面光源
【課題】短絡等の故障が原因となって発熱したことを早期に発見することができる面光源を得る。
【解決手段】面光源100は、発光部13で生成された光を発光面15上において面発光させる本体部10と、本体部10の発光面15側に設けられ、予め定められた温度以上になると変色する温度情報表示層20と、を備える。
【解決手段】面光源100は、発光部13で生成された光を発光面15上において面発光させる本体部10と、本体部10の発光面15側に設けられ、予め定められた温度以上になると変色する温度情報表示層20と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面発光することが可能な面光源に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2004−055535号公報(特許文献1)に開示されるように、面発光することが可能な面型の光源(以下、面光源と称する)が知られる。このような面光源には、有機EL(Organic Electro Luminescence)素子などの薄型の発光素子が用いられる。
【0003】
有機EL素子は、陰極と、陽極と、陰極および陽極の間に挟まれた有機発光層とを有する。有機EL素子の有機発光層は、発光部を構成し、真空蒸着法または塗布法等によって面状(平面状または曲面状など)に形成されることができる。有機EL素子の動作時には、この有機発光層に電子および正孔が注入される。電子および正孔同士の再結合によって、有機EL素子(有機発光層)は発光する。
【0004】
有機EL素子を含め、薄型の発光素子は、数V程度の駆動電圧で発光することができる。このため、面光源が有機EL素子などの薄型の発光素子から構成される場合、その面光源は低電圧で駆動されることができる。有機EL素子などの薄型の発光素子を用いた面光源は、高効率な発光を実現することができるため、近年注目されている。
【0005】
また、特開平09−254550号公報(特許文献2)には、本発明とは技術分野が異なるが、可逆性感熱記録層を備えるホワイトボードに関する発明が開示される。特許文献2は、この発明によれば、温度条件の変化に伴う発色および消色現象を利用することにより、明瞭な輪郭および充分なコントラストを得ることができると述べている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−055535号公報
【特許文献2】特開平09−254550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
有機EL素子は、極めて薄い有機発光層(有機薄膜)が陽極および陰極によって挟まれるという構成を採用している。経年劣化または製造時の初期不良などが原因で、陽極および陰極同士は短絡することがある。短絡が発生した場合、短絡が発生した部分に集中的に電流が流れることによって、短絡が発生した部分は発熱する。
【0008】
有機EL素子のような薄型の発光素子から構成される面光源は、短絡等の故障が原因となって発熱することがある。したがって本発明は、短絡等の故障が原因となって発熱したことを早期に発見することができる面光源を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に基づく面光源は、発光部で生成された光を発光面上において面発光させる本体部と、上記本体部の上記発光面側に設けられ、予め定められた温度以上になると変色する温度情報表示層と、を備える。
【0010】
好ましくは、上記温度情報表示層は、上記発光面が露出する隙間を形成するように設けられる。
【0011】
好ましくは、上記本体部は、上記発光部と上記発光面との間に配設された補助配線を含み、上記温度情報表示層は、上記補助配線を上記発光面側に投影することによって形成される投影領域内に含まれるように配置される。
【0012】
好ましくは、上記温度情報表示層と上記発光部との間には、反射部材が設けられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、短絡等の故障が原因となって発熱したことを早期に発見することができる面光源を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施の形態1における面光源を示す平面図である。
【図2】図1中のII−II線に沿った矢視断面図である。
【図3】実施の形態1における面光源の一部が、短絡が原因となって発熱したことを示す平面図である。
【図4】実施の形態2における面光源を示す平面図である。
【図5】図4中のV−V線に沿った矢視断面図である。
【図6】実施の形態2の第1変形例における面光源を示す平面図である。
【図7】実施の形態2の第2変形例における面光源を示す平面図である。
【図8】実施の形態3における面光源を示す平面図である。
【図9】図8中のIX−IX線に沿った矢視断面図である。
【図10】実施の形態3における面光源の一部(本体部)を拡大して示す断面図である。
【図11】実施の形態4における面光源を示す平面図である。
【図12】図11中のXII−XII線に沿った矢視断面図である。
【図13】実施の形態4における面光源の動作中の光の反射経路を示す断面図である。
【図14】実施の形態5における面光源を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に基づいた各実施の形態について、以下、図面を参照しながら説明する。各実施の形態の説明において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。各実施の形態の説明において、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。特に制限が無い限り、各実施の形態に示す構成を適宜組み合わせて用いることは、当初から予定されていることである。
【0016】
[実施の形態1]
図1〜図3を参照して、本実施の形態における面光源100について説明する。図1は、面光源100を示す平面図である。
【0017】
図1に示すように、面光源100は、本体部10と、温度情報表示層20と、電源部30とを備える。本体部10と電源部30との間には、面光源100のON/OFFを切り替えるスイッチ32が設けられる。詳細は後述されるが、本実施の形態における温度情報表示層20は、透明または透明度の高い半透明の部材から構成され、本体部10の発光面15側の全面にわたって設けられる。
【0018】
図2は、図1中のII−II線に沿った矢視断面図である。図2に示すように、本体部10は、透明基板11、陽極12、有機発光層13、および陰極14を含む。陽極12、有機発光層13(発光部)、および陰極14は、透明基板11の上に順次積層される。
【0019】
透明基板11は、たとえばガラス製の基板である。透明基板11としては、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアリレート(PAR)、またはポリエチレンテレフタレート(PET)等の、透明性を有するプラスチック製の基板が用いられてもよい。
【0020】
透明基板11の上に積層される陽極12は、いわゆる透明電極である。陽極12は、電源部30の陽極側に接続される。陽極12としては、たとえば、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)、または、IZO(Indium Zinc Oxide:インジウム亜鉛酸化物)等の透明導電膜を用いることができる。
【0021】
陽極12を透明基板11上に形成するためには、たとえばスパッタリング法を使用するマスク蒸着若しくは全面蒸着、塗布法の後に実施されるフォトリソグラフィ法によるパターニング、または、スクリーン印刷等を使用するとよい。陽極12の膜厚は、たとえば10nm〜2μmである。
【0022】
陽極12の上に積層される有機発光層13は、電力が供給されることによって光を生成することができる。有機発光層13は、単層の発光層から構成されていてもよく、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、および電子輸送層が順次積層されることによって構成されていてもよい。
【0023】
有機発光層13が正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、および電子輸送層から構成される場合、正孔輸送層は、正孔を陽極12から発光層に輸送する。正孔輸送層における正孔輸送材料としては、たとえば、トリアゾール誘導体、またはオキサジアゾール誘導体等を用いることができる。この正孔輸送材料は、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、または、LB(Langmuir Blodgett)法等を使用して、薄膜化された状態で陽極12の上面に形成される。正孔輸送層の膜厚は、たとえば5nm〜5000nmである。
【0024】
発光層は、発光機能に関与する1または2種以上の有機化合物から構成される。発光層は、正孔および電子の注入機能と、正孔および電子の輸送機能と、正孔および電子同士の再結合によって励起子を生成させる機能とを有する。発光層の材料は、たとえば、キノリノラト錯体である。発光層の膜厚は、たとえば5nm〜5000nmである。
【0025】
正孔阻止層は、電子を輸送する能力は高いが、正孔を輸送する能力が低いという機能を有する。正孔阻止層は、電子を輸送しつつ正孔の輸送を阻止することによって、電子および正孔同士の再結合確率を向上させる。正孔阻止層としては、たとえば、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日 エヌ・ティー・エス社発光)」の237頁等に記載の正孔阻止(ホールブロック)層等を用いることができる。
【0026】
電子輸送層は、陰極14から注入された電子を発光層に輸送する機能を有する。電子輸送層における電子輸送材料としては、たとえば、ニトロ置換フルオレン誘導体、またはジフェニルキノン誘導体等を用いることができる。この電子輸送層は、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、または、LB(Langmuir Blodgett)法等を使用して、薄膜化された状態で発光層の上面に形成される。電子輸送層の膜厚は、たとえば5nm〜5000nmである。
【0027】
陰極14は、金属材料から構成される。陰極14としては、たとえば、Al、Ag、In、Ti、Cu、Au、Mg、Mo、W、およびPtの中から選択される1種以上の金属元素を用いることができる。陰極14を有機発光層13上に形成するためには、たとえばスパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、またはエレクトロンビーム蒸着法等を使用するとよい。陰極14の膜厚は、たとえば5nm〜500nmである。
【0028】
本実施の形態における本体部10においては、透明基板11の下面に発光面15が形成される。有機発光層13で生成された光は、陽極12および透明基板11を通して発光面15から出射される(矢印AR参照)。面光源100は、発光面15上において面発光する。
【0029】
本体部10の発光面15側には、温度情報表示層20が設けられる。温度情報表示層20は、透明または透明度の高い半透明の部材から構成される。面光源100における温度情報表示層20は、本体部10の発光面15のほぼ全面にわたって設けられる。温度情報表示層20は、予め定められた温度(たとえば、50℃〜70℃などの、一般的に手で触ったとしても熱くない温度、またはやけどをしない温度など)以上になると変色(発色)するように構成される。
【0030】
温度情報表示層20は、たとえば、無色ないし淡色の電子供与性染料前駆体と、加熱により電子供与性染料前駆体を発色させ、これを再加熱して消色させる可逆顕色剤と、これらを保持する所定の溶媒とを含む。温度情報表示層20としては、これらをインク状にしたものが用いられるとよい。
【0031】
無色ないし淡色の電子供与性染料前駆体としては、感圧記録紙または感熱記録紙等に用いられるものが用いられる。具体的には、無色ないし淡色の電子供与性染料前駆体は、たとえば、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、または、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリドから構成されるとよい。
【0032】
可逆顕色剤としては、電子受容性化合物が用いられる。具体的には、可逆顕色剤は、たとえば、ロイコ染料を発色させる酸性基と、ロイコ染料を消色させる塩基性基とを有する顕減色剤、有機ホスホン酸化合物、α−ヒドロキシ脂肪族カルボン酸、脂肪酸ジカルボン酸及び炭素数12以上の脂肪族基を有するアルキルチオフェノール、アルキルオキシフェノール、アルキルカルバモイルフェノール、または、没食子酸アルキルエステル等から構成されるとよい。なお、可逆顕色剤は必要に応じて用いられるとよい。
【0033】
温度情報表示層20においては、ロイコ染料と顕色剤とが互いに電子を授受する結合状態で発色し、電子を授受しなくなる非結合状態では発色しない(無色となる)。また、溶媒の種類を変えることによって、ロイコ染料と顕色剤とが互いに電子を授受する結合状態となる温度を変えることができる。
【0034】
本実施の形態における面光源100においては、スイッチ32(図1参照)がONされることによって、電源部30から本体部10に電力が供給される。陽極12および陰極14を通して有機発光層13に電子および正孔が注入されることによって、有機発光層13は光を生成する。有機発光層13において生成された光は、陽極12および透明基板11を通して発光面15から出射される(矢印AR参照)。面光源100は、発光面15上において面発光することが可能となる。
【0035】
(作用・効果)
本実施の形態における面光源100に用いられる本体部10は、LED(Light Emitting Diode)等の点光源とは異なり、本体部10(有機EL素子)から構成される面光源である。面光源100の本体部10の動作中に用いられる電流の密度は低く、動作中における発光面の温度も低い。
【0036】
有機EL素子を備える面光源100においては、発光に伴う発熱によって、有機発光層13は劣化する。極めて薄く形成された有機発光層13の劣化によって、陽極12および陰極14同士は短絡する場合がある。
【0037】
有機EL素子を備える面光源100においては、その製造時に(有機発光層13の成膜中に)有機発光層13の中に異物が混入する場合がある。この異物が原因となって、陽極12および陰極14同士が短絡する場合もある。
【0038】
短絡が発生した場合、短絡が発生した部分に集中的に電流が流れることによって、短絡が発生した部分は発熱する。発熱によって、透明基板11を通して黒い模様が点状(スポット状)に観察される場合もあるが、その模様は一般的には薄く、認識されにくい。
【0039】
図3を参照して、上述のとおり、本実施の形態における面光源100においては、本体部10の発光面15側に温度情報表示層20が設けられる。温度情報表示層20は、短絡等の故障が原因となって本体部10が部分的に発熱した場合、その近傍が変色(発色)する。発熱は、温度情報表示層20上に発色領域20Rとして現れる。発色領域20Rの色は、たとえば赤色であるとよい。
【0040】
発色領域20Rは、温度情報表示層20上に形成されていることを面光源100の使用者によって認識されることが企図されている。発色領域20Rの形成によって、面光源100の使用者は、陽極12および陰極14の短絡等の故障が原因となって、本体部10の一部が発熱していることを早期に発見することができる。面光源100の使用者は、故障後の早い段階で、本体部10を修理したり、本体部10を新しいものに交換したりすることができる。
【0041】
また、発色領域20Rの形成は、面光源100の使用者に対して本体部10の一部が発熱しているということを認識させることもできる。面光源100の使用者がこの発熱している部分に対して注意を払うことによって、面光源100としての安全性を向上させることも可能となる。
【0042】
温度情報表示層20としては、面光源100のスイッチ32(図2参照)がOFFの状態にされた場合であっても、発色領域20Rが温度情報表示層20上に残存するように形成されるとよい。この場合、温度情報表示層20には可逆顕色剤は含まれない。当該構成によれば、面光源100の故障がより発見され易くなるとともに、面光源100の安全性をより一層向上させることが可能となる。
【0043】
[実施の形態2]
図4および図5を参照して、本実施の形態における面光源101について説明する。図4は、面光源101を示す平面図である。図5は、図4中のV−V線に沿った矢視断面図である。
【0044】
図4を参照して、面光源101においては、温度情報表示層20が発光面15上においてスポット状に複数設けられる。温度情報表示層20は、発光面15が露出する隙間Sを形成するように配置される。温度情報表示層20の形状としては、平面視において、円形状であってもよく、矩形状であってもよく、その他の多角形状であってもよい。
【0045】
図5を参照して、温度情報表示層20が半透明の部材(透明度のあまり高くない部材)から構成される場合、発光面15から出射された光は温度情報表示層20によって遮られる。温度情報表示層20によって、光源としての光の取り出し効率が下がる。温度情報表示層20が隙間Sを形成するように配置されることによって、面光源101は光の取り出し効率の低下を抑制することが可能となる。
【0046】
また、面光源101によっても、上述の実施の形態1における面光源100(図3参照)と同様に、短絡等の故障が原因となって本体部10が部分的に発熱した場合、その近傍に位置する温度情報表示層20が変色(発色)する。面光源101の使用者は、短絡等の故障が原因となって発熱したことを早期に発見することができる。
【0047】
温度情報表示層20の配置については、隙間Sを過度に広げるようにすると、本体部10の発熱時に温度情報表示層20が発色しにくくなる。発光面15の大きさおよび温度情報表示層20の透明度などに応じて、本体部10の発熱時に温度情報表示層20が適切に発色可能なように温度情報表示層20の配置は最適化されるとよい。
【0048】
[実施の形態2の第1変形例]
図6は、実施の形態2の第1変形例における面光源102を示す平面図である。面光源102においては、複数の温度情報表示層20が平行に並んだ状態で、発光面15を横断(または縦断)するようにストライプ状に設けられる。面光源102における温度情報表示層20も、発光面15が露出する隙間Sを形成するように配置される。
【0049】
本変形例における面光源102によっても、短絡等の故障が原因となって本体部10が部分的に発熱した場合、その近傍に位置する温度情報表示層20が変色(発色)する。面光源102の使用者は、短絡等の故障が原因となって発熱したことを早期に発見することができる。また、温度情報表示層20が半透明の部材(透明度の低い部材)から構成される場合であっても、隙間Sの形成によって、光の取り出し効率の低下を抑制することが可能となる。
【0050】
[実施の形態2の第2変形例]
図7は、実施の形態2の第2変形例における面光源103を示す平面図である。面光源103においては、温度情報表示層20が発光面15上において1つ設けられる。温度情報表示層20は、格子状に一体化された状態で発光面15上に配置される。面光源103における温度情報表示層20も、発光面15が露出する隙間Sを形成するように配置される。
【0051】
本変形例における面光源103によっても、短絡等の故障が原因となって本体部10が部分的に発熱した場合、発熱した部分の近傍に位置する温度情報表示層20の一部が変色(発色)する。面光源103の使用者は、短絡等の故障が原因となって発熱したことを早期に発見することができる。また、温度情報表示層20が半透明の部材(透明度の低い部材)から構成される場合であっても、隙間Sの形成によって、光の取り出し効率の低下を抑制することが可能となる。
【0052】
[実施の形態3]
図8〜図10を参照して、本実施の形態における面光源104について説明する。図8は、面光源104を示す平面図である。図9は、図8中のIX−IX線に沿った矢視断面図である。図10は、面光源104の一部(本体部10)を拡大して示す断面図である。
【0053】
図8および図9を参照して、面光源104における本体部10は、有機発光層13と発光面15との間に配設される補助配線16を含む。補助配線16は、陽極12の上面に格子状(グリッド状)に形成される。補助配線16は、たとえばアルミニウムなどの導電性の高い(陽極12よりも電気抵抗の低い)部材から構成される。
【0054】
補助配線16の格子状に形成された各部分は、陽極12の上面において等電位である。本体部10(陽極12)が大型化された場合であっても、補助配線16が陽極12上に設けられることによって、陽極12に対して印加される電位は適切な値に補償されることができる。
【0055】
図10を参照して、面光源104における温度情報表示層20は、補助配線16を発光面15側に投影することによって形成される投影領域16R内に含まれるように配置される。補助配線16は、不透明な材料であるため、補助配線16を発光面15側に投影することによって発光面15上に形成される投影領域16Rは、発光にほとんど寄与しない。面光源104においては、この投影領域16Rを有効に活用して投影領域16R内に含まれるように温度情報表示層20が配置される。面光源104は、レイアウト上の効率、ならびに光を取り出す上での効率が良い。
【0056】
[実施の形態4]
図11および図12を参照して、本実施の形態における面光源105について説明する。図11は、面光源105を示す平面図である。図12は、図11中のXII−XII線に沿った矢視断面図である。
【0057】
図11を参照して、面光源105においては、上述の実施の形態2における面光源101(図4参照)と同様に、温度情報表示層20が発光面15上において複数設けられる。
【0058】
図12を参照して、温度情報表示層20と有機発光層13との間には、反射部材17が設けられる。反射部材17は、たとえば銀などの反射率の高い部材から構成される。
【0059】
図13を参照して、温度情報表示層20が半透明の部材(透明度のあまり高くない部材)から構成される場合、発光面15から出射された光は温度情報表示層20によって遮られる。
【0060】
温度情報表示層20と有機発光層13との間に反射部材17が設けられることによって、有機発光層13において生成された光は、反射部材17に反射する。反射部材17に反射した光は、陰極14にまで戻って陰極14に反射したり(矢印AR1参照)、陽極12にまで戻って陽極12に反射したりする(矢印AR2参照)。これらの反射光の一部は、多重反射を繰り返すことによって発光面15側から外部に取り出されることができる。結果として、面光源105は、反射部材17の配設によって光の取り出し効率の低下を抑制することが可能となる。
【0061】
[実施の形態5]
図14を参照して、本実施の形態における面光源106について説明する。上述の各実施の形態(面光源100〜105)においては、温度情報表示層20は、発光面15を構成する透明基板11の下面に直接設けられる。
【0062】
本実施の形態における面光源106においては、本体部10が、透明基板11の下面側に設けられた配光部材18を含む。配光部材18は、有機発光層13にて生成され透明基板11を通過した光を所定の方向に屈折させたり、集光させたりする。有機発光層13にて生成された光は、陽極12、透明基板11、および配光部材18を通して発光面15から出射される。すなわち、面光源106における発光面15は配光部材18の下面に形成される。
【0063】
面光源106における温度情報表示層20は、配光部材18の下面側に設けられる。面光源106においても、温度情報表示層20は、本体部10の発光面15側に位置している。
【0064】
本実施の形態における面光源106のように、温度情報表示層20が透明基板11に対して直接設けられていない場合であっても、上述の各実施の形態における面光源100〜105と同様に、短絡等の故障が原因となって本体部10が部分的に発熱した場合、その近傍に位置する温度情報表示層20が変色(発色)する。面光源106の使用者は、短絡等の故障が原因となって発熱したことを早期に発見することができる。
【0065】
以上、本発明に基づいた各実施の形態について説明したが、今回開示された各実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。たとえば、上記の各実施の形態においては薄型の発光素子の例として有機EL素子に基づき説明したが、本発明の面光源は有機EL素子から構成されるものに限られない。本発明の面光源としては、有機EL素子のほかにも、無機EL素子などの薄型の発光素子から構成されてもよい。また、上記の各実施の形態においては面光源として平面型の面光源に基づき説明したが、本発明は、たとえば円筒状または半円筒状などの曲面型の面光源にも適用されることが可能であり、本発明における「面光源」とは、平面型のものに限られず、これらの曲面型のものをも含むものである。したがって、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0066】
10 本体部、11 透明基板、12 陽極、13 有機発光層(発光部)、14 陰極、15 発光面、16 補助配線、16R 投影領域、17 反射部材、18 配光部材、20 温度情報表示層、20R 発色領域、30 電源部、32 スイッチ、100,101,102,103,104,105,106 面光源、AR,AR1,AR2 矢印、S 隙間。
【技術分野】
【0001】
本発明は、面発光することが可能な面光源に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2004−055535号公報(特許文献1)に開示されるように、面発光することが可能な面型の光源(以下、面光源と称する)が知られる。このような面光源には、有機EL(Organic Electro Luminescence)素子などの薄型の発光素子が用いられる。
【0003】
有機EL素子は、陰極と、陽極と、陰極および陽極の間に挟まれた有機発光層とを有する。有機EL素子の有機発光層は、発光部を構成し、真空蒸着法または塗布法等によって面状(平面状または曲面状など)に形成されることができる。有機EL素子の動作時には、この有機発光層に電子および正孔が注入される。電子および正孔同士の再結合によって、有機EL素子(有機発光層)は発光する。
【0004】
有機EL素子を含め、薄型の発光素子は、数V程度の駆動電圧で発光することができる。このため、面光源が有機EL素子などの薄型の発光素子から構成される場合、その面光源は低電圧で駆動されることができる。有機EL素子などの薄型の発光素子を用いた面光源は、高効率な発光を実現することができるため、近年注目されている。
【0005】
また、特開平09−254550号公報(特許文献2)には、本発明とは技術分野が異なるが、可逆性感熱記録層を備えるホワイトボードに関する発明が開示される。特許文献2は、この発明によれば、温度条件の変化に伴う発色および消色現象を利用することにより、明瞭な輪郭および充分なコントラストを得ることができると述べている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−055535号公報
【特許文献2】特開平09−254550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
有機EL素子は、極めて薄い有機発光層(有機薄膜)が陽極および陰極によって挟まれるという構成を採用している。経年劣化または製造時の初期不良などが原因で、陽極および陰極同士は短絡することがある。短絡が発生した場合、短絡が発生した部分に集中的に電流が流れることによって、短絡が発生した部分は発熱する。
【0008】
有機EL素子のような薄型の発光素子から構成される面光源は、短絡等の故障が原因となって発熱することがある。したがって本発明は、短絡等の故障が原因となって発熱したことを早期に発見することができる面光源を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に基づく面光源は、発光部で生成された光を発光面上において面発光させる本体部と、上記本体部の上記発光面側に設けられ、予め定められた温度以上になると変色する温度情報表示層と、を備える。
【0010】
好ましくは、上記温度情報表示層は、上記発光面が露出する隙間を形成するように設けられる。
【0011】
好ましくは、上記本体部は、上記発光部と上記発光面との間に配設された補助配線を含み、上記温度情報表示層は、上記補助配線を上記発光面側に投影することによって形成される投影領域内に含まれるように配置される。
【0012】
好ましくは、上記温度情報表示層と上記発光部との間には、反射部材が設けられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、短絡等の故障が原因となって発熱したことを早期に発見することができる面光源を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施の形態1における面光源を示す平面図である。
【図2】図1中のII−II線に沿った矢視断面図である。
【図3】実施の形態1における面光源の一部が、短絡が原因となって発熱したことを示す平面図である。
【図4】実施の形態2における面光源を示す平面図である。
【図5】図4中のV−V線に沿った矢視断面図である。
【図6】実施の形態2の第1変形例における面光源を示す平面図である。
【図7】実施の形態2の第2変形例における面光源を示す平面図である。
【図8】実施の形態3における面光源を示す平面図である。
【図9】図8中のIX−IX線に沿った矢視断面図である。
【図10】実施の形態3における面光源の一部(本体部)を拡大して示す断面図である。
【図11】実施の形態4における面光源を示す平面図である。
【図12】図11中のXII−XII線に沿った矢視断面図である。
【図13】実施の形態4における面光源の動作中の光の反射経路を示す断面図である。
【図14】実施の形態5における面光源を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に基づいた各実施の形態について、以下、図面を参照しながら説明する。各実施の形態の説明において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。各実施の形態の説明において、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。特に制限が無い限り、各実施の形態に示す構成を適宜組み合わせて用いることは、当初から予定されていることである。
【0016】
[実施の形態1]
図1〜図3を参照して、本実施の形態における面光源100について説明する。図1は、面光源100を示す平面図である。
【0017】
図1に示すように、面光源100は、本体部10と、温度情報表示層20と、電源部30とを備える。本体部10と電源部30との間には、面光源100のON/OFFを切り替えるスイッチ32が設けられる。詳細は後述されるが、本実施の形態における温度情報表示層20は、透明または透明度の高い半透明の部材から構成され、本体部10の発光面15側の全面にわたって設けられる。
【0018】
図2は、図1中のII−II線に沿った矢視断面図である。図2に示すように、本体部10は、透明基板11、陽極12、有機発光層13、および陰極14を含む。陽極12、有機発光層13(発光部)、および陰極14は、透明基板11の上に順次積層される。
【0019】
透明基板11は、たとえばガラス製の基板である。透明基板11としては、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアリレート(PAR)、またはポリエチレンテレフタレート(PET)等の、透明性を有するプラスチック製の基板が用いられてもよい。
【0020】
透明基板11の上に積層される陽極12は、いわゆる透明電極である。陽極12は、電源部30の陽極側に接続される。陽極12としては、たとえば、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)、または、IZO(Indium Zinc Oxide:インジウム亜鉛酸化物)等の透明導電膜を用いることができる。
【0021】
陽極12を透明基板11上に形成するためには、たとえばスパッタリング法を使用するマスク蒸着若しくは全面蒸着、塗布法の後に実施されるフォトリソグラフィ法によるパターニング、または、スクリーン印刷等を使用するとよい。陽極12の膜厚は、たとえば10nm〜2μmである。
【0022】
陽極12の上に積層される有機発光層13は、電力が供給されることによって光を生成することができる。有機発光層13は、単層の発光層から構成されていてもよく、正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、および電子輸送層が順次積層されることによって構成されていてもよい。
【0023】
有機発光層13が正孔輸送層、発光層、正孔阻止層、および電子輸送層から構成される場合、正孔輸送層は、正孔を陽極12から発光層に輸送する。正孔輸送層における正孔輸送材料としては、たとえば、トリアゾール誘導体、またはオキサジアゾール誘導体等を用いることができる。この正孔輸送材料は、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、または、LB(Langmuir Blodgett)法等を使用して、薄膜化された状態で陽極12の上面に形成される。正孔輸送層の膜厚は、たとえば5nm〜5000nmである。
【0024】
発光層は、発光機能に関与する1または2種以上の有機化合物から構成される。発光層は、正孔および電子の注入機能と、正孔および電子の輸送機能と、正孔および電子同士の再結合によって励起子を生成させる機能とを有する。発光層の材料は、たとえば、キノリノラト錯体である。発光層の膜厚は、たとえば5nm〜5000nmである。
【0025】
正孔阻止層は、電子を輸送する能力は高いが、正孔を輸送する能力が低いという機能を有する。正孔阻止層は、電子を輸送しつつ正孔の輸送を阻止することによって、電子および正孔同士の再結合確率を向上させる。正孔阻止層としては、たとえば、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日 エヌ・ティー・エス社発光)」の237頁等に記載の正孔阻止(ホールブロック)層等を用いることができる。
【0026】
電子輸送層は、陰極14から注入された電子を発光層に輸送する機能を有する。電子輸送層における電子輸送材料としては、たとえば、ニトロ置換フルオレン誘導体、またはジフェニルキノン誘導体等を用いることができる。この電子輸送層は、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、または、LB(Langmuir Blodgett)法等を使用して、薄膜化された状態で発光層の上面に形成される。電子輸送層の膜厚は、たとえば5nm〜5000nmである。
【0027】
陰極14は、金属材料から構成される。陰極14としては、たとえば、Al、Ag、In、Ti、Cu、Au、Mg、Mo、W、およびPtの中から選択される1種以上の金属元素を用いることができる。陰極14を有機発光層13上に形成するためには、たとえばスパッタリング法、抵抗加熱蒸着法、またはエレクトロンビーム蒸着法等を使用するとよい。陰極14の膜厚は、たとえば5nm〜500nmである。
【0028】
本実施の形態における本体部10においては、透明基板11の下面に発光面15が形成される。有機発光層13で生成された光は、陽極12および透明基板11を通して発光面15から出射される(矢印AR参照)。面光源100は、発光面15上において面発光する。
【0029】
本体部10の発光面15側には、温度情報表示層20が設けられる。温度情報表示層20は、透明または透明度の高い半透明の部材から構成される。面光源100における温度情報表示層20は、本体部10の発光面15のほぼ全面にわたって設けられる。温度情報表示層20は、予め定められた温度(たとえば、50℃〜70℃などの、一般的に手で触ったとしても熱くない温度、またはやけどをしない温度など)以上になると変色(発色)するように構成される。
【0030】
温度情報表示層20は、たとえば、無色ないし淡色の電子供与性染料前駆体と、加熱により電子供与性染料前駆体を発色させ、これを再加熱して消色させる可逆顕色剤と、これらを保持する所定の溶媒とを含む。温度情報表示層20としては、これらをインク状にしたものが用いられるとよい。
【0031】
無色ないし淡色の電子供与性染料前駆体としては、感圧記録紙または感熱記録紙等に用いられるものが用いられる。具体的には、無色ないし淡色の電子供与性染料前駆体は、たとえば、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、または、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリドから構成されるとよい。
【0032】
可逆顕色剤としては、電子受容性化合物が用いられる。具体的には、可逆顕色剤は、たとえば、ロイコ染料を発色させる酸性基と、ロイコ染料を消色させる塩基性基とを有する顕減色剤、有機ホスホン酸化合物、α−ヒドロキシ脂肪族カルボン酸、脂肪酸ジカルボン酸及び炭素数12以上の脂肪族基を有するアルキルチオフェノール、アルキルオキシフェノール、アルキルカルバモイルフェノール、または、没食子酸アルキルエステル等から構成されるとよい。なお、可逆顕色剤は必要に応じて用いられるとよい。
【0033】
温度情報表示層20においては、ロイコ染料と顕色剤とが互いに電子を授受する結合状態で発色し、電子を授受しなくなる非結合状態では発色しない(無色となる)。また、溶媒の種類を変えることによって、ロイコ染料と顕色剤とが互いに電子を授受する結合状態となる温度を変えることができる。
【0034】
本実施の形態における面光源100においては、スイッチ32(図1参照)がONされることによって、電源部30から本体部10に電力が供給される。陽極12および陰極14を通して有機発光層13に電子および正孔が注入されることによって、有機発光層13は光を生成する。有機発光層13において生成された光は、陽極12および透明基板11を通して発光面15から出射される(矢印AR参照)。面光源100は、発光面15上において面発光することが可能となる。
【0035】
(作用・効果)
本実施の形態における面光源100に用いられる本体部10は、LED(Light Emitting Diode)等の点光源とは異なり、本体部10(有機EL素子)から構成される面光源である。面光源100の本体部10の動作中に用いられる電流の密度は低く、動作中における発光面の温度も低い。
【0036】
有機EL素子を備える面光源100においては、発光に伴う発熱によって、有機発光層13は劣化する。極めて薄く形成された有機発光層13の劣化によって、陽極12および陰極14同士は短絡する場合がある。
【0037】
有機EL素子を備える面光源100においては、その製造時に(有機発光層13の成膜中に)有機発光層13の中に異物が混入する場合がある。この異物が原因となって、陽極12および陰極14同士が短絡する場合もある。
【0038】
短絡が発生した場合、短絡が発生した部分に集中的に電流が流れることによって、短絡が発生した部分は発熱する。発熱によって、透明基板11を通して黒い模様が点状(スポット状)に観察される場合もあるが、その模様は一般的には薄く、認識されにくい。
【0039】
図3を参照して、上述のとおり、本実施の形態における面光源100においては、本体部10の発光面15側に温度情報表示層20が設けられる。温度情報表示層20は、短絡等の故障が原因となって本体部10が部分的に発熱した場合、その近傍が変色(発色)する。発熱は、温度情報表示層20上に発色領域20Rとして現れる。発色領域20Rの色は、たとえば赤色であるとよい。
【0040】
発色領域20Rは、温度情報表示層20上に形成されていることを面光源100の使用者によって認識されることが企図されている。発色領域20Rの形成によって、面光源100の使用者は、陽極12および陰極14の短絡等の故障が原因となって、本体部10の一部が発熱していることを早期に発見することができる。面光源100の使用者は、故障後の早い段階で、本体部10を修理したり、本体部10を新しいものに交換したりすることができる。
【0041】
また、発色領域20Rの形成は、面光源100の使用者に対して本体部10の一部が発熱しているということを認識させることもできる。面光源100の使用者がこの発熱している部分に対して注意を払うことによって、面光源100としての安全性を向上させることも可能となる。
【0042】
温度情報表示層20としては、面光源100のスイッチ32(図2参照)がOFFの状態にされた場合であっても、発色領域20Rが温度情報表示層20上に残存するように形成されるとよい。この場合、温度情報表示層20には可逆顕色剤は含まれない。当該構成によれば、面光源100の故障がより発見され易くなるとともに、面光源100の安全性をより一層向上させることが可能となる。
【0043】
[実施の形態2]
図4および図5を参照して、本実施の形態における面光源101について説明する。図4は、面光源101を示す平面図である。図5は、図4中のV−V線に沿った矢視断面図である。
【0044】
図4を参照して、面光源101においては、温度情報表示層20が発光面15上においてスポット状に複数設けられる。温度情報表示層20は、発光面15が露出する隙間Sを形成するように配置される。温度情報表示層20の形状としては、平面視において、円形状であってもよく、矩形状であってもよく、その他の多角形状であってもよい。
【0045】
図5を参照して、温度情報表示層20が半透明の部材(透明度のあまり高くない部材)から構成される場合、発光面15から出射された光は温度情報表示層20によって遮られる。温度情報表示層20によって、光源としての光の取り出し効率が下がる。温度情報表示層20が隙間Sを形成するように配置されることによって、面光源101は光の取り出し効率の低下を抑制することが可能となる。
【0046】
また、面光源101によっても、上述の実施の形態1における面光源100(図3参照)と同様に、短絡等の故障が原因となって本体部10が部分的に発熱した場合、その近傍に位置する温度情報表示層20が変色(発色)する。面光源101の使用者は、短絡等の故障が原因となって発熱したことを早期に発見することができる。
【0047】
温度情報表示層20の配置については、隙間Sを過度に広げるようにすると、本体部10の発熱時に温度情報表示層20が発色しにくくなる。発光面15の大きさおよび温度情報表示層20の透明度などに応じて、本体部10の発熱時に温度情報表示層20が適切に発色可能なように温度情報表示層20の配置は最適化されるとよい。
【0048】
[実施の形態2の第1変形例]
図6は、実施の形態2の第1変形例における面光源102を示す平面図である。面光源102においては、複数の温度情報表示層20が平行に並んだ状態で、発光面15を横断(または縦断)するようにストライプ状に設けられる。面光源102における温度情報表示層20も、発光面15が露出する隙間Sを形成するように配置される。
【0049】
本変形例における面光源102によっても、短絡等の故障が原因となって本体部10が部分的に発熱した場合、その近傍に位置する温度情報表示層20が変色(発色)する。面光源102の使用者は、短絡等の故障が原因となって発熱したことを早期に発見することができる。また、温度情報表示層20が半透明の部材(透明度の低い部材)から構成される場合であっても、隙間Sの形成によって、光の取り出し効率の低下を抑制することが可能となる。
【0050】
[実施の形態2の第2変形例]
図7は、実施の形態2の第2変形例における面光源103を示す平面図である。面光源103においては、温度情報表示層20が発光面15上において1つ設けられる。温度情報表示層20は、格子状に一体化された状態で発光面15上に配置される。面光源103における温度情報表示層20も、発光面15が露出する隙間Sを形成するように配置される。
【0051】
本変形例における面光源103によっても、短絡等の故障が原因となって本体部10が部分的に発熱した場合、発熱した部分の近傍に位置する温度情報表示層20の一部が変色(発色)する。面光源103の使用者は、短絡等の故障が原因となって発熱したことを早期に発見することができる。また、温度情報表示層20が半透明の部材(透明度の低い部材)から構成される場合であっても、隙間Sの形成によって、光の取り出し効率の低下を抑制することが可能となる。
【0052】
[実施の形態3]
図8〜図10を参照して、本実施の形態における面光源104について説明する。図8は、面光源104を示す平面図である。図9は、図8中のIX−IX線に沿った矢視断面図である。図10は、面光源104の一部(本体部10)を拡大して示す断面図である。
【0053】
図8および図9を参照して、面光源104における本体部10は、有機発光層13と発光面15との間に配設される補助配線16を含む。補助配線16は、陽極12の上面に格子状(グリッド状)に形成される。補助配線16は、たとえばアルミニウムなどの導電性の高い(陽極12よりも電気抵抗の低い)部材から構成される。
【0054】
補助配線16の格子状に形成された各部分は、陽極12の上面において等電位である。本体部10(陽極12)が大型化された場合であっても、補助配線16が陽極12上に設けられることによって、陽極12に対して印加される電位は適切な値に補償されることができる。
【0055】
図10を参照して、面光源104における温度情報表示層20は、補助配線16を発光面15側に投影することによって形成される投影領域16R内に含まれるように配置される。補助配線16は、不透明な材料であるため、補助配線16を発光面15側に投影することによって発光面15上に形成される投影領域16Rは、発光にほとんど寄与しない。面光源104においては、この投影領域16Rを有効に活用して投影領域16R内に含まれるように温度情報表示層20が配置される。面光源104は、レイアウト上の効率、ならびに光を取り出す上での効率が良い。
【0056】
[実施の形態4]
図11および図12を参照して、本実施の形態における面光源105について説明する。図11は、面光源105を示す平面図である。図12は、図11中のXII−XII線に沿った矢視断面図である。
【0057】
図11を参照して、面光源105においては、上述の実施の形態2における面光源101(図4参照)と同様に、温度情報表示層20が発光面15上において複数設けられる。
【0058】
図12を参照して、温度情報表示層20と有機発光層13との間には、反射部材17が設けられる。反射部材17は、たとえば銀などの反射率の高い部材から構成される。
【0059】
図13を参照して、温度情報表示層20が半透明の部材(透明度のあまり高くない部材)から構成される場合、発光面15から出射された光は温度情報表示層20によって遮られる。
【0060】
温度情報表示層20と有機発光層13との間に反射部材17が設けられることによって、有機発光層13において生成された光は、反射部材17に反射する。反射部材17に反射した光は、陰極14にまで戻って陰極14に反射したり(矢印AR1参照)、陽極12にまで戻って陽極12に反射したりする(矢印AR2参照)。これらの反射光の一部は、多重反射を繰り返すことによって発光面15側から外部に取り出されることができる。結果として、面光源105は、反射部材17の配設によって光の取り出し効率の低下を抑制することが可能となる。
【0061】
[実施の形態5]
図14を参照して、本実施の形態における面光源106について説明する。上述の各実施の形態(面光源100〜105)においては、温度情報表示層20は、発光面15を構成する透明基板11の下面に直接設けられる。
【0062】
本実施の形態における面光源106においては、本体部10が、透明基板11の下面側に設けられた配光部材18を含む。配光部材18は、有機発光層13にて生成され透明基板11を通過した光を所定の方向に屈折させたり、集光させたりする。有機発光層13にて生成された光は、陽極12、透明基板11、および配光部材18を通して発光面15から出射される。すなわち、面光源106における発光面15は配光部材18の下面に形成される。
【0063】
面光源106における温度情報表示層20は、配光部材18の下面側に設けられる。面光源106においても、温度情報表示層20は、本体部10の発光面15側に位置している。
【0064】
本実施の形態における面光源106のように、温度情報表示層20が透明基板11に対して直接設けられていない場合であっても、上述の各実施の形態における面光源100〜105と同様に、短絡等の故障が原因となって本体部10が部分的に発熱した場合、その近傍に位置する温度情報表示層20が変色(発色)する。面光源106の使用者は、短絡等の故障が原因となって発熱したことを早期に発見することができる。
【0065】
以上、本発明に基づいた各実施の形態について説明したが、今回開示された各実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。たとえば、上記の各実施の形態においては薄型の発光素子の例として有機EL素子に基づき説明したが、本発明の面光源は有機EL素子から構成されるものに限られない。本発明の面光源としては、有機EL素子のほかにも、無機EL素子などの薄型の発光素子から構成されてもよい。また、上記の各実施の形態においては面光源として平面型の面光源に基づき説明したが、本発明は、たとえば円筒状または半円筒状などの曲面型の面光源にも適用されることが可能であり、本発明における「面光源」とは、平面型のものに限られず、これらの曲面型のものをも含むものである。したがって、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0066】
10 本体部、11 透明基板、12 陽極、13 有機発光層(発光部)、14 陰極、15 発光面、16 補助配線、16R 投影領域、17 反射部材、18 配光部材、20 温度情報表示層、20R 発色領域、30 電源部、32 スイッチ、100,101,102,103,104,105,106 面光源、AR,AR1,AR2 矢印、S 隙間。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部で生成された光を発光面上において面発光させる本体部と、
前記本体部の前記発光面側に設けられ、予め定められた温度以上になると変色する温度情報表示層と、を備える、
面光源。
【請求項2】
前記温度情報表示層は、前記発光面が露出する隙間を形成するように設けられる、
請求項1に記載の面光源。
【請求項3】
前記本体部は、前記発光部と前記発光面との間に配設された補助配線を含み、
前記温度情報表示層は、前記補助配線を前記発光面側に投影することによって形成される投影領域内に含まれるように配置される、
請求項1または2に記載の面光源。
【請求項4】
前記温度情報表示層と前記発光部との間には、反射部材が設けられる、
請求項1から3のいずれかに記載の面光源。
【請求項1】
発光部で生成された光を発光面上において面発光させる本体部と、
前記本体部の前記発光面側に設けられ、予め定められた温度以上になると変色する温度情報表示層と、を備える、
面光源。
【請求項2】
前記温度情報表示層は、前記発光面が露出する隙間を形成するように設けられる、
請求項1に記載の面光源。
【請求項3】
前記本体部は、前記発光部と前記発光面との間に配設された補助配線を含み、
前記温度情報表示層は、前記補助配線を前記発光面側に投影することによって形成される投影領域内に含まれるように配置される、
請求項1または2に記載の面光源。
【請求項4】
前記温度情報表示層と前記発光部との間には、反射部材が設けられる、
請求項1から3のいずれかに記載の面光源。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−238696(P2012−238696A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106245(P2011−106245)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】
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