説明

音声メッセージ伝達シート

【課題】音声情報を記録する利用者にとって音声情報の記録操作をわかりやすくしながらも、音声情報の記録を禁止状態に設定した場合に不要な情報を表示しない。
【解決手段】音声情報が記録されるIC基板32と、IC基板32に記録される音声情報が入力されるとともにIC基板32に記録された音声情報が出力される音声情報入出力部40と、音声情報入出力部40を介して入力された音声情報をIC基板32に記録する際に操作されるスイッチ34と、IC基板32に記録された音声情報を音声情報入出力部40を介して出力する際に操作されるスイッチ33とを有する音声情報記録/再生部30が、支持シート20a,20b及び表面シート10a,10bに挟み込まれて構成されてなる音声メッセージ伝達シート1において、IC基板32、音声情報入出力部40及びスイッチ33が配置された本体部2から突出した突出部3にスイッチ34を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声情報の記録や再生が可能な音声メッセージ伝達シートに関し、特に、音声情報の再度の記録を禁止するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ダイレクトメールやグリーティングカード等の送付物においては、発送元において、発送される送付物が作成されるとともに送付物の発送先が指定され、その後、作成された送付物が指定された発送先に送付されている。このように作成、発送される送付物は、発送元から発送先に通知したい情報が掲載された印刷物が封筒に封入されて構成されるものや、発送元から発送先に通知したい情報がはがき等のシートに印刷されて構成されるもの等がある。
【0003】
送付物の発送先においては、送付されてきた送付物が受け取られた後、送付物に印刷された情報が閲覧されることにより、送付物の発送元にて通知したい情報が認識されることになる。
【0004】
ところが、このように、送付物の発送元にて発送先に通知したい情報が印刷された送付物が発送元から送付され、送付物の発送先において送付されてきた送付物に印刷された情報が閲覧されることにより、送付物の発送元にて通知したい情報が発送先に伝達されるものにおいては、送付物の発送元における所望のメッセージを、視覚的にしか発送先に伝達することができず、それにより、伝達可能な情報の種類が限定されてしまう。
【0005】
そこで、音声情報の記録及び再生が可能に構成された音声カードが考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
このような音声カードは、例えば、音声情報が記録される回路部と、回路部に対する音声情報の記録あるいは再生を行なうための記録・再生部とが2枚のカード基材に挟まれ、このカード基材に、音声情報を記録・再生部を介して入力する際に押下される録音ボタンと、回路部に記録された音声情報を記録・再生部を介して出力する際に押下される再生ボタンとが設けられて構成されている。回路部は配線基板上に搭載されており、この配線基板上には回路部に接続された導電パターンが形成されている。そして、録音ボタン及び再生ボタンはそれぞれ、配線基板に形成された導電パターンの所定の領域と対向する位置に設けられ、録音ボタンと導電パターンとが導通することにより音声情報が記録され、また、再生ボタンと導電パターンとが導通することにより音声情報が再生されることになる。
【0007】
ここで、このように音声情報を記録可能に構成された音声カードに対する音声情報の記録は、記録・再生部を介して入力された音声情報を、回路部に記録された音声情報に上書きするように行われる。そのため、回路部に音声情報が記録された後に録音ボタンが誤って押下された場合、既に回路部に記録されている音声情報が消去されることになる。そこで、上述した特許文献1には、録音ボタン及びそれに対向する配線基板を容易に切り離すことができるような構成としておき、音声情報の記録後に録音ボタン及びそれに対向する配線基板を切り離すことにより、録音ボタンの誤操作によって音声情報が消去されてしまうことを回避する技術が記載されている。
【0008】
ところが、上述したように、録音ボタン及びそれに対向する配線基板を容易に切り離し可能に構成しておき、音声情報の記録後に録音ボタン及びそれに対向する配線基板を切り離すことにより、録音ボタンの誤操作によって音声情報が消去されてしまうことを回避するものにおいては、音声情報が記録された音声カードを送付する場合、音声カードが、その一部が切り離された状態で送付先に送付されることになるため、送付される音声カードの外観が悪くなってしまうという問題点がある。
【0009】
そこで、配線基板及びこれを挟み込む2枚のカード基材をその一部が他の領域から突出した形状とし、配線基板の突出領域に録音ボタンと導通した導電パターンを形成しておき、音声情報の記録後に配線基板及びカード基材の突出領域を切り離すことにより、その後、録音ボタンの誤操作によって音声情報が消去されてしまうことを回避することが考えられる。このような構成とすれば、音声情報の記録後に録音ボタンが操作された場合であっても、音声情報が消去されてしまうことを回避することができる構成としながらも、音声情報の記録後に送付される音声カードの外観が悪くなってしまうことはなくなる。
【特許文献1】特公平3−45433号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したように、配線基板及びこれを挟み込む2枚のカード基材が、その一部が他の領域から突出した形状であって、配線基板の突出領域に録音ボタンと導通した導電パターンが形成され、音声情報の記録後に配線基板及びカード基材の突出領域を切り離す構成としたものにおいては、音声情報の記録後に録音ボタンと導通した導電パターンが切断されて切り離されるため、その後に録音ボタンが操作された場合においても、記録された音声情報が消去されてしまうことを回避することができるものの、突出領域が切り離された後でも音声カードには録音ボタンが存在することになる。
【0011】
そのため、送付先に送付された音声カードには操作しても機能しない録音ボタンが存在することとなり、音声カードの送付先においては、録音ボタンを操作しても音声情報を記録することができないため、録音ボタンの用途が不明となり困惑してしまうという問題点がある。また、音声カードを送付しない場合であっても、突出領域が切り離された後でも不要な録音ボタンが表示されたままとなり、デザイン上の観点から好ましくはない。
【0012】
また、このような問題点が生じることを回避するために、音声カードの表面には録音ボタンを表示せず、音声情報を記録する際に操作する領域を説明書等にて指示することが考えられるが、その場合、音声情報を記録する際に操作する領域がわかりづらいという問題点がある。
【0013】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、音声情報を記録する利用者にとって音声情報の記録操作をわかりやすくしながらも、音声情報の記録を禁止状態に設定した場合に不要な情報が表示されない音声メッセージ伝達シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために本発明は、
音声情報が記録される回路部と、前記回路部に記録される音声情報が入力されるとともに前記回路部に記録された音声情報が出力される音声情報入出力手段と、前記音声情報入出力手段を介して入力された音声情報を前記回路部に記録する際に操作される録音用スイッチと、前記回路部に記録された音声情報を前記音声情報入出力手段を介して出力する際に操作される再生用スイッチとを有する音声情報記録/再生手段が、複数のシートに挟み込まれて構成されてなる音声メッセージ伝達シートにおいて、
前記回路部、前記音声情報入出力手段及び前記再生用スイッチが前記複数のシートに挟み込まれた本体部と、
前記録音用スイッチが前記複数のシートに挟み込まれ、前記本体部から突出した突出部とを有することを特徴とする。
【0015】
上記のように構成された本発明においては、音声情報記録/再生手段の録音用スイッチが操作されながら音声情報入出力手段を介して音声情報が入力されると、入力された音声情報が音声情報記録/再生手段の回路部に記録される。その後、音声情報記録/再生手段の再生用スイッチが操作されると、回路部に記録された音声情報が音声情報入出力手段を介して出力される。ここで、音声情報が回路部に記録された後、回路部、音声情報入出力手段及び再生用スイッチが複数のシートに挟み込まれた本体部ら突出した突出部が切り離されると、音声情報入出力手段を介して入力された音声情報を回路部に記録する際に操作される録音用スイッチは、突出部にて複数のシートに挟み込まれているために切り離されることになり、突出部が切り離された後では、音声情報入出力手段を介して音声情報が入力された場合でもその音声情報は回路部に記録されない。またこの際、音声情報記録/再生手段を挟み込んだ複数のシートのうち録音用スイッチに対向する領域に、録音用スイッチを示す情報が表示されていた場合であっても、音声情報記録/再生手段を挟み込んだ複数のシートの録音用スイッチに対向する領域は突出部に含まれるため、突出部が切り離された後では、録音用スイッチを示す情報が表示された領域も切り離されることになる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように本発明においては、回路部に音声情報を記録する際に操作される録音用スイッチが、音声情報が記録される回路部、回路部に記録される音声情報が入力されるとともに回路部に記録された音声情報が出力される音声情報入出力手段、及び回路部に記録された音声情報を音声情報入出力手段を介して出力する際に操作される再生用スイッチが複数のシートに挟み込まれた本体部から突出した突出部に設けられている構成としたため、これら回路部、音声情報入出力手段、録音用スイッチ及び再生用スイッチを有する音声情報記録/再生手段を挟み込む複数のシートのうち、録音用スイッチに対向する領域に録音用スイッチを示す情報を表示することができながらも、音声情報が回路部に記録された後、突出部が切り離されることにより、音声情報入出力手段を介して入力された音声情報が回路部に記録されなくなるとともに録音用スイッチを示す情報も表示されていない状態とすることができる。
【0017】
これにより、音声情報を記録する利用者にとって音声情報の記録操作をわかりやすくしながらも、音声情報の記録を禁止状態に設定した場合に不要な情報が表示されていないものとすることができる。また、録音用スイッチが突出部に設けられているため、突出部が切り離された後の音声情報記録/再生手段の面積を小型化することができ、突出部が切り離された形態の音声メッセージ伝達シートとなる本体部の小型化を図ることができるとともに、デザイン性の自由度が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、本発明の音声メッセージ伝達シートの実施の一形態を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は内部構造を示す図、(c)は(a)に示したA−A’断面図である。また、図2は、図1に示した音声メッセージ伝達シート1の積層状態を示す図である。
【0020】
本形態は図1及び図2に示すように、音声情報の記録や再生が可能なシート状の音声情報記録/再生部30が、紙基材等の柔軟性を有し、かつ薄型の基材からなる2枚の支持シート20a,20bに挟み込まれ、また、音声情報記録/再生部30を挟み込んだ支持シート20a,20bが、その外形が支持シート20a,20bと同一形状であって、紙基材等の柔軟性を有し、かつ薄型の基材からなる2枚の表面シート10a,10bに挟み込まれて構成されている。なお、表面シート10a,10b、支持シート20a,20b及び音声情報記録/再生部30は、支持シート20a,20bの表裏に施された粘着加工によって互いに接着されている。この粘着加工は、支持シート20a,20bの表裏に両面テープを貼付することや、ホットメルト型接着剤を塗布すること等によって行うことが考えられる。また、表面シート10a,10b、支持シート20a,20b及び音声情報記録/再生部30は、円形状の本体部2と、本体部2から突出した突出部3とから構成される。
【0021】
音声情報記録/再生部30は、ピエゾ素子41、振動板42及びフィルムシート(不図示)からシート状に構成されて音声情報を入出力するための音声情報入出力部40と、音声情報入出力部40を介して入力された音声情報が記録されるICチップを具備する回路部であるIC基板32と、IC基板32に記録された音声情報を音声情報入出力部40を介して出力する際に操作される薄型の再生用スイッチ33と、音声情報入出力部40を介して入力された音声情報をIC基板32に記録する際に操作される薄型の録音用スイッチ34と、IC基板32に接続され、IC基板32に電源を供給するための薄型のコイン電池31とから構成されている。なお、IC基板32と、コイン電池31及びピエゾ素子41とはそれぞれ、はんだ溶接されたリード線を介して互いに電気的に接続されている。また、スイッチ33,34は、フィルム基板35,36上に搭載され、このフィルム基板35,36上に形成された配線パターンとIC基板32とについても、はんだ溶接されたリード線を介して互いに電気的に接続されている。そして、音声情報記録/再生部30のうち、ピエゾ素子41、振動板42及びフィルムシートからなる音声情報入出力部40と、IC基板32と、フィルム基板35及びスイッチ33と、コイン電池31とは本体部2に配置され、スイッチ34が突出部3に配置され、フィルム基板36は、本体部2と突出部3とに跨るように配置されている。IC基板32内のICチップは、音声情報入出力部40を介して入力された音声情報をメモリ領域に記録し、また、メモリ領域に記録された音声情報を音声情報入出力部40を介して出力する制御を行うものであって、コイン電池31によって電源が供給されるポート端子や、GND電位に接続されるポート端子や、メモリ領域に記録された音声情報を音声情報入出力部40に出力するためのポート端子や、メモリ領域に記録された音声情報を音声情報入出力部40を介して出力するための指示信号が入力されるポート端子や、音声情報入出力部40を介して入力された音声情報をメモリ領域に記録するためのポート端子や、音声情報入出力部40を介して入力された音声情報をメモリ領域に記録するための指示信号が入力されるポート端子等を有し、このうち、メモリ領域に記録された音声情報を音声情報入出力部40を介して出力するための指示信号が入力されるポート端子がグランド電位となった場合、メモリ領域に記録された音声情報を音声情報入出力部40を介して出力し、また、音声情報入出力部40を介して入力された音声情報をメモリ領域に記録するための指示信号が入力されるポート端子がグランド電位となった場合、その後に音声情報入出力部40を介して入力された音声情報をメモリ領域に記録する。
【0022】
表面シート10aには、スイッチ33と対向する領域に、スイッチ33を示す再生ボタン12が印刷され、また、スイッチ34と対向する領域に、スイッチ34を示す録音ボタン13が印刷されている。また、音声情報入出力部40と対向する領域に、音声情報入出力部40を介して音声を入力したり、音声情報入出力部40から出力された音声を外部に出力したりするための微細な穴が羅列されてなる音声入出力領域14aが形成されている。このように微細な穴が羅列されてなる音声入出力領域14aが形成されているため、音声情報入出力部40がその表裏を表面シート10a,10bで覆われた状態であっても、音声情報入出力部40から出力される音量の低下を補うことができる。なお、音声入出力領域14aにおいては、例えば、レーザ加工によって、0.1mm径の穴が縦横2.0mm間隔で形成されている。そのため、抜き加工や針等によって穴を形成する場合と比べてバリが発生せず、その後そのバリによって穴が塞がれてしまうことはない。また、表面シート10aには、この音声メッセージ伝達シート1を用いて視覚的に通知すべき情報を印刷あるいは記入するための情報表示領域11が設けられている。また、再生ボタン12や録音ボタン13においては、印刷によって表面シート10a上に設けておかず、情報表示領域11に情報が印刷された後に、スイッチ33,34に対向する領域にシールを貼付することによって設けることも考えられる。このように構成された表面シート10aのうち、録音ボタン13は、音声情報記録/再生部30のスイッチ34が突出部3に設けられていることから、表面シート10aの突出部3に設けられている。また、本体部2と突出部3との境界部分には、その両端部に切り込み51が形成されている。
【0023】
支持シート20aにおいては、音声情報記録/再生部30と積層された場合に、音声情報入出力部40に対向する領域に穴部21が形成され、また、コイン電池31、IC基板32、スイッチ33及びフィルム基板35に対向する領域に穴部22が形成され、また、スイッチ34及びフィルム基板36に対向する領域に穴部23が形成されている。また、本体部2と突出部3との境界部分には、表面シート10aと同様に、その両端部に切り込み51が形成されている。
【0024】
支持シート20bにおいては、音声情報記録/再生部30と積層された場合に、音声情報入出力部40に対向する領域に穴部24が形成され、また、コイン電池31に対向する領域に穴部25が形成され、また、IC基板32に対向する領域に穴部26が形成されている。また、本体部2と突出部3との境界部分には、表面シート10a及び支持シート20aと同様に、その両端部に切り込み51が形成されている。
【0025】
このように、支持シート20aの、音声情報入出力部40、コイン電池31、IC基板32、スイッチ33及びフィルム基板35、スイッチ34及びフィルム基板36と対向する領域に穴部21〜23がそれぞれ形成され、また、支持シート20bの、音声情報入出力部40、コイン電池31及びIC基板32と対向する領域に穴24〜26がそれぞれ形成されることにより、コイン電池31、IC基板32、スイッチ33,34及び音声情報入出力部40が設けられている領域と他の領域とで厚さの差が小さくなり、それにより、表面シート10a,10bの平坦性が向上し、表面シート10a,10b上に情報を容易に印刷することができるようになる。さらには、音声情報記録/再生部30の最も厚い部分の厚さに対して、支持シート20a,20bの厚さを合計した厚さを同等、若しくは厚くすることにより、表面シート10a,10bをほぼ平坦な状態とすることができる。
【0026】
表面シート10bには、音声情報入出力部40と対向する領域に、音声情報入出力部40を介して音声を入力したり、音声情報入出力部40から出力された音声を外部に出力したりするための微細な穴が羅列されてなる音声入出力領域14bが形成されている。この音声入出力領域14bの構成は、表面シート10aに形成された音声入出力領域14aの構成と同様である。また、本体部2と突出部3との境界部分には、表面シート10a及び支持シート20a,20bと同様に、その両端部に切り込み51が形成されている。
【0027】
図3は、図1及び図2に示した支持シート20a,20bと音声情報記録/再生部30とを積層した状態を示す図であり、(a)は支持シート20aと音声情報記録/再生部30とを積層した状態を示す図、(b)は支持シート20bと音声情報記録/再生部30とを積層した状態を示す図である。
【0028】
図3(a)に示すように、支持シート20aの音声情報入出力部40と対向する領域に形成された穴部21は音声情報入出力部40の外形とほぼ等しく、また、コイン電池31、IC基板32、スイッチ33及びフィルム基板35と対向する領域に形成された穴部22は、これらコイン電池31、IC基板32、スイッチ33及びフィルム基板35を含むように、また、スイッチ34及びフィルム基板36と対向する領域に形成された穴部23がスイッチ34よりも大きくなっている。そして、フィルム基板36は、2つの穴部22,23を跨ぐように支持シート20a,20bに挟み込まれている。
【0029】
また、図3(b)に示すように、支持シート20bの音声情報入出力部40と対向する領域に形成された穴部24は音声情報入出力部40よりも小さく、また、コイン電池31と対向する領域に形成された穴部25はコイン電池31よりも大きく、また、IC基板32と対向する領域に形成された穴部26はIC基板32よりも大きくなっている。
【0030】
以下に、上記のように構成された音声メッセージ伝達シート1の使用方法について説明する。
【0031】
上記のように構成された音声メッセージ伝達シート1に対して音声情報を記録する場合は、まず、録音ボタン13を介してスイッチ34を押下する。
【0032】
図4は、図1に示したスイッチ34の操作による音声メッセージ伝達シート1の動作を説明するための図であり、(a)はスイッチ34近傍の詳細な構成を示す図、(b)はスイッチ34が押下されていない状態におけるスイッチ34及びフィルム基板36の断面図、(c)はスイッチ34が押下された状態におけるスイッチ34及びフィルム基板36の断面図、(d)はスイッチ34が押下されていない状態における等価回路図、(e)はスイッチ34が押下された状態における等価回路図である。
【0033】
図4(a)に示すように、フィルム基板36には、リード線を介してIC基板32に接続された2つの配線パターン37a,37bが形成されている。この2つの配線パターン37a,37bはそれぞれ櫛状となっており、櫛の歯の部分が互い違いに対向するように形成されている。配線パターン37a,37bのうち一方の配線パターン37aは、IC基板32を介してコイン電池31のマイナス端子に接続され、他方の配線パターン37bは、IC基板32内のICチップのポート端子のうち、音声情報入出力部40を介して入力された音声情報をメモリ領域に記録するための指示信号が入力されるポート端子に接続されている。
【0034】
スイッチ34が押下されていない状態においては、図4(b)に示すように、スイッチ34がこの配線パターン37a,37bに接しておらず、それにより、図4(d)に示すように、IC基板32内のICチップのポート端子のうち、配線パターン37bに接続され、音声情報入出力部40を介して入力された音声情報をメモリ領域に記録するための指示信号が入力されるポート端子はオープン状態となっている。そのため、この状態で音声情報入出力部40を介して音声情報が入力されてもその音声情報はIC基板32に記録されない。
【0035】
スイッチ34が押下されると、図4(c)に示すように、スイッチ34がフィルム基板36の表面に沿うように変形し、それにより、スイッチ34の裏面に塗布された導電剤34aを介して2つの配線パターン37a,37bが電気的に接続された状態となる。すると、図4(e)に示すように、配線パターン37aがコイン電池31のマイナス端子に接続されているため、配線パターン37bと接続されたポート端子、すなわち、音声情報入出力部40を介して入力された音声情報をメモリ領域に記録するための指示信号が入力されるポート端子がコイン電池31による電源31aのグランド電位となり、その状態において、音声情報入出力部40を介して音声情報を入力すると、入力された音声情報がIC基板32に記録されることになる。
【0036】
このようにしてIC基板32のメモリ領域に音声情報が記録された後、メモリ領域に記録された音声情報を音声情報の再度の記録によって消去されないようにするためには、本体部2と突出部3とを切り離す。この本体部2と突出部3との切り離しは、表面シート10a,10b及び支持シート20a,20bに形成された切り込み51をきっかけとして手で引きちぎってもよいし、はさみやカッターナイフ等で切断してもよい。
【0037】
図5は、図1に示した音声メッセージ伝達シート1から突出部3が切り離された状態を示す図であり、(a)はフィルム基板36の状態を示す図、(b)は本体部2の外観図、(c)はスイッチ34が接続されていた部分の等価回路図である。
【0038】
本体部2と突出部3とが切り離されると、図5(a)に示すように、フィルム基板36が本体部2と突出部3との境界に沿って破断し、スイッチ34が本体部2から切り離されることになる。そのため、図5(c)に示すように、IC基板32内のICチップのポート端子のうち、配線パターン37bに接続され、音声情報入出力部40を介して入力された音声情報をメモリ領域に記録するための指示信号が入力されるポート端子は常にオープン状態となることとなり、この状態で音声情報入出力部40を介して音声情報が入力されてもその音声情報はIC基板32に記録されなくなる。これにより、IC基板32のメモリ領域への音声情報の記録が禁止状態に設定され、IC基板32のメモリ領域に記録された音声情報が、音声情報の再度の記録によって消去されないようになる。
【0039】
このようにして突出部3が切り離されて本体部2のみとなった音声メッセージ伝達シート1は、その送付先に送付されることになる。
【0040】
音声メッセージ伝達シート1の送付先においては、IC基板32のメモリ領域に記録された音声情報を再生する場合、再生ボタン12を介してスイッチ33を押下する。すると、上述した音声情報の記録時と同様に、フィルム基板35に形成された2つの配線パターンがスイッチ33の裏面に塗布された導電剤を介して電気的に接続され、それにより、IC基板32内のICチップのポート端子のうち、メモリ領域に記録された音声情報を音声情報入出力部40を介して出力するための指示信号が入力されるポート端子がコイン電池31による電源によってグランド電位となり、メモリ領域に記録された音声情報がIC基板32から出力され、音声情報入出力部40を介して出力されることになる。またこの際、表面シート10aにおいては、スイッチ34と対向する領域に設けられていた録音ボタン13が突出部3とともに本体部2から切り離されるため、図5(b)に示すように、突出部3が切り離された本体部2には録音ボタン13が存在せず、この音声メッセージ伝達シート1を受け取った利用者が録音ボタン13によって困惑してしまうことがなくなる。
【0041】
また、音声情報を記録するためのスイッチ34が突出部3に設けられているため、突出部3が切り離された後の音声情報記録/再生部30の面積を小型化することができ、突出部3が切り離された形態の音声メッセージ伝達シート1となる本体部2の小型化を図ることができるとともに、デザイン性の自由度が向上する。
【0042】
なお、本形態においては、スイッチ34が搭載されたフィルム基板36が本体部2と突出部3とに跨るように設けられ、本体部2と突出部3とが切り離される場合にこのフィルム基板36が破断されているが、フィルム基板36を突出部3のみに配置し、本体部2と突出部3とが切り離される場合に、フィルム基板36とIC基板32とを接続しているリード線が破断する構成としてもよい。ただし、本形態のように、フィルム基板36が破断する構成とした方が、破断面にて導通部分、すなわち、配線パターン37a,37bが表出する面積を小さくすることができ、外観が悪くなってしまうことが回避できるとともに、その後、破断面にて表出した導通部分が導通して誤動作が生じてしまう可能性を低減することができる。
【0043】
以下に、上述したように本体部2と突出部3とを切り離した後に、その切り離し面によって誤動作が生じてしまう可能性を低減する構成について説明する。
【0044】
図6は、図1に示した音声メッセージ伝達シート1において本体部2と突出部3とを切り離した後にその切り離し面によって誤動作が生じてしまう可能性を低減するための一構成例を示す図であり、(a)は本体部2と突出部3とを切り離す前の内部構成を示す図、(b)は本体部2と突出部3とを切り離した後の内部構成を示す図である。
【0045】
図6(a)に示すように、本例においては、本体部2と突出部3との境界部分に、本体部2側に湾曲するようなミシン目52が形成されている。このミシン目52は、表面シート10a,10b及び支持シート20a,20bに形成されている。なお、フィルム基板36にも形成されていてもよいが、配線パターン37a,37bがミシン目52のカット部によって断線されないようにする必要がある。
【0046】
このように構成された音声メッセージ伝達シート1の本体部2と突出部3とを切り離すと、図6(b)に示すように、音声メッセージ伝達シート1がミシン目52に沿って本体部2と突出部3とに切り離され、本体部2は、突出部3がミシン目52を介して連接していた領域において内側に湾曲した形状となる。そのため、切り離し面にてフィルム基板36に形成された配線パターン37a,37bが表出する可能性があるものの、外部に接触する可能性が低減し、配線パターン37a,37bが導通して誤動作が生じてしまう可能性を低減することができる。
【0047】
図7は、図1に示した音声メッセージ伝達シート1において本体部2と突出部3とを切り離した後にその切り離し面によって誤動作が生じてしまう可能性を低減するための他の構成例を示す図であり、(a)は本体部2と突出部3とを切り離す前の内部構成を示す図、(b)は本体部2と突出部3とを切り離した後の内部構成を示す図である。
【0048】
図7(a)に示すように、本例においては、本体部2と突出部3との境界部分に、斜めの方向に切り込まれたスリット53が形成されている。このスリット53は、表面シート10a,10b、支持シート20a,20b及びフィルム基板36に形成されている。
【0049】
このように構成された音声メッセージ伝達シート1の本体部2と突出部3とを切り離すと、図7(b)に示すように、音声メッセージ伝達シート1がスリット53によって本体部2と突出部3とに切り離され、本体部2は、フィルム基板36の配線パターン37a,37bが形成された領域が、本体部2と突出部3との境界辺よりも本体部2側に凹んだ形状となる。そのため、切り離し面にてフィルム基板36に形成された配線パターン37a,37bが表出する可能性があるものの、外部に接触する可能性が低減し、配線パターン37a,37bが導通して誤動作が生じてしまう可能性を低減することができる。
【0050】
また、上述したような構成を、表面シート10a,10b及び支持シート20a,20bに設けずにフィルム基板36のみに設け、表面シート10a,10b及び支持シート20a,20bは本体部2と突出部3とが分離した構成としてもよい。その場合、本体部2に対して突出部3をねじることにより、フィルム基板36の本体部2と突出部3との境界部分を破断することになる。
【0051】
また、本体部2と突出部3との境界部分においてフィルム基板36あるいはフィルム基板36と表面シート10aとの間に、ゲル状の高抵抗物質を埋め込んでおくことも考えられる。このような構成のものにおいては、本体部2と突出部3とがはさみによって切り離されると、埋め込まれた高抵抗物質が流出し、切り離し面にて表出した配線パターン37a,37bがこの高抵抗物質によって覆われ、この表出した配線パターン37a,37bが外部の導電性物質等に直接接触することがなくなり、配線パターン37a,37bが導通して誤動作が生じてしまう可能性を低減することができる。
【0052】
なお、上述した実施の形態においては、本体部2が円形状であるものを例に挙げて説明したが、近年においては郵送物の形状も様々であり、はがき形状等、本体部2が幾何学的な形状であって、突出部3がその本体部2から突出した形状のものであれば本発明を適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の音声メッセージ伝達シートの実施の一形態を示す図であり、(a)は表面から見た図、(b)は内部構造を示す図、(c)は(a)に示したA−A’断面図である。
【図2】図1に示した音声メッセージ伝達シートの積層状態を示す図である。
【図3】図1及び図2に示した支持シートと音声情報記録/再生部とを積層した状態を示す図である。
【図4】図1に示したスイッチの操作による音声メッセージ伝達シートの動作を説明するための図であり、(a)はスイッチ近傍の詳細な構成を示す図、(b)はスイッチが押下されていない状態におけるスイッチ及びフィルム基板の断面図、(c)はスイッチが押下された状態におけるはスイッチ及びフィルム基板の断面図、(d)はスイッチが押下されていない状態における等価回路図、(e)はスイッチが押下された状態における等価回路図である。
【図5】図1に示した音声メッセージ伝達シートから突出部が切り離された状態を示す図であり、(a)はフィルム基板の状態を示す図、(b)は本体部の外観図、(c)はスイッチが接続されていた部分の等価回路図である。
【図6】図1に示した音声メッセージ伝達シートにおいて本体部と突出部とを切り離した後にその切り離し面によって誤動作が生じてしまう可能性を低減するための一構成例を示す図であり、(a)は本体部と突出部とを切り離す前の内部構成を示す図、(b)は本体部と突出部とを切り離した後の内部構成を示す図である。
【図7】図1に示した音声メッセージ伝達シートにおいて本体部と突出部とを切り離した後にその切り離し面によって誤動作が生じてしまう可能性を低減するための他の構成例を示す図であり、(a)は本体部と突出部とを切り離す前の内部構成を示す図、(b)は本体部と突出部とを切り離した後の内部構成を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
1 音声メッセージ伝達シート
2 本体部
3 突出部
10a,10b 表面シート
11 情報表示領域
12 再生ボタン
13 録音ボタン
14a,14b 音声入出力領域
20a,20b 支持シート
21〜26 穴部
30 音声情報記録/再生部
31 コイン電池
31a 電源
32 IC基板
33,34 スイッチ
34a 導電剤
35,36 フィルム基板
37a,37b 配線パターン
40 音声情報入出力部
41 ピエゾ素子
42 振動板
51 切り込み
52 ミシン目
53 スリット



【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声情報が記録される回路部と、前記回路部に記録される音声情報が入力されるとともに前記回路部に記録された音声情報が出力される音声情報入出力手段と、前記音声情報入出力手段を介して入力された音声情報を前記回路部に記録する際に操作される録音用スイッチと、前記回路部に記録された音声情報を前記音声情報入出力手段を介して出力する際に操作される再生用スイッチとを有する音声情報記録/再生手段が、複数のシートに挟み込まれて構成されてなる音声メッセージ伝達シートにおいて、
前記回路部、前記音声情報入出力手段及び前記再生用スイッチが前記複数のシートに挟み込まれた本体部と、
前記録音用スイッチが前記複数のシートに挟み込まれ、前記本体部から突出した突出部とを有することを特徴とする音声メッセージ伝達シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−6647(P2009−6647A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−172091(P2007−172091)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】