説明

音声・映像放送システム、音声・映像放送装置、音声・映像放送方法及び音声・映像放送プログラム

【課題】 音声・映像放送システム等において、電力線通信における狭い周波数帯域でも任意に選択したチャンネルの音声又は映像の再生を実現可能にすること。
【解決手段】 デジタル回線Dに接続されチャンネル毎にオーディオデータを受信するデータ通信モデム1と、データ通信モデム1で受信したオーディオデータのうちチャンネル毎に最新の所定データ量だけを逐次保存するサーバ2と、任意に選択されたチャンネルに対応するオーディオデータをサーバ2に保存された所定データ量単位で電力線Lを介して通信するモデム側電力線通信部3と、モデム側電力線通信部3から送信されたオーディオデータを電力線Lを介して受信する通信機能付きアンプ4と、通信機能付きアンプ4で受信したオーディオデータを再生出力するスピーカ5とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力線通信を利用した有線放送形式の音声・映像放送システム、音声・映像放送装置、音声・映像放送方法及び音声・映像放送プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
有線放送システムとして、アナログ回線を用いたものが一般に普及しているが、近年、高速のデジタル回線の普及によりデジタル回線を用いた有線放送システムが検討されている。例えば、特許文献1には、配信コントロールサーバ及び配信ストリーミングサーバを備え音声番組を配信する配信局と、音声番組を受信する受信局と、配信局と受信局とを接続するデジタル回線とで構成された有線放送システムが提案されている。
【0003】
一方、近年、家屋等の建物内に配線されている電力線を介して電力線通信装置間のデータ通信を行うことが検討されている。例えば、家屋が有する電力線を用いてオーディオ機器等の電力線通信装置間でオーディオデータや映像データ等のデータ通信を行うことが研究されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2002−333890号公報
【特許文献2】特開2000−216752号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
すなわち、高速デジタル回線を用いた有線放送システムを電力線通信に適用しようとすると、高速のデジタル回線を介して受信した複数チャンネルの楽曲等の音声データを、建物等内に配された電力線を介して再生装置等に伝送する際、電力線通信における周波数帯域が狭いために、複数のチャンネルの音声データを同時に伝送することができない不都合があった。
【0006】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、電力線通信における狭い周波数帯域でも任意に選択したチャンネルの音声又は映像の再生が可能な音声・映像放送システム、音声・映像放送装置、音声・映像放送方法及び音声・映像放送プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、本発明の音声・映像放送システムは、デジタル回線に接続されチャンネル毎にオーディオデータ又は映像データを受信するデータ通信モデムと、前記データ通信モデムで受信した前記オーディオデータ又は前記映像データのうち前記チャンネル毎に最新の所定データ量だけを逐次保存するサーバと、任意に選択された前記チャンネルに対応する前記オーディオデータ又は前記映像データを前記サーバに保存された前記所定データ量単位で電力線を介して通信するモデム側電力線通信部と、前記モデム側電力線通信部から送信された前記オーディオデータ又は前記映像データを電力線を介して受信する出力側電力線通信部と、前記出力側電力線通信部で受信した前記オーディオデータ又は前記映像データを再生出力する出力部とを備えていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の音声・映像放送装置は、デジタル回線に接続されチャンネル毎にオーディオデータ又は映像データを受信するデータ通信モデムと、前記データ通信モデムで受信した前記オーディオデータ又は前記映像データのうち前記チャンネル毎に最新の所定データ量だけを逐次保存するサーバと、任意に選択された前記チャンネルに対応する前記オーディオデータ又は前記映像データを前記サーバに保存された前記所定データ量単位で電力線を介して通信するモデム側電力線通信部とを備えていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の音声・映像放送方法は、データ通信モデムが、接続されたデジタル回線を介してチャンネル毎にオーディオデータ又は映像データを受信するステップと、サーバが、前記データ通信モデムで受信した前記オーディオデータ又は前記映像データのうち前記チャンネル毎に最新の所定データ量だけを逐次保存するステップと、モデム側電力線通信部が、任意に選択された前記チャンネルに対応する前記オーディオデータ又は前記映像データを前記サーバに保存された前記所定データ量単位で電力線を介して通信するステップと、出力側電力線通信部が、前記モデム側電力線通信部から送信された前記オーディオデータ又は前記映像データを電力線を介して受信するステップと、出力部が、前記出力側電力線通信部で受信した前記オーディオデータ又は前記映像データを再生出力するステップとを有していることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の音声・映像放送プログラムは、データ通信モデムが、接続されたデジタル回線を介してチャンネル毎にオーディオデータ又は映像データを受信するステップと、サーバが、前記データ通信モデムで受信した前記オーディオデータ又は前記映像データのうち前記チャンネル毎に最新の所定データ量だけを逐次保存するステップと、モデム側電力線通信部が、任意に選択された前記チャンネルに対応する前記オーディオデータ又は前記映像データを前記サーバに保存された前記所定データ量単位で電力線を介して通信するステップと、出力側電力線通信部が、前記モデム側電力線通信部から送信された前記オーディオデータ又は前記映像データを電力線を介して受信するステップと、出力部が、前記出力側電力線通信部で受信した前記オーディオデータ又は前記映像データを再生出力するステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0011】
これら音声・映像放送システム、音声・映像放送装置、音声・映像放送方法及び音声・映像放送プログラムでは、サーバが、データ通信モデムで受信したオーディオデータ又は映像データのうちチャンネル毎に最新の所定データ量だけを逐次保存し、モデム側電力線通信部が、任意に選択されたチャンネルに対応するオーディオデータ又は映像データをサーバに保存された所定データ量単位で電力線を介して通信するので、電力線通信におけるデータ伝送が一定量かつ最新のものに制限されることにより、狭く最小に設定された電力線通信の周波数帯域でも良好にデータ伝送でき、任意に選択したチャンネルのオーディオデータ又は映像データを再生出力することが可能になる。
【0012】
また、本発明の音声・映像放送システムは、前記最新の所定データ量が、1曲分若しくは1映像分又は一定再生時間分であることを特徴とする。すなわち、この音声・映像放送システムでは、1曲分若しくは1映像分又は一定再生時間分だけをサーバが保存するので、コンテンツ単位又は再生時間単位でシステム運営の管理が可能になり、著作権等の管理が容易になる。
【0013】
また、本発明の音声・映像放送システムは、前記出力側電力線通信部が、複数のチャンネルのうち一つのチャンネルを選択して入力可能なチャンネル選択部を備え、前記チャンネル選択部で入力された前記チャンネルの情報を電力線を介して前記モデム側電力線通信部に送信することを特徴とする。すなわち、この音声・映像放送システムでは、出力側電力線通信部のチャンネル選択部からチャンネルを選択入力して電力線を介して送信することができるので、モデム側で操作しなくてもモデム側と離間した出力側で任意のチャンネルを選択したり切り替えたりする操作が可能になる。
【0014】
また、本発明の音声・映像放送システムは、前記出力側電力線通信部が、前記出力部を接続可能な接続端子を備えていることを特徴とする。すなわち、この音声・映像放送システムでは、出力側電力線通信部が出力部を接続可能な接続端子を備えているので、任意の出力部を選択して接続可能となる。例えば、楽曲等の音声データを再生出力するスピーカを出力部として接続する場合に、設置する部屋等の環境に応じた音響性能のスピーカを任意にかつ容易に取り付けることができる。
【0015】
また、本発明の音声・映像放送システムは、前記出力側電力線通信部が、前記入力されたチャンネル及び該チャンネルに対応して受信し再生される前記オーディオデータ又は前記映像データに関する情報を表示する表示部を備えていることを特徴とする。すなわち、この音声・映像放送システムでは、再生されるチャンネルのオーディオデータ又は映像データに関する情報を出力側の表示部で表示可能であるので、例えば楽曲が再生される場合に、曲名やアーティスト名等が表示されて容易に確認することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係る音声・映像放送システム、音声・映像放送装置、音声・映像放送方法及び音声・映像放送プログラムによれば、データ通信モデムで受信したオーディオデータ等のうちチャンネル毎に最新の所定データ量だけをサーバで逐次保存し、このうち任意に選択されたチャンネルに対応するオーディオデータ等を所定データ量単位で電力線を介して通信するので、周波数帯域が狭く複数のチャンネルのオーディオデータ等を同時に送受信できない電力線通信でも、選択したチャンネルの最新曲や最新映像を良好に送受信して再生させることが可能になる。さらに、サーバでは、受信した一定量の最新データのみが保存され、逐次データが更新されることから、著作権で保護されているコンテンツ等がオーディオデータ等に含まれていても、不正複製等を防止することができる。したがって、ストリーミング的な再生により電力線を用いた有線放送を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る音声・映像放送システム、音声・映像放送装置、音声・映像放送方法及び音声・映像放送プログラムの一実施形態を、図1及び図2を参照しながら説明する。
【0018】
本実施形態の有線放送システム(音声・映像放送システム)は、図1及び図2に示すように、例えば光ファイバ回線やADSL回線等のブロードバンドネットワークであるデジタル回線Dに接続されチャンネル毎にオーディオデータを受信するデータ通信モデム1と、データ通信モデム1で受信したオーディオデータのうちチャンネル毎に最新の所定データ量だけを逐次保存するサーバ2と、任意に選択されたチャンネルに対応するオーディオデータをサーバ2に保存された所定データ量単位で電力線Lを介して通信するモデム側電力線通信部3と、モデム側電力線通信部3から送信されたオーディオデータを電力線Lを介して受信する通信機能付きアンプ(出力側電力線通信部)4と、通信機能付きアンプ4で受信したオーディオデータを再生出力するスピーカ(出力部)5とを備えている。
【0019】
上記データ通信モデム1、上記サーバ2及び上記モデム側電力線通信部3は、一体化されて有線放送装置(音声・映像放送装置)6を構成している。
上記データ通信モデム1は、外部のパーソナルコンピュータ7にイーサネット(登録商標)等のLAN7aで接続可能とされ、パーソナルコンピュータ7によりデジタル回線Dを介して外部にデータ通信可能となっている。なお、外部のパーソナルコンピュータ7は、サーバ2に直接アクセスできないようになっている。
【0020】
上記電力線Lは、例えば一般家屋等に配線され複数の家電製品や電子機器だけでなく、有線放送装置6、通信機能付きアンプ4及びスピーカ5にも接続されて電力供給を行っている。
上記サーバ2は、データ通信モデム1との間でデータを通信する通信部2aと、通信部2aで受信した圧縮データであるオーディオデータを保存するハードディスクや不揮発性メモリ等の記憶部2bと、記憶部2b内の圧縮データであるオーディオデータをデコードしてI/F部(図示略)を介してモデム側電力線通信部3に受け渡すデコーダ2cと、データ通信モデム1、通信部2a、記憶部2b、デコーダ2c及びモデム側電力線通信部3を制御するコントローラ2dとを有している。
【0021】
上記コントローラ2dは、最新の所定データ量としてチャンネル毎に1曲分を逐次保存かつ更新するように記憶部2bを制御し、更新された楽曲情報をモデム側電力線通信部3により電力線Lを介して通信機能付きアンプ4へ送信するように設定されている。
なお、通信部2aを介したサーバ2の記憶部2bに対するアクセスは、セキュリティ確保のため制限されている。また、記憶部2b内のオーディオデータは、著作権保護のための暗号化が施されていてもよい。
【0022】
上記通信機能付きアンプ4は、アンプ機能を内蔵しており、スピーカ5の音量を調整可能なボリューム調整部7と、再生されるオーディオデータのイコライジングやドルビー(登録商標)制御が可能なイコライザ制御部8と、スピーカ5に接続可能な左右音声用の一対のスピーカ端子(接続端子)9と、ヘッドフォンに接続可能なヘッドフォン端子10とを備えている。
【0023】
また、通信機能付きアンプ4は、複数のチャンネルのうち任意に一つのチャンネルを選択して入力可能なチャンネル選択部11を備え、チャンネル選択部11で入力されたチャンネルの情報を電力線Lを介してモデム側電力線通信部3に送信するように設定されている。なお、本実施形態のチャンネル選択部11は、チャンネル1〜9を任意に選択可能な9ヶの選択ボタンで構成されている。
【0024】
さらに、通信機能付きアンプ4は、入力されたチャンネル及び該チャンネルに対応して受信し再生されるオーディオデータに関する情報を表示する表示部12を備えている。この表示部12は、例えば液晶ディスプレイ装置で構成されており、オーディオデータに関する情報として選択されたチャンネル番号、再生される楽曲の曲名及びアーティスト名、再生時間等が表示されるように設定されている。
【0025】
なお、通信機能付きアンプ4には、リモートコントローラ13が付属されており、該リモートコントローラ13を操作することにより、複数のチャンネルのうち1つのチャンネルを任意に選択可能で、選択したチャンネルを含む入力情報を電波又は赤外線で送信可能とされている。なお、リモートコントローラ13は、他に音量調整、通信機能付きアンプ4の電源のON/OFF等の入力情報を送信可能となっている。また、通信機能付きアンプ4は、上記リモートコントローラ13から送信された入力情報の電波又は赤外線を受信可能な無線受信部14を備えている。
【0026】
上記デジタル回線Dには、本有線放送システムのオーディオデータを配信する配信局(図示略)が接続されている。この配信局は、複数のチャンネルにおいてチャンネル毎に対応した楽曲等のオーディオデータをMP3 (MPEG AudioLayer III)形式やWAVE形式等でデジタル回線Dを介して受信局に相当する有線放送装置6へ逐次送信するようになっている。なお、上記オーディオデータは、MP3形式等の圧縮されたデータ形式で送信を行うことが好ましい。また、通信機能付きアンプ4は、受信したオーディオデータをデコードし、スピーカ端子9を介してスピーカ5にアナログ出力する機能を有している。
【0027】
なお、本有線放送システムにおけるデータの各処理部、すなわちデータ通信モデム1、サーバ2(通信部2a、記憶部2b、デコーダ2c、コントローラ2d)、モデム側電力線通信部3及び通信機能付きアンプ4等の処理部は、専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、各処理部はコンピュータシステムとしてメモリ及びCPU(中央集積装置)により構成され、各処理部の機能及び後述する本実施形態の有線放送方法を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。
【0028】
すなわち、上記プログラムは、コンピュータ読み取り可能なプログラムであり、前述した機能及び後述する有線放送方法の一部を実現するためであってもよい。
さらに、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0029】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから伝送媒体を介して、あるいは伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されるものであってもよい。上記伝送媒体とは、インターネット等のネットワーク(通信網)や電力線、電話回線等の通信回線(通信線)のように、情報を伝送する機能を有する媒体をいうものとする。
また、上記メモリは、ハードディスク装置や光磁気ディスク装置、フラッシュメモリ等の不揮発性のメモリや、CD−ROM等の読み出しのみが可能な記録媒体、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ或いはこれらの組み合わせによるコンピュータ読み取り、書き込み可能な記録媒体より構成されるものとする。
【0030】
次に、本実施形態の有線放送システムによる有線放送方法について説明する。なお、本有線放送システムでは、チャンネル毎に洋楽や邦楽等のジャンルが異なる楽曲が配信される場合について例示する。
【0031】
まず、有線放送装置6のデータ通信モデム1は、配信局からデジタル回線Dを介して全チャンネルのオーディオデータをデータ送信するように要求情報を送信し、配信局からデジタル回線Dを介して送信される各チャンネルのオーディオデータを受信すると共にサーバ2へと送る。そして、サーバ2は、受信した各チャンネルのオーディオデータを通信部2aを介して記憶部2b内に最新の1曲分だけを逐次保存、更新する。
【0032】
次に、鑑賞者の操作により一つのチャンネル(例えば、洋楽のチャンネル)が選択され、通信機能付きアンプ4のチャンネル選択部11から入力されると、通信機能付きアンプ4は選択されたチャンネルの入力情報を電力線Lを介してモデム側電力線通信部3へ送信する。
【0033】
なお、チャンネルの入力は、リモートコントローラ13を用いて行っても構わない。すなわち、操作者によりリモートコントローラ13から一つのチャンネルが選択されると(以下、選択されたチャンネルを選択チャンネルとも称す)、リモートコントローラ13から電波又は赤外線により選択チャンネルの入力情報が無線送信される。そして、無線受信部14が、送信された選択チャンネルの入力情報を受信すると、通信機能付きアンプ4が、当該入力情報を電力線Lを介してモデム側電力線通信部3へ送信する。
【0034】
次に、モデム側電力線通信部3は、受信した選択チャンネルの入力情報をサーバ2に送る。サーバ2のコントローラ2dは、選択チャンネルの入力情報に基づいて記憶部2b内の選択チャンネルのオーディオデータをデコーダ2cへ受け渡す。さらに、デコーダ2cは、圧縮データであるオーディオデータをデコードしてI/F部を介してモデム側電力線通信部3へ送る。そして、モデム側電力線通信部3は、電力線Lを介して選択されたオーディオデータを送信する。さらに、通信機能付きアンプ4は、電力線Lを介して選択チャンネルの最新の1曲分のデータを受信し、デコードしてアナログ信号に変換しスピーカ端子9を介してスピーカ5に送ることで、スピーカ5により選択チャンネルの最新曲が再生出力される。
【0035】
また、有線放送装置6は、モデム側電力線通信部3により選択チャンネルの最新の1曲分を送信すると共に、データ通信モデム1によりデジタル回線Dを介して当該チャンネルの次の1曲分のデータを配信局から受信し、サーバ2の記憶部2bに保存する。そして、コントローラ2dは、通信機能付きアンプ4に対して1曲分の送信が完了した時点で、保存していた当該1曲分のデータを記憶部2bから削除すると共に、新たにデジタル回線Dから受信した次の最新曲のデータをモデム側電力線通信部3により電力線Lを介して通信機能付きアンプ4へ送信する制御を行い、続けて再生を行う。
【0036】
なお、スピーカ5により楽曲が再生されている際、通信機能付きアンプ4の表示部12は、選択チャンネル番号、楽曲名、アーティスト名、再生時間等の情報を表示する。これにより、チャンネルや楽曲の情報を出力側で容易に知ることができる。また、通信機能付きアンプ4では、再生中の楽曲について、ボリューム調整部7及びイコライザ制御部8により、再生音量及び再生音質を任意に調整することができる。
【0037】
このように本実施形態では、サーバ2が、データ通信モデム1で受信したオーディオデータのうちチャンネル毎に最新の所定データ量だけを逐次保存し、モデム側電力線通信部3が、任意に選択されたチャンネルに対応するオーディオデータをサーバ2に保存された所定データ量単位で電力線Lを介して通信するので、電力線通信におけるデータ伝送が一定量かつ最新のものに制限されることにより、狭く最小に設定された電力線通信の周波数帯域でも良好にデータ伝送でき、選択チャンネルのオーディオデータを再生出力することが可能になる。さらに、サーバ2では、受信した一定量の最新データのみが保存され、逐次データが更新されることから、著作権で保護されているコンテンツ等がオーディオデータ等に含まれていても、不正複製等を防止することができる。
【0038】
また、出力装置側のチャンネル選択部11からチャンネルを選択入力して電力線Lを介して送信することができるので、有線放送装置6側で操作しなくても有線放送装置6側と離間した出力装置側で任意のチャンネルを選択したり切り替えたりする操作が可能になる。
さらに、通信機能付きアンプ4がスピーカ5を接続可能なスピーカ端子9を備えているので、設置する部屋等の環境に応じた音響性能のスピーカ5を任意に選択することができる。
【0039】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0040】
例えば、上記サーバ2では、選択チャンネルの最新の1曲分だけを記憶部2bに保存するが、所定データ量として一定再生時間分だけを保存するように設定しても構わない。また、上記実施形態では、音楽放送を行う配信システムとしてオーディオデータによる音声再生を行ったが、映像コンテンツを配信する有線放送システムとして映像データ(動画データだけでなく静止画像データを含むものとする)による映像再生を行っても構わない。
【0041】
この場合、電力線Lに接続される出力装置としては、液晶ディスプレイ等の画像表示装置が採用される。また、有線放送装置6では、サーバ2が、選択チャンネルの最新の1映像分だけ又は一定再生時間分だけを保存し、この1映像分又は一定再生時間分だけを電力線Lを介して出力装置側に送信し、液晶ディスプレイ装置等で表示するように設定される。このように、本発明では、1曲分若しくは1映像分又は一定再生時間分だけをサーバ2が保存するので、コンテンツ単位又は再生時間単位でシステム運営の管理が可能になり、著作権等の管理が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る一実施形態の音声・映像放送システム、音声・映像放送装置、音声・映像放送方法及び音声・映像放送プログラムにおいて、システム全体を示す構成図である。
【図2】本実施形態について、有線放送装置を示すブロック図である。
【図3】本実施形態について、通信機能付きアンプを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0043】
1…データ通信モデム、2…サーバ、2a…通信部、2b…記憶部、2c…デコーダ、2d…コントローラ、3…モデム側電力線通信部、4…通信機能付きアンプ(出力側電力線通信部)、5…スピーカ(出力部)、6…有線放送装置(音声・映像放送装置)、9…スピーカ端子(接続端子)、11…チャンネル選択部、12…表示部、D…デジタル回線、L…電力線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル回線に接続されチャンネル毎にオーディオデータ又は映像データを受信するデータ通信モデムと、
前記データ通信モデムで受信した前記オーディオデータ又は前記映像データのうち前記チャンネル毎に最新の所定データ量だけを逐次保存するサーバと、
任意に選択された前記チャンネルに対応する前記オーディオデータ又は前記映像データを前記サーバに保存された前記所定データ量単位で電力線を介して通信するモデム側電力線通信部と、
前記モデム側電力線通信部から送信された前記オーディオデータ又は前記映像データを電力線を介して受信する出力側電力線通信部と、
前記出力側電力線通信部で受信した前記オーディオデータ又は前記映像データを再生出力する出力部とを備えていることを特徴とする音声・映像放送システム。
【請求項2】
請求項1に記載の音声・映像放送システムにおいて、
前記最新の所定データ量が、1曲分若しくは1映像分又は一定再生時間分であることを特徴とする音声・映像放送システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の音声・映像放送システムにおいて、
前記出力側電力線通信部が、複数のチャンネルのうち一つのチャンネルを選択して入力可能なチャンネル選択部を備え、前記チャンネル選択部で入力された前記チャンネルの情報を電力線を介して前記モデム側電力線通信部に送信することを特徴とする音声・映像放送システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の音声・映像放送システムにおいて、
前記出力側電力線通信部が、前記出力部を接続可能な接続端子を備えていることを特徴とする音声・映像放送システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の音声・映像放送システムにおいて、
前記出力側電力線通信部が、前記入力されたチャンネル及び該チャンネルに対応して受信し再生される前記オーディオデータ又は前記映像データに関する情報を表示する表示部を備えていることを特徴とする音声・映像放送システム。
【請求項6】
デジタル回線に接続されチャンネル毎にオーディオデータ又は映像データを受信するデータ通信モデムと、
前記データ通信モデムで受信した前記オーディオデータ又は前記映像データのうち前記チャンネル毎に最新の所定データ量だけを逐次保存するサーバと、
任意に選択された前記チャンネルに対応する前記オーディオデータ又は前記映像データを前記サーバに保存された前記所定データ量単位で電力線を介して通信するモデム側電力線通信部とを備えていることを特徴とする音声・映像放送装置。
【請求項7】
データ通信モデムが、接続されたデジタル回線を介してチャンネル毎にオーディオデータ又は映像データを受信するステップと、
サーバが、前記データ通信モデムで受信した前記オーディオデータ又は前記映像データのうち前記チャンネル毎に最新の所定データ量だけを逐次保存するステップと、
モデム側電力線通信部が、任意に選択された前記チャンネルに対応する前記オーディオデータ又は前記映像データを前記サーバに保存された前記所定データ量単位で電力線を介して通信するステップと、
出力側電力線通信部が、前記モデム側電力線通信部から送信された前記オーディオデータ又は前記映像データを電力線を介して受信するステップと、
出力部が、前記出力側電力線通信部で受信した前記オーディオデータ又は前記映像データを再生出力するステップとを有していることを特徴とする音声・映像放送方法。
【請求項8】
データ通信モデムが、接続されたデジタル回線を介してチャンネル毎にオーディオデータ又は映像データを受信するステップと、
サーバが、前記データ通信モデムで受信した前記オーディオデータ又は前記映像データのうち前記チャンネル毎に最新の所定データ量だけを逐次保存するステップと、
モデム側電力線通信部が、任意に選択された前記チャンネルに対応する前記オーディオデータ又は前記映像データを前記サーバに保存された前記所定データ量単位で電力線を介して通信するステップと、
出力側電力線通信部が、前記モデム側電力線通信部から送信された前記オーディオデータ又は前記映像データを電力線を介して受信するステップと、
出力部が、前記出力側電力線通信部で受信した前記オーディオデータ又は前記映像データを再生出力するステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする音声・映像放送プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−172371(P2008−172371A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−1848(P2007−1848)
【出願日】平成19年1月9日(2007.1.9)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【Fターム(参考)】