説明

非水性担体を用いた徐放性製剤

本開示は、活性医薬成分(例えば、エクセナチド)を含有するマイクロスフェアを含む一成分の注射用徐放性製剤を提供し、ここで、マイクロスフェアは非水性担体中に懸濁されている。非水性担体は、油、分画油、トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド、プロピレングリコール脂肪酸ジエステルなどであってもよい。当該製剤は、製剤の安定性および効力の長期保存性、ならびに投薬頻度を減らしかつ患者コンプライアンスの向上させる活性医薬成分の徐放性という明らかな利点を与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2008年9月4日付けで出願された米国特許出願第61/094,381号の優先権を主張するものであり、その開示をここに出典明示して本明細書の一部とみなす。
【背景技術】
【0002】
注射用徐放性製剤は、単回注射後長期間にわたり治療量の活性医薬成分を提供する機会を与えるため、1日1回または2回の注射の必要性がなくなる。現在入手可能な、例えばマイクロスフェアおよび水性担体を利用する注射用徐放性製剤は、いくつかの不利な点を持つ。それらの製剤は、水性担体中の長期間の安定性を与えないため、マイクロスフェアと水性担体を別々に包装および保管する必要があり、患者は、注射を行う前にマイクロスフェアと水性担体を組み合わせるためのいくつかの段階を経なければならない。
【0003】
現在入手可能な注射用マイクロスフェア製剤のもう一つの不利な点は、注射後の大量のバースト放出であり、これにより、単一バーストでの活性医薬成分の望ましくないインビボの放出が生じる。薬剤が有毒または有害な副作用を有する場合、これは望ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
活性成分がインビボで長期間にわたり放出され、かつ許容されない初期バースト放出がないように、徐放性医薬製剤を、患者に安全に投与するための製剤および方法の必要性が存在する。理想的には、レベルを治療域内、すなわち、所望の臨床効果を生じるのに必要な濃度を超えるが、望ましくない副作用が薬剤の利点を上回る濃度よりも低く維持するように活性成分が放出される。また、この活性医薬成分は、患者が自己投与するのに容易かつ簡便な方法で提供され、液体状態で長期間にわたり安定性を維持する製剤中で提供される必要がある。本開示は、これらおよびその他の重要な目的に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、活性医薬成分を含有するマイクロスフェアを含む製剤を提供し、このマイクロスフェアは、医薬上許容される非水性担体中に懸濁されている。この製剤は一成分の注射用マイクロスフェア製剤であるため、患者は注射に先立ち製剤を医薬上許容される担体と混合させる必要がない。本開示は、担体中での組成物の長期保存、活性医薬成分の徐放、より複雑でない担体、より容易に製造される担体、より複雑でない注射送達装置、より少ない成分を含むキットおよび患者による使用の容易さを提供することにより、従来の二成分製剤を超える明らかな利点を提供する。
【0006】
本開示は、C〜C12脂肪酸を含む1または複数のトリグリセリドから実質的になる医薬上許容される担体;および約1%〜10%(w/w)エクセナチドおよび約0.1%〜5%(w/w)の糖をその中に分散させたポリ(ラクチド−co−グリコリド)ポリマー(ここで、ポリマー中のラクチド:グリコリドの比は、約70:30〜30:70または約1:1)から実質的になるマイクロスフェアを含む徐放性製剤を提供する。一実施形態において、エクセナチドは1%〜5%(w/w)または5%(w/w)の量で存在し、かつ糖が2%(w/w)の量で存在する。糖は、例えば、グルコース、デキストロース、ガラクトース、マルトース、フルクトース、マンノース、スクロース、ラクトース、トレハロース、ラフィノース、アカルボース、グリコール、グリセロール、エリスリトール、トレイトール、アラビトール、リビトール、ソルビトール、ズルシトール、イジトール、イソマルト、マルチトール、ラクチトール、マンニトール、キシリトールまたはこれらの2以上の組合せであってもよい。一実施形態において、糖はスクロースである。製剤は、担体中にマイクロスフェアが懸濁されている懸濁剤である。一実施形態において、放出期間中のエクセナチドの平均血清中濃度(Cave)に対する放出期間中のエクセナチドの最大血清中濃度(Cmax)の比が約3以下である放出プロフィールを提供するために、マイクロスフェアの全細孔容積は、水銀圧入ポロシメトリーを用いて測定した約0.1mL/g以下である。さらに、マイクロスフェアは油(すなわち、本明細書に開示される担体)中で製剤化されるが、マイクロスフェアは、マイクロスフェアの内部空間もしくは細孔内または相当数の内部空間もしくは細孔内に油を必ずしも含有するわけではなく、まだ本明細書に開示される驚くべき特性を得ることができる。
【0007】
本開示は、医薬上許容される非水性担体と、生体適合性の生物分解性ポリマーおよび活性医薬成分を含むマイクロスフェアとを含む徐放性製剤を提供する。一実施形態において、放出期間中の活性医薬成分の平均血清中濃度(Cave)に対する、放出期間中の活性医薬成分の最大血清中濃度(Cmax)の比が約3以下である放出プロフィールを提供するために、マイクロスフェアの全細孔容積は、水銀圧入ポロシメトリーを用いて測定した約0.1mL/g以下である。さらに、マイクロスフェアは油(すなわち、本明細書に開示される担体)中で製剤化されるが、いくつかの実施形態において、内部空間もしくは細孔内に油を含まないか、またはマイクロスフェアの相当数の内部空間もしくは細孔内に油を有しなく、まだ本明細書に開示される驚くべき特性を得ることができる。製剤は、担体中にマイクロスフェアが懸濁されている懸濁剤である。非水性担体は、分画油、トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド、プロピレングリコール脂肪酸ジエステルなどのような油であってもよい。
【0008】
一実施形態において、活性成分は担体に可溶ではない。他の様々な実施形態において、活性成分は、0.01mg/ml未満、または0.05mg/ml未満、または0.1mg/ml未満、または0.5mg/ml未満、または1mg/ml未満の担体中の溶解度を有する。さらに他の実施形態において、活性医薬成分は、製剤中の活性成分の10%未満が担体内に含有され、残りの90%が微粒子内に含有されるような、担体中の溶解度を有する。さらなる実施形態において、活性成分の5%未満、または2%未満、または1%未満、または0.5%未満が担体中に含有される。ある活性成分を即時に使用可能にすることが望ましいさらなる実施形態において、医薬上有効量の活性成分を直接担体内に組み込んでもよい。
【0009】
本開示は、患者または医療サービス提供者が使用可能なキットを提供する。キットには、本発明の製剤を有する容器および使用説明書が含まれる。一実施形態において、容器はペン型注射器である。ペン型注射器は、単回投与ペン型注射器または複数回投与ペン型注射器であってもよい。一実施形態において、容器はバイアルであり、バイアルは単回投与バイアルまたは複数回投与バイアルであってもよい。もう一つの実施形態において、容器は注入装置で用いるカートリッジのようなカートリッジである。カートリッジは、単回投与または複数回投与カートリッジであってもよい。様々な実施形態において、キットには、本発明の製剤を収容する1個、2個、3個、4個または5個以上の容器も含まれる。この製剤の1つのさらなる利点は、一実施形態において、容器が保存剤を含まずに提供されることである。しかし、他の実施形態において、保存剤は選択された担体に可溶であり、製剤中に提供され得る。
【0010】
図1〜6の各々に関して、マイクロスフェアは、実施例1に記載したエクセナチドをその中に分散させたポリ(ラクチド−co−グリコリド)コポリマーを含む。図2〜6の各々に関して、油性担体は、MIGLYOL(登録商標)812(Sasol Germany GmbH,Witten,Germany)として商業的に入手可能な中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、マイクロスフェアの4つの異なる製剤の薬物動態の比較を提供する。3つの製剤では、担体は油(例えば、ゴマ油;MIGLYOL(登録商標)812;オレイン酸エチル)であった。比較用製剤では、担体は水性希釈剤であった。
【図2】図2は、雄性Sprague Dawleyラットにおける油性担体を含むマイクロスフェア製剤および水性担体を含むマイクロスフェア製剤の経時的血漿エクセナチド濃度の、図1から推定されるデータのグラフシミュレーション(すなわち、ナノパラメトリックの重ね合せ)である。エクセナチドの血漿中濃度プラトーは、約5回の投与後に達し得る。
【図3】図3は、水性担体中のマイクロスフェアを含む製剤と比較した、油性担体中のマイクロスフェアを含む製剤のインビトロ放出を示す。
【図4】図4は、油性担体中のマイクロスフェアを含む製剤および水性担体中のマイクロスフェアを含む製剤の、ラットにおける10時間にわたるインビボ放出プロフィールを示す。
【図5A】図5Aは、油性担体を有する実施例1のマイクロスフェアを含む製剤中で保管した場合のエクセナチドの、5℃で9か月および25℃で6か月にわたる純度を、実施例1の乾燥マイクロスフェア中で保管されたエクセナチドの純度と比較したものを示す。エクセナチドの純度を強陽イオン交換HPLCにより測定した。
【図5B】図5Bは、油性担体を有する実施例1のマイクロスフェアを含む製剤中で保管した場合のエクセナチドの、5℃で9か月および25℃で6か月にわたる純度を、実施例1の乾燥マイクロスフェア中で保管されたエクセナチドの純度と比較したものを示す。エクセナチドの純度を逆相HPLCにより測定した。
【図6】図6は、マイクロスフェアが油性担体中に懸濁された製剤(1つの製剤は5℃で保管する、1つの製剤は25℃で保管する)中でのエクセナチドの安定性/効力を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、活性医薬成分(API)の徐放のための、医薬上許容される担体中に供される徐放性組成物を提供する。製剤は、活性医薬成分をその中に分散させた生体適合性の生物分解性ポリマーからなるマイクロスフェアを含んでよく、マイクロスフェアは非水性担体中に懸濁されている。マイクロスフェアを容器中に乾燥保管する必要がある一方で、液体担体を別の容器中で保管し得るため、注射前に患者がこの2つを一緒に混合しなければならないことを必要とする二成分製剤に対し、当該製剤は一成分の注射用製剤である。当該製剤は、非水性液体担体中での医薬組成物の長期安定性という利便性をもたらし、注射に先立ち患者が医薬上許容される担体を医薬組成物に添加するいずれの必要もなくなる。当該製剤は、患者による使用が容易な単一容器で提供され、患者は、同容器から製剤を注射する前に製剤を軽く撹拌することが必要なだけである。提供される容器がまた注入装置である場合、製剤を注入する段階さえ消失させる。本明細書に記載の製剤は、活性医薬成分のバースト放出を実質的に低減させるというさらなる重要な利点をもたらす。したがって、高濃度の有毒な作用を有する活性医薬成分でさえ、本明細書に記載の製剤を用いて安全に投与することができる。
【0013】
「患者」なる用語は、哺乳動物を指し、ヒト、愛玩動物、家畜、動物園の動物などを包含する。一実施形態において、患者はヒトである。
【0014】
「治療すること」または「治療」なる用語は、疾患もしくは障害、または疾患もしくは障害の素因を有する患者に、病気、あるいは疾患もしくは障害、または疾患もしくは障害の素因の少なくとも1つの症状の進行または悪化を緩和、軽減、治療、改善、遅延または停止する目的で、1または複数の活性医薬成分を投与することをいう。
【0015】
「エクセナチド」は、エキセンジン−4と同一の意味およびアミノ酸配列を有する。より詳細には、エクセナチドは、アメリカドクトカゲ(Gila monster)の毒から単離されたペプチドであるエキセンジン−4と同一アミノ酸配列を有する合成ペプチドである。
【0016】
一成分製剤
従来の注射用製剤は、少なくとも2つの成分を含有していた。第一の成分は乾燥マイクロスフェアであり得、第二の成分は医薬上許容される水性担体であり得る。第一の成分と第二の成分は、別々の密閉容器(例えば、バイアル、注射ペンのチャンバー)中に保管される。患者は二成分製剤を受け取り、患者または薬剤師は、注射に先立ち2つの成分を物理的に一緒に混合しなければならない。注射ペンの場合、患者に注射する直前に2つの成分を混合する。二成分製剤は通常、医薬上許容される担体と混合された後、短時間のうちに患者に投与される。例えば、マイクロスフェア成分と医薬上許容される水性担体を混合し、次いで、その製剤を約30分または60分以内に患者に投与する。
【0017】
本明細書に記載の製剤は、一成分の注射用製剤である。一成分の注射用製剤は、提供されるマイクロスフェアおよび医薬上許容される担体を同一容器内に含み、かつマイクロスフェアと医薬上許容される担体を最初に混合する必要性がなくして患者に投与し得る製剤をいう。したがって、一成分製剤は、予め混合された注射用製剤として製造される。一成分製剤は、製造、輸送、保管および患者による使用にかなりの利便性を提供する。
【0018】
もう一つの実施形態において、本明細書に記載の一成分製剤は、密閉容器中で提供される。「密閉容器」とは、その製造完了時以来、未開封、未穿孔または何も導入されていない容器をいう。製造完了時とは、製剤を保持する容器が最初に密閉された時点のことである。容器は、バイアル(単回使用または複数回使用)、注射器、注射ペン(例えば、単回使用または複数回使用)などを含む。
【0019】
担体
「担体」(またはビヒクル)とは、医薬上許容される非水性の液体物質をいう。担体は、本明細書に記載のマイクロスフェアと相互作用しないように実質的に不活性であり、かつ患者に悪影響を及ぼさないように無毒である。担体は、好ましくは、ヒトのような哺乳動物における使用のために、連邦政府もしくは州政府の規制当局により認可されているかまたは認可待ちである、あるいは米国薬局方または他の一般的に認識されている薬局方に収載されている。「担体」なる用語は、1または複数の化合物を包含し得る。担体は、マイクロスフェアを形成するポリマーをこの担体が可溶化しないという点で非可溶化担体である。さらなる実施形態において、担体は、マイクロスフェア内の1または複数の活性医薬成分を可溶化しない。例えば、担体は、エクセナチドまたは他の水溶性の治療用ペプチドもしくはタンパク質を可溶化しないであろう。
【0020】
「非水性」なる用語は、徐放性組成物の安定性に明らかな悪影響を及ぼさない微量の残留水を排除しない。したがって、組成物は、約0.1%(w/v)の水または約0.25%の水さえまたは0.1%(w/v)未満の水または0.25%(w/v)未満の水を有してもよく、依然として、非水性であると考えられる。担体は、マイクロスフェアの安定性に明らかな悪影響、またはバースト放出制御の明らかな喪失を有する程度にまでは、マイクロスフェアを可溶化しない。一実施形態において、担体は、生体適合性の生物分解性ポリマーに侵入または浸透せず、かつ生体適合性の生物分解性ポリマー内に分散しない。また、担体は、マイクロスフェアの安定性に明らかな悪影響を有する程度にまではマイクロスフェアの膨潤を引き起こさない。例えば、膨潤は1%未満の程度まで生じてもよく、依然として、マイクロスフェアの非膨潤である非水性担体と考えられる。
【0021】
一実施形態において、非水性担体は医薬上許容される油である。油とは、雰囲気温度またはそれよりわずかに高い温度で粘稠液の状態にあり、かつ疎水性(水と混和しない)および親油性(文字通り、他の油と混和する)の双方である物質のことである。医薬上許容される油性担体の例として、植物油および揮発性精油が挙げられる。医薬上許容される油性担体の例として、ヤシ油、パーム油、パーム核油、ゴマ油、ダイズ油、アーモンド油、ナタネ油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、ラッカセイ油、オリーブ油、ヒマシ油、ダイズ油、ベニバナ油、綿実油、オレイン酸エチルなどが挙げられる。担体は、1つの油または2以上の油の組合せを含み得る。
【0022】
一実施形態において、担体は、1つの分画油または2以上の分画油の組合せである。医薬上許容される油性担体の例として、分画ヤシ油、分画パーム油、分画パーム核油、分画ゴマ油、分画ダイズ油、分画アーモンド油、分画ナタネ油、分画トウモロコシ油、分画ヒマワリ油、分画ラッカセイ油、分画オリーブ油、分画ヒマシ油、分画ダイズ油、分画ベニバナ油、分画綿実油などが挙げられる。一実施形態において、担体は分画ヤシ油である。一実施形態において、担体は分画パーム核油である。一実施形態において、担体は、分画ヤシ油と分画パーム核油の組合せである。
【0023】
本明細書で用いた分画とは、得られる分画油が実質的に中鎖脂肪酸トリグリセリドを含むように、油から長鎖脂肪酸を除去するプロセスである。いくつかの長鎖脂肪酸が分画油中に残留し得るが、一般的には、分画油の総脂肪酸量の5wt%未満または2wt%未満の量であることを、当業者ならば理解するであろう。
【0024】
一実施形態において、担体は長鎖脂肪酸トリグリセリド、中鎖脂肪酸トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド、プロピレングリコール脂肪酸ジエステルまたはこれらの2以上の組合せである。
【0025】
一実施形態において、担体は中鎖脂肪酸トリグリセリドである。中鎖脂肪酸トリグリセリドは、合成のものでも天然のもの(例えば、ヤシ油および/またはパーム核油のような分画油から製造される)でもよい。「中鎖脂肪酸トリグリセリド」は、3つのC〜C12脂肪酸鎖を有するグリセロールのエステルをいい、この3つの脂肪酸鎖は、同一または異なっていてもよい。中鎖脂肪酸トリグリセリドは、式(I):
【0026】
【化1】

【0027】
の化合物により表される。
【0028】
式中、各xは独立して4、6、8または10である。xが4である場合、その鎖をC脂肪酸という。xが6である場合、その鎖をC脂肪酸という。xが8である場合、その鎖をC10脂肪酸という。xが10である場合、その鎖をC12脂肪酸という。様々な実施形態において、各xが同一の整数である;2つのxが同一の整数で1つのxが異なる整数である;または各xが異なる整数である。
【0029】
様々な実施形態において、中鎖脂肪酸トリグリセリドは、(i)3つのC脂肪酸;(ii)3つのC10脂肪酸;(iii)2つのC脂肪酸および1つのC10脂肪酸;(iv)2つのC10脂肪酸および1つのC脂肪酸;(v)2つのC脂肪酸および1つのC脂肪酸;(vi)2つのC10脂肪酸および1つのC脂肪酸;(vii)1つのC脂肪酸、1つのC10脂肪酸および1つのC脂肪酸;または(viii)C、C、C10およびC12脂肪酸のいずれかの他の組合せのエステルを含む。一実施形態において、中鎖脂肪酸トリグリセリドは、2つのC脂肪酸および1つのC10脂肪酸を含む。一実施形態において、中鎖脂肪酸トリグリセリドは、2つのC10脂肪酸および1つのC脂肪酸を含む。
【0030】
中鎖脂肪酸トリグリセリドの混合物は、中鎖脂肪酸トリグリセリドの調製に用いられるいずれかのプロセス(例えば、分画、水素化)により得られることを、当業者は理解するであろう。例えば、分画ヤシ油から得られる実質的にすべての中鎖脂肪酸トリグリセリドは、Cおよび/またはC10脂肪酸を含み得る;しかしながら、Cおよび/またはC12脂肪酸を含むいくつかの中鎖脂肪酸トリグリセリドも存在し得る。
【0031】
一実施形態において、中鎖脂肪酸トリグリセリドは、(i)0〜2wt%のC脂肪酸、65〜80wt%のC脂肪酸、20〜35wt%のC10脂肪酸および0〜2wt%のC12脂肪酸;(ii)0〜2wt%のC脂肪酸、50〜65wt%のC脂肪酸、30〜45wt%のC10脂肪酸および0〜2wt%のC12脂肪酸;(iii)0〜2wt%のC脂肪酸、45〜65wt%のC脂肪酸、30〜45wt%のC10脂肪酸、0〜3wt%のC12脂肪酸;および0〜5wt%のリノール酸;または(iv)0〜2wt%のC脂肪酸、45〜55wt%のC脂肪酸、30〜40wt%のC10脂肪酸、0〜3wt%のC12脂肪酸および10〜20のコハク酸のエステルを含む。一実施形態において、中鎖脂肪酸トリグリセリドは、0〜2wt%のC脂肪酸、50〜65wt%のC脂肪酸、30〜45wt%のC10脂肪酸および0〜2wt%のC12脂肪酸を含み、MIGLYOL(登録商標)812(Sasol Germany GmbH,Witten,Germany)として商業的に入手可能である。重量%はトリグリセリドの総脂肪酸量に基づく。一実施形態において、中鎖脂肪酸トリグリセリドは2%までのC14脂肪酸を含み得る。
【0032】
担体は、1つ、2つ、3つ、4つまたはそれを超える異なる中鎖脂肪酸トリグリセリドを含み得る。一実施形態において、担体は、2つのC脂肪酸と1つのC10脂肪酸のエステルを含む中鎖脂肪酸トリグリセリドを含む。一実施形態において、担体は、1つのC脂肪酸と2つのC10脂肪酸のエステルを含む中鎖脂肪酸トリグリセリドを含む。一実施形態において、担体は、2つの異なる中鎖脂肪酸トリグリセリドを含み、このうち、第一の中鎖脂肪酸トリグリセリドが2つのC脂肪酸と1つのC10脂肪酸のエステルを含み、かつ第二の中鎖脂肪酸トリグリセリドが1つのC脂肪酸と2つのC10脂肪酸のエステルを含む。一実施形態において、担体は、中鎖脂肪酸トリグリセリドの総脂肪酸含量に基づく、0〜2wt%のC脂肪酸、50〜65wt%のC脂肪酸、30〜45wt%のC10脂肪酸および0〜2wt%のC12脂肪酸を含む。
【0033】
トリグリセリドは、当該技術分野で公知の方法により調製してもよく、あるいはMIGLYOL(登録商標)810、812、818、829(Sasol Germany GmbH,Witten,Germany)またはNEOBEE(登録商標)1053、895、M−5(Stepan Company,Northfield,IL)として商業的に入手可能である。
【0034】
もう一つの実施形態において、担体は、鎖長CおよびC10の飽和植物脂肪酸(カプリル酸およびカプリン酸)のプロピレングリコールジエステルである。1つのこのような商業的に入手可能な担体の一例が、MIGLYOL(登録商標)840(Sasol Germany GmbH,Witten,Germany)である。医薬上許容される非水性担体は、他の医薬上許容される賦形剤を所望により含み得る。賦形剤の例として、糖(例えば、スクロース、グルコース、デキストロース、ガラクトース、マルトース、トレハロース、フルクトース、マルトデキストリン);糖アルコール(例えば、グリコール、グリセロール、エリスリトール、トレイトール、アラビトール、リビトール、ソルビトール、ズルシトール、イジトール、イソマルト、マルチトール、ラクチトール、マンニトール、キシリトール);保存剤(例えば、安息香酸、ソルビン酸、メタクレゾール、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、塩化ベンザルコニウムなど、一般的に油溶性であり、選択された担体にいくらか溶解するもの);および抗酸化剤(例えば、二亜硫酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、亜硫酸ナトリウム、トコフェロール、チモール、アスコルビン酸塩、没食子酸プロピルなど)が挙げられる。一実施形態において、担体は、所望により、マンニトール、マルトデキストリン、ソルビトールまたはこれらの2以上の組合せを含む。
【0035】
医薬上許容される担体は、ゲル形成剤を含有し得る;しかし、ゲル形成剤は、製剤のインビボ投与部位でゲルデポーを生じない量でのみ存在し得る。一実施形態において、医薬上許容される担体はゲル形成剤を含有しない。ゲル形成剤の例として、セルロース誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース);ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンのポリマーまたはコ−ポリマー(ポロキサマー);キトサン酸などが挙げられる。インビボでのゲル形成は、組織切片および有色色素の使用のような当該技術分野で公知の方法により決定し得ることを、当業者ならば理解するであろう。
【0036】
ある実施形態において、非水性非可溶化担体は、5cP〜200cPまたは10cP〜90cPの粘度を有する。他の実施形態において、非水性非可溶化担体の粘度は、20cP〜80cPまたは30cP〜70cPである。したがって、本開示を参照して、当業者ならば、非水性非可溶化担体中に同様に存在し得る他の油、トリグリセリドまたは非水性化合物を同定することができるであろう。
【0037】
マイクロスフェア
「マイクロスフェア」なる用語は、マイクロスフェア、微粒子、ナノ粒子、ペレット、柱状体、棒状体、円盤状体などを包含する。マイクロスフェアは、球状、非球状または不規則な形状を有し得る。マイクロスフェアは注射に適したサイズであろう。マイクロスフェアの一般的なサイズの範囲は、1000ミクロン以下である。特定の実施形態において、マイクロスフェアは、直径が約1〜約180ミクロンの範囲にある。さらなる実施形態において、適切な放出プロフィールは、マイクロスフェアが約1〜100ミクロン、約30〜90ミクロンまたは約50〜70ミクロンの範囲にある場合に得られる。一実施形態において、平均マイクロスフェアサイズは、約50、60または70ミクロン以上であり、好ましくは、約80、90または100ミクロン未満である。さらに大きなサイズでは、マイクロスフェアは、好ましくは、25ゲージ針、または27ゲージ針、または30ゲージ針、または31ゲージ針を通過することができるように実質的に非凝集性である。
【0038】
一貫した優れた放出プロフィールは、サイズ分布を制御することにより得られる。一実施形態において、平均マイクロスフェアサイズは約50ミクロンであり、マイクロスフェアのこれより上方および下方の範囲は、それぞれ約30および90ミクロンである。マイクロスフェアの分布は、体積平均径を用いて表すことができる。体積分布平均径は、分布の重心を表すものであり、「平均粒子サイズ」の一種である。様々な実施形態において、マイクロスフェアは、約50〜70ミクロン、約50〜60ミクロンまたは約50、60、70ミクロンの体積分布平均径を有し、30ミクロンでの体積分布(DV)が約5%、10%または15%以下、かつ90ミクロンでのDVが約80%、85%、90%または95%以上である。一実施形態において、マイクロスフェアは、約60ミクロンの体積分布平均径を有し、30ミクロンでの体積分布(DV)が約10%以下、かつ90ミクロンでのDVが約90%以上である。
【0039】
マイクロスフェアは、当該技術分野で公知の方法および例えば、米国特許第7,563,871号、米国特許第7,456,254号、米国特許第7,223,440号、米国特許第6,824,822号、米国特許第6,667,061号、米国特許第6,495,164号および米国特許第6,479,065号(これらの開示をここに出典明示して本明細書の一部とみなす)に記載の方法により調製し得る。
【0040】
さらなる実施形態において、マイクロスフェアは、低い多孔性の外層を有し、かつさらに無孔性の外層を有し得る。したがって、本明細書に開示される製剤において、油は内部空間もしくは細孔または実質的な内部空間もしくは細孔にさえ出入りできない。本明細書に開示される各製剤に関して、マイクロスフェアはさらに、マイクロスフェアの内部空間内に油(または本明細書に開示のような担体)を欠き得ることが特に意図される。したがって、製剤化されたときに、マイクロスフェアの内部空間内に油が存在することなく本発明の製剤の利点を得ることができる。
【0041】
ポリマー
マイクロスフェアは生体適合性の生物分解性ポリマーを含む。ポリマーおよびポリマーのいかなる分解産物も、投与レベルにおいて患者に対して無毒であり、かつ患者の身体に対して明らかに有害なまたは悪い作用(例えば、注射部位での実質的な免疫反応)もないならば、そのポリマーは生体適合性である。生物分解性は、ポリマーがインビボで分解または腐食されて、より小さな単位または化学種を形成することを意味する。分解は、例えば、酵素的、化学的および物理的過程により生じ得る。
【0042】
生体適合性の生物分解性ポリマーの例として、例えば、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、ポリエステルアミド、ポリ酸無水物、ポリアミノ酸、ポリオルトエステル、ポリシアノアクリレート、ポリ(p−ジオキサノン)、シュウ酸ポリアルキレン、生物分解性ポリウレタン、これらの混合物およびこれらのコポリマーが挙げられる。生体適合性の生物分解性ポリマーとして許容される分子量は、所望のポリマー分解速度、ポリマーの機械的強度のような物理学的特性、末端基の化学的性質および溶解速度などの因子を考慮することにより当業者により決定され得る。通常、分子量の許容範囲は、約2,000ダルトン〜約2,000,000ダルトンである。また、生体適合性の生物分解性ポリマーは、ポリマーの固有粘度に基づいて選択することができる。適切な固有粘度は、約0.06〜1.0dL/g;約0.2〜0.6dL/g;または約0.3〜0.5dL/gである。
【0043】
一実施形態において、生体適合性の生物分解性ポリマーは、70:30〜30:70、または60:40〜40:60、または約50:50のラクチド:グリコリドの比を有するポリ(ラクチド−co−グリコリド)コポリマー(「PLGA」ともいう)である。ポリ(ラクチド−co−グリコリド)コポリマーの分子量は約10,000ダルトン〜約90,000ダルトンである。もう一つの実施形態において、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)コポリマーの分子量は、約30,000〜約70,000ダルトンまたは約50,000〜約60,000ダルトンである。
【0044】
製剤は、1mg/ml〜500mg/ml;25mg/ml〜300mg/ml;または50mg/ml〜200mg/mlの濃度のマイクロスフェアを含有し得る。
【0045】
活性医薬成分
活性医薬成分とは、患者に対して治療的、予防的あるいは他の有益な薬理学的および/または生理学的作用を有する生物学的に活性な化合物である。また、活性医薬成分は、2以上の化合物の混合物であってもよい。「ペプチド」なる用語は、2以上の連続したアミノ酸を有するいずれかの化合物をいう。本明細書で用いた「ペプチド」なる用語は、ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質と同義である。一実施形態において、ペプチドは、500Da〜100kDa;1kDa〜80kDa;1kDa〜50kDa;1kDa〜30kDa;または1kDa〜20kDaの分子量を有する。一実施形態において、ペプチドは、2〜500アミノ酸残基;2〜250アミノ酸残基;5〜100アミノ酸残基;または5〜50アミノ酸残基を含む。
【0046】
一実施形態において、活性医薬成分は、エキセンジン、エキセンジン類似体、GLP−1(7−37)、GLP−1(7−37)類似体などのような、GLP−1受容体アゴニスト化合物である。GLP−1受容体アゴニスト化合物の例として、エキセンジン−3、エクセナチド、GLP−1(1−37)、GLP−1(7−37)−NH、GLP−1(7−36)、GLP−1(7−36)−NH、Leu14−エキセンジン−4、Leu14,Phe25−エキセンジン−4、エキセンジン−4(1−28)、Leu14−エキセンジン−4(1−28)、Leu14,Phe25−エキセンジン−4(1−28)、エキセンジン−4(1−30)、Leu14−エキセンジン−4(1−30)、Leu14,Phe25−エキセンジン−4(1−30)、リラグルチドならびに例えば、米国特許第7,157,555号、米国特許第7,220,721号、米国特許第7,223,725号および国際公開第2007/139941号(これらの開示をここに出典明示して本明細書の一部とみなす)に記載の化合物が挙げられる。
【0047】
当該技術分野で公知の他のペプチドを活性医薬成分として本明細書に記載の製剤中に用いることができる。ペプチドの例として、アミリン、アミリンアゴニスト(例えば、プラムリンチド、ダバリンチド、Val27−ダバリンチド);レプチン、レプチンアゴニスト(例えば、メトレレプチン);PYY(3−36)およびそのアゴニスト類似体;グルカゴン、グルカゴンアゴニスト、グルカゴンアンタゴニスト、GLP−1受容体アゴニストとグルカゴンアゴニストのペプチドキメラ、ヒトアミリンとサケカルシトニンのペプチドキメラ、インスリン、ヘパリン、低分子量ヘパリン、アンジオテンシン、アルギプレシン、アルギレリン、アトシバン、ビバリルジン、セトロレリックス、デスモプレシン、エンフビルチド、デプチフィバチド(deptifibatide)、GHRP−2、GHRP−6、ゴナドレリン、ロイプロリド、リシプレッシン(lysipressin)、メラノタン、ネシリチド、オクトレオチド、オキシトシン、PT141、カルシトニン、セルモレリン、ソマトスタチン、テルリプレシン、チモペンチン、チモシンa1、トリプトレリン、バプレオチド、エルカトニン、ジコノチド、グレリン、ナファレリン、BNP−32などが挙げられる。
【0048】
また、活性医薬成分は、小分子であってもよい。「小分子」は有機分子である。小分子の例として、メトホルミン、スルホニル尿素、TZD、スタチン(例えば、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン);非選択的ベータ遮断剤および/またはアルファ−1遮断剤(例えば、カルベジロール、ディラトレンド(dilatrend)、ユーカルジック(eucardic)、カルロク(carloc));PDE3阻害剤(例えば、シロスタゾール);抗血小板剤、抗血栓剤、抗凝固剤、糖タンパク質IIb/IIIa阻害剤(例えば、アブシキシマブ、エプチフィバチド、チロフィバン);抗菌剤(例えば、シプロフロキサシン、ノルフロキサシン、レボフロキサシン、モキシフロキサシン、スパルフロキサシン、ゲミフロキサシン、エシノフロキサシン(ecinofloxacin)、デラフロキサシン);Xa因子阻害剤(例えば、グリコサミノグリカン、オリゴ糖、ヘパリノイド);直接Xa阻害剤(例えば、キサバン);直接トロンビン(II)阻害剤(例えば、ヒルジン、アルガトロバン、ダビガトラン、メラガトラン、キシメラガトラン、デフィブロチド、ラマトロバン、アンチトロンビンIII、タンパク質C);血栓溶解剤(例えば、プラスミノーゲン活性化因子、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、セリンエンドペプチダーゼ);ACE阻害剤(例えば、リシノプリル、アセオン(aceon)、アセルチル(acertil)、アルミクス(armix)、コバレン(coverene)、コバレックス(coverex)、コバサム(coversum)、プレスタリウム(prestarium)、プレクサニル(prexanil)、プレクサム(Prexum)、プロカプタン(procaptan));ADP受容体/P2Y12阻害剤(例えば、クロピドグレル、チクロピジン、プラスグレル);プロスタグランジン類似体(例えば、ベラプロスト、プロスタサイクリン、イロプロスト、トレプロスチニル);抗凝血剤(例えば、クマリン、クマテトラリル、ジクマロール、エチルビスクマセタート、フェンプロクモン、ワルファリン、クロリンジオン、ジフェナジオン、フェニンジオン、チオクロマロール);利尿剤(例えば、ヒドロクロロチアジド);マクロライド(例えば、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、テリスロマイシン);NSAIDおよびCOX−3阻害剤(例えば、セレコキシブ、エトリコキシブ、パレコキシブ);スルホンアニリド(例えば、ニメスリド)などが挙げられる。
【0049】
本明細書に記載の製剤が、2以上のペプチド;2以上の小分子;または小分子とペプチドの組合せを含有し得ることを当業者ならば理解するであろう。例えば、製剤は、マイクロスフェアの2つの異なるセットを含み、このうち、1つのマイクロスフェアのセットが1つのペプチド(例えば、プラムリンチド)を含有し、もう一つのマイクロスフェアのセットがもう一つのペプチド(例えば、メトレレプチン)を含有する。一実施形態において、1〜99%のマイクロスフェアが1つの活性医薬成分を含み、99〜1%のマイクロスフェアが別の活性医薬成分を含む。もう一つの実施形態において、30〜70%のマイクロスフェアが1つの活性医薬成分を含み、70〜30%のマイクロスフェアが別の活性医薬成分を含む。製剤中の各種ペプチドの百分率は、ペプチドの相対的効力により決定されることを当業者ならば理解するであろう。本製剤は、有利ことには、同一製剤において、低効力のペプチドをより多くのマイクロスフェア中に提供することができ、かつ高効力ペプチドをより少ないマイクロスフェア中に提供することができるので、患者への同時送達のために高効力のペプチドと低効力のペプチドを組み合わせることが可能である。異なるマイクロスフェアのセットでかつ同一製剤で投与することができるペプチドおよび/または小分子の組合せの例として:プラムリンチドとインスリン;プラムリンチドとメトレレプチン;ダバリンチドとメトレレプチン;エクセナチドとメトレレプチン;ロバスタチンとナイアシン;アトルバスタチンとアムロジピン;シンバスタチンとエゼチミブ;エクセナチドとメトホルミン;などが挙げられる。
【0050】
製剤は一般的に、約0.01%(w/w)〜約50%(w/w)の活性医薬成分(組成物の総重量に基づく)を含有する。例えば、活性医薬成分の量は組成物の総重量の約0.1%(w/w)〜約30%(w/w)であり得る。活性医薬成分の量は、所望の効果、薬剤の効力、計画された放出レベルおよびペプチドが放出される期間に応じて変化するであろう。ある実施形態において、添加の範囲は、約0.1%(w/w)〜約10%(w/w)の間、例えば、0.5%(w/w)〜約5%(w/w)または1%〜5%(w/w)である。活性医薬成分がGLP−1受容体アゴニストである場合、適切な放出プロフィールは、活性医薬成分、例えばエクセナチドが、約2%w/w、約3%w/w、約4%w/w、約5%w/w、約6%w/wまたは約7%w/wを含む、約2%w/w〜約7%w/wで添加された場合に得られる。
【0051】

また、マイクロスフェアは、1または複数の糖を含み得る。糖は、単糖、二糖もしくはオリゴ糖またはこれらの誘導体である。単糖の糖アルコールが適切な糖誘導体である。単糖として、グルコース、フルクトースおよびマンノースが挙げられるが、これらに限定されない。二糖は、本明細書中でさらに定義すれば、加水分解の際に2分子の単糖を生じる化合物のことである。適切な二糖として、スクロース、ラクトースおよびトレハロースが挙げられるが、これらに限定されない。適切なオリゴ糖として、ラフィノースおよびアカルボースが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、マイクロスフェアは、グルコース、デキストロース、ガラクトース、マルトース、フルクトース、マンノース、スクロース、ラクトース、トレハロース、ラフィノース、アカルボース、グリコール、グリセロール、エリスリトール、トレイトール、アラビトール、リビトール、ソルビトール、ズルシトール、イジトール、イソマルト、マルチトール、ラクチトール、マンニトール、キシリトールまたはこれらの2以上の組合せを含み得る。一実施形態において、糖は、スクロース、グルコース、マンノースまたはフルクトースである。一実施形態において、糖はスクロースである。
【0052】
マイクロスフェア中に存在する糖の量は、組成物の総重量の約0.01%(w/w)〜約50%(w/w)の範囲、例えば、約0.01%(w/w)〜約10%(w/w)、約0.1%(w/w)〜約5%(w/w)などであり得る。一実施形態において、約2%(w/w)のスクロースが使用される。
【0053】
あるいは、マイクロスフェア中に存在する糖の量は、活性医薬成分との重量比に関して表すことができる。例えば、活性医薬成分と糖は、約10:1〜約1:10の重量:重量の比で存在し得る。特に好ましい実施形態において、活性医薬成分(例えば、エクセナチド)と糖(例えば、スクロース)の比は、約3:2(w/w)、4:2(w/w)または5:2(w/w)である。2以上の糖の組合せも使用し得る。組合せを用いる場合、糖の量は上記と同じ範囲である。
【0054】
徐放
組成物は徐放性組成物であり、これは、組成物中に含有される活性医薬成分が、例えば、2日間、または3日間、または少なくとも2日間、または少なくとも3日間などの長期間にわたって、あるいは1週間、2週間、1か月、3か月または1年にわたって、患者内に放出されることを意味する。活性医薬成分の放出は、患者の体内に治療レベルの活性医薬成分がもはや存在しない時点で完了したと見なされ、これは当業者の医学的判断により決定される。
【0055】
本明細書で使用されるCmaxとは、モニターされる放出期間中に生じる薬剤の最大血清中濃度である。本明細書で用いたCaveとは、放出プロフィールの曲線下面積(AUC)を放出持続時間で割ることにより導かれる、薬剤の平均血清中濃度のことである。
【0056】
一実施形態において、Caveに対するCmaxの比は約3以下である。このプロフィールは、本明細書に記載のポリペプチドのような抗糖尿病性または糖調節性のポリペプチドに対して特に望ましい。約3以下の比は、高い比により生じ得る薬剤副作用を回避しながら治療域のCaveを提供することができる。さらに、本明細書に記載した徐放性組成物の物理的側面を制御することにより、例えば、粘度のような担体の特性の適切な選択により、優れた所望の放出プロフィールを達成し制御することができる。このようにしてバースト(すなわち初期放出:例えば、0〜1日目のCmax)の低減がもたらされる。他の実施形態において、Caveに対するCmaxの比は、約1〜約3、または1〜3、または約2〜約3、または2〜3である。さらに、Cmaxが存在すれば、それをバーストまたは初期放出期から放出の「持続相」へとシフトできる。一実施形態において、Cmaxは、投与の少なくとも7、14、21、28、35または42日後に生じ得、またその間のいずれかの整数日に生じ得る。さらなる実施形態において、Cmaxは、投与の約21〜35日後に生じ、さらにもう一つの実施形態において、投与の約28〜31日後、さらにまた約28日後である。さらなる実施形態において、薬物の最大濃度(例えば、血漿中濃度)は、投与の少なくとも7、14、21、28、35または42日後に生じ、またその間のいずれかの整数日に生じ得る。さらなる実施形態において、具体的には、エキセンジン−4、GLP−1、GIPまたはこれらの類似体のような糖調節性薬剤の場合、薬剤の最大濃度は、投与の約21〜35日後に生じる。
【0057】
長期保存性
本発明の製剤により与えれる1つの利点は、製剤の長期保存性である。徐放性組成物が、本明細書に記載の非水性担体中に保管された場合に著しい安定性を保持するということが、予想外にも発見された。一実施形態において、製剤は少なくとも6か月の保存期間を有する。他の実施形態において、製剤は少なくとも1年、または少なくとも18か月、または少なくとも2年の保存期間を有する。「保存期間」は、製剤が、初期製剤時の活性(100%とする)と比べて少なくとも90%の活性医薬成分の所望の活性を保持しながら、適切な環境条件下でその期間の間保管または維持され得ることを意味する。もう一つの実施形態において、活性医薬成分は、保管直前のその活性と比べて、少なくとも95%、または少なくとも98%、または少なくとも99%のその所望の活性を保持する。また、製剤がマイクロスフェアを含有する場合、保存期間は、マイクロスフェアの粒子サイズおよび/または形態の保持にも適用される。サイズ形態の保持は、当業者に公知のものを用いて顕微鏡検査により決定することができる。
【0058】
本明細書に開示されるように製剤化された場合、活性成分としてのペプチドまたはタンパク質は、保管中および注射後のその徐放期間中の双方において、化学的なまたはタンパク質分解性の酸化および加水分解の影響を受けにくい。これらの製剤において、特に、担体が中鎖脂肪酸トリグリセリドである製剤においては、抗酸化剤または他の安定化剤の添加を必要としない。
【0059】
バースト放出の低減
本発明の製剤のもう一つの利点は、本開示による製剤が、他の製剤と比べて有意に低減されたバースト放出率を与えるということである。従来の使用可能な注射用徐放性製剤を患者に注射した場合、注射に付随して活性成分または薬剤の「バースト」を生じることが多い。いかなる特定の理論にも拘束されることは望まないが、このバーストは、製剤中の徐々に放出される活性医薬成分のポリマー内に保持されない量により引き起こされると考えられる。「バースト放出」は、注射後最初の24時間以内に放出される活性医薬成分の量を意味する。他の実施形態において、それは、注射後1時間、または2時間、または4時間、または8時間、または12時間にわたり放出される活性医薬成分の量である。様々な実施形態において、本発明の製剤は、注射後のバースト放出が、10%未満、または5%未満、または3%未満、または2.5%未満、または2%未満、または1%未満、または0.75%未満、または0.5%未満、または0.25%未満、または0.1%未満である。百分率は、注射された製剤中の総活性医薬成分量の百分率をいう。患者における製剤の注射後、約24時間以内のいずれかの時間でバースト放出が生じることができ、その後、活性医薬成分がマイクロスフェアから実質的に全く放出されない遅延時間が生じることができ、次いで、ポリマーマイクロスフェアが分解および活性医薬成分の放出を開始する。バースト放出が生じる期間が患者に応じて変化し得ることを当業者ならば理解するであろう。
【0060】
バーストは、薬剤投与後の特定期間の総曲線下面積の割合を測定することにより評価できる。曲線下面積(AUC)は、薬学において十分確立された測定法であり、一定期間内に血流に到達する薬物または活性成分の量を測定するものである。当該技術分野で周知のように、選択される期間は、血中の薬物濃度が検出可能であるかまたは薬物の治療域内にあることが予想される期間に依存して変化するであろう。AUCは、選択された期間中の様々な時間で血中の薬物濃度、例えば血漿中濃度をプロットし、次いで、得られた総曲線下面積を計算することにより算出される。一つの典型的な実施形態においては、曲線下面積を42日の期間について本明細書に記載の製剤を用いて測定し、最初の24時間以内に測定される放出またはバーストが、総AUCの5%以下、2%以下、1.5%以下、1%以下または0.5%以下である。もう一つの実施形態において、本明細書に記載の製剤のバーストまたはAUCの割合は、その中の活性医薬成分が可溶である担体中に徐放性組成物が含有されている場合に得られるものより、20%以下、15%以下、10%以下、5%以下、2%以下となる。
【0061】
もう一つの実施形態において、本明細書に記載の製剤は、初期バーストを活性医薬成分の治療域の上限を超えないように制限する。治療域とは、その濃度を超えると活性医薬成分がその所望の効果を有するが、その濃度を下回ると活性医薬成分に関連した副作用が、医師により一般的に認められるであろう利点を上回る、循環における活性医薬成分濃度の範囲のことである。一つの典型的な実施形態において、活性医薬成分はエキセンジン、例えば、エクセナチドまたはそのアゴニスト類似体であり、記載の製剤の投与により、投与後最初の24時間の間に400pg/mlを超える活性医薬成分の循環レベルを生じない。もう一つの典型的な実施形態においては、活性医薬成分がエキセンジン、例えば、エクセナチドまたはそのアゴニスト類似体であり、記載の製剤の投与により、投与後最初の24時間の間に活性医薬成分の循環レベルが350pg/mlを超えない。
【0062】
初期バーストは、製剤投与直後の期間における活性医薬成分の循環濃度を、第一の期間直後の第二の期間における循環濃度と比較することにより評価することもできる。一実施形態において、本開示の製剤の使用することにより、投与後最初の24時間における活性医薬成分の循環濃度が次の24時間の循環濃度を超えない。もう一つの実施形態において、本開示の製剤の使用により、投与後最初の24時間における活性医薬成分の平均循環濃度が次の24時間の平均循環濃度を超えない。
【0063】
保管方法
もう一つの態様は、本明細書に記載の徐放性製剤の保管方法を提供する。また、本明細書に記載の製剤の保管方法は、マイクロスフェアの分解を防止する方法をいう。「保管」は、いかなる追加成分も容器に添加することなく、かつ製剤を容器から取り出さずに、ある期間その容器内で製剤が保持される(例えば、製造施設内で、輸送中に、薬局で)ことを意味する。保管期間は通常、製剤の包装と患者によるその使用との間の期間となる。保管期間の後、製剤をそれを必要とする患者に投与する。患者への「投与」は自己投与を含む。この方法は、徐放性製剤を、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも1か月間、少なくとも3か月間、少なくとも1年間、少なくとも18か月間または少なくとも2年間保管することを含む。いくつかの実施形態において、製剤を5℃または25℃で保管し得る。製剤がこのような長期間保管される場合にマイクロスフェアの最小の分解が存在する。
【0064】
もう一つの実施形態において、本発明は、活性医薬成分の効力(例えば、生物学的活性の損失の防止)および/または純度(例えば、分子中の化学変化の防止)を維持する方法を提供する。したがって、化学変化(例えば酸化)を受けたペプチドまたはタンパク質または他のAPIは、純度が損失し得るが、その効力は依然として保持し得る。この方法は、本明細書に記載の非水性担体中に活性医薬成分を含むマイクロスフェアをある期間保管し、それにより、活性医薬成分の効力および/または純度がマイクロスフェアおよび非水性担体により維持されることを含む。本明細書に記載の製剤において、活性医薬成分の効力および/または純度の少なくとも80%、少なくとも90%;少なくとも95%;少なくとも98%;または少なくとも99%が、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも1か月間、少なくとも3か月間、少なくとも1年間、少なくとも18か月間または少なくとも2年間保持される。
【0065】
投与/治療の方法
もう一つの態様において、本発明は、活性医薬成分をそれを必要とする患者に投与する方法を提供する。この方法は、本明細書に記載の製剤または組成物を患者に投与することを含む。本明細書に記載のいずれの製剤も、本明細書に記載のいずれかの方法を用いて非経口投与により投与することができる。例えば、製剤を、皮下、筋肉内、腹膜内、腹腔内、静脈内またはいずれかの適切な投与法により投与することができる。一実施形態において、本明細書に記載の製剤を皮下投与する。一実施形態において、この方法は、患者が徐放性組成物を第二の担体と組み合わせる前段階を行うことなく製剤を注射することを含む。
【0066】
一実施形態において、投与は混合工程を含まない。混合工程とは、注射に先立ちマイクロスフェアを担体と組み合わせる工程である。様々な実施形態において、混合工程は、患者への注射に先立つ1週間以内にマイクロスフェアを担体と組み合わせる工程である。担体は、本明細書に記載の担体のような非水性担体であってもよい。製剤の投与とは、使用者が製剤と接触する全プロセスをいい、製剤を形成するいずれかの成分の混合、組合せおよび患者に製剤を提供する実際の注射または他の形態を含む。
【0067】
投与の頻度は、投与される製剤の量、製剤の放出プロフィール、製剤中の活性医薬成分量および達成されるべき活性医薬成分の循環レベルのような因子のいずれかの1つまたは組合せに依存して変化し得る。特定の実施形態において、本明細書に記載の製剤を、1日1回、1週間に1回、2週間に1回、1か月に1回、2か月に1回、3か月に1回、4か月に1回、6か月に1回または1年に1回投与し得る。一実施形態において、製剤を1週間に1回投与する。もう一つの実施形態において、製剤を1か月に1回投与する。
【0068】
製剤がGLP−1もしくはその類似体またはエキセンジン(例えば、エクセナチド)もしくはその類似体のようなGLP−1受容体アゴニストを含む場合、この製剤を使用して、糖尿病(例えば、I型糖尿病、II型糖尿病、妊娠性糖尿病)、耐糖能異常、高血糖症(例えば、空腹時および食後)、肥満症、過体重、非アルコール性脂肪性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)などのような多数の疾患を治療することができる。また、GLP−1受容体アゴニスト(例えば、エクセナチド)を含む製剤は、インスリン放出を促進させる;血漿グルカゴンを低下させる;摂食量を減少させる、食欲を減退させる、胃運動を低下させる、胃内容排出を遅延させる、血漿脂質(例えば、トリグリセリド、コレステロール)レベルを低下させることなどに有用である。これらの治療法は、例えば、米国特許第5,424,286号、米国特許第6,858,576号、米国特許第6,872,700号、米国特許第6,956,025号および米国特許第6,956,025号ならびに国際公開第2007/022518号に記載されており、これらの開示をここに出典明示して本明細書の一部とみなす。
【0069】
ある実施形態において、本明細書に提供される、エキセンジン(例えばエクセナチド)のような糖調節性ペプチドを含むいずれかの製剤の投与により、2時間血漿グルコースが300mg/dl未満、275mg/dl未満、250mg/dl未満または225mg/dl未満となる。特定の実施形態において、本明細書に提供される、エキセンジン(例えばエクセナチド)のような糖調節性ペプチドを含むいずれかの製剤の投与により、2時間血漿グルコースが200mg/dl未満となる。他の実施形態において、本明細書に提供される、エキセンジン(例えばエクセナチド)のような糖調節性ペプチドを含むいずれかの製剤の投与により、2時間血漿グルコースが190mg/dl未満、180mg/dl未満、170mg/dl未満、160mg/dl未満または150mg/dl未満となる。ある実施形態において、本明細書に提供される、エキセンジン(例えばエクセナチド)のような糖調節性ペプチドを含むいずれかの製剤の投与により、2時間血漿グルコースが140mg/dl未満となる。さらなる実施形態において、本明細書に提供される、エキセンジン(例えばエクセナチド)のような糖調節性ペプチドを含むいずれかの製剤の投与により、静脈または毛細血管の空腹時血中グルコース(FBG)レベルが200mg/dl未満、175mg/dl未満、150mg/dl未満、140mg/dl未満、130mg/dl未満、120mg/dl未満または115mg/dl未満となる。一実施形態において、110mg/dl未満のFBGレベルが達成され、さらにもう一つの実施形態においては、100mg/dl未満のFBGレベルが達成される。
【0070】
さらなる実施形態において、本明細書に提供される、エキセンジン(例えばエクセナチド)のような糖調節性ペプチドを含むいずれかの製剤の投与により、静脈または毛細血管の2時間血中グルコースレベルが300mg/dl未満、275mg/dl未満、250mg/dl未満、225mg/dl未満または200mg/dl未満となる。特定の実施形態において、本明細書に提供される、エキセンジン(例えばエクセナチド)のような糖調節性ペプチドを含むいずれかの製剤の投与により、2時間血中グルコースレベルが180mg/dl未満となる。さらなる実施形態において、本明細書に提供される、エキセンジン(例えばエクセナチド)のような糖調節性ペプチドを含むいずれかの製剤の投与により、血中グルコースレベルが170mg/dl未満、160mg/dl未満、150mg/dl未満、140mg/dl未満、130mg/dl未満または120mg/dl未満となる。特定の実施形態において、本明細書に提供される、エキセンジン(例えばエクセナチド)のような糖調節性ペプチドを含むいずれかの製剤の投与により、静脈2時間血中グルコースレベルが120mg/dl未満となり、さらに他の実施形態においては、140mg/dl未満の毛細血管2時間血中グルコースレベルが達成される。
【0071】
一実施形態において、グルコースレベルは、選択された期間の間に計算される平均グルコースレベルである。具体的な例として、1日平均グルコースレベル、週平均グルコースレベル、月平均グルコースレベルまたは年平均グルコースレベルが挙げられるが、これらに限定されない。2時間血流グルコースレベルは、経口グルコース負荷試験(OGTT)後に測定される。標準的な試験では、75gの無水グルコースを250〜300mlの水に溶解させ、5分間にわたり投与する。小児では、グルコースを1.75g/kg体重の割合で、最大75グラムまでのグルコースを投与する。基準となるグルコースレベルを、摂取に先立ち、次いで、通常は2時間で30分毎に得る。妊娠性糖尿病に対しては、100g、3時間の試験がよく用いられる。
【0072】
グルコースは赤血球の細胞膜を自由に通過するため、赤血球ヘモグロビンはアミン残基で非酵素的グリコシル化を受ける。ヘモグロビンA1c(HbA1c)は、2つの各ベータ鎖のN末端バリンと結合したグルコース部分を有するヘモグロビン分子の百分率をいう。グリコヘモグロビンは、他のアミノ酸でグリコシル化が起こった他の形態のヘモグロビンと共にHbA1cを包含する。グリコシル化を受けるヘモグロビン分子の百分率は、先の60〜90日間における周囲のグルコース平均濃度に比例する。HbA1cは、糖尿病の患者における血糖コントロールの状態を評価するために一般的に使用される尺度である。
【0073】
一実施形態において、本明細書に提供される、エキセンジン(例えばエクセナチド)のような糖調節性ペプチドを含むいずれかの製剤の投与により、8%未満のHbA1cレベルへの減少、同レベルの維持またはこれらの双方が得られる。もう一つの実施形態において、HbA1cレベルが7.5%未満に減少する、同レベルに維持される、またはこれらの双方であり、さらにもう一つの実施形態においては、HbA1cレベルが7%未満に減少する、同レベルに維持される、またはこれらの双方である。さらなる実施形態において、本明細書に提供される、エキセンジン(例えばエクセナチド)のような糖調節性ペプチドを含むいずれかの製剤の投与により、6.5%未満、6%未満、5.5%未満、5%未満、4.5%未満または4%未満のHbA1cレベルへの減少、同レベルの維持またはこれらの双方が得られる。したがって、本明細書に開示される組成物は、血中HbA1cレベルの減少または維持方法に有用であり、この方法は、本明細書に開示される組成物の投与を含む。もう一つの実施形態において、本明細書に提供される、エキセンジン(例えばエクセナチド)のような糖調節性ペプチドを含むいずれかの製剤の投与により、10%未満のグリコシル化ヘモグロビンレベルへの減少、同レベルの維持またはこれらの双方が得られる。もう一つの実施形態において、グリコシル化ヘモグロビンレベルが9.5%未満に減少する、同レベルで維持される、またはこれらの双方であり;さらにもう一つの実施形態においては、グリコシル化ヘモグロビンレベルが9%未満に減少する、同レベルに維持される、またはこれらの双方である。さらなる実施形態において、本明細書に提供される、エキセンジン(例えばエクセナチド)のような糖調節性ペプチドを含むいずれかの製剤の投与により、8.5%未満、8%未満、7.5%未満、7%未満、6.5%未満、6%未満、5.5%未満、5%未満、4.5%未満または4%未満のグリコシル化ヘモグロビンレベルへの減少、同レベルの維持またはこれらの双方が得られる。他の態様において、本明細書に提供される、エキセンジン(例えばエクセナチド)のような糖調節性ペプチドを含むいずれかの製剤の投与により、少なくとも0.2%、少なくとも0.4%、少なくとも0.6%、少なくとも0.8%、少なくとも1%、少なくとも1.2%、少なくとも1.4%、少なくとも1.6%、少なくとも1.8%または少なくとも2%のHbA1c低下が得られる。したがって、本発明は、血中グリコシル化ヘモグロビンレベルの減少または維持方法を提供し、この方法は、本明細書に記載の組成物の投与を含む。
【0074】
血中グルコースを低下させる必要のある対象は、糖尿病を有する患者に限らず、損傷、外傷、手術、脳卒中および心筋梗塞を非限定的に含めたいずれの理由でも、高血糖症に罹患しているいずれかの対象を含み得ると理解されるべきである。グルコースの低下量は、当該対象により、ならびに高血糖症の重症度および当該疾患、障害または状態の重症度のような因子に依存して変化するであろう。
【実施例】
【0075】
以下の非限定的な実施例は、本明細書に記載の製剤の作製および使用のさらなる例示を提供するものであり、添付の特許請求の範囲の範囲を制限することを意図するものではない。本明細書の実施例に関して、MCT油は、MIGLYOL(登録商標)812(Sasol Germany GmbH,Witten,Germany)として商業的に入手可能な中鎖脂肪酸トリグリセリド油をいう。
【0076】
実施例1
マイクロスフェアは、当該技術分野で公知のプロセスならびに例えば、米国特許第7,563,871号および米国特許第7,456,254号に記載の方法により調製し得る。5%(w/w)エクセナチドおよび2%(w/w)スクロースをその中に分散させたポリ(ラクチド−co−グリコリド)コポリマーを含むマイクロスフェアを得た。ポリ(ラクチド−co−グリコリド)コポリマーは、1:1のラクチド:グリコリドの比を有した。これらのマイクロスフェアは現在、糖尿病治療のための週1回製剤用にAmylin Pharmaceuticals社(Cambridge,MA)、Alkermes社(Cambridge,MA)およびEli Lilly and Company(Indianapolis,IN)により開発中である(Gedulinら,Diabetologia,48:1380−1385(2004))。
【0077】
実施例2
非水性担体中に保管中の実施例1のマイクロスフェアの長期間にわたる安定性を決定するために、その安定性を調べた。実施例1のマイクロスフェアを、非水性担体(すなわち、ゴマ油;MCT油;およびモノグリセリドであるオレイン酸エチル)を含む製剤中に5℃で6か月間保管した。対照は、カルボキシメチルセルロースと界面活性剤とを含有する水性担体中に実施例1のマイクロスフェアを含む水性製剤であった。
【0078】
マイクロスフェアの安定性は、顕微鏡検査による形態および粒子サイズにより決定した。エクセナチドの純度、効力(HPLC評価による)およびインビトロ放出も決定した。表1に示されるように、6か月の保管後ではマイクロスフェアの物理的構造(すなわち、サイズ、形態)は変化しなかった。
【0079】
表2に示されるように、MCT油中に保管されたマイクロスフェアでは、HPLC解析に基づくエクセナチドの純度に変化は見られなかった。また、不純物はペプチドの分解産物ともいえるであろう。高純度とは、ペプチドの相対的に少ない分解を意味する。純度は時間ゼロでの製剤と比較したものである。ゴマ油およびオレイン酸エチル中に保管されたマイクロスフェアは、エクセナチドの純度のわずかな減少を示した。不純物は油またはポリ(ラクチド−co−グリコリド)ポリマーに(保持時間に基づいて)関係するものではなく、エクセナチド自体の安定性に関係するようであった。
【0080】
表3は、用いた非水性担体に関係なく、エクセナチドの効力が6か月間にわたり有意に減少しなかったことを示す。
【0081】
【表1】

【0082】
【表2】

【0083】
【表3】

【0084】
実施例3
実施例2の製剤(ただし、オレイン酸エチル担体には2%(w/w)レシチンを添加した)の薬物動態を測定した。非水性担体1ml当たりマイクロスフェア53mg/mlの用量の単回注射剤を、21G針を用いて6匹のラットに投与した。この試験では、注射直前に水性担体と混合した実施例1のマイクロスフェアとの比較も行った。
【0085】
図1は、エクセナチドを含有する4つの異なるマイクロスフェア製剤の薬物動態の比較を提供する。3つの製剤において、担体は油(例えば、ゴマ油;MCT油;オレイン酸エチル)である。1つの比較用製剤では、担体は水性希釈剤である。データからわかるように、油性担体を有する製剤は、水性担体を有する製剤に比較してバーストを低減させた。
【0086】
図2は、MCT油性担体を含む製剤および水性担体を含む比較用製剤の経時的な血漿中エクセナチド濃度の図1から推定されるデータのグラフシミュレーションである。約5回の投与後にエクセナチドの血漿中濃度がプラトーに達し得る。
【0087】
実施例4
水性担体中に実施例1のマイクロスフェアを含む製剤およびMCT担体中に実施例1のマイクロスフェアを含む製剤を調製した。10mMのHEPES放出緩衝液に約0.75mLの製剤を添加することによりバースト放出を評価した。マイクロスフェアがHEPES放出緩衝液と十分接触するように混合物を攪拌した。37℃で1時間のインキュベーション後、混合物を遠心分離し、水相をHPLCにより解析してバースト放出を測定した。放出を試験した用量の濃度は150mg/mLであった。
【0088】
図3は、水性担体を有する製剤に比較して、油性担体を有する製剤の低いバースト放出を示す。グラフは、水性担体では約0.6%のエクセナチドがバーストで放出されたことを示す。MCT油性担体を有する製剤では、0.1%未満のエクセナチドをバーストで放出した。
【0089】
図4は、MCT油中の実施例1の製剤を水性(生理食塩水)担体中の同じマイクロスフェアを含む製剤と比較した、ラットにおける10時間のインビボ放出プロフィールを示す。製剤の皮下投与後の時間において、血漿中へのエクセナチド流入が、水性担体中で投与された同じマイクロスフェアよりも著しく低かった。本発明の製剤は、バースト放出を全く示さず、水性製剤に比べて著しく緩やかな血漿中への流入を示している。これに対して、水性製剤は、バースト放出後に血漿中への急激な流入を示した。
【0090】
実施例5
米国特許第5,439,688号(その開示をここに出典明示して本明細書の一部とみなす)に記載のものと同様の方法により微粒子を調製した。活性医薬成分(すなわち、ダバリンチド、プラムリンチド、メトレレプチン、ウシ血清アルブミン、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸、ミノサイクリンHCl、インスリン)とポリマー(すなわち、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)コポリマーまたはポリカプロラクトン/PLGAコポリマー)を簡単に混ぜ、次いで、混合物を破砕機に入れて、十分にホモジナイズした粉末を得た。混合物は、活性医薬成分が2%〜10%w/wの範囲であった。選択されたポリマーに応じて温度を調節した押出機に混合粉末を移した。いくらかのポリマーは、流動性の良い融解物を得るために比較的高い温度を必要とした。押出機には、効率的な混合を行うための時計回りに回る2軸スクリューが収容されていた。材料を1.5mm穴から押し出して収集し、室温で冷却して、長さ約1〜2インチ(約2.5〜5.1cm)の短い鎖に切断した。次いで、これらの鎖を12歯ローターミルにかけた後、篩過段階を経て約20〜100ミクロンの微粒子を得た。微粒子を収集し、後の使用まで5℃で保管した。
【0091】
約50mgの微粒子を0.75mLのMCT油性担体中に拡散させて実験試料を調製した。試料を5℃および25℃で2日間、2週間または1か月間保管した時点で、代表試料を試験した。微粒子中に残存する薬物画分およびMCT油性担体中に分配された薬物画分を測定した。略言すれば、試料を遠心分離してMCT油性担体から微粒子を分離した。各部分を別々に処理し、それぞれが含有する薬物量を測定した。各個別部分中に存在する百分率に基づいて結果を報告する。
【0092】
【表4】

【0093】
【表5】

【0094】
【表6】

【0095】
【表7】

【0096】
【表8】

【0097】
表4〜8のデータは、ペプチドおよび小分子を含めた様々な異なる活性医薬成分に対する、本明細書に記載の徐放性製剤の広い適用性を示している。組成物は、様々なペプチド、ウシ血清アルブミンおよび選択された小分子さえ用いて良好に作製された。驚くべきことに、油溶性であるサリチル酸が、MCT油への溶解度が30mg/mlよりも大きいにもかかわらず、MCT担体油中に移動しなかった。したがって、活性医薬成分がMCTに可溶である場合でも、微粒子はMCT中での保管に際して損なわれないままである。データはさらに、微粒子中に他のポリマー混合物を用いても組成物が良好に作製され得ることを示している。
【0098】
実施例6
以下に挙げる4つの製剤において、エクセナチドの百分率純度を9か月間にわたり1か月間隔でHPLCにより測定した:(i)MCT油性担体中に5℃で保管した、実施例1のマイクロスフェアを含む製剤;(ii)MCT油性担体中に25℃で保管した、実施例1のマイクロスフェアを含む製剤;(iii)5℃で9か月間、液体担体なしで容器中に保管し、次いで実験の直前に水性担体と混合した、実施例1の乾燥マイクロスフェア;および(iv)25℃で9か月間、液体担体なしで容器中に保管し、次いで実験の直前に水性担体と混合した、実施例1の乾燥マイクロスフェア。
【0099】
図5AおよびBは、以下のことを示している:(i)5℃の温度で、油性担体を有する製剤中では、エクセナチドは6か月および9か月目で93%よりも高い純度を有していた;(ii)25℃の温度で、油性担体を有する製剤中では、エクセナチドは6か月および9か月目で86%よりも高い純度を有していた;(iii)マイクロスフェアが5℃で乾燥状態で保管されていた製剤中では、エクセナチドは6か月目で94%よりも高い純度を有していた;および(iv)マイクロスフェアが25℃で乾燥状態で保管されていた製剤中では、エクセナチドは6か月目で90%よりも高い純度を有していた。図5Aでは、エクセナチドの純度を強陽イオン交換HPLCにより測定した。図5Bでは、エクセナチドの純度を逆相HPLCにより測定した。
【0100】
実施例7
実施例1のマイクロスフェアとMCT油性担体を含有する製剤を5℃で保管し、1か月毎に9か月間、エクセナチドの効力を測定した。さらに、実施例1のマイクロスフェアとMCT油性担体を含有する製剤を25℃で保管し、1か月毎に6か月間、エクセナチドの効力を測定した。図6は、エクセナチドの純度が少なくとも9か月間保たれたことを示す結果を表している。
【0101】
実施例8
実施例1のマイクロスフェアを含有する製剤のMCT油性担体中での物理的保全性を解析した。5℃で6か月間の保管後、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)コポリマーの分子量は、時間ゼロと比べて変化しなかった。25℃で6か月間の保管後、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)コポリマーの分子量は6kダルトン減少したが、これは乾燥マイクロスフェア(すなわち、25℃で6か月間、担体に入れずに保管されたマイクロスフェア)の分子量変化に相当するものであった。5℃または25℃で3か月、6か月および9か月の保管後に、マイクロスフェアの平均径の測定を行い、時間ゼロに比べて平均径の変化は検出されなかった。
【0102】
実施例9
様々なAPIとの使用に関して、微粒子のラクチド/グリコリド比も調べた。使用した様々なラクチド/グリコリド比を下表に記載する。
【0103】
【表9】

【0104】
すべての刊行物および特許をここに出典明示して本明細書の一部とみなす。前記のものは詳細に記載されており、当業者ならば、本開示または添付の特許請求の範囲の精神または範囲を逸脱することなく改変をなし得ると理解するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)1または複数のC〜C12脂肪酸トリグリセリドから実質的になる医薬上許容される担体;および
(ii)活性医薬成分としての約5%(w/w)のエクセナチドと約2%(w/w)のスクロースとをその中に分散させたポリ(ラクチド−co−グリコリド)ポリマーから実質的になり、該ポリマー中のラクチド:グリコリドの比が約1:1であるマイクロスフェア
の懸濁液から実質的になる、予め混合して製造された注射用製剤。
【請求項2】
(i)医薬上許容される非水性担体、および
(ii)生体適合性の生物分解性ポリマーと活性医薬成分とを含むマイクロスフェア
の懸濁液を含む予め混合して製造された注射用製剤。
【請求項3】
医薬上許容される非水性担体が1または複数のC〜C12脂肪酸トリグリセリドを含み、マイクロスフェアがポリ(ラクチド−co−グリコリド)ポリマーを含み、かつ活性医薬成分がエクセナチドである、請求項2に記載の製剤。
【請求項4】
マイクロスフェア中に1%〜10%(w/w)のエクセナチドおよび0.1%〜5%(w/w)の糖を分散させた、請求項2に記載の製剤。
【請求項5】
糖が、グルコース、デキストロース、ガラクトース、マルトース、フルクトース、マンノース、スクロース、ラクトース、トレハロース、ラフィノース、アカルボース、グリコール、グリセロール、エリスリトール、トレイトール、アラビトール、リビトール、ソルビトール、ズルシトール、イジトール、イソマルト、マルチトール、ラクチトール、マンニトール、キシリトールまたはこれらの2以上の組合せである、請求項4に記載の製剤。
【請求項6】
徐放性製剤である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項7】
注射用製剤である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項8】
医薬上許容される非水性担体が油である、請求項2〜7のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項9】
油が、ヤシ油、パーム油、パーム核油、ゴマ油、ダイズ油、アーモンド油、ナタネ油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、ラッカセイ油、オリーブ油、ヒマシ油、ダイズ油、ベニバナ油、綿実油、オレイン酸エチルまたはこれらの2以上の組合せである、請求項8に記載の製剤。
【請求項10】
油が分画油である、請求項8または9に記載の製剤。
【請求項11】
分画油が、分画ヤシ油、分画パーム油、分画パーム核油、分画ゴマ油、分画ダイズ油、分画アーモンド油、分画ナタネ油、分画トウモロコシ油、分画ヒマワリ油、分画ラッカセイ油、分画オリーブ油、分画ヒマシ油、分画ダイズ油、分画ベニバナ油、分画綿実油またはこれらの2以上の組合せである、請求項10に記載の製剤。
【請求項12】
医薬上許容される非水性担体が、1もしくは複数のモノグリセリド、1もしくは複数のジグリセリド、1もしくは複数のトリグリセリドまたはこれらの2以上の組合せを含む、請求項2〜12のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項13】
医薬上許容される非水性担体が1または複数のモノグリセリドを含み、モノグリセリドがC〜C12脂肪酸のエステルを含む、請求項12に記載の製剤。
【請求項14】
医薬上許容される非水性担体が1または複数のジグリセリドを含み、ジグリセリドがC〜C12脂肪酸のエステルを含む、請求項2〜13のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項15】
医薬上許容される非水性担体が、C〜C12脂肪酸のエステルを含む1または複数のトリグリセリドである、請求項2〜14のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項16】
医薬上許容される非水性担体が、(i)C脂肪酸のエステルを含むトリグリセリド;
(ii)C脂肪酸のエステルを含むトリグリセリド;(iii)C10脂肪酸のエステルを含むトリグリセリド;(iv)C12脂肪酸のエステルを含むトリグリセリド;または(v)これらの2以上の組合せを含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項17】
医薬上許容される非水性担体が、(i)3つのC脂肪酸のエステルを含むトリグリセリド;(ii)3つのC10脂肪酸のエステルを含むトリグリセリド;(iii)2つのC脂肪酸と1つのC10脂肪酸のエステルを含むトリグリセリド;(iv)2つのC10脂肪酸と1つのC脂肪酸のエステルを含むトリグリセリド;(v)2つのC脂肪酸と1つのC脂肪酸のエステルを含むトリグリセリド;(vi)2つのC10脂肪酸と1つのC脂肪酸のエステルを含むトリグリセリド;(vii)1つのC脂肪酸と1つのC10脂肪酸と1つのC12脂肪酸のエステルを含むトリグリセリド;(viii)1つのC脂肪酸と1つのC10脂肪酸と1つのC脂肪酸のエステルを含むトリグリセリド;または(ix)これらの2以上の組合せを含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項18】
トリグリセリドが、(i)0〜2wt%のC脂肪酸、65〜80wt%のC脂肪酸、20〜35wt%のC10脂肪酸および0〜2wt%のC12脂肪酸;(ii)0〜2wt%のC脂肪酸、50〜65wt%のC脂肪酸、30〜45wt%のC10脂肪酸および0〜2wt%のC12脂肪酸;(iii)0〜2wt%のC脂肪酸、45〜65wt%のC脂肪酸、30〜45wt%のC10脂肪酸、0〜3wt%のC12脂肪酸および0〜5wt%のリノール酸;または(iv)0〜2wt%のC脂肪酸、45〜55wt%のC脂肪酸、30〜40wt%のC10脂肪酸、0〜3wt%のC12脂肪酸および10〜20のコハク酸を含む、請求項12〜17のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項19】
トリグリセリドが0〜2%のC14脂肪酸をさらに含む、請求項12〜18のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項20】
トリグリセリドが、0〜2wt%のC脂肪酸、50〜65wt%のC脂肪酸、30〜45wt%のC10脂肪酸および0〜2wt%のC12脂肪酸を含む、請求項12〜19のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項21】
医薬上許容される賦形剤をさらに含む、請求項1〜20のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項22】
医薬上許容される賦形剤が、糖、糖アルコール、抗酸化剤、保存剤またはこれらの2以上の組合せである、請求項21に記載の製剤。
【請求項23】
医薬上許容される賦形剤が、スクロース、グルコース、デキストロース、ガラクトース、マルトース、トレハロース、フルクトース、マルトデキストリン、グリコール、グリセロール、エリスリトール、トレイトール、アラビトール、リビトール、ソルビトール、ズルシトール、イジトール、イソマルト、マルチトール、ラクチトール、マンニトール、キシリトール、安息香酸、ソルビン酸、メタクレゾール、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、塩化ベンザルコニウム、二亜硫酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、亜硫酸ナトリウム、トコフェロール、チモール、アスコルビン酸塩、没食子酸プロピルまたはこれらの2以上の組合せである、請求項1〜22のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項24】
さらにゲル形成剤を含まない、請求項1〜23のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項25】
生体適合性の生物分解性ポリマーが、ポリラクチド、ポリラクチドのコポリマー、ポリグリコリド、ポリグリコリドのコポリマー、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)コポリマー、ポリ乳酸、ポリ乳酸のコポリマー、ポリグリコール酸、ポリグリコール酸のコポリマー、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)コポリマー、ポリカプロラクトン、ポリカプロラクトンのコポリマー、ポリカーボネート、ポリカーボネートのコポリマー、ポリエステルアミド、ポリエステルアミドのコポリマー、ポリ酸無水物、ポリ酸無水物のコポリマー、ポリアミノ酸、ポリアミノ酸のコポリマー、ポリオルトエステル、ポリオルトエステルのコポリマー、ポリシアノアクリレート、ポリシアノアクリレートのコポリマー、ポリ(p−ジオキサノン)、ポリ(p−ジオキサノン)のコポリマー、シュウ酸ポリアルキレン、シュウ酸ポリアルキレンのコポリマー、ポリウレタン、ポリウレタンのコポリマーまたはこれらの2以上の組合せである、請求項2〜24のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項26】
生体適合性の生物分解性ポリマーがポリ(ラクチド−co−グリコリド)コポリマーである、請求項25に記載の製剤。
【請求項27】
ラクチド−対−グリコリドの比が60:40〜40:60である、請求項26に記載の製剤。
【請求項28】
ラクチド−対−グリコリドの比が50:50である、請求項27に記載の製剤。
【請求項29】
活性医薬成分がペプチドである、請求項2〜28のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項30】
ペプチドがGLP−1受容体アゴニストである、請求項29に記載の製剤。
【請求項31】
ペプチドがエクセナチドである、請求項29に記載の製剤。
【請求項32】
ペプチドが、GLP−1(7−37)またはGLP−1(7−36)−NHである、請求項29に記載の製剤。
【請求項33】
ペプチドがプラムリンチドである、請求項29に記載の製剤。
【請求項34】
ペプチドがダバリンチドである、請求項29に記載の製剤。
【請求項35】
ペプチドがVal27−ダバリンチドである、請求項29に記載の製剤。
【請求項36】
ペプチドがメトレレプチンである、請求項29に記載の製剤。
【請求項37】
ペプチドがインスリンである、請求項29に記載の製剤。
【請求項38】
ペプチドが、グルカゴンアゴニストまたはグルカゴンアンタゴニストである、請求項29に記載の製剤。
【請求項39】
ペプチドが、GLP−1受容体アゴニストとグルカゴンアゴニストのキメラである、請求項29に記載の製剤。
【請求項40】
活性医薬成分が、ダバリンチド、プラムリンチド、メトレレプチン、ウシ血清アルブミン、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸、ミノサイクリンHClまたはインスリンである、請求項2〜39のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項41】
マイクロスフェアの1〜99%が活性医薬成分としてプラムリンチドを含み、かつマイクロスフェアの99〜1%が活性医薬成分としてインスリンを含む、請求項2〜40のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項42】
マイクロスフェアの1〜99%が活性医薬成分としてプラムリンチドを含み、かつマイクロスフェアの99〜1%が活性医薬成分としてメトレレプチンを含む、請求項2〜41のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項43】
マイクロスフェアの1〜99%が活性医薬成分としてダバリンチドを含み、かつマイクロスフェアの99〜1%が活性医薬成分としてメトレレプチンを含む、請求項2〜42のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項44】
マイクロスフェアの1〜99%が活性医薬成分としてGLP−1受容体アゴニストを含み、かつマイクロスフェアの99〜1%が活性医薬成分としてメトレレプチンを含む、請求項2〜43のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項45】
活性医薬成分が小分子有機化合物である、請求項2〜44のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項46】
小分子有機化合物が親水性また疎水性である、請求項45に記載の製剤。
【請求項47】
マイクロスフェアが、10mg/ml〜500mg/mlの濃度で製剤中に存在する、請求項1〜46のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項48】
マイクロスフェアが、20mg/ml〜200mg/mlの濃度で製剤中に存在する、請求項1〜47のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項49】
マイクロスフェアが担体中に懸濁されている、請求項1〜48のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項50】
少なくとも6か月の保存期間を有する、請求項1〜49のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項51】
少なくとも9か月の保存期間を有する、請求項50に記載の製剤。
【請求項52】
少なくとも1年の保存期間を有する、請求項51に記載の製剤。
【請求項53】
少なくとも2年の保存期間を有する、請求項52に記載の製剤。
【請求項54】
約5℃〜約25℃の温度である、請求項50〜53のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項55】
5%未満のバースト放出を有する、請求項1〜54のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項56】
1%未満のバースト放出を有する、請求項55に記載の製剤。
【請求項57】
0.5%未満のバースト放出を有する、請求項56に記載の製剤。
【請求項58】
0.25%未満のバースト放出を有する、請求項57に記載の製剤。
【請求項59】
0.1%未満のバースト放出を有する、請求項58に記載の製剤。
【請求項60】
患者への投与後最初の24時間に測定される総AUCの5%以下の活性医薬成分のバースト放出を有する請求項1〜59のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項61】
患者への投与後最初の24時間に測定される総AUCの2%以下の活性医薬成分のバースト放出を有する、請求項60に記載の製剤。
【請求項62】
患者への投与後最初の24時間に測定される総AUCの1%以下の活性医薬成分のバースト放出を有する、請求項61に記載の製剤。
【請求項63】
請求項1〜62のいずれか1項に記載の製剤を治療を必要とする患者に投与することを含むことを特徴とする、該患者における糖尿病を治療する方法。
【請求項64】
糖尿病が2型糖尿病であることを特徴とする、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
糖尿病が、1型糖尿病または妊娠性糖尿病であることを特徴とする、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
メトホルミン、スルホニル尿素、チアゾリジンジオンまたはこれらの2以上の組合せを患者に投与することをさらに含むことを特徴とする、請求項63〜65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
請求項1〜62のいずれか1項に記載の製剤をそれを必要とする患者に投与することを含む、該患者においてインスリン放出を促進させる;血漿グルカゴンを低下させる;摂食量を減少させる;食欲を減退させる;胃運動を低下させる;胃内容排出を遅延させる;血漿脂質レベルを低下させる;耐糖能異常を治療する;高血糖症を治療する;肥満症を治療する;過体重を治療する;脂肪肝疾患を治療する;または非アルコール性脂肪性肝炎を治療する方法。
【請求項68】
請求項1〜62のいずれか1項に記載の製剤を含む容器。
【請求項69】
容器がバイアルである、請求項68に記載の容器。
【請求項70】
バイアルが単回投与バイアルである、請求項69に記載の容器。
【請求項71】
バイアルが複数回投与バイアルである、請求項69に記載の容器。
【請求項72】
容器がペン型注射器である、請求項68に記載の容器。
【請求項73】
ペン型注射器が単回投与ペン型注射器である、請求項72に記載の容器。
【請求項74】
ペン型注射器が複数回投与ペン型注射器である、請求項72に記載の容器。
【請求項75】
請求項1〜62のいずれか1項に記載の製剤をそれを必要とする患者に投与することを特徴とする、活性医薬成分を該患者に投与する方法。
【請求項76】
活性医薬成分をその中に分散させたマイクロスフェアを非水性担体中に懸濁させることを含み、該活性成分の効力の少なくとも90%が少なくとも1年間維持されることを特徴とする、活性医薬成分の効力を維持する方法。
【請求項77】
非水性担体が、C〜C12脂肪酸を含む1または複数のトリグリセリドを含み、かつマイクロスフェアが、約5%(w/w)のエクセナチドと約2%(w/w)のスクロースとをその中に分散させたポリ(ラクチド−co−グリコリド)ポリマーを含み、ポリマー中のラクチド:グリコリドの比が約1:1であることを特徴とする、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
活性成分の効力の少なくとも95%が少なくとも1年間維持されることを特徴とする、請求項76または77に記載の方法。
【請求項79】
活性医薬成分をその中に分散させたマイクロスフェアを非水性担体中に懸濁させることを含み、該活性成分の効力の少なくとも90%が少なくとも1年間維持されることを特徴とする、マイクロスフェアを安定化させる方法。
【請求項80】
非水性担体が、C〜C12脂肪酸を含む1または複数のトリグリセリドを含み、かつマイクロスフェアが、約5%(w/w)のエクセナチドと約2%(w/w)のスクロースとをその中に分散させたポリ(ラクチド−co−グリコリド)ポリマーを含み、ポリマー中のラクチド:グリコリドの比が約1:1であることを特徴とする、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
活性成分の効力の少なくとも95%が少なくとも1年間維持されることを特徴とする、請求項79または80に記載の方法。
【請求項82】
(i)活性医薬成分をその中に分散させたマイクロスフェアを非水性担体中に懸濁させ、次いで、(ii)マイクロスフェアを少なくとも3か月間保管することを含み、該活性成分の効力の少なくとも90%が少なくとも3か月間維持されることを特徴とする、活性医薬成分を含むマイクロスフェアを少なくとも3か月間保管する方法。
【請求項83】
活性成分の効力の少なくとも95%が少なくとも3か月間維持されることを特徴とする、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
非水性担体が、C〜C12脂肪酸を含む1または複数のトリグリセリドを含み、かつマイクロスフェアが、約5%(w/w)のエクセナチドと約2%(w/w)のスクロースとをその中に分散させたポリ(ラクチド−co−グリコリド)ポリマーを含み、ポリマー中のラクチド:グリコリドの比が約1:1であることを特徴とする、請求項82または83に記載の方法。
【請求項85】
非水性担体と活性医薬成分をその中に分散させたマイクロスフェアとを含む容器を調製し、次いで、容器をそれを必要とする患者に送達することを含むことを特徴とする、活性医薬成分を含む容器を該患者に送達する方法。
【請求項86】
非水性担体と活性医薬成分をその中に分散させたマイクロスフェアとを含む容器を調製し、容器を包装施設から薬局へ輸送し、次いで、容器を患者に送達することを特徴とする、請求項81に記載の方法。
【請求項87】
非水性担体が、C〜C12脂肪酸を含む1または複数のトリグリセリドを含み、かつマイクロスフェアが、約5%(w/w)のエクセナチドと約2%(w/w)のスクロースとをその中に分散させたポリ(ラクチド−co−グリコリド)ポリマーを含み、ポリマー中のラクチド:グリコリドの比が約1:1であることを特徴とする、請求項85または86に記載の方法。
【請求項88】
請求項1〜62のいずれか1項に記載の製剤を含む容器および使用説明書を含むキット。
【請求項89】
容器がペン型注射器である、請求項88に記載のキット。
【請求項90】
ペン型注射器が単回投与ペン型注射器である、請求項89に記載のキット。
【請求項91】
ペン型注射器が複数回投与ペン型注射器である、請求項89に記載のキット。
【請求項92】
容器がバイアルである、請求項88に記載のキット。
【請求項93】
バイアルが単回投与バイアルである、請求項92に記載のキット。
【請求項94】
バイアルが複数回投与バイアルである、請求項92に記載のキット。
【請求項95】
容器がカートリッジである、請求項88に記載のキット。
【請求項96】
バイアルが単回投与カートリッジである、請求項92に記載のキット。
【請求項97】
バイアルが複数回投与カートリッジである、請求項92に記載のキット。
【請求項98】
製剤が、請求項88〜98のいずれか1項に記載のキットで提供されることを特徴とする、請求項63〜77のいずれか1項に記載の方法。
【請求項99】
非水性担体と活性医薬成分をその中に分散させたマイクロスフェアとの製剤が、請求項1〜62のいずれか1項に記載の製剤であることを特徴とする、請求項76〜87のいずれか1項に記載の方法。
【請求項100】
マイクロスフェアが、内層よりも低い多孔性の外層を有する、前記請求項のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項101】
外層が無孔性である、請求項100に記載の製剤。
【請求項102】
担体が、マイクロスフェアの相当数の内部空間または細孔内に含有されていない、請求項100または101に記載の製剤。
【請求項103】
担体が、マイクロスフェアの内部空間または細孔内に含有されていない、請求項102に記載の製剤。
【請求項104】
担体が、マイクロスフェアの内部空間または細孔に浸透していない、請求項102に記載の製剤。
【請求項105】
非水性非可溶化担体が、5cP〜200cP、10cP〜90cP、20cP〜80cPまたは30cP〜70cPの粘度を有する、前記請求項のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項106】
組成物中に含有される活性医薬成分の患者への徐放が、1週間、2週間、1か月、3か月または1年である、前記請求項のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項107】
活性医薬成分が、投与後最初の24時間の間に400pg/mlを超える活性医薬成分の循環レベルを生じない、前記請求項のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項108】
活性医薬成分が、投与後最初の24時間の間に350pg/mlを超える活性医薬成分の循環レベルを生じない、前記請求項のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項109】
100ミリグラム用量のマイクロスフェアを投与する、請求項106〜107に記載の製剤。
【請求項110】
100ミリグラム用量のマイクロスフェアが3〜5%の活性医薬を含有する、請求項109に記載の製剤。
【請求項111】
100ミリグラム用量のマイクロスフェアが5%の活性医薬を含有する、請求項110に記載の製剤。
【請求項112】
100ミリグラム用量のマイクロスフェアが2%の糖をさらに含有する、請求項109〜111のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項113】
活性医薬成分が、エキセンジンもしくはエクセナチドまたはそのアゴニストペプチド類似体である、前記請求項のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項114】
製剤を投与される患者または対象がヒトである、前記請求項のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項115】
マイクロスフェアが、活性医薬成分としての約5%(w/w)のエクセナチドと約2%(w/w)のスクロースとをその中に分散させたポリ(ラクチド−co−グリコリド)ポリマーから実質的になり、ポリマー中のラクチド:グリコリドの比が約1:1である、前記請求項のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項116】
ポリマーが50:50DLPLG4Aである、請求項115に記載の製剤。
【請求項117】
マイクロスフェアが、約3〜5%(w/w)のエキセンジン−4と約2%(w/w)のスクロースとを含む、前記請求項のいずれか1項に記載の製剤。
【請求項118】
マイクロスフェアが、約3以下のCaveに対するCmaxの比を供し、かつマイクロスフェアの全細孔容積が約0.1mL/g以下である、前記請求項のいずれか1項に記載の製剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−502056(P2012−502056A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526233(P2011−526233)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/056058
【国際公開番号】WO2010/028257
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(598133654)アミリン・ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッド (38)
【氏名又は名称原語表記】AMYLIN PHARMACEUTICALS, INC.
【住所又は居所原語表記】9360 Towne Centre Drive, San Diego, CA 92121 USA
【Fターム(参考)】