説明

音像定位装置及び音像定位方法

【課題】ボリュームの調節量と音像の定位位置とが線形的に変化する音像定位装置及び音像定位方法を提供する。
【解決手段】フロントスピーカとサラウンドスピーカとの間に定位すべき音像の角度を検出する角度検出部23と、音像の定位角度に基づいて配分する音量の割合を演算する出力レベル演算部25を備える。出力レベル演算部25は、パラメータ取得部24より取得した補正用パラメータを考慮して出力レベルの演算を行う。補正用パラメータは、聴取者の側方よりも前方の角度に音像を定位する場合にはフロントスピーカへの分配率が小さくなり、聴取者の側方よりも後方の角度に音像を定位する場合にはフロントスピーカへの分配率が大きくなるような連続した曲線で表される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロントスピーカとサラウンドスピーカとの2つのスピーカから出力する音量を配分することにより音像の定位位置を決定する音像定位装置及び音像定位方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
Nチャンネル(N>5)の入力信号を5チャンネル(5.1チャンネルを含む)サラウンド信号によって再生するデジタルオーディオ装置において、出力チャンネルの角度と異なるチャンネルの入力信号が与えられた場合、5チャンネルの再生スピーカからの出力信号を調整することで、入力信号に対応する角度に音像を定位する必要がある
【0003】
例えば、多チャンネルの入力信号の中で5チャンネルには存在しないスピーカ(左右の水平スピーカやバックセンタースピーカなど)からの原音は、その両側に配置されている5チャンネルのスピーカからの出力を制御することで、あたかもその部分から音声が出力されているかのような状況を作り出している。
【0004】
このような音像定位の方法としては、特許文献1などに示されるように、左右のスピーカ間のレベル差によって音源をファンタム定位するインテンシティステレオと呼ばれる方法や、ハース効果と呼ばれる先行音効果を利用するために左右のスピーカの出力間にディレイを付加する方法が知られている。このような音像の定位は、左右のステレオスピーカに限らず、4チャンネルまたは5.1チャンネルに代表されるサラウンドシステムにおける前後方向の音像の定位にも使用されている。
【特許文献1】特開2002−345097号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図7は、左右のスピーカL,R間のレベル差によって音源をファンタム定位させる場合の一例を示すものであって、左右のスピーカからの出力(例えば、電力和)が常に一定になるように、左右のスピーカの出力を増減することで、左右のスピーカ間の任意の位置に音像を定位させるものである。
【0006】
しかしながら、前記図7に記載のように、聴取者の前方に配置された左右のスピーカL,Rの出力を調整して音像を定位する場合、従来では、音像の定位角度と左右のスピーカL,R間のレベル差とをほとんど直線的(もしくは図7に示すように一方向に湾曲した曲線となるように)に比例させていた。すなわち、定位する音像の角度が一方のスピーカに近いほどそのスピーカからの出力を大きくし、定位する音像の角度が他方のスピーカに近づくにつれて一方のスピーカからの出力の分配率を直線的あるいは一方向に湾曲した曲線に沿って大きくしていた。
【0007】
確かに、この方法は、正面を向いた聴取者の左右の耳が前方の2つのスピーカに向いているため、スピーカ出力の分配率がそのまま音像の定位位置に比例し、音像の定位感に優れるという利点がある。
【0008】
ところが、このような方法を、図8に示すような5チャンネルの前後方向のスピーカ、例えば、左フロントスピーカと左サラウンドスピーカの間、および右フロントスピーカと右サラウンドスピーカの間に適用した場合には、聴取者の耳の位置がフロントスピーカとサラウンドスピーカとに正対していないため、意図した角度に音像を定位できないという問題が生じる。
【0009】
例えば、フロントスピーカLまたはRを聴取者の30°前方に配置し、サラウンドスピーカSLまたはSRを聴取者の120°後方に配置し、両スピーカから等しい音量レベルを出力した場合、本来であれば75°付近に音像が定位されるはずが、聴取者は45〜50°付近に音像が定位された印象を持つことになる。
【0010】
そのため、2つのスピーカの音量を回転式あるいはスライド式のボリュームなどを利用して調整した場合に、音量に比例して音像の位置が線形的に変化しないことになり、所望の位置に音像を定位させることが難しくなる。
【0011】
本発明は前記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであって、その目的は、聴取者の聴覚特性に応じてフロントスピーカとサラウンドスピーカから出力する音量レベルを補正することにより、2つのスピーカの音量に比例して音像の定位位置が線形的に変化し、定位操作を容易に実施できるようにした音像定位装置及び音像定位方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の目的を達成するために、本発明は、フロントスピーカとサラウンドスピーカとの2つのスピーカから出力する音量を配分することにより音像の定位位置を決定する音像定位装置において、フロントスピーカとサラウンドスピーカとの間に定位すべき音像の角度を検出する角度検出部と、フロントスピーカとサラウンドスピーカの間の角度と直線的に比例するフロントスピーカへの分配率に比較して、聴取者の側方よりも前方の角度に音像を定位する場合にはフロントスピーカへの分配率が小さくなり、聴取者の側方よりも後方の角度に音像を定位する場合にはフロントスピーカへの分配率が大きくなり、フロントスピーカと聴取者の側方との中間の角度及び聴取者側方とサラウンドスピーカとの中間の角度において前記直線的な分配率とフロントスピーカへの分配率とのかい離量が大きくなった連続した曲線で表される補正用パラメータを取得するパラメータ取得部と、前記角度検出部によって検出された音像の定位角度に基づいてフロントスピーカとサラウンドスピーカに配分する音量の割合を演算するにあたり、前記パラメータ取得部より取得した補正用パラメータを考慮した演算処理を行う出力レベル演算部と、を備えていることを特徴とする。
【0013】
また、前記パラメータ出力部が、角度と直線的に比例するフロントスピーカへの分配率と聴取者の前方におけるフロントスピーカへの分配率とのかい離量が、角度と直線的に比例するフロントスピーカへの分配率と聴取者の後方におけるフロントスピーカへの分配率とのかい離量よりも、大きく設定されていることや、2つのスピーカ間に配置する各音像定位角度において、フロントスピーカとサラウンドスピーカの音量の和がサイン2乗の曲線によって示されるエネルギー配分に基づいて決定されていることも本発明の一態様である。
【0014】
さらに、前記のような補正用パラメータを利用して、フロントスピーカとサラウンドスピーカに配分する音量の割合を決定する音像定位方法も本発明の一態様である。
【0015】
すなわち、図2に示す通り、複数の対象(Subject1−5)について行った本発明者の実験によれば、フロントスピーカへの分配率と音像の定位位置とは直線的に比例するのではなく、フロントスピーカとサラウンドスピーカの間の角度と直線的に比例するフロントスピーカへの分配率Pに比較して、聴取者の側方よりも前方に音像を定位する場合にはフロントスピーカへの分配率が小さくなり、聴取者の側方よりも後方に音像を定位する場合にはフロントスピーカへの分配率が大きくなり、フロントスピーカと聴取者の側方との中間の角度及び聴取者側方とサラウンドスピーカとの中間の角度においては前記直線的な分配率とフロントスピーカへの分配率との差が最大となるような連続した曲線Qで表されることが判明した。
【0016】
さらに、角度と直線的に比例するフロントスピーカへの分配率Pと聴取者の前方におけるフロントスピーカへの分配率Qとのかい離量L1が、角度と直線的に比例するフロントスピーカへの分配率Pと聴取者の後方におけるフロントスピーカへの分配率Qとのかい離量L2よりも、大きく設定されていることも確認された。
【0017】
そこで、前記のような構成を有する本発明の音像定位装置及び音像定位方法では、前記のような曲線Qによって示される分配率に基づいて、フロントスピーカとサラウンドスピーカとの音量割合を決定することにより、ボリュームの調節量と音像の定位位置とが線形的に変化するように構成した。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、前記のような補正用パラメータを使用することにより、ボリュームの調節量と音像の定位位置とが線形的に変化することになり、音像の定位位置を直感的に把握することが容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(1)第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態を示すものであって、音源10からの音声信号を複数のスピーカ(一例として、5.1チャンネルのスピーカ群)に出力する場合に、キーボードやエンコーダ、あるいは他のコンピュータや制御盤などの入力装置11から音像の定位角度を入力し、この入力された定位角度を角度検出部12によって検出し、その検出角度に応じて近接した2つのスピーカからの音量を調整することによって音像を定位するものである。
【0020】
すなわち、音源10としては、5チャンネルのスピーカからそのまま出力することができない8チャンネルその他の多チャンネルの音源を使用するか、あるいは5チャンネル以下の音源であって、その定位位置を5チャンネルの各スピーカの間に定位する必要があるような音源を使用する。
【0021】
入力装置11及びこれに接続された角度検出部12は、前記音源10からの音声信号を5チャンネルの各スピーカのどの角度(各スピーカの間のどの位置)に定位するかを入力すると共に、その入力された角度を検出して、次のパラメータ取得部13に出力するものである。
【0022】
パラメータ取得部13は、このパラメータ取得部13は、前記のようにして検出されたされた角度と、予め用意された図2に示すようなパラメータ決定曲線Qに基づいて、定位する音像位置に対応したパラメータを取得する。
【0023】
出力レベル演算部14は、前記のようにして得られたパラメータに従って、聴取者の左側のフロントスピーカL及びサラウンドスピーカSLと、聴取者の右側のフロントスピーカR及びサラウンドスピーカSRの出力レベルを計算する。例えば、前記の検出角度が90°の場合には、図2の横軸の90°に対応する0.33を、角度が40°の場合には0.62を、角度が110度の場合には0.17を、フロントスピーカLの分配率として取得する。
【0024】
そして、音源からの左側のフロントスピーカ用の入力信号Lに、前記のようにして得られた分配率と、図6に示すような各分配率に対応するフロントスピーカとサラウンドスピーカのエネルギー比率に基づいて、5チャンネルのフロントスピーカからの出力信号Lのレベルを決定する。すなわち、本実施形態では、フロントスピーカとサラウンドスピーカとの出力の和が一定となるように、図6に示すサイン2乗の曲線によるエネルギー配分を行うものであるから、前記のようにして得られた分配率に対応する各スピーカへのエネルギー配分を図6の曲線から求めることにより、各スピーカから出力される音量レベルが決定される。
【0025】
一方、前記の角度が決定した結果、5チャンネルのサラウンドスピーカからの出力信号SLの分配率も、サラウンドスピーカの出力とフロントスピーカの出力の和が一定となるように、図2の曲線Qから得ることができるので、得られた分配率と図6のエネルギー配分に基づいて、音源10からの左側のサラウンドスピーカ用の入力信号SLから5チャンネルのサラウンドスピーカの出力信号SLを得ることができる。
【0026】
同様にして、音源10からの右側のフロントスピーカR及びサラウンドスピーカSRに対しても、角度検出部12によって得られた音像の定位角度に合わせて、図2のグラフから求められたパラメータを考慮した出力レベルが演算され、出力部15を介してフロントスピーカR及びサラウンドスピーカSRから出力される。
【0027】
このように、第1実施形態においては、音像の定位角度に合わせて異なった値の補正用パラメータを取得し、この補正用パラメータを考慮してフロントスピーカとサラウンドスピーカの音量の配分割合を決定するようにしたので、フロントスピーカの音量が従来技術に比較して少ない方向に補正されることとなり、聴取者による聞き取り実験の結果に近い音像の定位が実現される。また、直線的に音量の配分割合を変化させた従来技術に比較して、音像の定位角度に対するボリュームなどの操作量を均等に割り当てることが可能になる。
【0028】
(2)第2実施形態
本発明の第2実施形態を図3の機能ブロック図及び図4のフローチャートに従って具体的に説明する。なお、図4のフローチャート及び以下の説明では、8チャンネル及び5チャンネルの左側のスピーカのみを示しているが、右側のスピーカも同様に動作する。また、図5は、本実施形態における8チャンネルと5チャンネルスピーカ配置の例を示す平面図である。
【0029】
図3において、符号21は音源の入力部であって、本実施形態では、8チャンネルの音源を入力するように構成されている(図4のステップ01)。22は、前記音源入力部21から入力された隣接する3つのチャンネルからの音源の相関性を調べる相関判定部であって、一例として、フロントスピーカL、水平スピーカML及びサラウンドスピーカSLの各チャンネルからの入力信号について高速フーリエ変換(FFT)を施し、変換後の値を比較することで、フロントスピーカからの入力信号Lと水平スピーカからの入力信号MLの相関、及び水平スピーカからの入力信号MLとサラウンドスピーカからの入力信号SLの相関を判定するものである(図4のステップ02)。
【0030】
23は、角度検出部であって、この角度検出部23は、前記相関判定部22による相関の有無に従い、次のようにして、音像の定位位置(角度)を決定するものである(図4のステップ03)。
(1) 水平スピーカからの入力信号ML,MRとフロントスピーカからの入力信号L,Rまたはサラウンドスピーカからの入力信号SL,SRとの間に相関がない場合に、音像の定位位置(定位角度)を90°(水平スピーカMLの位置)とする。
(2) 水平スピーカからの入力信号MLとフロントスピーカからの入力信号Lまたはサラウンドスピーカからの入力信号SLとの間に相関がある場合に、水平スピーカからの入力信号MLとフロントスピーカからの入力信号Lまたはサラウンドスピーカからの入力信号SLとの振幅の平均値の比から、音像の定位位置(角度)を決定する。
【0031】
24は、パラメータ取得部であって、このパラメータ取得部24は、前記のようにして決定された角度と、予め用意された図2に示すようなパラメータ決定曲線Qに基づいて、定位する音像位置に対応したパラメータを取得する(図4のステップ04)。
【0032】
25は、出力レベル演算部であって、この出力レベル演算部25は、前記のようにして得られたパラメータに従って、フロントスピーカL及びサラウンドスピーカSLの出力レベルを計算する。例えば、前記の角度が90°の場合には、図2の横軸の90°に対応する0.33を、角度が40°の場合には0.62を、角度が110度の場合には0.17を、フロントスピーカLの分配率として取得する。
【0033】
そして、8チャンネルのフロントスピーカからの入力信号Lに、前記のようにして得られた分配率と、図6に示すような各分配率に対応するフロントスピーカとサラウンドスピーカのエネルギー比率に基づいて、5チャンネルのフロントスピーカからの出力信号Lのレベルを決定する(図4のステップ05)。すなわち、本実施形態では、フロントスピーカとサラウンドスピーカとの出力の和が一定となるように、図6に示すサイン2乗の曲線によるエネルギー配分を行うものであるから、前記のようにして得られた分配率に対応する各スピーカへのエネルギー配分を図6の曲線から求めることにより、各スピーカから出力される音量レベルが決定される。
【0034】
一方、前記の角度が決定した結果、5チャンネルのサラウンドスピーカからの出力信号SLの分配率も、サラウンドスピーカの出力とフロントスピーカの出力の和が一定となるように、図2の曲線Qから得ることができるので、得られた分配率と図6のエネルギー配分に基づいて、8チャンネルのサラウンドスピーカの入力信号SLから5チャンネルのサラウンドスピーカの出力信号SLを得ることができる(図4のステップ06)。
【0035】
前記のようにして出力レベル演算部25で得られたフロントスピーカL及びサラウンドスピーカSLの出力信号は、出力部26において5チャンネルの対応する各スピーカに出力される。例えば、音像の定位角度が40°の場合、従来技術では、分配率を0.89として、この分配率0.89に対応したフロントスピーカとサラウンドスピーカとの出力を図6から求めていたが、本実施形態では、分配率を0.62として、その分配率0.62に対応したフロントスピーカとサラウンドスピーカとの出力を図6から求める。その結果、フロントスピーカの音量が従来技術に比較して少ない方向に補正されることとなり、聴取者による聞き取り実験の結果に近い音像の定位が実現される。
【0036】
前記のような構成を有する本実施形態によれば、音像の定位角度に合わせて異なった値の補正用パラメータを取得し、この補正用パラメータを考慮してフロントスピーカとサラウンドスピーカの音量の配分割合を決定するようにしたので、直線的に音量の配分割合を変化させた従来技術に比較して、音像の定位角度に対するボリュームなどの操作量を均等に割り当てることが可能になる。
【0037】
特に、本実施形態では、図2の曲線Qが、
(1) カーブがセンターに対して非対称形である。
(2) カーブの勾配が中心付近で平坦である。
という特徴を有しており、これにより、音像の定位が聴取者にとってより自然なものとなると共に、中心付近での音像の移動を遅くして、音像をより中心付近に定位しやすくなる利点もある。
【0038】
(3)他の実施形態
本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、例えば、補正用パラメータを決定する曲線Qをフロントスピーカとサラウンドスピーカとの配置角度に応じて適宜変更することが可能である。その場合、スピーカの配置角度に合わせて、多数の聴取者の聞き取り実験を行い、新たな曲線Qを決定することができる。また、再生する音声の種類やその録音場所などの環境に合わせて曲線Qと曲線Pとのかい離量を変化させたり、聴取者側方に設けられた両曲線P,Qの交差点の位置を変更することも可能である。さらに、ソースとなる原音としては、8チャンネルに限らず、2つ以上のスピーカを有する再生システム全般に適用可能である。
【0039】
このように、本発明は、操作者が入力した角度データを取得するものや、音源データが8チャンネルのようなマルチチャンネルではなく1つの音源をある特定の位置に定位させるような場合にも使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1実施形態を示すブロック図。
【図2】本発明に使用する分配率のパラメータを決定する曲線を示すグラフ。
【図3】本発明の第2実施形態の構成を示すブロック図。
【図4】図3の第2実施形態の動作を示すフローチャート。
【図5】5チャンネルサラウンドシステムにおけるフロントスピーカとサラウンドスピーカ間の音像の定位を示す平面図。
【図6】フロントスピーカとサラウンドスピーカとの音量の和を一定とする場合のエネルギー配分を示すグラフ。
【図7】左右のフロントスピーカ間の音像の定位を示す平面図。
【図8】8チャンネルの原音を5チャンネルサラウンドシステムで再生する状態を示す平面図。
【符号の説明】
【0041】
10…音源
11…角度入力部
12…角度検出部
13…パラメータ取得部
14…出力レベル演算部
15…出力部
21…音源入力部
22…相関判定部
23…角度検出部
24…パラメータ取得部
25…出力レベル演算部
26…出力部
L,R…フロントスピーカ
ML,MR…水平スピーカ
SL,SR…サラウンドスピーカ
C…センタースピーカ
BC…後方センタースピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントスピーカとサラウンドスピーカとの2つのスピーカから出力する音量を配分することにより音像の定位位置を決定する音像定位装置において、
フロントスピーカとサラウンドスピーカとの間に定位すべき音像の角度を検出する角度検出部と、
フロントスピーカとサラウンドスピーカの間の角度と直線的に比例するフロントスピーカへの分配率に比較して、聴取者の側方よりも前方の角度に音像を定位する場合にはフロントスピーカへの分配率が小さくなり、聴取者の側方よりも後方の角度に音像を定位する場合にはフロントスピーカへの分配率が大きくなり、フロントスピーカと聴取者の側方との中間の角度及び聴取者側方とサラウンドスピーカとの中間の角度において前記直線的な分配率とフロントスピーカへの分配率とのかい離量が大きくなった連続した曲線で表される補正用パラメータを取得するパラメータ取得部と、
前記角度検出部によって検出された音像の定位角度に基づいてフロントスピーカとサラウンドスピーカに配分する音量の割合を演算するにあたり、前記パラメータ取得部より取得した補正用パラメータを考慮した演算処理を行う出力レベル演算部と、
を備えていることを特徴とする音像定位装置。
【請求項2】
前記パラメータ出力部が、角度と直線的に比例するフロントスピーカへの分配率と聴取者の前方におけるフロントスピーカへの分配率とのかい離量が、角度と直線的に比例するフロントスピーカへの分配率と聴取者の後方におけるフロントスピーカへの分配率とのかい離量よりも、大きく設定されていることを特徴とする請求項1に記載の音像定位装置。
【請求項3】
2つのスピーカ間に配置する各音像定位角度において、フロントスピーカとサラウンドスピーカの音量の和がサイン2乗の曲線によって示されるエネルギー配分に基づいて決定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の音像定位装置。
【請求項4】
フロントスピーカとサラウンドスピーカとの2つのスピーカから出力する音量の和が一定になるように、2つのスピーカから出力する音量を配分して音像の定位位置を決定する音像定位方法において、
フロントスピーカとサラウンドスピーカとの間に定位すべき音像の角度を検出するステップと、
前記角度を検出するステップによって検出された音像の定位角度に基づいて、前記フロントスピーカとサラウンドスピーカとの音量を調整するにあたり、フロントスピーカとサラウンドスピーカに配分する音量の割合を補正用パラメータを考慮して決定するステップとを備え、
前記フロントスピーカとサラウンドスピーカに配分する音量の割合を前記補正用パラメータを考慮して決定するステップが、フロントスピーカとサラウンドスピーカの間の角度と直線的に比例するフロントスピーカへの分配率に比較して、聴取者の側方よりも前方に音像を定位する場合にはフロントスピーカへの分配率が小さくなり、聴取者の側方よりも後方に音像を定位する場合にはフロントスピーカへの分配率が大きくなり、フロントスピーカと聴取者の側方との中間の角度及び聴取者側方とサラウンドスピーカとの中間の角度においては前記直線的な分配率とフロントスピーカへの分配率とのかい離量が大きくなった連続した曲線で表されるパラメータに基づいて行われるものであることを特徴とする音像定位方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−251831(P2007−251831A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−75524(P2006−75524)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【出願人】(391041062)福島県 (42)
【出願人】(390005223)株式会社タムラ製作所 (526)
【Fターム(参考)】