説明

非点灯検査装置

【課題】スミヤやブルーミング等を抑えて適切な検査を行い、バックライト光の範囲を調節して誤判定を抑制する。
【解決手段】被検査パネルの非点灯検査を行う非点灯検査装置である。搬送装置に臨ませて設けられ、当該搬送装置で搬送される前記被検査パネルの画像を取り込むラインカメラと、前記ラインカメラに臨ませて配置され前記被検査パネルに光を照射するバックライトと、前記搬送装置で搬送されてくる前記被検査パネルの位置を、前記ラインカメラの上流側で検知するパネルセンサと、前記バックライトからの光を制御して効率的に前記ラインカメラに入射させる光制御板と、前記被検査パネルが前記ラインカメラの視野に入るまでの設定時間後に前記バックライトを点灯させる制御部とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査光を被検査パネルに当ててゴミ等の異物や泡等の欠陥の有無を検出する非点灯検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非点灯検査は、バックライトの光を表示パネルに当て、異物や欠陥の有無を検出するための検査である。このような非点灯検査は一般的に知られている。例えば特許文献1に示すような例がある。この非点灯検査は、液晶を封入した表示パネルの電極にプローブを接触させて行う点灯検査よりも前に行われる。非点灯検査装置は、製造ライン等のコンベアの近傍に設置されて、搬送されてくる表示パネルを随時検査する。具体的には、コンベアから表示パネルを機械ハンドで吸着し、非点灯検査装置に表示パネルを載置して、CCDカメラで画像を取り込み、検査を行っていた。
【0003】
しかし、この場合、検査に時間がかかってしまう。このため近年では、表示パネルの検査工程でのリードタイムの短縮を図るべく、特許文献2のように、搬送装置に検査装置を取り付けて、非点灯検査と搬送が同時に行えるように付加価値を高めた検査装置が提案されている。この検査装置は、搬送移動するガラス板に、その下方に設けた光源より光を照射し、ガラス板の上方に設けたラインカメラにてガラス板の搬送方向と直交する方向を走査撮像し、得られた明部と暗部の濃淡信号によりガラス板の欠陥を検出する装置である。この検査装置により、ガラス板中の非遮光性欠陥を光らせて明部とし、ガラス板中の遮光性異物に遮断されて暗部となるように光を照射することにより遮光性異物欠陥を識別する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−20588号公報
【特許文献2】特開平11−337504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、搬送装置の上面側に取り付けられたCCDカメラに、搬送装置の下面側に配置されたバックライトから常に光が照射されると、スミアやブルーミングが発生し、欠陥の有無を判定することができなくなってしまう。
【0006】
また、バックライトの照射範囲がコントロールできないため、表示パネルのサイズを変更して、小さいパネルを検査する時などには光が漏れてしまい、上記同様に、スミアやブルーミングが発生し、欠陥の有無を判定することができなくなってしまう。
【0007】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、被検査パネルのサイズの違い等に係わらず、欠陥の有無を正確に判定することができる非点灯検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る非点灯検査装置は、被検査パネルの非点灯検査を行う非点灯検査装置であって、前記被検査パネルを搬送する搬送装置に臨ませて設けられ、当該搬送装置で搬送される前記被検査パネルの画像を取り込むラインカメラと、前記搬送装置を中間に介在させた状態で前記ラインカメラに臨ませて配置され前記被検査パネルに光を照射するバックライトと、前記搬送装置で搬送されてくる前記被検査パネルの位置を、前記ラインカメラの上流側で検知するパネルセンサと、前記バックライトからの光を制御して効率的に前記ラインカメラに入射させる光制御板と、当該パネルセンサで前記被検査パネルの位置を検知して当該被検査パネルが前記ラインカメラの視野に入るまでの設定時間後に前記バックライトを点灯させる制御部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
スミヤやブルーミング等を抑えて適切な検査を行うことができる。さらに、バックライト光の範囲を調節して、非点灯検査の誤判定を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】被検査パネルを搬送する搬送装置を示す平面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る非点灯検査装置を示す概略側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る非点灯検査装置を示す概略正面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る非点灯検査装置の遮光板を示す平面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る非点灯検査装置を示す概略正面図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る非点灯検査装置の光制御板を示す平面図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る非点灯検査装置を示す概略側面図である。
【図8】本発明の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係る非点灯検査装置について、添付図面を参照しながら説明する。本発明に係る非点灯検査装置は、被検査パネルが介在しないときに検査カメラにバックライト光が直接入射して被検査パネルの欠陥の判定ができなくなることを防止すると共に、被検査パネルのサイズが変わったときに誤判定を抑制できるように改良した検査装置である。
【0012】
[第1実施形態]
本実施形態の非点灯検査装置は、被検査パネルを搬送する搬送装置に組み込まれている。搬送装置は、被検査パネルの製造ライン等に設置されている一般的な装置である。この搬送装置の一例を図1に示す。図1中の搬送装置11は、駆動軸12に支持されたコンベアローラー13で被検査パネル2を搬送する装置である。搬送装置11は、被検査パネルの製造ライン等に複数設置されている処理装置をそれぞれ繋ぐように設置される。
【0013】
搬送装置11は、2枚の側壁部14の間に、一定の間隔をあけて複数配置された駆動軸12がそれぞれ取り付けられている。各駆動軸12には複数個のコンベアローラー13が取り付けられている。駆動軸12は、図示しないベルト等に連結されて動力が与えられ、コンベアローラー13を回転させるようになっている。各駆動軸12のコンベアローラー13がそれぞれ回転駆動されることで、被検査パネル2を一定の速度で搬送するようになっている。なお、被検査パネル2は、上層を構成する液晶部3と、下層を構成する下面偏光板4とから構成されている。
【0014】
非点灯検査装置21は、上記搬送装置11で搬送されている被検査パネル2を、搬送状態のまま止めることなく検査するための装置である。非点灯検査装置21は、図2,3に示すように、ラインカメラ22と、バックライト31と、遮光板15と、パネルセンサ24と、制御部25から構成されている。
【0015】
ラインカメラ22は、搬送装置11で搬送される被検査パネル2の画像を取り込むための装置である。ラインカメラ22は、一次元カメラで構成され、被検査パネル2の搬送方向に直交する方向(横方向)にスキャンするように構成されている。ラインカメラ22は、搬送装置11で搬送される被検査パネル2の一側(上側)に、この被検査パネル2に望ませた状態で配設され、被検査パネル2を透過する光を撮影する。具体的には、アーチ型に形成されたカメラフレーム23が搬送装置11の2枚の側壁部14にそれぞれ取り付けられて、搬送装置11の上側に掛け渡されている。これにより、カメラフレーム23は、被検査パネル2の搬送方向に直行する横方向に配設されている。そして、複数のラインカメラ22がカメラフレーム23に並べて取り付けられている。これにより各ラインカメラ22は、横方向に並べられ、被検査パネル2の全幅をカバーできるようになっている。
【0016】
そして、被検査パネル2が搬送装置11で各ラインカメラ22の直下を搬送されることで、各ラインカメラ22が被検査パネル2の全面をスキャンするようになっている。
【0017】
バックライト31は、被検査パネル2にその下側から光を照射して、被検査パネル2の欠陥や異物等を検出するための照明手段である。バックライト31は、搬送装置11を中間に介在させた状態でラインカメラ22に臨ませて配置されている。即ち、バックライト31は、搬送装置11で搬送される被検査パネル2の他側(下側)であって、前記ラインカメラ22に対向する位置(ラインカメラ22の直下の位置)に配置されている。このバックライト31は、被検査パネル2の搬送方向に直交する方向で、かつ、前記各ラインカメラ22のスキャン方向に整合するように配設されている。バックライト31は、直線状の発光体で構成されて、ラインカメラ22のスキャン領域のみを照射する。
【0018】
遮光板15は、バックライト31からの光を制御して効率的に前記ラインカメラ22に入射させる光制御板である。具体的には、遮光板15は、バックライト31からの光を、前記各ラインカメラ22の視野(スキャン領域)全体に照射し、この視野以外を照射しないようになっている。遮光板15は、各ラインカメラ22とバックライト31との間に配置されている。具体的には、遮光板15は、各ラインカメラ22とバックライト31との間であって、コンベアローラー13とバックライト31との間に配置されている。
【0019】
遮光板15は、図4に示すように、光を通さない板材で構成され、その中央部に光を透過させるスリット16が設けられている。このスリット16は、バックライト31からの光を、被検査パネルの下側から、前記各ラインカメラ22の視野全体にのみ絞って照射するようになっている。このスリット16は、バックライト31からの光を被検査パネル2の下側から視野全体に照射させることができる寸法の長溝状に形成されている。スリット16の長さは、被検査パネル2の幅とほぼ同じ幅に設定される。少なくとも被検査パネル2の液晶部3よりも広い幅に設定される。下面偏光板4の幅より狭くても良い。遮光板15の端部とスリット16の端部の間に幅が遮光幅になる。また、スリット16の幅は、各ラインカメラ22によるスキャンを可能にする幅に設定されている。即ち、ある程度の幅に設定される。
【0020】
遮光板15は、被検査パネル2のサイズ等の条件に合わせた遮光板15に差し替え可能な構造になっている。具体的には、搬送装置11の側壁部14にネジ等の取り付け金具で着脱自在に取り付けられている。側壁部14には、遮光板15の差し替えが可能な開口(図示せず)が開けられている。被検査パネル2のパネルサイズや、被検査パネル2に照射するバックライト光の幅等の条件に合うように、スリット16の異なる遮光板15を差し替えることで、バックライト光が透過する範囲を変える。遮光板15は、前記開口に挿入されて固定される。遮光板15の固定方法としては、取り付け金具によって遮光板15を堅固に固定するようにしてもよく、摩擦板等によって遮光板15がずれないように支持する程度でも良い。
【0021】
パネルセンサ24は、搬送装置11で搬送されてくる被検査パネル2の位置を、ラインカメラ22の上流側で検知するためのセンサである。パネルセンサ24は、図2に示すように、被検査パネル2が各ラインカメラ22の近傍に接近していることを検知する。パネルセンサ24は、バックライト31及び遮光板15の近傍に配置されている。パネルセンサ24としては、近接センサ等の非接触で被検査パネル2の存在を検知できるセンサを用いる。パネルセンサ24は、被検査パネル2の搬送方向の上流側の近傍に配設され、搬送されてきた被検査パネル2が直前位置まで近づいていることを検知する。このパネルセンサ24での被検査パネル2の検知をトリガーとしてバックライト31を点灯するようになっている。これは、スミヤやブルーミング等の問題を解決するためのである。バックライト31から直接ラインカメラ22に入射する光と、被検査パネル2の検査時に入射する光とでは、その輝度に大きな差があるため、バックライト31を常時点灯させておくと、スミヤやブルーミングを生じることがある。このため、パネルセンサ24によって、被検査パネル2の通過を検知し、この被検査パネル2がラインカメラ22の直下を通過するときだけバックライト31を点灯させる。即ち、バックライト31は通常消灯しておき、被検査パネル2がラインカメラ22の直下を通過するときだけバックライト31を点灯させるように制御する。
【0022】
パネルセンサ24の設置位置は正確に特定する。これは、被検査パネル2をパネルセンサ24で検知した後、被検査パネル2の先端がラインカメラ22の直下の視野に入るまでの時間を正確に特定すると共に、被検査パネル2の後端がラインカメラ22の直下の視野を通過するまでの時間を正確に特定するためである。即ち、被検査パネル2がラインカメラ22の視野に入る直前にバックライト31を点灯させ、視野を通過した直後にバックライト31を消灯させるためである。このとき、バックライト31の点灯応答時間も考慮して設定する。このため、パネルセンサ24の設置位置からラインカメラ22の視野までの距離と、被検査パネル2の搬送速度とから、被検査パネル2の前記視野への到達時間(ラインカメラ22の視野に入るまでの時間)がわかるため、被検査パネル2の先端の到達時間の経過直前にバックライト31を点灯させ、被検査パネル2の後端の到達時間の経過直後にバックライト31を消灯させるように制御する。このとき、被検査パネルの有無をセンサが検知し、バックライト31が点灯また消灯する応答時間も考慮して時間を設定する。これらの制御は制御部25で行う。
【0023】
なお、パネルセンサ24は、被検査パネル2の搬送速度とバックライト31の応答時間を考慮した距離d(図2参照)を予め算出して特定した設置位置に取り付けるようにしても良い。また、被検査パネル2のサイズにより搬送速度が一定にならないことがあるため、パネルセンサ24の位置を調節できるように、パネルセンサ24を被検査パネル2の搬送方向に移動させる移動機構を取り付けても良い。さらに、パネルセンサ24は、横方向に複数設けて、被検査パネル2を複数箇所で検出するようにしても良い。
【0024】
制御部25は、画像処理と点灯制御を行うための装置である。具体的には、制御部25は、パネルセンサ24で被検査パネル2の位置を検知して前記設定時間後にバックライト31を点灯及び消灯させる。制御部25は、パネルセンサ24と、バックライト31と、ラインカメラ22とにそれぞれ接続されて(図2,3においては便宜的にラインカメラ22にのみ接続しているが、全てに接続される。)、これらを制御する。具体的には、制御部25は、パネルセンサ24からの検出信号に基づいてバックライト31のON,OFFを制御すると共に、ラインカメラ22からの画像情報を取り込んで画像処理を行う装置である。この制御部25には、モニター26が接続されている。モニター26は、ラインカメラ22の画像を写して、作業者が確認等を行う。
【0025】
以上のように構成された非点灯検査装置21は次のように作用する。
【0026】
非点灯検査の開始と共にラインカメラ22をONにして、パネルセンサ24を作動させる。そして、搬送装置11で搬送されてくる被検査パネル2の先端をパネルセンサ24が検知すると、その検知信号を制御部25に送信する。
【0027】
制御部25は、パネルセンサ24の検知信号の受信時から設定時間後にバックライト31をONにして、被検査パネル2の先端がラインカメラ22の視野に入る直前又は被検査パネル2の下面偏光板4が視野に入り液晶部3が視野に入る直前に、視野全体を照射する。即ち、遮光板15のスリット16によってラインカメラ22の視野の領域にのみ照射される。
【0028】
次いで、制御部25は、パネルセンサ24からの、被検査パネル2なし信号(被検査パネル2が通過した信号)の受信時から設定時間後にバックライト31をOFFにする。即ち、被検査パネル2の後端がラインカメラ22の視野から抜けた直後又は被検査パネル2の液晶部3が視野から抜けて下面偏光板4が視野に残っている時点で、バックライト31をOFFにして、バックライト31の光がラインカメラ22に直接入射しないようにする。
【0029】
次いで、制御部25は、ラインカメラ22から取り込んだ画像を処理して、他の部分と輝度が異なる点や線等を検索する。例えば、ノーマリホワイトの場合は黒い影になる点や線等、ノーマリブラックの場合は光った点や線等を検索する。これらの点や線等が無ければ良、あれば不良と判断し、不良の被検査パネル2を取り除くなどの処理を行う。
【0030】
以上のように、バックライト31のON/OFF制御を最適時間で行うことにより、スミヤやブルーミングの問題を抑制して、検査精度を向上させることができる。
【0031】
さらに、遮光板15でバックライト光の範囲を調節して、バックライト光が直接ラインカメラ22に入射しないようにしたため、非点灯検査の誤判定を抑制することができる。
【0032】
また、ラインカメラ22は一次元カメラで構成され、バックライト31は直線状の発光体で構成されたため、従来の二次元カメラで、面状の発光体の構成に比べて大幅にコスト低減することができる。
【0033】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態の非点灯検査装置の全体構成は、上述した第1実施形態の非点灯検査装置と同様であるため、同一部材には同一符号を付してその説明を省略する。
【0034】
本実施形態は、被検査パネル2のパネルサイズが変更された場合にも対応できるように改良したものである。バックライト31による光の照射範囲が一定の場合、被検査パネル2のパネルサイズを変更すると、被検査パネル2から光がはみ出したり、被検査パネル2全体を照射できなかったりする。これを解消するために、遮光板15´を用いる。この遮光板15´は、前記バックライト31からの光を制御して効率的に前記ラインカメラ22に入射させる光制御板である。
【0035】
遮光板15´は2枚の遮光板で構成される。即ち、遮光板15´は、図5,6に示すように、左右に分割された2枚の遮光板で構成されると共に各遮光板がスライド可能に支持され、各遮光板の間隔(スリット)16´を調整して、前記バックライト31の光の幅を新しい被検査パネルのサイズに合わせる。
【0036】
各遮光板15´には、長穴17が設けられている。側壁部14に設けられたネジ等の取り付け治具(図示せず)が長穴17に貫通して設けられて、この取り付け治具で遮光板15´が保持されている。遮光板15´は、長穴17をスライドさせることによって、遮光幅を任意に拡縮させ、パネルサイズの変更に合わせて調節が可能となる。遮光板15´のスライド機構は、パネルサイズのへ変更時に手動で遮光幅を調節しても良いが、モータのような駆動装置を取り付けて、パネルサイズの変更時にデータを入力し遮光幅を調節する。
【0037】
非点灯検査装置は、被検査パネルが検査装置部21を通過する際に、ラインカメラ22が被検査パネルの画像を順次取り込み、その画像データを元に制御部25により良・不良の判断がなされる。ゴミや気泡が混入していると、バックライト光が乱反射して偏光板を透過するため、ゴミや気泡を判別することができる。
【0038】
これにより、前記第1実施形態と同様に作用、効果を奏することができる。
【0039】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態の非点灯検査装置の全体構成は、上述した第1実施形態の非点灯検査装置と同様であるため、同一部材には同一符号を付してその説明を省略する。本実施形態の非点灯検査装置は偏光板を備えたものである。
【0040】
図7は、偏光板4がない被検査パネル2´における非点灯検査の実施例を示している。偏光板4の無い被検査パネル2´は、検査時にバックライト光を全て透過してしまい、高輝度の光がラインカメラ22に入射し良・不良の判定ができない問題が起こる。そこで、本実施形態では、光制御板4´を設けた。この光制御板4´は、前記バックライト31からの光を制御して効率的に前記ラインカメラ22に入射させる板材である。
【0041】
前記光制御板4´は、2枚の偏光板で構成されている。これらの偏光板は1/4波長板で構成されている。この2枚の1/4波長板の偏光方向を互いに90度ずらして配設されている。一方の1/4波長板は前記ラインカメラ22に面して、他方の1/4波長板は前記バックライト31に面してそれぞれ配置されている。
【0042】
これにより、通常は、一方の1/4波長板と他方の1/4波長板とで、バックライト31からの光は遮断されて、ラインカメラ22の画像は黒くなる。
【0043】
そして、被検査パネル2´に異物が存在する場合は、バックライト31側の1/4波長板で直線偏光された光が、異物で乱反射して、ラインカメラ22側の1/4波長板を透過してしまう。これにより、ラインカメラ22は、通常の画像の中に、点又は線の光を検知する。
【0044】
これにより、スミヤやブルーミングの問題を抑制して、検査精度を向上させることができる。さらに、バックライト光が直接ラインカメラ22に入射しないため、非点灯検査の誤判定を抑制することができる。
【0045】
[変形例]
前記各実施形態では、ラインカメラ22を2つ設けたが、被検査パネル2には種々のサイズがあるため、被検査パネル2のサイズに合わせて1つ又は3つ以上のラインカメラ22を設けるようにしてもよい。この場合も、上記各実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0046】
前記各実施形態では、非点灯検査装置21を、カメラフレーム23等で搬送装置11に一体的に組み込んだが、別部材として適宜、既存の搬送装置11に組み込むようにしてもよい。例えば、カメラフレーム23等の取り付け時具を、搬送装置11に着脱可能に構成して、既存の搬送装置11に組み込む。取り付け時具を、コの字状に構成して、搬送装置11にその横から挿入して取り付けるようにしても良い。
【0047】
前記第1実施形態では、遮光板15のスリット16は一定長に設定したが、遮光板15を伸縮可能な構成にして、スリット16の長さを調整できるようにしても良い。具体的には図8に示すように、遮光板41は、スライド板片42と、スライド支持片43とから構成されている。スライド板片42は、第1実施形態の遮光板15をその中央付近で切断した一方の片で構成されている。スライド支持片43は、第1実施形態の遮光板15をその中央付近で切断した状態で、その両端部に、前記スライド板片42の両端部が嵌合する支持筒部44を備えて構成されている。これにより、スライド支持片43の各支持筒部44にスライド板片42の両端部が嵌合してスライドし、スリット45の長さを調整する。即ち、被検査パネル2の幅サイズに合わせてスリット長の調節を可能にして、前記バックライト31の光を前記被検査パネル2の幅サイズに合わせるようにしてもよい。
【0048】
この場合も、上記各実施形態と同様の作用、効果を奏することができる。
【0049】
また、前記各実施形態では、遮光板15と光制御板4´とを個別に設けたが、これらを重ねて取り付けても良い。
【0050】
また、前記第2実施形態の、2枚の遮光板を支持する遮光幅調節機構を設けても良い。この遮光幅調節機構を、前記各遮光板をそれぞれ支持して移動させる、直動モータ等からなる直動機構によって構成して、作業者がモニター26を見ながら遮光板の間隔を被検査パネル2の幅に合わせて正確に調整するようにしても良い。
【0051】
前記各実施形態では、前記パネルセンサ24を、カメラフレーム23に固定したが、直動機構によって、被検査パネル2の搬送方向に直交する方向にスライド可能に取り付けてもよい。また、直動機構は、自動でも、手動でもよい。
【0052】
本発明は、上記各実施形態には限定されず、その趣旨を逸脱しない限り、種々に変更することができる。特に、遮光板の形状や配置、移動機構等は様々な改良が可能である。
【0053】
前記第3実施形態で検査する被検査パネル2´は、偏光板4を設ける前の段階のパネルを対象にしているが、最終的なパネルとしては、偏光板4を被検査パネル2´の下側面だけに設けたもの、上側面だけに設けたもの又は上下両側面に設けたものがある。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の非点灯検査装置は、検査光を透過するパネルであって、その内部や表面に、ゴミ等の異物や泡等の欠陥があるか否かを検出する必要がある全てのパネルの検査に用いることができる。
【符号の説明】
【0055】
11:搬送装置、12:駆動軸、13:コンベアローラー、14:側壁部、15:遮光板、15´:遮光板、16:スリット、17:長穴、21:非点灯検査装置、22:ラインカメラ、23:カメラフレーム、24:パネルセンサ、25:制御部、26:モニター、31:バックライト、41:遮光板、42:スライド板片、43:スライド支持片、45:スリット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査パネルの非点灯検査を行う非点灯検査装置であって、
前記被検査パネルを搬送する搬送装置に臨ませて設けられ、当該搬送装置で搬送される前記被検査パネルの画像を取り込むラインカメラと、
前記搬送装置を中間に介在させた状態で前記ラインカメラに臨ませて配置され前記被検査パネルに光を照射するバックライトと、
前記搬送装置で搬送されてくる前記被検査パネルの位置を、前記ラインカメラの上流側で検知するパネルセンサと、
前記バックライトからの光を制御して効率的に前記ラインカメラに入射させる光制御板と、
前記パネルセンサで前記被検査パネルの位置を検知して当該被検査パネルが前記ラインカメラの視野に入るまでの設定時間後に前記バックライトを点灯させる制御部と
を備えたことを特徴とする非点灯検査装置。
【請求項2】
前記光制御板が、光を透過させるスリットを備えた遮光板で構成され、
当該遮光板のスリットが、前記被検査パネルの幅サイズに合わせてスリット幅の調節を可能にして、前記バックライトの光を前記被検査パネルの幅サイズに合わせることを特徴とする、請求項1に記載の非点灯検査装置。
【請求項3】
前記光制御板が、左右に分割された2枚の遮光板で構成されると共に各遮光板がスライド可能に支持され、各遮光板の間隔を調整して、前記バックライトの光の幅を前記被検査パネルのサイズに合わせることを特徴とする、請求項1に記載の非点灯検査装置。
【請求項4】
前記遮光板を伸縮可能な構成にして、前記スリットの長さを調整することを特徴とする、請求項2に記載の非点灯検査装置。
【請求項5】
前記2枚の遮光板が、遮光幅調節機構に支持され、
当該遮光幅調節機構が、前記各遮光板をそれぞれ支持して移動させる直動機構によって構成されたことを特徴とする、請求項3に記載の非点灯検査装置。
【請求項6】
前記遮光板が、着脱可能に取り付けられ、前記被検査パネルのサイズ等の条件に合わせて差し替えられることを特徴とする、請求項2乃至5のいずれか1項に記載の非点灯検査装置。
【請求項7】
前記パネルセンサが、被検査パネルの搬送方向に直交する方向にスライド可能に取り付けられたことを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の非点灯検査装置。
【請求項8】
前記光制御板が、偏光方向を互いにずらした2枚の偏光板で構成され、一方の偏光板が前記ラインカメラに面して、他方の偏光板が前記バックライトに面して配置されたことを特徴とする、請求項1に記載の非点灯検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−266284(P2010−266284A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−116695(P2009−116695)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【出願人】(000153018)株式会社日本マイクロニクス (349)
【Fターム(参考)】