説明

非触媒作用又は均一系触媒作用反応のための管束反応器

本発明は、平形供給フードを有する管束反応器に関する。選択的に、排出フードも平形デザインを有していることができる。この平形デザインは、管束内のみならず、起こるタイプの反応(非触媒作用反応及び均一に分配された触媒を用いる反応)の場合に、フード内に生じる反応熱を減少させる。これにより、蓄積された熱に基づき既にフード中で起こる不所望の反応は著しく抑圧され、これによって、温度敏感な反応の場合の高い選択率が達成される。更に、フード内の温度分布を精密にコントロールすることができる。この管束反応器は、管束反応器の供給フードと結合している供給端部を有する管束を包含しており、この際、平形デザインを有するこの供給フードは、供給端部に横断面積を有し、内部容積を有して構成されており、内部容積と横断面積との比は0.35mより小さい。更にこの発明は、出発物混合物を管束中に導入し、出発物混合物の少なくとも一部を、この管束内で生成物まで変換させることからなる、管束反応器の作動法を用いて実現される。この導入は、出発混合物を管束反応器の供給フードの内部空間中に供給し、かつ、出発物混合物を管束の供給端部中に液体流の形で更に導通させることからなる。この液体流は、供給端部中への進入の際に横断面積を有し、その中を液体流が流れる供給フードの内部空間は、内部容積を有し、この際、内部容積と横断面積との比は、0.35mより小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応混合物の出発物質を生成物まで連続的に化学変換するための反応器の分野、殊に管束反応器並びにその作動法に関する。このような反応器は、本質的に気相及び/又は液相として存在する流動性物質混合物を連続的に変換するために使用されている。この反応条件は、出発物質の供給及び管束反応器から出る変換された混合物の返還によって制御される。更に、この反応条件は、作動パラメータ、例えば化学的変換法に直接影響する反応器内の温度、圧力及び流動速度によって制御される。一般に管束反応器中では、触媒の位置上に、即ちその管上に反応を制限するために、触媒も管束の管内で使用される。
【0002】
管束反応器が、物質混合物内の化学反応の連続的実施のために、触媒を用いて又は用いずに、殊に生産規模で、多くの出発物質及び生成物のために使用されている。
【0003】
背景技術
管束反応器は、大抵、いわゆる「シェル−アンド−チューブ(shell-and-tube)」デザインで製造され、この際、このデザインは管束熱交換器に類似している。例えば、Walas, Stanley M., Butterworth-Heineman, Series in Chemical Engineering, Butterworth-Heineman, USA,の"Chemical Process Equipment"中の569頁に、熱交換器ともみなされる群の管束反応器が記載されている。熱交換器中では単に一次循環系からの熱が二次循環系に又は逆に移行される間に、ここで、付加的に管束反応器中で1反応が起こり、この際、反応熱は流体技術的には分離されているが、熱に関しては結合されている媒体循環によって排出されるか又は供給される。この場合に管束中で反応が起こり、この際、熱交換媒体が管束を包囲しているシェル中を流れ、循環されて媒体循環を形成する。この熱交換媒体は、管束との接触により管内の空間から熱を排除するか、又はこの接触により熱を供給する。
【0004】
屡々、管束反応器が、不均一系触媒反応のための固定床反応器として使用されている。不均一系触媒反応では、出発物質流体の化学反応又は反応混合物の変換が、出発物質と異なる凝縮状態を有し、この場合に固体として構成されている触媒に接して起こる。この固体及び触媒を構成するものから形成される表面積は、固定床反応器の場合に管束反応器内で、これに固定され、これは管束の管内に保持されている固体として、又は触媒が管束の管内に固定されているような他の方法で存在するので、出発物質流は、触媒と接触せずに、その側を流過することができる。不均一系触媒作用反応(ここでは管束反応器が固定床反応器として使用される)の例としては、ベンゼンを無水マレイン酸にする酸化、クロトンアルデヒドを1−ブタノールにする水素化、エチレン、酢酸及び酸素からの酢酸ビニルの合成及びエチレン及び塩素からの塩化ビニルの合成が挙げられる。これらの及び他の例は、例えば"Perry's Chemical Engineers Handbook",7.Aufgabe,1997, 23−38頁に存在する。全ての場合に、これらは、低い圧力で実施される方法である。高い圧力を用いる方法としては、約39バールで行われる、クロトンアルデヒドからブタノールにする水素化が挙げられる(例えば"Applied Industrial Catalysis ",Vol.1, Academic Press, 1983, 51頁参照)。塩化ビニル合成は、例えば単に4〜6atmで実施されている(例えば"Applied Industrial Catalysis",Vol.1, Academic Press, 1983, 251〜252及び264頁参照)。
【0005】
公開公報並びに文献中から、管束反応器の種々の構成変形が知られている。例えば、DE 20219277 U1、DE 20219278 U1及びDE 20219279 U1は、固定床反応器として使用される管束反応器の詳細な構成を記載している。これらの文献は、管束反応器内の熱管理に関し、この際、一方で、反応器中の冷却媒体を外から管束の端部の高さで、反応器の出口側に設置されている冷却コイル(Kuehl-schlaufen)を用いて冷却するか又は外部バイパスを用いる新鮮冷却媒体の導入により温度管理に影響することが提案されている。他方で、管束内部の温度及び殊に反応器の管束の所の温度を調節するために、反応器外壁に管束の高さで冷却コイルと結合している熱交換器が開示されている。しかしながら、そこに記載の全ての実施形では、管束反応器が使用されており、そこでは、管束が円柱(Kreiszylinder)としてデザインされており、大容量の接続フードがこの管束の接続に作用している。
【0006】
更にUS 4221763中には、管束を広範囲に包囲する円筒形の中間ジャケットセクションを有し、供給又は排出の作用をする密閉フランジ結合されたフードを有する管束反応器が記載されている。この場合には、供給フード中に、管束の管と結合している1群の管が取り付けられている。この供給フードの容積は、出発物質の混合及び変換のために使用される。冷却のために、冷却流体がこの管束反応器の周りを流れる。そこに記載されている反応器構成は、いくつかの欠点を有する。この構成は複雑であり、結果的に経費がかかる。外部シェルのみが耐圧性であり、この際に反応管の壁は薄く、冷却媒体の対抗圧によってのみ保持されていることによる故障の危険性が存在する。冷却媒体の圧力が低下すると、これが反応管の破裂を引き起こし、この際、このことが反応側の圧力降下にも当て嵌まる。このような故障の際の冷却媒体(高い圧力)と反応混合物(低い圧力)との間に存在する圧力差は、反応管の構造的完璧性を容易に破壊することがありうる。
【0007】
文献DE 1601162中には、反応の実施のために調整されている管束熱交換器が記載されている。この熱交換器は、触媒で充填されている管を包含するので、反応が管束中のみで起こる。この管束内で、管の間の冷却剤流を個々に減ずるために、管の間にバッフル(Leitbleche)が使用されている。詳細に説明されていないフード内では反応が起こっていない、それというのも、この中には触媒が存在しないからである。
【0008】
EP 1080780A1は、同様に、その管が固定配置された触媒床を備えている管束を有する反応器を示している。従って、気相での出発物質の反応の反応熱が、もっぱら、良好な冷却のためにリング状断面を有する管束中に生じている。この管束の内部は、熱排除を改良し、ホットスポットを避けるために、空いたままである。この手段は、管束に関しているだけである。このフード中ではそこには触媒が存在しないので、本質的に反応は起こらない。
【0009】
EP 1080781 A1は、同様に触媒作用気相酸化反応に作用する、類似の反応器を開示しており、ここでは、冷却液が、本質的に触媒床管束の所で生じる熱のみを有効に除去するために好適であるように混合されている。ここでも、本質的に、反応器フード内の管束の外で反応は起こらない。
【0010】
特定の化学反応のために、管束反応器は、一連の利点を提供する。一つは、管束反応器中の流れが、極め僅かな逆混合(Rueckvermishung)を伴う理想的プラグ形(idealen Pfropfenform)に非常に近づくことである。従って管束反応器は、続発反応が起こりうる反応のために特に好適である。殊に、生じる目標生成物が迅速に後続生成物まで変換する場合には、管束反応器を用いて高い選択率を達成できる。このことは、高い変換率にも当て嵌まる。更に管束反応器は、装置経費及び測定及び調整に関する経費が、例えば比較可能な撹拌釜カスケードの場合よりも明らかに低い利点をも提供する。
【0011】
更に管束反応器は、管外側の大きい全面積によって大きい熱交換表面積を提供する。従って、強い発熱又は吸熱反応の場合の反応熱を良好にコントロールすることもできる。殊に狭い温度範囲を保持することができ、反応器内又は管束内の温度勾配を、良好にコントロール又は抑制することができる。
【0012】
所定の生産能力の場合の更なる利点は、単一の反応管から成る反応器に比べて、管束反応器中での明らかに低い圧力降下である。従って、この反応混合物を反応器の中を搬送するために適用されるべき電力も、管束反応器の使用の場合に明らかに減少される。
【0013】
技術水準によれば、管束反応器、殊に不均一系触媒作用反応のための管束反応器は、大容積の入口フード及び出口フードを有して設計されている。これらは例えば、類似の大容積の形を有する半球体として又は回転楕円体として、例えば半球体としてデザインされている。その理由は、大容積の入口フードは、進入出発物質流の動的圧力を低下させ、管束の全ての反応管への均一な流れをもたらすことにある。従って、入口フード内の容積は、反応混合物が進入の後に膨張し、その結果として、出発物質流の大容積案内により、反応管の全ての入口端部の進入速度及び圧力をほぼ同じにする作用する。殊に技術水準における入口フードは、特にフード内の大容積上の幅広い拡がりによってのみ、管束の入口端部での反応流の断面積の均一な圧力分布が生じるように構成されている。この大容積によって、方向付けられた進入流が管束の中央のみに向き、縁部に存在する反応管が明らかに低い圧力で又は出発物質流の明らかに低い流れで処理されることが避けられる。
【0014】
この1例はDE 20219277U1中の構成であり、ここでは、その図1からフード内、殊に入口フード内の流れの矢印から、フードの内部空間の容積又は形状が、流動状態の均一化のために作用していることが直接認識できる。しかしながら、そこに記載の反応器は固定床反応器として設計されているので、反応は本質的に管束内で起こっており;結果として、反応経過のコントロールは、この管束反応器の容積を制限するが、このフードの構成では、そこで起こる反応及びそれに伴い生じる温度変化を考慮する必要はない。この処置法は、DE 20219279U1からも知ることができ、ここでは、温度コントロール用の付加的なリング通路を有する管束の入口セクションと出口セクションも使用されているが、これは管束に付いているその配置に基づき、入口フード内、即ち管束の外の温度コントロールのためには使用されず、入口フード内の温度コントロールのためにも好適ではない。
【0015】
しかしながら反応が管束上のみに限定されない場合、例えば非触媒作用で進行する反応の場合、又は触媒が均一に反応混合物中に溶けているか又はこれと懸濁液を形成する場合に、反応が本質的に管束内で進行する不均一系触媒作用反応のために設計されている反応器が使用される場合には、入口フード内の反応の進行のために、この反応経過の不満足なコントロール可能性のみを生じるだけである。しかしながら入口フード内の大容積に基づき、反応が管束上のみに限られない場合には、反応は、既に入口フード内で、コントロールされずに進行することがありうる。このことは、例えば強い発熱反応の場合には、著しい温度上昇をもたらして、不所望の化学反応、例えば重合の結果として、有価の生成物の損失が起こる。加えて、殊に入口フード内の発熱反応によって、そこで温度が上昇して、この反応はコントロール不能になり、暴走することがあり得る。極端な場合には、このことは反応器の破壊さえをもたらすことがありうる。
【0016】
EP 1882518 A2は、管束反応器の温度を変更する方法を記載しており、この方法で、熱媒体が充分に巡回されない場合には、温度調節ガスが管束の側を流れ、この際、始動時又は出発時に、温度調節ガスが流量に関して好適にスロットル調節される。しかしながらこのことは、管束反応器の入口フード内又は出口フード内に存在する混合物の加熱又は冷却に該当しない。
【0017】
同様に、所望の反応の出発物質及び/又は生成物が温度敏感である場合には、不均一系触媒作用反応のために設計されている管束反応器は不適当である。大容積の入口フード及び出口フード中の比較的高い滞留時間によって、実質的な有価生成物損失及び低い選択率が表れることがありうる。
【0018】
通常の大容積の入口フードの更なる欠点は、反応混合物ポンプのエネルギー供給の不足の場合に、入口フード内で(又は出口フード内でも)、コントロール不能な反応が起こることがありうることである。エネルギー供給が不足すると、出発物質及び生成物の供給及び排出がもはや行われず、反応混合物のかなりの量がフード内に残存し、これは、フードの容積に対する小さい表面積に基づき、温度に関して僅かに影響されうるだけである。
【0019】
更に、公知反応器のフードの形は、フードの剪断応力(Querkraft)を最小化して、低い板厚の場合でも充分な耐圧性に達することを目標としている静力学及び強度によって決定されている。
【0020】
要約すると、管束反応器中における大容積の入口フード及び出口フードは、進入混合物を減圧し、管束の管上に一様に分配して、管束の入口端部の進入圧又は進入速度を均一にするために使用されている。従来の技術水準からは、大容積のフードを用いる供給流を平坦化する以外の、均一な供給のための二者択一的メカニズムは決して公知ではない。同じことが、縁部に配置されている管中に停滞(Ruckstau)を生じさせず、管束から出る混合物を実施的な渦巻きを生じることなしに大容積を経て出口流まで集束するために、同様に大容積を有して構成されている出口フードにも当て嵌まる。フード内のこの大容積によって、そこでは、殊に非触媒作用反応又は均一系触媒作用の場合のフード内の高い温度勾配をもたらす多量の反応混合物が導通され、これにより不所望な反応の増加が現れる。一方で、このことは、連続的操作の場合には、低い選択性(これはフードの容積内の低いコントロール可能性を伴う)をもたらし、不完全な運転(この場合には、反応混合物は不充分に移送されるだけである)の場合には、臨界の温度状態及び圧力状態をもたらし、これらの状態は、極端な場合には反応混合物の制御不能な漏出をもたらすことがありうる。
【0021】
従って本発明の課題は、それを用いて非触媒作用反応及び均一系触媒作用反応をも高い選択率で実施することのできる、管束反応器又は管束反応器の作動法を提供することである。これに伴うもう一つの課題は、フード内でも、例えば温度敏感な出発物質の変換時に及び/又は温度敏感な反応生成物を伴う反応のために正確な温度調節が可能である管束反応器及び管束反応器の作動法を提供することである。本発明による管束反応器及び本発明による方法は、殊に非触媒作用反応のため並びに触媒が場所的に管束上に限定されない反応、即ち反応混合物中に均一に溶解された触媒を用いる反応及び反応混合物中に懸濁された触媒を用いる反応、即ち、粒子状の触媒としてのラネーニッケルを用いる水素化の場合のような不均一に分配された触媒を用いる反応のために好適である。更に本発明による管束反応器及び本発明による方法は、固定床触媒を用いる反応のためにも好適である。
【0022】
発明の詳細な説明
本発明の根底にある構想は、そこを通って反応混合物が管束反応器の管束に供給される入口フードに、小さい内容積を備えることである。これによって、フード内の混合物の温度を良好にコントロールすることができ、この際に、技術水準による反応器と比べて、管束内の質量に対するフード内に小さい質量の反応混合物が存在する。これによって、反応器の異なる位置(即ちフード及び管束)の温度を、本質的に相互に適合させることができ、これにより、フード内の流動状態及び熱伝導メカニズムが管束内のそれと異なっている場合でも、全反応器中で本質的に均一な反応条件を存在させることができる。殊に、フード内の温度は、本発明による構成の外部給熱又は排熱によって正確にコントロールすることができ、かつフードの本発明による構成によって、フード内部の反応条件の不均一性を避けることもできる。平形デザインは、(フード容積に対する)高められた熱伝導によって、フード内のホットスポットの抑制を可能として、熱的に不安定な生成物も高い選択率で得ることができる。それというのも、フード内の温度分布は本質的に均一であるからである。この/これらの全フード内の反応条件は、本質的に管束内の反応条件に一致し、その結果として、選択率は、フード内の(管束のそれに比べた)温度偏差によって損なわれない。フード内のほぼ全ての反応混合物は、管束内の混合物と同じ温度を有する。フード内のこの混合物の無視可能な分のみの管束内の温度とは(僅かにのみでも)異なっている温度を有するか又は混合物のどの分もこのような温度を有しない。殊にフード内の反応条件は、管束内の反応条件に容易に適合させることができる。それというのもフード内には、管束内の質量に対して、かつ処理能力(Durchsatzrate)に対して僅かのみの反応混合物が存在するからである。
【0023】
比較的小さい容積とは、反応器の大きさに対する本発明によるフードの容積であり、これは、反応器の大きさに対する技術水準によるフードの容積よりも小さい。この関係において、反応器の大きさは、(i)管束の断面積と同等に、(ii)管束を形成する管の内部容積と同等に、(iii)管束を全体として包含する容積と同等に、(iv)管束を内包するシェルの容積と同等に、又は(v)調節された作動時の管束反応器の処理量と同等にすることができる。更に、フード容積の基準点として又は規格化のために作用するために、他の形状又は方法技術的反応器寸法を使用することができる。ここで、技術水準によるフードとしては、明細書冒頭に記載のフード形、即ち半球形フード、鐘形フード又は回転楕円体の形にされている慣用のフード及び技術水準による管束反応器の部材が考えられる。
【0024】
供給フードの本発明による小さい容積は、その横断面のプロフィルが、そこから混合物が供給されるカバーの横断面が反応器の管束セクションへのフードの接続端の横断面とは著しく異なっていて、同時にこの横断面が、カバーと接続端部と間の短い距離上で接続端に向かって明らかに拡大されていることで、術水準の慣用の半球形、慣用の回転楕円形及び他の鐘形フードとは異なっている供給フードの平形デザインを同じ意味である。言い換えると、フードカバーから反応器の管束セクションへの接続端部までの開放プロフィルは、管束までの縦軸に沿った断面積増加(これは慣用の半球形又は回転楕円形フードの場合の増加よりも明らかに大きい)と結びついている。この接続端部は、管束に向き合っているか又はこれに接合している、即ち管束の供給端部又は排出端部に接合しているフードの端部である。
【0025】
管束反応器の本発明の構成における断面積の高い増加は、自動的にフードの表面積とフードの内部容積との比(これは、慣用のフード構成の場合よりも明らかに大きい)と結びついており、これによって、フードの小さい内部容積内での冷却されるべき(又は一般に温度調節されるべき)物質に比べて、より良好な排熱(又は給熱)が得られる。ここで、給熱及び排熱は、殊に熱伝導(例えば環境空気又は冷却液体のような媒体への)により又は自然の対流によって得られる。しかしながら、特に、外部からの混合物流を管束に供給するために必要である断面積拡大は、管束反応器内又は管束内の全量に対する管束の外(即ち供給フード内)の反応混合物の比較的低い量割合と結びついている。この小さい容積及びそれに伴う供給フード内、即ち管束外の少ない量の反応混合物によって、反応条件は均一であると予期されうるので、このフード内の反応条件は管束の反応条件と適合させることができ、これに伴いフード内及び管束内の温度(及び圧力)は本質的に同じである。本発明によるフードの小さい容積と並んで、この平形のそれも、フード容積に対する大きい表面積によって達成される。この大きい表面積(容積に対する)に基づき、この容積内で生じた反応熱は、大きい表面積を経て(即ち、殊にこのフードに接続している管束の管板を経て、かつフードの外向き側を経て)有効に排除されうる。この平形で小容積のデザインによって、フード内のホットスポットの形成はさけられる。それというのも、このフードの任意の場所から、熱は良好に、即ち高い熱伝導率で排除できるからである。従って、均一に分配された触媒を用いる反応の場合及び触媒なしで又は管束外でも進行する反応の場合に、フード内でも安定な条件を達成することができるか又はフード内の条件を管束内の条件と適合させることもできる。殊に、臨界の反応状態の場合で、例えば自己促進性反応の場合には、又は反応混合物流過が妨害される場合には、供給フード内、即ち管束外の少量の反応混合物は、特にこの少量及びフードの良好な放射冷却(これは技術水準のフードに比べてこのフードの大きい表面積/内部容積比によって生じる)に基づき、良好にコントロールすることができる。フードを経るこの排熱に、フードから離れた側上での管束の冷却媒体で冷却される管板を経る強力な排熱が加わる。従って、フード内での反応混合物の冷却は、両側から、即ち管板から並びに対向フードカバーからも行われる。通常、管板による冷却効果は明らかにフードカバーでの冷却効果よりも強力であるが、殊に温度敏感な生成物の場合には、どの位置でも(フードカバーに接していなくても)、温度は限界値(Soll)から著しく逸れていないことが重要である。
【0026】
従って、供給フードの本発明による平形デザインは、供給フードのカバー、即ち管束端に対座しているフードの内表面と管束反応器の管束セクションへの接続位置との間の距離に対する断面積増加によって定義することができる。この場合に、横断面積増加の把握のために、それを通って液体流がフードに供給される断面積(複数の進入口又は進入位置:全断面積)が、それを通って供給フードの管束に向き合っている端部を通って流れる液体流の断面積と関連付けられる。殊にこの横断面積増加を把握するために、管束に付いている供給フードの断面積と供給フードに対座している端部のところの全ての進入口の合計断面積とを関連付けることができる。この断面積増加は、フードの高さをベースとしている。このフード高さは、フードの両端部の間の、即ち管束に向き合っている端部と対座している端部との間の距離である。本発明によれば、フードの断面積は、管束反応器の縦軸に沿った短い距離内でのフード初端からフード終端(これは管束の供給端に付いている)まで拡大している。このことは、公知の半球形又は回転楕円形による技術水準における断面積増加とは異なっている。断面積増加の尺度として、この断面積の増加を1ミリメートル当たりの百分率で記載することができる。慣用の半球又は球形セグメントを有する公知反応器の典型的な値は、0.1〜0.3%/mmの断面積増加を有し、これに反して、本発明による供給フードの構成では、少なくとも1%/mm、少なくとも2%/mm、少なくとも3%/mm、少なくとも4%/mm、少なくとも5%/mm、少なくとも6%/mm、少なくとも7%/mm、少なくとも8%/mm、少なくとも10%/mm、少なくとも12%/mm、少なくとも15%/mm、少なくとも20%/mm又は類似の典型的な値を有する。ここで、回転楕円体又は半球体の形を有するフードにとって、平形セクションが、直接、球の表面又は回転楕円体の先端で円ではなく点を形成することを考察する場合に、理想的な形は基礎とならないことに注目すべきである。この理想的な数学的な形の代わりに、ここでは、フードカバーのところに供給/排出開口部が存在している実体形が出発点と考えられる。この開口の位置は、断面積増加の把握のための基準点(Bezugs-punkt)として利用される。従って、この断面積増加は、供給されかつ流入する反応混合物から提供される流れの断面積の拡大と関連している。流動反応混合物により占められる断面積の増加が断面積増加とみなされる。この流れは供給フードの内面に沿って導かれるので、そのプロフィルは断面積増加にとって決定的である。本発明によるフードの形及び管束反応器の管束までの縦軸に沿った断面積増加によるその定義は、更に図面の記載によって詳細に説明される。この断面積増加は、差違のある大きさではなく、進入口の横断面積/この横断面積を有するフードの全進入口(管束反応器の供給端のフードが有している)の比較によって評価される。従って、この断面積増加は、フードの全高さに関連し、即ち供給端部からこの供給端部に対座しているフードの内面までの距離に関連している。複数の供給流の場合には、この高さの尺度として、すべての供給部の平均の高さ又は全ての最大高さを使用することができる。
【0027】
本発明のもう一つの態様によれば、この平形デザインは、フードの内部容積と管束までの移行部の断面積とを関連させることにより表現される特徴を有する。この内部容積はフード内の反応混合物の質量を特徴付ける(この場合に、フード内のこの反応混合物のこの質量は、不充分なコントロール手段に基づき、反応経過及び殊に選択率にとって重要である)が、この管束の供給端部の、即ち管束までのフードの移行部のフードの断面積は、この内部容積及びそれに伴うフードが平形に構成されていようとも、又は管束の断面積に対する反応混合物の当該量がフード内の反応経過を明らかに変えることができようとも、品質評価のための重要な基準パラメータである。言い換えると、本発明によれば、この内部容積は比較的小さく、付属の横断面積は比較的大きいので、通常の又は低い流速の際にも、内部容積中の反応混合物の全量(絶対的に見て)は、そこの温度−及び圧力状態に適合されることができるように、迅速にこの横断面を通って管束中に入ることができることが望ましい。従って、混合物が管束中に進入する前のフード内の混合物の滞留時間は短く、その結果、この混合物がフード内に留まる限界時間(kritische Zeitraum)は明らかに短縮される。フード内の混合物の滞留時間は、管束内の混合物の滞留よりも厳格である。それというのも、管束内の温度は有意義に良好にコントロールできるからである。
【0028】
技術水準による、管束反応器のフード、殊に供給フードの典型的なデザインは、張り出した形に基づき、内部容積の横断面積に対する比0.6m〜0.8mを有する。即ち、管束の入口(又は出口)、即ち管板の横断面積1平方メートル当たり反応混合物0.6m〜0.8mが管束の上流に装入されるか、又は管束の下流の排出フード中に供給され、従って、管束冷却により意図される温度調節の外に存在する。言い換えると、慣用の供給フードの場合には、このプロセス条件を、管束内でコントロールされるようにはコントロールすることができずに、管束内への入口面積1平方メートル当たり、反応混合物0.6m〜0.8mが、供給フード中への供給部と管束中への実際の入口との間に中間的に供給されなければならない。殊に、反応混合物の輸送系の突然の破損の場合には、かなりの量の反応混合物がコントロール可能な管束の外に存在することが明らかである。従って、本発明によれば、≦0.5m、≦0.4m、≦0.35m、≦0.3m、≦0.25m、≦0.2m、≦0.15m、≦0.1m、≦0.08m、≦0.05mの内部容積の横断面積に対する比が提供される。これによって、供給フード内並びに場合による管束の排出端に接続されている排出フード内で、管束の横断面積により決定される管束の収容能力に対して、反応混合物の僅かな容積又は僅かな質量がこの管束反応器中の管束の外に存在する効果が達成される。
【0029】
本発明のもう一つの態様によれば、この供給フード(又は排出フードも)の平形デザインは、フードの二つの対置している端部の間の最大距離(即ち、フードカバーと管板との間のフード高さ)と管束までの移行部の断面積との好適な比によって達成することができる。この内部容積の最大内部高さが最大距離と称され、ここでは、供給フードの内面と管束の供給端部(即ち管束の当初部)との間の距離が測定される。この最大距離は、フードの多くの好適な形でのフード高さ、即ち管束に結合しているフードの端部に対するフードカバーの高さと称することもできる。更に、管束の供給端部に関連しないこの最大距離は、この供給フードの内面と供給フードに終端する面との間の最大距離と考えることができる。同様に、これにより、排出フードのデザインが定義され、この場合に、供給端部の位置に管束の排出端部が存在する。従って、この最大距離は、管束反応器の中央、即ち管束に対するフード又はフード内部容積の全体的に凸形の場合のフードの最大内部高さを意味している。フードが全体的に凸に曲げられておらず、一般に管束の1平面内に終端する形で存在する(この際、その間に存在するフードのプロフィル(Verlauf)は、個々に均一である)他の1態様によれば、この最大距離は、供給フードの終端部までの最大距離を有する位置の距離として生じる。例えば1つのデザインは、個々に又は完全に平らな底部を有するフードを有し、この際、この底部は、フードの終端面に対して平行に構成されている。このデザインは、例えば円筒形デザインを有し、ここで、底部は完全に1平面内に拡がっており、かつ、管束の縦軸に対して平行に伸びている側壁を介して、管束と又は管束を包囲している反応器壁と結合している。この場合に、最大距離は、管束の底部と端部との間又はフードの底部と終端面との間の距離に相当する。フードのこの終端面は、その中に管束の端部が存在する平面内に存在することができるか又は、これに対して管束の縦軸に沿ってずれていることができ、例えば管束の端部は、排出フードまでフードの終端面に対してずれていることができる。このずれによって生じる空間中に、フードの終端面から出る液体流を管束に供給するための導管又は間隙又は穿孔板を備えていることができる。フード又はフード内部を供給端部又は排出端部に有している平面は、前記のように、横断面積と記載されうる。更に、フードの終端中のフードの断面の面積は、横断面積とみなすことができる。殊に、管束の1端の高さに反応器壁を有する平面は横断面積とみなすことができる。横断面積の前者定義は、後者定義と自由に交換可能である。本発明によれば、フードの本発明によるデザインは、このように定義された最大距離、即ちフード高さのこのように定義された横断面積に対する比が、≦0.15m-1、≦0.1m-1、≦0.075m-1、≦0.06m-1、≦0.05m-1、≦0.04m-1、≦0.03m-1、≦0.025m-1、≦0.02m-1又は≦0.01m-1であることによって達成される。フードの最大距離は明らかにフードの幾何学的形によって内部容積と結びついているので、横断面積と関連しているこの最大距離は、フードの平形デザインの好適な尺度をも提供する。平形デザインは、多量の反応混合物がこの反応器内にも、管束外にも存在することを阻止する。既に認められているように、フード内に存在するこの量は、管束内の混合物と同様にはコントロールできないので、このフードが充分な量の反応混合物を包含する場合には、このフード内での多くの反応及び作動パラメータで、管束中におけるとは異なる温度挙動を展開する。既に認められているように、この平形デザインの定義によって、管束の上流又は下流の反応混合物の量を、管束の横断面積と関連させて表現することができ、この際、管束の外の反応混合物の量(特に最大距離で定義する)は、管束の横断面積に関連付けることができ、この際、管束の外の反応混合物の容積(特に、最大距離により定義する)は、横断面積により定義される管束の収容能(Aufnahme-leistung)に関連つけられる。
【0030】
本発明のもう一つの局面によれば、供給フード(又は排出フードも)の平形デザインは、フード内の全ての点の最寄りの排熱面までの最大距離によって記載することができる。反応器底部(殊に供給部に付いている反応器底部)及びフード内面は排熱面と称される。全ての点が、反応混合物がその中に存在することのできる全ての位置、例えばフードの間隙内の全ての位置であると理解される。この関連で、反応混合物は、このフード内に存在するビルトイン(Einbauten)又はコンポネント(Komponenten)内に存在することはできない。例えば、そらせ装置中(Ablenkvorrichtung)に反応混合物が存在することはできず;従って、この装置内に存在する位置は、最大距離の計算のために考慮する必要はない。最大(=最大距離)が小さい場合には、全ての点が排熱面の近くに存在することが保証されるので、ホットスポット及び大きい温度勾配又は大きい温度上昇は生じることはありえない。更にこのことは、フード内の条件(例えば温度)が管束内の条件と同じであるか又は実質的に同じであることを保証する。
【0031】
例えばこのように定義された最大、即ち、フード内の全ての点からフード(即ち供給フード又は排出フード)の内面の、それぞれ隣接している点までの又はフードに接続している管板までの距離の最大は、2〜3mの管束反応器直径を有する反応器の場合にも、10cmを下回って、好ましくは5cmを下回って又は3cmを下回っている。この管束反応器は、好ましく4.5m〜0.5mの直径を有し;直径4.5mの場合の最大は、特に25cmを下回っているか又は15cmを下回っている。直径0.5mの場合のこの最大は3cmを下回っているか又は2cmを下回っていることが好ましい。原則的に、この最大(=最大距離)は、前記の範囲で定義されているように、この管束の直径に関連している。他の直径(前記の範囲の外の直径)の場合には、この最大は、この記載の比に従って正比例して調整されていることができる。従って、管束の直径に対するこの最大は、有利には管束の直径の≦5%、≦2%、≦0.8%、≦0.6%、≦0.4%、≦0.25%であり、殊に≦1%が特別好ましい。この直径は、反応器壁の内部断面に又は管束の全断面に又は好ましくは管束に向き合っている端部に付いているフードの断面に関連していることができる。非円形断面の場合には、直径の代わりに、向き合っている位置の最大半径方向距離を使用することができるか、又は中心点と全縁部にわたり平均された縁部との間の距離が使用される。殊に、直径としては、記載の内接円(einbeshiebenen Kreis)の直径又は外接円(Umbeschiebenen Kreis)の直径を考慮することができる。
【0032】
断面積増加、内部容積の横断面積に対する比及び最大距離又は高さと断面積との比による平形デザインの前記定義を、個々に、かつ任意に相互に組み合わせても使用することができる。例えばこのデザインは、断面積増加の前記定義の前与値(Vorgabe)によってのみ、内部容積と断面積との比の前与値によって又は最大距離と断面積との比の前与値によって定義することができる。しかしながら前記定義のパラメータ前与値は、相互に、理論的なアンド−結合(UND-Verknupfung)で任意に組み合わせることもできる。更に、この平形デザインの定義付けのために、全ての3つのパラメータの限定を使用することができる。
【0033】
従って本発明は、管束反応器の供給フードと結合している供給端部を有する管束を有している管束反応器によって実現され、この際、この供給フードは平形デザインで構成されている。この供給フードの平形デザインは、供給端部の横断面積及び内部容積を有して構成されており、この際、好ましい実施形における内部容積の横断面積に対する比は≦0.35mである。更に、この平形デザインの供給フードは、供給フードと供給端部との間に最大距離(=フード高さ)を有して構成されており、この際、好ましい実施形での最大距離の横断面積に対する比は≦0.1/mである。更に、この供給フードは、これを通ってフードの混合物が供給される入口開口部の全断面積から開始して管束まで断面積増加している平形デザインで構成されており、この際、入口開口部の全断面積から出発して供給端部(又はフード端部)の横断面積までのこの断面積増加は、管束に向かって管束の縦軸に沿って、少なくとも0.6%/mmである。排出フードも有利に平形デザインを有し、この際、入口開口部の位置まで排出フードの出口開口部が通じ、供給端部の位置まで排出フードの排出端部が通じ、更に、排出フードに関しても、供給フードに対すると同じ平形デザインの定義が当て嵌まる。
【0034】
更に本発明の根底にある構想は、出発物質混合物の管束内への導入及びこの管束中での出発物質混合物の少なくとも一部の生成物までの変換を内容とする、この管束の作動法によっても実施される。ここで、この導入工程は、管束反応器の供給フードの内部空間中への出発物質混合物の供給を包含している。出発物質混合物は、液体流の形で、この管束の供給端部中にフード内部から管束まで送られる。本発明の第1の態様によれば、この液体流は、供給端部中に進入する際の横断面積を有し、液体流がその中を流れる供給フードの内部空間は、内部容積を有し、この際、内部容積の横断面積に対する比は0.35mより小さい。本発明の第2の態様によれば、液体流は、供給端部中へ進入する場合に横断面積を有し、かつ、供給端部まで転送される流体流と供給端部との間に存在する最大距離を有し、この際、最大距離の横断面積に対する比は0.1/mより小さい。ここで、その中に横断面が存在するそれぞれの平面に対する最大距離を有する液体流の一部の距離は、最大距離と称される。更にこの横断面積は、液体流に関連されうるか又は供給端部で管束を包囲している反応器壁の内径にも関連されうるか又は管束に向かっている供給フードの端部の供給フードの断面を形成することができる。これらの全ての基準点(Bezugspunkt)は平形デザインの交換可能な定義に作用し、全ての実施形及び特徴と組合わせ可能である。平形デザインの定義は、単にフードの幾何学的な形を定義し、本発明による管束反応器の他の全ての特徴と、殊にフード中にビルトインを有し、特別な接続特徴を有するか又はフードの幾何学的構成と直接結びついていない他の特徴を有している実施形と組み合わせ可能である。
【0035】
供給フードの形(従って、供給フードの内部容積の形)は、管束から離れた端部から出て管束まで少なくとも少しずつ単調に、又は少なくとも少しずつ極めて単調に、又は管束からの特定の距離で突然拡大する形である。少なくとも、供給端部に配置されていて、有利に供給端部に又はフード端部に突き当たる供給フードの内部容積のセクシヨンは、円筒形に構成されている。この円筒形を定義している円筒は、有利には円形断面を有するが、楕円形又は多角形も可能である。
【0036】
供給フードの内部容積のセクシヨンは更に、中空円筒として、又は円形の内断面又は外断面を有する中空円筒の形に構成されていることもできる。この中空円筒の形は、外部境界としての、即ち円筒の側壁としての供給フードの内側を備え、かつ、供給フード内に配置されていて中空円筒の内部境界を意図している物体を備えている。この物体の好ましい実施形は、後に更に詳述されている。その中で内部容積が中空円筒の形を有し、従って例えばリング間隙を形成するセクシヨンは、有利に、管束の供給端部に直接結合しておらず、間隙を介して管束の供給端部と結合している。この際に、この間隙内の内部容積は、連続的な断面、即ち円柱の形を有するか、又はこの内部容積は、本質的に均一に分配されている多数の円筒として構成されていることが好ましい。例えば穿孔板は、その開口によって、多くの円筒を定義する。
【0037】
中空円筒としての内部容積のセクシヨンの構成は、フード中に流入する混合物を、管束中に直接流入させずに、代わりに流入開口部に又は流入開口部に対向している管を、直接流入から保護するための作用をする。この目的のために、直接管束に向かう反応混合物流は、このセクシヨン中で、この中空円筒の内部円筒によってブロックされるので、この反応混合物は遅延されずにかつ制動されずに直接管束中に進入することはできない。中空円筒の形で反応混合物を案内することによって、管束への反応混合物の装入は、管束の中央上に又は管束の他のセクシヨン上に集中せず、代わりに、進入液体流は、中空円筒の内部円筒の周りを流れるために、ブロッケード(Blockade)によって広げられる。この結果として、この管束の外部領域も充分な流れで装入される。
【0038】
更に、本発明による構想は、導入の1工程により変更され、この際に、この導入工程は次の工程を包含する:液体流を一定の横断面積を有して導入する;この際、供給フード内の液体流の送付を包含する:導入された液体流を広げる;この広げられた液体流を供給端部の方へ変向させる;変向された液体流を中空円筒形で案内し、かつこの液体流を集束させて、一貫した横断面積を有する集合案内液体流にする。更に本発明により、この集合案内液体流を、管束の供給端部中に導入する。この液体流は、フード内に導入され、ここから管束に供給される反応混合物により提供される。
【0039】
中空円筒としての内部容積の少なくとも1つのセクシヨンを形成するために、供給フードの内部容積中に変向装置が配置されている。この変向装置は、供給フードの供給接続部、即ち管束から離れている側の供給フードの端部と管束の供給端部との間に配置されている。その結果として、フードの供給接合部から供給フード中に流入する液体流の少なくとも一部は、この液体流が供給端部中にかつ管束中に入る前に、半径方向で又は縦軸から離れている方向で外側に変向される。従ってこの変向装置は、殊に半径方向に伸びていてよい縦軸から外方向に案内する表面を有している。この変向装置の表面は、フードの供給接続部の方向に向いている。液体流はこの表面上に当たり、反応器の縦軸から離れて外側に変向される。従って、フードの供給接続部からの管束中への遅延なしでの反応混合物の直接流入を阻止するか又はブロックするために、この表面上で、この液体流は、外方向に導かれる。
【0040】
「外方向に」なる記載で、管束の縦軸又は供給フード又は変向装置の縦軸に対して傾斜していて、縦軸から離れている方向が表示されている。このように定義された方向は、90°での液体流の変向を生じさせることができ、即ち縦軸に対して平行な方向から縦軸に対して垂直な方向(=半径方向)へ変向させることができるか又は縦軸に対して平行に向いている縦方向に流れる成分に付加的に、このような半径方向の成分を有する任意の方向であることができる。従って、この変向装置は、供給接続部に入る液体流をその範囲で広げる表面を有する。これによって、液体流は広げられる。この変向装置は、それが、供給接続部に入る流れが拡大せずに管束の供給端部中に直接進入し、従って、本質的に管束の横断面積の一部のみを、充分な又は充分限定された反応混合物の流れで処理し、その際に、他のセクシヨン、例えば外にあるセクシヨンが反応混合物のより低い液体流を保持することを阻止する、ブロック素子(Blockierelement)と解釈することができる。この変向装置は、例えば円形のそらせ板として備えられており、これは、殊に反応混合物を外方向に導き、フードと共にリング間隙を形成し、これを通って反応混合物を、軸方向で、即ち縦軸に対して平行な方向で中空円筒形に案内する。この変向装置によって提供される液体流の大きい周囲は、少なくとも最小規模で、管束の供給端部の断面積よりも広く、この際、この変向装置は、表面のその幾何学的寸法によって、液体流を、変向された液体流の中空円筒形の内部断面積が供給端部の横断面積よりも大きいように仕上げる。従って、変向装置及び殊にその表面は、有利に管束の供給端部の横断面を越えて拡がり、この供給端部を投影図で反応器縦軸に沿って完全に覆う。もう一つの実施形で、この変向装置は、付加的縁部の周りの管束の横断面を越えて拡がる。管束の方に向いている変向装置の表面と管束の供給端部との間に、管束の縦方向にもう一つの連続的な(durchgehend)間隙が存在して、液体流は、この変向装置による変向の後に、連続的な断面上に集まることができ、この際に、この連続的な断面は有利に供給端部の断面積よりも少なくとも大きいか又は付加的縁部の分だけ大きい。従って、変向された液体流は、この液体が間接的又は直接的にこの管束中に進入する前に、変向装置と供給端部の間で、この供給端部の全断面上に再び集まることができる。
【0041】
この発明のもう一つの実施形によると、この変向装置は、その断面が供給端部に付いているフードの内部容積のそれよりも小さい分配板(Verteilplatte)を有している。従ってこの分配板は、完全に供給フードの内部容積内に、殊に、管束の方に向いているフードの端部に配置されていることができる。こうして分配板とフードの内面との間に、リング状の通路が形成される。この通路は、分配板の外縁部と供給フードの管束に向いている端部に付いているフードの内部側との間を走っている。これによって、分配板の断面は、供給端部に付いている内部容積のそれよりも小さく、これにより、このプレートの外縁部の内部容積内に、このプレートの軸方向で、かつこの分配板の外縁の周りを走る通路が形成される。分配板とフードの間のこの通路の構成は、その中に中空円筒としての内部容積が形成されている供給フードの内部容積のセクシヨンに相当する。従って、この位置で、その中に液体流が形成できるこの供給フード内の自由空間は、供給フードの内部容積とみなされる。
【0042】
管束反応器の変向装置は、更にこれを通って走る多数の通路を有するホモジナイジング板(Homogenisierungsplatte)を包含しており、これは有利に、それぞれ管束の縦軸に対して平行している縦軸を有する円筒として構成されている。このホモジナイジング板は、分配板と供給端部との間に配置されている。殊にこのホモジナイジング板は、管束の縦軸に沿って分配板から離れていて、これらの間に軸方向の間隙を形成することができるようにされ、この間隙は、この液体が変向の後に広い断面上に、即ち、供給フード又はそこに存在する内部容積セクションの全断面上に広がることのできるように、このフードの全断面上にわたり一定である。この分配板は、供給接続部とホモジナイジング板との間の内部容積の自由セクションを分割する。その結果、分配板又は供給フードの入口端部に向き合っている分配板の表面と供給フードの入口端部との間に、もう一つの軸方向の間隙が生じ、これは、そこに存在する供給フードの内部空間の全断面上に拡がっている。この供給フードの入口端部は、管束に対置されていて、有利に1つ、複数の又は全ての入口開口部(これを経て供給フード及び従って管束反応器に反応混合物が補給される)を包含する端部である。従って、このホモジナイジング板は、変向された液体流を、それが再び内部容積の全断面上に集められた後に、この液体流が管束の供給端部中に入る前に、圧力及び流動速度に関して均一化する機能を有する。このホモジナイジング板は、直接この管束の供給端部上に設置されていることができるか、又は各々、ホモジナイジング板から出てくる液体流に影響することができるように、管束とホモジナイジング板との間に1つの間隙を備えることができる。この影響は、流れの更なる均一化をもたらす。
【0043】
このホモジナイジング板は、例えば1,5,9−シクロドデカトリエンと亜酸化窒素とからシクロドデカ−4,8−ジエノンを生じる反応の場合に、100〜200ミリバールの規定の圧力降下を達成するために、管束中に入る前にこの反応混合物を堰止める作用をする。この例は特別な実施形であり、原則的に、この圧力降下は本質的にホモジナイジング板によって提供され、原則的にこの圧力降下が本質的にホモジナイジング板によって規定され、かつ、この圧力降下により、管束の断面(殊に供給端部での)上に一様な貫流(Durchfluss-stroemung)(流量に関する)が、ホモジナイジング板の作動パラメータ及び流動特性から生じることを条件として、0.01バールから10バールの圧力降下を提供することができる。この圧力降下は、操作パラメータ範囲(圧力、温度、流過速度)によって標準的に決まり、これも本質的に実施されるべき変換反応に依存する。本発明は、1,5,9−シクロドデカトリエンと亜酸化窒素との反応に限られるものではなく、むしろ多くの種々の変換及び反応の実施のために好適である。ホモジナイジング板の各々の孔は、管束の当該管の入口に正確に対向して配置されていることが有利である。ホモジナイジング板の代わりに又はそれと組み合わせて、管束中に進入する前の供給フード中に、反応混合物の目標とする堰止めを意図するホモジナイジングのために、管束の供給端部にビルトインを備えているか又は管入口を狭める絞りを予め備えていることもできる。このような絞り素子は、例えばねじ結合によってそれぞれの管入口上に又はその中に固定されていることができ、ここで、この絞り素子は、例えばねじ頭を備えていることができる。この場合に、各々のねじ頭は、1本の管の管入口を正確に部分的に覆う。このねじ頭は、例えばこのねじ頭が管入口を完全に覆う場合には、孔を有していることができる。更に、管の内部断面の形に比べたねじ頭又は絞りの形の違いは、供給端部の管入口を規定する方式で小さくすることができる。
【0044】
更に、ホモジナイジング板を備えているこの発明のこの態様は、管束の供給端部中への集合案内−液体流の導入部の範囲内で実施される1方法工程によって実施することもでき、これは、供給端部に配置されているホモジナイジング板の多数の通路に集合案内−液体流を案内する工程をその内容とする。この背景に対して、供給端部ところのホモジナイジング板の配置は、ホモジナイジング板が供給端部に直接隣接している配置又はその中でホモジナイジング板から出る液体流が相互に影響することができるように、ホモジナイジング板と供給端部との間にもう一つの間隙を備えている配置が重要である。このホモジナイジング板は、好ましくは供給端部の全断面上まで伸び、ホモジナイジング板上への分配板の突出の場合には、これで完全に覆われ、この際、この変向板は、その上に設計されたホモジナイジング板を越えて突出している付加的な外縁を有していることが有利である。既に認められているように、分配板は、直接接触によってホモジナイジング板を直接覆ってはおらず、分配板とホモジナイジング板との間に軸方向の間隙が存在し、この中で液体流が、変向の後にそこに存在する供給フードの内部容積の全断面上に集まる。このホモジナイジング板は、30mm、15mm、10mm又は3mmより小さい直径を有する多数の同じ円形孔を有する穿孔板として変換されていることができる。同様に、3mm〜1mmより小さい直径も、特にレーザーを用いて得られる貫通により実現することができる。殊に、ホモジナイジング板内の個々の通路の断面積は、管束の管の内部断面積よりも小さいことが有利であり、管束の管の内部断面積の75%、60%、50%、40%、30%、20%、10%又は5%より小さいことが好ましい。通路を形成するホモジナイジング板の孔は、相互に均一に離れており、管束(管束の全円)の断面積の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%又は75%に相当する全断面積を有することが有利である。分配板は有利に円形を有するそらせ板として提供されていることができ、これは供給フードに対して同心的に配置されている。この分配板は、有利に管束の縦軸に一致し、同様に有利にホモジナイジング板の縦軸に一致する縦軸を有する。このホモジナイジング板自体は、その縦軸が管束の縦軸と一致するように配置されていることが有利である。分配板は、有利に、最小でも3mm、最大でも200mmの厚さ、有利には最小でも10mm、最大でも100mmの厚さ、殊に好ましくは20mm〜40mmの厚さを有する完全に円形のディスクとして構成されている。この厚さは、約700mm、800mm、900mm、1000mm、1200mm、1500mm又は1800mmの半径を有する分配板に関している。
【0045】
本発明のもう一つの態様によれば、分配装置が管束の供給端部と供給フードの供給接続部との間に拡がっている。この分配装置は、液体流の変向による供給接続部からの直接的な軸方向の液体流に対して供給端部を本質的に完全に覆うために、全供給端部をこの供給接続部から出る液体流に対して完全に覆う。既に認められているように、分配装置による供給端部の被覆は、付加的な外縁と一緒の反応器縦軸に沿って設計された完全な被覆であるが、この際に、軸方向で分配装置と供給端部との間に間隙が提供されるので、変向された流体は、そこで、内部空間の全横断面上に集まることができる。
【0046】
この発明のこの態様は、更に1方法工程によって変更され、これによれば、中空円筒の形で提供される変向された液体流が、中空円筒の内部断面に一致する内部断面を有する。従って、この中空円筒の内部断面は、縦軸に沿って流れる液体流をブロックする変向装置の入口開口部に向いている面のそれに一致する。本発明によれば、液体流の形を表す中空円筒内で、内断面内に本質的に流れが提供されず、この際、変向された液体流の内部断面は、供給端部の全断面を、本質的に、導入される液体流に対して覆う。既に認められているように、内部断面によるこの供給端部の覆いは、付加的な縁部で提供することもでき、この縁部で、液体流の中空円筒の内部断面は、供給端部の外縁を越えている。
【0047】
この発明のもう一つの態様によれば、供給フードの生成物混合物は、その縦軸に備えられている進入口を経て、又は複数の進入口を経て供給フードに供給される。複数の進入口は、複数の供給通路を経て供給され、この際、この進入口は供給フードの壁内に備えられていて、この供給フードの内部容積中に通じている。複数の進入口を有する実施形では、少なくとも1つの進入口が供給端部の中心軸を外れて配置されており、この際、この中心軸は、円筒形管束の縦軸に一致する。更に、本発明によれば、全ての進入口は、中心軸の周りに均一に、円に沿って又はリングの内部に配置されていることができる。従って、複数の進入口の場合には、反応混合物は中心の液体流と共に供給フードの内部中に入らず、代わりに、内部フード中に進入する際に既に、この反応混合物の流れは、相互に分かれて配置されている複数の進入位置上に分流される。これによって、反応混合物の進入時に既に、一定の分流が生じ、次いでこれは変向装置によって更に均一化される。いくつかの又は全ての進入口が円に沿って配置されているので、この円の中心点は、有利にフードの管束から離れている端部の中心に一致し、かつ、有利にフードと管束の縦軸との間の交点に一致する。このことは、リング内の進入口の配置にも同様に当て嵌まり、この際、リングの幅は、有利にこのリングの外径の最大50%、最大30%、最大15%、最大10%、最大5%又は最大2%に相当する。これによって、この円形が本質的に保証されるが、この際には、例えば、この円からの製造関連の逸脱が可能になる。
【0048】
複数の供給通路を有する管束反応器がそれにより構成されている前記の態様は、方法工程として実現させることができる。本発明の1方法に関連している反応によれば、本発明の方法は、出発物質混合物の供給を包含しており、この際、この供給工程には、内部空間中への供給流が相互に間隔の取られている進入位置(即ち、進入口の位置)で内部空間中に入る前に、出発物質混合物の供給流を複数の供給流に分ける工程が包含される。この場合に、少なくとも1つの又は全ての進入位置が、この管束の供給端の中心軸を外れて存在する。選択的に、全ての進入位置は一様に管束の供給端部の中心軸の周りに円に沿って、又はリングの内部に配置されている。この中心軸、円及びリングの特徴は、先に既に記載されている中心軸、円及びリングの特徴に相当する。既に認められているように、内部空間中への供給の前の分割によって、液体流が変向される前に予め分割することが可能である。
【0049】
進入位置又は進入口の適当な配置によって、変向にも関わらず不均一な流れ分割が起こり、この際に、特定の進入口又は進入位置が管束の数本の管に好ましく反応混合物を供給するが、他の管は僅かな供給を行うことを阻止することができる。従って本発明によれば、進入口は、管束反応器の管の縦軸に対して(即ち、管束反応器の全ての管の縦軸に対して)ずらされており(versetzt)、この際に、各々の進入口の中央は、後続の管の長軸に対して最大距離を有する。この結果、進入口と管束の特定の管との間に特恵的な流れは生じない。従って、管束反応器に関するこの特徴を、同様に、異なる進入位置で供給流分を分割する場合の、進入位置が管束反応器の管の縦軸に対してずらされており、各々の進入位置の中心が管の後続の縦軸までの最大距離を有することを意図している1方法工程を用いて、変えることができる。これによって、反応混合物の供給の工程は、管に対する進入流の空間的配置(これは進入位置によって定義される)によって、より詳細に定義される。
【0050】
本発明のもう一つの態様によれば、供給通路は、それぞれ、2つの進入口に接続されているか又は進入位置の2つに反応混合物が供給されるかY−分岐を有するか又はもう一つのY−分岐に接続されている分岐管により提供される。1つのY−分岐は、1つの通路(1管を有する)を特に同じ大きさの2つの通路(これらはそれぞれ第1の管と同様に結合している2本の管を有する)に分割する。通路又は管のプロフィルに基づき、このような分割はY−分岐と称される。管束反応器の縦軸に沿って走る供給管をそれぞれ1個の進入口を有する2、4又は8本の通路に分けるために、分岐された管又は導管のプロフィルは、進入口の配置に応じて曲げられる。こうして得られたY−分岐の導管の曲がりは、導管の管直径に対する曲率半径が≧2であるようにデザインされているべきである。この分割は、例えば1導管から終端口へ通じる2導管への1段であるか又は2段又は多段であることができ、この際に、第1の分割段は供給導管を先ず2導管に分け、これ自体が更にもう一つの段で再びそれぞれ新たな2導管に分けられる。最後の段、即ち進入口に接続している段での導管の数は、2による導管の数を有し、ここで、nは段の数であり、2は各々の分割時に1導管から2導管が供給されることを表している。従って最後の段の導管の数は、進入口の数に一致する。それというのも、最後の段では1導管当たり、それから供給される正確に1個の進入口を備えているからである。
【0051】
管束反応器に関する供給通路のこの態様は、同様に、本発明による方法に関する方法工程によって実現されることができ、この際、本発明によれば、複数の供給流への分割は、反応混合物又は供給管又は導管を通って導通される反応混合物を、分割された管又は導管を通すことによって実現される。出発混合物のこの案内は、2つの進入位置(進入口の所にある)に出発混合物(即ち供給される反応混合物)を供給するか又はもう一つのY−分岐に出発物質混合物を供給するY−分岐を通る出発混合物のラインを包含する。1つのY−分岐が出発混合物での2つの進入位置を提供する場合には、この分岐から進入位置まで通じている導管は最終段の導管である。これに反してY−分岐の導管がもう一つのY−分岐を提供する場合には、最初に記載されているY−分岐は第1段に、又は最後の段の前の段に属する。
【0052】
本発明によれば、供給フードのみが平形デザインを有して構成されているだけではなく、その中に管束が反応混合物を導き、これを経て反応混合物が管束反応器から排出される排出フードもそのように構成されている。原則的には、供給フード及び排出フード又はこれらフードの1つのみが本発明による平形デザインで構成されていることができる。供給フードを定義している平形デザインのここで使用されている定義は、排出フードにも同様に該当し、この排出フードを表している定義は、供給フードにも同様に該当する。供給フード、排出フード又は双方のフードが本発明による平形デザインを有するか否かは、殊に反応及び反応混合物に依存する。しかしながら、供給フードは本発明による平形デザインで形成されていることが有利である。フードカバーのデザインのみが平形デザインとして理解されるべきではなく、ここで使用されている定義は、全てのフードのデザイン又は管束容積又は管束断面積に関連しているフード容積にも関連する。従って、排出フードのデザイン及びその中に存在するか又はそれに接続している相応するコンポネントに関して、供給フードについて記載されていると同様な特色又は特徴がこれに当て嵌まり、この際、排出フードは、供給フードに対して鏡像的に配置されている。供給フードは管束の供給端部に接続されているが、排出フードは、供給端部と対置している管束の排出端部に接続されている。供給端部と排出端部は、それらの間に管束反応器が縦方向に伸びている二つの端部である。従って、排出フードは、平形デザインで、排出端部の横断面積及び内部容積を有して構成されており、ここで、排出フードの内部容積の横断面積に対する比は≦0.35mであるか、又はこの排出フードは、平形デザインで、排出フードと排出端部との間の最大距離を有して構成されており、排出フードと排出端部との間の最大距離の排出端部の横断面積に対する比は≦0.1 l/mである。この排出フードは、供給フードに関する前記記載と同様に構成されていることができ、この際このことは、殊に供給フードの定義付けのために使用された前記の幾何学的特性並びに比に当て嵌まる。殊に排出フードは供給フードと同様に構成されていることができ、この際、排出端部の横断面積に対する断面積増加、排出フードの内部容積の横断面積に対する比及び排出端部の最大距離横の横断面積に対する比は、既に供給フードについて説明されたデザインの定義に相当する。従ってこの配置状態も、管束反応器に対する対称性に基づき定義され、この際、排出フードの定義付けのために、排出端部は管束の供給端部に取って代わり、排出フードの内部容積は、供給フードの内部容積に取って代わり、排出フードと排出端部との間の最大距離は、供給フード及び供給端部に取って代わる。同様に、この横断面積は、排出端部で又は管束に向かっている排出フードの端部で把握される。
【0053】
この管束反応器の排出フードとの関連で定義された特性は、同様にこの発明を、管束からの生成物の排出に関する下記の方法工程のように変更する。従って、本発明による方法には、管束からの生成物の排出の工程が包含され、この際に、生成物は供給端部と反対側の管束の排出端部で、液体流の形でこの管束から管束反応器の排出フードの内部空間中に導かれる。この場合に、排出端部からの出る際のこの液体流は、横断面積を有し、その中を液体流が流れる排出フードの内部空間は内部容積を有し、ここで、排出フードの内部容積の排出端部の液体流の横断面積に対する比は≦0.35mである。選択的に又はこれと組み合わせて、排出端部でのこの液体流は横断面積を有し、かつ排出端部から排出される液体流と供給端部との間に最大距離が存在し、この際、最大距離の横断面積に対する比は≦0.1 l/mである。既に公知であるように、液体流又はこれを定義する排出フードの構成のために、供給フードの記載及び定義を使用することができる。
【0054】
供給フードと同様に、排出フードも、有利に管束の縦軸に一致する縦軸に対して回転対称に構成されている。供給フード、排出フード又はこれら双方は、一体部品として構成されているか又は二体部品又は多体部品として構成されており、この際、各々のコンポネントは回転対称形を有している。場合によりフード内に存在するビルトイン、即ち、変向装置、分配板及びホモジナイジング板は、有利に反応器の縦軸に対して回転対称に構成されている。
【0055】
この供給フードは、それを用いて外からの冷却効果を可能とするために、外への放熱に関して非絶縁であることができる。しかしながら、フード内部の温度をコントロール又は調節するために、この供給フードは断熱されているか及び/又は供給フーが熱伝導性に加熱系又は冷却系と結合されていることが有利である。外からフードを介する温度調節効果(冷却又は加熱)は、供給フード内の反応混合物の僅かな量に基づき、著しくこの混合物の温度に影響する。従って、供給フード内の反応混合物の温度は簡単にコントロールすることができる。続発反応を避けるために、排出媒体が管束を出たら直ちに、この中で例えば非限界温度まで冷却されうる本発明により構成されている排出フードにも、同じことが当て嵌まる。断熱を放棄することにより提供される自由放熱と並んで、供給フード又は放出フードの外側に冷却コイルを配置することもできる。これによって、それぞれの反応器フード内でのコントロールされない温度上昇が避けられる。一般に、フードの熱は、フードの外側を経て冷却媒体中に移され、排除されることができる。フード壁を経る熱移動と並んで、反応混合物からの又は反応混合物への熱も、このフード内で反応器底を通って伝達される。殊に、供給フードに付いている反応器底は、供給フード内で生じる反応熱の主要分を排出する。原則的に、放熱作用をする任意のコンポネントを、給熱のために使用することもでき、この際には、熱媒体と反応混合物との間の温度差の記号が、この媒体の温度の適切な選択によって逆転される。殊に反応器の始動時に、この反応混合物にも熱が供給されうる。
【0056】
生成物混合物は管束の通過の後に充分反応しており、排出フード中の反応条件が僅かな程度の温度臨界(temperaturkritisch)である場合には、この排出フードは、通常のように、即ち技術水準で公知であるような彎曲したフードを有して構成されていることができる。しかしながら、殊に管束内で部分的変換まで実施される反応の場合、又は熱に敏感な生成物又は生成物混合物の場合には、双方のフード、即ち供給フード及び排出フードは、平形デザインで構成される。双方のフードは、同じ構造を有するか又は異なる構造を有することができ、この場合に双方のフードは、前記の基準値に一致することが有利である。
【0057】
反応管の内部又は管束の供給端部又は排出端部までの滞りのない到達を可能とするために、供給フード及び排出フード又はその一方のみが取り外し可能であることが有利である。このために、この反応器フードは、それを介してねじ結合によってフードを反応壁上に密閉性に取付けることのできる素子を、例えばフランジの形で有する。少なくとも2本〜50000本までの平行接続された反応管(それらの端部は、有利にそれぞれ2平面の1つの中に存在している)が、管束とみなされる。この管束は、同種の管(例えば同じ壁厚又は同じ内部断面を有する)から成っているか、又は例えば内部に存在する管よりも大きい(即ち、大きい壁厚、大きい内部断面又は同じ又は小さい内部断面で大きい壁厚)管束中の外側に存在する管を有する、異種の管から成っていることができる。殊にその数が少なくとも2、少なくとも5又は有利には1000〜3000の間、有利には1500と2000の間にある、有利には2400又は1600である反応管が管束とみなされる。原則的に、管束直径、個々の管の直径及び管水準(Rhorspiegel)に依存して、例えば5000を上回る、10000を上回る、20000を上回る又は30000を上回る多数の管も管束を形成することができる。これらの管の管外径としては、20〜100mm、有利には30〜80mm、殊に40〜55mmの直径が好ましい。2個の隣接管の間の平均距離を定義する管ピッチ(Rohrteilung)は、有利に30〜100mm及び殊に50〜70mmである。その平面により限定される端面側(Stirnseiten)は、この管束の排出端部又は供給端部と称される。排出端部は、有利に供給端部の上方に配置されており、この際、管束反応器は、有利に、垂直(即ち、重心の線に沿って)に立っており、排出端部は供給端部の上に垂直に配置されている。
【0058】
この管束反応器は、有利に「シェル−アンド−チューブ(shell-and-tube)」デザインであり、この場合に、この管束反応器は、管束を包囲し、その端面に排出フード及び供給フードが配置されている円筒形を有する管壁を包含している。従って、この排出フード、供給フード及び円筒形反応器壁は、その中に管束が存在する内部空間を完全に密閉している。
【0059】
反応器壁は、有利に、冷却媒体用の、殊に水用の又は充分な熱容量を有する他の温度調節剤のための通路を有する。更に、冷却は、液体、殊に水の蒸発により提供されることができ、この際、この目的のために、反応器ジャケット上に、特に水用の貯蔵容器、例えば蒸気ドラムが接続されている。温度調節剤は、反応器ジャケットを取り囲んでいる空間を、排出端部から供給端部まで又は逆に流過し、従って管束の反応熱を随伴する。温度調節剤の循環を支えるために、ポンプを備えていてよいか又は対流による自然循環(これにより熱媒体は循環する)を行うことができる。更に熱勾配(この勾配で温度調節剤が吸収した熱を放出することができる)を備えることが有利である。同様に、熱源が熱エネルギー均衡の調整のために必要である場合には、熱源を備えることもできる。この熱源は、有利に、反応器に、これが温度調節剤を加熱するように接続されている。温度調節剤の循環率及び殊に外部熱伝導係数(例えば約1000W/m/K)は、温度調節剤入口と温度調節剤出口との間に最大10Kの差が提供されるように選択されることが有利である。
【0060】
冷却された管束の外の少量の混合物(これは、フードの平形デザインで生じる)によって、本質的に、全反応器内に等温状態が提供されて、反応器からの搬出物の一定の組成物が生じる。この反応器からの搬出物の本質的に一定の組成に基づき、後続の精選装置上での、例えば精選塔(Aufbereitungskolonen)での、非常に精密な調節調整を行うことができる。このことは、全反応器中の精確にコントロールされた操作パラメータ、例えば温度及び圧力からの結果である。この場合に、調整のために使用される蒸留装置中のエネルギー使用を最小化することができ、この際に更に、個々の方法工程からの不所望な副成分の排出時の生成物損失が最小化される。温度のコントロール時のこの良好な調節可能性及びこのフードの平形デザインにより達成される早い反応時間は、管束の管内の最大温度が、この冷却媒体の平均温度よりも最大で15K及び特に最大で6K上回っていることを達成させることができる。更に管上に熱電対を、有利に軸方向の位置に配置することができ、この際、この熱電対は、反応管の内部直径の最大1/3の外径を有する熱保護管内に備えられていることができる。有利に、この管内の最大温度は、軸方向でこの管内に配置されていて、場合により温度保護管中に入れられていて、熱保護管の小さい外径に基づき、反応管内の流れを無視できる程度に妨げるだけである熱電対を用いて測定される。
【0061】
もう一つの実施形で、管束の数本又は全ての管は空であることができるので、この管の内部空間は完全に反応混合物で充填される。選択的に、管中の熱伝達を改良するために、反応管内に好適な充填体又はパッキング、有利には充填体が備えられていることができる。例えば薄い壁のラッシヒリングが使用される場合には、反応空間を不必要に減少させないために、管中に少なくとも75%の空容積割合で充填体を供給することが殊に有利である。一方で、これら充填体は改良された熱移送を可能とし、他方で、充填体のこの容積分によって、反応熱の容積濃度は低下される。その結果、強い発熱反応の場合でも温度を良好にコントロールすることができる。充填体としては、有利にラッシヒリングが使用されるか又は管内の流れを所望のように限定し、場合によっては各々の管の入口と出口との間の付加的な圧力差をもたらす他の充填体が使用される。これら充填体は、それらが充分な横混合を生じ、これにより熱伝達を促進するように構成されている。これら充填体は、それらが僅かな容積(管内部容積に対して)を占めるように構成されていることが有利である。この充填体によって、流れに有効に影響することができる。特にこの充填体によって、層流の代わりに、プラグ流(Plug-flow-Stroemung)が得られる。管束を経る圧力降下は、主に充填体積層に帰因する。更に、この充填体によって、それを反応混合物が直接流過する管内の表面積が提供され、反応混合物からの熱はこの表面に移送され、表面から吸収された熱は、管壁を経て外の冷却媒体(これは管の外側に接して案内される)中に移送される。
【0062】
本発明によれば、エネルギー供給の不足の場合に、温度調節剤は、水力学的圧力に基づき貯蔵容器から反応器のジャケット空間中に流れる。貯蔵容器は本発明によって、貯蔵容器中の温度調節剤の液体水準が少なくとも本質的に反応器の外部空間中の液体水準と同じ高さであるように配置されているので、温度調節剤は下から反応器中に流れ、吸収された熱に基づき管に沿って蒸発し、水蒸気は反応器内を上昇する。圧力を実質的に一定に保持し、又は温度を充分低下させるために、生じる水蒸気は反応器から取り除かれる。蒸発する水により、反応器中の液体水準は低下するので、貯蔵容器から新たな温度調節剤が後供給される。反応器の完全な満液外部空間(bei vollstaendig gefluteten Aussenraum)の場合でも充分な温度調節剤が流れることを確保するために、貯蔵容器中の液体水準が常に反応器中の液体水準の上にあるように、貯蔵容器を配置することも可能である。
【0063】
エネルギー供給の不足の場合には、反応器のジャケット空間中の圧力を、目標に合わせて低下させることが好ましい。ジャケット空間中の圧力低下の結果として、温度調節剤の沸点も低下する。こうして、管内の温度を低下させることができる。理想的な場合には、場合により反応が終結される温度まで低下させることすらも可能である。
【0064】
前記のように、反応器中で発生した反応熱は温度調節媒体によって排除される。反応器を出る生成物流は、本質的に反応温度に一致する温度を有する。原則的にこの流れは、場合による放圧の後に、直接、後処理に導かれる。いずれにせよ、生成物流の潜熱を、1以上の出発物質流を加熱するために使用することは有利でありうる。これは、一般に、別個の熱交換器中で行われる。いずれにせよ生成物流又は加熱されるべき出発物質流が熱敏感である場合には、そのフードが本発明による管束反応器のフードと同じデザインを有する管束熱交換器を使用することが有利である。1実施形によれば、反応器からの熱い生成物流が、1熱交換器中で、反応器に供給される1以上の出発物質流を予備加熱するために使用される。
【0065】
特別好ましい1実施形では、このために別個の熱交換器は使用されず、熱交換器が反応器の出口側に直接設置される。
【0066】
管束の製造のために、最小でも30mm及び最大でも150mmの内径を有する管が有利に使用される。特別好ましくは、40〜50mmの範囲、例えば約41.1mmの内径を有し、例えば2〜5mm、有利に約3.6mmの壁厚を有する管が使用される。管内部とジャケット空間内の温度調節媒体との間の良好な熱伝達を得るために、同時に管の充分な強度の場合に、5〜15mmの壁厚を有する、殊に7〜11mmの壁厚、例えば8.5〜9mmの壁厚を有する管を使用することが有利である。比較的高い作動圧範囲のために特別好適である本発明の1実施形においては、全ての反応器が同じ壁厚を有する必要はない。管束の外側に隣接している反応管は、管束の縦軸に隣接している管よりも大きい壁厚を有して構成されていることがより好ましい。これによって、負荷に耐えるために特別厚い金属板による管板又は反応器外被を備える必要なしに、より高い耐圧性が達成される。
【0067】
反応器ケース内に、管及び従って管束を保持する装置架台(Apparatgeruest)が備えられていることが有利である。この場合に、この装置架台は、有利にこの反応器内に自由に懸垂されて収納されているで、反応器と接続している排出フード及び供給フードは、自由に入手可能である。
【0068】
供給フードの内部空間、即ち供給フードの内面と管束の供給端部との間に拡がっている容積(Volumen)は、有利に2〜300mm、特に5〜200mm又は10〜50mmの高さを有する。この内部空間内に、有利にそらせ板が取り付けられているので、フードと管板との間、即ちフードと供給端部との間の空間は、その形で間隙に一致している。この関係において、その高さが(平均−)直径よりも著しく小さい容積が間隙(Spalt)と称される。供給端部とフード板の間の内部空間、即ち、フードの内側面、フードカバーの内側及び管束の供給端部により囲まれている空間は、従って1つの外のリング間隙を介してのみ相互に結合されている2つの間隙に分けられている。これによって、そらせ板の高さでこらせ板に沿って案内される流れのための中空円筒形が生じる。2つに分けられた内部空間を結ぶリング間隙は、有利に、管束の供給端部と供給フードのカバーとの間の全内部空間に類似の外部寸法を有する。好ましくは、リング間隙の幅、即ちそらせ板の周囲と対座している内面との間の距離は、ほぼ内部空間の高さ、即ち管束の供給端部と対座している供給フードの内面との間の(最大−)距離に一致する。リング間隙の幅は、有利にフード内面と供給端部との間の距離の0.05〜5倍、特別好ましくはフード内面と対座している管束の供給端部との間の距離の0.08〜0.8倍である。従ってこの内部空間は、有利に、ほぼそらせ板外縁とフード内側との間の距離によって定義されるような大きさである。ここに挙げられているそらせ板を用いるこの定義は単なる例示であり、一般にそらせ板は、間隙形成及び供給フード内の内部空間の二分化に基づき、フードの供給部から管束の供給端部の入口までの液体流を規定する変向装置である。既に認められているように、この変向装置及び実施例の場合のそらせ板は、管束に供給された液体流の均一化に作用し、かつ殊にフード内に供給された流れを直接供給端部中に供給(これにより管束内の断面内の供給速度及び圧力に関する不均一性が生じる)しないで、むしろ直接流入する反応混合物を、先ず著しく広げられた流れに変えて、この広げられた流れが供給端部での均一な供給分布を生じさせるために作用する。変向装置(そらせ板)と供給端部との間に、穿孔板、即ち流れが変向装置の回りを流れた後にもこれで流れをなお充分に均一化することのできる穿孔された板が配置されている。
【0069】
原則的に、供給フードの内部空間内に、供給フード中に導入された出発物質を管束の管上に一様に分配するビルトイン(Einbauten)を備えることができる。ホモジナイジング板として使用される穿孔板又は篩底と並んで、反応混合物がこれを通って案内され、同様にホモジナイジング板を備えている、多孔性焼結板を使用することもできる。有利に、このホモジナイジング板は、液体流の流れ抵抗を提供することにより、これが定義された断面で均一な圧力降下を生させるだけではなく、むしろこれが、付加的に管の内部に備えられている充填物質の支持体として作用することができるように構成されている。従って、穿孔板は補強体、充分な材料厚さ及び/又は管内の堆積物質を管内に支持できるように作用する土台を備えている。特別な1実施形で、穿孔板は、この穿孔板が管束の各々の管に対して正確に1つの孔を提供し、これによってホモジナイジング板と管束の供給端部との間の付加的空間を省くことができるように構成され、管束の方向に向けられている。この場合に、穿孔板の形のこのホモジナイジング板は、管束の供給端部に直接配置されており、相応して配置されている管束に整列されている孔を通って、管束の管の全てが同様に反応混合物を供給する通路を有する。従って穿孔板は、管束内の管が備えていると正に同じ多数の孔を有し、この際に、穿孔板の個々の孔は、それぞれの管の開口部に対して正確に整列されている。言い換えれば、穿孔板の各々の孔は、その縦軸が正確に管の縦軸に一致している縦軸を有している。場合によっては、穿孔板の孔の全断面が、それに接続されている管の断面内に存在することが確保される限りにおいて、穿孔板の孔は、管に対して僅かにずれていることができる。従って穿孔板の穿孔直径は、有利に管の内径よりもいくらか小さく、有利には管の内径の90%、80%、70%、60%、50%又は30%を下回っている。特別な1実施形では更に、穿孔板と管との間に存在する案内板を使用することもでき、それによって衝突する液体流は個々の流に又はジェット流に分けられる。殊に、液体流をホモジナイジング板から管束の供給端部まで案内するために、リングディストリビュータ(Ringverteiler)を使用することもできる。
【0070】
管束反応器のもう一つの実施形では、これは、排出フードに直接接続している熱交換器と結合される。同様に、特に、付加的な方法工程を有する本発明の方法が提供され、この方法によると、排出フードから導出された生成物又は生成物混合物は熱交換器に導かれ、この際に、熱交換器と排出フードとの間の直接結合による供給が意図されている。もう一つの態様で、管束反応器は、熱交換器又は出発物質流の予熱のための熱源を包含し、この際、この目的のために、熱交換器又は熱源は、供給フードに直接接続されているか又は供給フードまで通じている導管中に備えられている。同様に、本発明の方法は、有利に供給フードまで供給される出発物質混合物又は反応混合物を加熱する工程を包含し、この際、熱交換体又は熱源による加熱が意図されている。
【0071】
もう一つの好ましい実施形では、排出フードが、直接1熱交換器又は更なるコンポネントを介して間接的又は直接的に、例えばポンプを介して、供給フードの供給部と結合されており、生成物又は生成物混合物の少なくとも一部は送り戻される。この送り戻し結合(Zurueckfuehrungsverbindung)は、ポンプと並んで、生成物混合物の温度を適切に温度調節するために、熱交換器又は熱源を包含することもできる。従って本発明の方法は更に、相応して、排出フードからの生成物又は生成物混合物を間接的又は直接的に供給フードへ送り戻す工程を包含し、この際、特に供給フード内への導入の前に、送り戻される混合物を出発物流と混合させ、生じる混合物を供給フード中に供給する。従って、殊に出発混合物又は反応混合物が管束を通過する際に完全に反応しない成分を含有する場合には、個々の出発物質の反応をより精密にコントロールすることができる。この送り戻しの間に、生成物流は更に、送り戻された生成物流又は送り戻された生成物混合物が出発物質と混合される前に、又は送り戻された生成物混合物が供給フード中に供給される前に、例えば蒸留によってなお調整される。このためには有利に、調整装置、例えば蒸留装置が、排出フードを供給フードと逆結合する戻しライン中に持ち込まれている。
【0072】
熱交換器又は熱源を用いる加熱の代わりに、排出フードから排出された生成物流又は生成物混合物流を、冷却装置を用いて又は熱交換器を用いて冷却することができる。従って、供給フードと排出フードとを(間接的又は直接的に)結合する結合ラインは、冷却装置、例えば冷却器又は熱交換器を備えていることができる。
【0073】
本発明は、非触媒作用又は均一系触媒作用反応の実施のための方法に関し、この方法では本発明による管束反応器の使用下での、熱敏感な出発物質及び/又は生成物に関与することができる。殊に本発明による管束反応器及び本発明による方法は、熱敏感な出発物質又は生成物を有する反応のために、例えば生成物から不所望の続発生成物が生じる反応の場合に好適である。更にこの発明は、狭い温度窓又は圧力窓で進行させなければならない反応のために好適である。更にこの発明は、この反応器の外でも進行する反応のために、即ち、触媒なしの反応及び出発物質中又は反応混合物中に均一に分配されている触媒を用いる反応のために好適である。これは、殊に強い熱発生をするか又は熱を吸収する反応の場合、特に、特定の狭い温度窓内で進行させるべきであるような反応の場合である。
【0074】
非触媒作用反応としては、例えば酸素、空気又は亜酸化窒素を用いる酸化又はディールス−アルダー反応が好適である。均一系触媒反応としては、例えば次のものがこれに該当する:酸化、カルボニル化、ヒドロホルミル化、水素化、メタセシス−反応、モノオレフィン及び非共役又は共役ポリオレフィンのヒドロシアン化及び炭化水素の酸化、エポキシド、アジリジン又はチイランへの求核試薬、例えば水、アルコール、アンモニア、1級又は2級アミン及びメルカプタンの付加、エポキシド、アジリジン又はチイランへのCO、COS又はCSの付加、オレフィン、カルボニル化合物又はイミンの均一系触媒作用水素化、オレフィン、エポキシド、アジリジンの均一系触媒作用低量(oligo)重合又は重合、ジ−又はポリオールとジ−又はポリカルボン酸(誘導体)との、ジ−又はポリアミンとジ−又はポリカルボン酸(誘導体)との、ジ−又はポリオールとジ−又はポリイソシアネートとの、ジ−又はポリオールとジ−又はポリカルボジイミドとの低量重縮合又は重縮合がこれに該当する。
【0075】
出発化合物としてのモノオレフィン及び非共役又は共役ポリオレフィンは、発熱反応でコントロールされない温度上昇時に、オリゴマー及びポリマーを形成することができる。しかしながら、他の不飽和系、例えば不飽和炭素−窒素−結合を有する化合物も低量重合又は重合する傾向がある。1例は、ヒドロシアン化の場合にC−単位として作用し、発熱反応で重合することのできる青酸である。
【0076】
本発明による管束反応器並びに本発明による方法は、殊に、引き続く水素化によりシクロドデカノンまで変換されうる、シクロドデカ−4,8−ジエノンの製造のために好適である。シクロドデカ−4,8−ジエノンを合成するために、管束反応器に出発物質として1,5,9−シクロドデカトリエン及び亜酸化窒素が供給される。反応器内の反応混合物はこれら出発物質を含有する。
【0077】
1,5,9−シクロドデカトリエンと亜酸化窒素との反応によりシクロドデカ−4,8−ジエノンを製造する場合に実施される反応は、この発明の実施のために好適であり、WO 05/030690及びWO 08/000756中に記載されている。殊に本発明による管束反応器はこの反応のために好適である。
【0078】
1,5,9−シクロドデカトリエンと亜酸化窒素との反応は、触媒の不存在下に、液相中で実施される。
【0079】
本発明の範囲では、原則的にシクロドデカトリエン又は2種以上の異なるシクロドデカトリエンからの混合物を亜酸化窒素と反応させることができる。この場合には、特に、例えば1,5,9−シクロドデカトリエン、例えばシス,トランス,トランス−1,5,9−シクロドデカトリエン又はシス,シス,トランス−1,5,9−シクロドデカトリエン又はオールトランス−1,5,9−シクロドデカトリエン又はこれらの混合物が有利な例に該当する。更に出発物質混合物は、それらの異性体又は不純物又は添加物質を包含することもできる。
【0080】
この反応のために使用される亜酸化窒素は、原則的に純粋な形で又は亜酸化窒素を含有している好適なガス混合物の形で使用することができる。殊に、ガス混合物としては、WO 05/030690中に記載されている亜酸化窒素を含有しているガス混合物を使用することができる。
【0081】
シクロドデカトリエンは、シクロドデカトリエン−変換の温度範囲内で既に顕著に発熱反応で分解する熱敏感な化合物である。従って流入管内の、即ち供給通路内及び供給フード内の温度は、190℃と205℃との間に保持される。言い換えると、管束又は供給端部中に入る前の混合物の温度は、190℃と205℃との間にあるようにコントロールされる。この温度は、故障時にも、例えば電流不足の場合にも上昇してはならない。この条件下で、シクロドデカトリエンは既に亜酸化窒素と、ミキサー中、流管中又は下部フード中で完全に反応する。しかしながら温度上昇は、ミキサー及び反応器供給管を保温せず、導管、対流及び電流により放熱を促進することによって阻止される。しかしながら、安全性の理由から、ミキサー及び供給管は保護され、従って断熱されているので、熱は本質的に管板及びフードを経て放出される。更に本発明によれば、供給フード内部の反応混合物のために僅かな容積のみが提供される。言い換えると、温度コントロールは、本発明による供給フードの僅かな高さによって、又は僅かな内部容積によって又は管束の方向での供給フードの著しい断面積増加によって可能とされ、かつ簡単にされる。
【0082】
管束反応器内で、シクロドデカトリエンと亜酸化窒素とをシクロドデカジエンと窒素とに変換するする反応は、230℃〜270℃、好ましくは240℃〜260℃、特別好ましくは240℃〜50℃で行われる。熱交換器及び/又は反応器外被内での熱媒体によって実現される温度コントロールは、本発明によって、操作時にこの温度差を得るように調整される。この温度での圧力は、この管束反応器の管内又は特にフード内で50〜100バール、好ましくは70〜100バール、特別好ましくは90〜100バールである。
【0083】
本発明の1態様によれば、管束反応器は、この管束反応器の反応器流路内でのシクロドデカトリエンと亜酸化窒素のモル比が本質的に10対1、好ましくは本質的に8対1、特別好ましくは本質的に7対1であるような方法で作動される。これにより達成される亜酸化窒素−変換率は、80〜100%、好ましく90〜100%、特別好ましく95〜100%である。結果として、供給されたシクロドデカトリエンは、10〜30%、好ましく12〜25%、特別好ましく14〜20%まで変換される。
【0084】
目的生成物シクロドデカジエノンは、更なる亜酸化窒素との反応でジケトンになることがありうる。この反応は、本発明による管束反応器及びこの反応器内での温度の僅かのみの拡散を可能とする本発明の方法によって、少なくとも部分的に阻止することができる。このことは、殊に排出フード内の僅かな量によって、有効かつ効果的な冷却又は温度コントロールを可能とする本発明による排出フードよって可能となり、これによって続発生成物が避けられる。高いシクロドデカノン/亜酸化窒素−モル比と組み合わされた管形反応器の使用によって、95%までのシクロドデカジエノン−選択率が得られた。
【0085】
本発明による平形反応器フードの更なる利点は、窒素の形成下にシクロドデカジエノンを生じる亜酸化窒素を用いるシクロドデカトリエンの酸化(この酸化時に、熱敏感なシクロドデカトリエンは供給フード内で発熱して分解される)で、故障、例えば電流不足の場合に顕著に起こる分解が公知の反応器デザインと比べて著しく減少されることである。更に、この平形反応器フードは、反応熱の良好な排出を確保する。それというのも、本発明による平形デザインは、フード内(殊に供給フード内)の有利なその表面積/容積比に基づき、反応器内での液体流の停滞の場合ですら、安定かつ安全な運転法をもたらすからである。
【0086】
反応管は、反応器のジャケット空間内を循環する水又は他の冷却媒体で冷却される。供給物は、供給通路を形成している管内で加熱される。更に、供給された反応混合物又はその一部は、これがフードを経てこの反応器に供給される前に、反応温度まで加熱することができる。冷却水により吸収された反応熱は、例えば、この方法の他の場所で使用されるか又は蒸発ネット(Dampfnetz)中に供給されうる水蒸気の製造のために使用される。
【0087】
排出フード又は場合により直接これに接続されている熱交換器から放出される管束反応器の反応搬出物は冷却され、かつ蒸留により後処理されて、純粋なシクロドデカジエノンにされる。この場合に生じる変換されなかったシクロドデカトリエンは、新鮮なシクロドデカトリエンと同様に、好ましくは排出フードから放出される反応搬出物との熱交換によって予め加熱され、送還ラインを経て、出発物質供給流中の混合装置に導かれる。熱交換は、排出フードの混合物又は場合により直接それに接続されている熱交換器の混合物を、供給フード内に導入される混合物と熱伝達性に結合する熱交換器によって有利に実現される。このために、この熱交換器は、送還ラインに又は排出フードに接続している第1循環系及び供給フードへの新鮮出発物質の供給部に接続している第2循環系を有している。選択的に、この熱交換器は、供給フード、新鮮出発物質供給管、供給ミキサー又はこれらと排出フードとの組み合わせを熱伝導性に連結し、相応してこれらと結合していることができる。
【0088】
更に本発明は、本発明による管形反応器中で製造された化合物、殊にシクロドデカトリエンから本発明の方法によって製造されたシクロドデカノンに関する。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1a】図1aは、本発明による管束反応器の2つの実施形の一般的構造を示している。
【図1b】図1bは、本発明による管束反応器の2つの実施形の一般的構造を示している。
【図2】図2は、本発明によるもう一つの管束反応器を詳細に示している。
【図3】図3は、本発明による反応器の供給フードの詳細を示している。
【図4】図4は、本発明による反応器の供給フードの詳細を示している。
【図5】図5は、接続された熱交換器を有する本発明による管束反応器の排出フードを示している。
【図6】図6は、本発明のもう一つの実施形の供給フード及び接続された管束反応器の部分を示している。
【0090】
図面の詳細な説明
図1aは、管束の2端部の間に平行に走っている多数の反応管を有する本発明による管束反応器1を示している。反応管2が、管束反応器の管束を形成している。作動の間に、管の内部に反応混合物が存在する。反応器壁2aは、管束を全周の回りで取り囲み、従って管束を収納している。管束の管の間及び管束と反応器壁の間に存在する空間は、相互に連結していて、作動の間に、冷却媒体又は温度調節媒体により流過される。図1a中に、この反応媒体は、細縞線で示されている。更に管束反応器は入口側のフード、即ち供給フード3を有し、ここに出発物質流5が下から管束反応器中に入る。この際、この管束反応器は有利に、重力の場を考慮して供給フードを管束反応器の最下位置に備えており、管束反応器は、地球の重力の場に対して上向きに直立して配列されている。図1中には示されていないもう一つの選択的実施形では、反応器の配列が、上から入り、下の排出フードから再び出る出発物流で、この反応器の重力の場に対して逆転配列されていることができる。供給された反応混合物(矢印5参照)は、供給フード3を経て管束2中に、即ち管束反応器2の管の内部に導入され、この管束を上方に流過して、出口側のフードに又はその内容積中に達し、この際、搬出側のフードは排出フード4を備えている。従ってこの排出フードは、そこを流過する反応混合物を収容するための管束2及びそれを経て管束を流過した反応混合物がこの管束反応器から出る、生成物流出部6と結合されている。
【0091】
排出フード4は技術水準で慣用の大容積の形を有するが、供給フード3は断面積に対して非常に小さい容積を有し、従って本発明による平形デザインで構成されている。管束を支えるためにそこに管板を備えている管束の供給端部10のところに、それにより供給フードの内容積が定義されている狭い間隙7が存在する。図1から直接、双方が同じ横断面積を有するにも関わらず、供給フードの容積は排出フード4の容積の数分の1の大きさであることが明らかである。
【0092】
図1aから直接、フード内の発熱反応の場合及び排出フード4内の(仮の)同じ出口位置の場合に、供給フード3中におけるよりも明らかに強力な、いわゆる「ホットスポット」が生じるであろうことを判断することができる。従って供給フード3中では、限られた程度のみの温度を上昇させることができる。それというのも、進入する反応混合物は、直接と同様に、中間貯蔵なしに管束中に入り、そこで、温度を放熱又は熱供給によって良好にコントロールすることができるからである。技術水準におけるように設計されている排出フード4を備えているようなデザインの場合には、一方で、進入反応混合物は先ずフード内に一定時間滞留し、従って、明らかに大きい熱量又は温度が発生し、これは劣悪に放出できるのみであり、結果として熱が、例えばホットスポットの形で集まることが明らかである。
【0093】
反応器壁2aは、本発明により、円筒形、有利に円柱形に設計されており、かつ上端に、即ち排出フード4に向き合っている排出端部に、反応器の内部と、従って管束を包囲している空間と接触している、冷却剤流出部を有している。同様に、供給フード3の近くに、従って供給端部10の所に配置されている冷却剤供給部8を備えている。既に認められているように、供給端部10の所に管板が備えられており、これは、管を相互に密封し、従って反応器壁内の管の間の空間を、管束内の、供給フード3内の及び排出フード4内の空間から完全に分けている。しかしながらこの分離は、液体流のみに関し、冷却剤(斜縞)と反応混合物とは分離されているが、これに反して本質的に管束2の反応管の外面から提供される大きい熱伝達面は、温度調節媒体と反応混合物との間の良好な熱伝達を可能とする。供給端部に備えられている管板10に加えて、もう一つの管板が管束の排出端部に備えられており、これは供給端部に対置されている。この管板は、管の支持及び場合により管中に備えられているコンポネント、例えば混合素子、ビルトイン(Einbauten)、熱伝達素子等を支持する作用をする。場合により管束内に触媒を有していることもでき、これは管板によってその位置に保持されている。更に図1aから、双方のフード3及び4が、相応して供給端部10又は対置されている排出端部に付いている反応器壁の結合素子に対応する大容積の結合素子を有することも明らかである。従って、供給端部並びに排出端部で、反応器壁2a又はその端面側は、それぞれのフードの開放端部と密閉結合されていることができる。図1aが壁厚に関しても形状に関しても縮尺基準に従っていないとしても、供給フード3は平形に基づき、排出フード4よりも明らかに大きい壁厚を有して構成されていることを認識することができる。それというのも、排出フード3の平形は、排出フード4のフード形よりもより強力なフード内の剪断力をもたらすからである。図1a中に示されている実施形では、供給フードの内端面側及び対座している外端面側がそれぞれ、管束反応器の縦軸に対して垂直である面に沿って拡がっている。従って、供給フードの内部容積を提供する間隙7は、ディスク形、即ち直径に比べて小さい高さを有する円柱形(Kreiszylinder)を生じる。
【0094】
図1bは、本発明による、反応壁12aにより完全に包囲されている管束を形成する反応管12を有する管束反応器11のもう一つの実施形を示している。更にこの管束反応器11は、図1aの供給フードと同様に構成されている供給フード13及び中を流入する液体流15及び流出する液体流16を包含し、この液体流は、管束内で少なくとも部分的に変換された反応混合物を、管束反応器の排出フード14を経て搬出する。図1aの実施とは対照的に、同様に、本発明による平形デザインの排出フード14が備えられている。従って、管束反応器から離れている供給フード13の内部容積の端面と管束の供給端部20aとの間に、狭い間隙の形の小さい内部容積が生じ、この際、同様に排出フード14の内面は、管束の排出端20bと一緒に排出フード14の内部容積を構成する狭い間隙17bを提供する。これによって、図1bの管束反応器の排出端部でも、排出フード内の混合物の非常に僅かな滞留時間が存在する。このことは殊に、熱に敏感な反応混合物の場合に重要であり、この際、付加的に、排出フード14の表面積と内部容積との高い比が、排出フード14の外側による良好な熱放出を可能とする。言い換えれば、技術水準(図1aの排出フード参照)と比べて、図1bの管束反応器の場合には、管束反応器を出る生成物混合物が、長い滞留時間にわたって高い温度で排出フードフード内に滞留することなしに、直接この反応器から導出される。この短い滞留時間によって、ホットスポットの形成は抑制される。既に認められているように、この滞留時間は殊に熱に敏感な生成物の場合に重要である。それというのも、この結果として、不所望の続発生成物及び続発反応が起こりうるからである。
【0095】
図1aの反応器と同様に、図1bの反応器は、反応器壁2aにフード13、14を固定するための固定素子を示している。図1a中と同様に、図1b中に描かれている反応器中では、フード壁と反応器壁2aと間の耐圧性の密封結合を可能とするために、フランジ結合が選択されている。図1aに描かれている反応器と同様に、図1b中に描かれている反応器は、管束と接触する冷却剤が、反応器の間を流過し、これによって、この管束から反応熱を少なくとも部分的に除去するために、冷却剤供給部18及び冷却剤排出部19を包含している。描かれていない選択的な1実施形では、ここに描かれている冷却剤供給部18は冷却剤排出部として作用し、ここに描かれている冷却剤排出部19は冷却剤供給部として作用する。本発明によれば、原則的に冷却剤の並流も向流も可能である。
【0096】
図1bは反応器タイプの基準尺度の表示でないとしても、管束の表面積と個々の管の内部容積との比がフード14及び13の表面積/内部容積比に近いことが明らかであり、この際、有利に、類似の表面積/容積比が提供される。本発明によれば、供給フード及び/又は排出フードのこの表面積/容積比は、反応管の又は管束12の個々の反応管の表面積/容積比の少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも70%又は少なくとも100%に相当する。このことは、供給フード13及び排出フード14の内部容積及びこれに伴う同様に表面積/容積比を決定する間隙17aと17bの小さい高さによって達成される。放熱のために重要なフードの表面積は、本質的に、それぞれ管束の縦軸に対して垂直である面に沿って走っているフード13及び14の端面側の外面積によって提供される。この表面積それ自体は、本質的に管束の又は反応器壁の直径によって決まり、この際、フード13及び14の端面側の外面積は、反応器2aにフードを固定するためのフランジ結合のための縁部をも包含する管束反応器のそれぞれの端部の反応器壁の断面によって定義される。殊に管板は、反応熱を反応器壁まで、フードまで及び殊に管束内の冷却剤中まで排出させる作用をする。
【0097】
図1bの反応器は更に、図1aの反応器と同様に、反応壁12aの内部、即ちその中に冷却媒体が提供される空間を、フード13及び14のそれぞれの内部空間に対して分離するために、管束の供給端部20a並びに排出端部20bのところに備えられている管板を包含している。
【0098】
図2は、供給フード内の更なる詳細な記載を用いて管束反応器のもう一つの実施形を示している。
【0099】
図2に示されている管束反応器は、円筒形に形成されている反応器壁100を有している。この反応器の他の特徴と同様に、この反応器壁100は、壁厚の記載なしに、そのプロフィルに沿った個々の線のみで特徴付けられている。反応器壁100は、個々の管112を包含する管束110を包囲している。管112は、供給端部114と排出端部116との間に伸びている。従って、全ての管の管端部は相互に整列されていて、供給端部の全ての管端部は同じ平面内に存在し、排出端部の全ての管端部は同じ平面内に存在する。これらの平面はそれぞれ管束反応器の縦軸に対して直角に又は管の伸び方向に対して直角に伸びている。更に管束反応器は、詳細に示されている供給フード120並びに側壁上に設置されている冷却剤接続部140、142(これらは冷却剤流入部140及び冷却剤排出部142を内容としている)を包含している。双方の冷却剤接続部は、管束のセクションを考慮させない特恵的な流れを提供しないように、有利に管束の対立端部の近くに配置されている。
【0100】
更に、反応壁内の冷却剤の良好な分布のために、冷却剤を案内し、混合させ及び/又は渦動させるために、ビルトインを備えていることができる。供給フード120は、下記に詳述されている供給通路150、152a、152bを包含している。これら供給通路は入口位置で、管束の供給端部114と対置して配置されている供給フード120の端面側と結合されている。供給フード120の内部空間内に流入する反応混合物又は出発物質混合物は、先ずこの内部空間内で、図2の実施態様では分配板122(ここでは、そらせ板の形で)及びホモジナイジング板124を有している変向装置上に当たる。この分配板122は、供給フード120の進入口とホモジナイジング板124との間に備えられており、この際、ホモジナイジング板124は変向板122と管束の供給端部114との間に配置されている。双方は、供給フード120の内部容積内に同心円状に拡がっている。分配板122は、供給された液体流を先ず軸方向から半径方向で外向き方向に変向させ、この際、分配板122の進入口に向き合っている側は、それに沿って流れが外方向への流れ、分配板122の周囲まで進む方向を規定する。液体流をその断面周囲で拡大する分配板の外周と供給フード120との間に、供給された液体流を再び軸方向に向ける間隙が備えられている。液体流の軸方向は、この分配板の外周の軸方向のプロフィル(Verlauf)によって並びに分配板122の高さの供給フードの内壁の円筒形のプロフィルによって規定されている。
【0101】
従って、内部空間は分配板によって、軸方向で分割されている。分配板122とホモジナイジング板124との間に、軸方向に伸び、液体流用の空間を空けておくもう一つの間隙が備えられており、これは、半径方向で供給フード120の全断面上にわたり拡がっている。従って、液体流は、予め分配板の高さで、そこに備えられている通路のリング状断面に限定されたフードの全横断面上に集まることができる。流れの分配を(圧力及び速度に関して)全断面上に均一化するために、このホモジナイジング板124は、多数の軸方向の通路(これは管束反応器の縦軸に沿って走っている)を備えている。このホモジナイジング板124中の個々の穴は、各々の管に対して規定された圧力降下を生じさせ、これによって均一な分配を保証する作用をする。この均一な分配を確保するために、ホモジナイジング板124と管束の供給端部114との間の間隙を好適な寸法にし、かつ好ましい1実施形では、その厚さはほぼゼロに近づいていてよく(図2中には示されていない)、この供給端部114は、本質的にホモジナイジング板の管束に向き合っている側上に直接載っているか又はこれと接触している。
【0102】
これら通路によって、ホモジナイジング板124と分配板122との間の間隙に、(僅かな)停滞(Rueckstau:この中に供給された流体が分配されうる)を生じる、流れ抵抗が合目的に提供される。このことは、殊に液相として存在する流体に当て嵌まる。もう一つの(任意の)空間がホモジナイジング板124と管束110の供給端部114との間に存在し、この中で、ホモジナイジング板から出る個々の流れが相互に影響することができ、従って均一化をもたらすことができる。この空間を、図3に示されているように完全に排除することができ、ここでは、ホモジナイジング板が直接、管束の供給端部に隣接している。この分配板122は貫通性に(durchgaengig)構成されており、例えばそらせ板の形の軸方向での流れは不可能であるが、穿孔板としてのホモジナイジング板が備えられており、この際に、穿孔が個々の軸方向の通路を提供し、これが目標の流れ抵抗を生じさせる。
【0103】
図2中に描かれている管束反応器は、更に図2中には描かれていない管板を有し、これは、一方で、管112を支持する作用をし、他方で、供給フードの内部空間と反応器壁の内部空間(この中に温度調節媒体が提供される)を分離する作用をする。図2中でこの管板は、管板中に終端している管束の下部閉鎖を形成している。従って、管束の供給端部はこの管板中に存在し、これと接続している。この管板は、管束を包囲している反応器の空間を、供給フード120から分離している。
【0104】
液体流の供給部には、多数の供給流(これらは個々の供給通路150、152a、b及び付属のY−分岐により提供されている)が提供される。図2中に描かれている供給部は、分岐管を包含し、これはY−分岐150、150a、bによって、供給フードのそれぞれの進入口で提供される多数の進入位置に分けられる。
【0105】
図2中にはY−分岐による2段分岐が描かれており、ここでは、先ずY−分岐150で単一の供給流が、2つの同じ大きさの供給通路に分けられ、この際、これらの分けられた通路は、再びそれぞれ次の段の更なるY−分岐152a、bによって、更なる供給通路に分けられる。供給通路のY−分岐部の曲率半径は、それに接続している管の管断面積の少なくとも2倍の大きさである。
【0106】
ホモジナイジング板124及びホモジナイジング板と供給端部との間の間隙(これは省略されていることもできる)の通過の後に、反応混合物は、管束の対置端部で排出端部116を出るために、管束110の管112を流過する。この間隙は、有利には脱落している(ゼロの厚さに相当)か、又は管束の外径の5%o、2%o、1%o、1%o、0.5%o、0.1%o又は0.05%oを下回っている。図2は、この間隙を、この装置の個々の機能素子を相互に良好に区別する目的のために、著しく拡大された形で描いている。排出端部116で、管からの反応混合物は、この混合物が排出接続部160中に入る前に、内部容積162中に進む。管束の排出端部の内部容積162は、排出フード164の内側によって規定され、そのうち、図2中には、単に供給フード120とも同様に液体流にとって重要である管束反応器の内部輪郭を用いてのみ描かれている、排出フード164の内側によって規定されている。放出フード124は、管束110を完全に包囲している反応器壁又は反応器ジャケット100と液蜜に結合されている。従って管束の排出端部の排出フードは、反応器壁と同じ直径を有し;管束110の供給端部114に反応器壁と同じ内部断面を有する供給フード120にも同じことが当て嵌まる。排出フードと管束との液蜜な結合は、有利に、管束に向き合っているこのフードの端部が反応器底に直接隣接して(描かれていない)、これと液蜜に結合していることによって提供される。この反応器底は、半径方向で完全に反応器壁まで又は管束に向き合っているフードの端部まで拡がり、管板を完全に閉鎖している。排出フード164は、供給フード120を捕捉する機能、即ち、液体流を小さい断面を有する排出接続部160に集束された形で供給するために、管束10の排出端部116から出る液体流を集める機能を有する。この供給フードのこの補助機能は、(束で)供給される液体流を広げ、かつそれを管束110の供給端部114上まで一様に広げるか又は分配することである。図2中で、排出フード164の内部空間の高さは、供給フード120の内部空間の高さよりも小さい。しかしながら、供給フードと排出フードとは同じデザインが好ましく、この際、供給フードに関して記載されている形状特徴は排出フードにも当てはまるか、又はその逆でもある。しかしながら、本発明のもう一つの態様によれば、排出フード164は、供給フード120よりも小さい高さを有して構成されていることができる。それというのも、供給フード120は、変向装置を内蔵しているか又は包囲しており、排出フード164は、フードカバーと排出端部160との間に空の内部空間162を有するからである。排出端部160は、排出側の管板(描かれていない)と接続していることができる。管束は、管板(描かれていない)に又はその中に通じており、その際、この管板は、管と管束との間の空間を、排出フード164の内部空間162から分けている。従って、排出フード164の(空の)内部空間162は、反応器壁及び排出フードとも密閉結合している管板及び排出フード164の内壁により液密に遮蔽される。
【0107】
排出接続部160は、生成物混合物をもう一つの加工工程に又は充填装置に導く導管に接続されていることができる。しかしながら、本発明のもう一つの態様によれば、排出接続部160に、熱交換器170(これは図2中には点線で描かれている)が直接取り付けられる。従って、熱交換器170と排出フード164との間に、有利に、例えば管束の半径よりも小さい又は管束の半径の75%、50%、25%、10%又は5%よりも小さい非常に短い結合部(Verbindung)を備えている。排出接続部160を通って排出された生成物混合物は、熱交換器170に供給され、そこで冷却され、かつ、熱交換器の出口172から再び(冷却され又は温度調節されて)外に出る。
【0108】
温度調節のために、この熱交換器は、有利に、同様に管束又は生成物混合物を、温度調節媒体から分離する作用をするが、同時に生成物混合物から温度調節媒体への良好な熱伝達を可能とする冷却コイル(Kuehlschlaufen)を有する。これに加えて、この熱交換器170は入口174及び出口176を有し、この際、この入口174を通って冷却媒体が熱交換器170内に導入され、かつ、(冷却されるべき生成混合物の場合)加熱された温度調節媒体が反応器170から出口176を通って導出される。反応条件に依存して、供給される出発混合物又は反応混合物がこの熱交換器によって予備加熱されることもありうる。このために、熱交換器は、反応器に供給される混合物を予備加熱し、同時に反応器排出物を冷却するために排出物の潜熱を使用する。この熱カップリング(Waermekopplung)は、熱交換器が提供する適切な熱伝達結合によって達成され、これは反応器供給部及び反応器排出部を熱伝達のために結合する熱交換器により支持される。有利に、排出接続部160は、媒体が既にフード内の特定の出口位置を通って、好適に熱交換器170の管束中に入るように構成されており、この際、排出フードの出口位置は、管束反応器の生成物混合物供給位置に相当する。
【0109】
図2は、真の尺度で描かれてはいない。殊に供給フード、排出フード及び供給フード内に存在するプレートの寸法差は標準的な尺度で描かれてはおらず、反応器の縦軸に沿って液体流の流れが容易に認識できるように拡大されている。
【0110】
図3は、本発明による管束反応器の管束の供給フード及び隣り合っている供給端部を詳細に示している。供給フード220は、管束反応器200に、従って多数の管212を有している管束210に接続している。全ての管は、管束反応器の供給端部214を表す同じ平面上に終端している。管束210の供給端部に、供給側の管板213が配置されており、その中に管束210が終端又は流入している。管212は、管内部空間を供給フードに対して又は管212の間に拡がっている空間に対して液蜜に閉鎖するために、管板の開口部に接続しているか又は少なくとも部分的にこの中まで伸びている。反応器壁205は、供給フード220の方向で固定装置208中に繋がっており、それと共にフランジを形成することができ、このフランジによって供給フード220は反応器壁205と結合されている。この固定装置208と反応器底213も液蜜に結合されている。図3中では、反応器壁205及び殊に固定素子208は面214と締結しており、この面に、管束の供給端部214及び反応器底213の外側端面も存在する。反応器底213の対座している内側端面は、管212の間の空間の方に向いている。この面214で、供給フード又は供給端部に向かっている端面側は、反応器壁及び殊に反応器壁205の結合装置208に接合している。管212は、管底213(これは管212と一致する通路を有し、この中にこれらが差し込まれているか又はこれと管212が他の様式で結合されている)により支持され、その結果として、管底213は管212を支持している。管底213は、反応器壁205の内側に、この反応器205と機械的に安定にかつ液蜜に結合されている。通路を有しているこの管底は、管束210の供給端部214と結合している。
【0111】
描かれていない選択的な1実施形では、管底(及び図3中に描かれていない搬出側の管板)並びに固定装置の部材がフランジとして構成されており、この際、この管底の固定装置の部材は、管の通路又は穴を有する特有の堅固な鋼板としての管底と一緒に構成されている。従ってこの管底は、供給端部のところの反応器壁と同様に、固定装置の一部を有して構成されており、この際、管底及び反応器壁上に分布している固定装置の部材は、例えば固定ねじを使用するフランジ結合である。
【0112】
描かれていない選択的な1実施形では、管束反応器の供給端部及び管底213は上下方向でずれている、即ち、供給フードの供給端部に向き合っている終端側から、一定距離だけずれており、これによって付加的な容積が生じる。反応混合物供給部と管束の供給端部との間に容積が提供されるので、これは供給フードの内部容積の一部と考えられる。管束の供給端部のこの逆戻り(Zuruecksetzung)により、ホモジナイジング板224と管束の供給端部214との間にもう一つの間隙が生じる。図2中では、このような間隙が符号130で特徴付けられている。しかしながら、特別好ましい1実施形によれば、このホモジナイジング板は、図3に示されているように、本質的に間隙を形成することなしに、供給側の管板に直接接合している。
【0113】
図3に描かれている実施形では、穿孔板として構成されていて、その通路が穿孔板の通路と並んでいるホモジナイジング板214は、直接、管束214の供給端部上に存在しており、従って、同様に供給端部214と結合している管板213に直接接触しており、この際、この管の端部はこの全管板に拡がっている。選択的に、この管束は管板の(上)部中まで伸びていることができ、この際、この管板の通路は、供給フードまでの流体結合を形成し、従って、この管束の供給端部は、面214(これにホモジナイジング板が隣接している)まで延びている。このホモジナイジング板224は、穿孔板として構成されており、これは管束の縦方向に走る多数の通路(これらは一定の流れ抵抗を提供する)を包含している。これによって、目標の(小さい)停滞(Rueckstau)が生じ、これが、この断面上及び管束の全管上の流れの速度を均一化する。このホモジナイジング板は、供給フード220の回りの溝中に挿入されているので、供給フード220と反応器壁の結合素子208との結合時に、同様にこのホモジナイジング板224は固定される。このホモジナイジング板224の穴は明らかに個々の管212の断面積よりも小さいことがありうるので、個々の管は、このホモジナイジング板224の多数の穴の流れを受け取る。選択的に、このホモジナイジング板224は、それぞれ特定の管に対応していて、正確に1個の穴がきっちりと対応管に反応混合物を提供するように割り当てられている穴を有することができる。この場合のこのホモジナイジング板244中の穴の横断面積は、個々の管の内部断面積よりも小さいことが有利である。
【0114】
更に供給フード220は、ホモジナイジング板とは対照的に、通路を有せず、代わりに、連続的な断面積を有する分配板(Verteilerplatte)222をも包含している。この分配板222は、結合素子223で、供給フード220(これは、供給端部214に対座して配置されている)の端面の内側に固定されている。既に図2で記載されていると同様に、反応混合物は、進入位置251から供給フード220の内部空間中に入り、そこで、反応混合物の液体流を半径方向で外に導く分配板222の表面に突き当たる。図3中では、この表面は、図2中で意図されているような平形表面として描かれておらず、むしろ、管束の方に向いた凹面として好適な表面を有している。その上に供給された液体流が当たる表面は、原則的に任意の形を有することができるが、有利には平らであるか又は液体案内に望ましい他の形を有する。従って、分配板222は、供給フード220の内部容積の供給側の端面の間に第1の間隙を提供し、この中で、供給された液体流は広げられる。この間隙226(この中で液体流は広げられる)は、殊に流入反応混合物が特定の管中に入らず、他の管が少量流で装入されないことを確実にする作用をする。この理由から、分配板及びそれに伴う供給された液体流がそれに当たる表面は、供給端部の断面上を越えて拡がる。供給端部の管束の断面又は管束を囲む限定された円が、供給端部の断面と称される。分配板222とホモジナイジング板224との間にもう一つの間隙227が存在し、この中で、内部容積は自由に流過可能であり、従ってこれは広げられた液体流を集める作用をする。分配板とホモジナイジング板224との間に間隙227による特定の容積が提供され、ホモジナイジング板224は確実に停滞を形成するので、反応混合物は間隙227中に集まり、この内部容積の全断面上に、殊に管束の断面上に集まり、横断間隙227内の流れの均一化をもたらす圧力均一化を可能とする。従って、間隙227は、反応混合物が均一に供給端部214中に入る前に、この反応混合物を集める空間としての作用をする。更に、この間隙227は、停滞又はホモジナイジング板224により提供される圧力差を得るためのせき止め空間(Stauraum)としての作用をする。
【0115】
図4は、供給フード320及び3本の管312で例示的に描かれている管束の供給端部314を有する管束反応器の断面を示している。フードは供給端部から離れた端面側に、それを通って反応混合物が供給フード320の内室中に入る供給部351を包含している。この供給部351は、縦軸Lからずれており、従って反応器フードの中心を外れて備えられている。描かれていない中心を外れた広い供給に基づき、供給流は、供給フード320内部に備えられている分配板322により半径方向で外向きに変向される。分配板322の外縁(図示されていない)とこの供給フードの内側との間に、リング状の通路が備えられており、これは反応混合物を再び軸方向で曲げ、供給フード内の分配板322とホモジナイジング板324との間の間隙327中で曲げる。既に認められているように、ホモジナイジング板324は、分配板322とは対照的に、例えば穿孔板又は焼結板の形の(軸方向の)通路を備えている。一般に、ホモジナイジング板内の通路は、それらがホモジナイジング板の両端面側を相互に結合するように構成されている。ホモジナイジング板内の通路の具体的なプロフィルは自由に選択することができ、殊に好適な流れ状態及び好適な流れ抵抗を提供するように構成されていることもできる。任意のこのホモジナイジング板は、良好な説明のために役立つ間隙327a有し、これは、好ましい1実施形でホモジナイジング板324が管板313に直接隣接している場合には省くこともできる。管板313中に管312が差し込まれている。図4中では、管312が管板の第1のセクション312b中に差し込まれ、第2のセクション312aは、この管と供給フードの内室との液体結合のための通路を備えている。この管板の第2セクション313aは、管の内部断面積よりも小さい断面積を有する通路を有する。結果として、第2のセクション313aは、ホモジナイジング板324と同様に、流入反応混合物の堰止め作用(Stauwirkung)を形成し、管束の管に関する1種の絞りを形成する。従ってホモジナイジング板324は任意のものであり、省くことができ;所望の流れ状態に依存して、第2のセクション312a中の通路断面を提供することを排除することができる。従って、第1のセクション312bは、管束の管を支持する作用をし、第2のセクション312aは、管束に反応混合物を導入し、かつこの供給部中の流れ断面を合目的に狭めるために、反応混合物用の供給通路を形成する作用をする。第1のセクション312bは、第2のセクション312aと一緒に1体に(einteilig)で構成されていることができるか、又は二つのセクションが2体に(tweiteilig)で構成されていることができる。2体構成の場合には、これらセクションは、直接に又は支持装置を介して又は反応器ジャケットを介して相互に結合されている。
【0116】
描写されていない1実施形では、第2セクション(312a)の通路断面が、第1セクション(312b)の断面と同等の大きさであり、この場合には、特別好ましく管板に直接隣接しているホモジナイジング板が有利に使用される。この実施形では、双方のセクションの間に差はなく、双方が第1セクション313bと同様に構成されている。言い換えると、この実施形では、通路は一定の断面を有し、この際に、管は、全管板を貫通し、かつ有利には、供給フードに向き合っているこの管板の側と接続している。従って、この供給端部は、この側に沿って走っている面に適合している。管板と管束の管とは、圧力ばめ(Presssitz)によって、蝋接によって及び有利には双方を用いることによって結合されている。この実施形では、相応する管セクションと一緒になって反応混合物を管束まで供給するための通路を形成する管板のセクションは、管を支持する作用をもする。しかるに、図4の実施形では、これら二つの機能はセクション313aと313bに分けられている。ここに描かれていない実施形では、好ましくホモジナイジング板と組み合わされている。このホモジナイジング板は供給板端部に直接隣接している。
【0117】
再度、図4中の実施形に関して、ここでは同様にホモジナイジング板が管板上に配置されており、これは符号324で示されている。分配板322は、供給フード320に又はその側壁面に接合していないか又はこれと接続していないが、ホモジナイジング板324は、それが供給フードと封隙性に結合しているか又は少なくとも全ての管出入り路を覆うように構成されている。従って、ホモジナイジング板の外には、又はホモジナイジング板の外縁部のところには実質的な流れは生じない。供給された全混合物は、ホモジナイジング板324の通路を案内される。従って、このホモジナイジング板324の穴又は通路に基づき、流れ抵抗が生じ、集められた液体流は、ホモジナイジング板324を通り抜ける際に抵抗に遭遇する。これによって、間隙327中に、間隙327内の供給フードの断面に沿った圧力平衡に作用する目標の停滞(Rueckstau)が生じる。ホモジナイジング板324と供給板313aとの間に、ホモジナイジング板324から出る液体流を、それが管束の管中に入る前に更にホモジナイジングする作用をするもう一つの間隙327aを備えていることができる。しかしながらこの間隙は存在しないか又は管板の通路の直径よりも又は管束の管の内径よりも明らかに小さいかことが有利である。管板の第2のセクション313aは、それに個々の管が接続する通路を有している。殊にこの第2のセクション313aは、各々の管に対して正確に、管の内断面と整列している1通路を包含している。従ってこの管の内部断面は、管束の供給端314に付いている第2セクション313aの通路の断面を完全に取り囲む。
【0118】
選択的に又はこれと組み合わせて、その中に管312の端部が入り込んでいる管板の第1セクション313bが存在する。従ってこの管板は管と気密に結合しており、この際、第1セクション313b及び従ってセクション313a中の通路も、相互に、かつ他の管312と気密に結合しており、従って、有効な供給端部が、反応器底の下側(供給フードに向き合っている)まで伸びている。このことは、有利に管と反応器底との間の圧力ばめ及び/又は蝋接結合をも含む、管束を管板313a、b上に押し付ける重力によって達成することができる。従って、この管束反応器は、有利に縦軸Lが重力の方向に一致し、供給フードが管束反応器の下端を構成するように整列されている。管板313aは、一方で管束を支持する作用をし、更に場合により、管内に備えられている物体、例えば放熱体又は触媒体の支持体としての作用をする。有利に管束反応器が均一に分配された触媒を用いて又は用いないで作動される場合には、管束内に放熱体を備えている。殊に、外因性又は強外因性の反応タイプで、管内に備えられている放熱体は、反応容積、即ち、その中に管束内の反応混合物が存在する容積を減少させ、かつ同時に、生じる反応熱を、反応混合物を直接放熱体に接して案内することにより、及びこの放熱体を管312の管内壁と接触させることにより又は管312の内壁と固定することによって、熱を管壁に、従って管312の外管壁の回りを流れる温度調節媒体に放出させることができることによって、発生する反応熱を放出させることができる。これによって、一方で、発生した反応熱は、当該容積に対して減少され、この際、放熱体は、この中で反応が起こらない空間を占め、他方で、反応熱を付加的に除去する。それというのも、この反応混合物は管を経てのみならず、放熱体又はその表面を経て、反応熱を放出するからである。殊に、定常状態の作動で、流れの逆混合(Quervermischung)は合目的に高められ、これによって、流れ断面上に望ましい流速分布が生じる。この逆混合により外部熱伝導は高まる。故障の場合、例えば反応混合物−循環内のポンプ損傷(エネルギー不足)の場合には、成形体は、高い熱容量に基づき多くの熱を吸収し、放熱不足(高い滞留時間に基づく)により生じる反応混合物の不所望に強い加熱を阻止する。管板313a、b内の通路又は貫通部の断面積は、放熱体が管板313a、bを通って供給フード320中に達することを避けるように、放熱体の最小断面積よりも小さいように設計されていることが有利である。この目的のために、管束上に、放熱体を管束中に保留する篩を配置することもできる。この篩の機能は、有利に管束の供給端部又は管板に直接隣り合っているホモジナイジング板により実現させることができる。放熱素子の代わりに又はこれと組み合わせて、反応混合物に対する付加的な触媒表面を提供するために、触媒体を管内に備えることができる。この管内に、放熱体としてラシッヒリングを備えていることもできる。更に管束は、供給端部のところに、管の内部断面積の減少のための絞り素子(Blendelement)を有することもできる。この素子は、第2セクション313a中のホモジナイジング板及び細い通路と同じ目的を有する。この放熱体は、熱に対する作用効果と並んで、殊に流れ効果(混合)を惹起し、管内の容積を目標に合わせて人工的に低下させるので、この放熱体は、混合体(Vermischungskoerper)とも、又は場所支持体とも称されうる。
【0119】
図5は、熱交換器を有する本発明による管束反応器の排出端部を詳細に示している。図5は、排出側に付いている管束反応器401の上端を示している。管束反応器の管束の内、例示的に、管402が描かれている。この管束反応器は、その中に管402が入れられている管板405の端面側、リング404及びフードセクション403によって形成される排出フードを包含している。これは、1体に(einteilig)構成されていることができるか又は描かれているように、2体に構成されて、相互に結合されていることができる。フードセクション403は、リング404と共に、狭い間隙404aを形成し、その中に管402が生成物混合物を導入する。反応器の出口側についている反応器の管板405は、フランジ結合によりリング及びフードセクション403と結合されている。このフランジ結合は、更に、その広がりが、フードセクション403と管板405の縁部に破線で描かれているねじ結合(描かれていない)をも包含している。図5中に描かれている反応器は更に、反応器と反対側のフードセクションの端面側と熱交換器の管板406との間に形成される間隙404aを間隙404bと結合する結合穴413を包含している。進入側の管板405は、フランジ結合によってフードセクション403と結合されており、この際、当該ねじ結合の範囲は、熱交換体の進入側の管板の外縁部上に破線で示されている。
【0120】
熱交換器は、熱交換器管408を包含し、図5中には、このうちの2本のみが例示的に開示されている。その中に熱交換体管が入れられている熱交換器の入口側の管板406を経て、反応器から排出された生成物混合物は、熱交換器管408中に入る。熱交換器管408により形成された管束が、熱交換体ジャケット408a内に配置されており、その中に、温度調節液体、即ち、温度調節循環系の熱の媒体が存在している。従ってこの熱交換器は、2次冷却循環系の入口411並びにこの2次冷却循環系の出口412を包含しており、これは熱交換管408を通って進む1次循環系と結合している。向流作動を得るために、入口411は熱交換器の端部に配置されており、この端部は排出フードから離れて配置されており、出口412は、熱交換器の端部に配置されており、この端部は排出フードの所に配置されている。特別好ましい1実施形においては、2次冷却循環系の入口411を通って、出発物流が案内され、これは、2次冷却循環系の出口412から出て、反応器401の供給フードまで案内される。従って、供給フード中に導入される反応混合物と排出フードから排出される液体混合物との間の熱交換が得られる。もう一つの実施形によれば、全ての出発物流が2次冷却循環系に案内されずに、代わりに、調節可能な分が案内され、この際に、供給フード中に直接導入される分に対する2次冷却循環を通って案内される出発物流分のコントロールによって、全反応プロセスの熱処理が調節される。従って、例えば差し当たり冷たい出発物流411(入口411で)を予め加熱することができ、この場合には、予熱された出発物質流412の出口(出口412で)は、反応器の供給部と直接又は例えばミキサーを介して結合される。
【0121】
図5の反応器の熱交換器は更に、熱交換器の出口側に備えられているもう一つの管板を包含している。これに、熱交換器の出口側のフード409が接続されており、この中に生成物流又は熱交換器408を通って案内された生成物混合物が集められる。熱交換器の出口側フード409に、冷却された生成物の出口410が接続されており、ここから冷却された生成物流が出て、例えばもう一つの加工工程に又は充填装置に供給されうる。従って、図5中に描かれている熱交換器は、結果として生成物流から出発物流への熱伝達を行い、この際に、生成物流中に存在する反応熱は、出発物流を予備加熱するために、その上に放出される。この予備加熱によって、一方では、反応器内に低い温度勾配が得られ、他方では、この反応器に供給されるべき反応混合物を既に好適な作動温度にすることができる。熱交換器による反応器の排出端部での直接的な反応熱のこの排除は更に、生成物混合物が反応器を出ると直ちに、非臨界温度まで冷却される利点を有する。シクロドデカトリエンと亜酸化窒素との反応の場合のように、反応器を出る混合物が、不所望な続発反応を伴う物質を包含している場合には、冷却によって、排出フード内の不所望な続発反応が、排出フードの小さい内部容積の結果として本質的に抑制され、排出される混合物流中での続発反応は、これが排出フードから出たら直ちに、そこに存在する熱交換器で冷却されることによって、抑制される。更に、図5中に描かれている構造(ここでは、熱交換器の入口側の管板が、直接フードセクション403の上に存在する)によって、出てくる生成物流の急速冷却が達成される。それというのも、フードセクション403は、熱交換器406の入口側の管板で冷却されるからである。従って、結合孔413内でも、限られた程度の続発反応が現れるだけである。それというのも、そこでは既に熱交換器によって温度調節されるか又は冷却されるからである。既に認められているように、出発物質が既に予熱されて存在し、従って充分な冷却が好適でない場合には、冷たい供給出発物流を用いる冷却の代わりに、温度調節媒体を2次冷却循環を経て熱交換器中に導入することもできる。
【0122】
反応器から出る生成物混合物が有利に冷たい出発物質混合物との熱カップリング(Waermekopplung)によって冷却直接冷却される本発明による方法、並びに冷却を意図する熱交換器を排出フードの直接上に備えている図5に示されている装置が、殊に出発物質混合物が、完全には変換されずに、反応器の管束内の通過の後にも、なお続発反応を惹起することのできる成分少なくとも1種を含有する反応のために好適である。これは殊に、管束反応器中でのシクロドデカトリエンと亜酸化窒素との反応の場合であり、ここでは、反応混合物内のシクロドデカトリエンは完全には変換されず、例えば30%までの程度又はそれ以下である。不完全な反応の結果として生成物流内に残っている残留シクロドデカトリエンは、殊に高い温度で続発反応を引き起こすことがあるので、この続発反応は、目標生成物の選択率を明らかに低下させる。しかしながら、出てくる生成物混合物が本発明によって直ちに冷却されると、この続発反応は明らかに減少される。更に、生成物混合物中に存在するこの目的生成物であるシクロデカジエノンは、亜酸化窒素と更に反応してジケントンを生じることがあり、これによりこの選択率は同様に減少される。この不所望な反応は温度依存性であるので、出てくる生成物混合物の直接冷却によって、この反応を充分抑圧することができる。殊にシクロドデカトリエンと亜酸化窒素との反応でシクロドデカジエノンと窒素を生じる場合には、不所望な副反応、続発反応及び不所望な生成物を、供給フード内、排出フード内及び引き続く生成物流路中での合目的な温度コントロールによって減少させることができる。このことは、供給フード内、排出フード内の小さい容積により及び反応器から放出される生成物流の直接的冷却によって達成される。これによってこの反応は、本質的に管束上に限定されるので、非常に僅かな量のみの混合物(これは、異なる作動温度を有し、殊に生じる反応熱の結果として、場合により不所望な続発生成物を生じる)が、この管束の外に(即ち、供給フード内、排出フード内及び排出される生成物流内に)存在する。
【0123】
供給フード中、管束内及び特に排出フードの反応混合物は、有利に液相で、又は僅かな割合で気相で存在する。殊に供給フード内及び管束内のこの反応混合物は、本質的に液相で存在するが、排出フード内の反応混合物は液相で、かつ反応器容積(=フード容積+管束の容積)の20%、10%、5%、2%、1%、0.5%又は0.1%の最大割合で、気相で存在する。この関係で、液体中に完全に溶けたガス及び液化されたガス混合物も液相に該当する。
【0124】
図6は、本発明による管束反応器のもう一つの実施態様を示しており、この際、供給側が詳細に示されている。この管束反応器は、反応器の縦軸Lに沿って伸びている供給管505を有する供給フード503を包含している。更にこの反応器は、その中に管束の管512が入れられている管板513を包含している。従って、供給フード503と一緒になって管板513bは、供給フードの内部空間503aを形成している。管512の供給端部と反応器フード503の対置内部端面との間の全空間は、内部空間に該当する。従って、この内部容積の一部は、排出フードまで伸びているリング(この内部断面は、内部空間に寄与する)を包含している反応器底部513bによって提供される。更にこの内部空間内に、変向装置が存在し、これは、分配板522及びホモジナイジング板524を包含している。これにより、全内部空間に拡がっている空の全断面積それぞれ1個を有する3つの間隙が提供される。これらの間隙は、分配板522と放出フード503(これは、管の供給端部と対置している)の内端面側との間に提供される。全断面上に連続したもう一つの間隙が、分配板522とホモジナイジング板524との間に備えられており、この際、第3の間隙がホモジナイジング板と管束の端面側との間に、即ちホモジナイジング板524と管512の供給端部との間に備えられている。分配板522の高さで、この横断面が分配板522の外縁と分配フードの内側との間に存在する狭い間隙を規定している。
【0125】
従って流入部505中を流れる混合物は、分配板522と反応器フード503の内端面側との間の第1間隙を通って半径方向で外方向に導かれ、供給フードの内壁と分配板522の外縁との間のリング間隙を流過するので、この液体流は、この混合物が分配板522とホモジナイジング板524との間の間隙中に入る前に、狭い縁部を有するリングの形を有している。この間隙中で液体流は再び全横断面上に集まるので、この液体流は、内部空間断面の形の円に一致する断面を有する。分配板とホモジナイジング板との間の間隙527は、流れを一様に分配する作用をする。それというのも、ホモジナイジング板524は、流れを目標に応じて堰き止めるからである。分配板と供給フード503の内壁との間のリング間隙527aは、供給部505中の流れ断面から出る流れ断面を広げる作用をする。更に供給フードは、分配板512を供給フード503の内端面側(これは、管512の供給端部と対置している)と結合する固定素子を包含し、この際、この固定素子は更に、これにより間隙527の高さを規定するために、分配板522に対して一定の間隔で、ホモジナイジング板を固定し、更にこの際に、供給フード503との結合によって、ホモジナイジング板524は供給フードに固定される。ホモジナイジング板と供給フード503の内側壁との間に間隙は存在しないことが有利であり、この際、他の実施形では僅かな間隙が存在することがあり得るが、これは、間隙527aの幅よりも小さく、有利には、分配板522の外縁と供給フードの内側壁との間に提供されるリング間隙527aの間隙幅の50%、30%、20%又は10%よりも小さい。
【0126】
更に図6に記載の本発明による管束反応器の態様は、管512の供給端部の近くに、この反応器の内部に温度調節媒体を供給するための、冷却水の流入接続管508、特に反応壁502aの周囲の回りに分配配置された接合管を有している。更にこの反応器は、排出側上に、反応器の内部から温度調節媒体を排出する作用をする同様な接合管(描かれていない)を包含している。更にこの反応器は、穿孔板513を包含し、これを通って管512が伸びていて、この穿孔板は更に管の間に存在する軸方向の通路を包含し、ここを通って、温度調節媒体が排出端まで、殊に排出接合管(描かれていない)まで案内される。
【0127】
好ましい1実施形で、この反応器は、約2500又は約1600本の管を包含している。分配板522とホモジナイジング板524との間の間隙527は、1例によれば、25mm±4mmの高さを有し、分配板522と供給部505に付いている供給フード503の内端面側との間の通路は25mmの高さ及び700mm又は550mmの直径を有する。内部空間503aは、有利に、管束反応器の縦軸Lに一致する縦軸を有する円柱(Kreiszylinder)として構成されている。分配板522は30mmの厚さを有し、この際、分配板522の外縁と供給フード503の内側壁との間の距離は15mmである。これによって、この分配板の高さに、30mmの長さ及び15mmの厚さ(=内部円筒と外部円筒との間の半径方向の距離)を有する中空円筒の形の流れ断面が生じる。
【符号の説明】
【0128】
1 管束反応器、 2 反応管、 2a 反応器壁、 3 供給フード、 4 排出フード、 5 出発物質流、 6 生成物流出部、 7 間隙、 8 冷却剤供給部、 10 供給端部、 11 管束反応器、 12 反応管、 12a 反応壁、 13 供給フード、 14 排出フード、 15 液体流、 16 液体流、 17a 間隙、 17b 間隙、 18 冷却剤供給部、 19 冷却剤排出部、 20a 供給端部、 20b 排出端部、 100 反応器壁、 110 管束、 112 管、 114 供給端部、 116 排出端部、 120 供給フード、 122 分配板、 124 ホモジナイジング板、 130 間隙、 140 冷却剤接続部、 142 冷却剤接続部、 150 供給通路、 152a 供給通路、 152b 供給通路、 160 排出接続部、 162 内部容積、 164 排出フード、 170 熱交換器、 172 出口、 174 入口、 176 出口、 200 管束反応器、 205 反応器壁、 208 固定装置、 210 管束、 212 管、 213 反応器底、 214 供給端部、 220 供給フード、 222 分配板、 223 結合素子、 224 ホモジナイジング板、 226 間隙、 227 間隙、 251 進入位置、 312 管、 313a 第2セクション、 313b 第1セクション、 314 供給端、 320 供給フード、 322 分配板、 324 ホモジナイジング板、 327 間隙、 327a 間隙、 351 供給部、 401 管束反応器、 402 管、 403 フードセクション、 404 リング、 404a 間隙、 404b 間隙、 405 管板、 406 管板、 408 熱交換器管、 408a 熱交換体ジャケット、 409 出口側フード、 410 出口、 411 2次冷却循環系の入口、 412 2次冷却循環系の出口、 413 結合孔、 502a 反応壁、 503 供給フード、 503a 内部空間、 505 供給管、 508 流入接続管、 512 管、 513 穿孔板、 513b 反応器底部、 522 分配板、 524 ホモジナイジング板、 527 間隙、 527a リング間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管束反応器の供給フードと結合している供給端部を有する、管束を有している管束反応器であって、前記供給フードは、供給端部の横断面積及び内部容積を有する平形デザインで構成されており、内部容積の横断面積に対する比は0.35mより小さい、管束を有する管束反応器。
【請求項2】
供給端部に配置されている供給フードの内部容積のセクション少なくとも1つが、円筒、円柱、中空円筒又は円形の内部断面及び外部断面を有する中空円筒の形で構成されている、請求項1に記載の管束反応器。
【請求項3】
供給フードの内部容積内に1つの変向装置が備えられていて、この変向装置は、液体流が供給端部中に入る前に、供給接合部から供給フード中に流れる液体流の少なくとも一部を半径方向で外向きに変向させるために、供給フードの供給接合部と管束の供給端部との間に配置されている、請求項1又は2に記載の管束反応器。
【請求項4】
変向装置は分配板を包含し、その断面積は、この板の外縁の内部容積内でこの板の軸方向でかつ分配板の外縁の回りを走る通路を形成するために、供給端部の内部容積の断面積よりも小さく、かつ、前記変向装置は更にその中を走る多数の通路を有するホモジナイジング板を包含しており、この際、このホモジナイジング板は分配板と供給端部との間に配置されており、この分配板は供給接続部とホモジナイジング板との間の内部容積の空のセクションを空間的に分割している、請求項3に記載の管束反応器。
【請求項5】
分配装置は、管束の供給端部と供給フードの供給接続部との間に拡がっており、この分配装置は、供給端部を、この液体流の変向によって供給接続部からの直接的な軸方向の液体流に対して本質的に完全に覆う目的で、全供給端部を供給接続部から出てくる液体流に対して覆っている、請求項3又は4に記載の管束反応器。
【請求項6】
多数の供給通路を備えている請求項1から5までのいずれか1項に記載の管束反応器であって、前記の供給通路は、供給フードの1壁内に備えられていて、その内部容積中に通じている複数の進入口を有しており、この際、少なくとも1つの進入口は供給端部の中心軸を外れて配置されているか又は全ての進入口はこの中心軸の回りに円に沿って一様に、又はリング内に配置されている、請求項1から5までのいずれか1項に記載の管束反応器。
【請求項7】
進入口は、管束反応器の管の縦軸からずれており、各々の進入口の中心は、管の最寄りの縦軸に対して最大距離を有している、請求項6に記載の管束反応器。
【請求項8】
供給通路は、分岐している管から提供され、これらの管は、進入口の2つに接続しているか又はもう一つのY−分岐に接続されているY−分岐を有している、請求項6又は7に記載の管束反応器。
【請求項9】
管束は、供給端部に対座していて、管束反応器の排出フードと結合されている排出端部を有しており、この際、この排出フードは、排出端部の横断面積及び内部容積を有する平形デザインで構成されており、排出フードの内部容積の横断面積に対する比は0.35mより小さい、請求項1から8までのいずれか1項に記載の管束反応器。
【請求項10】
出発物混合物を管束中に導入し、この管束内で出発物質混合物の少なくとも一部分を生成物まで変換することを含む管束反応器を作動させる方法であって、この際、前記の導入は、出発物混合物を管束反応器の供給フードの内部空間中に供給し、かつこの出発物混合物を液体流の形で、管束の供給端部中に更に案内する工程を包含し、この際、この液体流は供給端部中へ進入する際に横断面積を有し、その中を液体流が流れる供給フードの内部空間は、内部容積を有し;かつ内部容積の横断面積に対する比は0.35mより小さい、管束反応器を作動させる方法。
【請求項11】
前記の導入は、一貫した断面積を有する液体流を導入する工程;供給フード内へのこの液体流を更に導く工程;導入された液体流を広げる工程;この広げられた液体流を供給端部の方に変向させる工程;変向された液体流を中空円筒の形で案内し、かつこの液体流を集めて、一貫した断面を有する集合案内液体流にする工程;及びこの集合案内液体流を管束の供給端部中に導入する工程;を包含している、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
管束の供給端部中への集合案内液体流の導入は、この集合案内液体流を、供給端部に配置されているホモジナイジング板の多数の通路を通して案内する工程を包含している、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
中空円筒の形で提供される変向された液体流は、中空円筒の内部断面に一致し、かつ、この中には本質的に流れが提供されない内部断面を有し、変向された液体流の内部断面は、本質的に供給端部の全断面を、導入された液体流に対して覆っている、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
出発物質混合物の供給は、出発混合物の供給流を複数の供給流に分割する工程を包含し、この複数の供給液を、それぞれ、これら供給流が相互に離れている進入位置で内部空間中に入る前に、複数の通路の1つ内を通って案内される多数の供給流に分割する工程を包含し、かつ、少なくとも1つ又は全ての進入位置が、管束の供給端部の中心軸を外れて存在しているか、又は全ての進入位置が、管束の供給端部の中心軸の回りに、円に沿って一様に、又はリング内部に配置されている、請求項10から13までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
進入位置は、管束反応器の管の縦軸に対してずれていて、各々の進入位置の中心は、管の最寄りの縦軸に対して最大距離を有している、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
複数の供給流への分岐は、出発物質混合物を分岐する管に通すことによって提供され、かつ出発物混合物を通すことは、2つの入口位置に出発物混合物を供給するか又はもう一つのY−分岐に出発物混合物を供給するY−分岐を通して、出発物混合物を案内することを含む、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項17】
更に、管束からの生成物の排出の工程を包含し、この際、生成物を、供給端部に対座している管束の排出端部で、管束から液体流の形で、この管束反応器の排出フードの内部空間中に案内し、この際、排出端部から出る際の液体流は横断面積を有し、そこを通って液体流が流れる排出フードの内部空間は内部容積を有し;排出フードの内部容積の排出端部での液体流の横断面積に対する比は、0.35mより小さい、請求項10から16までのいずれか1項に記載の方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−515641(P2012−515641A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546679(P2011−546679)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【国際出願番号】PCT/EP2010/000280
【国際公開番号】WO2010/083978
【国際公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】