説明

非水電解質二次電池

【課題】非水電解質二次電池、特にリチウムイオン電池の容量低下を抑制する。
【解決手段】正極107と、黒鉛を含む負極108と、非水電解質を含有する非水電解液からなる非水電解質二次電池101において、前記黒鉛の表面近傍に、充放電に寄与するイオン以外の金属イオンをドープする。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、リチウムイオン電池等の非水電解質二次電池と製造方法に関する。
【0002】
リチウムイオン電池を代表とする非水電解質二次電池は高いエネルギー密度を有するため、電気自動車用の電池として注目されている。対象となる電気自動車には、エンジンを搭載しないゼロエミッション電気自動車、エンジンと二次電池の両方を搭載したハイブリッド電気自動車、さらには系統電源から直接充電させるプラグインハイブリッド電気自動車がある。また、非水電解質二次電池は、電力を貯蔵し、電力系統が遮断された非常時に電力を供給する定置式電力貯蔵装置としての用途も期待されている。
【0003】
このような多様な用途に対して、リチウムイオン電池には優れた耐久性が要求されている。すなわち、環境温度が高くなっても、充電可能な容量の低下率が低く、かつ、長期にわたって電池の容量維持率が高いことである。特に、電気自動車用リチウムイオン電池は、路面からの輻射熱あるいは車内からの熱伝達により、40〜70℃の高温環境における保存特性とサイクル寿命が、重要な要求性能となっている。
【0004】
高温保存時の容量低下あるいはサイクル劣化を抑制するための従来技術として、高耐久な電極材料あるいは電解液などの種々の技術が研究されている。高温環境下では、負極表面上の被膜の成長によるリチウム吸蔵・放出性能の阻害、負極活物質の粒子間の接触不良などの不具合が発生しやすい。特に、高温になると、表面被膜を透過する電解液の拡散速度が速くなり、負極活物質の表面に到達した溶媒が還元反応を受けやすくなる。その結果、表面被膜の成長速度が高温になるほど加速され、電池の容量低下の主要因となると考えられている。
【0005】
そのようなことから、負極表面に高温耐久性に優れた安定した被膜を形成させ、それを保護膜として利用する方法が考えられ、その方法に関し、特許文献1など、多くの提案がなされている。また、負極活物質表面に金属を析出させて負極の充放電特性や寿命を向上させる技術も知られており、特許文献2〜4などに記載されている。
【0006】
例えば、特許文献1は、環状炭酸エステルに低沸点溶媒を添加した混合溶媒に電解質を溶解させた非水系電解液を用いることによって、長期保存後の高効率放電特性を向上させる発明を開示している。特許文献2は、黒鉛を主体とする負極に金、銀、銅等の金属を含有させて、負極の低温環境下での分極を小さくし、低温充電時に負極表面に金属リチウムが析出することを防止する発明を開示している。特許文献3は、炭素表面に銅等の金属粒子を担持させ、充電末期にデンドライトの形成を抑制し、リチウムイオン電池の安全性を高めた発明を開示している。特許文献4は、炭素表面にアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む粒子で被覆し、リチウムイオン電池の入出力特性とサイクル特性を向上させる発明を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平4−95362号公報
【特許文献2】特開平8−45548号公報
【特許文献3】特開2000−67863号公報
【特許文献4】特開2009−16245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、リチウムイオン電池を含む非水電解質二次電池について、多くの実験と研究を行ってきているが、その過程で、これまで提案されている技術は、負極表面に高温耐久性に優れた安定した被膜を形成させることで電解液の分解反応を停止させ、それにより電池の容量低下を抑制するという観点からは、なお改善すべき余地があることを経験した。
【0009】
本発明は、上記の経験を通してなされたものであり、負極表面に形成される被膜を安定化させることで、これまでよりも高温耐久性に優れた非水電解質二次電池を開示することを課題とする。また、その非水電解質二次電池を製造する方法を開示することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決すべく、本発明者らはさらに実験と研究を行うことにより、例えばリチウムイオン電池の場合、充放電に寄与するリチウムイオン以外の金属イオンを電解液に微量に添加し、負極を構成する黒鉛に、該金属イオン、より好ましくはリチウムに対し不活性な金属をドープすることによって、負極表面に形成される被膜が安定化すること、被膜の安定化によって高温耐久性に優れたリチウムイオン電池が得られることを知見した。本発明は、上記の知見に基づいてなされたものである。
【0011】
本発明による非水電解質二次電池は、正極と、黒鉛を含む負極と、非水電解質を含有する非水電解液からなる非水電解質二次電池において、前記黒鉛の表面近傍に充放電に寄与するイオン以外の金属イオンがドープされていることを特徴とする。
【0012】
好ましい形態において、前記非水電解質二次電池がリチウムイオン電池であり、前記金属イオンが、銅イオン、鉄イオン、ニッケルイオン、亜鉛イオンのいずれかを含むことを特徴とする。さらに好ましくは、前記金属イオンがヨウ化物塩として非水電解液に添加されていることを特徴とする。また、前記金属イオンの添加量が黒鉛の単位重量当たり0.05〜1mmol/gであることを特徴とする。
【0013】
また、本発明による上記非水電解質二次電池の製造方法は、前記金属イオンを黒鉛にドープする際に、充電器を用いて負極電位を還元電位になるようにして、金属イオンを黒鉛にドープすることを特徴とする。また、他の製造方法は、前記金属イオンを黒鉛にドープする際に、充電器を用いて電池容器と負極に電圧を印加し、負極の電位を還元電位になるようにして金属イオンを黒鉛にドープすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、非水電解質二次電池の容量維持率を高くすることができる。特に、本発明は、リチウムイオン電池に対して適用するのに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】非水電解質二次電池の一例であるリチウムイオン電池の内部構造を模式的に示す図。
【図2】2個のリチウムイオン電池を直列に接続した本発明での電池システムを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の内容を詳細に説明する。
【0017】
図1は、非水電解質二次電池の一例であるリチウムイオン電池の内部構造を模式的に示している。非水電解質二次電池とは、非水電解質中における電極へのイオンの吸蔵・放出により、電気エネルギーを貯蔵・利用可能とする電気化学デバイスの総称であり、以下では、リチウムイオン電池を代表例として説明する。
【0018】
図1のリチウムイオン電池101において、正極107、負極108、および両電極の間に挿入されたセパレータ109からなる電極群が、電池容器102に密閉状態にて収納されている。電池容器102の上部には蓋103があり、その蓋103には、正極外部端子104、負極外部端子105、注液口106が取り付けられている。正極107は正極リード線110を介して正極外部端子104に接続され、負極108は負極リード線111を介して負極外部端子105に接続されている。なお、リード線110、111は、ワイヤ状、板状などの任意の形状を採ることができる。電流を流したときにオーム損失を小さくすることのできる構造であり、かつ電解液と反応しない材質であれば、リード線110、111の形状、材質は任意である。代表例として、アルミニウムを正極リード線110に用いることができ、銅またはニッケルを負極リード線111に使用することができる。
【0019】
電池容器102に電極群を収納した後に、蓋103を電池容器102に被せ、蓋103の外周を溶接して電池容器102と一体化する。電池容器102への蓋103の取り付けには、溶接のほかに、かしめ、接着などの他の方法を採ることができる。
【0020】
正極107は、正極活物質、導電剤、バインダ、集電体から構成される。その正極活物質を例示すると、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4が代表例である。他に、LiMnO3、LiMn2O3、LiMnO2、Li4Mn5O12、LiMn2-xMxO2(ただし、M=Co、Ni、Fe、Cr、Zn、Ta、x=0.01〜0.2)、Li2Mn3MO8(ただし、M=Fe、Co、Ni、Cu、Zn)、Li1-xAxMn2O4(ただし、A=Mg、B、Al、Fe、Co、Ni、Cr、Zn、Ca、x=0.01〜0.1)、LiNi1-xMxO2(ただし、M=Co、Fe、Ga、x=0.01〜0.2)、LiFeO2、Fe2(SO4)3、LiCo1-xMxO2(ただし、M=Ni、Fe、Mn、x=0.01〜0.2)、LiNi1-xMxO2(ただし、M=Mn、Fe、Co、Al、Ga、Ca、Mg、x=0.01〜0.2)、Fe(MoO4)3、FeF3、LiFePO4、LiMnPO4などを列挙することができる。なお、以下に示す本実施例では、正極活物質にはLiNi1/3Mn1/3Co1/3O2を用いた。ただし、本発明は正極材料に何ら制約を受けないので、これらの材料に限定されない。
【0021】
正極活物質の粒径は、合剤層の厚さ以下になるように規定される。正極活物質粉末中に合剤層厚さ以上のサイズを有する粗粒がある場合、予めふるい分級、風流分級などにより粗粒を除去し、合剤層厚さ以下の粒子を作製する。
【0022】
また、正極活物質は酸化物系であり電気抵抗が高いので、それらの電気伝導性を補うための炭素粉末からなる導電剤を利用するのが好ましい。正極活物質と導電剤はともに粉末であるため、粉末にバインダを混合して、粉末同士を結合させると同時に集電体へ接着させている。
【0023】
集電体には、厚さが10〜100μmのアルミニウム箔、厚さが10〜100μm、孔径0.1〜10mmのアルミニウム製穿孔箔、エキスパンドメタル、発泡金属板などが用いられ、材質もアルミニウムの他に、ステンレス、チタンなども適用可能である。本発明では、材質、形状、製造方法などに制限されることなく、任意の集電体を使用することができる。
【0024】
正極活物質、導電剤、バインダ、および有機溶媒を混合した正極スラリーを、ドクターブレード法、ディッピング法、スプレー法などによって集電体へ付着させた後、有機溶媒を乾燥し、ロールプレスによって正極を加圧成形することにより、正極を作製することができる。また、塗布から乾燥までを複数回行うことにより、複数の合剤層を集電体に積層化させることも可能である。
【0025】
負極108は、負極活物質、バインダ、集電体からなる。負極活物質は、好ましくはグラフェン構造を有する炭素材料である。すなわち、リチウムイオンを電気化学的に吸蔵・放出可能な天然黒鉛、人造黒鉛、メソフェ−ズ炭素、膨張黒鉛、炭素繊維、気相成長法炭素繊維、ピッチ系炭素質材料、ニードルコークス、石油コークス、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、カーボンブラックのなどの炭素質材料、あるいは5員環または6員環の環式炭化水素または環式含酸素有機化合物を熱分解によって合成した非晶質炭素材料、などが利用可能である。
【0026】
少なくとも表面にグラフェン構造を有する天然黒鉛、人造黒鉛、メソフェーズ炭素、炭素繊維、ピッチ系炭素などは、さらに適しており、X線構造解析における(002)面間隔が、0.33〜0.39nmの範囲にある炭素を含んでいることが望ましい。特に、結晶性の高い炭素、すなわち(002)面間隔が0.335〜0.345nmの黒鉛、またはそれに近い材料について、本発明は有効に作用する。
【0027】
これは、負極に対する本発明の金属イオンドープの効果が、グラフェン構造の表面近傍の層間に入り込み、その金属イオンが層間隔の変化幅を低減することにあるためである。初めから層間隔が広くなると、充電に伴う層間の拡張が少なくなり、金属イオンのドープがなくても、層間隔の変化幅が小さくなる傾向がある。
【0028】
また、本発明において、少なくとも負極活物質の表面近傍に金属イオンがドープされていればよく、負極活物質の内部までドープされている必要はない。なぜならば、負極活物質を覆う被膜が充放電の際に応力を受ける場所は、リチウムイオンの吸蔵・放出に伴うグラフェン層の間隔(すなわち(002)面間隔)が変化する活物質表面との界面であるからである。
【0029】
黒鉛、易黒鉛化炭素、難黒鉛化炭素等の材料の混合負極、または前記炭素材料にリチウムと合金を形成する金属等を添加しても良い。少なくとも黒鉛を主成分に含まれていれば、本発明を実施する上での障害はない。少なくともグラフェン構造を一部でも有している炭素材料であればよい。なお、本発明では負極活物質に特に制限がなく、上述の材料以外でも利用可能である。前記のように、表面にグラフェン構造を有する炭素質材料を主成分とする負極を用いた場合に、本発明は特に有効である。
【0030】
なお、リチウムと合金を形成する金属等とは、アルミニウム、スズ、シリコンなどの金属およびこれらの元素を含む合金であり、充電によりリチウムを取り込むことのできる材料である。
【0031】
また、負極内部の電気抵抗を低減するために、カーボンブラックやリチウムと合金を形成しない金属粉体などを添加しても、本発明を実施する上での障害は生じない。
【0032】
高レート充放電が必要な場合に、導電剤を負極に添加してもよい。導電剤はリチウムイオンの吸蔵・放出に関与せず、電子の媒体として働くので、本発明の負極活物質におけるリチウムイオンの吸蔵・放出反応に影響を与えない。
【0033】
さらに、ポリアセン、ポリパラフェニレン、ポリアニリン、ポリアセチレンからなる導電性高分子材料も、負極に用いることができる。これらの材料と黒鉛、易黒鉛化炭素、難黒鉛化炭素等のグラフェン構造を有する炭素材料と組み合わせて、本発明を実施することができる。
【0034】
負極が少なくとも表面にグラフェン構造を有する炭素材料を含んでいれば、他の材料が同時に使用されていても、本発明を適用可能である。特に、前記炭素材料が黒鉛であるときに、本発明は有効である。
【0035】
一般に使用される負極活物質は粉末であるため、それにバインダを混合して、粉末同士を結合させると同時に集電体へ接着させている。本発明の負極では、負極活物質の粒径を合剤層の厚さ以下にすることが望ましい。負極活物質粉末中に合剤層厚さ以上のサイズを有する粗粒がある場合、予めふるい分級、風流分級などにより粗粒を除去し、合剤層厚さ以下の粒子を使用する。
【0036】
集電体には、厚さが10〜100μmの銅箔、厚さが10〜100μm、孔径0.1〜10mmの銅製穿孔箔、エキスパンドメタル、発泡金属板などが用いられ、材質も銅の他に、ステンレス、チタン、ニッケルなども適用可能である。本発明では、材質、形状、製造方法などに制限されることなく、任意の集電体を使用することができる。
【0037】
負極活物質、バインダ、および有機溶媒を混合した負極スラリーを、ドクターブレード法、ディッピング法、スプレー法などによって集電体へ付着させた後、有機溶媒を乾燥し、ロールプレスによって負極を加圧成形することにより、負極を作製することもできる。また、塗布から乾燥までを複数回おこなうことにより、多層合剤層を集電体に形成させることも可能である。
【0038】
上記のようにして作製した正極107と負極108の間にセパレータ109を挿入し、正極107と負極108の短絡を防止する。ポリエチレン、ポリプロピレンなどからなるポリオレフィン系高分子シート、あるいはポリオレフィン系高分子と4フッ化ポリエチレンを代表とするフッ素系高分子シートを溶着させた多層構造のセパレータ109などを使用することが可能である。電池温度が高くなったときにセパレータ109が収縮しないように、セパレータ109の表面にセラミックスとバインダの混合物を薄層状に形成してもよい。これらのセパレータ109は、電池の充放電時にリチウムイオンを透過させる必要がある。一般に、細孔径が0.01〜10μm、気孔率が20〜90%であれば、リチウムイオン電池101に使用可能である。
【0039】
セパレータ109は、電極群の末端に配置されている電極と電池容器102の間にも挿入し、正極107と負極108が電池容器102を通じて短絡しないようにしている。セパレータ109と各電極106、107の表面および細孔内部に、電解質と非水溶媒からなる電解液が保持されている。
【0040】
上記のリチウムイオン電池101において、正極外部端子104または負極外部端子105と、電池容器102の間には絶縁性シール材料112を挿入し、両端子が短絡しないようにしている。絶縁性シール材料112にはフッ素樹脂、熱硬化性樹脂、ガラスハーメチックシールなどから選択することができ、電解液と反応せず、かつ気密性に優れた任意の材質を使用することができる。
【0041】
また、正極リード線110または負極リード線111の途中、あるいは正極リード線110と正極外部端子104の接続部、または負極リード線111と負極外部端子105の接続部に、正温度係数(PTC; Positive temperature coefficient)抵抗素子を利用した電流遮断機構を設けるようにしてもよい。その場合には、電池内部の温度が高くなったときに、リチウムイオン電池101の充放電を停止させて、電池を保護することが可能となる。なお、リード線110、111は箔状、板状など、任意の形状にすることができる。
【0042】
電極群の構造は、図1に示した短冊状電極の積層したもののほかに、円筒状、扁平状などの任意の形状に捲回したものなど、種々の形状にすることができる。電池容器102の形状は、電極群の形状に合わせ、円筒型、偏平長円形状、角型などの形状を選択してもよい。
【0043】
電池容器102の材質は、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼製など、非水電解質に対し耐食性のある材料から選択される。また、電池容器102を正極リード線110または負極リード線111に電気的に接続する場合は、非水電解質と接触している部分において、電池容器の腐食やリチウムイオンとの合金化による材料の変質が起こらないように、リード線の材料を選定する。
【0044】
本発明で使用可能な電解液の代表例として、エチレンカーボネートにジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどを混合した溶媒に、電解質として六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、あるいはホウフッ化リチウム(LiBF4)を溶解させた溶液がある。本発明は、溶媒や電解質の種類、溶媒の混合比に制限されることなく、他の電解液も利用可能である。
【0045】
電解質は、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキサイドなどのイオン伝導性高分子に含有させた状態で使用することも可能である。いわゆるゲル電解質がこれに該当する。このような場合には、前記セパレータ109が不要となる。
【0046】
なお、電解液に使用可能な溶媒は、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、γ-ブチロラクトン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、1、2-ジメトキシエタン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、1、3-ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、3-メチル-2-オキサゾリジノン、テトラヒドロフラン、1、 2-ジエトキシエタン、クロルエチレンカーボネート、クロルプロピレンカーボネートなどの非水溶媒がある。本発明の電池に内蔵される正極あるいは負極上で分解しなければ、これ以外の溶媒を用いてもよい。
【0047】
また、電解質には、化学式でLiPF6、LiBF4、LiClO4、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、あるいはリチウムトリフルオロメタンスルホンイミドで代表されるリチウムのイミド塩などの多種類のリチウム塩がある。これらの塩を、上述の溶媒に溶解してできた非水電解液を電池用電解液として使用することができる。本発明の電池に内蔵される正極あるいは負極上で分解しなければ、これ以外の電解質を用いてもよい。
【0048】
固体高分子電解質(ポリマー電解質)を用いる場合には、エチレンオキシド、アクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、メタクリル酸メチル、ヘキサフルオロプロピレンのポリエチレンオキサイドなどのイオン導電性ポリマーを電解質に用いることができる。これらの固体高分子電解質を用いた場合、前記セパレータ109を省略することができる利点がある。
【0049】
さらに、イオン性液体を用いることができる。例えば、1-ethyl-3-methylimidazolium tetrafluoroborate (EMI-BF4)、リチウム塩LiN(SO2CF3)2(LiTFSI)とトリグライムとテトラグライム)の混合錯体、環状四級アンモニウム系陽イオン(N-methyl-N-propylpyrrolidiniumが例示される)とイミド系陰イオン(bis(fluorosulfonyl)imideが例示される)より正極と負極にて分解しない組み合わせを選択して、本発明の非水電解質二次電池に用いることができる。
【0050】
電解液の注入方法は、蓋103を電池容器102から取り外して電極群に直接、添加する方法、あるいは蓋103に設置した注液口106から添加する方法がある。
【0051】
図1に示したリチウムイオン電池の注液口106は、電池容器102の上面に設置している。電極群を電池容器102に収納し密閉した後に、電解質と非水溶媒からなる電解液を注液口106より滴下し、所定量の電解液を充填した後に、注液口106を密封する。
【0052】
本発明のイオンドープ源は、銅イオン、ニッケルイオン、鉄イオンなどの金属イオンの塩である。これらの金属元素は、金属状態のときにリチウムと合金を形成しないか、あるいは実質的にリチウムと合金化しない元素である。本発明のイオンドープ源となりうる金属イオンを、以下では、不活性金属イオンと称する。
【0053】
ここで、実質的にリチウムと合金化しないとは、少なくとも表面にグラフェン構造を有する炭素材料の充放電容量密度(mAh/gの単位で表記)に対して、1/10以下であるとする。例えば、黒鉛の理論充放電容量密度372mAh/gに対して37mAh/g以下の極めて低い充放電容量密度の金属または合金である。このような材料はリチウム組成が小さいため、仮に電解液との副反応によって負極に吸蔵されたリチウムが消費されても、負極の容量低下に顕著に影響を与えない。また、リチウム組成が低いため、リチウムを吸蔵した合金上における電解液分解反応速度が遅くなり、負極活物質へのリチウムイオンの拡散を妨げる被膜の成長を抑制する働きも有する。
【0054】
例えば、銅イオン、鉄イオン、ニッケルイオンなどのヨウ化物やヨウ素酸塩は、電解液に可溶なので、本発明に用いるのに特に好ましい。これらの塩の濃度は、負極に含まれる黒鉛の重量に対し、0.01〜1mmol/gとなるように電解液に添加する。濃度は0.1〜1mmol/gにすると、黒鉛の層間にドープする量が増加し、より望ましい。不活性金属イオンの対イオン(陰イオン)は、上述の陰イオン以外の任意の化学種を選択することができる。正極や負極の上にて分解しにくく電気化学的に安定であって、上述の濃度まで溶解させることができれば、対イオンは任意である。
【0055】
リチウムとの合金を形成しないことは、わずかでも合金を形成する元素を排除するような絶対的な意味ではない。すなわち、リチウムとの合金を形成する元素であっても、負極表面に析出する量を可能な限り抑制し、黒鉛の層間に元素をドープさせることができれば、このような元素も本発明では利用可能である。例えば、負極電位を金属イオンの酸化還元電位よりも高くすれば、負極への析出量を抑制し、金属イオンを黒鉛の層間にドープさせることができる。このように条件付きで利用可能なイオンドープ源は、準不活性金属イオンと記すことにし、これらのイオンも本発明の不活性金属イオンに含まれる。
【0056】
準不活性金属として、亜鉛イオン、スズイオン、銀イオンなどのヨウ化物またはヨウ素酸塩が例示される。これらは、電解液に可溶なので、本発明に用いることができる。これらの塩の濃度は、負極に含まれる黒鉛の重量に対し、0.01〜1mmol/gとなるように電解液に添加する。濃度は前述の不活性金属イオンの濃度よりも低くすると、亜鉛等の金属析出を回避し、負極の容量低下を抑制することができる。その濃度を0.01〜0.1mmol/gにすると、金属の析出を回避することができる。
【0057】
不活性金属イオンは、そのイオン半径がリチウムイオンの半径と同等以下であることが望ましい。水溶液中でのイオン半径の文献値に基づくと、第3、4周期の遷移金属イオンの中から選択することができる。イオン半径がリチウムイオン半径と同等以下のサイズであれば、黒鉛の層間に挿入し、インタカレーション化合物を作ることができる。
【0058】
不活性金属イオンのドープは、還元電位にすることによって、黒鉛層間に電気化学的に挿入される。アルゴンガス等の不活性ガス中で、黒鉛と上記のイオンドープ源と混合し、加熱等の公知の技術を利用してインタカレーション化合物を得ることができる。
【0059】
非水電解液の代わりに、固体高分子電解質(ポリマー電解質)あるいはゲル電解質を用いることもできる。固体高分子電解質は、ポリエチレンオキサイドなどの公知のポリマー電解質あるいはポリフッ化ビニリデンと非水電解液の混合物(ゲル電解質)を用いることも可能である。また、イオン液体を用いてもよい。
【0060】
注入口106に安全機構を付与することも可能である。その安全機構として、電池容器内部の圧力を解放するための圧力弁を設けてもよい。
【0061】
図2は、2個のリチウムイオン電池201a、201bを直列に接続した本発明の電池システムを示す。各リチウムイオン電池201a、201bは、正極207、負極208、セパレータ209からなる同一仕様の電極群を有し、上部に正極外部端子204、負極外部端子205を設けている。各外部端子と電池容器の間には絶縁シール部材212を挿入し、外部端子同士が短絡しないようにしている。なお、図2では正極リード線110と負極リード線111が省略されているが、リチウムイオン電池201a、201bの内部の構造は、図1と同様であり、対応する部材には100番台に代えて、200番台の符号を付している。
【0062】
リチウムイオン電池201aの負極外部端子205は、電力ケーブル213により充電制御器216の負極入力ターミナルに接続されている。リチウムイオン電池201aの正極外部端子204は、電力ケーブル214を介して、リチウムイオン電池201bの負極外部端子205に連結されている。リチウムイオン電池201bの正極外部端子204は、電力ケーブル215により充電制御器216の正極入力ターミナルに接続されている。このような配線構成によって、2個のリチウムイオン電池201a、201bを充電または放電させることができる。図2では、2個の電池からなる直列接続を示しているが、電池の直列数、並列数は任意である。
【0063】
充放電制御器216は、電力ケーブル217、218を介して、外部に設置した機器(以下では外部機器と称する。)219との間で電力の授受を行う。外部機器219は、充放電制御器216に給電するための外部電源や回生モータ等の各種電気機器、ならびに本システムが電力を供給するインバータ、コンバータおよび負荷が含まれている。外部機器が対応する交流、直流の種類に応じて、インバータ等を設ければよい。これらの機器類は、公知のものを任意に適用することができる。
【0064】
前記した不活性金属イオンまたは準不活性金属イオンの塩を溶解させた電解液を準備し、リチウムイオン電池201a、201bのそれぞれの注液口206から電解液を添加する。その後、注液口206を密閉し、図2のシステムを組み立てた。次いで、負極に金属イオンをドープする処理を行う。負極に金属イオンをドープするには、負極の電位を金属イオンの酸化還元電位よりも低くすればよい。その電位は、水溶液中での酸化還元電位を参考にして、リチウムイオン電池ではリチウム金属の参照電極を基準(標準水素電極電位を基準に−3.05V)に制御する。上で列挙した金属イオンの酸化還元電位E0は、後記非特許文献に掲載されている数値より上述の参照極電位(−3.04V)を基準とした標準電位である。
【0065】
Cu+ + e- → Cu E0=3.56V (式1)
Fe2+ + 2e- → Fe E0=2.60V (式2)
Ni2+ + 2e- → Ni E0=3.28V (式3)
Zn2+ + 2e- → Zn E0=2.28V (式4)
(非特許文献) 電気化学協会編、第4版 電気化学便覧、71〜74ページ
【0066】
本発明は上記の金属に限定されず、少なくとも上に列挙した電位範囲(リチウム金属参照極電位基準で2.2〜3.6V)の酸化還元電位を有する金属イオンであれば、本発明に適用可能である。その中でも、特に銅イオン、鉄イオン、ニッケルイオンが、負極の長寿命化に有効である。また、イオンの価数は3価(3+)より2価(2+)、2価よりも1価(+)の陽イオンが黒鉛層に安定してドープされる。
【0067】
次に、負極へのイオンドープの方法について説明する。まず、図2のシステムを組み立てる。充放電制御器216を動作させ、上述の酸化還元電位(E0)よりも低い電圧になるように設定する。このとき、基準となる参照極が存在していないので、正極電位(Ec)を基準に負極電位(Ea)をE0以下になるようにする。
【0068】
正極電位(Ec)は、本発明のリチウムイオン電池101、201a、201bを製作する前に正極単独の充放電試験を行う。その際、対極をリチウム金属、参照極をリチウム金属としたセルを組み立てて、正極の充電容量密度(Qc)と電位(Ec)を測定することができる。ここで、Qcは正極活物質重量当たりの電気量(mAh/g)とする。この試験データより、正極の充電容量密度(Qc)に対する正極電位(Ec)の関数式(式5)を求めることができる。
【0069】
Ec = f(Qc) (式5)
ただし、fは( )内を変数とする関数を表す。
【0070】
実際のリチウムイオン電池101、201a、201bにおける正極電位(Ec)は、その電池の充電電気量を正極活物質重量(Mc)で除した充電容量密度に基づいて、先の関係式(式5)より算出される。正極電位(Ec)が決まると、電池電圧(Eb)から正極電位(Ec)を差し引いて、負極電位(Ea)が求められる(式6)。
【0071】
Ea = Eb − Ec (式6)
【0072】
したがって、式6を用いれば、電池の充電容量より負極電位(Ea)を予測することが可能である。
【0073】
また、イオンドープ量(Qd)は、充電した負極電位(Ea)に至るまでの総電気量(Qt)から不可逆容量分(Qi)を引いて計算することができる(式7)。ここで、不可逆容量(Qi)とは、負極にリチウムイオンが取り込まれる過程において、負極上の電解液分解反応に起因する充電ロス容量を意味する。なお、これらの3つの値を黒鉛重量当たりに換算した値に基づいて、充放電制御器216にて制御プログラムを実行してもよい。
【0074】
Qd = Qt − Qi (式7)
【0075】
通常、黒鉛上での不可逆容量のための反応は、リチウム金属の参照極基準にて1V以下で進行することが知られている。したがって、負極電位(Ea)が1Vよりも高い電位に保持されるときには、Qiをゼロとしてイオンドープ量(Qd)を計算することができる。なお、黒鉛にドープされた金属イオンのモル数は、イオンドープ量(Qd)を、式1〜式4に示した酸化還元反応式の移行電子数と、ファラデー定数(96500C)で割りつけることで求められる。
【0076】
以上で説明した考え方に基づいて、充放電制御器216を動作させ、負極208に不活性金属イオンまたは準不活性金属イオンを黒鉛層にドープする。充電時間は、式7において目標とするイオンドープ量に相当する電気量が流れるまでの時間である。より実用的には、充放電制御器216に一定の時間を充電するようにマイコンに記録しておくことが望ましい。
【0077】
イオンドープの処理が終了した後には、リチウムイオン電池201a、201bを定格容量が得られる通常の充電を行う。例えば、1時間率の定電流にて充電した後、4.1Vあるいは4.2Vの定電圧充電を0.5〜1時間、実行することができる。充電条件は、リチウムイオン電池の材料の種類、使用量などの設計で決まるので、電池の仕様ごとに最適な条件とする。
【0078】
リチウムイオン電池201a、201bを充電した後には、充放電制御器216を放電モードに切り替えて、各電池を放電させる。通常は、一定の下限電圧に到達したときに放電を停止させる。
【0079】
以上で説明した充放電操作の間、外部機器219は、充電時に充放電制御器216を介して電池201a、201bに電力を供給し、放電時に201a、201bから供給される電力を消費している。
【0080】
以上で説明した内容を踏まえ、それぞれ具体的な実施例を以下に示し、本発明の効果を明らかにしていく。なお、本発明の要旨を変更しない範囲で、具体的な構成材料、部品などを変更してもよい。また、本発明の構成要素を含んでいれば、公知の技術を追加したり、あるいは公知の技術で置き換えることも可能である。さらに、図2では、2個のリチウムイオン電池201a、201bを直列に接続した本発明の電池システムを示したが、これは例示であって、非水電解質二次電池が1個のシステムであっても、また3個以上を直列に接続したシステムであっても、あるいは並列接続としても、本発明により負極への金属イオンドープ効果が達成される。
【実施例】
【0081】
(実施例1〜3)
図1に示しリチウムイオン電池において、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)を体積比1:1で混合した溶媒に、電解質LiPF6を1モル/リットルの濃度になるように調製した電解液を準備した。電池の容量は10Ahである。電解液には、負極活物質(黒鉛)の重量当たり、0.05、0.1、1 mmol/gになるようにヨウ化銅(CuI)を電解液に添加した。
【0082】
図2のシステムを構成し、リチウムイオン電池201a、201bの電池電圧(Eb)が1.5〜2.0Vの範囲になるように、すなわち負極電位(Ea)として1.5〜1.0Vに制御されるように電流を制御しながら充電し、リチウムイオン電池201a、201bの負極に銅イオンをドープした。その後引き続いて、1時間率相当の電流(10A)にて、電池電圧が1.2Vに到達した後、その電圧にて定電圧充電を0.5時間行った。充電終了後に10分の休止時間を設けて、1時間率の放電を行い、リチウムイオン電池201a、201bの容量を測定した。
【0083】
さらに、充放電制御器216を用いて1時間率の充放電サイクルを2000サイクル行った。環境温度は室温とした。初期容量と2000サイクル後の容量維持率を、表1の実施例1〜3に示した。表1に示すように、ヨウ化銅の添加量が少ないほど、初期容量が高く、その濃度が高くなるほど、容量がやや低下した。これは、銅イオンが過剰になると、負極表面に析出し、リチウムイオンの吸蔵・脱離反応を阻害するためと考えられる。
【0084】
(実施例4〜7)
ヨウ化銅(CuI)に替え、ヨウ化鉄(FeI2)0.1mmol/g、ヨウ化ニッケル(NiI2)0.1mmol/g、ヨウ化亜鉛(ZnI2)0.1mmol/gおよび0.05mmol/g、を添加した4種類のリチウムイオン電池を製作し、図2のシステムに組み込んだ。そして、実施例1〜3の場合と同様にして、初期容量と容量維持率を測定した。その結果を、表1の実施例4〜7に示した。金属イオンの添加量を0.05〜1mmol/gとすれば、大きな容量を維持することができた。
【0085】
ヨウ化銅、ヨウ化鉄、ヨウ化ニッケル、ヨウ化亜鉛の添加量が0.02〜0.04mmol/g以下になると、容量維持率が低下し始め、74〜77%になった。逆に添加量を2mmol/g以上にすると、初期容量が低下し始め、6〜7Ahまで減少した。
【0086】
(比較例1)
比較例として、金属塩を添加していない電池についても、同様の試験を行った。その結果を表1の比較例1示した。
【0087】
【表1】

【0088】
(考察)
初期容量は、無添加(比較例1)の場合が最も高かった。この値は、実施例1における、非常に希釈のヨウ化銅を添加した場合(0.05mmol/g)と同じであった。しかし、2000サイクル後の容量維持率に、添加した金属塩の効果が発現された。すなわち、実施例4および実施例5のように、ヨウ化鉄またはヨウ化ニッケルを添加すると、2000サイクル後の容量維持率がいずれの場合も高くなった。
【0089】
ヨウ化亜鉛の場合は、0.1mmol/gの高濃度のときに(実施例6)容量維持率が低くなった。これは、亜鉛が析出してしまい、リチウムとの合金を形成し、電解液との反応生成物が負極上で増加したためである。しかし、実施例7に示すように、ヨウ化亜鉛の濃度を小さくすると、他のイオンドープ源と同等の容量維持率を得た。
【0090】
なお、本試験の後に、金属イオンをドープした電池を解体し、負極を取り出した後に、X線光電子分光測定を行った。その結果、黒鉛粒子の表層に銅イオン、鉄イオン、亜鉛イオン、ニッケルイオンが存在していることを確認した。
【0091】
上記のように、本発明の方法を適用すれば、リチウムイオン電池の容量維持率を高くすることができることがわかる。
【符号の説明】
【0092】
101 非水電解質二次電池(リチウムイオン電池)、102 電池容器、103 蓋、104 正極外部端子、105 負極外部端子、106 注液口、107 正極、108 負極、109 セパレータ、110 正極リード線、111 負極リード線、112 絶縁性シール材料、201a 非水電解質二次電池、201b 非水電解質二次電池、202 電池容器、204 正極外部端子、205 負極外部端子、206 注液口、207 正極、208 負極、209 セパレータ、212 絶縁性シール材料、213 電力ケーブル、214 電力ケーブル、215 電力ケーブル、216 充放電制御器、217 電力ケーブル、218 電力ケーブル、219 外部機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極と、黒鉛を含む負極と、非水電解質を含有する非水電解液からなる非水電解質二次電池において、前記黒鉛の表面近傍に充放電に寄与するイオン以外の金属イオンがドープされていることを特徴とする非水電解質二次電池。
【請求項2】
非水電解質二次電池がリチウムイオン電池であり、前記金属イオンが、銅イオン、鉄イオン、ニッケルイオン、亜鉛イオンのいずれかを含むことを特徴とする請求項1記載の非水電解質二次電池。
【請求項3】
前記金属イオンがヨウ化物塩として非水電解液に添加されていることを特徴とする請求項2記載の非水電解質二次電池。
【請求項4】
前記金属イオンの添加量が黒鉛の単位重量当たり0.05〜1mmol/gであることを特徴とする請求項1記載の非水電解質二次電池。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の非水電解質二次電池の製造方法であって、前記金属イオンを黒鉛にドープする際に、充電器を用いて負極電位を還元電位になるようにして、金属イオンを黒鉛にドープすることを特徴とする非水電解質二次電池の製造方法。
【請求項6】
前記金属イオンを黒鉛にドープする際に、充電器を用いて電池容器と負極に電圧を印加し、負極の電位を還元電位になるようにして金属イオンを黒鉛にドープすることを特徴とする請求項5記載の非水電解質二次電池の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−150968(P2011−150968A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13103(P2010−13103)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】