説明

非水電解質二次電池

【課題】過充電安全性及び高温サイクル特性に優れた非水電解質二次電池を提供する。
【解決手段】正極と、負極と、非水電解質と、電池内圧の上昇により作動する感圧式安全機構と、を備えた非水電解質二次電池において、前記正極に、炭酸リチウムが0.5〜1.5質量%添加され、前記非水電解質に、シクロアルキルベンゼン化合物及び/又はベンゼン環に隣接する第4級炭素を有する化合物が、合計0.5〜2.0質量%添加されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過充電安全性及び高温サイクル特性の向上を目的とした非水電解質二次電池の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、携帯電話、ノートパソコン等の移動情報端末の高機能化・小型化および軽量化が急速に進展している。これらの端末の駆動電源として、高いエネルギー密度を有し、高容量であるリチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池が、広く利用されている。
【0003】
このようなリチウムイオン二次電池は、可燃性である有機溶媒を使用しているため、電池が過充電される等により異常な状態となったときの安全性を確保しておく必要がある。
【0004】
ここで、非水電解質二次電池の過充電安全性を高めるため、電池内圧の上昇により作動する電流遮断手段を電池に組み込み、且つ電池に炭酸リチウムを添加する技術が、特許文献1に提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開平4-329268号公報
【0006】
この技術では、炭酸リチウムが過充電の初期に分解してガスを発生させ、電流遮断手段を早期に作動させ、過充電の更なる進行を防止できるので、過充電安全性が飛躍的に高まるとされる。しかし、この技術では、炭酸リチウムの添加により高温サイクル特性が低下するという問題がある。
【0007】
また、非水電解質二次電池に芳香族化合物を添加する技術が、特許文献2−4に提案されている。
【0008】
【特許文献2】特開2006-236725号公報
【特許文献3】特開2004-6260号公報
【特許文献4】特開2001-15155号公報
【0009】
特許文献2に記載の技術は、非水電解質にトルエン誘導体、アニソール誘導体、ビフェニル、シクロヘキシルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、tert−アミルベンゼン、ジフェニルエーテルからなる群から選択された少なくとも一つの芳香族化合物を含有させる技術であり、この技術によると、充放電サイクル特性に優れた高電圧の非水電解質二次電池が得られるとされる。
【0010】
特許文献3に記載の技術は、非水電解質にシクロヘキシルベンゼン、イソプロピルベンゼン、n−ブチルベンゼン、オクチルベンゼン、トルエン、キシレンなどのベンゼン環にアルキル基が結合した化合物、それらのハロゲン化物、ビフェニル、トリフェニルなどの複数個のベンゼン環が結合した化合物、それらのハロゲン化物、フルオロベンゼン、クロロベンゼンなどのベンゼンのハロゲン化物などを含有させ、負極には炭酸リチウムなどの炭酸塩を含有させる技術であり、この技術によると、エネルギー密度と過充電時の安全性が高めることができるとされる。
【0011】
しかし、負極に含有させた炭酸リチウムは過充電防止のために作用しない。
【0012】
特許文献4に記載の技術は、非水電解質にフェニル基に隣接する第3級炭素を有するアルキルベンゼン誘導体またはシクロアルキルベンゼン誘導体を含有させる技術であり、この技術によると、低温特性や保存特性などの電池特性に悪影響を及ぼすことなく、過充電安全性を確保できるとされる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記に鑑みなされたものであって、過充電安全性が高く、且つ高温サイクル特性に優れた非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するための渦巻電極体の製造方法にかかる本発明は、正極と、負極と、非水電解質と、電池内圧の上昇により作動する感圧式安全機構と、を備えた非水電解質二次電池において、前記正極に、炭酸リチウムが0.5〜1.5質量%添加され、前記非水電解質に、シクロアルキルベンゼン化合物及び/又はベンゼン環に隣接する第4級炭素を有する化合物が、合計0.5〜2.0質量%添加されていることを特徴とする。
【0015】
この構成では、正極に含まれる炭酸リチウムが、過充電の初期に分解してガスを発生させ、感圧式安全機構を早期に作動させ、過充電の更なる進行を防止できるため、過充電安全性が飛躍的に向上する。また、シクロアルキルベンゼン化合物及び/又はベンゼン環に隣接する第4級炭素を有する化合物が、炭酸リチウム添加による高温サイクル特性の低下を抑制するように作用し、高温サイクル特性が飛躍的に向上する。
【0016】
ここで、炭酸リチウムの添加量が0.5質量%未満であると、炭酸リチウムの分解によるガスの発生量が不十分であり、感圧式安全機構が過充電の初期に作動しないため、過充電が進行してしまう。また、炭酸リチウム自体は充放電に寄与する物質ではないため、これを1.5質量%よりも多く含ませると、充放電反応が阻害され、充放電特性が低下する。よって、炭酸リチウムの添加量は、上記範囲内に規制することが好ましい。
【0017】
また、シクロアルキルベンゼン化合物及び/又はベンゼン環に隣接する第4級炭素を有する化合物の添加量が合計0.5質量%未満であると、十分に高温サイクル特性を高めることができず、他方、2.0質量%よりも多いと、これらの物質が充放電特性を低下させる。よって、上記添加物の添加量は、上記範囲内に規制することが好ましい。
【0018】
ここで、感圧式安全機構とは、電池内部圧力の上昇により、電流を遮断させたり、電池内部のガスを電池外部に放出させたりする安全機構すべてを意味し、復帰式、非復帰式いずれでもよい。
【0019】
ここで、シクロアルキルベンゼン化合物としては、シクロヘキシルベンゼン、シクロペンチルベンゼン、メチルシクロヘキシルベンゼン等を用いることができるが、中でもシクロヘキシルベンゼンが最も好ましい。
【0020】
また、ベンゼン環に隣接する第4級炭素を有する化合物としては、好ましくはtert−アミルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、tert−ヘキシルベンゼン等を用いることができるが、中でもtert−アミルベンゼンが最も好ましい。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明によると、過充電安全性及び高温サイクル特性に優れた非水電解質二次電池を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を、実験例、実施例を用いて詳細に説明する。
【0023】
(実験例1)
(正極の作製)
炭酸リチウムと、Ni0.33Co0.34Mn0.33(OH)で示される共沈水酸化物とを混合し、空気雰囲気中で1000℃で20時間焼成して、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム(LiNi0.03Co0.34Mn0.33)を得た。また、公知の方法でスピネル型マンガン酸リチウム(LiMn)を得た。
【0024】
上記スピネル型マンガン酸リチウムと、上記ニッケルコバルトマンガン酸リチウムと、を質量比4:6で混合した混合物からなる正極活物質93質量部と、アセチレンブラックからなる導電剤3質量部と、ポリビニリデンフルオライドからなる結着剤3質量部と、炭酸リチウム1質量部と、N−メチルピロリドンと、を混合して正極活物質スラリーを調製した。この正極活物質スラリーを、厚み20μmのアルミニウム箔から成る正極集電体の両面に塗布し、乾燥、圧延して、正極板を得た。
【0025】
(負極の作製)
黒鉛からなる負極活物質と、カルボキシメチルセルロースからなる増粘剤と、ブチレンスタジエンゴムからなる結着剤と、水と、を混合して負極活物質スラリーを調製した。この負極活物質スラリーを、厚み12μmの銅箔から成る負極芯体の両面に塗布し、乾燥、圧延して、負極板を得た。
【0026】
(電極体の作製)
上記正極板と、負極板との間に、ポリエチレン製微多孔膜を介在させて巻回し、電極体を作製した。
【0027】
(非水電解質の調整)
エチレンカーボネート15体積部と、プロピレンカーボネート10体積部と、ジメチルカーボネート65質量部と、エチルメチルカーボネート10体積部と、を混合し(25℃、1気圧における)、LiPFを1モル/リットルとなるように溶解して電解液となした。この電解液98質量部に、ビニレンカーボネート2質量部を添加して、非水電解質となした。
【0028】
(電池の組み立て)
この上記電極体を電池缶内に挿入し、上記非水電解質を注液し、開口を封口することにより、理論容量が1200mAhである直径18mm、高さ65mmの円筒形の実施例1にかかるリチウムイオン二次電池を作製した。なお、この電池には、電池内圧の上昇により電流を遮断する感圧式電流遮断機構が組み込まれている。
【0029】
(実験例2)
正極活物質を94質量部とし、炭酸リチウムを0質量部としたこと以外は、上記実験例1と同様にして、比較例1にかかるリチウムイオン二次電池を作製した。
【0030】
(実験例3)
正極活物質を93.7質量部とし、炭酸リチウムを0.3質量部としたこと以外は、上記実験例1と同様にして、比較例2にかかるリチウムイオン二次電池を作製した。
【0031】
(実験例4)
正極活物質を93.5質量部とし、炭酸リチウムを0.5質量部としたこと以外は、上記実験例1と同様にして、実施例2にかかるリチウムイオン二次電池を作製した。
【0032】
(実験例5)
正極活物質を92.5質量部とし、炭酸リチウムを1.5質量部としたこと以外は、上記実験例1と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製した。
【0033】
(実験例6)
正極活物質を92質量部とし、炭酸リチウムを2.0質量部としたこと以外は、上記実験例1と同様にして、比較例3にかかるリチウムイオン二次電池を作製した。
【0034】
(過充電安全性試験)
実験例1〜6にかかる電池について、定電流1200mAで4.2Vまで充電し、その後定電圧4.2Vで60mAまで充電した(25℃)。その後、定電流3.0Aで過充電を行い、発煙、発火が生じたものをNG、感圧式電流遮断機構が作動して発煙、発火が生じなかったものをOKと判定した。この結果を下記表1に示す。
【0035】
(高率放電試験)
実験例1〜6にかかる電池について、定電流1It(1200mA)で4.2Vまで充電し、その後定電圧4.2Vで60mAまで充電した(25℃)。この電池を1It(1200mA)で電圧が2.5Vとなるまで放電し、その放電容量を測定した(25℃)。その後、上記の条件で充電した後、20A(16.67It)で電圧が2.5Vとなるまで放電し、その放電容量を測定した。そして、以下の式で求められる高率放電特性を算出した。この結果を下記表1に示す。
高率放電特性(%)=20A放電容量÷1It放電容量×100
【0036】
【表1】

【0037】
上記表1から、炭酸リチウムの添加量が0.3質量%以下である実験例2、実験例3は、過充電試験結果がNGであるのに対し、炭酸リチウムの添加量が0.5質量%以上である実験例1、実験例4〜6は、過充電試験結果がOKであることがわかる。
【0038】
このことは、次のように考えられる。炭酸リチウムは、過充電の初期に分解してガスを発生させ、感圧式電流遮断機構を過充電の初期に作動させる。このため、炭酸リチウムを0.5質量%以上含む実験例1、実験例4〜6では、過充電試験結果がOKとなる。他方、炭酸リチウムの添加量が0.5質量%未満であると、炭酸リチウムの分解によるガスの発生量が不十分であり、感圧式電流遮断機構が過充電の初期に作動しないため、過充電が進行し、過充電試験結果がNGとなる(実験例2、実験例3参照)。よって、炭酸リチウムの添加量は、0.5質量%以上であることが好ましい。
【0039】
また、炭酸リチウムの添加量が2.0質量%である実験例6は、高率放電特性が80.6%と、炭酸リチウムの添加量が1.5質量%以下である実験例1、実験例2、実験例4、実験例5の99.1〜100.6%よりも大きく低下していることがわかる。
【0040】
このことは、次のように考えられる。炭酸リチウムは充放電に寄与する物質ではないため、炭酸リチウムが過剰に含まれると、充放電反応が阻害されて、高率放電特性を低下させる。よって、炭酸リチウムの添加量は、1.5質量%以下であることが好ましい。
【0041】
(実施例1)
非水電解質の調整において、電解液を97.5質量部とし、シクロヘキシルベンゼン(CHB)を0.5質量部添加したこと以外は、上記実験例1と同様にして、実施例1にかかるリチウムイオン二次電池を作製した。
【0042】
(実施例2)
電解液を97質量部とし、シクロヘキシルベンゼン(CHB)を1.0量部としたこと以外は、上記実施例1と同様にして、実施例2にかかるリチウムイオン二次電池を作製した。
【0043】
(実施例3)
電解液を96.5質量部とし、シクロヘキシルベンゼン(CHB)を1.5質量部としたこと以外は、上記実施例1と同様にして、実施例3にかかるリチウムイオン二次電池を作製した。
【0044】
(実施例4)
電解液を96質量部とし、シクロヘキシルベンゼン(CHB)を2.0質量部としたこと以外は、上記実施例1と同様にして、実施例4にかかるリチウムイオン二次電池を作製した。
【0045】
(実施例5)
シクロヘキシルベンゼン(CHB)に代えて、tert−アミルベンゼン(TAB)を用いたこと以外は、上記実施例1と同様にして、実施例5にかかるリチウムイオン二次電池を作製した。
【0046】
(実施例6)
シクロヘキシルベンゼン(CHB)に代えて、tert−アミルベンゼン(TAB)を用いたこと以外は、上記実施例2と同様にして、実施例6にかかるリチウムイオン二次電池を作製した。
【0047】
(実施例7)
シクロヘキシルベンゼン(CHB)に代えて、tert−アミルベンゼン(TAB)を用いたこと以外は、上記実施例3と同様にして、実施例7にかかるリチウムイオン二次電池を作製した。
【0048】
(実施例8)
シクロヘキシルベンゼン(CHB)に代えて、tert−アミルベンゼン(TAB)を用いたこと以外は、上記実施例4と同様にして、実施例8にかかるリチウムイオン二次電池を作製した。
【0049】
(比較例1)
上記実験例1と同様にして、比較例1にかかるリチウムイオン二次電池を作製した。
【0050】
(比較例2)
電解液を95.0質量部とし、シクロヘキシルベンゼン(CHB)を3.0質量部としたこと以外は、上記実施例1と同様にして、比較例2にかかるリチウムイオン二次電池を作製した。
【0051】
(比較例3)
シクロヘキシルベンゼン(CHB)に代えて、tert−アミルベンゼン(TAB)を用いたこと以外は、上記比較例2と同様にして、比較例3にかかるリチウムイオン二次電池を作製した。
【0052】
(高温サイクル特性試験)
実施例1〜8、比較例1〜3にかかる電池について、定電流1It(1200mA)で4.2Vまで充電し、その後定電圧4.2Vで60mAとなるまで充電した(25℃)。この電池を10Aで電圧が2.5Vとなるまで放電し、その放電容量を測定した(60℃)。この充放電サイクルを501サイクル行い、以下の式で求められるnサイクル目容量維持率を算出した。この結果を下記表2に示す。
nサイクル目容量維持率(%)=nサイクル目放電容量÷1サイクル目放電容量×100
【0053】
(低温放電特性試験)
実施例1〜4、比較例1、比較例2にかかる電池について、定電流1It(1200mA)で4.2Vまで充電し、その後定電圧4.2Vで60mAとなるまで充電した(25℃)。この電池を10Aで電圧が2.5Vとなるまで放電し、放電電圧を測定した(−10℃)。そして、この放電における平均放電電圧と、初期放電電圧とを測定した。この結果を下記表2に示す。
【0054】
【表2】

【0055】
上記表2から、添加剤をまったく含まない比較例1では、501サイクル目容量維持率が48.6%と、添加剤(CHB,TAB)を0.5〜2.0質量%添加した実施例1〜8の63.5〜76.8%よりも大きく低下していることがわかる。
また、添加剤(CHB,TAB)を3.0質量%添加した比較例2、比較例3は、501サイクル目容量維持率が25.7%、35.4%と、添加剤(CHB,TAB)を0.5〜2.0質量%添加した実施例1〜8の63.5〜76.8%よりも大きく低下していることがわかる。
【0056】
このことは、次のように考えられる。正極含まれる炭酸リチウムが、高温サイクル特性を低下させる(比較例1参照)。ここで、シクロヘキシルベンゼン(CHB)やtert−アミルベンゼン(TAB)を非水電解質に添加すると、これらの添加剤が炭酸リチウムによる高温サイクル特性の低下を抑制するように作用し、高温サイクル特性が向上する(実施例1〜8参照)。しかしながら、これらの添加剤が3.0質量%以上含まれると、これらの添加剤が充放電反応を阻害するように作用し、高温サイクル特性を低下させる(比較例2、比較例3参照)。よって、シクロヘキシルベンゼンやtert−アミルベンゼンの添加量は、0.5〜2.0質量%であることが好ましい。
【0057】
また、シクロヘキシルベンゼン(CHB)を3.0質量%添加した比較例2は、低温放電試験における平均放電電圧が3.10V、初期放電電圧が2.94Vと、シクロヘキシルベンゼンの添加量が0〜2.0質量%である実施例1〜4、比較例1の3.16〜3.17V、3.02〜3.03Vよりも低いことがわかる。これは、上記考察と同様の理由によるものと考えられる。
【0058】
(追加事項)
正極活物質としては、上記実施例で用いたもの以外に、層状マンガン酸リチウム(LiMnO)、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、ニッケルコバルト酸リチウム(LiNiCo1−x)、ニッケルマンガン酸リチウム(LiNiMn1−x)、鉄酸リチウム(LiFeO)等を単独で、あるいは複数種混合して用いることができる。
【0059】
また、負極活物質としては、上記実施例で用いたもの以外に、炭素質物、リチウム合金、金属リチウム、リチウムを吸蔵・脱離できる金属酸化物等を単独で、あるいは複数種混合して用いることができる。
【0060】
また、非水溶媒としては、上記実施例で用いたもの以外に、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、ジエチルカーボネート、スルホラン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジオキソラン、2−メトキシテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等を単独で、あるいは複数種混合して用いることができる。
【0061】
また、電解質塩としては、上記LiPF以外に、LiN(CSO、LiN(CFSO、LiClO、LiBFを単独で、あるいは複数種混合して用いることができる。
【0062】
また、シクロヘキシルベンゼンとtert−アミルベンゼンとをともに添加してもよい。この場合、シクロヘキシルベンゼンとtert−アミルベンゼンとの合計添加量を0.5〜2.0質量%とする。
【0063】
また、ビニレンカーボネートは本発明の必須の構成要素ではないが、ビニレンカーボネートは負極と反応して安定な被膜を形成し、負極と非水電解質との反応を抑制するように作用する。ビニレンカーボネートの添加量は、0.1〜5.0質量%であることが好ましく、1.0〜3.0質量%であることがより好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上説明したように、本発明によると、過充電安全性に優れ、且つ高温サイクル特性に優れた非水電解質二次電池を実現できるので、産業上の意義は大きい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極と、負極と、非水電解質と、電池内圧の上昇により作動する感圧式安全機構と、を備えた非水電解質二次電池において、
前記正極に、炭酸リチウムが0.5〜1.5質量%添加され、
前記非水電解質に、シクロアルキルベンゼン化合物及び/又はベンゼン環に隣接する第4級炭素を有する化合物が、合計0.5〜2.0質量%添加されている、
ことを特徴とする非水電解質二次電池。
【請求項2】
請求項1に記載の非水電解質二次電池において、
前記シクロアルキルベンゼン化合物が、シクロヘキシルベンゼンである、
ことを特徴とする非水電解質二次電池。
【請求項3】
請求項1に記載の非水電解質二次電池において、
前記ベンゼン環に隣接する第4級炭素を有する化合物が、tert−アミルベンゼンである、
ことを特徴とする非水電解質二次電池。

【公開番号】特開2008−186792(P2008−186792A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−21929(P2007−21929)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】