鞍乗型車両
【課題】車体傾斜角可変スタンドであって、機構が簡単で部品点数が少なく、コストを抑えることができるスタンドを備える鞍乗型車両を提供することを課題とする。
ることを課題とする。
【解決手段】サイドスタンド31は、車体フレーム24から下げられるスタンド支持部85と、このスタンド支持部85に略車体長手方向に延びる第1ピン86を介して連結され複数のストッパ87、88の1つに当たるまで車幅方向に揺動するスタンドブラケット89と、このスタンドブラケット89に第2ピン91を介して連結され起立位置から収納位置まで揺動するスタンドアーム92とからなる。
【効果】駆動モータが不要であり、構造が簡単で、コストアップを抑えることができるスタンドを備える鞍乗型車両が提供される。
ることを課題とする。
【解決手段】サイドスタンド31は、車体フレーム24から下げられるスタンド支持部85と、このスタンド支持部85に略車体長手方向に延びる第1ピン86を介して連結され複数のストッパ87、88の1つに当たるまで車幅方向に揺動するスタンドブラケット89と、このスタンドブラケット89に第2ピン91を介して連結され起立位置から収納位置まで揺動するスタンドアーム92とからなる。
【効果】駆動モータが不要であり、構造が簡単で、コストアップを抑えることができるスタンドを備える鞍乗型車両が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイドスタンドを備える鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
乗員がシートを跨いで座る車両は、鞍乗型車両と呼ばれる。鞍乗型車両の代表例である自動二輪車を例に説明すると、自動二輪車に、駐車時に用いるスタンドが装備される。スタンドには、センタースタンドとサイドスタンドの2種類が実用に供される。サイドスタンドによる駐車姿勢は、地面に対してサイドスタンド側に傾いた形態となる。
【0003】
路面の状況、その他の目的でサイドスタンド使用時での車体傾斜角を調節することが求められる。そこで、車体傾斜角制御装置が提案されている(例えば、特許文献1(第2図)参照。)。
【0004】
特許文献1の第2図に示されるサイドスタンド(2)(括弧付き数字は、特許文献1に記載された符号を示す。以下同様)は、アウタチューブ(30)とインナチューブ(32)とからなる。駆動モータ(9)でねじ部(40)が回されるとスライドアーム(41)が上下する。このスライドアーム(41)により、インナチューブ(32)が上下し、サイドスタンド(2)の長さが変化する。
【0005】
インナチューブ(32)を案内するアウタチューブ(30)や、駆動モータ(9)や、ねじ部(40)や、スライドアーム(41)が必須であり、機構が複雑であると共に、部品点数が多いことからコストが嵩む。
【0006】
車体傾斜角制御装置の利用、普及を考えると、機構が簡単で部品点数が少なく、コストを抑えることができるスタンド構造が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭64−52582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、車体傾斜角可変スタンドであって、機構が簡単で部品点数が少なく、コストを抑えることができるスタンドを備える鞍乗型車両を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、前輪と後輪との間に配置されるサイドスタンドを備えた鞍乗型車両において、
前記サイドスタンドは、車体フレームに設けられるスタンド支持部と、このスタンド支持部に略車体長手方向に延びる第1ピンを介して連結され複数のストッパの1つに当たるまで車幅方向に揺動するスタンドブラケットと、このスタンドブラケットに第2ピンを介して連結され起立位置から収納位置まで揺動するスタンドアームとからなることを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の鞍乗型車両において、
前記鞍乗型車両は、前部構造体と後部構造体を主要素とする車両であり、
前記前部構造体は、前部にヘッドパイプを備え車両前後方向に延びる車体フレームと、この車体フレームの下部に設けられる前記サイドスタンドと、前記車体フレームの後部から延びるシートフレームと、このシートフレームに支えられるシートと、前記ヘッドパイプに操向可能に取付けられるフロントフォークと、このフロントフォークの上端に取付けられる操向ハンドルと、前記フロントフォークの下端に取付けられる前輪と、からなり、
前記後部構造体は、前記前輪の後方に配置される後輪と、この後輪より車両前方に配置され前記後輪を駆動する駆動源と、この駆動源及び前記後輪を支える支持体と、この支持体に設けられる第1ストッパ及びこの第1ストッパより前記スタンドアームの傾きを水平に近づける第2ストッパとからなり、
前記前部構造体と前記後部構造体は、ヒンジ部を介して車両側面視で屈曲可能に連結され、
前記ヒンジ部を軸に前記前部構造体と前記後部構造体を車両側面視で任意の角度で屈曲設定することで車体形状を調節する車体形状調節機構を設け、
車体形状調節に伴って、前記シートが高い位置にあるときは、前記スタンドブラケットは第1ストッパとの当接が選択され、前記シートが低い位置にあるときには、前記スタンドブラケットは第2ストッパとの当接が選択されることを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明では、第1ストッパは支持体の車幅方向側面に設けられ、第2ストッパは前記第1ストッパの上端から車幅中心方向へ傾斜させた傾斜面に設けられることを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明では、第1ストッパは支持体の車幅方向側面に設けられ、第2ストッパは車幅方向側面より車体中心側に位置する支持体の奧面に設けられることを特徴とする。
【0013】
請求項5に係る発明では、スタンドブラケットは、スタンド支持部へ延びる一対の延長部を備え、これらの延長部でスタンド支持部を挟むようにして、スタンド支持部に揺動可能に係止されていることを特徴とする。
【0014】
請求項6に係る発明では、スタンドブラケットは、スタンド支持部へ延びる一個の延長部を備え、この延長部がスタンド支持部で挟まれるようにして、スタンド支持部に揺動可能に係止されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明では、スタンドアームは第2ピンを介してスタンドブラケットに起立位置から収納位置まで揺動自在に取付けられ、さらに、スタンドブラケットは第1ピンを介してスタンド支持部に車幅方向に揺動自在に取付けられる。スタンドブラケットはストッパによって揺動が制限される。すなわち、ストッパを複数設けることにより、ストッパの数だけ車体傾斜角を段階的に変更することができる。
【0016】
そのための機構は、スタンド支持部とスタンドブラケットと第1・第2ピンとスタンドアームを要部とする。スタンド支持部と第2ピンとスタンドアームは従来のサイドスタンドに含まれている。これらに、スタンドブラケットと第1ピンと複数のストッパを追加するだけで本発明のスタンドは完成する。
本発明によれば、駆動モータが不要であり、構造が簡単で、コストアップを抑えることができるスタンドを備える鞍乗型車両が提供される。
【0017】
請求項2に係る発明では、車体形状調節機構にて、車体形状をクルーザモードとスポーツモードの一方から他方へ任意に変更することができる。
支持体に複数のストッパを設けることで、車体形状変更に連動してスタンドの傾斜角を変更することができる。
【0018】
本発明によれば、一台の車両でありながら、車両を前部構造体と後部構造体とにそれぞれモジュール化し、ヒンジ部を中心に車両側面視で前部構造体と後部構造体が屈曲することで、シート高さだけでなく、最低地上高、車両の重心位置及び、キャスター角を同時に変更でき、車体形状が変更できるため、乗員の好みに合わせて多様の形態を造り出すことができる鞍乗型車両が提供される。
【0019】
請求項3に係る発明では、第2ストッパは第1ストッパの上端に連続して設けられる斜 面とした。第1ストッパと第2ストッパは連続して設けられる。
【0020】
請求項4に係る発明では、第2ストッパは車幅方向側面より車体中心側に位置する支持体の奧面に設けられる。スタンドブラケットが奧面に当接する際に、スタンドブラケットの押し力は、奧面に略垂直に作用する。摩擦力が増大するため、当接面でのスリップが回避される。
【0021】
請求項5に係る発明では、スタンドブラケットは、スタンド支持部へ延びる一対の延長部を備え、これらの延長部でスタンド支持部を挟むようにした。延長部が一対であるため、スタンドブラケットに捻り力が加わっても、スタンドブラケットが振れる心配はない。
【0022】
請求項6に係る発明では、スタンドブラケットは、スタンド支持部へ延びる一個の延長部を備え、この延長部がスタンド支持部で挟まれるようにした。延長部が1個であるため、スタンドブラケットの剛性が容易に確保でき、スタンドブラケットの小型化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る鞍乗型車両の分解図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】鞍乗型車両の左側面図である。
【図4】本発明に係る車体形状調節機構の断面図である。
【図5】図4の5線断面図である。
【図6】操作子の配置図である。
【図7】車体形状調節機構の斜視図である。
【図8】車体形状調節機構の作用図である。
【図9】図4の作用図である。
【図10】鞍乗型車両の作用図である。
【図11】図2の変更例を示す図である。
【図12】本発明に係るサイドスタンドの分解斜視図である。
【図13】スポーツモードにおけるサイドスタンドの作用図である。
【図14】クルーズモードにおけるサイドスタンドの作用図である。
【図15】図13の変更例を示す図である。
【図16】図14の変更例を示す図である。
【図17】図12の変更例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例】
【0025】
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
なお、本発明の要部であるサイドスタンドについては、図12〜図17で詳しく説明するが、その前に、図1〜図10に基づいて車両全般の構造を説明する。
図1に示すように、鞍乗型車両10は、前輪21を含む前部構造体20と、後輪41を含む後部構造体40とを主要素とし、前部構造体20と後部構造体40はヒンジ部52を介して、車両側面視で屈曲可能に連結される。屈曲調節は、後部構造体40と前部構造体20に掛け渡す車体形状調節機構60で実施される。
【0026】
前部構造体20は、前輪21を支えるフロントフォーク22と、このフロントフォーク22を支えるヘッドパイプ23を前部に備え車両前後方向に延びる車体フレーム24と、この車体フレーム24の後部から斜め上へ延びるシートフレーム25と、このシートフレーム25に支えられるシート26と、このシート26の前部から車両前方へ延びて車体フレーム24を覆う車体カバー27と、車体フレーム24の後部に設けられるリヤプレート28と、このリヤプレート28の後部に取付けられる後部ステップ29と、車体フレーム24の後部下部に設けられるサイドスタンド31と、フロントフォーク22の上部に取付けられる前照灯32及びメータ類33と、フロントフォーク22の上端に取付けられる操向ハンドル34と、フロントフォーク22の下端に取付けられる前輪21とからなる。
【0027】
サイドスタンド31の詳細は、後述する。
後部構造体40は、後輪41と、この後輪41より車両前方に配置され後輪41を駆動する駆動源42と、この駆動源42及び後輪41を支える支持体43とからなる。駆動源42は、電動モータが好適であるが、ガソリンエンジンなどの内燃機関であってもよい。
【0028】
支持体43は、例えば、駆動源42を支える駆動源支持ケース44と、この駆動源支持ケース44にピボット軸45を介して上下揺動可能に取付けられ後輪41を支えるスイングアーム46と、このスイングアーム46と駆動源支持ケース44に渡されるリヤクッション47とからなる。
【0029】
図2に示すように、駆動源支持ケース44は、中空ケースであって、軽量化を考慮するとアルミニウムダイカスト品が好適である。駆動源42は電動モータであり、駆動源支持ケース44には、電動モータ42と共にこの電動モータ42へ供給する電気エネルギーを蓄える走行用バッテリ53が収納される。
【0030】
同一の駆動源支持ケース44に、電動モータ42と走行用バッテリ53が取付けられているため、給電ハーネスが短くなると共に給電ハーネスに捻れや曲げが発生する心配がない。
さらに、駆動源支持ケース44の前壁48がくり抜かれそこに、電動モータ42を冷却するラジエータ49が配置される。
【0031】
図1に示すように、前部構造体20側のリヤプレート28に後部ステップ29が取付けられているが、後部構造体40側の駆動源支持ケース44に、前部ステップ51が取付けられている。
前部構造体20と後部構造体40はヒンジ部52で連結するとともに、後部構造体40に設けた車体形状調節機構60を前部構造体20に渡すことで、鞍乗型車両が完成する。
【0032】
図3が鞍乗型車両の完成図であり、外観は、通常の自動二輪車と変わるところはない。図1に記載の符号を流用し、符号の詳細な説明は省略する。
【0033】
車体カバー27で隠されている車体形状調節機構60の詳細を次に述べる。
図4に示すように、車体形状調節機構60は、駆動源支持ケース44に取付けられるアクチュエータ61と、このアクチュエータ61から延ばされアクチュエータ61により回されるねじ軸62と、このねじ軸62にねじ込まれるナット63と、このナット63に揺動可能に連結され先端が駆動源支持ケース44に連結される第1リンクプレート64及び先端が車体フレーム24に連結される第2リンクプレート65とからなるトグル機構である。
【0034】
本実施例では、アクチュエータ61は、駆動源支持ケース44に取付けたが、車体フレーム24側に取付けることもできる。
アクチュエータ61は、電動機66と、この電動機66の回転速度を減速する減速機67とからなる。アクチュエータ61は、減速機を電動機ケースに内蔵した減速機付き電動機であっても良い。また、油圧モータを主要素とする油圧アクチュエータであってもよい。
【0035】
図5に示すように、減速機67から左右の支軸68、68が延びる。これらの支軸68、68が、駆動源支持ケース44の内面から延ばすブラケット69、69に揺動可能に支持される。結果、アクチュエータ61は駆動源支持ケース44に内蔵され、且つ揺動自在に支持される。
【0036】
図6に示すように、操作ハンドル34に、シーソー型スイッチのような操作子71を設け、例えば運転者の左手親指で操作子71をC(クルーザモード)又はS(スポーツモード)に切り替える。すると、制御部72は電動機66を正転又は逆転制御する。結果、ねじ軸62が回転し、ナット63が上又は下へ移動する。操作子71はシーソー型スイッチに限るものではなく、ON/OFF型スイッチであれば種類は問わない。
【0037】
図7に示すように、第2リンクプレート65は、車体フレーム24に揺動可能に連結される。すなわち、ねじ軸62で移動されるナット63から、ピン73を介して第1リンクプレート64が上方に延びると共に第2リンクプレート65が下方へ延びる。第1リンクプレート64の先端は、ピン74を介して駆動源支持ケース44側のブラケット75に揺動可能に止められ、第2リンクプレート65の先端は、ピン76を介して車体フレーム24側のパイプ77に揺動可能に止められる。
【0038】
車体形状調節機構60の作用を、図8に基づいて説明する。
図8(a)にスポーツモードに対応したナット63の位置が示される。第1・第2リンクプレート64、65は広がっている。
アクチュエータによりナット63を上へ移動すると、広がっていた第1・第2リンクプレート64、65は、図8(b)に示すように、V字形に折り畳まれ、結果、車体フレーム24にブラケット75が接近する。
【0039】
なお、(a)、(b)に示すようにねじ軸62の傾きが変化する。この変化を図4及び図9で説明する。
図4に示す減速機67が支軸68を中心に図時計方向に回転する。減速機67の近傍にて駆動源支持ケース44にポケット部78が設けられている。このポケット部78は、駆動源支持ケース44を局部的に外側へ膨出させることで形成される。
図9に示すように、支軸68を中心に回転した減速機67がポケット部78に収納される。
駆動源支持ケース44を全体的に拡げることなく、局部的に膨出することで、揺動するアクチュエータ61を収納することができ、駆動源支持ケース44のコンパクト化が達成される。
【0040】
図10(a)に示すように、スポーツモードでは、乗員79は前傾姿勢で乗車する。駆動源支持ケース44の地上高さをH1とする。
第1・第2リンクプレート64、65は広がっている。ヒンジ部52の中心を通りステアリング軸81に直交する第1線分82と、ヒンジ部52の中心を通り後輪41の中心を通る第2線分83とのなす屈曲角θ1は、180°弱になる。
【0041】
この状態から、第1・第2リンクプレート64、65をV字状に折り畳むと、後部構造体40がヒンジ部52の軸回りに図面反時計方向へ回転する。また、前部構造体20は同じくヒンジ部52の軸回りに図面時計方向へ回転する。
【0042】
すると、図10(b)に示すように、第1線分82と第2線分83とがなす屈曲角θ2は小さくなる。連動して、(a)のキャスタ角α1に対して、(b)のキャスタ角度α2は大きくなる。キャスタ角α1は例えばクルーザモードに好適な26°で、キャスタ角α2はスポーツモードに好適な30°である。
結果、(a)のホイールベースW1に対して、(b)のホイールベースW2は長くなる。
【0043】
(a)に比較して、(b)は駆動源支持ケース44の地上高さH2が小さくなり(H2<H1)、重心位置が下がる。同時に、シート26のポジションが低くなる。結果、図10(b)は、クルージングモードとなり、乗員79は上半身が起きた姿で乗車する。
すなわち、車体形状調節機構にて、車体形状をクルーザモードとスポーツモードの一方
から他方へ任意に変更することができる。
【0044】
本発明によれば、一台の車両でありながら、車両を前部構造体と後部構造体とにそれぞれモジュール化し、ヒンジ部を中心に車両側面視で前部構造体と後部構造体が屈曲することで、シート高さだけでなく、最低地上高、車両の重心位置及び、キャスター角を同時に変更でき、車体形状が変更できるため、乗員の好みに合わせて多様の形態を造り出すことができる鞍乗型車両が提供される。
【0045】
図11は図2の変更実施例図であり、駆動源支持ケース44は、中空ケースであって、軽量化を考慮するとアルミニウムダイカスト品が好適である。駆動源42は内燃機関であり、駆動源支持ケース44には、内燃機関42と共にこの内燃機関42へ供給する燃料を蓄える燃料タンク84が収納される。
【0046】
同一の駆動源支持ケース44に、内燃機関42と燃料タンク84が取付けられているため、給油ホースが短くなると共に給油ホースに捻れや曲げが発生する心配がない。
さらに、駆動源支持ケース44の前壁48がくり抜かれそこに、内燃機関42を冷却するラジエータ49が配置される。
【0047】
ところで、図10(a)に比較して、図10(b)は駆動源支持ケース44の地上高さH2が小さくなる(H2<H1)。この変更に、駐車時に使用するサイドスタンド31を対応させる必要がある。
【0048】
図12に示すように、サイドスタンド31は、車体フレーム24から下げられるスタンド支持部85と、このスタンド支持部85に略車体長手方向に延びる第1ピン86を介して連結され複数のストッパ(この例では第1ストッパ87と第2ストッパ88)の1つに当たるまで車幅方向に揺動するスタンドブラケット89と、このスタンドブラケット89に第2ピン91を介して連結され起立位置から収納位置まで揺動するスタンドアーム92と、スタンドブラケット89から斜め上方へ延びる一対の延長部89a、89aを第1ストッパ87や第2ストッパ88へ押し当てるようにスタンドブラケット89を付勢する第1弾性部材93と、スタンドブラケット89とスタンドアーム92に渡されスタンドアーム92を起立位置や収納位置に保持する第2弾性部材95とからなる。
【0049】
第1弾性部材93は、トーションばね(捻りばね)が好適であり、第2弾性部材95は、引張りコイルばねが好適である。
第2弾性部材95は、上端がスタンドブラケット89に立てられる上方係止部96に係止され、下端がスタンドアーム92に立てられる下方係止部97に係止められる。上方係止部96及び下方係止部97はピンが好適である。
なお、上方係止部96及び下方係止部97は、図面とは逆側(車体中心側)へ延ばすこともできる。この具体例は後述する図13、図14で示す。
【0050】
車体フレーム24に一体的に付属されるスタンド支持部材85に第1ピン86を用いてスタンドブラケット89を連結する。第1ピン86の先端にクリップピン94を差し込むことで、第1ピン86の抜け止めを図る。スタンドブラケット89に第2ピン91を用いてスタンドアーム92を連結する。以上により、本発明のサイドスタンド31が完成する。
【0051】
延長部89aと延長部89aの間隔に大きいほど、スタンドブラケット89が振れにくくなる。すなわち、延長部89a、89aが一対であるため、スタンドブラケット89に捻り力が加わっても、スタンドブラケット89が振れる心配はない。
【0052】
以上に説明したようにサイドスタンド31は、スタンド支持部85とスタンドブラケット89と第1・第2ピン86、91とスタンドアーム92を要部とする。
スタンド支持部85と第2ピン91とスタンドアーム92は従来のサイドスタンドに含まれている。これらに、スタンドブラケット89と第1ピン86と複数のストッパ87、88を追加するだけで本発明のサイドスタンド31は完成する。
本発明によれば、駆動モータが不要であり、構造が簡単で、コストアップを抑えることができるスタンドを備える鞍乗型車両が提供される。
【0053】
次に、サイドスタンド31の作用を説明する。
図13では、上方係止部96及び下方係止部97は、車体中心側(すなわち、図12とは逆)へ延びている(図14〜16も同様)。
第1ピン91より車体中心側にサイドスタンドスイッチ99が設けられている。このサイドスタンドスイッチ99はサイドスタンド31が使用状態(起立状態)にあるときはエンジンの始動を禁止し、不使用状態(収納状態)にあるときにはエンジンの始動を許可するスイッチである。
【0054】
図13に示すように、支持体(図1、符号43)の要部である駆動源支持ケース44に、第1ストッパ87と第2ストッパ88とが形成されている。
第1ストッパ87は、駆動源支持ケース44の側面44aに形成されている。
第2ストッパ88は、第1ストッパ87(側面44a)の上端から車体中心方向へ斜め上へ傾斜させた傾斜面44bに設けられる。
【0055】
第1ストッパ87と第2ストッパ88は、連続して設けられる。1枚の板を折り曲げることで、第1ストッパ87と第2ストッパを88容易に形成することができる。この例ではストッパの数を2個としたが、ストッパの数は3個以上であってもよい。
【0056】
駆動源支持ケース44の地上高さH3は、図10(a)の高さH1に対応している。すなわち、図10(a)はスポーツモードであり、このときには図13にて、延長部89aは第1ストッパ87に当たる。すなわち、スタンドブラケット89は第1ピン86を中心に揺動するが、第1ストッパ87で揺動が制限され、所望の車体傾斜角(鉛直線と車体中心線とのなす角度。以下同じ。)β1が得られる。
【0057】
図10(b)は、クルーズモードであり、駆動源支持ケース44の地上高さは小さなH2になる。
このときには、図14に示すように、駆動源支持ケース44の地上高さは小さなH4(ただし、H4<H3)になる。モード変更に伴って、車体フレーム24及び第1ピン86も下がるが、駆動源支持ケース44の方が大きく下げる。結果、第1ピン86に対して駆動源支持ケース44が下がる。
【0058】
すると、延長部89aは滑りながら第1ストッパ87から第2ストッパ88へ移る。すなわち、延長部89aは第2ストッパ88に当たる。スタンドブラケット89は第1ピン86を中心に揺動するが、第2ストッパ88で揺動が制限され、所望の車体傾斜角β2が得られる。このβ2の図13のβ1との関係は、β2≦β1である。
【0059】
次に、図12〜図14の変更例を図面に基づいて説明する。
図15は図13の変更例を示す図であり、スタンドブラケット89の延長部89aを長くし、駆動源支持ケース44に設ける傾斜面44bを短くし、この傾斜面44bの上端から奧面44cを立て、この奧面44cに第2ストッパ88を設けた。その他は、図13と同一であるため、符号を流用し、説明は省略する。すなわち、図15では延長部89aが側面44aに設けられる第1ストッパ87に当接することに、変わりはない。
【0060】
図16は図14の変更例を示す図であり、モード変更に伴って、駆動源支持ケース44が下がると、延長部89aの先端は、奧面44cの設けられている第2ストッパ88に当接する。その他は、図14と同一であるため、符号を流用し、説明は省略する。
スタンドブラケット89の延長部89aが奧面44cに当接する際に、スタンドブラケット89の押し力は、奧面44cに略垂直に作用する。摩擦力が増大するため、当接面でのスリップが回避される。
【0061】
図17は図12の変更例を示す図であり、スタンドブラケット89から1個の延長部89aを延長した。延長部89aは広幅になり剛性がより高められる。スタンド支持部85が二股形状になっているために、延長部89aをセットした後、第1ピン86を通すことで、スタンド支持部85にスタンドブラケット89をスイング可能に係止することができる。その他は、図12と同一であるため、符号を流用し、説明は省略する。
【0062】
尚、本発明のサイドスタンドは、自動二輪車の他、電動自転車にも適用できる。自転車では、スイングアームやリヤクッションを省くことができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明のサイドスタンドは、自動二輪車に好適である。
【符号の説明】
【0064】
10…鞍乗型車両、20…前部構造体、21…前輪、22…フロントフォーク、23…ヘッドパイプ、24…車体フレーム、25…シートフレーム、26…シート、31…サイドスタンド、34…操向ハンドル、40…後部構造体、41…後輪、42…駆動源、43…支持体、44…駆動源支持ケース、44a…支持体の側面、44b…支持体の傾斜面、44c…支持体の奧面、52…ヒンジ部、60…車体形状調節機構、85…スタンド支持部、86…第1ピン、87…第1ストッパ、88…第2ストッパ、89…スタンドブラケット、89a…スタンドブラケットの延長部、91…第2ピン、92…スタンドアーム、β1、β2…車体傾斜角。
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイドスタンドを備える鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
乗員がシートを跨いで座る車両は、鞍乗型車両と呼ばれる。鞍乗型車両の代表例である自動二輪車を例に説明すると、自動二輪車に、駐車時に用いるスタンドが装備される。スタンドには、センタースタンドとサイドスタンドの2種類が実用に供される。サイドスタンドによる駐車姿勢は、地面に対してサイドスタンド側に傾いた形態となる。
【0003】
路面の状況、その他の目的でサイドスタンド使用時での車体傾斜角を調節することが求められる。そこで、車体傾斜角制御装置が提案されている(例えば、特許文献1(第2図)参照。)。
【0004】
特許文献1の第2図に示されるサイドスタンド(2)(括弧付き数字は、特許文献1に記載された符号を示す。以下同様)は、アウタチューブ(30)とインナチューブ(32)とからなる。駆動モータ(9)でねじ部(40)が回されるとスライドアーム(41)が上下する。このスライドアーム(41)により、インナチューブ(32)が上下し、サイドスタンド(2)の長さが変化する。
【0005】
インナチューブ(32)を案内するアウタチューブ(30)や、駆動モータ(9)や、ねじ部(40)や、スライドアーム(41)が必須であり、機構が複雑であると共に、部品点数が多いことからコストが嵩む。
【0006】
車体傾斜角制御装置の利用、普及を考えると、機構が簡単で部品点数が少なく、コストを抑えることができるスタンド構造が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭64−52582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、車体傾斜角可変スタンドであって、機構が簡単で部品点数が少なく、コストを抑えることができるスタンドを備える鞍乗型車両を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、前輪と後輪との間に配置されるサイドスタンドを備えた鞍乗型車両において、
前記サイドスタンドは、車体フレームに設けられるスタンド支持部と、このスタンド支持部に略車体長手方向に延びる第1ピンを介して連結され複数のストッパの1つに当たるまで車幅方向に揺動するスタンドブラケットと、このスタンドブラケットに第2ピンを介して連結され起立位置から収納位置まで揺動するスタンドアームとからなることを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の鞍乗型車両において、
前記鞍乗型車両は、前部構造体と後部構造体を主要素とする車両であり、
前記前部構造体は、前部にヘッドパイプを備え車両前後方向に延びる車体フレームと、この車体フレームの下部に設けられる前記サイドスタンドと、前記車体フレームの後部から延びるシートフレームと、このシートフレームに支えられるシートと、前記ヘッドパイプに操向可能に取付けられるフロントフォークと、このフロントフォークの上端に取付けられる操向ハンドルと、前記フロントフォークの下端に取付けられる前輪と、からなり、
前記後部構造体は、前記前輪の後方に配置される後輪と、この後輪より車両前方に配置され前記後輪を駆動する駆動源と、この駆動源及び前記後輪を支える支持体と、この支持体に設けられる第1ストッパ及びこの第1ストッパより前記スタンドアームの傾きを水平に近づける第2ストッパとからなり、
前記前部構造体と前記後部構造体は、ヒンジ部を介して車両側面視で屈曲可能に連結され、
前記ヒンジ部を軸に前記前部構造体と前記後部構造体を車両側面視で任意の角度で屈曲設定することで車体形状を調節する車体形状調節機構を設け、
車体形状調節に伴って、前記シートが高い位置にあるときは、前記スタンドブラケットは第1ストッパとの当接が選択され、前記シートが低い位置にあるときには、前記スタンドブラケットは第2ストッパとの当接が選択されることを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明では、第1ストッパは支持体の車幅方向側面に設けられ、第2ストッパは前記第1ストッパの上端から車幅中心方向へ傾斜させた傾斜面に設けられることを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明では、第1ストッパは支持体の車幅方向側面に設けられ、第2ストッパは車幅方向側面より車体中心側に位置する支持体の奧面に設けられることを特徴とする。
【0013】
請求項5に係る発明では、スタンドブラケットは、スタンド支持部へ延びる一対の延長部を備え、これらの延長部でスタンド支持部を挟むようにして、スタンド支持部に揺動可能に係止されていることを特徴とする。
【0014】
請求項6に係る発明では、スタンドブラケットは、スタンド支持部へ延びる一個の延長部を備え、この延長部がスタンド支持部で挟まれるようにして、スタンド支持部に揺動可能に係止されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明では、スタンドアームは第2ピンを介してスタンドブラケットに起立位置から収納位置まで揺動自在に取付けられ、さらに、スタンドブラケットは第1ピンを介してスタンド支持部に車幅方向に揺動自在に取付けられる。スタンドブラケットはストッパによって揺動が制限される。すなわち、ストッパを複数設けることにより、ストッパの数だけ車体傾斜角を段階的に変更することができる。
【0016】
そのための機構は、スタンド支持部とスタンドブラケットと第1・第2ピンとスタンドアームを要部とする。スタンド支持部と第2ピンとスタンドアームは従来のサイドスタンドに含まれている。これらに、スタンドブラケットと第1ピンと複数のストッパを追加するだけで本発明のスタンドは完成する。
本発明によれば、駆動モータが不要であり、構造が簡単で、コストアップを抑えることができるスタンドを備える鞍乗型車両が提供される。
【0017】
請求項2に係る発明では、車体形状調節機構にて、車体形状をクルーザモードとスポーツモードの一方から他方へ任意に変更することができる。
支持体に複数のストッパを設けることで、車体形状変更に連動してスタンドの傾斜角を変更することができる。
【0018】
本発明によれば、一台の車両でありながら、車両を前部構造体と後部構造体とにそれぞれモジュール化し、ヒンジ部を中心に車両側面視で前部構造体と後部構造体が屈曲することで、シート高さだけでなく、最低地上高、車両の重心位置及び、キャスター角を同時に変更でき、車体形状が変更できるため、乗員の好みに合わせて多様の形態を造り出すことができる鞍乗型車両が提供される。
【0019】
請求項3に係る発明では、第2ストッパは第1ストッパの上端に連続して設けられる斜 面とした。第1ストッパと第2ストッパは連続して設けられる。
【0020】
請求項4に係る発明では、第2ストッパは車幅方向側面より車体中心側に位置する支持体の奧面に設けられる。スタンドブラケットが奧面に当接する際に、スタンドブラケットの押し力は、奧面に略垂直に作用する。摩擦力が増大するため、当接面でのスリップが回避される。
【0021】
請求項5に係る発明では、スタンドブラケットは、スタンド支持部へ延びる一対の延長部を備え、これらの延長部でスタンド支持部を挟むようにした。延長部が一対であるため、スタンドブラケットに捻り力が加わっても、スタンドブラケットが振れる心配はない。
【0022】
請求項6に係る発明では、スタンドブラケットは、スタンド支持部へ延びる一個の延長部を備え、この延長部がスタンド支持部で挟まれるようにした。延長部が1個であるため、スタンドブラケットの剛性が容易に確保でき、スタンドブラケットの小型化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る鞍乗型車両の分解図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】鞍乗型車両の左側面図である。
【図4】本発明に係る車体形状調節機構の断面図である。
【図5】図4の5線断面図である。
【図6】操作子の配置図である。
【図7】車体形状調節機構の斜視図である。
【図8】車体形状調節機構の作用図である。
【図9】図4の作用図である。
【図10】鞍乗型車両の作用図である。
【図11】図2の変更例を示す図である。
【図12】本発明に係るサイドスタンドの分解斜視図である。
【図13】スポーツモードにおけるサイドスタンドの作用図である。
【図14】クルーズモードにおけるサイドスタンドの作用図である。
【図15】図13の変更例を示す図である。
【図16】図14の変更例を示す図である。
【図17】図12の変更例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例】
【0025】
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
なお、本発明の要部であるサイドスタンドについては、図12〜図17で詳しく説明するが、その前に、図1〜図10に基づいて車両全般の構造を説明する。
図1に示すように、鞍乗型車両10は、前輪21を含む前部構造体20と、後輪41を含む後部構造体40とを主要素とし、前部構造体20と後部構造体40はヒンジ部52を介して、車両側面視で屈曲可能に連結される。屈曲調節は、後部構造体40と前部構造体20に掛け渡す車体形状調節機構60で実施される。
【0026】
前部構造体20は、前輪21を支えるフロントフォーク22と、このフロントフォーク22を支えるヘッドパイプ23を前部に備え車両前後方向に延びる車体フレーム24と、この車体フレーム24の後部から斜め上へ延びるシートフレーム25と、このシートフレーム25に支えられるシート26と、このシート26の前部から車両前方へ延びて車体フレーム24を覆う車体カバー27と、車体フレーム24の後部に設けられるリヤプレート28と、このリヤプレート28の後部に取付けられる後部ステップ29と、車体フレーム24の後部下部に設けられるサイドスタンド31と、フロントフォーク22の上部に取付けられる前照灯32及びメータ類33と、フロントフォーク22の上端に取付けられる操向ハンドル34と、フロントフォーク22の下端に取付けられる前輪21とからなる。
【0027】
サイドスタンド31の詳細は、後述する。
後部構造体40は、後輪41と、この後輪41より車両前方に配置され後輪41を駆動する駆動源42と、この駆動源42及び後輪41を支える支持体43とからなる。駆動源42は、電動モータが好適であるが、ガソリンエンジンなどの内燃機関であってもよい。
【0028】
支持体43は、例えば、駆動源42を支える駆動源支持ケース44と、この駆動源支持ケース44にピボット軸45を介して上下揺動可能に取付けられ後輪41を支えるスイングアーム46と、このスイングアーム46と駆動源支持ケース44に渡されるリヤクッション47とからなる。
【0029】
図2に示すように、駆動源支持ケース44は、中空ケースであって、軽量化を考慮するとアルミニウムダイカスト品が好適である。駆動源42は電動モータであり、駆動源支持ケース44には、電動モータ42と共にこの電動モータ42へ供給する電気エネルギーを蓄える走行用バッテリ53が収納される。
【0030】
同一の駆動源支持ケース44に、電動モータ42と走行用バッテリ53が取付けられているため、給電ハーネスが短くなると共に給電ハーネスに捻れや曲げが発生する心配がない。
さらに、駆動源支持ケース44の前壁48がくり抜かれそこに、電動モータ42を冷却するラジエータ49が配置される。
【0031】
図1に示すように、前部構造体20側のリヤプレート28に後部ステップ29が取付けられているが、後部構造体40側の駆動源支持ケース44に、前部ステップ51が取付けられている。
前部構造体20と後部構造体40はヒンジ部52で連結するとともに、後部構造体40に設けた車体形状調節機構60を前部構造体20に渡すことで、鞍乗型車両が完成する。
【0032】
図3が鞍乗型車両の完成図であり、外観は、通常の自動二輪車と変わるところはない。図1に記載の符号を流用し、符号の詳細な説明は省略する。
【0033】
車体カバー27で隠されている車体形状調節機構60の詳細を次に述べる。
図4に示すように、車体形状調節機構60は、駆動源支持ケース44に取付けられるアクチュエータ61と、このアクチュエータ61から延ばされアクチュエータ61により回されるねじ軸62と、このねじ軸62にねじ込まれるナット63と、このナット63に揺動可能に連結され先端が駆動源支持ケース44に連結される第1リンクプレート64及び先端が車体フレーム24に連結される第2リンクプレート65とからなるトグル機構である。
【0034】
本実施例では、アクチュエータ61は、駆動源支持ケース44に取付けたが、車体フレーム24側に取付けることもできる。
アクチュエータ61は、電動機66と、この電動機66の回転速度を減速する減速機67とからなる。アクチュエータ61は、減速機を電動機ケースに内蔵した減速機付き電動機であっても良い。また、油圧モータを主要素とする油圧アクチュエータであってもよい。
【0035】
図5に示すように、減速機67から左右の支軸68、68が延びる。これらの支軸68、68が、駆動源支持ケース44の内面から延ばすブラケット69、69に揺動可能に支持される。結果、アクチュエータ61は駆動源支持ケース44に内蔵され、且つ揺動自在に支持される。
【0036】
図6に示すように、操作ハンドル34に、シーソー型スイッチのような操作子71を設け、例えば運転者の左手親指で操作子71をC(クルーザモード)又はS(スポーツモード)に切り替える。すると、制御部72は電動機66を正転又は逆転制御する。結果、ねじ軸62が回転し、ナット63が上又は下へ移動する。操作子71はシーソー型スイッチに限るものではなく、ON/OFF型スイッチであれば種類は問わない。
【0037】
図7に示すように、第2リンクプレート65は、車体フレーム24に揺動可能に連結される。すなわち、ねじ軸62で移動されるナット63から、ピン73を介して第1リンクプレート64が上方に延びると共に第2リンクプレート65が下方へ延びる。第1リンクプレート64の先端は、ピン74を介して駆動源支持ケース44側のブラケット75に揺動可能に止められ、第2リンクプレート65の先端は、ピン76を介して車体フレーム24側のパイプ77に揺動可能に止められる。
【0038】
車体形状調節機構60の作用を、図8に基づいて説明する。
図8(a)にスポーツモードに対応したナット63の位置が示される。第1・第2リンクプレート64、65は広がっている。
アクチュエータによりナット63を上へ移動すると、広がっていた第1・第2リンクプレート64、65は、図8(b)に示すように、V字形に折り畳まれ、結果、車体フレーム24にブラケット75が接近する。
【0039】
なお、(a)、(b)に示すようにねじ軸62の傾きが変化する。この変化を図4及び図9で説明する。
図4に示す減速機67が支軸68を中心に図時計方向に回転する。減速機67の近傍にて駆動源支持ケース44にポケット部78が設けられている。このポケット部78は、駆動源支持ケース44を局部的に外側へ膨出させることで形成される。
図9に示すように、支軸68を中心に回転した減速機67がポケット部78に収納される。
駆動源支持ケース44を全体的に拡げることなく、局部的に膨出することで、揺動するアクチュエータ61を収納することができ、駆動源支持ケース44のコンパクト化が達成される。
【0040】
図10(a)に示すように、スポーツモードでは、乗員79は前傾姿勢で乗車する。駆動源支持ケース44の地上高さをH1とする。
第1・第2リンクプレート64、65は広がっている。ヒンジ部52の中心を通りステアリング軸81に直交する第1線分82と、ヒンジ部52の中心を通り後輪41の中心を通る第2線分83とのなす屈曲角θ1は、180°弱になる。
【0041】
この状態から、第1・第2リンクプレート64、65をV字状に折り畳むと、後部構造体40がヒンジ部52の軸回りに図面反時計方向へ回転する。また、前部構造体20は同じくヒンジ部52の軸回りに図面時計方向へ回転する。
【0042】
すると、図10(b)に示すように、第1線分82と第2線分83とがなす屈曲角θ2は小さくなる。連動して、(a)のキャスタ角α1に対して、(b)のキャスタ角度α2は大きくなる。キャスタ角α1は例えばクルーザモードに好適な26°で、キャスタ角α2はスポーツモードに好適な30°である。
結果、(a)のホイールベースW1に対して、(b)のホイールベースW2は長くなる。
【0043】
(a)に比較して、(b)は駆動源支持ケース44の地上高さH2が小さくなり(H2<H1)、重心位置が下がる。同時に、シート26のポジションが低くなる。結果、図10(b)は、クルージングモードとなり、乗員79は上半身が起きた姿で乗車する。
すなわち、車体形状調節機構にて、車体形状をクルーザモードとスポーツモードの一方
から他方へ任意に変更することができる。
【0044】
本発明によれば、一台の車両でありながら、車両を前部構造体と後部構造体とにそれぞれモジュール化し、ヒンジ部を中心に車両側面視で前部構造体と後部構造体が屈曲することで、シート高さだけでなく、最低地上高、車両の重心位置及び、キャスター角を同時に変更でき、車体形状が変更できるため、乗員の好みに合わせて多様の形態を造り出すことができる鞍乗型車両が提供される。
【0045】
図11は図2の変更実施例図であり、駆動源支持ケース44は、中空ケースであって、軽量化を考慮するとアルミニウムダイカスト品が好適である。駆動源42は内燃機関であり、駆動源支持ケース44には、内燃機関42と共にこの内燃機関42へ供給する燃料を蓄える燃料タンク84が収納される。
【0046】
同一の駆動源支持ケース44に、内燃機関42と燃料タンク84が取付けられているため、給油ホースが短くなると共に給油ホースに捻れや曲げが発生する心配がない。
さらに、駆動源支持ケース44の前壁48がくり抜かれそこに、内燃機関42を冷却するラジエータ49が配置される。
【0047】
ところで、図10(a)に比較して、図10(b)は駆動源支持ケース44の地上高さH2が小さくなる(H2<H1)。この変更に、駐車時に使用するサイドスタンド31を対応させる必要がある。
【0048】
図12に示すように、サイドスタンド31は、車体フレーム24から下げられるスタンド支持部85と、このスタンド支持部85に略車体長手方向に延びる第1ピン86を介して連結され複数のストッパ(この例では第1ストッパ87と第2ストッパ88)の1つに当たるまで車幅方向に揺動するスタンドブラケット89と、このスタンドブラケット89に第2ピン91を介して連結され起立位置から収納位置まで揺動するスタンドアーム92と、スタンドブラケット89から斜め上方へ延びる一対の延長部89a、89aを第1ストッパ87や第2ストッパ88へ押し当てるようにスタンドブラケット89を付勢する第1弾性部材93と、スタンドブラケット89とスタンドアーム92に渡されスタンドアーム92を起立位置や収納位置に保持する第2弾性部材95とからなる。
【0049】
第1弾性部材93は、トーションばね(捻りばね)が好適であり、第2弾性部材95は、引張りコイルばねが好適である。
第2弾性部材95は、上端がスタンドブラケット89に立てられる上方係止部96に係止され、下端がスタンドアーム92に立てられる下方係止部97に係止められる。上方係止部96及び下方係止部97はピンが好適である。
なお、上方係止部96及び下方係止部97は、図面とは逆側(車体中心側)へ延ばすこともできる。この具体例は後述する図13、図14で示す。
【0050】
車体フレーム24に一体的に付属されるスタンド支持部材85に第1ピン86を用いてスタンドブラケット89を連結する。第1ピン86の先端にクリップピン94を差し込むことで、第1ピン86の抜け止めを図る。スタンドブラケット89に第2ピン91を用いてスタンドアーム92を連結する。以上により、本発明のサイドスタンド31が完成する。
【0051】
延長部89aと延長部89aの間隔に大きいほど、スタンドブラケット89が振れにくくなる。すなわち、延長部89a、89aが一対であるため、スタンドブラケット89に捻り力が加わっても、スタンドブラケット89が振れる心配はない。
【0052】
以上に説明したようにサイドスタンド31は、スタンド支持部85とスタンドブラケット89と第1・第2ピン86、91とスタンドアーム92を要部とする。
スタンド支持部85と第2ピン91とスタンドアーム92は従来のサイドスタンドに含まれている。これらに、スタンドブラケット89と第1ピン86と複数のストッパ87、88を追加するだけで本発明のサイドスタンド31は完成する。
本発明によれば、駆動モータが不要であり、構造が簡単で、コストアップを抑えることができるスタンドを備える鞍乗型車両が提供される。
【0053】
次に、サイドスタンド31の作用を説明する。
図13では、上方係止部96及び下方係止部97は、車体中心側(すなわち、図12とは逆)へ延びている(図14〜16も同様)。
第1ピン91より車体中心側にサイドスタンドスイッチ99が設けられている。このサイドスタンドスイッチ99はサイドスタンド31が使用状態(起立状態)にあるときはエンジンの始動を禁止し、不使用状態(収納状態)にあるときにはエンジンの始動を許可するスイッチである。
【0054】
図13に示すように、支持体(図1、符号43)の要部である駆動源支持ケース44に、第1ストッパ87と第2ストッパ88とが形成されている。
第1ストッパ87は、駆動源支持ケース44の側面44aに形成されている。
第2ストッパ88は、第1ストッパ87(側面44a)の上端から車体中心方向へ斜め上へ傾斜させた傾斜面44bに設けられる。
【0055】
第1ストッパ87と第2ストッパ88は、連続して設けられる。1枚の板を折り曲げることで、第1ストッパ87と第2ストッパを88容易に形成することができる。この例ではストッパの数を2個としたが、ストッパの数は3個以上であってもよい。
【0056】
駆動源支持ケース44の地上高さH3は、図10(a)の高さH1に対応している。すなわち、図10(a)はスポーツモードであり、このときには図13にて、延長部89aは第1ストッパ87に当たる。すなわち、スタンドブラケット89は第1ピン86を中心に揺動するが、第1ストッパ87で揺動が制限され、所望の車体傾斜角(鉛直線と車体中心線とのなす角度。以下同じ。)β1が得られる。
【0057】
図10(b)は、クルーズモードであり、駆動源支持ケース44の地上高さは小さなH2になる。
このときには、図14に示すように、駆動源支持ケース44の地上高さは小さなH4(ただし、H4<H3)になる。モード変更に伴って、車体フレーム24及び第1ピン86も下がるが、駆動源支持ケース44の方が大きく下げる。結果、第1ピン86に対して駆動源支持ケース44が下がる。
【0058】
すると、延長部89aは滑りながら第1ストッパ87から第2ストッパ88へ移る。すなわち、延長部89aは第2ストッパ88に当たる。スタンドブラケット89は第1ピン86を中心に揺動するが、第2ストッパ88で揺動が制限され、所望の車体傾斜角β2が得られる。このβ2の図13のβ1との関係は、β2≦β1である。
【0059】
次に、図12〜図14の変更例を図面に基づいて説明する。
図15は図13の変更例を示す図であり、スタンドブラケット89の延長部89aを長くし、駆動源支持ケース44に設ける傾斜面44bを短くし、この傾斜面44bの上端から奧面44cを立て、この奧面44cに第2ストッパ88を設けた。その他は、図13と同一であるため、符号を流用し、説明は省略する。すなわち、図15では延長部89aが側面44aに設けられる第1ストッパ87に当接することに、変わりはない。
【0060】
図16は図14の変更例を示す図であり、モード変更に伴って、駆動源支持ケース44が下がると、延長部89aの先端は、奧面44cの設けられている第2ストッパ88に当接する。その他は、図14と同一であるため、符号を流用し、説明は省略する。
スタンドブラケット89の延長部89aが奧面44cに当接する際に、スタンドブラケット89の押し力は、奧面44cに略垂直に作用する。摩擦力が増大するため、当接面でのスリップが回避される。
【0061】
図17は図12の変更例を示す図であり、スタンドブラケット89から1個の延長部89aを延長した。延長部89aは広幅になり剛性がより高められる。スタンド支持部85が二股形状になっているために、延長部89aをセットした後、第1ピン86を通すことで、スタンド支持部85にスタンドブラケット89をスイング可能に係止することができる。その他は、図12と同一であるため、符号を流用し、説明は省略する。
【0062】
尚、本発明のサイドスタンドは、自動二輪車の他、電動自転車にも適用できる。自転車では、スイングアームやリヤクッションを省くことができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明のサイドスタンドは、自動二輪車に好適である。
【符号の説明】
【0064】
10…鞍乗型車両、20…前部構造体、21…前輪、22…フロントフォーク、23…ヘッドパイプ、24…車体フレーム、25…シートフレーム、26…シート、31…サイドスタンド、34…操向ハンドル、40…後部構造体、41…後輪、42…駆動源、43…支持体、44…駆動源支持ケース、44a…支持体の側面、44b…支持体の傾斜面、44c…支持体の奧面、52…ヒンジ部、60…車体形状調節機構、85…スタンド支持部、86…第1ピン、87…第1ストッパ、88…第2ストッパ、89…スタンドブラケット、89a…スタンドブラケットの延長部、91…第2ピン、92…スタンドアーム、β1、β2…車体傾斜角。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪(21)と後輪(41)との間に配置されるサイドスタンド(31)を備えた鞍乗型車両において、
前記サイドスタンド(31)は、車体フレーム(24)に設けられるスタンド支持部(85)と、このスタンド支持部(85)に略車体長手方向に延びる第1ピン(86)を介して連結され複数のストッパ(87、88)の1つに当たるまで車幅方向に揺動するスタンドブラケット(89)と、このスタンドブラケット(89)に第2ピン(91)を介して連結され起立位置から収納位置まで揺動するスタンドアーム(92)とからなることを特徴とする鞍乗型車両。
【請求項2】
請求項1記載の鞍乗型車両において、
前記鞍乗型車両は、前部構造体(20)と後部構造体(40)を主要素とする車両であり、
前記前部構造体(20)は、前部にヘッドパイプ(23)を備え車両前後方向に延びる前記車体フレーム(24)と、この車体フレーム(24)の下部に設けられる前記サイドスタンド(31)と、前記車体フレーム(24)の後部から延びるシートフレーム(25)と、このシートフレーム(25)に支えられるシート(26)と、前記ヘッドパイプ(23)に操向可能に取付けられるフロントフォーク(22)と、このフロントフォーク(22)の上端に取付けられる操向ハンドル(34)と、前記フロントフォーク(22)の下端に取付けられる前輪(21)と、からなり、
前記後部構造体(40)は、前記前輪(21)の後方に配置される前記後輪(41)と、この後輪(41)より車両前方に配置され前記後輪(41)を駆動する駆動源(42)と、この駆動源(42)及び前記後輪(41)を支える支持体(43)と、この支持体(43)に設けられる第1ストッパ(87)及びこの第1ストッパ(87)より前記スタンドアーム(92)の傾きを水平に近づける第2ストッパ(88)とからなり、
前記前部構造体(20)と前記後部構造体(40)は、ヒンジ部(52)を介して車両側面視で屈曲可能に連結され、
前記ヒンジ部(52)を軸に前記前部構造体(20)と前記後部構造体(40)を車両側面視で任意の角度で屈曲設定することで車体形状を調節する車体形状調節機構(60)を設け、
車体形状調節に伴って、前記シート(26)が高い位置にあるときは、前記スタンドブラケット(89)は第1ストッパ(87)との当接が選択され、前記シート(26)が低い位置にあるときには、前記スタンドブラケット(89)は第2ストッパ(88)との当接が選択されることを特徴とする鞍乗型車両。
【請求項3】
前記第1ストッパ(87)は前記支持体(43)の車幅方向側面(44a)に設けられ、前記第2ストッパ(88)は前記第1ストッパ(87)の上端から車幅中心方向へ傾斜させた傾斜面(44b)に設けられることを特徴とする請求項2記載の鞍乗型車両。
【請求項4】
前記第1ストッパ(87)は前記支持体(43)の車幅方向側面(44a)に設けられ、前記第2ストッパ(88)は車幅方向側面(44a)より車体中心側に位置する前記支持体(43)の奧面(44c)に設けられることを特徴とする請求項2記載の鞍乗型車両。
【請求項5】
前記スタンドブラケット(89)は、前記スタンド支持部(85)へ延びる一対の延長部(89a、89a)を備え、これらの延長部(89a、89a)で前記スタンド支持部(85)を挟むようにして、前記スタンド支持部(85)に揺動可能に係止されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の鞍乗型車両。
【請求項6】
前記スタンドブラケット(89)は、前記スタンド支持部(85)へ延びる一個の延長部(89a)を備え、この延長部(89a)が前記スタンド支持部(85)で挟まれるようにして、前記スタンド支持部(85)に揺動可能に係止されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の鞍乗型車両。
【請求項1】
前輪(21)と後輪(41)との間に配置されるサイドスタンド(31)を備えた鞍乗型車両において、
前記サイドスタンド(31)は、車体フレーム(24)に設けられるスタンド支持部(85)と、このスタンド支持部(85)に略車体長手方向に延びる第1ピン(86)を介して連結され複数のストッパ(87、88)の1つに当たるまで車幅方向に揺動するスタンドブラケット(89)と、このスタンドブラケット(89)に第2ピン(91)を介して連結され起立位置から収納位置まで揺動するスタンドアーム(92)とからなることを特徴とする鞍乗型車両。
【請求項2】
請求項1記載の鞍乗型車両において、
前記鞍乗型車両は、前部構造体(20)と後部構造体(40)を主要素とする車両であり、
前記前部構造体(20)は、前部にヘッドパイプ(23)を備え車両前後方向に延びる前記車体フレーム(24)と、この車体フレーム(24)の下部に設けられる前記サイドスタンド(31)と、前記車体フレーム(24)の後部から延びるシートフレーム(25)と、このシートフレーム(25)に支えられるシート(26)と、前記ヘッドパイプ(23)に操向可能に取付けられるフロントフォーク(22)と、このフロントフォーク(22)の上端に取付けられる操向ハンドル(34)と、前記フロントフォーク(22)の下端に取付けられる前輪(21)と、からなり、
前記後部構造体(40)は、前記前輪(21)の後方に配置される前記後輪(41)と、この後輪(41)より車両前方に配置され前記後輪(41)を駆動する駆動源(42)と、この駆動源(42)及び前記後輪(41)を支える支持体(43)と、この支持体(43)に設けられる第1ストッパ(87)及びこの第1ストッパ(87)より前記スタンドアーム(92)の傾きを水平に近づける第2ストッパ(88)とからなり、
前記前部構造体(20)と前記後部構造体(40)は、ヒンジ部(52)を介して車両側面視で屈曲可能に連結され、
前記ヒンジ部(52)を軸に前記前部構造体(20)と前記後部構造体(40)を車両側面視で任意の角度で屈曲設定することで車体形状を調節する車体形状調節機構(60)を設け、
車体形状調節に伴って、前記シート(26)が高い位置にあるときは、前記スタンドブラケット(89)は第1ストッパ(87)との当接が選択され、前記シート(26)が低い位置にあるときには、前記スタンドブラケット(89)は第2ストッパ(88)との当接が選択されることを特徴とする鞍乗型車両。
【請求項3】
前記第1ストッパ(87)は前記支持体(43)の車幅方向側面(44a)に設けられ、前記第2ストッパ(88)は前記第1ストッパ(87)の上端から車幅中心方向へ傾斜させた傾斜面(44b)に設けられることを特徴とする請求項2記載の鞍乗型車両。
【請求項4】
前記第1ストッパ(87)は前記支持体(43)の車幅方向側面(44a)に設けられ、前記第2ストッパ(88)は車幅方向側面(44a)より車体中心側に位置する前記支持体(43)の奧面(44c)に設けられることを特徴とする請求項2記載の鞍乗型車両。
【請求項5】
前記スタンドブラケット(89)は、前記スタンド支持部(85)へ延びる一対の延長部(89a、89a)を備え、これらの延長部(89a、89a)で前記スタンド支持部(85)を挟むようにして、前記スタンド支持部(85)に揺動可能に係止されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の鞍乗型車両。
【請求項6】
前記スタンドブラケット(89)は、前記スタンド支持部(85)へ延びる一個の延長部(89a)を備え、この延長部(89a)が前記スタンド支持部(85)で挟まれるようにして、前記スタンド支持部(85)に揺動可能に係止されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の鞍乗型車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−18360(P2013−18360A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153098(P2011−153098)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]