説明

非水系インクの製造方法

【課題】非水系インクにおいて、顔料の分散効率を高める方法を提供すること目的とする。
【解決手段】
顔料、顔料分散剤樹脂、及び有機溶剤を混合して顔料分散物を作る工程であって、該有機溶剤が、該顔料分散物の40〜80質量%となる量で使用され、該有機溶剤の65質量%以上が、(A)炭素数8〜24の脂肪酸と炭素数1〜12のアルコールとのエステル、及び(B)炭素数8〜24のアルコールからなる群より選ばれる少なくとも一種の極性溶剤である、工程[1]と、前記工程[1]で得られる顔料分散物に追加の有機溶剤を配合する、工程[2]を含むことを特徴とする非水系インクの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水系インクの製造方法に関し、詳細には、所定の顔料分散剤樹脂と溶剤の組み合わせを用いて、予め顔料濃度が高い分散物を作る工程を含み、顔料分散度の高い非水系インクを効率よく調製することができる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
顔料を含む非水系インク、特にインクジェット用の非水系インク(以下、「インク」と言う場合がある)では、顔料がノズルに詰まらないよう、又、印刷機上で凝集等が起こらないよう、顔料が十分に分散され、且つ、該分散状態が安定に維持されることが要求される。
【0003】
顔料の分散効率を高める一つの方法は、顔料分散性の高い有機溶剤と、該有機溶剤による顔料の濡れ性を向上する分散剤を用いることである。一般に、極性の高い溶剤は顔料分散性が高いが、分散物の粘度が高くなり、ビーズミル等の分散手段を駆動するために高いエネルギーが必要となる。一方、非極性溶剤を用いると、粘度は下がるが、極性の高い溶剤の場合と同じ分散エネルギーを使っても、極性溶剤と同等の分散を得るためには、より長い時間が必要となる。そこで、通常、極性溶媒と非極性溶媒とを適宜混合して用いるのが一般的である。
【0004】
分散剤は、上述のとおり顔料の濡れ性を向上するが、顔料が有機溶剤と共に印刷媒体に浸透し易くなるため、印字濃度が低くなるという問題がある。これを防止するために、インク中に樹脂を分散させて用いることが知られている(特許文献1)。また、このような樹脂として、印字濃度の向上に加えて、顔料分散性も向上することができる、分散剤樹脂が提案されている(特許文献2)。該樹脂は、極性から非極性までの多種の溶剤と共に使用することができるとされ、例えばナフテン系溶剤及びパルミチン酸イソオクチルが使用されている(特許文献2、段落0046、0049)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−171056号公報
【特許文献2】特開2010−1452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記ナフテン系溶剤とパルミチン酸イソオクチルは、非極性溶媒と極性溶媒との混合物であり、顔料の良好な分散安定性を達成することができる。しかし、分散効率の点では、改良の余地がある。そこで、本発明は、画像濃度、分散安定性を確保しつつ、該分散剤樹脂を用いた際の、顔料の分散効率を高める方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、種々、検討したところ、所定の溶剤と該分散剤樹脂を用いて、顔料分散物マスターバッチを予め作っておき、これに溶剤を追加することによって、顔料分散性が高いインクを効率良く作ることができることを見出した。
即ち、本発明は、下記工程を含む非水系インクの製造方法である。
[1]顔料、顔料分散剤樹脂、及び有機溶剤を混合して顔料分散物を作る工程であって、
該顔料分散剤樹脂が下記構成単位下記式(1)で表される繰り返し単位を含む主鎖と、下記式(2)で表される繰り返し単位を含む、側鎖又は架橋部を有し、
【化1】

【化2】

(ここで、Rは水素もしくは炭素数1〜3のアルキル基、Rは炭素数12〜25のアルキル基、Rは炭素数6〜16の2価の炭化水素基、Rは炭素数2〜20のアルキレン基もしくはオキシアルキレン基である。)
該有機溶剤が、該顔料分散物の40〜80質量%となる量で使用され、該有機溶剤の65質量%以上が、
(A)炭素数8〜24の脂肪酸と炭素数1〜12のアルコールとのエステル、及び
(B)炭素数8〜24のアルコール
からなる群より選ばれる少なくとも一種の極性溶剤である工程、及び
[2]工程[1]で得られる顔料分散物に、追加の有機溶剤を配合して、有機溶剤の合計質量を、該非水系インクの質量の75〜95質量%とし、該有機溶剤の合計質量の30〜100質量%を、
(A)炭素数8〜24の脂肪酸と炭素数1〜12のアルコールとのエステル、及び
(B)炭素数8〜24のアルコール
からなる群より選ばれる少なくとも一種の極性溶剤とする工程。
【発明の効果】
【0008】
本発明の方法は、特許文献2におけるように、分散を一工程で実施するよりも、分散効率が高い。また、顔料分散能を有する樹脂を用いるので、特許文献1におけるように、顔料分散体を作る際に別途、分散剤を用いる必要がなく、また、同文献におけるように、顔料分散物を作った後に樹脂を添加するよりも、分散効率が高い。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の方法では、工程[1]において、(A)炭素数8〜24の脂肪酸と炭素数1〜12のアルコールとのエステル(以下「(A)エステル」という場合がある)及び(B)炭素数8〜24のアルコール(以下「(B)アルコール」という場合がある)からなる群より選ばれる少なくとも一種の極性溶剤を、工程[1]で使用する有機溶剤の65質量%以上、好ましくは75質量%以上、用いることを特徴とする。65質量%未満では、十分な分散性の向上を達成することが難しい。使用量の上限については、特に制限はなく、該極性溶剤が100質量%であってもよい。
【0010】
<(A)炭素数8〜24の脂肪酸と炭素数1〜12のアルコールとのエステル>
(A)エステルとしては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ベヘン酸等の飽和もしくは不飽和脂肪酸の、メチル、エチル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、及びドデシル等のアルキルエステルが挙げられる。好ましくは、炭素数12〜18の脂肪酸と炭素数6〜8の直鎖または分岐の脂肪族モノアルコールとのエステル、例えば、パルミチン酸イソオクチル、及びカプリン酸オクチル等が使用される。
【0011】
<(B)炭素数8〜24のアルコール>
(B)アルコールとしては、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール(パルミチルアルコール)、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、リノリルアルコール等の直鎖または分岐の脂肪族アルコール、ジメチルシクロヘキサノール等の脂環式アルコール等が挙げられる。好ましくは、炭素数12〜18の脂肪族アルコール、例えばミリスチルアルコール、セチルアルコール等が使用される。
【0012】
<工程[1]で使用する他の有機溶剤>
上記(A)エステル、(B)アルコール以外の溶剤としては、脂肪族炭化水素溶剤、脂環式炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素溶剤等の炭化水素系非極性有機溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、高級脂肪酸系溶剤、エーテル系溶剤等の極性溶媒の、いずれのものも使用することができる。脂肪族炭化水素溶剤、脂環式炭化水素系溶剤としては、例えば、テクリーンN−16、テクリーンN−20、テクリーンN−22、日石ナフテゾールL、日石ナフテゾールM、日石ナフテゾールH、0号ソルベントL、0号ソルベントM、0号ソルベントH、日石アイソゾール300、日石アイソゾール400、AF−4、AF−5、AF−6、AF−7(いずれもJX日鉱日石エネルギー社製)、Isopar(アイソパー)G、IsoparH、IsoparL、IsoparM、ExxsolD40、ExxsolD80、ExxsolD100、ExxsolD130、ExxsolD140(Exxon社製)等を挙げることができる。芳香族炭化水素溶剤としては、日石クリーンソルG(アルキルベンゼン、JX日鉱日石エネルギー社製)、ソルベッソ200(Exxon社製)等を挙げることができる。
【0013】
エステル系溶剤としては、上記(A)エステルについて挙げたものに加えて、大豆油メチル、大豆油イソブチル、トール油メチル、トール油イソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、モノカプリン酸プロピレングリコール、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリルなどが挙げられる。
【0014】
また、アルコール系溶剤としては、上記(B)アルコールについて挙げたものに加えて、炭素数6〜12のジオール、例えばオクタンジオールなどが挙げられる。高級脂肪酸系溶剤としてはイソノナン酸、イソミリスチン酸、ヘキサデカン酸、イソパルミチン酸、オレイン酸、イソステアリン酸など;エーテル系溶剤としてはジエチルグリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルなどが挙げられる。これらの溶剤の2種以上を混合して用いることができる。これらの溶剤のうち、好ましくは、脂肪族炭化水素溶剤、特にナフテン系溶剤、及び、エーテル系溶剤、特にポリエチレングリコールエーテル、例えばトリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル等が使用される。
【0015】
上記極性溶剤と、他の有機溶剤を合わせて、有機溶剤は該顔料分散物の40〜80質量%、好ましくは50〜70質量%で含まれる。有機溶剤の量が、前記下限値未満では、顔料分散物の粘度が高くなり、分散機への負荷が大きくなる。一方、有機溶剤の量が、前記上限値を超えては、顔料の微細化が起こりにくいため分散効率が低下する。
【0016】
<顔料分散剤樹脂>
顔料分散剤樹脂(以下「分散剤樹脂」という場合がある)は、下記式(1)で表される繰り返し単位を含む主鎖と、下記式(2)で表される繰り返し単位を含む、ウレタン構造の側鎖もしくは架橋部(以下「ウレタン結合部」という)を有する。
【化3】

【化4】

ここで、Rは水素もしくは炭素数1〜3のアルキル基、好ましくはメチル基、Rは炭素数12〜25のアルキル基、Rは炭素数6〜16の2価の炭化水素基、Rは炭素数2〜20のアルキレン基もしくはオキシアルキレン基である。
【0017】
該分散剤樹脂において、炭素数12〜25の長鎖アルキル基が、有機溶剤との親和性に優れる部分である。該アルキル基としては、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコサニル基、ヘンイコサニル基、ドコサニル基、イソドデシル基、及びイソオクタデシル基等が挙げられ、これらは分岐を有していてよい。また、これらの複数種が含まれていてもよい。
【0018】
一方、式(2)で表される上記ウレタン結合部は極性が高いので顔料との親和性に優れ、上記長鎖アルキル基と共に、顔料の濡れ性を向上することができると考えられる。
【0019】
該分散剤樹脂は、以下の方法で得ることができる。第一段目において、式(1)のポリアルキル(メタ)アクリレート主鎖を、炭素数12〜25のアルキル基を備える(メタ)アクリレートモノマーをラジカル重合させて得る。該アルキル基としては、エチルヘキシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコサニル基、ヘンイコサニル基、ドコサニル基、イソドデシル基、及びイソオクタデシル基等が挙げられ、これらは分岐を有していてよい。また、これらの複数種が含まれていてもよい。
【0020】
第一段目において、コモノマーの一つとして、グリシジル基を有する(メタ)アクリル系単量体を用いてラジカル重合を行い、該グリシジル基を、式(2)のウレタン結合部と主鎖との連結部の調製に用いる。グリシジル基を有する(メタ)アクリル系単量体としては、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのグリシジルエーテル、例えば、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらのうち、グリシジルメタアクリレートが好ましい。該グリシジル基を有する(メタ)アクリル系単量体は、単量体総量の1〜30質量%で含まれていることが好ましく、より好ましくは3〜25質量%、最も好ましくは10〜20質量%である。
【0021】
さらに、コモノマーとして、β−ジケトン基(−C(=O)−C−C(=O)―)またはβ−ケト酸エステル基(−C(=O)−C−C(=O)OR、Rは炭化水素基)を有する(メタ)アクリル系単量体を用いると、より粘度が低いインクを調製することが可能となる。これにより、インクの溶剤を選択する際に、溶剤自身の粘度値に基づく制約が少なくなり、非水系溶剤の選択の幅を拡げることができる。また、必要に応じて定着用樹脂または添加剤などを配合する際の、配合成分によるインク粘度増加の許容範囲が広がり、インク処方の自由度を広げることも可能となる。さらに、β−ジケトン基またはβ−ケト酸エステル基が顔料の凝集を抑制し、裏抜けを抑制すると同時に印刷濃度の向上を実現できる。
【0022】
β−ジケトン基またはβ−ケト酸エステル基を有する(メタ)アクリル系単量体としては、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート等のアセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレート、ヘキサジオン(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリルアミド等のアセトアセトキシアルキル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を併用することができる。
【0023】
β−ジケトン基またはβ−ケト酸エステル基を有する(メタ)アクリル系単量体の配合量は、モノマー混合物中に3〜30質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。
【0024】
その他、コモノマーとしては、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー;酢酸ビニル、安息香酸ビニル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル系ポリマー;マレイン酸エステル、フマル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−オレフィン等が挙げられる。また、アルキル鎖長の炭素数が12未満のアルキル(メタ)アクリレート、たとえば2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、tert−オクチル(メタ)アクリレート等を使用することもできる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0025】
第一段目のラジカル重合は、有機溶剤中で行うことが好ましい。また、分子量を調整するために、重合時に連鎖移動剤を併用することが有効である。連鎖移動剤としては、たとえば、n−ブチルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、ステアリルメルカプタン、シクロヘキシルメルカプタンなどのチオール類が用いられる。
【0026】
重合開始剤としては、AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)等のアゾ化合物、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート(パーブチルO、日本油脂(株)製)等の過酸化物など、公知の熱重合開始剤を使用することができる。その他にも、活性エネルギー線照射によりラジカルを発生する光重合型開始剤を用いることができる。溶液重合に用いる重合溶媒には、たとえば石油系溶剤(アロマフリー(AF)系)などを使用できる。この重合溶媒は、そのままインクの非水系溶剤として使用できる溶媒(後述)のなかから1種以上を選択することが好ましい。重合反応に際し、その他、通常使用される重合禁止剤、重合促進剤、分散剤等を反応系に添加することもできる。
【0027】
第二段目では、第一段目で得られた、グリシジル基を有するポリアルキル(メタ)アクリレート主鎖と、該グリシジル基と反応性の基及びアルコール性水酸基を有する化合物を反応させて、式(2)のウレタン結合部をアルキル(メタ)アクリレート主鎖に結合する連結部分を形成する。該グリシジル基と反応性の基及びアルコール性水酸基を有する化合物としては、アミノ基、又はカルボキシル基を有するアルコールが挙げられ、好ましくはアミノアルコールが使用される。アミノアルコールとしては、炭素数が2〜10のモノオールアミン、例えばモノメチルエタノールアミン、炭素数が4〜20のジオールアミン、例えばジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、及びこれらの混合物が挙げられ、なかでも、炭素数が4〜20のジアルカノールアミン、特にジエタノールアミンが好ましい。アミノアルコールは、上記グリシジル基1モルに対して、0.05〜1モル当量で反応させることが好ましく、0.1〜1モル当量で反応させることがより好ましい。
【0028】
第二段目の反応は、第一段目で得られる共重合体溶液にアミノアルコール及び/又は多価アルコールを添加して、不活性ガスを通気して攪拌しながら、加熱することによって行うことができる。
【0029】
第三段目では、第二段目で得られたアルコール性水酸基を有するポリアルキル(メタ)アクリレート主鎖に、多価イソシアネートを反応させ、残ったイソシアネート基を多価アルコールと反応させて、ウレタン結合部を構成する。多価アルコールは、第二段目で添加しておいてもよい。該多価アルコールは、グリシジル基とはほとんど反応しないと考えられるが、多少、反応したとしても問題は無い。該多価アルコールとしては、炭素数2〜20のアルキレン基又はオキシアルキレン基を有する多価アルコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びこれらの混合物が挙げられる。多価アルコールは、該グリシジル基と反応性の基とアルコール性水酸基を有する化合物における、該グリシジル基と反応性の基1モルに対して、好ましくは水酸基が10モル以下になる量、より好ましくは1〜5モルになる量で用いる。
【0030】
第三段目の反応で使用される多価イソシアネート化合物としては、炭素数6〜16のアルキレン基等の脂肪族基、シクロアルキレン基等の脂環式基又はアリレーン基等の芳香族基を有する多価イソシアネート、例えば、1,6−ジイソシアナートへキサン、1,3−ビス(イソシアナートメチル)ベンゼン、1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、1,5−ナフタレンジイソシアネート、及びこれらの混合物が挙げられる。該イソシアネート化合物は、未反応アルコール性水酸基が残らないようにするために、アルコール性水酸基に対してほぼ当量(0.98〜1.02モル当量)で反応させることが好ましい。
【0031】
第三段目の反応は、第二段目で得られる共重合体溶液に多価イソシアネート化合物を添加し、定法に従い錫触媒等の存在下で加熱して行うことができる。
【0032】
該ウレタン結合部は、該樹脂中に、1〜40質量%、好ましくは1〜30質量%で、より好ましくは5〜20質量%で含まれる。該ウレタン結合部の質量は、反応に使用したアミノアルコール、多価アルコールとイソシアネート化合物の合計質量である。
【0033】
該分散剤樹脂は、GPCで測定される重量平均分子量が5000〜50,000、好ましくは8000〜30,000である。該分子量が前記下限値未満のものを使用すると、インクの貯蔵安定性が悪くなる傾向があり、前記上限値を超えるものを使用すると、インクの粘度が高く、インクジェット用インクの場合、吐出安定性が悪くなる傾向がある。
【0034】
インクにおける、該分散剤樹脂の含有量は、インク質量に対して0.1質量%以上であることが好ましく、2重量%以上であることがより好ましい。一方、該分散剤樹脂の含有量が20重量%を越えても、量に比例した分散性の向上が見られないだけでなく、分散エネルギーが増加するため、15質量%以下であることが好ましい。最も好ましくは、インク質量の3〜10質量%である。該分散剤樹脂の顔料に対する量(質量比)としては、0.1〜1が好ましく、0.3〜0.7がより好ましく、0.4〜0.6がさらに好ましい。なお、分散剤樹脂が溶剤に溶解もしくは分散されている場合には、該樹脂固形分の量が上記各量となるようにする。
【0035】
<顔料>
該インクにおいて、顔料は任意のものであってよい。黒色インク用の顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック類;銅、鉄、酸化チタン等の金属類または金属酸化物;オルトニトロアニリンブラック等の有機顔料を挙げることができる。これらは単独で、任意に混合して使用することができる。より高い印刷濃度を得られる点で、JIS K6221に従い測定されるジブチルフタレート(DBP)給油量が80cm/100g〜140cm/100g、且つJIS K6217に従い測定される窒素吸着比表面積が100m/g〜200m/gのカーボンブラック顔料が好ましい。
【0036】
カラーインク用顔料としては、トルイジンレッド、パーマネントカーミンFB、ジスアゾオレンジPMP、レーキレッドC、ブリリアントカーミン6B、キナクリドンレッド、ジオキサンバイオレット、オルトニトロアニリンオレンジ、ジニトロアニリンオレンジ、バルカンオレンジ、トルイジンレッド、塩素化パラレッド、ブリリアントファーストスカーレット、ナフトールレッド23、ビラゾロンレッド、バリウムレッド2B、カルシウムレッド2B、ストロンチウムレッド2B、マンガンレッド2B、バリウムリソームレッド、ピグメントスカーレッド3Bレーキ、レーキボルドー10B、アンソシン3Bレーキ、アンソシン5Bレーキ、ローダミン6Gレーキ、エオシンレーキ、べんがら、ファフトールレッドFGR、ローダミンBレーキ、メチルバイオレッドレーキ、ジオキサジンバイオレッド、ナフトールカーミンFB、ナフトールレッドM、ファストイエローAAA、ファストイエロー10G、ジスアゾイエローAAMX、ジスアゾイエローAAOT、ジスアゾイエローAAOA、ジスアゾイエローHR、イソインドリンイエロー、ファストイエローG、ジスアゾイエローAAA、フタロシアニンブルー、ピクトリアピュアブルー、ベーシックブルー5Bレーキ、ベーシックブルー6Gレーキ、ファストスカイブルー、アルカリブルーRトナー、ピーコックブルーレーキ、紺青、群青、レフレックスブルー2G、レフレックスブルーR、アルカリブルーGトナー、ブリリアントグリーンレーキ、ダイアモンドグリーンチオフラビンレーキ、フタロシアニングリーンG、グリーンゴールド、フタロシアニングリーンY、酸化鉄粉、さびこ、亜鉛華、酸化チタン、炭酸カルシウム、クレー、硫酸バリウム、アルミナホワイト、アルミニウム粉、ブロンズ粉、昼光蛍光顔料、パール顔料等を例示できる、これらは単独で、または任意混合して用いることができる。
【0037】
顔料の平均粒径は、吐出安定性と保存安定性の観点から300nm以下であることが好ましく、150nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることがさらに好ましい。ここで、顔料の平均粒径は、動的光散乱式粒度分布測定装置LB−500(堀場製作所製)等により測定することができる。
【0038】
インク中での顔料濃度は、印刷濃度とインク粘度の観点から5〜15質量%であることが好ましく、5〜10質量%であることがより好ましい。濃度が、前記下限値未満では分散機の磨砕による顔料の微細化が起こりにくいため分散効率が低下し、前記上限値を超えては粘度が高くなりすぎてしまうため分散機への負荷が大きくなってしまう。
【0039】
工程[1]は、ボールミル、ビーズミル、ホモジナイザー、3本ロール等の公知の分散機に、(A)エステル及び(B)アルコールから選ばれる少なくとも一種の極性溶剤、使用する場合には他の有機溶剤、分散剤樹脂、及び顔料を一括又は分割して加えて、分散する。分散時間は、好ましくは5分以上、より好ましくは30分以上である。
【0040】
分散する際に、本発明の目的を阻害しない量の、市販の分散剤を配合してもよい。該顔料分散剤としては、例えば、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエステルポリアミン、ステアリルアミンアセテート等が挙げられる。
【0041】
好ましくは、高分子系分散剤が使用され、例えば、以下の商品名で販売されているものが挙げられる:ソルスパース5000(フタロシアニンアンモニウム塩系)、11200(ポリアミド系)、13940(ポリエステルアミン系)、17000、18000(脂肪酸アミン系)、22000、24000、及び28000(いずれも日本ルーブリゾール社製);エフカ400、401、402、403、450、451、453(変性ポリアクリレート)、46、47、48、49、4010、及び4055(変性ポリウレタン)(いずれもEfka CHEMICALS社製);デモールP、EP、ポイズ520、521、530、及びホモゲノールL−18(ポリカルボン酸型高分子界面活性剤)(いずれも花王(株)製);ディスパロンKS−860、KS−873N4(高分子ポリエステルのアミン塩)(いずれも楠本化成社製);ディスコール202、206、OA−202、及びOA−600(多鎖型高分子非イオン系)(いずれも第一工業製薬(株)製);ANTARON V216(ビニルピロリドン−ヘキサデセンコポリマー)(アイエスピー・ジャパン(株)製)。
【0042】
工程[2]では、工程[1]で得られる顔料分散物に、追加の有機溶剤を配合して、非水系インク中の全有機溶剤量を、該非水系インクの75〜95質量%とする。全有機溶剤の量が、前記下限値未満では、インクの粘度が高過ぎ、前記上限値を超えては、画像濃度が低くなる場合がある。
【0043】
工程[2]で追加する有機溶剤は、任意のものであってよく、(A)エステル及び(B)アルコールから選ばれる少なくとも一種の極性溶剤、及び、上記<工程[1]で使用する他の有機溶剤>で挙げたものを使用することができる。好ましくは、(A)エステル及び(B)アルコールから選ばれる少なくとも一種の極性溶剤及び炭化水素系溶剤、特にナフテン系溶剤、からなる群より選ばれる少なくとも一種を使用する。該追加後の全有機溶剤の30〜100質量%、好ましくは35〜80質量%、最も好ましくは40〜60質量%が、(A)エステル及び(B)アルコールから選ばれる少なくとも一種の極性溶剤となるようにする。該極性溶剤の濃度が前記下限値未満では、工程[1]で得られた分散状態が損なわれる場合がある。
【0044】
該追加の配合は、工程[1]で用いたビーズミル等の分散物に、有機溶剤を追加して、再度ビーズミル等で混練することよって実施することができる。或いは、顔料分散物をミキサー等の混合機に移し、攪拌しながら、有機溶剤を添加することによって行なってもよい。工程[1]で顔料の分散は達成されているので、攪拌時間は1〜30分程度と短くてよい。混合後、所望により、メンブレンフィルター等によりろ過することによって、インクを得ることができる。
【0045】
得られるインクの粘度は、用途に応じて、適宜調整することが好ましい。インクジェット印刷用の場合には、システムの吐出ヘッドのノズル径や吐出環境等に依存するが、一般に、23℃において5〜30mPa・sであることが好ましく、5〜15mPa・sであることがより好ましく、約10mPa・s程度であることが、最も好ましい。ここで粘度は、23℃において0.1Pa/sの速度で剪断応力を0Paから増加させたときの10Paにおける値を表す。
【0046】
<任意成分>
工程[2]において、本発明の効果を阻害しない範囲内で、任意の成分を配合することができる。たとえば、上記分散剤樹脂以外の樹脂として、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、スチレン−マレイン酸系樹脂、ロジン系樹脂、ロジンエステル系樹脂、エチレン−酢ビ系樹脂、石油樹脂、クマロンインデン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ系樹脂、セルロース系樹脂、塩酢ビ系樹脂、キシレン樹脂、アルキッド樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、ブチラール樹脂、マレイン酸樹脂、フマル酸樹脂、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエステルポリアミン、ステアリルアミンアセテート等を含むことができる。
【0047】
また、シナジストを配合してもよい。シナジストは、顔料骨格中に、極性基を導入した顔料誘導体である。顔料骨格としては、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、イソインドリン顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ピランスロン顔料、チオインジゴ顔料、及びキノフタロン顔料等の骨格が挙げられる。極性基としては、アルキルアミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、及びフタルイミド基等が挙げられる。これらのうち、フタロシアニン顔料、特に銅フタロシアニンブルーの骨格に、スルホン酸基、アミノ基等を導入したものが好ましく、例えば銅フタロシアニンスルホネート(ソルスパース5000、ソルスパース12000、ソルスパース22000;いずれもルーブリゾール社製)が挙げられる。その他、ノズルの目詰まり防止剤、酸化防止剤、導電率調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、酸素吸収剤などを適宜添加することもできる。
【0048】
本発明の方法は、インクジェット用の非水系インクを調製するのに特に適するが、他の用途、例えばカラーフィルターの印刷等、に使用される非水系インクの調製にも適用することができる。
【実施例】
【0049】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<顔料分散剤樹脂の調製>
300mlの四つ口フラスコに、AF−4(ナフテン系溶剤;新日本石油(株)製)75gを仕込み、窒素ガスを通気し攪拌しながら、110℃まで昇温した。次いで、温度を110℃に保ちながらベヘニルメタクリレート50質量%、2−エチルヘキシルメタクリレート35質量%及びグリシジルメタクリレート15質量%の混合物を加え、そこにAF−4 16.7g、パーブチル O(t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート;日本油脂(株)製)2gの混合物を3時間かけて滴下した。その後、110℃に保ちながら1時間および2時間後に、パーブチル Oを各0.2g添加した。さらに110℃で1時間熟成を行った後、AF−4 10.6gで希釈して、不揮発分50%の無色透明の主鎖ポリマー溶液を得た。得られたポリマーの重量平均分子量(GPC法、標準ポリスチレン換算)は、20000〜23000であった。
次いで、500mLの四つ口フラスコに、パルミチン酸イソオクチル(IOP、日光ケミカルズ(株)製)81g、上記で得られたポリマー溶液(AF−4溶剤中固形分50%)200g、プロピレングリコール 4.0g、ジエタノールアミン 2.8gを仕込み、窒素ガスを通気し攪拌しながら、110℃まで昇温し、該温度に1時間保った。その後、ジブチル錫ジラウレートを0.2g添加し、タケネート 600(1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、三井化学ポリウレタン(株)製)10.2gとIOP 99 91.8gとの混合物を1時間かけて滴下した。滴下後、温度を120℃に昇温して6時間反応させ、冷却して、固形分30%の樹脂分散液を得た。得られたポリマー(「分散剤1」とする)の重量平均分子量(GPC法、標準ポリスチレン換算)は、22000〜26000であり、ウレタン結合部の量は10質量%であった。
【0050】
<実施例1〜5、比較例1〜7>
表4に記載の処方に従い、顔料、分散剤樹脂または分散剤、及び溶剤をステンレスバケツ容器に入れ、得られた混合物をジルコニアビーズ(φ0.5mm)を充填したビーズミル(アシザワ製 LMZ0.6)に導入して、回転数3600rpmで、滞留時間15分で運転し、顔料分散物を調製した。なお、表4において、各成分量は、インク総質量を100%とした各成分の質量%である。また、分散剤樹脂、市販分散剤の量は、固形分である。
得られた分散物に、表4、工程[2]に示す追加の有機溶剤を配合し、但し、比較例6では分散剤樹脂も添加し、比較例7では追加の有機溶剤を加えることなく、インクを調製した。
【0051】
表4において、各成分の詳細は以下のとおりである。
カーボンブラック:MA−100、DBP吸油量100cm/100g、窒素吸着比表面積110m/g、三菱化学社製
AF−7:ナフテン系溶剤、JX日鉱日石エネルギー社製
市販分散剤1:ソルスパース11200、日本ルーブリゾール社製
市販分散剤2:ソルスパース17000、日本ルーブリゾール社製
【0052】
得られたインクについて、以下の方法により評価を行った。結果を表4に示す。
<顔料分散性>
顔料分散性を、インクのフィルター通過量で評価した。フィルター通過量が多いほど、分散性が高いことを表わす。インクを、ポアサイズ2.0μmのポリカーボネートフィルターを用いて、一分間、吸引ろ過し、通過したインク質量を測定して、下表の基準で評価した。
【表1】

【0053】
<分散安定性>
容量50mlのガラス容器にインク30gを充填して密封した。これを70℃で、1週間放置し、初期と放置後の粘度を、夫々、測定し[23℃において、ハーケ社製応力制御式レオメータRS75(コーン角度1°、直径60mm)を用い、0.1Pa/sの速度で剪断応力を0Paから増加させたときの10Paにおける値]、下記式に従い粘度変化率を算出し、下表の基準で評価した。

粘度変化率=100×(放置後粘度-初期粘度)/初期粘度
【表2】

【0054】
<画像濃度>
得られたインクを東芝テック社製CB2ヘッドに充填し、1ドットあたり、30plの液滴量、300dpi×300dpiの解像度で、理想用紙薄口にベタ画像を形成した。次にベタ画像のOD値を、光学濃度計(RD920、マクベス社製)を用いて測定し、以下の基準で評価した。
【表3】

【0055】
【表4】

【0056】
表4に示すように、実施例のインクは、顔料分散性、分散安定性共に優れ、濃い画像を形成した。これに対して、工程[1]における極性溶剤の量が少ないインク(比較例1)は、分散性及び安定性に劣った。また、一般的に、極性溶剤とされているものであっても、必ずしも良好な分散性は得られず(比較例3、4)、本発明における極性溶剤を用いても、分散剤が異なると(比較例2、5)、画像濃度が低くなった。比較例6は、分散剤樹脂を工程[2]で加えたものであるが、工程[1]で分散剤樹脂を加えた場合(実施例1)に比べ、分散性に劣っただけでなく、画像濃度も低かった。比較例7は、一工程で、実施例と同じ時間及び同じ条件で分散したものであるが、分散性に劣った。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の方法は、顔料を含む非水系インクの調製に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記工程を含む非水系インクの製造方法
[1]顔料、顔料分散剤樹脂、及び有機溶剤を混合して顔料分散物を作る工程であって、
該顔料分散剤樹脂が下記構成単位下記式(1)で表される繰り返し単位を含む主鎖と、下記式(2)で表される繰り返し単位を含む、側鎖又は架橋部を有し、
【化1】

【化2】

(ここで、Rは水素もしくは炭素数1〜3のアルキル基、Rは炭素数12〜25のアルキル基、Rは炭素数6〜16の2価の炭化水素基、Rは炭素数2〜20のアルキレン基もしくはオキシアルキレン基である。)
該有機溶剤が、該顔料分散物の40〜80質量%となる量で使用され、該有機溶剤の65質量%以上が、
(A)炭素数8〜24の脂肪酸と炭素数1〜12のアルコールとのエステル、及び
(B)炭素数8〜24のアルコール
からなる群より選ばれる少なくとも一種の極性溶剤である工程、及び
[2]工程[1]で得られる顔料分散物に、追加の有機溶剤を配合して、有機溶剤の合計質量を、該非水系インクの質量の75〜95質量%とし、該有機溶剤の合計質量の30〜100質量%を、
(A)炭素数8〜24の脂肪酸と炭素数1〜12のアルコールとのエステル、及び
(B)炭素数8〜24のアルコール
からなる群より選ばれる少なくとも一種の極性溶剤とする工程。
【請求項2】
工程[1]における極性溶剤が、パルミチン酸イソオクチル、ミリスチルアルコール及びセチルアルコールからなる群より選ばれる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
工程[2]における追加の有機溶剤が、工程[1]における極性溶剤、及び炭化水素系溶剤からなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項1又は2記載の方法。

【公開番号】特開2012−219131(P2012−219131A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84420(P2011−84420)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】