非空気入りタイヤの製造方法およびそれを用いた非空気入りタイヤ
【課題】インジェクション成型法によりコード入り非空気入りタイヤを製造する方法を提供する。
【解決手段】タイヤ周方向に延在する補強部材を内部に含む非空気入りタイヤにおいて、タイヤ周方向に延在する補強部材27を型内表面から型内部に伸びる支持体24によって型内部に係止した状態でタイヤ材料を射出してインジェクション成型した非空気入りタイヤの製造方法である。タイヤ断面高さを100としたとき、タイヤ外径からタイヤ半径方向に20〜95の範囲に補強部材の係止支持を設定し、支持体26のタイヤ径方向の長さは1〜40の範囲にある。補強部材27の最内径の周長を100として補強部材27の最内径側の露出部の長さは0〜13であり、支持体26により接地面以外のタイヤ外表面に切り欠き部が形成される。タイヤ材料は、好適には熱可逆架橋エラストマーである。
【解決手段】タイヤ周方向に延在する補強部材を内部に含む非空気入りタイヤにおいて、タイヤ周方向に延在する補強部材27を型内表面から型内部に伸びる支持体24によって型内部に係止した状態でタイヤ材料を射出してインジェクション成型した非空気入りタイヤの製造方法である。タイヤ断面高さを100としたとき、タイヤ外径からタイヤ半径方向に20〜95の範囲に補強部材の係止支持を設定し、支持体26のタイヤ径方向の長さは1〜40の範囲にある。補強部材27の最内径の周長を100として補強部材27の最内径側の露出部の長さは0〜13であり、支持体26により接地面以外のタイヤ外表面に切り欠き部が形成される。タイヤ材料は、好適には熱可逆架橋エラストマーである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補強部材を内蔵する非空気入りタイヤの製造方法に関するもので、特に、自転車、車椅子、ゴルフカートなどの軽車両用の非空気入りタイヤの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自転車用、車椅子用、ゴルフカートなどの軽車両用タイヤは空気入りタイヤが主に使用されているが、近年、特にパンクレスなどの利点があることから非空気入りタイヤが実用化されてきている。
【0003】
この非空気入りタイヤは、通常、所謂ソリッドタイヤであり、図10は、従来の円環状(チューブ状)の非空気式タイヤの断面構造の一例を示す図である。図10に示す非空気式タイヤ201は、タイヤ本体202およびそれを組み付けたリム205からなる。図10(a)において、タイヤ本体202はゴム材等から成る中実構造の円環状体から構成されている。タイヤ本体202の両側面にはリム嵌合溝部203がタイヤ一周にわたり形成される。タイヤ本体202のリム嵌合溝部203がリム205のフランジ凸部206に嵌合し、タイヤ本体202とリム205が固定されている。また、タイヤの接地面には必要に応じて、トレッド溝204が設けられる。ここで使用される材料は、天然ゴム、スチレンーブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)やポリウレタンエラストマーなどである。図示していないが、リム205はタイヤを嵌めている車輪であるホイールと一体となっており、ホイールはリム205、スポーク、ハブ等から構成されている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特願2011−091603
【特許文献2】特開2011−143874
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図10(a)に示す非空気入りタイヤは、タイヤ本体202をリム205に押し込んでリム205に締結しているだけのものが多い。そのためタイヤ本体202をリム205に組み付けた後で、図10(b)に示すように据え切りや旋回時にリム外れが発生する可能性がある。さらに、長時間運行しているときや、長期間使用しているときに、経時変化によりタイヤ本体202が弛んできてタイヤ本体202がリム205から外れやすくなってしまう。このように図10(a)に示すような従来の非空気入りタイヤは耐リム外れ性が低い。
【0006】
そこで、耐リム外れ性を改良するために、ポリエステル等の撚りコードで補強した非空気入りタイヤが使用されつつある。これは、タイヤ本体のリム組み付け部の内部に補強コードをタイヤ周方向に入れて、タイヤ本体のリム組み付け部の強度を増すとともにリムを内側から締め付ける力を増大させて耐リム外れ性を向上させたものである。たとえば、図11に示すように、非空気式タイヤ本体1がホイール4(図12を参照)に組付けられて構成される非空気式タイヤのタイヤ/ホイール組立体において、タイヤ本体1内にその周方向にわたって埋設された締付材(補強コード)7によりタイヤ本体1とホイール4とを締付し、溝部2での嵌合固定力に締付材(補強コード)7による締付力を加えることによってタイヤ本体1とホイール4間の固定を強固にしている。
【0007】
タイヤ本体1内に埋設された締付材7は、タイヤ本体1内にタイヤ周方向に穿設された中空孔6の内部に通されて配されている。すなわち、図12に示すように、タイヤ内周面に開口した締付材通し孔(切り欠き部)8(図12(a))またはタイヤ外周面に開口した締付材通し孔8から締付材(補強コード)7を挿入して一周させた後、締付材(補強コード)7の先端部を締付材通し孔8から出して、締付材(補強コード)7の片端の鋸歯状部7bを締付材(補強コード)7の他端のロック用部品7aに通して結束し、その鋸歯状部7bを引くことにより締付力を大きくすることでき、逆戻りしないようにしている。
【0008】
さらに、締付材の両端部の結束部は、自転車走行時は邪魔なので、その結束部を締付材通し孔8に押し込む手段も提案されている。(特許文献2)しかしながら、締付材7を中空孔6の内部に通すのは難しく作業性が悪く手間がかかり生産性を落とす原因となっており、補強コード入りタイヤのコストアップの一因となっている。
【0009】
以上のように、補強コード入りの非空気入りタイヤは耐リム外れ性に優れているので、タイヤ本体内部に補強コードを入れる生産性の高い方法が要求されているが、補強コード入りの非空気入りタイヤを一体成型する適切な方法は、これまでの先行文献および先行技術において開示されていない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、補強コードをタイヤ本体内部に配設する生産性の高い方法であり、補強部材を支持したインジェクション成型を用いて、補強コード入り非空気式タイヤを製造する方法を提供するものである。具体的には、本発明は、金型側面等の型内表面から型内部に伸びる支持体によって、タイヤ周方向に延在する補強部材を型内部の所定位置に係止した状態でタイヤ材料を射出し、インジェクション成型することで補強部材も一体成型する製造方法であり、これによって円環状の補強部材(コード)入り非空気入りタイヤを作製する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の製造方法を用いることによって、コード入りの非空気入りタイヤをインジェクション成型により作製することができ、タイヤをリム組みしたときに、タイヤ本体の強度が増大しタイヤの伸長性が小さくなるとともに、タイヤ本体の内側からリムを締めつける力が増してリム外れが発生しにくくなる。すなわち耐リム外れ性が向上する。この結果、非空気入りタイヤをリムに組み付けた時に、タイヤがリムに確実に固定されるので、通常の走行時はもちろん、据え切りや旋回時においてもリム外れしにくくなる。
【0012】
また、インジェクション成型によって大量に迅速に製造できるので、生産性を向上することができる。さらに、タイヤ下面に切り欠きを設ける必要がないので、タイヤとリムとの接触面積を充分確保できるとともに内径側の補強部材をタイヤ本体の材料でできるだけ広く覆うことができる。この結果、タイヤのリムへの座りが良くなる。さらに、高速走行時にタイヤ下面からの補強部材によるタイヤの切り裂きもなくなるので、高速耐久性が向上し、高速自転車運転用タイヤにも使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の製造方法を用いて作製した非空気入りタイヤを示した図である。
【図2】図2は、本発明の製造方法に用いる非空気入りタイヤの金型を示す図である。
【図3】図3は、本発明の製造方法に用いる金型を示す図である。
【図4】図4は、金型内の補強部材と支持体の配置状態を示す図である。
【図5】図5は、金型内の補強部材と支持体の配置状態を示す別の実施形態を示す図である。
【図6】図6は、本発明の製造方法を用いて作製した非空気入りタイヤを示す図である。
【図7】図7は、補強部材が複数配置されている非空気入りタイヤの断面図である。
【図8】図8は、非空気入りタイヤにおける補強部材の位置および支持体の長さを示す図である。
【図9】図9は、本発明の製造方法を用いて作製した円環状の非空気入りタイヤの側面を示す図である。
【図10】図10は、従来の非空気式タイヤの断面構造の一例を示す図である。
【図11】図11は、従来のコード入り非空気式タイヤのタイヤ本体と締付材との関係を示した一部破砕断面斜視図である。
【図12】図12は、従来のコード入り非空気式タイヤの締付材通し孔付近を示した要部断面図である。
【図13】図13は、本発明の製造方法を用いて作製した円環状の非空気入りタイヤの側面を示す図である。
【図14】図14は、本発明の製造方法を用いて作製した円環状の非空気入りタイヤの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、ソリッドタイヤの補強部材であるコードを内部に配置したコード入り非空気入りタイヤの製造方法に関するもので、(i)タイヤ周方向に延在する補強部材を内部に含む非空気入りタイヤにおいて、円環状の非空気入りタイヤの成型時にタイヤ周方向に延在する補強部材を金型の内表面から金型内部に伸びる支持体によって金型内部に係止した状態で熱可塑性エラストマー等のタイヤ材料を射出してインジェクション成型して作製する非空気入りタイヤの製造方法である。また、本発明は(i)に加えて、(ii)タイヤ断面高さを100として、タイヤ外径から半径方向に20〜95の範囲に補強部材の係止支持を配置し、タイヤ断面高さを100として、支持体の径方向の長さが1〜40の範囲にある事を特徴とする。また、本発明は(i)および(ii)に加えて(iii)補強部材の最内径の周長を100として、補強部材の最内径側の露出部の長さは0〜13であり、また支持体により接地面以外のタイヤ外表面に切り欠き部が形成されていることを特徴とする。さらに、本発明は(i)、(ii)および(iii)に加えて、(iv)射出したタイヤ材料は熱可塑性エラストマーであり、また熱可塑性エラストマーはマレイン酸変性オレフィン系エラストマー、含窒素複素環化合物、オレフィン系樹脂、スチレン系エラストマー、パラフィンオイルを含むことを特徴とし、さらに、含窒素複素環化合物は含窒素複素環多官能アルコールであり、オレフィン系樹脂はポリプロピレンであり、スチレン系エラストマーは水添スチレン・イソプレン・ブタジエンブロック共重合体であることを特徴とする。さらに、本発明は、(v)上記の(i)〜(iv)の製造方法を用いて作製した非空気入りタイヤであり、自転車や車イス等の軽車両用の非空気入りタイヤであることを特徴とする。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の製造方法を用いて作製した非空気入りタイヤを示した図である。本発明の非空気入りタイヤ11は、円環状に成型されたパンクレスタイヤである。図1においては、内部構造が分かるように一部切断して示している。切断面に切り欠き部13の空洞が示されている。図1から分かるように非空気入りタイヤ11の内部は中実構造であり、タイヤの内部に補強部材であるコード12が入っている。この補強部材12も周方向に連続して円環状に非空気入りタイヤ11の内部に配置されている。非空気入りタイヤ11の表面には窪み部(リム嵌合溝)14があり、リムフランジ凸部が嵌合してリムに非空気入りタイヤ11が固定される。補強部材12は、非空気入りタイヤ11のタイヤ材料の中に埋設されて固定されており、タイヤ材料の強度を増加させるとともに、タイヤをリムに締めつける力を増大させる(タガ効果を高める)ので、タイヤの耐リム外れ性を向上させる。非空気入りタイヤ11の側面には切り欠き部13がタイヤ周方向に複数配置されている。この切り欠き部13は後述する金型内で補強部材を係止め支持する支持体を引き抜いた跡である空洞として形成される。空洞はタイヤの中心部まで存在し、中心部付近に配置される補強部材12の周囲(側面および下部)にも空洞が形成されていて、金型内で支持体の上および支持体の間に補強部材12が載置されていたことが分かる。
【0016】
図2は、本発明の製造方法に用いる非空気入りタイヤの金型を示す図である。金型20は割型になっていて、図2では2分割で構成されているがもっと多分割しても良い。図2は、非空気入りタイヤの断面形状に合わせた形状を有する環状の金型の一部断面図を示している。金型20の一方の割型21の内表面21Sの側面の一部から支持体24が金型20の内部23へ伸びている。支持体24の先端部には補強部材27を係止め配置する補強部材係止部25がある。金型20の他方の割型22の内表面22Sの側面の一部から支持体26が金型20の内部23へ伸びている。支持体24および26は、金型21および22が合わさったときに、それらの先端が接触するようになっており、補強部材係止部25に配置された補強部材27が係止め支持されるように作られている。支持体24および26は、金型内でタイヤ周方向に断続して複数箇所に配置され、補強部材27をタイヤ周方向に環状に係止め支持している。
【0017】
図3は、金型20の割型21および22を合わせて金型内空間23を構成している図である。割型21および22を合わせると支持体24および26も合わさり、補強部材係止部25に補強部材27が嵌り、タイヤ材料が金型内23に射出されても補強部材27は動かないようになっている。金型20の金型内空間23は円環状につながっているので、射出されたタイヤ材料は金型内空間23と同形状の円環状のタイヤとなる。射出されたタイヤ材料が冷却されて固化した後に割型21および22を離型すると、図1に示すような円環状のタイヤの内部に補強部材27が埋設された非空気入りタイヤ11が作製される。支持体24および26は割型21および22の一部であるからタイヤから引き抜かれて、非空気入りタイヤ11に図1に示すような切り欠き13を作る。離型性を向上するために支持体24および26の周囲や、金型20の内表面21Sおよび22Sに離型剤をコーティングしても良いし、一般的に射出成型用金型に用いられる製品取出し用のエジェクター機構を設けても良い。
【0018】
図4は、金型内の補強部材と支持体の配置状態を示す図である。図4において、(A)図は、金型内の支持体の状態を把握するために、タイヤの金型内の一部を平面に投影した図である。タイヤの金型内空間23(タイヤ材料を射出した後は、タイヤ材料で充填された非空気入りタイヤ29となる)は円環状であるから、金型内に多数配置された支持体24および26は同一平面上にはないが、(A)図のように一平面上に投影すれば、隣接する支持体24(24−1、24−2、24−3)および26(26−1、26−2、26−3)は同一平面上で描くことができる。金型内に配置された支持体24および26はタイヤ周方向に連続して延在しているわけではなく、図4に示すようにタイヤ周方向に断続して飛び飛びに(好適には等間隔に)配置される。タイヤ材料が射出されてタイヤが円環状に成型された後は、支持体24および26は金型と一緒に取り除かれる。このとき支持体24および26は切り欠き13(図1)となって残るので、支持体24および26が大きすぎるとタイヤ強度が低下したり、切り欠き部からタイヤに亀裂等が入ったりして望ましくはない。従って、支持体24および26は、補強部材27を支持して射出成型時に補強部材が動かないように固定できさえすれば、そのサイズは小さい方が望ましい。
【0019】
図4(a)は、支持体24に補強部材係止部25があるときの支持体の配列を示す図である。補強部材係止部25を有する複数の支持体24(24−1、24−2、24−3、・・・)がタイヤ周方向に一定の間隔で金型(割型)21の内表面21Sに配置されている。(B)図は、(A)図における支持体24−2および26−2のX−X’断面を示す図である。割型21と22が合わさったときに支持体24および26も合わさり、補強部材27は窪み部となった補強部材係止部25に嵌る。この状態を示したものが(B)図であるが、他の支持体においても支持体24および26の関係は同じであり、(B)図と同様の配置となり、補強部材27は補強部材係止部25に嵌り係止めされ固定される。金型内空間23はタイヤ周方向に円環状に作製されており、その金型内空間内の所定位置に多数配置された支持体24および26で形成された窪み部である補強部材係止部25に補強部材27が嵌り、補強部材27はタイヤ周方向に連続して円環状につながっている。補強部材27は多数の補強部材係止部25に係止め固定されているので、タイヤ材料が射出されてもその圧力で動かないようになっている。補強部材27のテンションを利用すれば、多数の補強部材係止部25において、補強部材27は、タイヤ径内側へ締めつける力が働くので、さらに移動しにくくなる。
【0020】
図4(b)は、別の支持体の配列を示す図である。(A)図は、タイヤの金型内の一部を平面に投影した図である。(B)図は支持体24−2および26−2におけるX−X’断面を示す図であり、(C)図は支持体24−1および26−1におけるY−Y’断面を示す図である。(B)図においては図4(a)と同様に補強部材係止部25が支持体24(24−2)にあるが、(C)図においては図4(a)とは逆に補強部材係止部25が支持体26(26−1)にある。このように図4(b)では補強部材係止部25が支持体24および26に交互に存在しながら、支持体24および26が周方向に配置されている。このような支持体でも補強部材27を金型の所定箇所に配置し係止め固定することができる。
【0021】
図4(a)および図4(b)に示す支持体の配置形態では、金型20の(割型21および22の)内表面の両側から支持体が金型内空間23へ伸びているので、金型20(割型21および22の)を射出したタイヤから離型した後の支持体の跡は貫通孔としてタイヤの内部に残る。この支持体の跡がタイヤ表面では切り欠き部13(図1)となっているが、図1では見えない反対側にも同じ位置に切り欠き部13があり、これらの切り欠き部は貫通孔でつながっている。逆に貫通孔でつながっているということは、図4に示すような金型20の割型21および22の両方の内表面21Sおよび22Sからそれぞれ支持体24および26が金型内部へ伸びており、補強部材27が補強部材係止部25に係止め支持されているということを示す。
【0022】
図5は、金型内の補強部材と支持体の配置状態を示す別の実施形態を示す図であり、支持体が一方の割型の内表面だけから伸びている場合を示す図である。すなわち、支持体は割型21または22に対して片持ち状態となっている。図5(a)は、支持体24だけの場合であり、支持体26は存在しない。(A)図はタイヤの金型内の一部を平面に投影した図であり、(B)図は支持体24−2におけるX−X’断面図を示す。支持体26は存在しないので、補強部材27は支持体24だけから係止めされている。図4においては、支持体24および26の両側から押さえられていて安定して係止め固定されていたが、図5の場合には図4と比較して少し安定性が悪い。しかし、補強部材27のテンションを高めてタイヤ径方向へ補強部材を締めつけて係止め固定したり、あるいは補強部材係止部25にさらに窪み部を設けて補強部材27をその窪み部へ嵌めて係止め固定したり、あるいは射出圧力を調節したりすることにより、射出成型時の補強部材27の移動を抑えることができる。あるいは補強部材係止部25に接着剤を用いて補強部材を固定するということもできる。
【0023】
図5(b)は、支持体24および26が交互に(左右互い違いに)配置される場合を示す図である。支持体24−1がある場合には支持体26が存在せず、その周方向の隣において支持体26−2はあるが支持体24は存在しない。さらにその周方向の隣において支持体24−3はあるが支持体26は存在しない。このように周方向に隣接する支持体は、同じ割型から伸びていない。図5(b)の(B)図は、(A)図における支持体26−2のX−X’断面図であり、図5(b)の(C)図は、(A)図における支持体24−1のY−Y’断面図である。これらの図から分かるように、補強部材27は片側からの支持体だけに支えられている。このような支持体の交互配置でも補強部材を金型内に配置固定してインジェクション成型することができる。
【0024】
タイヤ材料を射出して金型内空間23をタイヤ材料で充填した後、割型を外し支持体24または26を抜いたとき、図5(a)に示す場合は切り欠き13が非空気入りタイヤの片側だけに存在するが、図5(b)に示す場合は切り欠き13は非空気入りタイヤの両側に存在する。図5(b)に示す場合の方が外観的にも強度的にもバランスが取れている。ただし、図5(a)の場合も図5(b)の場合も貫通孔ではなく、片側だけに抜けた孔でその表面部が切り欠き部13となっている。
【0025】
図6は、金型内空間にタイヤ材料を射出しインジェクション成型して作製した非空気入りタイヤを示す図である。図6は、円環状に形成された非空気入りタイヤ31の断面を示す図であるが、タイヤ31の内部に補強部材32が1個埋設されている。補強部材32は非空気入りタイヤの赤道33に対して略対称な位置に配置される。対称な位置に配置することにより、非空気入りタイヤの強度をバランス良く増大させるとともに、リムをタイヤの両サイド内側から締めつける力(タガ効果による)を均等に増大させることができるので、タイヤのリム外れが起こりにくくなる。補強部材が1つのときは赤道33上またはその近傍に配置され、補強部材自体が赤道33に対して対称関係になるような位置に配置される。
【0026】
図7は、補強部材が2つ配置されている非空気入りタイヤの断面図である。補強部材42および43は非空気入りタイヤ41の赤道33に対して略対称な位置に配置される。金型内表面21Sおよび22Sから伸びる支持体44’および46’の跡は、それぞれ破線で示す空洞部44および46となる。(これらの空洞部はタイヤ周方向の一部であるから破線で示している。尚支持体の形状はこれらの空洞部とほぼ同じ形状となっている。)1つの補強部材42は金型内では支持体44’の窪み部(補強部材係止部)45’に係止め配置される。(45は補強部材係止部の跡を示す。)支持体44’の先端側は窪み部45’よりもサイズが大きくなっているので、この支持体44’を非空気入りタイヤ41から引き抜くときに多少力が必要であるが、支持体の周囲の非空気入りタイヤ41の材料は弾性体であるから伸縮するので、周囲のタイヤ材料にダメージを与えることなく支持体を引き抜くことができる。窪み部になめらかな傾斜をつければ支持体の引き抜きはさらに容易となる。
【0027】
支持体に窪み部をつけるのは、補強部材が窪み部に嵌り係止めされ、タイヤ材料の射出成型時に補強部材を動かないようにするためであるが、補強部材にテンションを利かせたり、あるいは射出成型時の射出圧力を調整したり、あるいは接着剤で固定したりすれば窪み部を形成する必要もなくなる。この場合には、支持体の引き抜き時に狭い部分(45)をなくすようにできるので、支持体の引き抜きも容易となる。また、支持体44’を引き抜いた後の切り欠き部は48となる。もう1つの補強部材43は支持体46’の窪み部47’(補強部材係止部)に係止め配置されている。(47は補強部材係止部の跡を示す。)この補強部材43および支持体46’についても補強部材42および支持体44’について上述したことと同様のことが言える。また、このときの支持体46’を引き抜いた後の切り欠き部は49となる。図7においては、支持体44’および支持体46’は接触させているが、接触させずに金型内に配置しても良く、このときはこれらの支持体の跡である空洞部44および空洞部46は貫通しない。このように支持体を用いて複数の補強部材を金型内の所定位置に係止めしインジェクション成型により、コード入り非空気入りタイヤを作製することができる。
【0028】
補強部材はコード、あるいはコードをゴムや樹脂でコーティングしたものである。補強コードとしては、有機繊維コードやスチールコードなどで構成される。有機繊維コードの種類は、特に限定されないが、たとえば、ナイロン、ポリエステル、レーヨン、アラミド繊維等である。補強コードは、単線コードでも良いしあるいは複線コードでも良い。複線コードの場合は、撚りコードや重ねたり束ねたり横に並べたコードでも良く、ゴムや樹脂等でコードをコーティングしたものでも良い。また、コードをゴムでコーティングしたものは、ゴム層を予め加硫して硬化しても良い。補強コードやゴム入りコード層等を支持体に配置し周方向に環状に形成する場合は、これらの端末部を溶接または融着等で結合したり、接着剤を用いたり、あるいは結んだりして結合することができる。
【0029】
図6において、支持体24の跡は破線34で示す部分が空洞となり、タイヤの外表面で切り欠き部37となる。また、支持体26の跡は破線36で示す部分が空洞となり、タイヤの外表面で切り欠き部38となる。支持体24および26は金型内では接触しているので、空洞部34および36はつながっているので、貫通孔となっている。支持体24および26は周方向に円環状になった金型内空間23の一部(ただし、タイヤ周方向に多数存在)であるから、支持体24および26の跡である空洞34および36も非空気入りタイヤ31の一部(ただし、タイヤ周方向に多数存在)である。また、補強部材32は補強部材係止部の跡35に配置されており、タイヤ周方向にはタイヤ31の内部に埋設され固定されている。39および40はリム嵌合溝部でここにリムフランジ凸部が嵌合する。従って、図6に示す非空気入りタイヤでは、切り欠き部37および38にはリムが被っている。同様に図7において、補強部材42および43が載置され係止めされた44’および46’のあった所は空洞となっているので、補強部材42および43の底部の一部は空洞となっている。
【0030】
次に本発明の製造方法における支持体の大きさおよび補強部材の位置について説明する。図8は非空気入りタイヤにおける補強部材の位置および支持体の長さを示す図である。非空気入りタイヤ51をインジェクション成型により作製した後で、金型を離型する前は支持体54および56が入っているが、金型を離型した後は支持体54および56の跡である略同形状の空洞57および59が形成され、また切り欠き部60および61がタイヤ51の表面(側面部)に形成される。また補強部材52は、インジェクション成型前は支持体54の補強部材係止部55に係止支持されて配置される。インジェクション成型し金型および支持体を離型した後は、支持体のあった部分において補強部材52の最内径側および側面側は空洞となっている。しかし支持体のない部分は射出されたタイヤ材料で充填されているので、補強部材52はタイヤ本体51に埋設された状態となる。
【0031】
図8に示す本発明の製造方法を用いて作製した非空気入りタイヤ51の断面高さをSHとする。断面高さSHは、非空気入りタイヤの底部から非空気入りタイヤの接地面までの距離である。タイヤの接地面は非空気入りタイヤの最外径となる部分と定義する。補強部材52がタイヤ51の内部に配置される部分(補強部材の底部)のタイヤ接地面(タイヤ最外径)からの距離をmとしたとき、m/SH(×100)は20〜95の範囲に存在することが望ましく、好適には30〜95、もっと好適には35〜90の範囲に存在することが望ましい。金型内に配置される支持体54および56、並びに補強部材係止部55に係止支持される補強部材52から見て言い換えれば、タイヤ接地面(となる金型部分)から補強部材が支持体54によって係止支持される部分(図8において、支持体54の補強部材係止部55で補強部材52を受ける部分で、補強部材の底部)までの距離は、上記の範囲内に設定されることが望ましい。補強部材がこれらの範囲内に配置されれば、タイヤ材料の強度を増加させるとともに、リムをタイヤ径方向へ締めつける力が増大する(タガ効果を高める)ので、タイヤの耐リム外れ性を向上させることができる。
【0032】
また支持体54または56のタイヤ径方向の長さをnとしたとき、n/SH(×100)は1〜40の範囲内に存在することが望ましい。タイヤが完成した状態から見れば、支持体54あるいは56の跡である空洞部57(または切り欠き部60)あるいは空洞部59(または切り欠き部61)のタイヤ径方向長さnとしたとき、n/SH(×100)は1〜40の範囲内に存在することが望ましい。1より小さいと支持体として作製が難しくかつ強度が保てない。40より大きくなるとタイヤ51内部に形成される支持体54や56の跡となる空洞部57や59が大きすぎてタイヤの強度が低下し、また切り欠き部60や61も大きくなりすぎるので好ましくない。
【0033】
図9は、本発明の製造方法を用いて作製した円環状の非空気入りタイヤを示す図である。図9(a)は、非空気入りタイヤの表面の側面部の一部を切断して補強部材を露出して示している。補強部材64を内蔵した非空気入りタイヤ63の外表面に切り欠き部65が複数形成されている。
【0034】
図13は、本発明の製造方法を用いて作製した円環状の非空気入りタイヤの側面を示す図で、切り欠き部75がタイヤ内径側(タイヤ底面側)へ露出している場合を示している。図13に示すような切り欠き部75がタイヤ内径側へ露出する場合は、たとえば、図14に示すように、金型内に存在した破線で示す支持体84および86がタイヤ本体81の底部に配置された場合である。補強部材82は、金型内においてこれらの支持体84および86により金型内で形成される窪み部85に配置され、射出成型後タイヤ本体81内に埋設される。破線で示される支持体84および86の跡である切り欠き部87および88は空洞となる。従って、補強部材82の下部(底部)の一部も空洞となり、その結果、タイヤ本体の下部(底部)91の一部も空洞となり、補強部材82が露出する。尚、図14において89および90はリム嵌合溝部であり、タイヤ本体の底部が空洞になる場合は、補強部材82はリム嵌合溝89および90よりもタイヤ底部側に存在する。
【0035】
図13において、非空気入りタイヤのタイヤ本体70の内径側において、タイヤ周方向に切り欠き部75が断続的に形成される。切り欠き部75においてタイヤ内径側の側面部およびタイヤ底部で補強部材74が露出している。補強部材の最内径の周長を100としたとき、補強部材の最内径側の露出部の長さの総和は0〜13であることが望ましい。たとえば、タイヤ周方向にy個の切り欠き部が存在し、1個の切り欠き部75において補強部材のタイヤ最内径側(タイヤ底面側)露出部の長さをw、y個の切り欠き部におけるwはすべて同じ長さとし、また補強部材の最内径をrとしたとき、好適には0≦yw/2πr(×100)≦13である。
【0036】
この値が13より大きくなると補強部材64の底部側(タイヤ内径側)の露出部分が大きくなるので、リムへのタイヤの座りが悪くなるとともに、切り欠きのない面で補強コードの張力を負担するためタイヤ本体が破断し易くなる。補強部材64を金型内に固定するには支持体の数uは相当数必要であるから、この値をできるだけ小さくする方法として、1個当たりの支持体の長さを小さくすれば良い。従って、強度が大きく細い支持体を用いることにより実現できる。あるいは、支持体の幅を金型内部にいくに従い小さくするという方法もある。この方法は、成型されたタイヤから支持体を引き抜くことも容易になるという利点もある。また、ピンポイントで補強部材を支持すれば上記の値を0に近づけることができる。あるいは支持体をインジェクション成型後に引き抜かずにタイヤ内部に残すということでこの値を0とすることができる。
【0037】
たとえば、支持体をタイヤ材料と同程度の材料(たとえば、熱可塑性エラストマーなど)で構成してインジェクション成型時にタイヤ材料と融着させることができる。ただし、支持体自体は、成型中は金型に固定しておく必要がある為、金型に固定する為の支持体の切り欠き部は、成型後も残る。あるいは、補強部材を2つの支持体で両側から挟んで金型内で係止め支持することにより、補強部材の底部には支持体はないので補強部材の底部には空洞は形成されない。この場合も上記の値は0となる。尚、軽量化のためには空洞部をある程度設けた方が良いので、軽量化を重視する場合は上記の値の範囲内で支持体の幅を適宜調整すれば良い。さらに、支持体の間隔(空洞部66の間隔)は、強度や締め付け力を均一にする上で等間隔が望ましい。また、この周方向に延在し環状につながった補強部材64の最内径の周方向長さ(周長)をsとし、この補強部材64における最内径側の露出部の長さの総和をtとしたとき、t/s(×100)が0〜13の範囲内にあれば支持体の間隔を狭くした方が補強部材の周方向形状が円形に近づくので望ましく、支持体の間隔は、0〜15度の範囲内、好適には0〜10度の範囲内が良い。
【0038】
上記のm/SH(×100)が20〜95等の範囲内にある場合において、非空気入りタイヤをリム組みしたとき、切り欠き部65はリムと接触する場合と接触しない場合がある。切り欠き部65がリム接触面にある場合は、切り欠き部65がリムに被われて外観上は見えなくなり、雨天走行中に水分が切り欠き部を通して、コードに浸透する事を防ぐ事ができる。
【0039】
本発明の支持体を設けた金型を用いて射出成型により補強部材入りの非空気入りタイヤを製造することが可能となる。インジェクション(射出)成型するタイヤ材料を加熱溶融して圧力をかけて金型内に射出し、円環状の非空気入りタイヤを作製する。射出成型するタイヤ材料として、天然ゴム、種々の合成ゴム(たとえば、スチレンーブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、ウレタンゴム)、熱硬化性エラストマー、熱可塑性エラストマー、または熱可逆架橋エラストマー、またはこれらの混合物を使用することができる。
【0040】
熱可塑性エラストマーとしては、たとえばオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーなど種々使用できる。オレフィン系エラストマーとしては、たとえばエチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エチレン−ブテンゴム(EBM)等を使用できる。スチレン系エラストマーとしては、たとえばスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、スチレンエチレンプロピレンスチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体(SEBS、SBSの水素添加物)、スチレンエチレンエチレンプロピレンスチレンブロック共重合体(SEEPS)等を使用できる。
【0041】
熱可逆架橋エラストマー組成物は、溶融成型しながら、物性を低下させずに繰り返して使用することができる為、マテリアルリサイクルが可能である。また、熱可逆架橋エラストマー組成物は、高い柔軟性や良好な低温特性を持ち、フィラーにより補強することもでき、加硫ゴムに近い性質を持つエラストマーであり、熱可塑性樹脂のように、射出(インジェクション)成型が可能で、加硫工程が不要であるという特徴がある。さらに、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂との接着性も有するため、これらの材料の併用が可能である。
【0042】
熱可逆架橋エラストマー組成物としては、カルボニル基・ヒドロキシ基・オキシ基・エポキシ基・フェニル基など種々の官能基またはこれらの官能基か含窒素複素環を含む架橋部位、或いはこれらを側鎖として含有することができる。特に、このエラストマー組成物として、好適には水素結合を用いた熱可逆架橋エラストマー組成物であるTHCラバー(Thermoreversible Hydrogen-bond Crosslinking Rubber)を用いることができる。THCラバーは、少なくともカルボニル含有基及び含窒素複素環を有する水素結合性架橋部位を含有する側鎖もしくはその水素結合性架橋部位と共有結合性架橋部位とを併有する側鎖を有する熱可逆架橋エラストマー組成物であり、熱可逆架橋性を良好に発揮しタイヤのリサイクル性を向上させることが可能となる。
【0043】
カルボニル含有基及び含窒素複素環を有する水素結合性架橋部位は、カルボニル含有基が有するカルボニル基と、含窒素複素環が有するアミノ基とが水素結合を形成する。含窒素複素環は、架橋剤として含窒素複素環含有化合物を加えることにより配合してもよい。水素結合性架橋部位を構成するカルボニル化合物としては、例えば、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、イミド基が挙げられる。
【0044】
熱可逆架橋エラストマー組成物は、マレイン酸変性オレフィン系エラストマー、含窒素複素環化合物、オレフィン系樹脂、スチレン系エラストマー、パラフィンオイルを含むものであることが好ましい。このように熱可逆架橋エラストマー組成物を構成することにより、良好な物性を持つとともに、高流動性で成型性が良好になる。上記した含窒素複素環化合物は、好適には含窒素複素環多官能アルコールであり、オレフィン系樹脂は好適にはポリプロピレンであり、スチレン系エラストマーは好適には水添スチレン・イソプレン・ブタジエンブロック共重合体であることが好ましい。
【0045】
熱可逆架橋エラストマー組成物は上記の種々の材料を混合して用いることもできる。たとえば、マレイン酸変性オレフィン系エラストマー100重量部に対し、含窒素複素環化合物を0.1〜3重量部、オレフィン系樹脂を50〜150重量部、スチレン系エラストマーを20〜80重量部、パラフィンオイルを50〜150重量部配合するのがよい。熱可逆架橋エラストマー組成物をタイヤに使用すると、環状に成型することが簡単であり、また、熱を加えることで架橋が外れるため、タイヤの成型性に加え、マテリアルリサイクルも容易になるので好ましい。
【0046】
本発明は、補強部材を支持する支持体を金型機構に組み込むことにより、インジェクション成型方法を用いて補強材を含み一体成型することができる非空気入りタイヤの製造方法である。これにより安全性および信頼性の高いコード入り非空気入りタイヤを実現可能となる。
【0047】
尚、明細書のある部分に記載し説明した内容を記載しなかった他の部分においても矛盾なく適用できることに関しては、当該他の部分に当該内容を適用できることは言うまでもない。さらに、上記実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施でき、本発明の権利範囲が上記実施形態に限定されないことも言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の非空気式タイヤは、軽荷重下での低速走行などが通常である自転車用、車椅子用、ゴルフカート用、リヤカー用など、各種の軽車両用の非空気式タイヤとしても使用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1・・・非空気式タイヤ本体、2・・・溝部、4・・・ホイール、
6・・・中空孔、7・・・締付材、8・・・締付材通し孔、
11・・・非空気入りタイヤ、12・・・補強部材、
13・・・切り欠き部、14・・・リム嵌合溝、
20・・・金型、21・・・割型、22・・・割型、
23・・・金型内空間、24・・・支持体、25・・・補強部材係止部、
26・・・支持体、27・・・補強部材、29・・・非空気入りタイヤ、
31・・・非空気入りタイヤ、32・・・補強部材、
33・・・非空気入りタイヤの赤道、34・・・空洞部、35・・・補強部材係止部の跡、
36・・・空洞部、37・・・切り欠き部、38・・・切り欠き部、
39・・・リム嵌合溝部、40・・・リム嵌合溝部、
41・・・非空気入りタイヤ、42・・・補強部材、43・・・補強部材、
44・・・空洞部、45・・・補強部材係止部の跡、46・・・空洞部、
47・・・補強部材係止部の跡、48・・・切り欠き部、49・・・切り欠き部、
51・・・非空気入りタイヤ、52・・・補強部材、54・・・支持体、
55・・・補強部材係止部、56・・・支持体、57・・・空洞部、58・・・開口部、
59・・・空洞部、60・・・切り欠き部、61・・・切り欠き部、
63・・・非空気入りタイヤ、64・・・補強部材、65・・・切り欠き部、
66・・・空洞部、72・・・空洞部、73・・・リム嵌合溝、
74・・・補強部材、75・・・切り欠き部、
81・・・タイヤ本体、82・・・補強部材、83・・・非空気入りタイヤの赤道、
84・・・支持体、85・・・窪み部、86・・・支持体、
87・・・切り欠き部、88・・・切り欠き部、
89・・・リム嵌合溝部、90・・・リム嵌合溝部、
110・・・非空気入りタイヤ、111・・・タイヤ本体部、
112・・・補強コード、113・・・切り込み、201・・・非空気入りタイヤ、
202・・・タイヤ本体部、203・・・リム嵌合溝、204・・・トレッド溝、
205・・・リム、206・・・リムフランジ凸部
【技術分野】
【0001】
本発明は、補強部材を内蔵する非空気入りタイヤの製造方法に関するもので、特に、自転車、車椅子、ゴルフカートなどの軽車両用の非空気入りタイヤの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自転車用、車椅子用、ゴルフカートなどの軽車両用タイヤは空気入りタイヤが主に使用されているが、近年、特にパンクレスなどの利点があることから非空気入りタイヤが実用化されてきている。
【0003】
この非空気入りタイヤは、通常、所謂ソリッドタイヤであり、図10は、従来の円環状(チューブ状)の非空気式タイヤの断面構造の一例を示す図である。図10に示す非空気式タイヤ201は、タイヤ本体202およびそれを組み付けたリム205からなる。図10(a)において、タイヤ本体202はゴム材等から成る中実構造の円環状体から構成されている。タイヤ本体202の両側面にはリム嵌合溝部203がタイヤ一周にわたり形成される。タイヤ本体202のリム嵌合溝部203がリム205のフランジ凸部206に嵌合し、タイヤ本体202とリム205が固定されている。また、タイヤの接地面には必要に応じて、トレッド溝204が設けられる。ここで使用される材料は、天然ゴム、スチレンーブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)やポリウレタンエラストマーなどである。図示していないが、リム205はタイヤを嵌めている車輪であるホイールと一体となっており、ホイールはリム205、スポーク、ハブ等から構成されている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特願2011−091603
【特許文献2】特開2011−143874
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図10(a)に示す非空気入りタイヤは、タイヤ本体202をリム205に押し込んでリム205に締結しているだけのものが多い。そのためタイヤ本体202をリム205に組み付けた後で、図10(b)に示すように据え切りや旋回時にリム外れが発生する可能性がある。さらに、長時間運行しているときや、長期間使用しているときに、経時変化によりタイヤ本体202が弛んできてタイヤ本体202がリム205から外れやすくなってしまう。このように図10(a)に示すような従来の非空気入りタイヤは耐リム外れ性が低い。
【0006】
そこで、耐リム外れ性を改良するために、ポリエステル等の撚りコードで補強した非空気入りタイヤが使用されつつある。これは、タイヤ本体のリム組み付け部の内部に補強コードをタイヤ周方向に入れて、タイヤ本体のリム組み付け部の強度を増すとともにリムを内側から締め付ける力を増大させて耐リム外れ性を向上させたものである。たとえば、図11に示すように、非空気式タイヤ本体1がホイール4(図12を参照)に組付けられて構成される非空気式タイヤのタイヤ/ホイール組立体において、タイヤ本体1内にその周方向にわたって埋設された締付材(補強コード)7によりタイヤ本体1とホイール4とを締付し、溝部2での嵌合固定力に締付材(補強コード)7による締付力を加えることによってタイヤ本体1とホイール4間の固定を強固にしている。
【0007】
タイヤ本体1内に埋設された締付材7は、タイヤ本体1内にタイヤ周方向に穿設された中空孔6の内部に通されて配されている。すなわち、図12に示すように、タイヤ内周面に開口した締付材通し孔(切り欠き部)8(図12(a))またはタイヤ外周面に開口した締付材通し孔8から締付材(補強コード)7を挿入して一周させた後、締付材(補強コード)7の先端部を締付材通し孔8から出して、締付材(補強コード)7の片端の鋸歯状部7bを締付材(補強コード)7の他端のロック用部品7aに通して結束し、その鋸歯状部7bを引くことにより締付力を大きくすることでき、逆戻りしないようにしている。
【0008】
さらに、締付材の両端部の結束部は、自転車走行時は邪魔なので、その結束部を締付材通し孔8に押し込む手段も提案されている。(特許文献2)しかしながら、締付材7を中空孔6の内部に通すのは難しく作業性が悪く手間がかかり生産性を落とす原因となっており、補強コード入りタイヤのコストアップの一因となっている。
【0009】
以上のように、補強コード入りの非空気入りタイヤは耐リム外れ性に優れているので、タイヤ本体内部に補強コードを入れる生産性の高い方法が要求されているが、補強コード入りの非空気入りタイヤを一体成型する適切な方法は、これまでの先行文献および先行技術において開示されていない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、補強コードをタイヤ本体内部に配設する生産性の高い方法であり、補強部材を支持したインジェクション成型を用いて、補強コード入り非空気式タイヤを製造する方法を提供するものである。具体的には、本発明は、金型側面等の型内表面から型内部に伸びる支持体によって、タイヤ周方向に延在する補強部材を型内部の所定位置に係止した状態でタイヤ材料を射出し、インジェクション成型することで補強部材も一体成型する製造方法であり、これによって円環状の補強部材(コード)入り非空気入りタイヤを作製する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の製造方法を用いることによって、コード入りの非空気入りタイヤをインジェクション成型により作製することができ、タイヤをリム組みしたときに、タイヤ本体の強度が増大しタイヤの伸長性が小さくなるとともに、タイヤ本体の内側からリムを締めつける力が増してリム外れが発生しにくくなる。すなわち耐リム外れ性が向上する。この結果、非空気入りタイヤをリムに組み付けた時に、タイヤがリムに確実に固定されるので、通常の走行時はもちろん、据え切りや旋回時においてもリム外れしにくくなる。
【0012】
また、インジェクション成型によって大量に迅速に製造できるので、生産性を向上することができる。さらに、タイヤ下面に切り欠きを設ける必要がないので、タイヤとリムとの接触面積を充分確保できるとともに内径側の補強部材をタイヤ本体の材料でできるだけ広く覆うことができる。この結果、タイヤのリムへの座りが良くなる。さらに、高速走行時にタイヤ下面からの補強部材によるタイヤの切り裂きもなくなるので、高速耐久性が向上し、高速自転車運転用タイヤにも使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の製造方法を用いて作製した非空気入りタイヤを示した図である。
【図2】図2は、本発明の製造方法に用いる非空気入りタイヤの金型を示す図である。
【図3】図3は、本発明の製造方法に用いる金型を示す図である。
【図4】図4は、金型内の補強部材と支持体の配置状態を示す図である。
【図5】図5は、金型内の補強部材と支持体の配置状態を示す別の実施形態を示す図である。
【図6】図6は、本発明の製造方法を用いて作製した非空気入りタイヤを示す図である。
【図7】図7は、補強部材が複数配置されている非空気入りタイヤの断面図である。
【図8】図8は、非空気入りタイヤにおける補強部材の位置および支持体の長さを示す図である。
【図9】図9は、本発明の製造方法を用いて作製した円環状の非空気入りタイヤの側面を示す図である。
【図10】図10は、従来の非空気式タイヤの断面構造の一例を示す図である。
【図11】図11は、従来のコード入り非空気式タイヤのタイヤ本体と締付材との関係を示した一部破砕断面斜視図である。
【図12】図12は、従来のコード入り非空気式タイヤの締付材通し孔付近を示した要部断面図である。
【図13】図13は、本発明の製造方法を用いて作製した円環状の非空気入りタイヤの側面を示す図である。
【図14】図14は、本発明の製造方法を用いて作製した円環状の非空気入りタイヤの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、ソリッドタイヤの補強部材であるコードを内部に配置したコード入り非空気入りタイヤの製造方法に関するもので、(i)タイヤ周方向に延在する補強部材を内部に含む非空気入りタイヤにおいて、円環状の非空気入りタイヤの成型時にタイヤ周方向に延在する補強部材を金型の内表面から金型内部に伸びる支持体によって金型内部に係止した状態で熱可塑性エラストマー等のタイヤ材料を射出してインジェクション成型して作製する非空気入りタイヤの製造方法である。また、本発明は(i)に加えて、(ii)タイヤ断面高さを100として、タイヤ外径から半径方向に20〜95の範囲に補強部材の係止支持を配置し、タイヤ断面高さを100として、支持体の径方向の長さが1〜40の範囲にある事を特徴とする。また、本発明は(i)および(ii)に加えて(iii)補強部材の最内径の周長を100として、補強部材の最内径側の露出部の長さは0〜13であり、また支持体により接地面以外のタイヤ外表面に切り欠き部が形成されていることを特徴とする。さらに、本発明は(i)、(ii)および(iii)に加えて、(iv)射出したタイヤ材料は熱可塑性エラストマーであり、また熱可塑性エラストマーはマレイン酸変性オレフィン系エラストマー、含窒素複素環化合物、オレフィン系樹脂、スチレン系エラストマー、パラフィンオイルを含むことを特徴とし、さらに、含窒素複素環化合物は含窒素複素環多官能アルコールであり、オレフィン系樹脂はポリプロピレンであり、スチレン系エラストマーは水添スチレン・イソプレン・ブタジエンブロック共重合体であることを特徴とする。さらに、本発明は、(v)上記の(i)〜(iv)の製造方法を用いて作製した非空気入りタイヤであり、自転車や車イス等の軽車両用の非空気入りタイヤであることを特徴とする。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の製造方法を用いて作製した非空気入りタイヤを示した図である。本発明の非空気入りタイヤ11は、円環状に成型されたパンクレスタイヤである。図1においては、内部構造が分かるように一部切断して示している。切断面に切り欠き部13の空洞が示されている。図1から分かるように非空気入りタイヤ11の内部は中実構造であり、タイヤの内部に補強部材であるコード12が入っている。この補強部材12も周方向に連続して円環状に非空気入りタイヤ11の内部に配置されている。非空気入りタイヤ11の表面には窪み部(リム嵌合溝)14があり、リムフランジ凸部が嵌合してリムに非空気入りタイヤ11が固定される。補強部材12は、非空気入りタイヤ11のタイヤ材料の中に埋設されて固定されており、タイヤ材料の強度を増加させるとともに、タイヤをリムに締めつける力を増大させる(タガ効果を高める)ので、タイヤの耐リム外れ性を向上させる。非空気入りタイヤ11の側面には切り欠き部13がタイヤ周方向に複数配置されている。この切り欠き部13は後述する金型内で補強部材を係止め支持する支持体を引き抜いた跡である空洞として形成される。空洞はタイヤの中心部まで存在し、中心部付近に配置される補強部材12の周囲(側面および下部)にも空洞が形成されていて、金型内で支持体の上および支持体の間に補強部材12が載置されていたことが分かる。
【0016】
図2は、本発明の製造方法に用いる非空気入りタイヤの金型を示す図である。金型20は割型になっていて、図2では2分割で構成されているがもっと多分割しても良い。図2は、非空気入りタイヤの断面形状に合わせた形状を有する環状の金型の一部断面図を示している。金型20の一方の割型21の内表面21Sの側面の一部から支持体24が金型20の内部23へ伸びている。支持体24の先端部には補強部材27を係止め配置する補強部材係止部25がある。金型20の他方の割型22の内表面22Sの側面の一部から支持体26が金型20の内部23へ伸びている。支持体24および26は、金型21および22が合わさったときに、それらの先端が接触するようになっており、補強部材係止部25に配置された補強部材27が係止め支持されるように作られている。支持体24および26は、金型内でタイヤ周方向に断続して複数箇所に配置され、補強部材27をタイヤ周方向に環状に係止め支持している。
【0017】
図3は、金型20の割型21および22を合わせて金型内空間23を構成している図である。割型21および22を合わせると支持体24および26も合わさり、補強部材係止部25に補強部材27が嵌り、タイヤ材料が金型内23に射出されても補強部材27は動かないようになっている。金型20の金型内空間23は円環状につながっているので、射出されたタイヤ材料は金型内空間23と同形状の円環状のタイヤとなる。射出されたタイヤ材料が冷却されて固化した後に割型21および22を離型すると、図1に示すような円環状のタイヤの内部に補強部材27が埋設された非空気入りタイヤ11が作製される。支持体24および26は割型21および22の一部であるからタイヤから引き抜かれて、非空気入りタイヤ11に図1に示すような切り欠き13を作る。離型性を向上するために支持体24および26の周囲や、金型20の内表面21Sおよび22Sに離型剤をコーティングしても良いし、一般的に射出成型用金型に用いられる製品取出し用のエジェクター機構を設けても良い。
【0018】
図4は、金型内の補強部材と支持体の配置状態を示す図である。図4において、(A)図は、金型内の支持体の状態を把握するために、タイヤの金型内の一部を平面に投影した図である。タイヤの金型内空間23(タイヤ材料を射出した後は、タイヤ材料で充填された非空気入りタイヤ29となる)は円環状であるから、金型内に多数配置された支持体24および26は同一平面上にはないが、(A)図のように一平面上に投影すれば、隣接する支持体24(24−1、24−2、24−3)および26(26−1、26−2、26−3)は同一平面上で描くことができる。金型内に配置された支持体24および26はタイヤ周方向に連続して延在しているわけではなく、図4に示すようにタイヤ周方向に断続して飛び飛びに(好適には等間隔に)配置される。タイヤ材料が射出されてタイヤが円環状に成型された後は、支持体24および26は金型と一緒に取り除かれる。このとき支持体24および26は切り欠き13(図1)となって残るので、支持体24および26が大きすぎるとタイヤ強度が低下したり、切り欠き部からタイヤに亀裂等が入ったりして望ましくはない。従って、支持体24および26は、補強部材27を支持して射出成型時に補強部材が動かないように固定できさえすれば、そのサイズは小さい方が望ましい。
【0019】
図4(a)は、支持体24に補強部材係止部25があるときの支持体の配列を示す図である。補強部材係止部25を有する複数の支持体24(24−1、24−2、24−3、・・・)がタイヤ周方向に一定の間隔で金型(割型)21の内表面21Sに配置されている。(B)図は、(A)図における支持体24−2および26−2のX−X’断面を示す図である。割型21と22が合わさったときに支持体24および26も合わさり、補強部材27は窪み部となった補強部材係止部25に嵌る。この状態を示したものが(B)図であるが、他の支持体においても支持体24および26の関係は同じであり、(B)図と同様の配置となり、補強部材27は補強部材係止部25に嵌り係止めされ固定される。金型内空間23はタイヤ周方向に円環状に作製されており、その金型内空間内の所定位置に多数配置された支持体24および26で形成された窪み部である補強部材係止部25に補強部材27が嵌り、補強部材27はタイヤ周方向に連続して円環状につながっている。補強部材27は多数の補強部材係止部25に係止め固定されているので、タイヤ材料が射出されてもその圧力で動かないようになっている。補強部材27のテンションを利用すれば、多数の補強部材係止部25において、補強部材27は、タイヤ径内側へ締めつける力が働くので、さらに移動しにくくなる。
【0020】
図4(b)は、別の支持体の配列を示す図である。(A)図は、タイヤの金型内の一部を平面に投影した図である。(B)図は支持体24−2および26−2におけるX−X’断面を示す図であり、(C)図は支持体24−1および26−1におけるY−Y’断面を示す図である。(B)図においては図4(a)と同様に補強部材係止部25が支持体24(24−2)にあるが、(C)図においては図4(a)とは逆に補強部材係止部25が支持体26(26−1)にある。このように図4(b)では補強部材係止部25が支持体24および26に交互に存在しながら、支持体24および26が周方向に配置されている。このような支持体でも補強部材27を金型の所定箇所に配置し係止め固定することができる。
【0021】
図4(a)および図4(b)に示す支持体の配置形態では、金型20の(割型21および22の)内表面の両側から支持体が金型内空間23へ伸びているので、金型20(割型21および22の)を射出したタイヤから離型した後の支持体の跡は貫通孔としてタイヤの内部に残る。この支持体の跡がタイヤ表面では切り欠き部13(図1)となっているが、図1では見えない反対側にも同じ位置に切り欠き部13があり、これらの切り欠き部は貫通孔でつながっている。逆に貫通孔でつながっているということは、図4に示すような金型20の割型21および22の両方の内表面21Sおよび22Sからそれぞれ支持体24および26が金型内部へ伸びており、補強部材27が補強部材係止部25に係止め支持されているということを示す。
【0022】
図5は、金型内の補強部材と支持体の配置状態を示す別の実施形態を示す図であり、支持体が一方の割型の内表面だけから伸びている場合を示す図である。すなわち、支持体は割型21または22に対して片持ち状態となっている。図5(a)は、支持体24だけの場合であり、支持体26は存在しない。(A)図はタイヤの金型内の一部を平面に投影した図であり、(B)図は支持体24−2におけるX−X’断面図を示す。支持体26は存在しないので、補強部材27は支持体24だけから係止めされている。図4においては、支持体24および26の両側から押さえられていて安定して係止め固定されていたが、図5の場合には図4と比較して少し安定性が悪い。しかし、補強部材27のテンションを高めてタイヤ径方向へ補強部材を締めつけて係止め固定したり、あるいは補強部材係止部25にさらに窪み部を設けて補強部材27をその窪み部へ嵌めて係止め固定したり、あるいは射出圧力を調節したりすることにより、射出成型時の補強部材27の移動を抑えることができる。あるいは補強部材係止部25に接着剤を用いて補強部材を固定するということもできる。
【0023】
図5(b)は、支持体24および26が交互に(左右互い違いに)配置される場合を示す図である。支持体24−1がある場合には支持体26が存在せず、その周方向の隣において支持体26−2はあるが支持体24は存在しない。さらにその周方向の隣において支持体24−3はあるが支持体26は存在しない。このように周方向に隣接する支持体は、同じ割型から伸びていない。図5(b)の(B)図は、(A)図における支持体26−2のX−X’断面図であり、図5(b)の(C)図は、(A)図における支持体24−1のY−Y’断面図である。これらの図から分かるように、補強部材27は片側からの支持体だけに支えられている。このような支持体の交互配置でも補強部材を金型内に配置固定してインジェクション成型することができる。
【0024】
タイヤ材料を射出して金型内空間23をタイヤ材料で充填した後、割型を外し支持体24または26を抜いたとき、図5(a)に示す場合は切り欠き13が非空気入りタイヤの片側だけに存在するが、図5(b)に示す場合は切り欠き13は非空気入りタイヤの両側に存在する。図5(b)に示す場合の方が外観的にも強度的にもバランスが取れている。ただし、図5(a)の場合も図5(b)の場合も貫通孔ではなく、片側だけに抜けた孔でその表面部が切り欠き部13となっている。
【0025】
図6は、金型内空間にタイヤ材料を射出しインジェクション成型して作製した非空気入りタイヤを示す図である。図6は、円環状に形成された非空気入りタイヤ31の断面を示す図であるが、タイヤ31の内部に補強部材32が1個埋設されている。補強部材32は非空気入りタイヤの赤道33に対して略対称な位置に配置される。対称な位置に配置することにより、非空気入りタイヤの強度をバランス良く増大させるとともに、リムをタイヤの両サイド内側から締めつける力(タガ効果による)を均等に増大させることができるので、タイヤのリム外れが起こりにくくなる。補強部材が1つのときは赤道33上またはその近傍に配置され、補強部材自体が赤道33に対して対称関係になるような位置に配置される。
【0026】
図7は、補強部材が2つ配置されている非空気入りタイヤの断面図である。補強部材42および43は非空気入りタイヤ41の赤道33に対して略対称な位置に配置される。金型内表面21Sおよび22Sから伸びる支持体44’および46’の跡は、それぞれ破線で示す空洞部44および46となる。(これらの空洞部はタイヤ周方向の一部であるから破線で示している。尚支持体の形状はこれらの空洞部とほぼ同じ形状となっている。)1つの補強部材42は金型内では支持体44’の窪み部(補強部材係止部)45’に係止め配置される。(45は補強部材係止部の跡を示す。)支持体44’の先端側は窪み部45’よりもサイズが大きくなっているので、この支持体44’を非空気入りタイヤ41から引き抜くときに多少力が必要であるが、支持体の周囲の非空気入りタイヤ41の材料は弾性体であるから伸縮するので、周囲のタイヤ材料にダメージを与えることなく支持体を引き抜くことができる。窪み部になめらかな傾斜をつければ支持体の引き抜きはさらに容易となる。
【0027】
支持体に窪み部をつけるのは、補強部材が窪み部に嵌り係止めされ、タイヤ材料の射出成型時に補強部材を動かないようにするためであるが、補強部材にテンションを利かせたり、あるいは射出成型時の射出圧力を調整したり、あるいは接着剤で固定したりすれば窪み部を形成する必要もなくなる。この場合には、支持体の引き抜き時に狭い部分(45)をなくすようにできるので、支持体の引き抜きも容易となる。また、支持体44’を引き抜いた後の切り欠き部は48となる。もう1つの補強部材43は支持体46’の窪み部47’(補強部材係止部)に係止め配置されている。(47は補強部材係止部の跡を示す。)この補強部材43および支持体46’についても補強部材42および支持体44’について上述したことと同様のことが言える。また、このときの支持体46’を引き抜いた後の切り欠き部は49となる。図7においては、支持体44’および支持体46’は接触させているが、接触させずに金型内に配置しても良く、このときはこれらの支持体の跡である空洞部44および空洞部46は貫通しない。このように支持体を用いて複数の補強部材を金型内の所定位置に係止めしインジェクション成型により、コード入り非空気入りタイヤを作製することができる。
【0028】
補強部材はコード、あるいはコードをゴムや樹脂でコーティングしたものである。補強コードとしては、有機繊維コードやスチールコードなどで構成される。有機繊維コードの種類は、特に限定されないが、たとえば、ナイロン、ポリエステル、レーヨン、アラミド繊維等である。補強コードは、単線コードでも良いしあるいは複線コードでも良い。複線コードの場合は、撚りコードや重ねたり束ねたり横に並べたコードでも良く、ゴムや樹脂等でコードをコーティングしたものでも良い。また、コードをゴムでコーティングしたものは、ゴム層を予め加硫して硬化しても良い。補強コードやゴム入りコード層等を支持体に配置し周方向に環状に形成する場合は、これらの端末部を溶接または融着等で結合したり、接着剤を用いたり、あるいは結んだりして結合することができる。
【0029】
図6において、支持体24の跡は破線34で示す部分が空洞となり、タイヤの外表面で切り欠き部37となる。また、支持体26の跡は破線36で示す部分が空洞となり、タイヤの外表面で切り欠き部38となる。支持体24および26は金型内では接触しているので、空洞部34および36はつながっているので、貫通孔となっている。支持体24および26は周方向に円環状になった金型内空間23の一部(ただし、タイヤ周方向に多数存在)であるから、支持体24および26の跡である空洞34および36も非空気入りタイヤ31の一部(ただし、タイヤ周方向に多数存在)である。また、補強部材32は補強部材係止部の跡35に配置されており、タイヤ周方向にはタイヤ31の内部に埋設され固定されている。39および40はリム嵌合溝部でここにリムフランジ凸部が嵌合する。従って、図6に示す非空気入りタイヤでは、切り欠き部37および38にはリムが被っている。同様に図7において、補強部材42および43が載置され係止めされた44’および46’のあった所は空洞となっているので、補強部材42および43の底部の一部は空洞となっている。
【0030】
次に本発明の製造方法における支持体の大きさおよび補強部材の位置について説明する。図8は非空気入りタイヤにおける補強部材の位置および支持体の長さを示す図である。非空気入りタイヤ51をインジェクション成型により作製した後で、金型を離型する前は支持体54および56が入っているが、金型を離型した後は支持体54および56の跡である略同形状の空洞57および59が形成され、また切り欠き部60および61がタイヤ51の表面(側面部)に形成される。また補強部材52は、インジェクション成型前は支持体54の補強部材係止部55に係止支持されて配置される。インジェクション成型し金型および支持体を離型した後は、支持体のあった部分において補強部材52の最内径側および側面側は空洞となっている。しかし支持体のない部分は射出されたタイヤ材料で充填されているので、補強部材52はタイヤ本体51に埋設された状態となる。
【0031】
図8に示す本発明の製造方法を用いて作製した非空気入りタイヤ51の断面高さをSHとする。断面高さSHは、非空気入りタイヤの底部から非空気入りタイヤの接地面までの距離である。タイヤの接地面は非空気入りタイヤの最外径となる部分と定義する。補強部材52がタイヤ51の内部に配置される部分(補強部材の底部)のタイヤ接地面(タイヤ最外径)からの距離をmとしたとき、m/SH(×100)は20〜95の範囲に存在することが望ましく、好適には30〜95、もっと好適には35〜90の範囲に存在することが望ましい。金型内に配置される支持体54および56、並びに補強部材係止部55に係止支持される補強部材52から見て言い換えれば、タイヤ接地面(となる金型部分)から補強部材が支持体54によって係止支持される部分(図8において、支持体54の補強部材係止部55で補強部材52を受ける部分で、補強部材の底部)までの距離は、上記の範囲内に設定されることが望ましい。補強部材がこれらの範囲内に配置されれば、タイヤ材料の強度を増加させるとともに、リムをタイヤ径方向へ締めつける力が増大する(タガ効果を高める)ので、タイヤの耐リム外れ性を向上させることができる。
【0032】
また支持体54または56のタイヤ径方向の長さをnとしたとき、n/SH(×100)は1〜40の範囲内に存在することが望ましい。タイヤが完成した状態から見れば、支持体54あるいは56の跡である空洞部57(または切り欠き部60)あるいは空洞部59(または切り欠き部61)のタイヤ径方向長さnとしたとき、n/SH(×100)は1〜40の範囲内に存在することが望ましい。1より小さいと支持体として作製が難しくかつ強度が保てない。40より大きくなるとタイヤ51内部に形成される支持体54や56の跡となる空洞部57や59が大きすぎてタイヤの強度が低下し、また切り欠き部60や61も大きくなりすぎるので好ましくない。
【0033】
図9は、本発明の製造方法を用いて作製した円環状の非空気入りタイヤを示す図である。図9(a)は、非空気入りタイヤの表面の側面部の一部を切断して補強部材を露出して示している。補強部材64を内蔵した非空気入りタイヤ63の外表面に切り欠き部65が複数形成されている。
【0034】
図13は、本発明の製造方法を用いて作製した円環状の非空気入りタイヤの側面を示す図で、切り欠き部75がタイヤ内径側(タイヤ底面側)へ露出している場合を示している。図13に示すような切り欠き部75がタイヤ内径側へ露出する場合は、たとえば、図14に示すように、金型内に存在した破線で示す支持体84および86がタイヤ本体81の底部に配置された場合である。補強部材82は、金型内においてこれらの支持体84および86により金型内で形成される窪み部85に配置され、射出成型後タイヤ本体81内に埋設される。破線で示される支持体84および86の跡である切り欠き部87および88は空洞となる。従って、補強部材82の下部(底部)の一部も空洞となり、その結果、タイヤ本体の下部(底部)91の一部も空洞となり、補強部材82が露出する。尚、図14において89および90はリム嵌合溝部であり、タイヤ本体の底部が空洞になる場合は、補強部材82はリム嵌合溝89および90よりもタイヤ底部側に存在する。
【0035】
図13において、非空気入りタイヤのタイヤ本体70の内径側において、タイヤ周方向に切り欠き部75が断続的に形成される。切り欠き部75においてタイヤ内径側の側面部およびタイヤ底部で補強部材74が露出している。補強部材の最内径の周長を100としたとき、補強部材の最内径側の露出部の長さの総和は0〜13であることが望ましい。たとえば、タイヤ周方向にy個の切り欠き部が存在し、1個の切り欠き部75において補強部材のタイヤ最内径側(タイヤ底面側)露出部の長さをw、y個の切り欠き部におけるwはすべて同じ長さとし、また補強部材の最内径をrとしたとき、好適には0≦yw/2πr(×100)≦13である。
【0036】
この値が13より大きくなると補強部材64の底部側(タイヤ内径側)の露出部分が大きくなるので、リムへのタイヤの座りが悪くなるとともに、切り欠きのない面で補強コードの張力を負担するためタイヤ本体が破断し易くなる。補強部材64を金型内に固定するには支持体の数uは相当数必要であるから、この値をできるだけ小さくする方法として、1個当たりの支持体の長さを小さくすれば良い。従って、強度が大きく細い支持体を用いることにより実現できる。あるいは、支持体の幅を金型内部にいくに従い小さくするという方法もある。この方法は、成型されたタイヤから支持体を引き抜くことも容易になるという利点もある。また、ピンポイントで補強部材を支持すれば上記の値を0に近づけることができる。あるいは支持体をインジェクション成型後に引き抜かずにタイヤ内部に残すということでこの値を0とすることができる。
【0037】
たとえば、支持体をタイヤ材料と同程度の材料(たとえば、熱可塑性エラストマーなど)で構成してインジェクション成型時にタイヤ材料と融着させることができる。ただし、支持体自体は、成型中は金型に固定しておく必要がある為、金型に固定する為の支持体の切り欠き部は、成型後も残る。あるいは、補強部材を2つの支持体で両側から挟んで金型内で係止め支持することにより、補強部材の底部には支持体はないので補強部材の底部には空洞は形成されない。この場合も上記の値は0となる。尚、軽量化のためには空洞部をある程度設けた方が良いので、軽量化を重視する場合は上記の値の範囲内で支持体の幅を適宜調整すれば良い。さらに、支持体の間隔(空洞部66の間隔)は、強度や締め付け力を均一にする上で等間隔が望ましい。また、この周方向に延在し環状につながった補強部材64の最内径の周方向長さ(周長)をsとし、この補強部材64における最内径側の露出部の長さの総和をtとしたとき、t/s(×100)が0〜13の範囲内にあれば支持体の間隔を狭くした方が補強部材の周方向形状が円形に近づくので望ましく、支持体の間隔は、0〜15度の範囲内、好適には0〜10度の範囲内が良い。
【0038】
上記のm/SH(×100)が20〜95等の範囲内にある場合において、非空気入りタイヤをリム組みしたとき、切り欠き部65はリムと接触する場合と接触しない場合がある。切り欠き部65がリム接触面にある場合は、切り欠き部65がリムに被われて外観上は見えなくなり、雨天走行中に水分が切り欠き部を通して、コードに浸透する事を防ぐ事ができる。
【0039】
本発明の支持体を設けた金型を用いて射出成型により補強部材入りの非空気入りタイヤを製造することが可能となる。インジェクション(射出)成型するタイヤ材料を加熱溶融して圧力をかけて金型内に射出し、円環状の非空気入りタイヤを作製する。射出成型するタイヤ材料として、天然ゴム、種々の合成ゴム(たとえば、スチレンーブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、ウレタンゴム)、熱硬化性エラストマー、熱可塑性エラストマー、または熱可逆架橋エラストマー、またはこれらの混合物を使用することができる。
【0040】
熱可塑性エラストマーとしては、たとえばオレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーなど種々使用できる。オレフィン系エラストマーとしては、たとえばエチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エチレン−ブテンゴム(EBM)等を使用できる。スチレン系エラストマーとしては、たとえばスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、スチレンエチレンプロピレンスチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体(SEBS、SBSの水素添加物)、スチレンエチレンエチレンプロピレンスチレンブロック共重合体(SEEPS)等を使用できる。
【0041】
熱可逆架橋エラストマー組成物は、溶融成型しながら、物性を低下させずに繰り返して使用することができる為、マテリアルリサイクルが可能である。また、熱可逆架橋エラストマー組成物は、高い柔軟性や良好な低温特性を持ち、フィラーにより補強することもでき、加硫ゴムに近い性質を持つエラストマーであり、熱可塑性樹脂のように、射出(インジェクション)成型が可能で、加硫工程が不要であるという特徴がある。さらに、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂との接着性も有するため、これらの材料の併用が可能である。
【0042】
熱可逆架橋エラストマー組成物としては、カルボニル基・ヒドロキシ基・オキシ基・エポキシ基・フェニル基など種々の官能基またはこれらの官能基か含窒素複素環を含む架橋部位、或いはこれらを側鎖として含有することができる。特に、このエラストマー組成物として、好適には水素結合を用いた熱可逆架橋エラストマー組成物であるTHCラバー(Thermoreversible Hydrogen-bond Crosslinking Rubber)を用いることができる。THCラバーは、少なくともカルボニル含有基及び含窒素複素環を有する水素結合性架橋部位を含有する側鎖もしくはその水素結合性架橋部位と共有結合性架橋部位とを併有する側鎖を有する熱可逆架橋エラストマー組成物であり、熱可逆架橋性を良好に発揮しタイヤのリサイクル性を向上させることが可能となる。
【0043】
カルボニル含有基及び含窒素複素環を有する水素結合性架橋部位は、カルボニル含有基が有するカルボニル基と、含窒素複素環が有するアミノ基とが水素結合を形成する。含窒素複素環は、架橋剤として含窒素複素環含有化合物を加えることにより配合してもよい。水素結合性架橋部位を構成するカルボニル化合物としては、例えば、カルボニル基、カルボキシル基、アミド基、エステル基、イミド基が挙げられる。
【0044】
熱可逆架橋エラストマー組成物は、マレイン酸変性オレフィン系エラストマー、含窒素複素環化合物、オレフィン系樹脂、スチレン系エラストマー、パラフィンオイルを含むものであることが好ましい。このように熱可逆架橋エラストマー組成物を構成することにより、良好な物性を持つとともに、高流動性で成型性が良好になる。上記した含窒素複素環化合物は、好適には含窒素複素環多官能アルコールであり、オレフィン系樹脂は好適にはポリプロピレンであり、スチレン系エラストマーは好適には水添スチレン・イソプレン・ブタジエンブロック共重合体であることが好ましい。
【0045】
熱可逆架橋エラストマー組成物は上記の種々の材料を混合して用いることもできる。たとえば、マレイン酸変性オレフィン系エラストマー100重量部に対し、含窒素複素環化合物を0.1〜3重量部、オレフィン系樹脂を50〜150重量部、スチレン系エラストマーを20〜80重量部、パラフィンオイルを50〜150重量部配合するのがよい。熱可逆架橋エラストマー組成物をタイヤに使用すると、環状に成型することが簡単であり、また、熱を加えることで架橋が外れるため、タイヤの成型性に加え、マテリアルリサイクルも容易になるので好ましい。
【0046】
本発明は、補強部材を支持する支持体を金型機構に組み込むことにより、インジェクション成型方法を用いて補強材を含み一体成型することができる非空気入りタイヤの製造方法である。これにより安全性および信頼性の高いコード入り非空気入りタイヤを実現可能となる。
【0047】
尚、明細書のある部分に記載し説明した内容を記載しなかった他の部分においても矛盾なく適用できることに関しては、当該他の部分に当該内容を適用できることは言うまでもない。さらに、上記実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施でき、本発明の権利範囲が上記実施形態に限定されないことも言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の非空気式タイヤは、軽荷重下での低速走行などが通常である自転車用、車椅子用、ゴルフカート用、リヤカー用など、各種の軽車両用の非空気式タイヤとしても使用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1・・・非空気式タイヤ本体、2・・・溝部、4・・・ホイール、
6・・・中空孔、7・・・締付材、8・・・締付材通し孔、
11・・・非空気入りタイヤ、12・・・補強部材、
13・・・切り欠き部、14・・・リム嵌合溝、
20・・・金型、21・・・割型、22・・・割型、
23・・・金型内空間、24・・・支持体、25・・・補強部材係止部、
26・・・支持体、27・・・補強部材、29・・・非空気入りタイヤ、
31・・・非空気入りタイヤ、32・・・補強部材、
33・・・非空気入りタイヤの赤道、34・・・空洞部、35・・・補強部材係止部の跡、
36・・・空洞部、37・・・切り欠き部、38・・・切り欠き部、
39・・・リム嵌合溝部、40・・・リム嵌合溝部、
41・・・非空気入りタイヤ、42・・・補強部材、43・・・補強部材、
44・・・空洞部、45・・・補強部材係止部の跡、46・・・空洞部、
47・・・補強部材係止部の跡、48・・・切り欠き部、49・・・切り欠き部、
51・・・非空気入りタイヤ、52・・・補強部材、54・・・支持体、
55・・・補強部材係止部、56・・・支持体、57・・・空洞部、58・・・開口部、
59・・・空洞部、60・・・切り欠き部、61・・・切り欠き部、
63・・・非空気入りタイヤ、64・・・補強部材、65・・・切り欠き部、
66・・・空洞部、72・・・空洞部、73・・・リム嵌合溝、
74・・・補強部材、75・・・切り欠き部、
81・・・タイヤ本体、82・・・補強部材、83・・・非空気入りタイヤの赤道、
84・・・支持体、85・・・窪み部、86・・・支持体、
87・・・切り欠き部、88・・・切り欠き部、
89・・・リム嵌合溝部、90・・・リム嵌合溝部、
110・・・非空気入りタイヤ、111・・・タイヤ本体部、
112・・・補強コード、113・・・切り込み、201・・・非空気入りタイヤ、
202・・・タイヤ本体部、203・・・リム嵌合溝、204・・・トレッド溝、
205・・・リム、206・・・リムフランジ凸部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ周方向に延在する補強部材を内部に含む非空気入りタイヤの製造方法において、
タイヤ周方向に延在する補強部材を型内表面から型内部に伸びる支持体によって型内部に係止した状態でタイヤ材料を射出してインジェクション成型したことを特徴とする非空気入りタイヤの製造方法。
【請求項2】
タイヤ断面高さを100として、タイヤ外径からタイヤ半径方向に20〜95の範囲に前記補強部材の係止支持を設定した事を特徴とする、請求項1に記載の非空気入りタイヤの製造方法。
【請求項3】
タイヤ断面高さを100として、前記支持体のタイヤ径方向の長さが1〜40の範囲にある事を特徴とする、請求項1または2に記載の非空気入りタイヤの製造方法。
【請求項4】
前記補強部材の最内径の周長を100として、前記補強部材の最内径側の露出部の長さは0〜13である事を特徴とする、請求項1〜3のいずれかの項に記載の非空気入りタイヤの製造方法。
【請求項5】
前記支持体により接地面以外のタイヤ外表面に切り欠き部が形成される事を特徴とする、請求項1〜4のいずれかの項に記載の非空気入りタイヤの製造方法。
【請求項6】
前記射出したタイヤ材料は、熱可塑性エラストマー組成物、または熱可逆架橋エラストマー、またはこれらの混合物で構成されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかの項に記載の非空気入りタイヤの製造方法。
【請求項7】
前記熱可逆架橋エラストマーは、マレイン酸変性オレフィン系エラストマー、含窒素複素環化合物、オレフィン系樹脂、スチレン系エラストマー、パラフィンオイルを含むことを特徴とする、請求項6に記載の非空気入りタイヤの製造方法。
【請求項8】
前記含窒素複素環化合物は含窒素複素環多官能アルコールであり、前記オレフィン系樹脂はポリプロピレンであり、前記スチレン系エラストマーは水添スチレン・イソプレン・ブタジエンブロック共重合体であることを特徴とする、請求項7に記載の非空気入りタイヤの製造方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかの項に記載の製造方法を用いて作製した非空気入りタイヤ。
【請求項10】
軽車両用であることを特徴とする、請求項9に記載の非空気入りタイヤ。
【請求項1】
タイヤ周方向に延在する補強部材を内部に含む非空気入りタイヤの製造方法において、
タイヤ周方向に延在する補強部材を型内表面から型内部に伸びる支持体によって型内部に係止した状態でタイヤ材料を射出してインジェクション成型したことを特徴とする非空気入りタイヤの製造方法。
【請求項2】
タイヤ断面高さを100として、タイヤ外径からタイヤ半径方向に20〜95の範囲に前記補強部材の係止支持を設定した事を特徴とする、請求項1に記載の非空気入りタイヤの製造方法。
【請求項3】
タイヤ断面高さを100として、前記支持体のタイヤ径方向の長さが1〜40の範囲にある事を特徴とする、請求項1または2に記載の非空気入りタイヤの製造方法。
【請求項4】
前記補強部材の最内径の周長を100として、前記補強部材の最内径側の露出部の長さは0〜13である事を特徴とする、請求項1〜3のいずれかの項に記載の非空気入りタイヤの製造方法。
【請求項5】
前記支持体により接地面以外のタイヤ外表面に切り欠き部が形成される事を特徴とする、請求項1〜4のいずれかの項に記載の非空気入りタイヤの製造方法。
【請求項6】
前記射出したタイヤ材料は、熱可塑性エラストマー組成物、または熱可逆架橋エラストマー、またはこれらの混合物で構成されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかの項に記載の非空気入りタイヤの製造方法。
【請求項7】
前記熱可逆架橋エラストマーは、マレイン酸変性オレフィン系エラストマー、含窒素複素環化合物、オレフィン系樹脂、スチレン系エラストマー、パラフィンオイルを含むことを特徴とする、請求項6に記載の非空気入りタイヤの製造方法。
【請求項8】
前記含窒素複素環化合物は含窒素複素環多官能アルコールであり、前記オレフィン系樹脂はポリプロピレンであり、前記スチレン系エラストマーは水添スチレン・イソプレン・ブタジエンブロック共重合体であることを特徴とする、請求項7に記載の非空気入りタイヤの製造方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかの項に記載の製造方法を用いて作製した非空気入りタイヤ。
【請求項10】
軽車両用であることを特徴とする、請求項9に記載の非空気入りタイヤ。
【図10】
【図12】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図13】
【図14】
【図12】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−86274(P2013−86274A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225866(P2011−225866)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】
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