説明

靴を包装するための透明ポリプロピレン容器

【課題】衣類、スポーツ用品または玩具の分野の物品を包装するのに適し、良好な機械的特性をもち、包装品を容易に束ねることができ、かつ経済的に製造でき、ひずみの少ない容器を見いだす。
【解決手段】本発明は、衣類、スポーツ用品、玩具または家庭用作業具の分野の物品を包装または貯蔵するための、透明ポリプロピレンを含む容器の使用であって、容器が少なくとも0.8mmの壁厚をもち、透明ポリプロピレンが、1mmのポリプロピレン厚さを基準として射出成形試験片について測定した≦40%の曇り価を有し、かつ≧700MPaの引張弾性率および0℃で≧3kJ/mのシャルピーノッチ付き衝撃強さを有するプロピレンホモポリマーまたはプロピレンコポリマーである使用に関する。さらに本発明は、包装の目的に適した透明ポリプロピレンを含む容器、および衣類、スポーツ用品、玩具または家庭用作業具の分野の物品を包装または貯蔵するのに適した、透明ポリマー製の容器を含むシステムに関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、衣類、スポーツ用品、玩具または家庭用作業具の分野の物品、特に靴を包装または貯蔵するための、透明ポリプロピレン製容器の使用、特に靴の包装に適した透明ポリプロピレン容器、および衣類、スポーツ用品または玩具の分野の物品を包装または貯蔵するのに適した、透明ポリマー製容器を含むシステムに関する。
【0002】
箱と蓋からなる2部式ボール箱が、衣類、スポーツ用品または玩具の分野の物品の包装、特に靴の包装によく用いられる。このタイプの包装の欠点は特に、多くの靴屋で一般に行われるようにそのようなボール箱を互いに多数積み重ねた際に、機械的安定性が不満足な場合が多いことである。さらに、ボール箱の積重なりから下側の箱を引き出す際に、包装、特に蓋が破損することがよくある。蓋は箱を引き出すために頻繁に掴まれるからである。
【0003】
ボール箱包装の他の欠点は、箱の中身が見えないことである。これは、品物を店内に陳列するためにはそれを取り出す必要があること、あるいは客や販売スタッフはボール箱の外側にある記載からしか中身についての情報を得られないことを意味する。これは、靴を定期的にボール箱から取り出し、次いで戻さなければならない場所においても、不利である。間違った位置に置かれた靴を見つけるのは容易ではなく、間違いが見かった場合に元の順序に積み直すのは繁雑な作業だからである。
【0004】
そのようなボール箱包装の他の欠点は、再利用価値が低いことである。したがって、そのような包装は本質的に使い捨て包装であり、それらの物品の購入者または販売者が廃棄しなければならず、これにはかなりの経費を伴う。
【0005】
特に靴のための、プラスチック製の再利用可能な包装が、たとえばEP−A−659 649から知られる。そこに開示される容器は、折りたたみ式フレームと、互いに折み合わせることができる軟質材製の側面セクションをもつ。
【0006】
透明または半透明のプラスチックで作成した靴箱が、WO86/07576に記載されている。しかし、それらの靴箱を特に有利に作成できるプラスチックは開示されていない。
【0007】
ポリプロピレンは、包装用途にしばしば好適な一群のプラスチックを構成する。これらは一般に、有利な機械的特性、たとえば満足すべき硬さ、剛性および寸法安定性を備えている。それらは経済的にも有利である。しかし、剛性(特に低温での)、応力白化挙動、ひずみ、および殊に透明度に、若干の要望が残されている場合がしばしばある。
【0008】
本発明の目的は、先行技術がもつ前記の欠点を克服し、衣類、スポーツ用品または玩具の分野の物品を包装するのに適し、良好な機械的特性をもち、包装品を容易に束ねることができ、かつ経済的に製造でき、ひずみの少ない容器を見いだすことである。
【0009】
本発明者らは、衣類、スポーツ用品、玩具または家庭用作業具の分野の物品を包装または貯蔵するための、透明ポリプロピレンを含む容器の使用であって、容器が少なくとも0.8mmの壁厚をもち、透明ポリプロピレンが、1mmのポリプロピレン厚さを基準として射出成形試験片について測定した≦40%の曇り価を有し、かつ≧700MPaの引張弾性率および0℃で≧3kJ/mのシャルピーノッチ付き衝撃強さを有するプロピレンホモポリマーまたはプロピレンコポリマーである使用により、この目的が達成されることを見いだした。
【0010】
さらに本発明者らは、包装目的に適した透明ポリプロピレンを含む容器を見いだし、また衣類、スポーツ用品、玩具または家庭用作業具の分野の物品を包装または貯蔵するのに適した透明ポリマーを含む容器を含むシステムを見いだした。
【0011】
本発明によれば、透明ポリプロピレンを容器の製造に使用する。本発明の目的に関して、用語ポリプロピレンは、少なくとも50重量%のプロピレンを含むモノマーから製造したポリマーを表わす。使用できるコモノマーは、特にα−オレフィン、すなわち末端二重結合をもつ炭化水素である。好ましいα−オレフィンは、プロピレン以外の直鎖または分枝鎖C−C20−1−アルケン、特に直鎖C−C10−1−アルケンまたは分枝鎖C−C10−1−アルケン、たとえば4−メチル−1−ペンテン、共役および非共役ジエン、たとえば1,3−ブタジエン、1,4−ヘキサジエンまたは1,7−オクタジエン、あるいはビニル芳香族化合物、たとえばスチレンまたは置換スチレンである。他の適切なオレフィンは、二重結合が環状構造の一部であるものであり、環状構造は1以上の環系を含むことができる。例は、シクロペンテン、ノルボルネン、テトラシクロドデセンおよびメチルノルボルネン、ならびにジエン、たとえば5−エチリデン−2−ノルボルネン、ノルボルナジエンまたはエチルノルボルナジエンである。2種類以上のオレフィンの混合物をプロピレンと重合させることもできる。特に好ましいオレフィンは、エチレンおよび直鎖C−C10−1−アルケン、たとえば1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、特にエチレンおよび/または1−ブテンである。
【0012】
本発明に従って容器を製造するのに用いる透明ポリプロピレンは、標準規格ASTM D 1003に従って1mmのポリプロピレン厚さを基準として射出成形試験片について測定した曇り価≦40%、好ましくは≦25%、特に好ましくは≦15%、きわめて好ましくは≦12%をもつ。曇り価は材料の不透明度の尺度であり、したがって材料の透明度を表わすパラメーターである。曇り価が低いほど、透明度は高い。
【0013】
本発明の透明ポリプロピレンは、剛性と靭性を有利に兼ね備えている。本発明の透明ポリプロピレンの引張弾性率は、ISO 527−2:1993に従って測定して、≧700MPa、好ましくは≧800MPaである。引張弾性率を測定するためには、全長150mmおよび平行セクション80mmをもつタイプ1の試験片を、溶融温度250℃および工具表面温度30℃で射出成形することが好ましい。さらに結晶化を行わせるために、次いで試験片を23℃/大気湿度50%の標準条件下で7日間貯蔵する。弾性率を測定する際のひずみ速度を1mm/分とすべきである。シャルピーノッチ付き衝撃強さとして0℃で測定した透明ポリプロピレンの靭性は≧3kJ/m、好ましくは≧4kJ/m、特に≧6kJ/mである。シャルピーノッチ付き衝撃強さは、標準規格ISO 179−2/1eUに従って測定される。
【0014】
本発明の透明ポリプロピレンは、良好な応力白化挙動をも示す。本発明の目的に関して応力白化は、ポリマーが機械的応力を受けた際の応力領域における白色変色の発生である。白化は、機械的応力下にあるポリマーに小さな空隙が形成されることにより起きると一般に考えられている。良好な応力白化挙動とは、機械的応力下で全くまたはごく小さな領域にしか白色変色が起きないことを意味する。
【0015】
応力白化挙動を定量する1方法は、規定の試験片に規定の衝撃応力を与え、次いで生じた白色スポットのサイズを測定するものである。したがって、ドーム圧子法は、DIN 53443 パート1に従って落槍装置により落槍を試験片上に落下させることを伴う。この場合、質量250gおよび衝撃ヘッド直径5mmの落槍を使用する。ドーム半径は25mm、槍を落下させる高さは50cmである。射出成形した直径60mmおよび厚さ2mmの円盤を試験片として用い、各試験片に1回だけ衝撃試験を行う。肉眼で見える応力白化マークの直径mmとして応力白化を報告し、報告した数値はそれぞれ5つの試験片の平均であり、各数値は衝撃を受けた側の反対側の円盤上において、射出成形の流れ方向およびそれと直角の方向における2数値の平均として測定したものである。
【0016】
本発明の透明ポリプロピレンは、ドーム圧子法により23℃で測定して、全くまたはごくわずかな応力白化しか示さない。好ましい透明ポリプロピレンの場合、ドーム圧子法により23℃で測定して、0〜8mm、好ましくは0〜5mm、特に0〜2.5mmの数値が測定される。
【0017】
適切な透明ポリプロピレンは、メタロセン化合物をベースとする触媒系を用いて得た、プロピレンのホモポリマー、または好ましくはプロピレンのコポリマーである。
適切な透明ポリプロピレンは、不均一相プロピレンコポリマーであってもよく、これは多相プロピレンコポリマーまたはプロピレンブロックコポリマーとしても知られる。そのような組成物は通常は、一般に相対的に低い剛性をもつポリオレフィンがより高い剛性をもつプロピレンポリマーのマトリックス中に分散した、脱混合相をもつ。
【0018】
透明ポリプロピレンとして適切な不均一相プロピレンコポリマーは、たとえばエチレンと1−ブテンのコポリマーを軟質相として含むものである。
特に有用な不均一相プロピレンコポリマーは、マトリックスを形成するプロピレンポリマーAおよびそれに分散したプロピレンコポリマーBを含むコポリマーであり、この不均一相プロピレンコポリマーは、メタロセン化合物をベースとする触媒系を用いて製造されたものである。
【0019】
プロピレンポリマーAは、プロピレンホモポリマー、またはプロピレンと最高15重量%、好ましくは最高10重量%のプロピレン以外のオレフィンとのコポリマーであってよく、好ましいプロピレンコポリマーはプロピレン以外のオレフィンを1.5〜7重量%、特に2.5〜5重量%含有する。コモノマーとしては、エチレンもしくは直鎖C−C10−1−アルケンまたはその混合物、特にエチレンおよび/または1−ブテンを用いるのが好ましい。
【0020】
プロピレンコポリマーBは、通常はプロピレン以外のオレフィンを5〜40重量%含有する。コモノマー含量およびプロピレン以外のオレフィン(1以上)のタイプの両方に関して異なる2種類以上のプロピレンコポリマーを、成分Bとして使用することもできる。好ましいコモノマーは、エチレンおよび直鎖C−C10−1−アルケンまたはその混合物、特にエチレンおよび/または1−ブテンである。他の好ましい態様においては、少なくとも2つの二重結合を含むモノマー、たとえば1,7−オクタジエンまたは1.9−デカジエンをさらに使用する。プロピレンコポリマー中におけるプロピレン以外のオレフィンの含量は、プロピレンコポリマーBを基準として一般に7〜25重量%、好ましくは10〜20重量%、特に好ましくは12〜18重量%、特に14〜17重量%である。
【0021】
プロピレンポリマーAとプロピレンコポリマーBの重量比は変更できる。それは、好ましくは90:10〜60:40、特に好ましくは80:20〜60:40、きわめて好ましくは70:30〜60:40であり、プロピレンコポリマーBは成分Bを形成するすべてのプロピレンコポリマーであってもよい。
【0022】
そのような好ましい透明ポリプロピレンは、好ましくは狭い分子質量分布M/Mをもつ。本発明の目的に関して分子質量分布M/Mは、重量平均分子質量Mと数平均分子質量Mの比である。分子質量分布M/Mは、好ましくは1.5〜3.5、特に好ましくは1.8〜2.5、特に2〜2.3である。
【0023】
そのような好ましい透明ポリプロピレンの平均分子質量Mは、好ましくは20 000〜500 000g/モル、特に好ましくは50 000〜200 000g/モル、きわめて好ましくは80 000〜150 000g/モルである。
【0024】
そのような好ましい透明ポリプロピレンを製造するためには、元素の周期表3、4、5または6族遷移金属のメタロセン化合物をベースとする触媒系を用いることが好ましい。
式(I)をもつメタロセン化合物をベースとする触媒系が特に好ましい:
【0025】
【化1】

【0026】
式中
Mは、ジルコニウム、ハフニウムまたはチタン、好ましくはジルコニウムであり、
Xは、同一でも異なってもよく、それぞれ互いに独立して水素もしくはハロゲン、または−R、−OR、−OSOCF、−OCOR、−SR、−NRまたは−PR基であり、これらにおいてRは直鎖もしくは分枝鎖C−C20−アルキル、C−C20−シクロアルキル(1個以上のC−C10−アルキル基を置換基として保有してもよい)、C−C20−アリール、C−C20−アルキルアリールまたはC−C20−アリールアルキルであり、元素の周期表13〜17族の1個以上の異種原子、または1以上の不飽和結合を含むことができ、好ましくはC−C10−アルキル、たとえばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチルもしくはn−オクチル、またはC−C20−シクロアルキル、たとえばシクロペンチルもしくはシクロヘキシルであり、基Xは互いに結合して、好ましくはC−C40−ジエニル配位子、特に1,3−ジエニル配位子、または−OR’O−基を形成していてもよく、ここで置換基R’はC−C40−アルキリデン、C−C40−アリーリデン、C−C40−アルキルアリーリデンおよびC−C40−アリールアルキリデンよりなる群から選択される二価の基であり、
Xは、好ましくはハロゲン原子または−Rもしくは−OR基であり、あるいは2つの基Xが−OR’O−基を形成し、Xは特に好ましくは塩素またはメチルであり、
Lは、C−C20−アルキリデン、C−C20−シクロアルキリデン、C−C20−アリーリデン、C−C20−アルキルアリーリデンおよびC−C20−アリールアルキリデン基よりなる群から選択される二価架橋基であり、これらは元素の周期表13〜17族の異種原子を含むことができ、あるいは最高5個のケイ素原子をもつシリリデン基、たとえば−SiMe−または−SiPh−であり、
Lは、好ましくは−SiMe−、−SiPh−、−SiPhMe−、−SiMe(SiMe)−、−CH−、−(CH−、−(CH−および−(CH−よりなる群から選択される基であり、
は、直鎖もしくは分枝鎖C−C20−アルキル、C−C20−シクロアルキル(1個以上のC−C10−アルキル基を置換基として保有してもよい)、C−C20−アリール、C−C20−アルキルアリールまたはC−C20−アリールアルキルであり、元素の周期表13〜17族の1個以上の異種原子、または1以上の不飽和結合を含むことができ、
は好ましくはα位において分枝しておらず、好ましくは直鎖または分枝鎖C−C10−アルキル基(α位において分枝していない)、特に直鎖C−C−アルキル基、たとえばメチル、エチル、n−プロピルまたはn−ブチルであり、
は、式−C(Rの基であり、ここで
は、同一でも異なってもよく、それぞれ互いに独立して直鎖もしくは分枝鎖C−C20−アルキル、C−C20−シクロアルキル(1個以上のC−C10−アルキル基を置換基として保有してもよい)、C−C20−アリール、C−C20−アルキルアリールまたはC−C20−アリールアルキルであり、元素の周期表13〜17族の1個以上の異種原子、または1以上の不飽和結合を含むことができ、あるいは2個以上の基Rが結合して飽和または不飽和C−C20環を形成していてもよく、
は、好ましくは直鎖または分枝鎖C−C10−アルキル基であり、
は、水素、または直鎖もしくは分枝鎖C−C20−アルキル、C−C20−シクロアルキル(1個以上のC−C10−アルキル基を置換基として保有してもよい)、C−C20−アリール、C−C20−アルキルアリールまたはC−C20−アリールアルキルであり、元素の周期表13〜17族の1個以上の異種原子、または1以上の不飽和結合を含むことができ、
は、好ましくは水素であり、
TおよびT’は、式(II)、(III)、(IV)、(V)または(VI)の二価の基であり:
【0027】
【化2】

【0028】
これらにおいて
記号および**で示した原子は、それぞれの場合、式(I)の化合物の同一記号で示した原子へ結合しており、
は、同一でも異なってもよく、それぞれ互いに独立して水素もしくはハロゲン、または直鎖もしくは分枝鎖C−C20−アルキル、C−C20−シクロアルキル(1個以上のC−C10−アルキル基を置換基として保有してもよい)、C−C20−アリール、C−C20−アルキルアリールまたはC−C20−アリールアルキルであり、元素の周期表13〜17族の1個以上の異種原子、または1以上の不飽和結合を含むことができ、
は、好ましくは水素、または直鎖もしくは分枝鎖C−C10−アルキル基、特に直鎖C−C−アルキル基、たとえばメチル、エチル、n−プロピルまたはn−ブチルであり、
は、同一でも異なってもよく、それぞれ互いに独立してハロゲン、または直鎖もしくは分枝鎖C−C20−アルキル、C−C20−シクロアルキル(1個以上のC−C10−アルキル基を置換基として保有してもよい)、C−C20−アリール、C−C20−アルキルアリールまたはC−C20−アリールアルキルであり、元素の周期表13〜17族の1個以上の異種原子、または1以上の不飽和結合を含むことができ、
は、好ましくは式(VII)のアリール基であり:
【0029】
【化3】

【0030】
は、同一でも異なってもよく、それぞれ互いに独立して水素もしくはハロゲン、または直鎖もしくは分枝鎖C−C20−アルキル、C−C20−シクロアルキル(1個以上のC−C10−アルキル基を置換基として保有してもよい)、C−C20−アリール、C−C20−アルキルアリールまたはC−C20−アリールアルキルであり、元素の周期表13〜17族の1個以上の異種原子、または1以上の不飽和結合を含むことができ、あるいは2個以上の基Rが結合して飽和または不飽和C−C20環を形成していてもよく、
は、好ましくは水素原子であり、
は、水素もしくはハロゲン、または直鎖もしくは分枝鎖C−C20−アルキル、C−C20−シクロアルキル(1個以上のC−C10−アルキル基を置換基として保有してもよい)、C−C20−アリール、C−C20−アルキルアリールまたはC−C20−アリールアルキルであり、元素の周期表13〜17族の1個以上の異種原子、または1以上の不飽和結合を含むことができ、
は、好ましくは式−C(Rの分枝鎖アルキル基であり、ここで
は、同一でも異なってもよく、それぞれ互いに独立して直鎖または分枝鎖C−C−アルキル基であり、あるいは2〜3個の基Rが結合して1以上の環系を形成していてもよい。
【0031】
基TおよびT’のうち少なくとも1つが式(VII)の基Rにより置換されたものが好ましく、両方の基がそのような基により置換されたものが特に好ましい。基TおよびT’のうち少なくとも一方が式(IV)の基であって式(VII)の基Rにより置換され、他方が式(II)または(IV)をもち、同様に式(VII)の基Rにより置換されたものが、きわめて好ましい。
【0032】
式(VIII)のメタロセン化合物をベースとする触媒系がきわめて好ましい:
【0033】
【化4】

【0034】
特に有用なメタロセン化合物およびそれらを製造する方法は、たとえばWO 01/48034および国際特許出願PCT/EP02/13552に記載されている。
各種メタロセン化合物の混合物または各種触媒系の混合物も使用できる。しかし、1種類のメタロセン化合物を含む1種類の触媒系のみを使用し、これをプロピレンポリマーAおよびプロピレンコポリマーBの重合に使用することが好ましい。
【0035】
適切なメタロセン化合物の例は下記のものである:
ジメチルシランジイル−(2−エチル−4−(4’−t−ブチルフェニル)インデニル)−(2−イソプロピル−4−(4’−t−ブチルフェニル)インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイル−(2−メチル−4−(4’−t−ブチルフェニル)インデニル)−(2−イソプロピル−4−(1−ナフチル)インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイル−(2−メチル−4−フェニル)−1−インデニル)−(2−イソプロピル−4−(4’−t−ブチルフェニル)−1−インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイル−(2−メチルチアペンテニル)−(2−イソプロピル−4−(4’−t−ブチルフェニル)インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイル−(2−イソプロピル−4−(4’−t−ブチルフェニル)インデニル)−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイル−(2−メチル−4−(4’−t−ブチルフェニル)インデニル)−(2−イソプロピル−4−(4’−t−ブチルフェニル)インデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイル−(2−メチル−4−(4’−t−ブチルフェニル)インデニル)−(2−イソプロピル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシランジイル−(2−エチル−4−(4’−t−ブチルフェニル)インデニル)−(2−イソプロピル−4−フェニル)インデニル)ジルコニウムジクロリド、もしくは
ジメチルシランジイル−(2−イソプロピル−4−(4’−t−ブチルフェニル)インデニル)−(2−メチル−4−(1−ナフチル)インデニル)ジルコニウムジクロリド、
またはその混合物。
【0036】
さらに、メタロセン化合物をベースとする好ましい触媒系は、一般にメタロセニウムイオンを形成しうる化合物を助触媒としてさらに含む。適切な助触媒には、強い非荷電ルイス酸、ルイス酸カチオンをもつイオン性化合物、およびカチオンとしてブレンステッド酸を含むイオン性化合物が含まれる。例は、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、およびN,N−ジメチルアニリニウムの塩類である。メタロセニウムイオンを形成しうる化合物として適切な、したがって助触媒として適切な他の化合物は、開鎖または環状アルミノキサン化合物である。これらは、通常はトリアルキルアルミニウムと水を反応させることにより製造され、一般に多様な長さの直鎖分子と環状分子の両方の混合物または多様なサイズのかご型分子の混合物として存在する。メタロセン化合物をベースとする好ましい触媒系は、通常は担持された形で用いられる。適切な担体は、たとえば多孔質の有機もしくは無機不活性固体、たとえば微細に分割したポリマー粉末、または無機酸化物、たとえばシリカゲルである。メタロセン触媒系は、さらに周期表の1、2および13族金属の有機金属化合物、たとえばn−ブチルリチウムまたはアルキルアルミニウムを含むことができる。
【0037】
特に好ましい不均一相組成物を製造する際には、まず第1工程で、混合物の全重量を基準として90〜100重量%のプロピレンを、所望により他のオレフィンの存在下に、通常は40〜120℃および圧力0.5〜200バールで重合させることにより、プロピレンポリマーAを重合させることが好ましい。第2工程では、次いで2〜95重量%のプロピレンと5〜98重量%の他のオレフィンの混合物を、通常は40〜120℃および圧力0.5〜200バールで、第1工程の反応により得たポリマー上に重合させる。プロピレンポリマーAの重合は、好ましくは60〜80℃、特に好ましくは65〜75℃、および好ましくは圧力5〜100バール、特に好ましくは10〜50バールで行われる。プロピレンコポリマーBの重合は、好ましくは60〜80℃、特に好ましくは65〜75℃、および好ましくは圧力5〜100バール、特に好ましくは10〜50バールで行われる。
【0038】
慣用される添加剤、たとえば分子質量調節剤、たとえば水素または不活性ガス(たとえば窒素またはアルゴン)も、重合に際して使用できる。
メタロセン化合物をベースとする触媒系を用いて製造されたそのような好ましい透明ポリプロピレンのプロピレンコポリマーBの組成は、好ましくは均一である。それらは、ブロック状で取り込まれた少量のコモノマーを含む。”ブロック状で取り込まれた”という表現は、2以上のコモノマー単位が互いに直接連続していることを表わすために用いられる。プロピレンとエチレンから得られる好ましいプロピレンコポリマーBにおいて、その構造は13C−NMR分光分析により判定できる。スペクトルの評価は従来の技術水準であり、当業者がたとえばH.N.Cheng, Macromolecules 17 (1984), pp.1950-1955、またはL.Abis et al., Makromol. Chemie 187 (1986), pp.1877-1886の方法を用いて実施できる。次いでその構造を”PE”と”PEP”の割合により記載することができる;ここでPEは≧2の連続エチレン単位をもつプロピレン−エチレン単位を表わし、PEPは2つのプロピレン単位の間に隔離されたエチレン単位をもつプロピレン−エチレン単位を表わす。プロピレンとエチレンから得られる好ましいプロピレンコポリマー組成物は、0.75ないし≧1、好ましくは0.85ないし≧1.4、特に好ましくは0.85〜1.2、特に0.9〜1.1のPEP/PE比をもつ。
【0039】
コモノマーとして好ましいエチレンを使用する場合、プロピレンコポリマーBのエチレン含量10〜20重量%、特に12〜18重量%、特に好ましくは約16重量%が特に好ましい。本発明に従って使用するプロピレンコポリマー組成物の透明度は、存在するプロピレンコポリマーBの割合とは実質的に無関係である。
【0040】
透明ポリプロピレンとして適した特に有用な不均一相プロピレンコポリマーは、下記を含むものでもある:
A)50〜98重量%、好ましくは60〜95重量%の、結晶質プロピレンホモポリマー、あるいはプロピレンとエチレンおよび/またはC−C10−1−アルケンとの結晶質ランダムコポリマー:0.5〜15重量%のエチレンおよび/またはC−C10−1−アルケンを含有;ならびに
B)2〜50重量%、好ましくは5〜40重量%の、(i)60〜85重量%のエチレンを含有する、エチレンと1種類以上のC−C10−1−アルケンの弾性コポリマー(コポリマー(a))、または(ii)コポリマー(a)と、15%より多量で最高40%のエチレンを含むプロピレンコポリマー(コポリマー(b))とのブレンド:重量比(a)/(b)は好ましくは1/4〜4/1。
【0041】
フラクションAおよびBにおいてコモノマーとして使用できるC−C10−1−アルケンの例は、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンおよび4−メチル−1−ペンテンである。特に好ましいのは1−ブテンである。
【0042】
ISO 1133に従って測定したそのような不均一相プロピレンコポリマーのMFR(230℃/2.16kg)は、好ましくは0.1〜100g/10分である。
そのような有用な不均一相プロピレンコポリマーは一般に、二ハロゲン化マグネシウムに担持させた立体特異的ツィーグラー−ナッタ触媒の存在下でモノマーを逐次共重合することにより製造される。この重合は少なくとも2工程で実施される:第1工程ではフラクションAのポリマーの合成を実施し、第2工程ではフラクションBのポリマーの合成を実施する。後者の合成は、前の工程で得られたポリマーおよび用いた触媒の存在下で行われる。これら2工程に関する反応時間および温度は決定的ではなく、有利にはそれぞれ0.5〜5時間、および50〜90℃である。分子量の調節は、慣用される分子量調節剤、たとえば水素およびZnEtを用いて行われる。
【0043】
適切な立体特異的触媒は、下記の反応の生成物を含む:
i)塩化マグネシウムに担持された、チタン化合物および電子供与化合物(内部電子供与体)を含有する固体成分;
ii)アルキルアルミニウム化合物(助触媒);ならびに所望により
iii)電子供与化合物(外部電子供与体)。
【0044】
これらの触媒は、好ましくは90%より高いアイソタクチック指数をもつホモポリマーポリプロピレンを製造することができる。
前記の特性をもつ触媒は、特許文献において周知である;特に有利なものは、US−A 4,399,054およびEP−A−45977に記載された触媒である。
【0045】
固体触媒成分(i)は、一般にエーテル類、ケトン類、ラクトン類、N、Pおよび/またはS原子を含む化合物、ならびにモノ−およびジカルボン酸エステルから選択される化合物を、電子供与体として含有する。
【0046】
特に適切なものは、フタル酸エステルおよびコハク酸エステルである。特に適切な他の電子供与体は、公開された欧州特許出願EP−A 361 493およびEP−A 728 769に示される1,3−ジエーテルである。
【0047】
助触媒(ii)としては、好ましくはトリアルキルアルミニウム化合物、たとえばAl−トリエチル、Al−トリイソブチルおよびAl−トリ−n−ブチルを使用する。
外部電子供与体(Al−アルキル化合物に添加される)として使用できる電子供与化合物(iii)には、芳香族酸エステル(たとえば安息香酸アルキル)、複素環式化合物(たとえば2,2,6,6−テトラメチルピペリジンおよび2,6−ジイソプロピルピペリジン)、特に少なくとも1つのSi−OR結合を含むケイ素化合物(Rは炭化水素基である)が含まれる。前記の1,3−ジエーテルも外部供与体として使用するのに適切である。内部供与体が1,3−ジエーテルの1つである場合、外部供与体を省くことができる。
【0048】
メタロセン化合物をベースとする触媒系を用いて、または二ハロゲン化マグネシウムに担持させた立体特異的ツィーグラー−ナッタ触媒を用いて得られる、特に有用な透明ポリプロピレンは、好ましくは少なくとも2つの重合工程を一般に反応器カスケードの形で直列に連結した多工程重合法において製造される。プロピレンの重合に用いられる一般的な反応器を使用できる。重合は既知の様式で、塊状または懸濁液、気相、または超臨界媒質中で実施できる。バッチ式、または好ましくは連続式で重合を行うことができる。溶液法、懸濁液法、撹拌式気相法または気相流動床法をすべて使用できる。溶媒または懸濁媒質としては、不活性炭化水素、たとえばイソブタン、またはモノマー自体を使用できる。本発明に従って使用する方法の1以上の工程を、2以上の反応器中で実施することもできる。反応器のサイズは、本発明に従って使用する方法にとって決定的に重要ではない。それは、その反応帯域または個々の反応帯域で達成すべき生産量に依存する。
【0049】
プロピレンコポリマーBまたはフラクションBを形成する第2工程の重合を気相で行う方法が好ましい。その前のプロピレンポリマーAまたはフラクションAの重合は、塊状で、すなわち懸濁媒質としての液体プロピレン中で、または気相でも実施できる。すべての重合を気相で行う場合、この方法は、直列に連結した撹拌式気相反応器カスケードにおいて、粉末状反応床を垂直撹拌機により揺動し続けながら実施することが好ましい。反応床は一般に、各反応器内で重合したポリマーを含む。最初のプロピレンポリマーAの重合を塊状で実施する場合、この方法は、好ましくは1以上のループ反応器および1以上の気相流動床反応器を含むカスケードで行われる。多帯域反応器内で製造を行うこともできる。
【0050】
各工程に添加するモノマーの量、およびプロセス条件、たとえば圧力、温度、または水素などの分子質量調節剤の添加は、形成されるポリマーが目的特性をもつように選択される。
【0051】
慣用される添加剤、たとえば分子質量調節剤、たとえば水素または不活性ガス(たとえば窒素もしくはアルゴン)も、重合に際して使用できる。
透明ポリプロピレンは一般にさらに、当業者に既知の添加剤、たとえば安定剤、潤滑剤および離型剤、充填剤、成核剤、帯電防止剤、可塑剤、色素、顔料、または難燃剤を、慣用される量で含む。それらを一般に、重合で得られる粉末状生成物の造粒に際して取り込ませる。
【0052】
慣用される安定剤は、酸化防止剤、たとえば立体障害フェノール(ヒンダードフェノール)、加工安定剤、たとえばホスファイトもしくはホスホナイト、酸スキャベンジャー、たとえばステアリン酸カルシウムもしくはステアリン酸亜鉛もしくはジヒドロタルサイト、立体障害アミン、またはUV安定剤である。一般に本発明に従って用いられるプロピレンコポリマー組成物は、1種類以上の安定剤を最高2重量%の量で含有する。
【0053】
適切な潤滑剤および離型剤は、たとえば脂肪酸、脂肪酸のカルシウム塩もしくは亜鉛塩、脂肪酸アミド、または低分子量ポリオレフィンろうであり、これらは通常は最高2重量%の濃度で用いられる。
【0054】
使用できる充填剤は、たとえばタルク、白亜またはガラス繊維であり、これらは通常は最高50重量%の量で使用できる。
適切な成核剤は、たとえば無機添加剤、たとえばタルク、シリカもしくはカオリン、モノカルボン酸もしくはポリカルボン酸の塩類、たとえば安息香酸ナトリウムもしくは安息香酸t−ブチルアルミニウム、ジベンジリデンソルビトールもしくはそのC−C−アルキル置換誘導体、たとえばメチルジベンジリデンソルビトール、エチルジベンジリデンソルビトールもしくはジメチルジベンジリデンソルビトール、またはリン酸ジエステルの塩類、たとえばリン酸2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウムである。プロピレンポリマー組成物中の成核剤の含量は、一般に最高5重量%である。
【0055】
そのような添加剤は一般に市販されており、たとえばGaecher / Mueller, Plastics Additives Handbook, 第4版, Hansa Publishers,ミュンヘン,1993に記載されている。
好ましい態様において、透明ポリプロピレンは0.1〜1重量%、好ましくは0.15〜0.25重量%の成核剤、特にジベンジリデンソルビトールまたはジベンジリデンソルビトール誘導体、特に好ましくはジメチルジベンジリデンソルビトールを含有する。
【0056】
本発明の容器は、衣類、スポーツ用品、玩具または家庭用作業具の分野の物品を包装または貯蔵するために用いられる。たとえばそれらは、あらゆるタイプの履物、たとえば靴、サンダル、ブーツ、スポーツシューズ、ローラーブレード、またはスキーブーツ、洗濯物、テニス用具、玩具、たとえば玩具の自動車もしくはビルディングブロック、または家庭用作業具、たとえば工具、ねじもしくはくぎの包装または貯蔵に適切である。特に、これらの容器は靴の包装または貯蔵に用いられる。
【0057】
本発明の容器は、少なくとも0.8mm、好ましくは少なくとも1.0mmの壁厚をもつ。容器の壁厚は、一般に容器のすべての領域においてほぼ等しい。しかし、それらは強化された領域またはリブを備えていてもよい。これらの容器は一般に前記の物品、特に靴を容易に詰めることができる寸法をもつ。
【0058】
好ましい容器は、2つの部分から構成され、箱形受け器と蓋からなる。受け器と蓋を、特にフィルムヒンジにより互いに密着させることができる。箱形受け器と蓋は、好ましくは容器を閉じた状態で箱形受け器と蓋が適切にロックされるように構成される。
【0059】
さらに受け器は、空の状態で受け器を互いにはめ込んで積み重ねることができるように構成されることが好ましい。これは通常は、受け器を円錐形にすることにより達成される。受け器の上縁の外側周囲を強化して補剛することも好ましい。さらに、これによって、容器を閉じた状態で受け器と蓋を適切にロックするのがより簡単になる。
【0060】
箱形受け器と蓋から構成される好ましい容器のデザインとして可能なものを添付の図面に示す。
蓋は、好ましくは、高さが通常10〜20mmの短かいサイドパーツを備えた状態に設計される。蓋の下縁の内側周囲を強化して補剛することも好ましい。さらに、これによって、容器を閉じた状態で受け器と蓋を適切にロックするのがより簡単になる。
【0061】
本発明の容器は、好ましくは射出成形により製造される。しかし、たとえば押出シート、特に押出し波板を成形し、たとえば折り曲げることにより、容器を得ることもできる。
本発明はさらに、少なくとも0.8mmの壁厚をもつ透明ポリプロピレンを含む容器であって、透明ポリプロピレンが、1mmのポリプロピレン厚さを基準として射出成形試験片について測定した≦40%の曇り価を有し、かつ≧700MPaの引張弾性率および0℃で≧3kJ/mのシャルピーノッチ付き衝撃強さを有するプロピレンホモポリマーまたはプロピレンコポリマーであり、かつ容器の底に前記の透明ポリプロピレンのものより大きな滑り摩擦係数をもつ材料が付与された容器を提供する。この材料は、包装または貯蔵した靴などの物品の滑りを防ぎ、または少なくとも減らす。前記の透明ポリプロピレンのものより高い滑り摩擦係数をもつ適切な材料の例は、エラストマーまたは熱可塑性エラストマー、たとえば熱可塑性ポリオレフィンまたはスチレンオリゴブロックコポリマーである。適切な熱可塑性ポリオレフィンは、たとえばBasellによりAdflexの名称で市販されている。一般に本発明の容器は、底の若干領域のみに、高い滑り摩擦係数をもつ材料が付与される。これらの領域は、たとえば卵形、方形ストリップ、または足形であってもよい。製造はたとえば2成分射出成形により実施できる。しかし、容器と高い滑り摩擦係数をもつ材料の成形品とを別個に作成し、次いでこれらの成形品をたとえば接着剤結合により容器に固定することもできる。
【0062】
本発明はさらに、衣類、スポーツ用品、玩具または家庭用作業具の分野の物品を包装または貯蔵するためのシステムであって、包装品内に少なくとも2つの物体が存在し、それらの物体が、透明ポリマーを含む少なくとも0.8mmの壁厚をもつ容器で囲まれ、かつ少なくとも2つの物体が透明な軟質フィルムで互いに分離されているシステムを提供する。このようなシステムによれば、少なくとも2つの物体からなり、それらの物体が互いに、または包装の壁とぶつかるのから確実に保護された状態で包装されている物品を、容易に見ることができる。
【0063】
このシステムの容器を製造するために使用できる適切な透明ポリマーの例は、ポリスチレン、ポリカーボネート、スチレン−ブタジエンブロックコポリマー、およびポリプロピレンであり、前記の透明ポリプロピレンが特に有用である。
【0064】
好ましい透明フィルムは軟質であり、低い剛性をもつ。さらに、好ましい透明フィルムは、前記の透明ポリマーより高い滑り摩擦係数をもつ材料から製造される。適切な透明フィルムは、たとえば熱可塑性ポリオレフィンから、たとえばBasellからAdflexの名称で市販されている熱可塑性ポリオレフィンから製造できる。
【0065】
本発明はさらに、衣類、スポーツ用品、玩具または家庭用作業具、特に靴を包装するため再利用可能な包装システムであって、透明ポリマーを含む少なくとも0.8mmの壁厚をもつ容器を、衣類、スポーツ用品、玩具または家庭用作業具の包装に使用し、これらの容器内に正確に嵌まるか、またはこれらの容器内に吊るすことができる、より小型の容器を、容器の再利用に利用したシステムを提供する。これらのインサートは、好ましくは前記の容器を作成したものと同一の透明ポリマーから作成される。これらのインサートは、複数のコンパートメント、たとえば2〜10、好ましくは4〜8個のコンパートメントをもつ仕分け容器として構成することもできる。
【0066】
最初に包装材料として用いる容器を再使用するための補助として、適切なインサートを空の状態で販売することができる。しかし、インサートを既に装填した状態で販売することもでき、すなわちその場合は他の物品の再利用可能な包装として使用する。そのようなインサートに装填した状態で販売できる適切な物品は、たとえば靴の手入れ用品、たとえば靴磨き剤のチューブ、清掃用具もしくは清掃用布、または縫製必需品、たとえば針、糸もしくはボタンである。
【0067】
前記のシステムを製造するために使用できる適切な透明ポリマーは、たとえばポリスチレン、ポリカーボネート、スチレン−ブタジエンブロックコポリマー、およびポリプロピレンであり、前記の透明ポリプロピレンが特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】箱形受け器と蓋から構成される好ましい容器のデザインを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類、スポーツ用品、玩具または家庭用作業具の分野の物品を包装または貯蔵するための、透明ポリプロピレンを含む容器の使用であって、容器が少なくとも0.8mmの壁厚をもち、透明ポリプロピレンが、1mmのポリプロピレン厚さを基準として射出成形試験片について測定した≦40%の曇り価を有し、かつ≧700MPaの引張弾性率および0℃で≧3kJ/mのシャルピーノッチ付き衝撃強さを有するプロピレンホモポリマーまたはプロピレンコポリマーである使用。
【請求項2】
容器を靴の包装または貯蔵に使用する、請求項1に記載の容器の使用。
【請求項3】
容器が2つの部分であり、箱形受け器と蓋からなり、これらの受け器と蓋を互いに密着させることができる、請求項1または2に記載の容器の使用。
【請求項4】
受け器および蓋が、容器を閉じた状態で箱形受け器と蓋が適切にロックされるように構成された、請求項1〜3のいずれか1項に記載の容器の使用。
【請求項5】
受け器が、空の状態で互いに嵌め込んで積み重ねることができるように構成された、請求項1〜4のいずれか1項に記載の容器の使用。
【請求項6】
容器が射出成形により製造された、請求項1〜5のいずれか1項に記載の容器の使用。
【請求項7】
少なくとも0.8mmの壁厚をもつ透明ポリプロピレンを含む容器であって、透明ポリプロピレンが、1mmのポリプロピレン厚さを基準として射出成形試験片について測定した≦40%の曇り価を有し、かつ≧700MPaの引張弾性率および0℃で≧3kJ/mのシャルピーノッチ付き衝撃強さを有するプロピレンホモポリマーまたはプロピレンコポリマーであり、かつ容器の底に前記の透明ポリプロピレンのものより大きな滑り摩擦係数をもつ材料が付与された容器。
【請求項8】
容器が請求項7に記載の容器である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の容器の使用。
【請求項9】
衣類、スポーツ用品、玩具または家庭用作業具の分野の物品を包装または貯蔵するためのシステムであって、包装品内に少なくとも2つの物体が存在し、透明ポリマーを含む少なくとも0.8mmの壁厚をもつ容器でそれらの物体が囲まれ、かつ少なくとも2つの物体が透明な軟質フィルムで互いに分離されているシステム。
【請求項10】
衣類、スポーツ用品、玩具または家庭用作業具を包装するための再利用可能な包装システムであって、透明ポリマーを含む少なくとも0.8mmの壁厚をもつ容器を、衣類、スポーツ用品、玩具または家庭用作業具の包装に使用し、これらの容器内に正確に嵌まるか、またはこれらの容器内に吊るすことができる、より小型の容器を、容器の再利用に利用するシステム。

【図1】
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【公表番号】特表2006−525196(P2006−525196A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505293(P2006−505293)
【出願日】平成16年4月28日(2004.4.28)
【国際出願番号】PCT/EP2004/004453
【国際公開番号】WO2004/099032
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(500289758)バーゼル・ポリオレフィン・ゲーエムベーハー (118)
【Fターム(参考)】