ、綿、マニラ麻、サイザル麻、エスパルト、竹、稲ワラ、麦ワラ、サトウキビバガス、アシ等がある。これらの非木材は、ソーダ法、亜硫酸塩法、クラフト法、ソーダ灰法等の蒸解法によりパルプ化される。これらの非木材種、蒸解法は特に限定されるものではない。
【0018】
これらの蒸解法で蒸解された非木材パルプは、まずキレート剤処理(QまたはQ段と略する場合がある)される。パルプの状態にもよるが、たとえばパルプ濃度1〜40重量%、好ましくは2〜10重量%、温度は5〜80℃、好ましくは10〜60℃、処理時間は5〜300分、好ましくは30〜180分、pHは4〜9、好ましくは5〜8で実施される。Q段処理のパルプは、脱水機により分離され、好ましくは洗浄を受ける。
【0019】
使用されるキレート剤は、アミノカルボン酸系キレート剤及び、一般式(1)で表されるアミノアルキルリン酸系キレート剤から選ばれた少なくとも1種類のキレート剤である。
【0020】
【化2】

(式中のXは水素、アンモニウムまたはアルカリ金属を示し、mは2〜3の整数、nは0〜3の整数を示す。)
【0021】
アミノカルボン酸系キレート剤として、具体的にはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン−N,N’,N”−トリ酢酸(HEDTA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、シクロヘキサンジアミン四酢酸(CyDTA)等、およびそれらの塩、アミノアルキルリン酸系キレート剤としてアミノトリメチレンホスホン酸(ATMP)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMPA)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸(DTPMPA)、プロピレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(PDTMPA)等、およびそれらの塩が挙げられる。その使用量はパルプ及び用水中に含まれる重金属量によって異なるが、絶乾パルプ当たり0.01〜5.0重量%、好ましくは0.05〜1.0重量%である。
【0022】
過酸化物漂白の前処理として、Q段の代わりに酸処理(AまたはA段と略する)を行うことができる。パルプの状態にもよるが、たとえばパルプ濃度1〜40重量%、好ましくは2〜10重量%、温度は5〜100℃、好ましくは85℃〜95℃、処理時間は5〜300分、好ましくは90〜180分、pHは1〜3.5で実施される。A段処理のパルプは脱水機により分離され、好ましくは洗浄を受ける。A段処理の酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、亜硫酸、ギ酸、酢酸等の無機酸、有機酸が使用される。
【0023】
A段またはQ段処理後のパルプは、第1段の過酸化物漂白に供される(P1またはP1段と略する場合がある)。この処理において、パルプは過酸化物により漂白作用を受ける。P1段における過酸化物としては、過酸化水素、過酸化水素と無機塩類との付加物、過酸化ソーダ、過硫酸塩類、過ギ酸、過酢酸等の無機及び有機の過酸化物が使用でき、一般には過酸化水素が好適に使用される。過酸化水素の使用量は、100重量%過酸化水素換算で絶乾パルプあたり0.05〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%である。
【0024】
過酸化物として過酸化水素を使用する場合のアルカリ剤としては、苛性ソーダ、苛性カリ、石灰、ソーダ灰等が使用できる。中でも苛性ソーダは安価であることから好適に使用できる。アルカリ剤の使用量は、漂白初期pHを10.5〜11.5に調整する量である。
【0025】
本発明では、高白色度の非木材パルプを安定剤なしでも得られるが、非木材パルプの種類によっては過酸化物安定剤を使用した方がより好ましい場合がある。安定剤としては、ケイ酸ソーダ、マグネシウム化合物、キレート剤が使用される。ケイ酸ソーダの使用量は、絶乾パルプあたり1〜10重量%である。キレート剤としては、前処理のQ段で使用されたものと同様なものが使用される。その使用量は、絶乾パルプあたり0.05〜1重量%である。キレート剤を使用する時は、マグネシウム化合物を併用することが特に好ましい。マグネシウム化合物としては、硫酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、硝酸マグネシウム化合物が使用できるが、一般には硫酸マグネシウムが使用される。マグネシウム化合物の使用量は、マグネシウムイオンとして0.005〜1.0重量%、好ましくは0.01〜0.5重量%である。
【0026】
P1段のパルプ濃度は5〜35%、好ましくは10〜30重量%である。温度は35〜90℃、好ましくは40〜70℃である。処理時間は15〜120分である。
【0027】
本発明のQまたはA−P1によって得られたパルプは、洗浄せずに第2段の過酸化水素漂白(P2またはP2段と略する場合がある)により漂白される。P2段は安定剤を添加せず、過酸化水素とアルカリ剤を添加して引き続き漂白される。過酸化水素の使用量は、100重量%過酸化水素換算で絶乾パルプあたり0.05〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%である。アルカリ剤としては、P1と同様であり、使用量は、漂白初期pHを10.5〜11.5に調整する量である。P2段のパルプ濃度は5〜30%、好ましくは10〜30重量%である。温度は35〜90℃、好ましくは40〜70℃である。処理時間は15〜300分、好ましくは30〜180分である。
【実施例】
【0028】
次に実施例により本発明法を具体的に説明する。各薬品の使用量は絶乾パルプ当たりの重量%で示し、過酸化水素の使用量は、100%過酸化水素換算である。使用した非木材パルプ及び分析評価の方法は、下記の通りである。
パルプ種:フィリピンアバカパルプ(苛性ソーダ蒸解)
ハンター白色度:39.1%
金属量:Cu1.3ppm Fe104ppm Mn87ppm
ヘキセンウロン酸(HexA)量:35.20μmol/gパルプ
分析評価
・白色度:JIS−P8123(ハンター白色度法)
・褪色試験:80℃−RH65%のオーブンに入れ、24h熱処理した。その後白色度を測定しPC価を計算した。
【0029】
【数1】

【0030】
実施例1
フィリピンアバカパルプについて、下記条件に従ってQ−P1P2による漂白を行った。
・Q処理(キレート剤処理)
1)DTPA:0.2%、処理初期pH:6.0、パルプ濃度:10%、処理温度:30℃、処理時間:2時間の条件で処理した。
2)処理後、水にてパルプ濃度2.5%に希釈した後、パルプ濃度20%に脱水した。
P1処理(過酸化物処理)
3)H:1.5%、NaOH:0.8%、パルプ濃度:10%、処理温度:70℃、処理時間:2時間の条件で処理した。
・洗浄なし
・P2処理(過酸化物処理)
4)H:1.5%、NaOH:0.2%、パルプ濃度:10%、処理温度:70℃、処理時間:2時間の条件で処理した。
・洗浄・抄紙
5)反応終了後、水にてパルプ濃度0.8%に希釈・離解し、亜硫酸水でpH5.5に調整後ブフナーロート上にて脱水した。
6)一夜風乾後ハンター白色度を測定した。
【0031】
実施例2
実施例1のP1処理時にケイ酸ソーダ3%添加した以外は、実施例1と同様に行った。
【0032】
実施例3
実施例1のP1処理時にDTPA0.25%、MgSO4 1.5%添加した以外は、実施例1と同様に行った。
【0033】
比較例1
実施例1のQ処理後のパルプを次の条件で、過酸化水素単段で漂白した以外、実施例1と同様に行った。
:3.0%、NaOH:2.0%、パルプ濃度:10%、処理温度:70℃、処理時間:3時間の条件で処理した。
【0034】
比較例2
実施例2のQ処理後のパルプを次の条件で、過酸化水素単段で漂白した以外、実施例2と同様に行った。
:3.0%、NaOH:2.0%、ケイ酸ソーダ:3.0%、パルプ濃度:10%、処理温度:70℃、処理時間:3時間
【0035】
比較例3
実施例3のQ処理後のパルプを次の条件で、過酸化水素単段で漂白した以外、実施例3と同様に行った。
:3.0%、NaOH:2.0%、DTPA0.25%、MgSO4 1.5%、パルプ濃度:10%、処理時間:3時間
【0036】
【表1】

【0037】
表1のように、本発明の場合、過酸化水素単段漂白に比較して、過酸化水素漂白時の安定剤なしでも高白色度が得られた。本発明の場合、P2段の過酸化水素の安定性が非常に向上することが特徴である。
【0038】
実施例4
実施例1のQ処理の代わりに、下記条件のA処理を実施した以外、実施例1と同様に行った。
・A処理(酸処理)
1)H2SO4:2%、処理初期pH:2.0、パルプ濃度:10%、処理温度:50℃、処理時間:2時間の条件で処理した。
【0039】
実施例5
実施例2のQ処理の代わりに、A処理を実施した以外、実施例2と同様に行った。
【0040】
実施例6
実施例3のQ処理の代わりに、A処理を実施した以外、実施例3と同様に行った。
【0041】
比較例4
比較例1のQ処理の代わりに、A処理を実施した以外、実施例1と同様に行った。
【0042】
比較例5
比較例2のQ処理の代わりに、A処理を実施した以外、比較例2と同様に行った。
【0043】
比較例6
比較例3のQ処理の代わりに、A処理を実施した以外、比較例3と同様に行った。
【0044】
【表2】

【0045】
表2の前処理として、酸処理を実施した場合の本発明の効果について記した。その結果、Q処理と同様A処理においても本発明が優れていた。
【0046】
実施例7
実施例4のA処理温度を85℃とした以外、実施例4と同様に行った。
【0047】
【表3】

【0048】
実施例8〜11
実施例1において、P1とP2の過酸化水素の添加量の比率を1:9、2.5:7.5、7.5:2.5、9:1とした以外、実施例1と同様に行った。
【0049】
【表4】

【0050】
P1とP2の比率について表4に記した。その結果、1:9〜5:5の範囲が最も良好な漂白結果を示した。P1で少量の過酸化水素で処理することにより、P2での過酸化水素の安定性が向上し、高白色度のパルプが得られる。従って、設備面では、P1はP2に比べて小さな漂白タワーでよく、高白色度に漂白するための設備コストが最小限に抑えられるとのメリットがある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非木材パルプを高白色度に漂白する方法において、キレート剤または酸でパルプを処理し、該処理パルプに過酸化物を添加し第1段の漂白処理を行い、次いで洗浄せずに更に過酸化物を添加して第2段の漂白処理をすることを特徴とする、非木材パルプの無塩素漂白方法。
【請求項2】
第1段の漂白処理で、珪酸ソーダを添加する請求項1記載の非木材パルプの無塩素漂白方法。
【請求項3】
第1段の漂白処理で、キレート剤及びマグネシウム塩を添加する請求項1記載の非木材パルプの無塩素漂白方法。
【請求項4】
キレート剤が、アミノカルボン酸系キレート剤および一般式(1)で表されるアミノアルキルリン酸系キレート剤から選ばれた少なくとも1種である請求項1記載の非木材パルプの無塩素漂白方法。
【化1】

(式中のXは水素、アンモニウムまたはアルカリ金属を示し、mは2〜3の整数、nは0〜3の整数を示す。)
【請求項5】
酸処理温度が85℃以上である請求項1記載の非木材パルプの無塩素漂白方法。
【請求項6】
第1段と第2段の過酸化物の添加量の比率が、1:9〜5:5である請求項1記載の非木材パルプの無塩素漂白方法。
【請求項7】
過酸化物が過酸化水素である請求項1記載の非木材パルプの無塩素漂白方法。
【請求項8】
非木材パルプが、アバカ、ケナフ、ワラ、バカスである請求項1記載の非木材パルプの無塩素漂白方法。

【公開番号】特開2008−13859(P2008−13859A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−183404(P2006−183404)
【出願日】平成18年7月3日(2006.7.3)
【出願人】(000004466)三菱瓦斯化学株式会社 (1,281)
【Fターム(参考)】