説明

非水電解質二次電池

【課題】セパレータの特性劣化を抑制でき、サイクル特性に優れた非水電解質二次電池を提供する。また、高温保存時の電池の膨れを抑制できる非水電解質二次電池を提供する。
【解決手段】非水電解質二次電池は、正極22と、負極23と、セパレータ24と、ゲル電解質層25を有する。ゲル電解質層25は、電解液と、この電解液を保持する保持体となる高分子化合物を含む。ゲル電解質層25には、酸化防止剤が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、非水電解質二次電池に関し、例えば、正極、負極、非水電解質およびセパレータにより構成される非水電解質二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、ノートブック型パソコンなどをはじめとする電子機器のコードレス化、ポータブル化が進み、薄型、小型、軽量の携帯電子機器が次々と開発されている。また、機器や機能の多様化によって電力使用量が増加しており、それら電子機器のエネルギー源である電池のより一層の高容量化・軽量化に対する要求が高まっている。そこで、この要求に応えるべく、非水電解質二次電池、中でもリチウムイオンのドープ・脱ドープを利用したリチウムイオン二次電池に関して、種々の提案がなされている。
【0003】
従来のリチウムイオン二次電池では、正極にコバルト酸リチウムおよび負極には炭素材料が使用されており、作動電圧が4.2Vから2.5Vの範囲で用いられてきた。単電池において、端子電圧を4.2Vまで上げられるのは、非水電解質材料やセパレータ等の優れた電気化学的安定性によるところが大きい。
【0004】
ところで、従来の最大4.2Vで作動するリチウムイオン二次電池に用いられるコバルト酸リチウム等の正極活物質は、その理論容量に対して6割程度の容量を活用しているに過ぎず、さらに充電電圧を上げることにより、残存容量を活用することが原理的に可能である。実際、例えば特許文献1にて開示されているように、充電時の電圧を4.25V以上にすることにより、高エネルギー密度化を実現できることが知られている。
【0005】
【特許文献1】国際公開第WO03/019713A1号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、4.25V以上の高電圧下においては、特に正極近傍において酸化雰囲気が強まり、電池構成材料が酸化されやすくなる。中でもセパレータは、高酸化雰囲気下では酸化分解が受けやすく、酸化分解によって分子量低下を引き起こし機械的物性の著しい低下を誘引し、破膜等が起こりやすくなる。特に、高温雰囲気下では、セパレータの劣化が顕著となり、破膜によりショートが発生し、電池特性の著しい低下を引き起こす問題があった。
【0007】
また、電池の充電電圧を上げると、正極活物質は高い電位を有し、正極活物質と接触する電解液は強い酸化環境にさらされることになる。この結果、高温環境下で保管された場合、電池内の正極または負極の活性点で過酸化物中間体が生成されて、電解質および電解液が分解しガスが発生するため、フィルム状の外装部材を用いる電池では、電池が膨らんでしまう問題があった。
【0008】
したがって、この発明の目的は、4.25V〜4.50Vで作動する非水電解質二次電池において、セパレータの特性劣化を抑制でき、サイクル特性に優れた非水電解質二次電池を提供することにある。また、この発明の他の目的は、4.25V〜4.50Vで作動する非水電解質二次電池において、高温保存時の電池の膨れを抑制できる非水電解質二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、第1の発明は、
正極と、負極と、セパレータと、電解液を含有するゲル電解質とを有し、
一対の正極および負極当たりの完全充電状態における開回路電圧が4.25V〜4.50Vの範囲内である非水電解質二次電池であって、
ゲル電解質は、酸化防止剤が含まれたものであること
を特徴とする非水電解質二次電池である。
【0010】
第1の発明では、ゲル電解質は、酸化防止剤が含まれるものであるのでセパレータの酸化を防止することができる。
【0011】
第2の発明は、
正極合剤層を有する正極と、負極合剤層を有する負極と、セパレータと、電解液を含有するゲル電解質とを有し、
一対の正極および負極当たりの完全充電状態における開回路電圧が4.25V〜4.50Vの範囲内である非水電解質二次電池であって、
正極合剤層、負極合剤層、ゲル電解質のうちの1以上に酸化防止剤が含まれたこと
を特徴とする非水電解質二次電池である。
【0012】
第2の発明では、正極合剤層、負極合剤層、ゲル電解質のうちの1以上に酸化防止剤が含まれるので、過酸化物中間体の生成を抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、4.25V〜4.50Vで作動する非水電解質二次電池において、セパレータの特性劣化を抑制でき、優れたサイクル特性を得ることができる。また、4.25V〜4.50Vで作動する非水電解質二次電池において、高温保存時の電池の膨れを抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(1)第1の実施形態
(1−1)非水電解質二次電池の構成
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、この発明の第1の実施形態による非水電解質二次電池の構成を示す。
【0015】
この二次電池では、例えば、一対の正極および負極当たりの完全充電状態における開回路電圧が4.25V〜6.00Vまたは4.25V〜4.50Vである。
【0016】
この非水電解質二次電池は、電池素子10を防湿性ラミネートフィルムからなる外装材7に収容し、電池素子10の周囲を溶着することにより封止してなる。電池素子10には、正極リード2および負極リード3が備えられ、これらのリードは、外装材7に挟まれて外部へと引き出される。正極リード2および負極リード3のそれぞれの両面には、外装材7との接着性を向上させるために樹脂片4および樹脂片5が被覆されている。
【0017】
[外装材]
外装材7は、例えば、接着層、金属層、表面保護層を順次積層した積層構造を有する。接着層は高分子フィルムからなり、この高分子フィルムを構成する材料としては、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)が挙げられる。金属層は金属箔からなり、この金属箔を構成する材料としては、例えばアルミニウム(Al)が挙げられる。また、金属箔を構成する材料としては、アルミニウム以外の金属を用いることも可能である。表面保護層を構成する材料としては、例えばナイロン(Ny)、ポリエチレンテレフタレート(PET)が挙げられる。なお、接着層側の面が、電池素子10を収納する側の収納面となる。
【0018】
この外装材7の最も一般的な構成は、表面保護層/金属層/接着層がPET/Al/PEである。また、この組み合わせに限らず、表面保護層/金属層/接着層の構成において、Ny/Al/CPP、PET/Al/CPP、PET/Al/PET/CPP、PET/Ny/Al/CPP、PET/Ny/Al/Ny/CPP、PET/Ny/Al/Ny/PE、Ny/PE/Al/LLDPE、PET/PE/Al/PET/LDPEおよびPET/Ny/Al/LDPE/CPP等の組み合わせを採用することもできる。なお、金属層にAl以外の金属を採用し得ることはもちろんである。
【0019】
[電池素子]
この電池素子10は、例えば、図2に示すように、両面にゲル電解質層25が設けられた帯状の負極23と、セパレータ24と、両面にゲル電解質層25が設けられた帯状の正極22と、セパレータ24とを積層し、長手方向に巻回されてなる巻回型の電池素子10である。
【0020】
[正極]
正極22は、帯状の正極集電体22Aと、この正極集電体22Aの両面に形成された正極合剤層22Bとからなる。なお、正極集電体22Aの片面のみに正極合剤層22Bが設けられた領域を有するようにしてもよい。正極22の長手方向の一端部には、例えばスポット溶接または超音波溶接で接続された正極リード2が設けられている。この正極リード2の材料としては、例えばアルミニウム(Al)等の金属を用いることができる。
【0021】
正極集電体22Aは、例えばアルミニウム(Al)などからなる金属箔である。正極合剤層22Bは、例えば、正極活物質を含んでおり、必要に応じてグラファイトなどの導電剤と、ポリフッ化ビニリデンなどの結着剤とを含んでいてもよい。
【0022】
正極活物質としては、リチウムを含有する化合物、例えばリチウム酸化物,リチウム硫化物あるいはリチウムを含む層間化合物が適当であり、これらの2種以上を混合して用いてもよい。特に、エネルギー密度を高くするには、正極活物質としてLixMO2を主体とするリチウム複合酸化物を含んでいることが好ましい。なお、Mは1種類以上の遷移金属が好ましく、具体的には、コバルト(Co),ニッケル(Ni),マンガン(Mn),鉄(Fe),アルミニウム(Al),バナジウム(V)およびチタン(Ti)からなる群のうちの少なくとも1種が好ましい。また、xは、電池の充放電状態によって異なり、通常、0.05≦x≦1.10の範囲内の値である。このようなリチウム複合酸化物の具体例としては、例えば、LiaCoO2(a≒1)、LibNiO2(b≒1)あるいはLicNidCo1-d2(c≒1、0<d<1である。)が挙げられる。また、リチウム複合酸化物としては、スピネル構造を有するLieMn24(e≒1)、あるいは、オリビン構造を有するLifFePO4(f≒1)が挙げられる。
【0023】
例えば、一般式としては以下に述べる化1〜化2で表された組成を有するリチウム遷移金属複合酸化物を用いることができる。
【0024】
(化1)
LipNi(1-q-r)MnqM1r(2-y)z
(M1は、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)を除く2族〜15族から選ばれる元素のうち少なくとも一種を示す。Xは、酸素(O)以外の16族元素および17族元素のうち少なくとも1種を示す。p、q、y、zは、0≦p≦1.5、0≦q≦1.0、0≦r≦1.0、−0.10≦y≦0.20、0≦z≦0.2の範囲内の値である。)
【0025】
(化2)
LiaM2bPO4
(M2は、2族〜15族から選ばれる元素のうち少なくとも一種を示す。a、bは、0≦a≦2.0、0.5≦b≦2.0の範囲内の値である。)
【0026】
[負極]
負極23は、帯状の負極集電体23Aと、この負極集電体23Aの両面に形成された負極合剤層23Bとからなる。なお、負極集電体23Aの片面のみに負極合剤層23Bが設けられた領域を有するようにしてもよい。負極23の長手方向の一端部にも正極22と同様に、例えばスポット溶接または超音波溶接で接続された負極リード3が設けられている。この負極リード3の材料としては、例えば銅(Cu)、ニッケル(Ni)等を用いることができる。
【0027】
負極集電体23Aは、例えば、銅(Cu)箔、ニッケル(Ni)箔あるいはステンレス(SUS)箔などの金属箔により構成されている。負極合剤層23Bは、例えば、負極活物質を含んでおり、必要に応じてポリフッ化ビニリデンなどの結着剤を含んでいてもよい。
【0028】
負極活物質としては、リチウムを吸蔵および離脱することが可能な負極材料(以下、リチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料と適宜称する。)を含んでいる。リチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料としては、例えば、炭素材料、金属化合物、酸化物、硫化物、LiN3などのリチウム窒化物、リチウム金属、リチウムと合金を形成する金属、あるいは高分子材料などが挙げられる。
【0029】
炭素材料としては、例えば、難黒鉛化性炭素、易黒鉛化性炭素、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維あるいは活性炭が挙げられる。このうち、コークス類には、ピッチコークス、ニードルコークスあるいは石油コークスなどがある。有機高分子化合物焼成体というのは、フェノール樹脂やフラン樹脂等の高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものをいい、一部には難黒鉛化性炭素または易黒鉛化性炭素に分類されるものもある。また、高分子材料としてはポリアセチレンあるいはポリピロール等が挙げられる。
【0030】
このようなリチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料のなかでも、充放電電位が比較的リチウム金属に近いものが好ましい。負極23の充放電電位が低いほど電池の高エネルギー密度化が容易となるからである。なかでも炭素材料は、充放電時に生じる結晶構造の変化が非常に少なく、高い充放電容量を得ることができると共に、良好なサイクル特性を得ることができるので好ましい。特に黒鉛は、電気化学当量が大きく、高いエネルギー密度を得ることができるので好ましい。また、難黒鉛化性炭素は、優れたサイクル特性を得ることができるので好ましい。
【0031】
リチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料としては、また、リチウム金属単体、リチウムと合金を形成可能な金属元素あるいは半金属元素の単体、合金または化合物が挙げられる。これらは高いエネルギー密度を得ることができるので好ましく、特に、炭素材料と共に用いるようにすれば、高エネルギー密度を得ることができると共に、優れたサイクル特性を得ることができるのでより好ましい。なお、本明細書において、合金には2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とからなるものも含める。その組織には固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物あるいはそれらのうち2種以上が共存するものがある。
【0032】
このような金属元素あるいは半金属元素としては、スズ(Sn),鉛(Pb),アルミニウム(Al),インジウム(In),ケイ素(Si),亜鉛(Zn),アンチモン(Sb),ビスマス(Bi),カドミウム(Cd),マグネシウム(Mg),ホウ素(B),ガリウム(Ga),ゲルマニウム(Ge),ヒ素(As),銀(Ag),ジルコニウム(Zr),イットリウム(Y)またはハフニウム(Hf)が挙げられる。これらの合金あるいは化合物としては、例えば、化学式MasMbtLiu、あるいは化学式MapMcqMdrで表されるものが挙げられる。これら化学式において、Maはリチウムと合金を形成可能な金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を表し、MbはリチウムおよびMa以外の金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を表し、Mcは非金属元素の少なくとも1種を表し、MdはMa以外の金属元素および半金属元素のうちの少なくとも1種を表す。また、s、t、u、p、qおよびrの値はそれぞれs>0、t≧0、u≧0、p>0、q>0、r≧0である。
【0033】
なかでも、短周期型周期表における4B族の金属元素あるいは半金属元素の単体、合金または化合物が好ましく、特に好ましいのはケイ素あるいはスズ、またはこれらの合金あるいは化合物である。これらは結晶質のものでもアモルファスのものでもよい。
【0034】
この他、MnO2、V25、V613、NiS、MoSなど、リチウムを含まない無機化合物も、正負極のいずれかに用いることができる。
【0035】
[電解質]
電解質であるゲル電解質層25は、電解液と、この電解液を保持する保持体となる高分子化合物とを含み、いわゆるゲル状となっている。ゲル電解質層25には、酸化防止剤が含まれており、これによりセパレータの酸化を防止できる。例えば、充電電圧が4.25〜4.50Vの範囲内にある非水電解質二次電池では、セパレータが高電圧にさらされる時間が多くなるため、セパレータの酸化による特性劣化が問題となるが、この発明の第1の実施形態によると、ゲル電解質層25に酸化防止剤が含まれるので、セパレータの酸化を防止でき、この結果、サイクル特性等の電池特性を改善できる。
【0036】
酸化防止剤としては、特に限定されないが例えば硫黄系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等を用いることができる。より具体的には、酸化防止剤としては、例えば、ジラウリルチオプロピオネート、ジミリスチルチオプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジブチレート、ステアリルチオプロピオンアミド、2−メルカプト−6−メチルベンズイミダゾール等を用いることができる。
【0037】
酸化防止剤の含有量は、電解液に対して、0.03wt%〜0.5wt%である。0.03wt%より少ないと、サイクル特性を向上する効果が低減するからである。0.5wt%より多いと酸化防止剤の分解との反応が起こるため、サイクル特性を向上する効果が低減するからである。
【0038】
電解液としては、非水溶媒に電解質塩を溶解させた非水電解液を用いることができる。非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネートおよびプロピレンカーボネートのうちの少なくとも一方を含んでいることが好ましい。サイクル特性を向上させることができるからである。特に、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートとを混合して含むようにすれば、よりサイクル特性を向上させることができるので好ましい。非水溶媒としては、また、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートまたはメチルプロピルカーボネート等の鎖状炭酸エステルの中から、少なくとも1種を含んでいることが好ましい。サイクル特性をより向上させることができるからである。
【0039】
非水溶媒としては、さらに、2,4−ジフルオロアニソールおよびビニレンカーボネートのうちの少なくとも一方を含んでいることが好ましい。2,4−ジフルオロアニソールは放電容量を改善することができ、ビニレンカーボネートはサイクル特性をより向上させることができるからである。特に、これらを混合して含んでいれば、放電容量およびサイクル特性を共に向上させることができるのでより好ましい。
【0040】
非水溶媒としては、さらに、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、これら化合物の水素基の一部または全部をフッ素基で置換したもの、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピロニトリル、N,N−ジメチルフォルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、ジメチルスルフォキシドあるいはリン酸トリメチル等のいずれか1種または2種以上を含んでいてもよい。
【0041】
組み合わせる電極によっては、上記非水溶媒群に含まれる物質の水素原子の一部または全部をフッ素原子で置換したものを用いることにより、電極反応の可逆性が向上する場合がある。したがって、これらの物質を適宜用いることも可能である。
【0042】
電解質塩であるリチウム塩としては、例えば、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiClO4、LiB(C654、LiCH3SO3、LiCF3SO3、LiN(SO2CF32、LiC(SO2CF33、LiAlCl4、LiSiF6、LiCl、LiBF2(ox)、LiBOB、あるいはLiBrが適当であり、これらのうちのいずれか1種または2種以上が混合して用いることができる。なかでも、LiPF6は、高いイオン伝導性を得ることができるとともに、サイクル特性を向上させることができるので好ましい。
【0043】
高分子化合物としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフルオロライドとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体などのフッ素系高分子化合物、ポリエチレンオキサイドあるいはポリエチレンオキサイドを含む架橋体などのエーテル系高分子化合物、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレンオキサイドあるいはポリメタクリニトリルを繰り返し単位として含むものなどが挙げられる。特に、酸化還元安定性の点からは、フッ素系高分子化合物が好ましい。また、高分子化合物には、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0044】
[セパレータ]
以下に、この発明の第1の実施形態に利用可能なセパレータ材料について説明する。セパレータ材料としては、従来の電池に使用されてきたものを利用することが可能である。そのなかでも、ショート防止効果に優れ、且つシャットダウン効果による電池の安全性向上が可能なポリオレフィン製微孔性フィルムを使用することが特に好ましい。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン樹脂からなる微多孔膜が好ましい。
【0045】
さらに、セパレータ材料としては、シャットダウン温度がより低いポリエチレンと耐酸化性に優れるポリプロピレンを積層または混合したものを用いることが、シャットダウン性能とフロート特性の両立が図れる点から、より好ましい。ポリエチレンとポリプロピレンとを積層したものとしては、具体的には、ポリプロピレンと、ポリエチレンと、ポリプロピレンとを順次に積層した3層セパレータを挙げることができる。
【0046】
(2)非水電解質二次電池の製造方法
次に、この発明の第1の実施形態による非水電解質二次電池の製造方法について説明する。
【0047】
正極22は、以下に述べるようにして作製する。まず、例えば、正極活物質と、導電剤と、結着剤とを混合して正極合剤を調製し、この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させて正極合剤スラリーとする。次に、この正極合剤スラリーを正極集電体22Aに塗布し溶剤を乾燥させた後、ロールプレス機などにより圧縮成型して正極合剤層22Bを形成し、正極22を作製する。
【0048】
負極23は、以下に述べるようにして作製する。まず、例えば、負極活物質と、結着剤とを混合して負極合剤を調製し、この負極合剤をN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に分散させて負極合剤スラリーとする。次に、この負極合剤スラリーを負極集電体23Aに塗布し溶剤を乾燥させた後、ロールプレス機などにより圧縮成型して負極合剤層23Bを形成し、負極23を作製する。
【0049】
次に、正極22および負極23のそれぞれに、溶媒と、電解質塩と、高分子化合物と、酸化防止剤と、混合溶剤とを含む前駆溶液を塗布し、混合溶剤を揮発させてゲル電解質層25を設ける。なお、予め正極集電体の端部に正極リード2を溶接により取り付けるとともに、負極集電体23Aの端部に負極リード3を溶接により取り付けるようにする。
【0050】
次に、ゲル電解質層25が形成された正極22と負極23とを、セパレータ24を介して積層し積層体とした後、この積層体をその長手方向に巻回して、巻回型の電池素子10を形成する。
【0051】
次に、ラミネートフィルムからなる外装材7を深絞り加工することで凹部6を形成し、電池素子10をこの凹部6に挿入し、外装材7の未加工部分を凹部6上部に折り返し、凹部6の外周部分を熱溶着し密封する。以上により、この発明の第1の実施形態による非水電解質二次電池が作製される。
【0052】
(2)第2の実施形態
次に、この発明の第2の実施形態による非水電解質二次電池について説明する。第2の実施形態は、酸化防止剤が正極合剤層、負極合剤層、ゲル電解質のうちの1以上に含有されたものである。この他は、第1の実施形態と同様の構成を備えるものである。したがって、図1および図2を参照し、対応する構成要素には同一の符号を付して同一の部分の説明は省略する。
【0053】
第2の実施形態では、酸化防止剤は、正極合剤層22B、負極合剤層23B、ゲル電解質層25のうちの1以上に添加される。これにより、例えば、充電電圧が4.25V〜4.50Vの範囲内である非水電解質二次電池において、高温保存時の電池の膨れを抑制できる。
【0054】
酸化防止剤としては、特に限定されないが例えば硫黄系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤等を用いることができる。酸化防止剤のなかでも、好ましいのは、硫黄系酸化防止剤である。硫黄系酸化防止剤としては、例えば、ジステアリルチオジプロピオネート、チオジプロピオン酸、チオジプロピオン酸エステル、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジミリスリル−3,3’−チオジプロピオネート、メルカプタン等の有機硫黄化合物、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等の硫酸塩、あるいは亜硫酸塩、チオ硫酸塩等を用いることができる。硫黄系酸化防止剤のなかでも、過酸化物との反応性の点から、特に硫酸塩を用いることが好ましく、硫酸塩のなかでも、過酸化物との反応性の点から、硫酸カリウムまたは硫酸ナトリウムを用いることがより好ましい。また、これらの硫黄系酸化防止剤は、単独で添加してもよく、2種類以上を組み合わせて添加してもよい。
【0055】
酸化防止剤が正極合剤層22Bのみに添加される場合には、酸化防止剤の含有量としては、正極合剤層22Bに対して、0.3wt%〜15wt%の範囲内が好ましい。0.3wt%より少ないと、電池の膨れの抑制効果が低減されるからである。15wt%より大きいと、電池容量の低下が顕著になるからである。また、酸化防止剤が負極合剤層23Bのみに添加される場合には、酸化防止剤の含有量としては、負極合剤層23Bに対して、0.3wt%〜15wt%の範囲内が好ましい。0.3wt%より少ないと、電池の膨れの抑制効果が低減されるからである。15wt%より大きいと、電池容量の低下が顕著になるからである。
【実施例】
【0056】
この発明の具体的な実施例について説明する。なお、この発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0057】
<サンプル1>
まず、正極を以下のようにして作製した。正極を作製するには、まず、コバルト酸リチウム(LiCoO2)90wt%と、粉状ポリフッ化ビニリデン5wt%と、粉状黒鉛5wt%とを、N−メチルピロリドンに分散させてスラリー状の正極合剤に調製した。
【0058】
次に、この正極合剤を、正極集電体となるアルミニウム箔の両面に均一に塗布し、減圧乾燥することにより正極合剤層を形成した。そして、これをロールプレス機で加圧成形することにより正極シートとし、当該正極シートを50mm×350mmの帯状に切り出して正極とした。正極合剤の不塗布部分にアルミニウムリボンのリードを溶接した。
【0059】
次に、負極を以下のようにして作製した。負極を作製するには、人造黒鉛を95wt%と、粉状ポリフッ化ビニリデンを5wt%とを、N−メチルピロリドンに分散させてスラリー状の負極合剤を調製した。
【0060】
次に、この負極合剤を、負極集電体となる銅箔の両面に均一に塗布し、減圧乾燥することにより負極合剤層を形成した。そして、これをロールプレス機で加圧成形することにより負極シートとし、当該負極シートを52mm×370mmの帯状に切り出して負極とした。また、負極合剤の不塗布部分には、ニッケルリボンのリードを溶接した。
【0061】
次に、ゲル電解質層を以下のようにして形成した。まず、ヘキサフルオロプロピレンが6.9wt%の割合で共重合されたポリフッ化ビニリデンと、酸化防止剤としてジラウリルチオプロピオネートを非水電解液に対して0.1wt%と、非水電解液と、希釈溶剤のジメチルカーボネートとを混合し、撹拌、溶解させ、ゾル状の電解質溶液を得た。非水電解液は、非水溶媒として、エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)とを6:4の体積比で混合し、電解質塩としてのLiPF6が0.7mol/kgとなるように溶解させて調製した。
【0062】
次に、得られたゾル状の電解質溶液を正極および負極の両面に均一に塗布した。その後、乾燥させて溶剤を除去した。このようにして、正極および負極の両面にゲル電解質層を形成した。
【0063】
次に、上述のようにして作製された、両面にゲル電解質層が形成された帯状の正極と、両面にゲル電解質層が形成された帯状の負極とをセパレータを介して長手方向に巻回することにより電池素子を得た。セパレータには、ポリエチレン(PE)延伸フィルムよりなるセパレータを用いた。
【0064】
最後に、この電池素子を、アルミニウム箔が一対の樹脂フィルムで挟まれてなる外装フィルムで挟み、外装フィルムの外周縁部を減圧下で熱融着することによって封口し、電池素子を外装フィルムで包装した。なお、正極リードと負極リードに樹脂片をあてがった部分を外装フィルムの封口部に挟み込んだ。以上により、サンプル1の非水電解質二次電池を作製した。
【0065】
<サンプル2>
酸化防止剤として、ジミリスチルチオプロピオネートを用いた以外は、サンプル1と同様にして、サンプル2の非水電解質二次電池を作製した。
【0066】
<サンプル3>
酸化防止剤として、ジステアリルチオジプロピオネートを用いた以外は、サンプル1と同様にして、サンプル3の非水電解質二次電池を作製した。
【0067】
<サンプル4>
酸化防止剤として、ラウリルステアリルチオジプロピオネートを用いた以外は、サンプル1と同様にして、サンプル4の非水電解質二次電池を作製した。
【0068】
<サンプル5>
酸化防止剤として、ジステアリルチオジブチレートを用いた以外は、サンプル1と同様にして、サンプル5の非水電解質二次電池を作製した。
【0069】
<サンプル6>
酸化防止剤として、ステアリルチオプロピオンアミドを用いた以外は、サンプル1と同様にして、サンプル6の非水電解質二次電池を作製した。
【0070】
<サンプル7>
酸化防止剤として、2−メルカプト−6−メチルベンズイミダゾールを用いた以外は、サンプル1と同様にして、サンプル7の非水電解質二次電池を作製した。
【0071】
<サンプル8>
酸化防止剤を添加しなかったこと以外は、サンプル1と同様にして、サンプル8の非水電解質二次電池を作製した。
【0072】
サンプル1〜サンプル8の電池の充放電試験を行い、200サイクル目の容量維持率を求めた。サンプル1〜サンプル8では、4.2V、4.25V、4.3V、4.35V、4.4V、4.45V、4.5V、4.55Vの充電電圧で充放電試験を行った。充電は、790mAの定電流で電池電圧が一定電圧に達するまで行ったのち、定電圧で充電時間が4時間に達するまで行った。この後、放電は、790mAの定電流で電池電圧が3.0Vに達するまで行った。容量維持率は、下記の式1により1サイクル目の放電容量(初回放電容量)に対する200サイクル目の放電容量の比率を求めた。
(式1)
容量維持率(%)=(200サイクル目の放電容量/初回放電容量)×100(%)
【0073】
サンプル1〜サンプル8の充電電圧に対する容量維持率を表1に示す。サンプル1〜サンプル8の充電電圧に対する初回容量を表2に示す。
【0074】
【表1】

【0075】
【表2】

【0076】
表1に示すように、各種の酸化防止剤を加えることで、サイクル特性が改善することがわかる。ただし、充電電圧は、4.5V以下が好ましいことがわかる。充電電圧が4.55V以上だと、電解液の分解等の反応がより進行するため、サイクル特性を改善する効果が低減するからである。また、表2に示すように、初期容量を確保するには、充電電圧は4.25V以上が好ましいことがわかる。したがって、初期容量およびサイクル特性を考慮すると、充電電圧は、4.25V〜4.50Vの範囲内が好ましいことがわかる。
【0077】
なお、上述の評価は、以下の基準値以上を良好なものとした判断に基づくものである。
容量維持率:80%
初期容量:830mAh
【0078】
<サンプル9>
酸化防止剤を添加しなかったこと以外は、サンプル1と同様にして、サンプル9の非水電解質二次電池を作製した。
【0079】
<サンプル10>
酸化防止剤として、ジラウリルチオプロピオネートを電解液に対して0.01wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル10の非水電解質二次電池を作製した。
【0080】
<サンプル11>
酸化防止剤として、ジラウリルチオプロピオネートを電解液に対して0.03wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル11の非水電解質二次電池を作製した。
【0081】
<サンプル12>
酸化防止剤として、ジラウリルチオプロピオネートを電解液に対して0.05wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル12の非水電解質二次電池を作製した。
【0082】
<サンプル13>
サンプル1と同様にして、サンプル13の非水電解質二次電池を作製した。
【0083】
<サンプル14>
酸化防止剤として、ジラウリルチオプロピオネートを電解液に対して0.3wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル14の非水電解質二次電池を作製した。
【0084】
<サンプル15>
酸化防止剤として、ジラウリルチオプロピオネートを電解液に対して0.5wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル15の非水電解質二次電池を作製した。
【0085】
<サンプル16>
酸化防止剤として、ジラウリルチオプロピオネートを電解液に対して0.6wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル16の非水電解質二次電池を作製した。
【0086】
<サンプル17>
酸化防止剤を添加しなかったこと以外は、サンプル1と同様にして、サンプル17の非水電解質二次電池を作製した。
【0087】
<サンプル18>
酸化防止剤として、ジミリスチルチオプロピオネートを電解液に対して0.01wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル18の非水電解質二次電池を作製した。
【0088】
<サンプル19>
酸化防止剤として、ジミリスチルチオプロピオネートを電解液に対して0.03wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル19の非水電解質二次電池を作製した。
【0089】
<サンプル20>
酸化防止剤として、ジミリスチルチオプロピオネートを電解液に対して0.05wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル20の非水電解質二次電池を作製した。
【0090】
<サンプル21>
酸化防止剤として、ジミリスチルチオプロピオネートを電解液に対して0.1wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル21の非水電解質二次電池を作製した。
【0091】
<サンプル22>
酸化防止剤として、ジミリスチルチオプロピオネートを電解液に対して0.3wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル22の非水電解質二次電池を作製した。
【0092】
<サンプル23>
酸化防止剤として、ジミリスチルチオプロピオネートを電解液に対して0.5wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル23の非水電解質二次電池を作製した。
【0093】
<サンプル24>
酸化防止剤として、ジミリスチルチオプロピオネートを電解液に対して0.6wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル24の非水電解質二次電池を作製した。
【0094】
<サンプル25>
酸化防止剤を添加しなかったこと以外は、サンプル1と同様にして、サンプル25の非水電解質二次電池を作製した。
【0095】
<サンプル26>
酸化防止剤として、ジステアリルチオジプロピオネートを電解液に対して0.01wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル26の非水電解質二次電池を作製した。
【0096】
<サンプル27>
酸化防止剤として、ジステアリルチオジプロピオネートを電解液に対して0.03wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル27の非水電解質二次電池を作製した。
【0097】
<サンプル28>
酸化防止剤として、ジステアリルチオジプロピオネートを電解液に対して0.05wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル28の非水電解質二次電池を作製した。
【0098】
<サンプル29>
酸化防止剤として、ジステアリルチオジプロピオネートを電解液に対して0.1wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル29の非水電解質二次電池を作製した。
【0099】
<サンプル30>
酸化防止剤として、ジステアリルチオジプロピオネートを電解液に対して0.3wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル30の非水電解質二次電池を作製した。
【0100】
<サンプル31>
酸化防止剤として、ジステアリルチオジプロピオネートを電解液に対して0.5wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル31の非水電解質二次電池を作製した。
【0101】
<サンプル32>
酸化防止剤として、ジステアリルチオジプロピオネートを電解液に対して0.6wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル32の非水電解質二次電池を作製した。
【0102】
<サンプル33>
酸化防止剤を添加しなかったこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプル33の非水電解質二次電池を作製した。
【0103】
<サンプル34>
酸化防止剤として、ラウリルステアリルチオジプロピオネートを電解液に対して0.01wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル34の非水電解質二次電池を作製した。
【0104】
<サンプル35>
酸化防止剤として、ラウリルステアリルチオジプロピオネートを電解液に対して0.03wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル35の非水電解質二次電池を作製した。
【0105】
<サンプル36>
酸化防止剤として、ラウリルステアリルチオジプロピオネートを電解液に対して0.05wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル36の非水電解質二次電池を作製した。
【0106】
<サンプル37>
酸化防止剤として、ラウリルステアリルチオジプロピオネートを電解液に対して0.1wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル37の非水電解質二次電池を作製した。
【0107】
<サンプル38>
酸化防止剤として、ラウリルステアリルチオジプロピオネートを電解液に対して0.3wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル38の非水電解質二次電池を作製した。
【0108】
<サンプル39>
酸化防止剤として、ラウリルステアリルチオジプロピオネートを電解液に対して0.5wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル39の非水電解質二次電池を作製した。
【0109】
<サンプル40>
酸化防止剤として、ラウリルステアリルチオジプロピオネートを電解液に対して0.6wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル40の非水電解質二次電池を作製した。
【0110】
<サンプル41>
酸化防止剤を添加しなかったこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプル41の非水電解質二次電池を作製した。
【0111】
<サンプル42>
酸化防止剤として、ジステアリルチオジブチレートを電解液に対して0.01wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル42の非水電解質二次電池を作製した。
【0112】
<サンプル43>
酸化防止剤として、ジステアリルチオジブチレートを電解液に対して0.03wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル43の非水電解質二次電池を作製した。
【0113】
<サンプル44>
酸化防止剤として、ジステアリルチオジブチレートを電解液に対して0.05wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル44の非水電解質二次電池を作製した。
【0114】
<サンプル45>
酸化防止剤として、ジステアリルチオジブチレートを電解液に対して0.1wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル45の非水電解質二次電池を作製した。
【0115】
<サンプル46>
酸化防止剤として、ジステアリルチオジブチレートを電解液に対して0.3wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル46の非水電解質二次電池を作製した。
【0116】
<サンプル47>
酸化防止剤として、ジステアリルチオジブチレートを電解液に対して0.5wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル47の非水電解質二次電池を作製した。
【0117】
<サンプル48>
酸化防止剤として、ジステアリルチオジブチレートを電解液に対して0.6wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル48の非水電解質二次電池を作製した。
【0118】
<サンプル49>
酸化防止剤を添加しなかったこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプル49の非水電解質二次電池を作製した。
【0119】
<サンプル50>
酸化防止剤として、ステアリルチオプロピオンアミドを電解液に対して0.01wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル50の非水電解質二次電池を作製した。
【0120】
<サンプル51>
酸化防止剤として、ステアリルチオプロピオンアミドを電解液に対して0.03wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル51の非水電解質二次電池を作製した。
【0121】
<サンプル52>
酸化防止剤として、ステアリルチオプロピオンアミドを電解液に対して0.05wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプルの52の非水電解質二次電池を作製した。
【0122】
<サンプル53>
酸化防止剤として、ステアリルチオプロピオンアミドを電解液に対して0.1wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル53の非水電解質二次電池を作製した。
【0123】
<サンプル54>
酸化防止剤として、ステアリルチオプロピオンアミドを電解液に対して0.3wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル54の非水電解質二次電池を作製した。
【0124】
<サンプル55>
酸化防止剤として、ステアリルチオプロピオンアミドを電解液に対して0.5wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル55の非水電解質二次電池を作製した。
【0125】
<サンプル56>
酸化防止剤として、ステアリルチオプロピオンアミドを電解液に対して0.6wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル56の非水電解質二次電池を作製した。
【0126】
<サンプル57>
酸化防止剤を添加しなかったこと以外は、サンプル1と同様にしてサンプル57の非水電解質二次電池を作製した。
【0127】
<サンプル58>
酸化防止剤として、2−メルカプト−6−メチルベンズイミダゾールを電解液に対して0.01wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル58の非水電解質二次電池を作製した。
【0128】
<サンプル59>
酸化防止剤として、2−メルカプト−6−メチルベンズイミダゾールを電解液に対して0.03wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル59の非水電解質二次電池を作製した。
【0129】
<サンプル60>
酸化防止剤として、2−メルカプト−6−メチルベンズイミダゾールを電解液に対して0.05wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル60の非水電解質二次電池を作製した。
【0130】
<サンプル61>
酸化防止剤として、2−メルカプト−6−メチルベンズイミダゾールを電解液に対して0.1wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル61の非水電解質二次電池を作製した。
【0131】
<サンプル62>
酸化防止剤として、2−メルカプト−6−メチルベンズイミダゾールを電解液に対して0.3wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル62の非水電解質二次電池を作製した。
【0132】
<サンプル63>
酸化防止剤として、2−メルカプト−6−メチルベンズイミダゾールを電解液に対して0.5wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル63の非水電解質二次電池を作製した。
【0133】
<サンプル64>
酸化防止剤として、2−メルカプト−6−メチルベンズイミダゾールを電解液に対して0.6wt%添加した以外は、サンプル1と同様にして、サンプル64の非水電解質二次電池を作製した。
【0134】
サンプル9〜サンプル64の非水電解質二次電池に対してサンプル1と同様にして、充放電試験を行い、200サイクル目の容量維持率を求めた。表3に測定結果を示す。なお、充放電試験において充電電圧は4.35Vとした。
【0135】
【表3】

【0136】
表3に示すように、酸化防止剤の添加量は、電解液に対して0.03wt%〜0.5wt%の範囲内が好ましいことがわかる。0.03wt%未満では、添加効果がみられず、0.6wt%以上では、酸化防止剤の分解との副反応が起こるためと考えられる。
【0137】
なお、上述の評価は、以下の基準値以上を良好なものとした判断に基づくものである。
容量維持率:80%
【0138】
<サンプル65>
まず、正極を以下のようにして作製した。正極を作製するには、まず、コバルト酸リチウム(LiCoO2)90wt%と、粉状ポリフッ化ビニリデン5wt%と、粉状黒鉛5wt%とを、N−メチルピロリドンに分散させてスラリー状の正極合剤に調製し、さらに、正極合剤に対して、酸化防止剤として、硫酸カリウム1wt%を添加した。
【0139】
次に、この正極合剤を、正極集電体となるアルミニウム箔の両面に均一に塗布し、減圧乾燥することにより正極合剤層を形成した。そして、これをロールプレス機で加圧成形することにより正極シートとし、当該正極シートを帯状に切り出して正極とした。正極合剤の不塗布部分にアルミニウムリボンのリードを溶接した。
【0140】
次に、負極を以下のようにして作製した。負極を作製するには、人造黒鉛を95wt%と、粉状ポリフッ化ビニリデンを5wt%とを、N−メチルピロリドンに分散させてスラリー状の負極合剤を調製した。
【0141】
次に、この負極合剤を、負極集電体となる銅箔の両面に均一に塗布し、減圧乾燥することにより負極合剤層を形成した。そして、これをロールプレス機で加圧成形することにより負極シートとし、当該負極シートを帯状に切り出して負極とした。また、負極合剤の不塗布部分には、ニッケルリボンのリードを溶接した。
【0142】
次に、ゲル電解質層を以下のようにして形成した。まず、ヘキサフルオロプロピレンが6.9wt%の割合で共重合されたポリフッ化ビニリデンと、非水電解液と、希釈溶剤のジメチルカーボネートとを混合し、撹拌、溶解させ、ゾル状の電解質溶液を得た。非水電解液は、非水溶媒として、エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)とを1:1の体積比で混合し、電解質塩としてのLiPF6が1mol/kgとなるように溶解させて調製した。
【0143】
次に、得られたゾル状の電解質溶液を正極および負極の両面に均一に塗布した。その後、乾燥させて溶剤を除去した。このようにして、正極および負極の両面にゲル電解質層を形成した。
【0144】
次に、上述のようにして作製された、両面にゲル電解質層が形成された帯状の正極と、両面にゲル電解質層が形成された帯状の負極とをセパレータを介して長手方向に巻回することにより電池素子を得た。セパレータには、ポリエチレン(PE)延伸フィルムよりなるセパレータを用いた。
【0145】
最後に、この電池素子を、アルミニウム箔が一対の樹脂フィルムで挟まれてなる外装フィルムで挟み、外装フィルムの外周縁部を減圧下で熱融着することによって封口し、電池素子を外装フィルムで包装した。なお、正極リードと負極リードに樹脂片をあてがった部分を外装フィルムの封口部に挟み込んだ。以上により、サンプル1の非水電解質二次電池を作製した。
【0146】
<サンプル66>
酸化防止剤として、正極合剤に対して硫酸ナトリウム1wt%を添加した以外は、サンプル65と同様にして、サンプル66の非水電解質二次電池を作製した。
【0147】
<サンプル67>
酸化防止剤として、正極合剤に対して亜硫酸ナトリウム1wt%を添加した以外は、サンプル65と同様にして、サンプル67の非水電解質二次電池を作製した。
【0148】
<サンプル68>
酸化防止剤として、正極合剤に対してチオ硫酸ナトリウム1wt%を添加した以外は、サンプル65と同様にして、サンプル68の非水電解質二次電池を作製した。
【0149】
<サンプル69>
酸化防止剤を正極合剤に添加しなかった以外は、サンプル65と同様にして、サンプル69の非水電解質二次電池を作製した。
【0150】
次に、サンプル65〜サンプル69の非水電解質二次電池に対して、以下に説明するようにして、初期容量の測定、高温保存試験を行って、初期容量および高温保存後の電池の膨れ率を求めた。
【0151】
初期容量の測定
以下に説明する条件で初期容量を測定した。充電は定電流定電圧方式により行った。具体的には、1C(800mA)の定電流で充電を開始した後、電池電圧が4.5Vに達した時点で定電圧充電に切り替えた。充電は、充電開始後、3時間を経過した時点で終了した。放電は、定電流方式により行った。具体的には1C(800mA)で放電を開始し、終止電圧3Vの条件で行った。以上のようにして充放電を行って第1回目の放電容量を測定し、初期容量とした。
【0152】
高温保存試験
以下に説明するようにして高温保存試験を行い保存後の電池の膨れ率を測定した。高温保存試験は、充放電を行った後、60℃の温度環境下で30日間保存した。なお、充放電は、初期容量の測定と同様の条件で行った。また、膨れ率は、保存前の電池の厚みおよび保存後の電池の厚みを測定して、下記の式2により求めた。
(式2)
膨れ率(%)={(「保存後の電池の厚み」−「保存前の電池の厚み」)/「保存前の電池の厚み」}×100(%)
【0153】
サンプル65〜サンプル69の初期容量および膨れ率を表4に示す。
【0154】
【表4】

【0155】
表4に示すように、酸化防止剤が添加されているサンプル65〜サンプル68は、酸化防止剤が添加されていないサンプル69より、膨れ率が低いことがわかる。サンプル65〜サンプル68では、酸化防止剤の添加によって、正極活物質の活性点で過酸化物中間体の生成が抑制されるため、電池の膨れが小さくなったと推定される。また、初期容量に関しても、サンプル65〜サンプル68では、酸化防止剤の添加により、大きな減少はみられないことがわかる。
【0156】
<サンプル70>
酸化防止剤として、正極合剤に対して硫酸カリウム0.1wt%を添加した以外は、サンプル65と同様にして、サンプル70の非水電解質二次電池を作製した。
【0157】
<サンプル71>
酸化防止剤として、正極合剤に対して硫酸カリウム0.3wt%を添加した以外は、サンプル65と同様にして、サンプル71の非水電解質二次電池を作製した。
【0158】
<サンプル72>
サンプル1と同様にして、サンプル72の非水電解質二次電池を作製した。
【0159】
<サンプル73>
酸化防止剤として、正極合剤に対して硫酸カリウム10wt%を添加した以外は、サンプル65と同様にして、サンプル73の非水電解質二次電池を作製した。
【0160】
<サンプル74>
酸化防止剤として、正極合剤に対して硫酸カリウム15wt%を添加した以外は、サンプル65と同様にして、サンプル74の非水電解質二次電池を作製した。
【0161】
<サンプル75>
酸化防止剤として、正極合剤に対して硫酸カリウム20wt%を添加した以外は、サンプル65と同様にして、サンプル75の非水電解質二次電池を作製した。
【0162】
<サンプル76>
酸化防止剤を正極合剤に添加しなかった以外は、サンプル65と同様にして、サンプル76の非水電解質二次電池を作製した。
【0163】
次に、サンプル70〜サンプル76の非水電解質二次電池に対して、初期容量の測定、高温保存試験を行って、初期容量および高温保存後の電池の膨れ率を求めた。サンプル70〜サンプル76の初期容量および膨れ率を表5に示す。
【0164】
【表5】

【0165】
表5に示すように、酸化防止剤を正極合剤に添加すると、高温保存時の電池の膨れを抑制できることがわかる。また、酸化防止剤の添加量が15wt%を超えると初期容量が著しく低下することがわかる。酸化防止剤は、電池の充放電反応に寄与せず、導電性が低い物質であるので、酸化防止剤の添加量が15wt%を超えると、初期容量の著しい低下を招くと考えられる。さらに、酸化防止剤の添加量が0.3wt%より小さいと膨れ率の増大が著しくなっている。これは、酸化防止剤の添加量が0.3wt%より小さいと、高温保存時に正極活物質の活性点で過酸化物中間体の生成が十分に抑制されないため膨れ率の増大が著しくなったと推定される。
【0166】
<サンプル77>
酸化防止剤を正極合剤に添加せず、酸化防止剤として、負極合剤に対して硫酸カリウム0.1wt%を添加した以外は、サンプル65と同様にして、サンプル77の非水電解質二次電池を作製した。
【0167】
<サンプル78>
酸化防止剤を正極合剤に添加せず、酸化防止剤として、負極合剤に対して硫酸カリウム0.3wt%を添加した以外は、サンプル65と同様にして、サンプル78の非水電解質二次電池を作製した。
【0168】
<サンプル79>
酸化防止剤を正極合剤に添加せず、酸化防止剤として、負極合剤に対して硫酸カリウム1wt%を添加した以外は、サンプル65と同様にして、サンプル79の非水電解質二次電池を作製した。
【0169】
<サンプル80>
酸化防止剤を正極合剤に添加せず、酸化防止剤として、負極合剤に対して硫酸カリウム10wt%を添加した以外は、サンプル65と同様にして、サンプル80の非水電解質二次電池を作製した。
【0170】
<サンプル81>
酸化防止剤を正極合剤に添加せず、酸化防止剤として、負極合剤に対して硫酸カリウム15wt%を添加した以外は、サンプル65と同様にして、サンプル81の非水電解質二次電池を作製した。
【0171】
<サンプル82>
酸化防止剤を正極合剤に添加せず、酸化防止剤として、負極合剤に対して硫酸カリウム20wt%を添加した以外は、サンプル65と同様にして、サンプル82の非水電解質二次電池を作製した。
【0172】
<サンプル83>
酸化防止剤を正極合剤に添加しなかった以外は、サンプル65と同様にして、サンプル83の非水電解質二次電池を作製した。
【0173】
次に、サンプル77〜サンプル83の非水電解質二次電池に対して、初期容量の測定、高温保存試験を行って、初期容量および高温保存後の電池の膨れ率を求めた。サンプル77〜サンプル83の初期容量および膨れ率を表6に示す。
【0174】
【表6】

【0175】
表6に示すように、負極合剤に酸化防止剤を添加すると、高温保存時の電池の膨れを抑制できることがわかる。酸化防止剤の添加量が15wt%を超えると初期容量が著しく低下することがわかる。酸化防止剤は、電池の充放電反応に寄与せず、導電性が低い物質であるので、酸化防止剤の添加量が15wt%を超えると、初期容量の著しい低下を招くと考えられる。また、酸化防止剤の添加量が0.3wt%より小さいと膨れ率の増大が著しくなっている。これは、酸化防止剤の添加量が0.3wt%より小さいと、高温保存時に負極活物質の活性点で過酸化物中間体の生成が十分に抑制されないため膨れ率が著しく増大したと推定される。
【0176】
この発明は、上述したこの発明の実施形態に限定されるものでは無く、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。例えば、上述の実施の形態および実施例においては、巻回構造を有するゲル状電解質二次電池について説明したが、この発明は、巻回構造を有する円筒型、楕円型、あるいは多角形型の二次電池、または正極および負極を折り畳んだりあるいは積み重ねた構造を有する二次電池についても同様に適用することができる。また、いわゆるコイン型、ボタン型あるいはカード型などの二次電池についても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0177】
【図1】この発明の第1の実施形態による非水電解質二次電池の構造を示す概略図である。
【図2】図1に示した電池素子の一部の拡大断面である。
【符号の説明】
【0178】
2・・・正極リード
3・・・負極リード
4,5・・・樹脂片
6・・・凹部
7・・・外装材
10・・・電池素子
22・・・正極
22A・・・正極集電体
22B・・・正極合剤層
23・・・負極
23A・・・負極集電体
23B・・・負極合剤層
24・・・セパレータ
25・・・ゲル電解質層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極と、負極と、セパレータと、電解液を含有するゲル電解質とを有し、
一対の上記正極および上記負極当たりの完全充電状態における開回路電圧が4.25V〜4.50Vの範囲内である非水電解質二次電池であって、
上記ゲル電解質は、酸化防止剤が含まれたものであること
を特徴とする非水電解質二次電池。
【請求項2】
請求項1において、
上記酸化防止剤は、ジラウリルチオプロピオネート、ジミリスチルチオプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジブチレート、ステアリルチオプロピオンアミド、2−メルカプト−6−メチルベンズイミダゾールよりなる群から選ばれた1以上のものであること
を特徴とする非水電解質二次電池。
【請求項3】
請求項1において、
上記酸化防止剤の含有量は、上記電解液に対して、0.03wt%〜0.5wt%の範囲内であること
を特徴とする非水電解質二次電池。
【請求項4】
正極合剤層を有する正極と、負極合剤層を有する負極と、セパレータと、電解液を含有するゲル電解質とを有し、
一対の上記正極および上記負極当たりの完全充電状態における開回路電圧が4.25V〜4.50Vの範囲内である非水電解質二次電池であって、
上記正極合剤層、上記負極合剤層、上記ゲル電解質のうちの1以上に酸化防止剤が含まれたこと
を特徴とする非水電解質二次電池。
【請求項5】
請求項4において、
上記酸化防止剤は、硫黄系酸化防止剤であること
を特徴とする非水電解質二次電池。
【請求項6】
請求項5において、
上記硫黄系酸化防止剤は、有機硫黄化合物、硫酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩よりなる群から選ばれた1以上のものであること
を特徴とする非水電解質二次電池。
【請求項7】
請求項5において、
上記硫黄系酸化防止剤は、硫酸塩であること
を特徴とする非水電解質二次電池。
【請求項8】
請求項7において、
上記硫酸塩は、硫酸カリウムまたは硫酸ナトリウムであること
を特徴とする非水電解質二次電池。
【請求項9】
請求項4において、
上記正極合剤層のみに上記酸化防止剤が含まれ、
上記酸化防止剤の含有量は、上記正極合剤層に対して0.3wt%〜15wt%の範囲内であること
を特徴とする非水電解質二次電池。
【請求項10】
請求項4において、
上記負極合剤層のみに上記酸化防止剤が含まれ、
上記酸化防止剤の含有量は、上記負極合剤層に対して0.3wt%〜15wt%の範囲内であること
を特徴とする非水電解質二次電池。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−250380(P2007−250380A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−72717(P2006−72717)
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】