説明

音声信号出力装置、スピーカ装置、音声信号出力方法

【課題】スピーカ装置(ヘッドホン/イヤホン)の耳への装着の有無を検出してユーザの聴覚に負荷を与える出力音量の累積値が適切に算出されるようにする。
【解決手段】接続されたスピーカ装置がユーザの耳に装着状態であるか非装着状態であるかを判定する。そして装着状態と判定されている期間のみに、スピーカ装置部に供給する音声信号の音量レベルと音声出力時間に応じて出力音量の累積値を演算する。累積値が規制値に達した場合には、スピーカ装置部に供給する音声信号についての音量規制を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声信号出力装置、スピーカ装置、音声信号出力方法に関し、特にスピーカ装置に出力する音声信号を出力音量として累積する技術に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】特開平3−123199号公報
【特許文献2】特開昭64−1400号公報
【特許文献3】特開平2009−159441号公報
【背景技術】
【0003】
上記特許文献に記載された発明は、再生音圧を規制するものではないが、ヘッドホンの耳内への装着/非装着の検出についての技術に関するものである。
【0004】
例えば、オーディオプレーヤ、メディアプレイヤー等と呼ばれる携帯型の再生装置で音楽等を楽しむことが通常なされている。
現在、難聴防止のために、これらの再生装置でヘッドホン/イヤホンを接続して行う音声再生に関し、ヨーロッパを中心に再生装置本体からヘッドホンへの長時間の大音量の再生信号の供給を規制する流れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
大音量の音声を長時間聴くことを防止するためには、例えば、音楽再生中の再生装置本体の出力電圧を累積的にカウントしておき、その累積値が聴覚への悪影響を及ぼす恐れがある基準値に達すると出力電圧の最大値を強制的に下げるといった対策が考えられる。
ところが、ユーザの実際の聴取状態を考慮しなければ、このような対策は、逆に必要がないのに音量に制限を与えるような不都合な動作を行う可能性がある。例えばユーザがヘッドホン等を装着して聴いていなくても、その期間の出力音圧を累積し、ある時点で出力音量を低レベルにしてしまうなどである。
【0006】
そこで本発明は、難聴を防止するための音量規制は行いつつ、その規制としての音量制御が適切に行われるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の音声信号出力装置は、接続されたスピーカ装置がユーザの耳に装着状態であるか非装着状態であるかを判定する装着判定部と、上記スピーカ装置に供給する音声信号の音量調整を行う音量調整部と、上記音声信号の音量レベルと音声出力時間に応じて出力音量の累積値を演算し、上記累積値が規制値に達した場合に、上記音量調整部に音量規制を実行させるとともに、上記装着判定部によって上記非装着状態と判定されている期間は、上記累積値の演算を実行しない累積演算部とを備える。
また、可聴帯域外信号を発生させる可聴帯域外信号発生部と、上記可聴帯域外信号発生部で発生された可聴帯域外信号を上記スピーカ装置部に供給する音声信号に重畳する信号重畳部とをさらに備える。そして上記装着判定部は、上記スピーカ装置から供給される受音信号における上記可聴帯域外信号の検出に基づいて、上記装着状態か上記非装着状態かの判定を行うものとする。
【0008】
本発明のスピーカ装置は、接続された音声信号出力装置から供給される出力音声信号により音声出力を行うスピーカ部と、ユーザの耳に装着された状態で、ユーザの耳内反射音を受音するように配置された耳内反射音用受音素子と、上記受音素子で得られる受音信号を、接続された音声信号出力装置に供給する出力端子とを備える。
【0009】
本発明の音声信号出力方法は、接続されたスピーカ装置がユーザの耳に装着状態であるか非装着状態であるかを判定するステップと、上記装着判定部によって上記装着状態と判定されている期間のみに、上記スピーカ装置部に供給する音声信号の音量レベルと音声出力時間に応じて出力音量の累積値を演算するステップと、上記累積値が規制値に達した場合に、上記スピーカ装置部に供給する音声信号についての音量規制を実行するステップと、を備える。
【0010】
このような本発明では、音声信号出力装置に接続されたスピーカ装置が、ユーザの耳に装着されているか否かを検出して出力音量の累積を行う。つまり、スピーカ装置が耳に装着されていない期間、即ちユーザの聴覚に負担をかけない期間は出力音量の累積値の演算を行わない。このようにすることで、累積値は、ユーザの耳に装着されている期間のみの累積値となり、難聴対策のための累積値として適切な値となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、音声信号出力装置を使用する者がいかなる形態で使用したとしても、スピーカ装置(ヘッドホン/イヤホン)を耳に装着しているかどうかを検出し、スピーカ装置が耳内に装着しているときのみ、出力音量の累積値を更新していくことができる。これにより、この累積値に基づく適切な音量制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態の累積値演算の説明図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態のブロック図である。
【図3】実施の形態のヘッドホン装着判定部の詳細のブロック図である。
【図4】実施の形態のヘッドホン装置側に形成されるプラグと再生装置本体側に形成されるジャックの構造の説明図である。
【図5】実施の形態のヘッドホン装置の内部構造と動作の説明図である。
【図6】実施の形態の再生音量累積演算及びゲイン規制処理のフローチャートである。
【図7】実施の形態の累積演算制御処理のフローチャートである。
【図8】第2の実施の形態のブロック図である。
【図9】第3の実施の形態のブロック図である。
【図10】第4の実施の形態のブロック図である。
【図11】フェライトビーズを使用したときの等価回路を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を次の順序で説明する。なお、実施の形態では、本発明の音声信号出力装置の例としてオーディオプレーヤやメディアプレイヤーとして呼ばれる再生装置を挙げ、また本発明のスピーカ装置の例として、再生装置に接続されるヘッドホン装置を例に挙げる。
<1.実施の形態の累積演算動作の概要>
<2.第1の実施の形態>
<3.第2の実施の形態>
<4.第3の実施の形態>
<5.第4の実施の形態>
【0014】
<1.実施の形態の累積演算動作の概要>

まず図1で、実施の形態の難聴対策のための出力音量の累積演算について述べる。
例えば、長時間の大音量の聴取による難聴への懸念を考えたとき、再生装置は、ヘッドホンで出力される出力音量を、再生中に継続的に累積加算していく。そして、その累積値が予め設定した所定の規制値に達したら、強制的に音量を下げる。例えばヘッドホンに出力する音声信号に与えるゲインを制限する。このようにすれば、難聴対策として適切となる。
【0015】
ところが、単純に出力音量を累積していくことでは、実際には適切なゲイン制限が行われない場合がある。
例えば、ヘッドホン装置が耳から外されている場合、音楽が再生されていれば、再生装置本体の出力電圧が時間累積カウントされ、またヘッドホン装置ではなく外部のアンプ付スピーカ等で再生している場合にも、同様に再生装置本体の出力電圧が時間累積カウントされることになる。
また再生はしていても、ユーザがヘッドホンを外したまま聴いていない場合もある。
【0016】
すると、ユーザの聴覚に負担をかけていない期間の時間/音量までもが累積値に加算されてしまい、無用なゲイン制限がなされてしまうことがある。
【0017】
この具体例を図1(a)(b)(c)で説明する。
図1(a)は再生装置使用者のヘッドホン装置の耳内への装着状態を表している。すなわち、使用者は時刻t1で装着していたヘッドホン装置を外し、時刻t3で再びヘッドホン装置を装着していることを表している。
図1(b)、図1(c)は、ヘッドホン装置の耳内装着検出の処理無しの場合の、再生装置本体のボリュームの時間変化と、再生装置の再生信号(再生音量)の累積値の変化を表している。
【0018】
これらの図が示すとおり、再生装置本体のボリューム設定の状態により、出力電圧の時間記録を行っているため、ボリュームがv1の状態では時間記録の累積は緩やかである。
時刻t0では、ボリュームをv1からv2に上げているので時間記録の累積の状態は変化し急峻となっている。
時刻t2では、ボリュームをv2からv1に下げているので時間記録の累積の状態は変化し、時刻t0までの累積と同様の傾斜で累積が行われる。これにより、使用者の再生装置の使用の状況をある程度把握することができる。
【0019】
しかしながら、この場合、時刻t1から時刻t3までの間は、ヘッドホン装置が現実に耳に装着されていないのにも拘わらず時間記録の累積が継続されている。
そして時刻t2では音圧の累積値が規制レベルを超えるため、ヘッドホンの装着とは関係なく、図1(b)に示すように音圧規制機能によって、その後のボリュームレベルの上限が強制的にボリュームv1に変更される。
【0020】
一方、図1(d)、図1(e)は実施の形態における、再生装置本体のボリュームの時間変化と、再生音量累積値の変化を表している。
この場合も、ボリュームがv1のとき、そのv1に対応した傾斜で時間記録の累積が行われる。
時刻t0でボリュームをv1からv2に上げているので、時間記録の累積の状態は変化し急峻となる。
時刻t0から時刻t1まではその急峻な状態で累積が行われる。
ところが時刻t1から時刻t3の期間は、ヘッドホン装置を耳内から外しているので、累積は行われず、累積値は一定値となる。
時刻t3においてヘッドホン装置が再び装着されると、その時点で累積が再開される。このときボリュームはv2なので、時刻t0から時刻t1の累積と同じ傾きで累積が継続して行われる。
【0021】
つまりこの場合は、時刻t3以降も、使用者は所望のボリュームで音楽を聴くことができる。
このように、本実施の形態は、音圧規制制御を行って難聴対策を講じる上で、その制御の基準となる出力音量の累積値の演算は、ヘッドホン装着期間のみを対象とする。これにより過剰に音圧を規制せず、メディアプレイヤー等の再生装置の使用者の使用状態に適応しながら聴覚保護の為の音圧規制をすることができる。
【0022】
このため本実施の形態では、接続されたヘッドホン装置がユーザの耳に装着状態であるか非装着状態であるかを判定する装着判定部と、ヘッドホン装置に供給する音声信号の音量調整を行う音量調整部と、音声信号の音量レベルと音声出力時間に応じて出力音量の累積値を演算する累積演算部を備えるようにする。累積演算部は、累積値が規制値に達した場合に、音量調整部に音量規制を実行させる。また累積演算部は装着判定部によって非装着状態と判定されている期間は、累積値の演算を実行しないようにする。
【0023】
<2.第1の実施の形態>

図2は、本発明の一実施形態としての再生装置本体1と、ヘッドホン装置20とを備えて構成される第1の実施の形態について説明するための図である。このブロック図では、再生装置本体1の内部構成とヘッドホン装置20の内部構成をそれぞれ示している。
【0024】
図2において、先ず、ヘッドホン装置20の内部構成を説明する。
ヘッドホン装置20は、スピーカ21、受音素子22を備える。
スピーカ21は、再生装置本体1から供給される音声信号を再生するものである。この音声信号は、後述のL/Rチャンネル伝送路(図4参照)を経由して再生装置本体1から供給される。
【0025】
受音素子22は、再生装置本体1からスピーカ21に供給される音声信号に重畳されている後述の可聴帯域外信号を受信するものである。この受信信号は、ヘッドホン装置20が耳内に装着されているかどうかを検出するために使用する。受音素子22はヘッドホン20内に配置できる通常のマイクロホンとしてもよい。
受音素子22は、ヘッドホン装置20がユーザの耳に装着された状態で、ユーザの耳内反射音を受音するように配置された耳内反射音用受音素子とされる。
ヘッドホン装置20には、図4で後述するように、受音素子22で得られる受音信号を、接続された再生装置本体1に供給する出力端子が設けられている。
【0026】
つぎに、再生装置本体1の内部構成を説明する。図2に示すように、再生装置本体1は、音源6、デコーダ4、ゲイン調整部5、信号重畳器11、DAC/パワーアンプ3、再生音量累積部7、記憶部8、マイクアンプ10およびヘッドホン装着判定部9を備える。
【0027】
音源6には、音声信号データが保存されている。具体的な構成としては、例えばフラッシュメモリなどの固体メモリで構成されても良いし、例えばHDD(Hard Disk Drive)により構成されてもよい。
また内蔵の記録媒体ではなく、可搬性を有する記録媒体、例えば固体メモリを内蔵したメモリカード、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの光ディスク、光磁気ディスク、ホログラムメモリなどの記録媒体に対応するドライブ装置などとして構成することもできる。
もちろん、固体メモリやHDD等の内蔵タイプのメモリと、可搬性記録媒体に対するドライブ装置の両方が搭載されてもよい。
この音源6には、図示しない制御部の制御に基づいて音声信号データが書き込み/読み出される。
なお、音源6においては、例えば音声信号データが所定の音声圧縮符号化方式により圧縮符号化された状態で記憶されているとする。
【0028】
デコーダ4は、音源6から読み出された圧縮オーディオデータを伸張処理するものである。
【0029】
ゲイン調整部5は、デコーダ4により伸長された音声信号を適正な出力レベルにするためにゲインを調整するものである。
【0030】
正弦波信号発生部2は、 可聴帯域外の正弦波信号を出力する。この正弦波の可聴帯域外信号の周波数は、例えば40kHz程度とすればよい。そしてこの可聴帯域外信号は、ゲイン調整部5から出力された音声信号に対して信号重畳器11により重畳される。
【0031】
DAC/パワーアンプ3は、可聴帯域外信号が重畳された音声信号についてD/A変換処理を行ってアナログ信号に変換し、さらにスピーカ21を駆動するためにそのアナログ信号を所定のレベルに増幅するものである。
そして、このアナログ信号は、ヘッドホン装置20のスピーカ21に供給され、この信号によりスピーカ21が駆動される。
なお、DAC/パワーアンプ3においては、デジタルパワーアンプに置き換えても良い。
【0032】
マイクアンプ10は、ヘッドホン装置20側の受音素子22が受音した受音信号を所定のレベルに増幅する。
【0033】
ヘッドホン装着判定部9は、マイクアンプ10からの受音信号を受け取り、その受音信号から可聴帯域外信号を抽出し、この大きさを解析することにより、ヘッドホン装置20が耳内に装着されているかどうかを判定する。
そしてその判定結果を制御信号として再生音量累積部7に送出する。
【0034】
再生音量累積部7は、ヘッドホン装置20が耳内に装着されているかどうかに基づき、スピーカ21の再生音量を、記憶部8に累積するものである。ヘッドホン装置20が耳内に装着されているかどうかはヘッドホン装着判定部9から出力される制御信号により表されている。したがって、この制御信号により、再生音量の累積の開始、停止が制御できる。
なお、再生音量は例えば、音源6からの出力レベル、ゲイン調整部5のゲイン値およびDAC/パワーアンプ3のゲイン値の時間変化から求められる。
【0035】
次に図3により、ヘッドホン装着判定部9の各種構成例について説明する。
図3(a)は、入力した受音信号をアナログ処理する場合の構成を示している。図3(b)と図3(c)は入力した受音信号をデジタル処理する場合を示している。
【0036】
図3(a)において、受音素子22により集音された受音信号はマイクアンプ10を介して、バンドバスフィルタ(BPF)30に入力される。BPF30は必要な範囲の周波数の信号のみを通し、他の周波数の信号は通さない(減衰させる)ので、ここでは可聴帯域外信号のみ通過させることができる。すなわち、BPF30は可聴帯域外信号のみ抽出する。
【0037】
抽出された可聴帯域外信号は、処理部31で時間平均化が行われる。この場合、負の値は反転させて正の値として平均化してもよいし、正の値のみ取り出して平均化してもよい。この処理部31により安定した出力を求めることができる。
この出力を積分器32に入力し、単位時間について累積加算を行い加算値を求める。この値についてスレッショルド判定部33で判定を行う。すなわち、スレッショルド値(一定の値)より大きいか否かでヘッドホン装置が耳内に装着されているかどうかを判定する。
【0038】
ヘッドホン装着判定部9の判定処理はDSP(デジタルシグナルプロセッサ)51,52によりデジタル演算で処理することもできる。図3(b)、図3(c)はその具体例を示している。
図3(b)において、受音素子22により集音された受音信号はA/D変換器34に入力される。A/D変換器34により、アナログ信号がデジタル信号に変換される。
【0039】
このデジタル信号は、ヘッドホン装置20の耳内装着の判定を行うDSP51に入力される。DSP51内でアナログ処理と略同様の処理が行われる。即ちBPF35による可聴帯域外信号の抽出、処理部36による抽出された信号の平均化、累積加算部37での平均化された値の単位時間についての累積加算が行われる。そしてこの累積加算値からスレッショルド判定部38で判定を行う。すなわち、スレッショルド値(一定の値)より大きいか否かでヘッドホン装置が耳内に装着されているかどうかが判定される。
【0040】
また、図3(c)は、DSP52を使用し、可聴帯域外信号の抽出をFFT(高速フーリエ変換)40により行う例である。
この場合、FFT40で可聴帯域外信号の周波数変換、処理部39で可聴帯域外信号の振幅抽出、帯域限定処理、時間平均化、累積加算部37での平均化された値の単位時間についての累積加算、スレッショルド判定部38で判定が行われ、ヘッドホン装置が耳内に装着されているかどうかが判定される。
FFT40により可聴帯域外信号を抽出することにより、BPF35より高精度に可聴帯域外信号を抽出できる。
【0041】
続いて図4は、第1の実施と形態における再生装置本体1とヘッドホン装置20の接続の詳細を示した図である。
再生装置本体1とヘッドホン装置20は、再生装置本体1の接続ジャック42にヘッドホン装置20の接続プラグ41が挿入されることで接続される。
【0042】
再生装置本体1からヘッドホン装置20に音声信号を供給する伝送路として、LチャンネルLch(左耳用)とRチャンネルRch(右耳用)の伝送路が形成されている。上述した図2では、DAC/パワーアンプ3から出力された音声信号はスピーカ21に一本の線で供給されているが、これは簡易的に記載したものである。詳細な接続は、図4のとおりである。
【0043】
図示するように、LチャンネルLchの音声信号は出力端子DLoutに供給され、RチャンネルRchの音声信号は出力端子DRoutに供給される。
そしてヘッドホン装置20側には、上記DLout、DRoutに対応する端子として、端子DLin、DRinが設けられており、接続ジャック42と接続プラグ41が接続されることにより、LチャンネルLchおよびRチャンネルRchの音声信号がスピーカ21a、スピーカ21bに供給される。
【0044】
また、受音素子22a、22bから集音した受音信号を受信する伝送路として、LチャンネルLch(左耳用)とRチャンネルRch(右耳用)の伝送路が形成されている。上述の図2では、受音素子22により集音された信号はマイクアンプに一本の線で供給されているが、これは簡易的に記載したものである。詳細な接続は、図4のとおりである。
なお、集音はLチャンネルLchおよびRチャンネルRchのうち、何れか一方のみを使用してもよい。
【0045】
図示するように、受音素子22aにより集音された受音信号は出力端子SLoutに供給され、受音素子22bにより集音された受音信号は出力端子SRoutに供給される。そして再生装置本体1側には、上記SLout、SRoutに対応する端子として、SLin、SRinが設けられており、接続ジャック42と接続プラグ41が接続されることにより、LチャンネルLchおよびRチャンネルRchの受音信号がマイクアンプに供給される。
【0046】
なお、図2ではマイクアンプ20及びヘッドホン装着判定部9を一系統のみ示しているが、受音素子22a、22bに対応して2系統設けられればよい。
その場合、一方のチャンネルのヘッドホン装着判定部9と、他方のチャンネルのヘッドホン装着判定部9のうちで、一方のみ装着状態と判定されることもあり得る。ユーザーが片方の耳のみ装着しているような場合である。その場合、後述する累積動作に関しては装着状態とすればよい。
但し、2系統のヘッドホン装着判定部9のアンド条件で装着状態と判定するようにしてもよい。
また、マイクアンプ20のみを2系統設け、その2つのマイクアンプ20の合成信号を1つのヘッドホン装着判定部9に供給するという構成例も考えられる。
【0047】
図4において、さらに接続ジャック42と接続プラグ41の1つの端子を使用してスピーカ21a、21bと受音素子22a、22bの片側の端子が再生装置本体1側のGNDに接続される。
これにより、再生装置本体1のGNDを基準にして、音声信号と受音信号の送受が可能となる。
【0048】
本実施の形態では、受音素子22a,22bによる受音信号を再生装置本体1に供給するが、この図4の接続端子構成により、接続ジャック42および接続プラグ41の5端子のみを使用して必要な接続をすることができる。これにより、既存のヘッドホン装置(いわゆるノイズキャンセル機能を有する5極プラグのヘッドホン装置)と互換性を保つことも可能となる。
【0049】
図5は、実施の形態のヘッドホン装置20の内部構造と動作の説明図である。
図5(a)の左図は、ヘッドホン装置20の側面の方向からの透視図である。右図は、その断面図である。
図のとおり、受音素子22はスピーカ21から放射される音声を直接集音しないようにヘッドホン装置20の筐体内は専用スペース23で区切られている。受音素子22は専用スペース23の下側に配置される。この状態ではスピーカ21から可聴帯域外信号の重畳された音声信号が出力されたとしても、受音素子22はその放射された音声信号を直接集音することはない。
【0050】
図5(b)は、ヘッドホン装置20が耳内に装着された状態を模擬した図である。この場合、スピーカ21から出力された可聴帯域外信号の重畳された音声信号は、専用スペース23の空間内を伝搬し、ヘッドホン装置20が耳内に装着された状態では、その音声信号は耳内で反射され、受音素子22はその反射信号を集音することができる。
即ち受音素子22は、音声信号及び可聴帯域外信号を、耳内反射音として受音する。
【0051】
このような受音信号が、再生装置本体1に供給される。再生装置本体1では、この受音信号から可聴帯域外信号を抽出し、ヘッドホン装置20が耳内に装着されたかどうかを判定する。この動作は図3で説明したとおりである。
【0052】
図6、図7は、上記により説明した第1の実施の形態において実行されるべき処理動作を示したフローチャートである。図6は、累積処理及びゲイン制御処理を示している。図7(a)は、メイン動作を表すフロ−チャートである。図7(b)は、ヘッドホン装置20が耳内に装着されたか、又は耳内から外されたかで処理がスタートする割り込み処理を表すフローチャートである。
【0053】
図6,図7で再生音量累積部7の処理を説明する。
まず図6は、再生音量累積部7での累積処理及びゲイン制御処理を示している。
再生中において、再生音量累積部7では、この図6の処理を継続的に実行する。
まずステップS10で、再生音量累積部7は、再生したオーディオデータの信号レベル、ゲイン調整部5のゲイン、DAC/パワーアンプ3のゲイン等を入力し、今回の再生音量値を求める。例えば或る単位期間として、音源6からの出力オーディオデータのレベル、ゲイン調整部5のゲイン値およびDAC/パワーアンプ3のゲイン値の各平均値を求め、これらから現在の音量としての係数値を設定する。
即ち図1(e)で示した累積値の傾きに相当する係数である。これに対象となった単位時間の値を乗算したものを、今回の再生音量値とする。これは現在のスピーカ出力音量の値とみることができる。
【0054】
ステップS11で再生音量累積部7は、現在の累積値に、今回の再生音量値を加算して新たな累積値とする。そして記憶部8に新たな累積値を記憶させる。
ステップS12で、累積値が所定の規制値に達するまでは、このステップS10,S11を単位時間ごとに繰り返し実行する。従って、その時々の音量に応じた傾きで、図1(e)に示したように累積値が上昇していくこととなる。
【0055】
ある時点で、累積値が規制値に達したら、再生音量累積部7はステップS13に進み、ゲイン調整部5のゲイン規制を行う。
例えば最大ゲインを、図1(b)に示したボリュームV1に相当するゲインに規制する。これによって、難聴対策のための出力音量規制が実行されることとなる。
【0056】
なお、この図6では、ゲイン規制を行った後については示していないが、その後一定期間経過したらゲイン規制を解除することが考えられる。
また、累積値自体も、ある期間経過でリセットすることが考えられる。
【0057】
再生音量累積部7は、以上の図6の累積値演算を、再生時には常時行うわけではあるが、本実施の形態では、ステップS10,S11の累積値演算処理自体が停止される場合がある。
図7で説明する。
図7(b)は再生音量累積部7において所定タイミング毎に実行される割り込み処理を示している。この割り込みは、ハード的な割り込みでもよい。
ステップS201で再生音量累積部7は、ヘッドホン装着判定部9の制御信号、つまりヘッドホン装着有無の判定信号を確認する。
そして、判定結果として装着状態を示しているのであれば、再生音量累積部7はステップS202で装着フラグをオンとする。
一方、判定結果として非装着状態を示しているのであれば、再生音量累積部7はステップS203で装着フラグをオフとする。
【0058】
図7(a)は、再生音量累積部7の実行する上記図6の処理を含んだ全体動作を表している。この図において、図6のステップS10,S11の処理は再生音量累積ロジックに相当する。
ステップS100において再生音量累積部7は、ヘッドホン装置20が耳内に装着されているかどうかを上述の割り込み処理で設定された装着フラグの状態により判定する。装着フラグがオンであれば、現在ヘッドホン20装置は耳内に装着されているとし、ステップS101に進む。
【0059】
ステップS101で再生音量累積部7は、現在再生音量の累積動作、つまり図6のステップS10,S11の処理を実行中であるか否かを確認する。
再生音量の累積動作が行われている状態であれば、再生音量累積部7はステップS102に進み、再生音量の累積処理を引き続き継続する。
再生音量の累積動作が停止状態であれば、再生音量累積部7はステップS103に進み、再生音量の累積処理を開始又は再開する。
【0060】
ステップS100の時点で、装着フラグがオフと確認した場合は、再生音量累積部7は、ヘッドホン装置20は現在、耳内に装着されていないとし、ステップS104に進む。そして再生累積動作を停止する。
【0061】
ステップS102、ステップS102、ステップS104の処理の終了後は、処理動作はステップS105に進む。ステップS105では、一定時間の待ち時間が設定され、その時間の後上記動作が繰り返される。なお、待ち時間はゼロでもよい。
【0062】
以上の図6、図7(a)(b)の処理が行われることで、再生音量累積部7では、図1(e)で述べたような累積値演算が行われる。
つまり、再生装置本体1を使用する者がいかなる形態で使用したとしても、ヘッドホン装置20を耳内に装着しているかどうかを検出して、ヘッドホン装置20が耳内に装着しているときのみ、再生装置本体1からの再生信号を累積する。このため、この累積値に基づくゲイン制限は適切な音圧制限処理となる。
また、再生装置本体1とヘッドホン装置20とは、5極のコネクタで接続できるので、従来のものと互換性を保ちながら本発明を適用できる。
【0063】
<3.第2の実施の形態>

続いて、第2の実施の形態について説明する。
この実施の形態は、再生装置本体とヘッドホン装置がノイズキャンセリング機能を有する場合の適用例である。
ノイズキャンセリングの方式にはフィードバック方式(以下FB方式)とフィードフォワード方式(以下FF方式)の二種類がある。第2の実施の形態としては、FF方式の場合を説明する。FB方式の場合は第3の実施の形態として説明する。
【0064】
図8は、第2の実施の形態のブロック図である。以下の説明において、既に説明した部分と同様となる部分については同一符号を付して説明を省略する。
ヘッドホン装置120は、スピーカ21と受音素子22とは別にノイズキャンセリング用マイク24と加算器25が付加された構成となる。
【0065】
FF方式の場合、ノイズキャンセル用マイクロホン24は、ヘッドホン装置130の筐体の外部に配置されて外来ノイズを集音可能な構成とされる。
加算器25は、受音素子22が集音した信号にノイズキャンセリング用マイクロホン24で受信した信号を重畳するものである。
【0066】
再生装置本体100は、LPF16(ローパスフィルタ)、ノイズキャンセル信号発生部および加算器14が付加された構成となる。
加算器14はDAC12(D/A変換)とパワーアンプ13の間に付加されている。なお、パワーアンプ13の後に付加してもよい。
またデジタル処理であれば、DAC12の前で加算されることになる。
【0067】
ヘッドホン装置120から伝送された受音信号は、マイクアンプ10を経由して、HPF15(ハイパスフィルタ)とLPF16(ローパスフィルタ)に入力される。これによりヘッドホン装置120で加算器25により加算された信号を可聴帯域外信号とノイズ成分とに分離することができる。
この分離処理は、マイクアンプ10の出力をA/D変換(ADC)し、デジタル処理でも実現可能である。
【0068】
HPF15で抽出される可聴帯域外信号はヘッドホン装着判定部9に入力され、この信号に基づいてヘッドホン装置20の耳内への装着の有無が判定される。詳細は、第1の実施の形態と同様である。
LPF16で抽出されたノイズ成分はノイズキャンセル信号発生部17に入力され、このノイズ成分に基づくノイズキャンセル用の信号がノイズキャンセル信号発生部17より出力される。例えばノイズキャンセル信号発生部17は、ノイズ成分の逆相波形のノイズキャンセル信号を生成する。
ノイズキャンセル用信号は加算器14により音声信号に重畳される。この音声信号が耳内でスピーカ21により再生されると耳内のノイズがキャンセルされることになる。
【0069】
以上のように ノイズキャンセル機能を有する再生装置本体100とヘッドホン装置120においても、ヘッドホン装着120が耳内に装着されたかどうかに応じた、再生音量の適切な累積が実現される。
本発明によれば、再生装置を使用する者がいかなる形態で使用したとしても、ヘッドホン装置120を耳内に装着しているかどうかを正確に検出して、ヘッドホン装置120が耳内に装着しているときのみ、再生装置本体100からの再生信号を累積することができるので、この累積値に基づく適切な音圧制御が可能となる。
【0070】
<4.第3の実施の形態>

続いて、第3の実施の形態について説明する。本実施の形態はノイズキャンセルの方式がFB方式の場合である。
図9は、第3の実施の形態としての再生装置本体100とヘッドホン装置130を示す。以下の説明において、既に説明した部分と同様となる部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0071】
FB方式なので、ノイズキャンセリング用マイクロホン26はヘッドホン装置130の筐体内に配置され、耳内の雑音を含んだ音声信号を集音する。
ここで、このマイクロホン26は、装着判定に用いる可聴帯域外信号の反射音を受音する受音素子としても機能するようにしている。
つまり反射音用の受音素子と、FB方式のノイズ集音用受音素子を兼用する受音素子が設けられている構成である。
【0072】
再生装置本体100の構成は上記第2の実施の形態とほぼ同様である。但しノイズキャンセル信号発生部17は、FB方式でのフィルタリングでノイズキャンセル信号を生成する点が異なる。
HPF15で抽出される可聴帯域外信号はヘッドホン装着判定部9に入力され、この信号に基づいてヘッドホン装置20の耳内への装着の有無が判定される。詳細は、第1の実施の形態と同様である。
LPF16で抽出された音声信号+ノイズ成分はノイズキャンセル信号発生部17に入力される。ノイズキャンセル信号発生部17はこの入力信号からノイズ成分の逆相波形のノイズキャンセル信号を生成する。
ノイズキャンセル用信号は加算器14により音声信号に重畳される。この音声信号が耳内でスピーカ21により再生されることで、ユーザはノイズがキャンセルされた再生音声を聴くことができる。
【0073】
以上のように ノイズキャンセル機能を有する再生装置本体100とヘッドホン装置130においても、ヘッドホン装着120が耳内に装着されたかどうかに応じた、再生音量の適切な累積が実現される。
そしてこの場合、ノイズキャンセルのためのマイクロホンと、装着判定のためのマイクロホンを兼用でき、ヘッドホン装置130側の構成の簡略化が実現できる。
【0074】
<5.第4の実施の形態>

続いて、第4の実施の形態について説明する。本実施の形態は周波数依存性抵抗部を用いてりヘッドホン装置140の耳内への装着の有無を検出しようとするものである。ここでいう周波数依存性抵抗部は、低周波数信号と高周波数信号(ここでは可聴帯域外信号)とにより抵抗値が変化するものである。周波数依存性抵抗部の一例としてフェライトビーズB1によりヘッドホン装置140の耳内への装着の有無を検出する例を述べる。
【0075】
図10(a)は、第4の実施の形態のブロック図である。既に説明した部分と同様となる部分については同一符号を付して説明を省略する。
ヘッドホン装置140において、直流電圧DCが再生装置本体200側の出力端子DCoutに供給される。ヘッドホン装置側には出力端子DCoutに対応する入力端子としてDCinが設けられているので、接続ジャック42と接続プラグ41が接続されることにより直流電圧DCが抵抗R1、抵抗R2を介して受音素子22a、受音素子22bに供給される。
抵抗R1、抵抗R2は電流調整用の抵抗である。
【0076】
ヘッドホン装置140の受音装置22a、受音装置22bの直流電圧DCが供給されている端子とは別の端子と、スピーカ21aとスピーカ21bの片側のそれぞれ端子とが一つに接続され、接続プラグ41と接続ジャック42の1つの端子を経由して、再生装置本体200側に付加されているフェライトビーズB1を介してGNDに接続される。
【0077】
再生装置本体200には、さらにバンドパスフィルタ62a、整流回路61a、電圧検出器60aが付加される。電圧検出器60aの二つの端子のうち、1の端子はA点からの出力に接続する。他の端子には基準電圧Vが入力される。
この場合、基準電圧VよりA点の電圧が高ければ電圧検出器60aは0から1を、または1から0を出力する。基準電圧Vより低ければ電圧検出器60aは1から0を、または0から1を出力する。
また、図10(b)のようにA点から異なる中心周波数を持つバンドパスフィルタ62b、整流回路61b、電圧検出器60bをもう一組付加し、LとRで二つのバンドパスフィルタの中心周波数に対応した周波数の可聴帯域外信号を再生すれば、LとR双方の検出も可能となる。
【0078】
図11はフェライトビーズB1を使用したときの等価回路を表している。Vsは信号発生源、R4は信号側回路の出力インピーダンスである。図11(a)は高周波数帯域の信号を接続した場合の等価回路である。この場合、フェライトビーズB1は抵抗のように働くので高周波帯域では抵抗R3と等価となる。よってA点の電圧VAはフェライトビーズの高周波帯域でのインピーダンスR3とによって、
VA = {R3/ ( R3+R4 ) } Vs
と表せる。
またR3>>R4であるため、VA≒Vsとなり、A点は一定の交流電圧が発生することになる。
【0079】
図11(b)は低周波数帯域の信号を接続した場合の等価回路である。この場合、フェライトビーズB1はインピーダンスR3がゼロとみなせるため、A点の電圧VAはVA≒0となり、A点はGNDと同電位となる。
【0080】
ヘッドホン装置140の耳内への装着の有無は、可聴帯域外信号を音声信号に重畳し、その音声信号に重畳されている可聴帯域外信号(高周波数帯域の信号)の反射を耳内で集音することにより検出している。そうすると可聴帯域外信号を受けているときはA点は一定の電圧となる。
また、可聴帯域外信号を受けていないときは、これは低周波数帯域の信号を受けているときと同じなのでA点はGNDとなる。
【0081】
すなわち、電圧検出部60の出力はヘッドホン装置140が耳内に装着されたかどうかを表す信号を出力する。この信号は、再生音量累積部7に与える累積動作の制御信号に相当する。
【0082】
以上より、ヘッドホン装置140の耳内への装着の有無を検出するために音声信号に重畳された可聴帯域外信号の抽出はフェライトビーズB1でも可能である。この場合、接続ジャック42と接続プラグ41の接続端子は4端子で実現可能となる。さらにフェライトビーズB1の使用により再生装置本体200の構成も簡易とすることができる。
なお周波数依存性抵抗部としてはフェライトビーズに限定されない。例えば本例の場合、可聴帯域外信号の有無に応じた電位状況が作り出せればよいため、抵抗とインダクタンス素子の組み合わせ等で形成することもできる。
また、第1〜4の実施の形態における再生装置は、音源6を内部に持たない例えば外部の音源から音声を受信して再生する受信装置若しくはラジオチューナ等でもよい。
【符号の説明】
【0083】
1、100、200 再生装置本体、2 正弦波信号発生部、3 DAC/パワーアンプ、4 デコーダ、5 ゲイン調整部、6 音源、7 再生音量累積部、8 記憶部、9 ヘッドホン装着判定部、10 マイクアンプ、11、14、25 加算器20、120、130、140 ヘッドホン装置、21 スピーカ、22 受音素子、23 専用スペース 30、35 BPF、31、36、39 処理部、32 積分器、33、38 スレッショルド判定部、34 ADC、37 単位時間累積加算、40 FFT、41 接続プラグ、42 接続ジャック、51、52 DSP、B1 フェライトビーズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続されたスピーカ装置がユーザの耳に装着状態であるか非装着状態であるかを判定する装着判定部と、
上記スピーカ装置に供給する音声信号の音量調整を行う音量調整部と、
上記音声信号の音量レベルと音声出力時間に応じて出力音量の累積値を演算し、上記累積値が規制値に達した場合に、上記音量調整部に音量規制を実行させるとともに、上記装着判定部によって上記非装着状態と判定されている期間は、上記累積値の演算を実行しない累積演算部と、
を備えた音声信号出力装置。
【請求項2】
可聴帯域外信号を発生させる可聴帯域外信号発生部と、
上記可聴帯域外信号発生部で発生された可聴帯域外信号を上記スピーカ装置部に供給する音声信号に重畳する信号重畳部と、
をさらに備えるとともに、
上記装着判定部は、
上記スピーカ装置から供給される受音信号における上記可聴帯域外信号の検出に基づいて、上記装着状態か上記非装着状態かの判定を行う請求項1に記載の音声信号出力装置。
【請求項3】
上記装着判定部は、上記受音信号から抽出した上記可聴帯域外信号の単位時間の平均レベルが所定のスレッショルドレベルより大きい場合に、上記装着状態と判定する請求項2に記載の音声信号出力装置。
【請求項4】
上記スピーカ装置から供給される受音信号からノイズキャンセル信号を生成するノイズキャンセル信号発生部と、
上記ノイズキャンセル信号を上記スピーカ装置部に供給する音声信号に加算する加算部と、
をさらに備えた請求項3に記載の音声信号出力装置。
【請求項5】
上記装着判定部は、上記スピーカ装置から供給される受音信号を、上記可聴帯域外信号の帯域に対応するフィルタを介して入力し、
上記ノイズキャンセル信号発生部は、上記スピーカ装置から供給される受音信号を、可聴帯域のフィルタを介して入力する請求項4に記載の音声信号出力装置。
【請求項6】
上記装着判定部は、
上記スピーカ装置から供給される受音信号における上記可聴帯域外信号の検出のために、周波数依存性抵抗部の端子電圧検出を行う請求項2に記載の音声信号出力装置。
【請求項7】
上記周波数依存性抵抗部としてフェライトビーズを用いる請求項6に記載の音声信号出力装置。
【請求項8】
接続された音声信号出力装置から供給される出力音声信号により音声出力を行うスピーカ部と、
ユーザの耳に装着された状態で、ユーザの耳内反射音を受音するように配置された耳内反射音用受音素子と、
上記受音素子で得られる受音信号を、接続された音声信号出力装置に供給する出力端子と、
を備えたスピーカ装置。
【請求項9】
ノイズ集音用受音素子をさらに備え、
上記耳内反射音用受音素子の受音信号と、上記ノイズ集音用受音素子の受音信号は合成されて上記出力端子から出力される請求項8に記載のスピーカ装置。
【請求項10】
上記耳内反射音用受音素子は、ノイズ集音用受音素子としても機能する位置に配置されている請求項8に記載のスピーカ装置。
【請求項11】
接続されたスピーカ装置がユーザの耳に装着状態であるか非装着状態であるかを判定するステップと、
上記装着状態と判定されている期間のみに、上記スピーカ装置部に供給する音声信号の音量レベルと音声出力時間に応じて出力音量の累積値を演算するステップと、
上記累積値が規制値に達した場合に、上記スピーカ装置部に供給する音声信号についての音量規制を実行するステップと、
を備えた音声信号出力方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−169828(P2012−169828A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28625(P2011−28625)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】