説明

非水系二次電池

【課題】容量を高く維持できる非水系二次電池の提供
【解決手段】リチウムイオン二次電池10(非水系二次電池)は、正極12と、負極14と、正極12と負極14とが収容された電池ケース15と、正極12と負極14との間に介在したセパレータ13と、電池ケース15内に収容された非水電解質とを備えている。ここで、正極12は、少なくともマンガンとタングステンを含む正極活物質として有している。このリチウムイオン二次電池10は、正極12と負極14との間にはベーマイト30を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は非水系二次電池に関する。
【0002】
本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充電可能な電池一般をいい、リチウム二次電池(典型的にはリチウムイオン二次電池)、ニッケル水素電池等のいわゆる蓄電池を包含する。また、本明細書において「活物質」は、二次電池において電荷担体となる化学種(例えば、リチウムイオン二次電池ではリチウムイオン)を可逆的に吸蔵および放出(典型的には挿入および離脱)可能な物質をいう。また、「非水系二次電池」は、非水電解質(例えば、非水電解液)が電解質として用いられた二次電池をいう。
【背景技術】
【0003】
非水系二次電池として、例えば、リチウムイオン二次電池は、ニッケル水素電池等の他の二次電池に対して、比較的高容量かつ高出力を実現できる。このため、特に、車両の駆動輪に連結されたモータを駆動させる電源(車両搭載用電源)として重要性が高まっている。
【0004】
リチウムイオン二次電池では、リチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出する電極活物質が用いられる。かかる電極活物質として、より高容量化が実現できるリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)を利用することが提案されている。しかしながら、コバルトは希少材料であり、比較的高価である。リチウムイオン二次電池を安定して供給するため、コバルトに依存する割合を低く抑えたい。このため、既に実用化されているリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)のコバルト(Co)の一部を、より廉価なニッケル(Ni)やマンガン(Mn)に置換したリチウム−ニッケル−コバルト−マンガン複合酸化物を用いることが提案されている。
【0005】
さらに、タングステン(W)を含有させたリチウム−ニッケル−コバルト−マンガン複合酸化物を用いることも提案されている。例えば、特開2009−140787号公報(特許文献1)では、タングステン含有リチウム−ニッケル−コバルト−マンガン複合酸化物について、タングステンの含有により高温保存時のガスの発生が多くなる。同公報では、このようなガスの発生を抑えるべく、タングステン含有リチウム−ニッケル−コバルト−マンガン複合酸化物にさらにニオブ(Nb)を添加することが開示されている。
【0006】
また、リチウムイオン二次電池は、例えば、正極と負極との間に、セパレータとしてポリオレフィン微多孔膜を配置することがある。かかるポリオレフィン微多孔膜は、充電電圧を4.25V以上に設定した場合に正極表面近傍における酸化雰囲気が強まる。その結果、正極と物理的に接触する非水電解質材料やセパレータが酸化分解を受けやすくなる。そして、結果的にリチウムイオン二次電池の内部抵抗が高まり、電池特性が低下する。これに対し、特開2007−188777号公報(特許文献2)には、セパレータの基材層の少なくとも一主面上に無機物を有する樹脂層を設けて耐酸化性を付与し、セパレータの酸化分解および電池特性の劣化を抑制することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−140787号公報
【特許文献2】特開2007−188777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、リチウムイオン二次電池は、例えば、充電と放電を繰り返すことによって容量が低下する場合がある。また、正極活物質を構成する金属元素は徐々に電解液中に溶出し得る。本発明者は、溶出した金属元素が、負極に堆積し、リチウムイオンと合金化するなどして負極に固定化されることが、充電と放電を繰り返すことによってリチウムイオン二次電池の電池容量が低下する原因の一つになると考えている。また、本発明者は、正極活物質がマンガン(Mn)を含有する場合に、リチウムイオン二次電池の電池容量が低下する現象が、特に顕著に見られるとの知見を得た。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る非水系二次電池は、正極と、負極と、正極と負極との間に介在したセパレータと、正極と負極とが収容された電池ケースと、電池ケース内に収容された非水電解質とを備えている。ここで、正極は、少なくともマンガンとタングステンを含む正極活物質として有している。さらに非水系二次電池は、正極と負極との間にベーマイトを備えている。ここで、ベーマイトはセパレータに含まれていてもよい。また、ベーマイトはセパレータの負極側の表面に配置されていてもよい。
【0010】
また、正極と負極との間に耐熱層(HRL:heat resistance layer)が介在されている場合には、ベーマイトは耐熱層に含まれていてもよい。ここで、耐熱層は、耐熱性を有する絶縁性金属酸化物等を含む多孔質層である。耐熱層は、主に内部短絡につながるセパレータの酸化分解および電池特性の劣化を防止する目的で使用されている。代表的には、樹脂製の多孔質基材に、無機フィラー(例えば、絶縁性金属酸化物)および少量の結着剤からなる多孔質耐熱層を形成することで構成されている。また、耐熱層は、例えば、正極、負極およびセパレータのうち、少なくとも一つの表面に設けられていてもよい。上述の耐熱層は、電池構造又は製造工程の簡略化、および、短絡防止効果の観点から、正極、負極又はセパレータの表面(一面)に設けられることが多い。また、ベーマイトは、フィラーであってもよい。
【0011】
本発明者は、正極活物質にマンガンとタングステンとが含まれている場合には、特に、正極と負極との間にベーマイトを備えていることが好ましいとの知見を得た。この場合、本発明者の想像するところでは、正極から溶出したタングステンがベーマイトの表面に引き寄せられる。さらに、ベーマイトの表面に引き寄せられたタングステンによって、正極から溶出したマンガンがベーマイトに引き寄せられる。このように、結果としてベーマイトによって、正極から溶出したマンガンを捕捉することができる。そして、最終的に負極に到達するマンガンの量が減少するものと考えられる。
【0012】
ここで、ベーマイト(Boehmite)は、組成式:AlOOH又はAl・HOで示されるアルミナ一水和物である。水に不溶で、酸およびアルカリにも常温下でほぼ反応せず化学的安定性に優れ、水和水についても450℃付近まで脱水が起らず耐熱性が高い。また、正極と負極との間に耐熱層が介在されている場合では、ベーマイトは耐熱層に含まれていてもよい。この場合、ベーマイトは、例えば、フィラーの形態で耐熱層に含まれているとよい。また、ベーマイトはセパレータの負極側の表面に配置されていてもよい。
【0013】
以下、タングステンを適宜「W」と記載し、マンガンは適宜「Mn」と記載する。ここで開示される非水系二次電池の好ましい一態様では、かかる正極活物質は、Wを含むMn含有Li複合酸化物である。代表的には、例えば、スピネル構造を有するLiMnや層状構造を有するLiMnO等におけるMn元素を、Wおよび他の元素M(好ましくは遷移金属元素)で置換したLiMn3−x−y−zやLi(Mn1−x−y)O等を例示することができる。このように、正極活物質がMnを含有する場合に、Wおよびベーマイトの両方を存在させることによって、正極活物質から溶出したMnを取り除くことができる。かかる正極活物質を用いた非水系二次電池によれば、例えば4.2Vレベルの優れた出力特性、および、その容量を高く維持することができる。
【0014】
また、ここで開示される非水系二次電池は、車両駆動用電池として好適である。ここで開示される非水系二次電池は、上記のとおりの構成によって、高容量化とサイクル特性の向上を実現し得る。このため、特にハイレート充放電が要求される車両に搭載される電池として適した性能を備える。したがって本発明によると、該非水系二次電池を動力源(典型的には、ハイブリッド車両又は電気車両の動力源)として備える車両(例えば自動車)の提供が可能とされる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池の断面を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の他の実施形態に係るリチウムイオン二次電池の断面を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池を備えた車両を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池10(非水系二次電池)の構成を示す断面概略図である。このリチウムイオン二次電池10は、例えば、図1に示すように、正極12(典型的には正極シート)と、負極14(典型的には負極シート)と、正極12と負極14との間に介在したセパレータ13と、正極12と負極14とが収容された電池ケース15と、電池ケース15内に収容された非水電解質(図示省略)とを備えている。ここで、正極12は、少なくともマンガン(Mn)とタングステン(W)を含む正極活物質を有している。非水系二次電池10は、正極12と負極14との間にベーマイト30を備えている。
【0018】
ここで開示される非水系二次電池によれば、マンガンを含有する正極活物質における電池容量の低下の問題を解消し、非水系二次電池10が本来備える優れた高出力特性を長期にわたって発現し得る。なお、本発明に係る非水系二次電池10は、図1の構造に限定されない。図1に開示される非水系二次電池10の構造は後で詳述する。ここでは、適宜、図1を参照し、正極12、負極14、セパレータ13など、本発明の一実施形態に係る非水系二次電池の各構成要素を順に説明する。
【0019】
[正極12]
正極12(典型的には正極シート)は、図1に示すように、正極活物質を含む正極活物質層124を正極集電体122に形成した形態を使用することができる。
【0020】
正極集電体122としては、アルミニウム、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等を主体とする棒状体、板状体、箔状体、網状体等を用いることができる。
【0021】
また、ここで開示される非水系二次電池において、正極活物質は、電荷担体となる化学種(例えば、リチウムイオン二次電池ではリチウムイオン)を可逆的に吸蔵および放出可能な活物質である。この実施形態では、上記のとおりLiを可逆的に吸蔵および放出(典型的には挿入および離脱)可能で、その化学組成において少なくともMnを含む物質であればよい。
【0022】
このような物質としては、例えば、非水系二次電池がリチウムイオン二次電池の場合には、一般的なリチウム二次電池の正極に用いられ得る層状構造のリチウム遷移金属複合酸化物、スピネル構造のリチウム遷移金属複合酸化物、オリビン構造を有するポリアニオン化合物、等のうち、Mnを含む物質を好ましく用いることができる。
【0023】
また、正極活物質は、Wを含んでいる。このような正極活物質としては、例えば、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、コバルト酸リチウム(LiCoO)、マンガン酸リチウム(LiMnO)等の、リチウムと遷移金属元素とを構成金属元素として含むリチウム遷移金属酸化物を主成分とする正極活物質に、遷移金属元素であるWおよびMnを固溶させた固溶体等が例示される。
【0024】
例えば、マンガン酸リチウムのMnの一部をWで置き換えた固溶体、LiNi1−a−b−cCoMnのようなLiNiOのNiサイトの一部をCo、MnおよびWで置き換えた固溶体、Li(Li1−a−b−c−dMnCoNi)OのようなLiMnOをベースにしてWとLiNiOやLiCoOを固溶した高マンガン含有固溶体などが例示される。とりわけ、一般式:Li(Li1−a−b−c−dMnCoNi)Oで表わされるような、Wを含有させたリチウム−ニッケル−コバルト−マンガン複合酸化物は優れた出力特性を有し、非水系二次電池用の正極を構成する活物質として好ましい性能を有する。
【0025】
また、上記に開示された以外に、WおよびMnを含むオリビン型リン酸化合物を主成分とする正極活物質も好ましく用いられる。好適例として、リン酸マンガンリチウム(LiMnPO等)にWを加えたものなどが挙げられる。
【0026】
また、正極活物質層124は、例えば、バインダおよび必要に応じて使用される導電材等とともに、上述した正極活物質を正極集電体122に付着させた層である。
【0027】
バインダとしては、公知の各種の結着材を用いることができる。バインダとしては、水に溶解する水溶性のポリマー材料を用いることができる。水に溶解する水溶性のポリマー材料としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース(MC)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、ポリビニルアルコール(PVA)等が挙げられる。
【0028】
また、バインダには、水に分散する(水分散性の)ポリマー材料を好適に用いてもよい。水に分散する(水分散性の)ポリマー材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重含体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等のフッ素系樹脂、酢酸ビニル共重合体、スチレンブタジエンブロック共重合体(SBR)、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)、アラビアゴム等のゴム類、有機系バインダ(PVDF)が例示される。バインダの使用量は特に限定されるものではないが、例えば、正極活物質100質量部に対して0.5〜10質量部とすることができる。
【0029】
導電材としては、カーボンブラック(例えばアセチレンブラック)、グラファイト粉末等の炭素材、あるいはニッケル粉末等の導電性金属粉末が例示される。これらは一種を単独で用いてもよいし、二種以上が併用されていてもよい。導電材の使用量についても特に限定されるものではないが、例えば、正極活物質100質量部に対して1〜20質量部(好ましくは5〜15質量部)とすることが例示される。
【0030】
[負極14]
負極14(典型的には正極シート)は、図1に示すように、負極活物質を含む負極活物質層144を負極集電体142に形成した形態を使用することができる。
【0031】
負極集電体142としては、銅、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等を主体とする棒状体、板状体、箔状体、網状体等を用いることができる。
【0032】
また、負極活物質層144は、例えば、バインダおよび必要に応じて使用される導電材等とともに、負極活物質を負極集電体122に付着させた層である。負極14のバインダは、上記正極12のバインダで挙げた材料と同様の材料を適当に用いることができる。であって、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、スチレンブタジエンゴム(SBR)等が例示される。導電材についても上記正極と同様に、カーボンブラック等の炭素材を好ましく使用することができる。
【0033】
負極活物質としては、従来からリチウムイオン二次電池に用いられる材料の一種又は二種以上を特に限定なく使用することができる。例えば、少なくとも一部にグラファイト構造(層状構造)を含む粒子状の炭素材料(カーボン粒子)が挙げられる。より具体的には、負極活物質は、例えば、天然黒鉛、非晶質の炭素材料でコートした天然黒鉛、黒鉛質(グラファイト)、難黒鉛化炭素質(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素質(ソフトカーボン)、又は、これらを組み合わせた炭素材料でもよい。
【0034】
また、負極活物質として、例えば、種々の金属化合物(例えば金属酸化物)を使用することができる。ここで、金属化合物は、具体的には、Si、Ge、Sn、Pb、Al、Ga、In、As、Sb、Bi等を構成金属元素とする金属化合物(好ましくは金属酸化物)が例示される。また、例えば、表面が炭素被膜によって充分に被覆され、かつ、導電性に優れた粒状負極活物質を好適に用いることもできる。この場合、負極活物質層に導電補助材を含有させないか、あるいは従来よりも導電補助材の含有率を低減させることができる。導電補助材の使用量は特に限定されるものではないが、使用する負極活物質100質量部に対して、例えば凡そ1〜30質量部(好ましくは凡そ2〜20質量部、例えば5〜10質量部程度)とすることができる。上述した電極活物質供給材料中に導電補助材を予め含有させておいてもよい。
【0035】
[セパレータ13]
セパレータ13は、正極12と負極14との間に介在している。セパレータ13としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、セルロース、ポリアミド等の樹脂からなる多孔質シート、不織布等を用いることができる。好適には、多孔質ポリオレフィン系樹脂で構成されたものが挙げられる。例えば、合成樹脂製(例えばポリエチレン等のポリオレフィン製)多孔質セパレータシートを好適に使用し得る。なお、電解質として後述する固体電解質若しくはゲル状電解質を使用する場合には、セパレータが不要な場合(即ちこの場合には電解質自体がセパレータとして機能し得る。)があり得る。
【0036】
なお、図1および図2に示す例では、セパレータ13は、シート状の部材で構成されている。セパレータ13は、正極活物質層124と負極活物質層144とを絶縁するとともに、電解質の移動を許容する部材であればよい。したがって、セパレータ13は、シート状の部材に限定されない。セパレータ13は、シート状の部材に代えて、例えば、正極活物質層124または負極活物質層144の表面に形成された絶縁性を有する粒子の層で構成してもよい。ここで、絶縁性を有する粒子としては、絶縁性を有する無機フィラー(例えば、金属酸化物、金属水酸化物などのフィラー)、あるいは、絶縁性を有する樹脂粒子(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの粒子)で構成してもよい。
【0037】
[非水電解質]
非水電解質としては、非水溶媒と該溶媒に溶解可能なリチウム塩とを含む液状電解質が好ましく用いられる。かかる液状電解質にポリマーが添加された固体状(ゲル状)の電解質であってもよい。上記非水溶媒としては、カーボネート類、エステル類、エーテル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等の非プロトン性溶媒を用いることができる。例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、アセトニトリル、プロピオニトリル、ニトロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン等の、一般にリチウムイオン二次電池の電解質に使用し得るものとして知られている非水溶媒から選択される一種又は二種以上を用いることができる。
【0038】
リチウム塩としては、LiPF,LiBF,LiN(SOCF,LiN(SO,LiCFSO,LiCSO,LiC(SOCF,LiClO等の、リチウムイオン二次電池の電解液において支持電解質として機能し得ることが知られている各種のリチウム塩から選択される一種又は二種以上を用いることができる。リチウム塩の濃度は特に制限されず、例えば従来のリチウムイオン二次電池で使用される電解質と同様とすることができる。通常は、支持電解質(リチウム塩)を凡そ0.1mol/L〜5mol/L(例えば凡そ0.8mol/L〜1.5mol/L)程度の濃度で含有する非水電解質を好ましく使用することができる。
【0039】
[ベーマイト30]
さらに、ここで開示される非水系二次電池は、正極12と負極14との間にはベーマイト30が配設されている。ここでは、正極活物質がタングステンを含んでおり、ベーマイト30は、かかるタングステンとの関係において、正極12から溶出するMnを、負極14に達する前に取り除く機能を奏する。これにより、Mnの溶出に起因する電池劣化を効果的に抑制することができる。
【0040】
かかるベーマイト30は、水に不溶で、常温下で酸およびアルカリにもほぼ反応せず化学的安定性の無機質材料である。ここで開示されるリチウムイオン二次電池10では、正極活物質はタングステンを含んでおり、正極12と負極14との間にベーマイト30が配設されている。図1に示す形態では、ベーマイト30を含む層が、セパレータ13の表面に形成されている。
【0041】
この場合、リチウムイオン二次電池の充放電が繰り返され、正極12からMnが溶出した場合でも、負極14に到達するMnを少なく抑えることができる。かかるベーマイト30の作用は、完全には解明されていないが、本発明者は以下のような事象を想定している。
【0042】
すなわち、ベーマイト30は、正極12から非水電解質中に溶出する金属元素のうちタングステンを引き寄せる。続いて、ベーマイト30に引き寄せられたタングステンとの存在によって、正極12から溶出したMnがベーマイトに引き寄せられる。これにより、正極12から溶出したMnが負極14に達する前に、電解液からMnが取り除かれ、負極14に達するMnの量を低減させることができる。ひいては正極から溶出するMnに起因する電池劣化を効果的に抑制することができる。
【0043】
ベーマイトは、通常粉末の形態で提供されるため、ここで開示される非水系二次電池においては、ベーマイト粉末を、バインダ(必要に応じて増粘剤)とともに混ぜ、適当な基材上に付着させるとよい。図1に示す形態では、ベーマイト粉末を塗工する基材として、例えば、セパレータ13とした。セパレータ13は正極12と負極14との間に介在しており、ベーマイト粉末を塗工する基材として好適である。
【0044】
なお、図1に示す形態に限らず、ベーマイト粉末は、例えば、図2に示すように、正極12(具体的には、正極活物質層124)の表面に塗工してもよい。図2に示すように、ベーマイト粉末を、正極12の表面に塗工した場合には、正極12から溶出するMnが他に拡散するのを防止できる。また、図示は省略するが、ベーマイト粉末は、例えば、負極14(具体的には、負極活物質層144)の表面に塗工してもよい。
【0045】
また、ベーマイト30は、正極12と負極14との間に配置されていればよく、上述したように、正極12、負極14およびセパレータ13のうち、少なくとも一つの表面に設けられていてもよい。また、ベーマイト30を塗工した基材を別途用意して、正極12と負極14との間に介在させてもよい。
【0046】
[耐熱層]
また、ここで開示される非水系二次電池は、正極12と負極14との間に耐熱層が配設されてもよい。この場合、ベーマイト30は耐熱層に含まれていてもよい。
【0047】
この場合、耐熱層の構成等について特に制限はないが、代表的には、適切な基材上に無機物(無機フィラー)を少量の耐熱性を有するバインダとともに付着させた形態のものを好ましく使用することができる。耐熱層のマトリックス樹脂としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、またこれらの共重合体等の、公知のマトリックス樹脂が一般に用いられている。無機物としては、例えば、各種の金属、半導体、又は、これらの酸化物、窒化物が一般に用いられている。具体的には、例えば、アルミナ(Al23)、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム(AlN)、二酸化チタン(TiO2二酸化ケイ素(SiO2)等が、絶縁性を示し、入手が容易であるために好ましく用いられる。
【0048】
ここで開示される非水系二次電池においては、耐熱層は、例えば、正極、負極およびセパレータのうち、少なくとも一つの表面に設けられているとよい。このように、耐熱層は、正極と負極との間に配置される。したがって、ベーマイトは、かかる耐熱層に設けられてもよい。この場合、耐熱層に概ね均一に適当な量のベーマイトを配設することで、正極から溶出するMn元素を耐熱層で補足することができる。また、非水系二次電池に、より簡便かつより効果的にベーマイトを配することができ、本発明の構成による効果をより確実に発揮することができる。
【0049】
また、かかる非水系二次電池においては、上記の耐熱層を構成する無機物の一つとしてベーマイトの粉末を用い、ベーマイトが耐熱層に含まれるようにしてもよい。この場合、耐熱層を構成する無機物の全てをベーマイトとしてもよいし、他の無機物とベーマイトを併用してもよい。また、耐熱層を多層構造とし、そのうちの一つの層としてベーマイトからなる層を含むようにしてもよい。これにより、耐熱層に酸化分解および電池特性の劣化を抑制する機能に加え、Mnによる電池容量の低下を抑制する機能を持兼ね備えることができ、より簡潔な構成の非水系二次電池が提供される。
【0050】
上記正極および負極を、電解質とともに適当な容器(金属又は樹脂製の筐体、ラミネートフィルムからなる袋体等)に収容することで非水系二次電池(リチウムイオン二次電池)が構築される。ここに開示される非水系二次電池の代表的な構成では、正極と負極との間にセパレータが介在される。非水系二次電池の形状(容器の外形)は特に限定されず、例えば、円筒型、角型、コイン型等の形状であり得る。
【0051】
以上のとおり開示された技術は、WおよびMnを含有する物質を正極活物質として用い、さらに正極と負極との間にベーマイトを配置させることによって特徴づけられる。したがって、本発明の目的を実現し得る限り、他の電池構成要素の材質や形状等は特に制限されず、従来の非水系二次電池(典型的にはリチウムイオン二次電池)と同様の態様、変更を考慮することができる。
【0052】
以下、ここに開示される非水系二次電池の好ましい一実施形態として、図1に示されるリチウムイオン二次電池をより具体的に説明する。
【0053】
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の構成を示す断面概略図を図1に示す。このリチウムイオン二次電池10は、正極12および負極14を具備する電極体11が、図示しない非水電解質(例えば、非水電解液)とともに、該電極体11を収容し得る形状の電池ケース15に収容された構成を有する。
【0054】
[電池ケース15]
電池ケース15は、有底円筒状のケース本体152と、上記開口部を塞ぐ蓋体154とを備えている。ケース本体152および蓋体154はいずれも金属製であって相互に絶縁されている。このリチウムイオン二次電池10では、蓋体154が正極端子、ケース本体152が負極端子を兼ねている。
【0055】
電極体11は、長尺シート状(帯状)の正極(正極シート)12と、長尺シート状(帯状)の負極(負極シート)14とを、二枚の長尺シート状セパレータ13と重ね合わせ、これらを円筒状に捲回することにより形成されている。ここで、正極12は、長尺シート状の正極集電体122(例えばアルミ箔)の両面に、正極活物質を含む正極活物質層124が形成されている。負極14は、長尺シート状の負極集電体142(例えば銅箔)の両面に負極活物質を含む負極活物質層144が形成されている。
【0056】
正極集電体122の長手方向に沿う一方の縁には、正極活物質層124が設けられずに集電体122が露出した部分(正極活物質層非形成部)が設けられている。同様に、負極集電体142の長手方向に沿う一方の縁には、負極活物質層が設けられずに集電体142が露出した部分(負極活物質層非形成部)が設けられている。正負極シート12,14は、図1に示すように、両合材層142,144を重ね合わせるとともに両電極シートの活物質層非形成部がセパレータ13の長手方向に沿う一方の端部と他方の端部からそれぞれはみ出すように、幅方向にやや位置をずらして重ね合わされている。
【0057】
正極シート12のうち正極集電体122がセパレータ13からはみ出した部分は、正極端子としての蓋体154に電気的に接続されている。また、負極シート14のうち負極集電体142がセパレータ13からはみ出した部分は、負極端子としてのケース本体152に電気的に接続されている。
【0058】
ここで、図1に示されたリチウムイオン二次電池10では、セパレータ13の表面に、ベーマイト30を含む耐熱層が形成されている。図2に示されたリチウムイオン二次電池10では、正極12の表面(具体的には、正極活物質層124の表面)に、ベーマイト30を含む耐熱層が形成されている。かかる電池ケース15には、かかる電極体11が収容されているとともに、非水電解質(非水電解液)が注入されている。非水電解質については、既に説明したので、ここでは説明を省略する。
【0059】
このように、非水系二次電池としてのリチウムイオン二次電池10は、正極12と、負極14と、正極12と負極14との間に介在したセパレータ13と、正極12と負極14とが収容された電池ケース15と、電池ケース15内に収容された非水電解質とを備えている。そして、正極12は、少なくともマンガン(Mn)とタングステン(W)を含む正極活物質を有している。また、正極12と負極14との間にベーマイト30を備えている。
【0060】
かかる構成のリチウムイオン二次電池10においては、長期保存(時間の経過)や、充電および放電が繰り返される充放電サイクルなどに対して、正極12から非水電解液中に正極活物質を構成する金属元素が溶出しうる。ここに開示されるリチウムイオン二次電池10は、正極活物質にマンガン(Mn)とタングステン(W)を含んでおり、正極からMnが溶出する。このリチウムイオン二次電池10は、正極12と負極14との間にベーマイトを備えている。このため、タングステン(W)とベーマイトとの相乗的な効果的によって正極から溶出したマンガン(Mn)を捕捉することができる。その結果、負極14に到達し、負極14上に堆積するMnの量は著しく減少される。このような作用により、ここに開示されるリチウムイオン二次電池10はMn成分の溶出に起因する容量低下の問題が抑制されることとなる。
【0061】
以下、さらに具体的な実施例として、ここで開示される非水系二次電池(試験用電池)を構築し、その性能を評価した。
【0062】
<サンプル1>
[正極活物質の準備]
一般式Li(Mn0.995/3Ni0.995/3Co0.995/30.005)Oで表わされる組成のタングステンを含むマンガン含有リチウム複合酸化物を用意した。即ち、リチウム源としての酢酸リチウム・二水和物〔Li(CHCOO)・2HO〕と、マンガン源としての酢酸マンガン(II)・四水和物〔Mn(CHCOO)・4HO〕と、ニッケル源としての酢酸ニッケル(II)・四水和物〔Ni(CHCOO)・4HO〕と、コバルト源としての酢酸コバルト(II)・四水和物〔Co(CHCOO)・4HO〕と、タングステン源としての酸化タングステンWOを上記一般式に示されたモル比になるようにそれぞれ秤量し、出発原料を用意した。
【0063】
次に、純水に、これらの出発原料とグリコール酸(C)とを添加して溶解および拡散させ、十分に攪拌することにより原料混合物を調製し、引き続き原料混合物を80℃に加熱(乾燥)し、水分を蒸発させてゲル化させた。その後、500℃に加熱して5時間仮焼成し、ボールミルで粉砕(攪拌)した。さらに、粉砕物を800℃まで加熱し、5時間焼成することにより、目的のWを含むMn含有Li複合酸化物(正極活物質粒子)を合成した。得られた正極活物質粒子は適当な粒径に粉砕した。
【0064】
[正極の作製]
次に、試験用電池の正極を作製した。
まず、正極における正極活物質層を形成するにあたり、正極活物質層形成用ペーストを調製した。上記合成した正極活物質粒子と、導電材としてのアセチレンブラックと、結着材としてのポリビニリデンフロライド(PVDF)とを、これら材料の質量%比が91:6:3となるように秤量し、N−メチルピロリドン(NMP)に加えて混合することにより、正極活物質層形成用ペーストを調製した。そして、上記ペーストを正極集電体としてのアルミニウム箔に塗布し、ペースト中の水分を乾燥(蒸発)させた。これをローラープレス機にてシート状に引き伸ばし、正極シートを作製した。
【0065】
[負極の作製]
試験用電池の負極を作製した。負極活物質としてグラファイトを用い、これを導電材としてのアセチレンブラックと、結着材としてのスチレンブタジエンゴム(SBR)、増粘材としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、これら材料の質量%比が98:1:1となるように秤量し、イオン交換水に分散させて負極活物質層形成用ペーストを調製した。このペーストを負極集電体としての銅箔の両面に、塗布して乾燥した後、プレスして負極シートを作製した。
【0066】
[非水電解液]
非水電解液には、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)との体積比3:4:3の混合溶媒に1mol/LのLiPFを溶解させたものを用いた。
【0067】
[セパレータの作製]
セパレータとしてはポリエチレン製多孔質シートを用いた。このセパレータシート上に、ベーマイト、結着剤、増粘剤および水からなるペーストを塗布し、ペースト中の水分を乾燥(蒸発)させて、セパレータ上にベーマイトからなるセラミクス層を形成した。
【0068】
[リチウム二次電池の構築]
上記調製した正極シートと、負極シートと、セパレータとを用いて、18650型(径18mm,高さ65mm)円筒型の試験用リチウム二次電池を構築した。すなわち、得られた正極シートと負極シートと、二枚のセパレータシートとを、セパレータシートのセラミクス層が負極側となるように重ね合わせて捲回し、上記電解液とともに円筒型の容器に収容して試験用のリチウム二次電池を構築した。
【0069】
[電池容量の測定]
初期電池容量を、4.1VのCCCV(Constant Current/Constant Voltage:定電流/定電圧)充電(1C充電、4.1V、10minCV)および3.0VのCCCV放電(1C放電、3.0V、10minCV)により求めた。すなわち、充電初期は電流一定(1C)で充電し、電池電圧が4.1Vになったら4.1Vの定電圧に切り替えて10分間充電した。また、放電初期は電流一定(1C)で放電し、電池電圧が3.0Vになったら3.0Vの定電圧に切り替えて10分間放電した。ここで、「1C」は、測定対象となる電池の容量を1時間で充放電する電流量で規定される。
【0070】
[容量維持率]
容量維持率は、初回充放電の後に4.1Vに充電した試験用のリチウム二次電池を、60℃で1カ月間保存し、その後の電池容量(保存後電池容量)を上記と同様に求め、初期電池容量に対する1カ月後の電池容量の割合(保存後電池容量/初期電池容量)(%)として求めた。
【0071】
<サンプル2>
リチウム二次電池の構築の際に、セパレータシートのセラミクス層が正極側となるように重ね合わせて捲回したこと以外は、サンプル1と同様にして18650型の試験用リチウム二次電池を作製し、上述した容量維持率の測定を行った。
【0072】
<サンプル3>
ベーマイトの代わりにα−アルミナを用いること以外は、サンプル1と同様にして18650型の試験用リチウム二次電池作製し、上述した容量維持率の測定を行った。
<サンプル4>
正極活物質としてWを含有しないLi(Mn1/3Ni1/3Co1/3)Oを用いること以外は、サンプル1と同様にして18650型の試験用リチウム二次電池作製し、上述した容量維持率の測定を行った。
【0073】
以上の結果を、下記表1に示した。なお、表1中のW含有量は、正極活物質に含まれるW量を、遷移金属元素の全量に対する割合(原子%)で示したものである。
【0074】
【表1】

【0075】
表1から、ここに開示された非水系二次電池は、正極活物質としてWを含むMn含有Li複合酸化物を用い、さらに電池構造内にベーマイトを含む。このため、60℃という高温環境化でも90%以上(1か月間)という高い容量維持率を示すことが確認された。これは、例えば、サンプル3の従来のアルミナ耐熱層を備えた二次電池に比べて高い値であり、容量低下の問題が抑制されていることがわかる。また、サンプル1およびサンプル2からわかるように、ベーマイトは、負極とセパレータとの間に配置された場合でも、正極とセパレータとの間に配置された場合でも、サンプル3およびサンプル4に比べて、いずれも同等の優れた効果を発現する。ここで、ベーマイトは、セパレータの負極側の表面に配置されているサンプル1は、サンプル2よりも、容量維持率の点で優れた効果が得られる傾向がある。
【0076】
これらの効果の要因は明確ではないものの、ベーマイトからなるセラミクス層表面の酸・塩基性等の効果によって、正極から溶出したWがセラミクス層表面に引き寄せられる。次いで、セラミクス層表面に引き寄せられたWの存在によってMnがセラミクス層に引き寄せられる。結果として、正極から溶出したMnは、ベーマイトからなるセラミクス層に引き付けられる。これにより、負極にMnイオンが堆積し難くなることに起因するものと考えられる。
【0077】
なお、このセラミクス層を、セラミクス材として最も一般的に使用されるアルミナにより構成すると、サンプル3の結果からわかるように、ベーマイトを用いた場合に比べて容量低下の抑制効果は得られない。また、サンプル4の結果からわかるように、ベーマイトからなるセラミクス層が備えられても、正極活物質がWを含まない場合には、容量低下の抑制効果を得ることはできない。
【0078】
すなわち、Mnを含む正極活物質を用いる場合には、正極活物質にさらにWを添加し、かつ、正極と負極との間にベーマイトを配置することによって、非水系二次電池の容量低下の抑制効果がより確実に得られるものと言える。
【0079】
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。
【0080】
ここに開示されるいずれかの非水系二次電池は、車両に搭載される電池として適した性能、特に容量維持率が高く耐久性に優れたものであり得る。したがって、本発明によると、図3に示すように、ここに開示されるいずれかの非水系二次電池10を備えた車両1が提供される。特に、該非水系二次電池を動力源(典型的には、ハイブリッド車両又は電気車両の動力源)として備える車両(例えば自動車)が提供される。
【産業上の利用可能性】
【0081】
ここで開示される製造方法によると、容量維持率(即ちサイクル特性)に優れ、高容量化を長期にわたり維持し得る非水系二次電池を提供することができる。このような特徴からここで開示される非水系二次電池を車載用二次電池(特には車載用リチウム二次電池)として採用することにより、例えば、非水系二次電池を駆動電源とする車両を提供することができる。
【符号の説明】
【0082】
1 車両
10 リチウムイオン二次電池(非水系二次電池)
11 電極体
12 正極シート(正極)
13 セパレータ
14 負極シート(負極)
15 電池ケース
20 リチウムイオン二次電池(単電池)
30 ベーマイト
122 正極集電体
124 正極活物質層
142 負極集電体
144 負極活物質層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極と、
負極と、
前記正極と前記負極との間に介在したセパレータと、
前記正極と前記負極とが収容された電池ケースと、
前記電池ケース内に収容された非水電解質と
を備え、
ここで、前記正極は、少なくともマンガンとタングステンとを含む正極活物質を有し、かつ、前記正極と前記負極との間にベーマイトを備えた、非水系二次電池。
【請求項2】
前記ベーマイトは前記セパレータに含まれている、請求項1に記載された非水系二次電池。
【請求項3】
前記ベーマイトは前記セパレータの負極側の表面に配置されている、請求項2に記載された非水系二次電池。
【請求項4】
前記正極と前記負極との間に耐熱層が介在され、
前記ベーマイトは前記耐熱層に含まれる、請求項1から3までの何れか一項に記載された非水系二次電池。
【請求項5】
前記耐熱層は、前記正極、前記負極および前記セパレータのうち、少なくとも一つの表面に設けられた、請求項4に記載された非水系二次電池。
【請求項6】
前記ベーマイトはフィラーである、請求項1から5に記載された非水系二次電池。
【請求項7】
請求項1から6までの何れか一項に記載された非水系二次電池を備えた、車両駆動用電池。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2013−73678(P2013−73678A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209437(P2011−209437)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】