説明

音声信号出力装置

【課題】レガシー音声信号で用いられている圧縮方式の拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号のアナログ出力が可能な音声信号出力装置を提供する。
【解決手段】HDMI接続時のHDMIトランスミッタ13の接続先が、レガシー音声信号で用いられている圧縮方式の拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号に対応しているHDMI機器である場合、MPEGデコーダ11がIEC60958に準拠したビットストリーム形式の出力をして、HDMI出力とし、HDMI接続時の前記HDMIトランスミッタの接続先が、レガシー音声信号で用いられている圧縮方式の拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号に対応していないHDMI機器である場合、及び、HDMI未接続の場合のいずれにおいても、MPEGデコーダ11がIISフォーマットの出力をして、アナログ出力をする音声信号出力装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声信号を外部に出力する音声信号出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
音声信号出力装置の一例として、ここでは、音声信号とともに映像信号も出力するBlu-ray Disk(以下、BDという)再生装置について説明する。従来のBD再生装置の要部構成図を図4に示す。従来のBD再生装置は、MPEG(Moving Picture Experts Group)デコーダ101と、DSP(Digital Signal Processor)102と、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)トランスミッタ103と、HDMIコネクタ104と、SPDIF(Sony Philips Digital Interface)コネクタ105と、デジタルアンプ106と、アナログ出力端子群107と、IEC60958に準拠した音声信号を伝送する伝送ライン(以下、IEC60958伝送ラインという)L101〜L103と、IIS(Internet Information Server)フォーマットの音声信号を伝送する伝送ライン(以下、IIS伝送ラインという)L104及びL105とを備えている。HDMIトランスミッタ103は、HDMI1.3規格以降のいずれかに対応している。IEC60958伝送ラインL101〜L103はそれぞれ1線からなる伝送ラインであり、IIS伝送ラインL104及びL105はそれぞれ4線からなる伝送ラインである。
【0003】
BDの音声規格は、リニアPCM(Pulse Code Modulation)、Dolby Digital(以下、DDという)、DTSを必須でサポートしており、さらに、Dolby Digital Plus(以下、DD+という)、Dolby TrueHD、DTS-HD High Resolution Audio(以下、DTS-HD HRAという)、DTS-HD Master Audio(以下、DTS-HD MAという)をオプションでサポートしている。
【0004】
BDから読み取ったレガシー音声信号(DD方式で圧縮された圧縮音声信号、又は、DTS方式で圧縮された圧縮音声信号)をMPEGデコーダ101で処理する場合、MPEGデコーダ101は、レガシー音声信号をIEC60958に準拠したビットストリーム形式で出力する。
【0005】
MPEGデコーダ101から出力されるレガシー音声信号を、IEC60958伝送ラインL101を経由してDSP102に送り、DSP102でリニアPCM信号に変換し、そのリニアPCM信号をデジタルアンプ106で増幅し、さらに、デジタルアンプ106内のDAC(Digital to Analog Converter)でアナログ音声信号に変換することによって、アナログ出力することが可能である。また、MPEGデコーダ101から出力されるレガシー音声信号を、IEC60958伝送ラインL101、DSP102、及びIEC60958伝送ラインL102を経由してSPDIFコネクタ105からそのまま外部出力すること、或いは、IEC60958伝送ラインL101を経由してDSP102に送り、DSP102でリニアPCM信号に変換し、IEC60958伝送ラインL102を経由してSPDIFコネクタ105から外部出力することも可能である。さらに、MPEGデコーダ101から出力されるレガシー音声信号を、IEC60958伝送ラインL101、DSP102、IEC60958伝送ラインL103、及びHDMIトランスミッタ103を経由してHDMIコネクタ104からそのまま外部出力すること、或いは、IEC60958伝送ラインL101を経由してDSP102に送り、DSP102でリニアPCM信号に変換し、IEC60958伝送ラインL103及びHDMIトランスミッタ103を経由してHDMIコネクタ104から外部出力することも可能である。
【0006】
一方、BDから読み取ったロスレス音声信号(リニアPCM信号、Dolby TrueHD方式で圧縮された圧縮音声信号、又はDTS-HD MA方式で圧縮された圧縮音声信号)をMPEGデコーダ101で処理する場合、MPEGデコーダ101は、ロスレス音声信号をIISフォーマットで出力する。
【0007】
MPEGデコーダ101から出力されるロスレス音声信号を、IIS伝送ラインL104を経由してDSP102に送り、DSP102でリニアPCM信号に変換し、そのリニアPCM信号をデジタルアンプ106で増幅し、さらに、デジタルアンプ106内のDACでアナログ音声信号に変換することによって、アナログ出力することが可能である(ただし、ロスレス音声信号がリニアPCM信号である場合はDSP102における変換処理は無い)。また、MPEGデコーダ101から出力されるロスレス音声信号を、IIS伝送ラインL104、DSP102、IIS伝送ラインL105、及びHDMIトランスミッタ103を経由してHDMIコネクタ104からそのまま外部出力すること、或いは、IIS伝送ラインL104を経由してDSP102に送り、DSP102でリニアPCM信号に変換し、IIS伝送ラインL105及びHDMIトランスミッタ103を経由してHDMIコネクタ104から外部出力することも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−228009号公報
【特許文献2】特開2007−257701号公報
【特許文献3】特開2008−271353号公報
【特許文献4】特開2008−61251号公報
【特許文献5】特開2008−28950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
BDから読み取ったレガシー音声信号又はロスレス音声信号をMPEGデコーダ101で処理する場合、上述の通り、アナログ出力が可能である。
【0010】
ところが、BDから読み取った、レガシー音声信号で用いられている圧縮方式の拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号(DD+方式で圧縮された圧縮音声信号、又は、DTS-HD HRA方式で圧縮された圧縮音声信号。以下、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号という。)をMPEGデコーダ101で処理する場合、アナログ出力ができず、オーディオにこだわりがあってアナログ出力を好む一部のユーザの趣向に応じることができないという問題があった。
【0011】
BDから読み取った拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号をMPEGデコーダ101で処理する場合、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号に対応しているHDMI機器がHDMIケーブルを介してHDMIコネクタ104に接続されていれば、MPEGデコーダ101は、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号をIEC60958に準拠したビットストリーム形式で出力する。MPEGデコーダ101から出力される拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号は、IEC60958伝送ラインL101、DSP102、IEC60958伝送ラインL103、及びHDMIトランスミッタ103を経由してHDMIコネクタ104からそのまま外部出力される。このとき、DSP102は、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号に含まれるレガシー音声信号に相当する部分のデコードを行う。すなわち、DSP102は、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号がDD+方式で圧縮された圧縮音声信号である場合、DD+方式で圧縮された圧縮音声信号をDD方式で圧縮された圧縮音声信号に変換し、IEC60958伝送ラインL102を経由してSPDIF端子105に出力し、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号がDTS-HD HRA方式で圧縮された圧縮音声信号である場合、DTS-HD HRA方式で圧縮された圧縮音声信号のコアストリームを取り出し、そのコアストリームを、IEC60958伝送ラインL102を経由してSPDIF端子105に出力する。
【0012】
一方、BDから読み取った拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号をMPEGデコーダ101で処理する場合、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号に対応していないHDMI機器がHDMIケーブルを介してHDMIコネクタ104に接続されていれば、音声信号を外部出力することができなかった。同様に、BDから読み取った拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号をMPEGデコーダ101で処理する場合、HDMI機器がHDMIケーブルを介してHDMIコネクタ104に接続されていなければ、音声信号を外部出力することができなかった。
【0013】
なお、HDMI接続可能な音声信号出力装置が種々提案されているが(例えば特許文献1〜5)、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号のアナログ出力が可能なものはなかった。
【0014】
本発明は、上記の状況に鑑み、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号のアナログ出力が可能な音声信号出力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために本発明に係る音声信号出力装置は、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号を、IISフォーマット又はIEC60958に準拠したビットストリーム形式で出力する集積回路と、DSPと、HDMI1.3規格以降のいずれかに対応しているHDMIトランスミッタと、デジタル/アナログ変換部とを備える音声信号再生装置であって、HDMI接続時の前記HDMIトランスミッタの接続先が、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号に対応しているHDMI機器である場合、前記集積回路が、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号を、IEC60958に準拠したビットストリーム形式で出力し、前記集積回路の出力信号が前記DSPを経由して前記HDMIトランスミッタに送られ、HDMI接続時の前記HDMIトランスミッタの接続先が、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号に対応していないHDMI機器である場合、及び、HDMI未接続の場合のいずれにおいても、前記集積回路が、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号を、IISフォーマットで出力し、前記DSPが前記集積回路の出力信号をデコードし、前記デジタル/アナログ変換部が前記DSPによってデコードされた信号又はそれに基づく信号をデジタル/アナログ変換してアナログ出力する構成としている。
【0016】
また、上記構成の音声信号出力装置において、HDMI接続時の前記HDMIトランスミッタの接続先が、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号に対応しているHDMI機器である場合であっても、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号に対応しているHDMI機器接続時のアナログ出力設定が有効であれば、前記集積回路が、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号を、IISフォーマットで出力し、前記DSPが前記集積回路の出力信号をデコードし、前記デジタル/アナログ変換部が前記DSPによってデコードされた信号又はそれに基づく信号をデジタル/アナログ変換してアナログ出力するようにしてもよい。
【0017】
また、上記いずれかの構成の音声信号出力装置において、IISフォーマットの音声信号を伝送する4線からなる伝送ラインが前記集積回路と前記DSPとの間に設けられ、HDMI接続時の前記HDMIトランスミッタの接続先が、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号に対応していないHDMI機器である場合、及び、HDMI未接続の場合のいずれにおいても、前記集積回路が、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号をIISフォーマットで、前記4線からなる伝送ライン中の特定の1線に出力するようにすることが望ましい。
【0018】
本発明に係る音声信号出力装置としては、例えば、BD再生装置やBD記録再生装置が挙げられる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る音声信号出力装置によると、HDMI接続時のHDMIトランスミッタの接続先が、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号に対応していないHDMI機器である場合、及び、HDMI未接続の場合のいずれにおいても、集積回路が、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号を、IISフォーマットでDSPに出力するので、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号のアナログ出力が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】は、本発明に係るBD再生装置の概略構成例を示す図である。
【図2】は、本発明に係るBD再生装置が備えるMPEGデコーダの動作フローチャートである。
【図3】は、本発明に係るBD再生装置が備えるMPEGデコーダの他の動作フローチャートである。
【図4】は、従来のBD再生装置の要部構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。本発明に係る音声信号出力装置として、ここでは、音声信号とともに映像信号も出力するBD再生装置を例に挙げて説明する。
【0022】
本発明に係るBD再生装置の概略構成例を図1に示す。スピンドルモータ1と、光ピックアップ2と、スレッドモータ3と、LDドライバ4と、RF信号処理部5と、エラー信号生成部6と、サーボ処理部7と、アクチュエータドライバ8と、スレッドドライバ9と、システムコントローラ10と、MPEGデコーダ11と、DSP12と、HDMIトランスミッタ13と、HDMIコネクタ14と、SPDIFコネクタ15と、デジタルアンプ16と、アナログ出力端子群17と、リモコン受信部18と、フラッシュメモリ19と、IEC60958伝送ラインL1〜L3と、IIS伝送ラインL4及びL5とを備えている。HDMIトランスミッタ13は、HDMI1.3規格以降のいずれかに対応している。IEC60958伝送ラインL1〜L3はそれぞれ1線からなる伝送ラインであり、IIS伝送ラインL4及びL5はそれぞれ4線からなる伝送ラインである。
【0023】
スピンドルモータ1は、BDを回転させるモータである。
【0024】
光ピックアップ2は、光源である青色レーザダイオードから出射される光ビームをBD上の目標位置に対物レンズを用いて集光し、青色レーザダイオードから出射されてBDで反射された反射光を光学系(対物レンズを含む)を用いて光検出器に取り込む。光ピックアップ2内の光検出器は、受光した光をRF信号及び光検出信号に変換し、RF信号をRF信号処理部5に出力し、光検出信号をエラー信号生成部6に出力する。
【0025】
スレッドモータ3は、光ピックアップ2をBDの半径方向に移動駆動する。LDドライバ4は、光ピックアップ2内の青色レーザダイオードを駆動する。
【0026】
RF信号処理部5は、光ピックアップ2内の光検出器から供給されるRF信号に対して波形等化処理、2値化処理、復調処理、及び誤り訂正処理を施し、それらの処理が施されたRF信号をMPEGデコーダ11に出力する。また、RF信号処理部5は誤り訂正処理後のデータからアドレスを検出することも行い、検出したアドレスをシステムコントローラ10に出力する。
【0027】
エラー信号生成部6は、光ピックアップ2内の光検出器から供給される光検出信号に基づいてフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号を生成し、その生成したフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号をサーボ処理部7に出力する。
【0028】
サーボ処理部7は、エラー信号生成部6から供給されたフォーカスエラー信号に基づいてフォーカス駆動信号を生成し、その生成したフォーカス駆動信号をアクチュエータドライバ8に出力する。そして、アクチュエータドライバ8はフォーカス駆動信号に基づき光ピックアップ2内のフォーカスアクチュエータを駆動する。これにより、フォーカスサーボが行われる。
【0029】
また、サーボ処理部7は、エラー信号生成部6から供給されたトラッキングエラー信号に基づいてトラッキング駆動信号を生成し、その生成したトラッキング駆動信号をアクチュエータドライバ8に出力する。そして、アクチュエータドライバ8はトラッキング駆動信号に基づき光ピックアップ2内のトラッキングアクチュエータを駆動する。これにより、トラッキングサーボが行われる。
【0030】
また、サーボ処理部7は、スレッド駆動信号を生成してスレッドドライバ9に出力し、スレッドドライバ9がスレッド駆動信号に基づきスレッドモータ3を駆動する。これにより、光ピックアップ2がBDの半径方向に移動制御される。
【0031】
システムコントローラ10は、マイコンで構成され各部を制御する。リモコン受信部18は、不図示のリモコン送信機から送信された赤外線信号を受信し、ユーザのリモコン操作に応じたコード信号をシステムコントローラ10に出力する。また、フラッシュメモリ19は、システムコントローラ10の制御により各種設定情報を記憶する。
【0032】
MPEGデコーダ11は、RF信号処理部5から供給されるRF信号を映像信号と音声信号に分離し、それぞれ別個に処理する。MPEGデコーダ11によって処理された映像信号は、HDMIトランスミッタ13に供給されHDMIコネクタ14から外部出力される。MPEGデコーダ11によって処理された音声信号は、IEC60958に準拠したビットストリーム形式であればIEC60958伝送ラインL1に出力され、IISフォーマットであればIIS伝送ラインL4に出力される。
【0033】
BDから読み取ったレガシー音声信号をMPEGデコーダ11で処理する場合、及び、BDから読み取ったロスレス音声信号をMPEGデコーダ11で処理する場合の動作については、従来のBD再生装置と同様であるので、説明を省略する。
【0034】
次に、BDから読み取った拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号をMPEGデコーダ11で処理する場合の動作について、図1及び図2を参照して説明する。図2は、BDから読み取った拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号を処理する場合のMPEGデコーダ11の動作フローチャートである。
【0035】
BDから読み取った拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号を処理する場合、MPEGデコーダ11は、まず始めに、HDMIコネクタ14のHPD(Hot Plug Detect)ピンからHDMIトランスミッタ13に供給されるホットプラグ検出信号に基づいて、HDMI機器がHDMIケーブルを介してHDMIコネクタ14に接続されているか否かを判定する(ステップS10)。
【0036】
HDMI機器がHDMIケーブルを介してHDMIコネクタ14に接続されていなければ(ステップS10のNO)、MPEGデコーダ11は、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号をIISフォーマットで、4線からなるIIS伝送ラインL4中の特定の1線に出力する(ステップS20)。これにより、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号が、MPEGデコーダ11から4線からなるIIS伝送ラインL4中の特定の1線を経由してDSP12に供給され、DSP12によって7.1chのリニアPCM信号に変換され、その7.1chのリニアPCM信号がデジタルアンプ16によって増幅され、さらに、デジタルアンプ16内のDACで7.1chのアナログ音声信号に変換されるので、アナログ出力することが可能となる。
【0037】
一方、HDMI機器がHDMIケーブルを介してHDMIコネクタ14に接続されていれば(ステップS10のYES)、MPEGデコーダ11は、IIC(Inter Integrated Circuit)バス、HDMIトランスミッタ13、及びHDMIコネクタ14のDDC(display data channel)端子を介して、HDMI機器に対してEDID(Extended Display Identification Data)を要求し、HDMIコネクタ14のDDC端子、HDMIトランスミッタ13、及びIICバスを介して、HDMI機器のEDIDを取得し(ステップS30)、ステップS40に移行する。
【0038】
ステップS40では、MPEGデコーダ11は、取得したEDIDに基づいて、HDMI機器が拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号に対応している機器であるか否かを判定する。
【0039】
HDMI機器が拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号に対応している機器でなければ(ステップS40のNO)、MPEGデコーダ11は、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号をIISフォーマットで、4線からなるIIS伝送ラインL4中の特定の1線に出力する(ステップS50)。これにより、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号が、MPEGデコーダ11から4線からなるIIS伝送ラインL4中の特定の1線を経由してDSP12に供給され、DSP12によって7.1chのリニアPCM信号に変換され、その7.1chのリニアPCM信号がデジタルアンプ16によって増幅され、さらに、デジタルアンプ16内のDACで7.1chのアナログ音声信号に変換されるので、アナログ出力することが可能となる。
【0040】
一方、HDMI機器が拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号に対応している機器であれば(ステップS40のYES)、MPEGデコーダ11は、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号をIEC60958に準拠したビットストリーム形式で、IEC60958伝送ラインL1に出力する(ステップS60)。MPEGデコーダ11から出力される拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号は、IEC60958伝送ラインL1、DSP12、IEC60958伝送ラインL3、及びHDMIトランスミッタ13を経由してHDMIコネクタ14からそのまま外部出力される。このとき、DSP12は、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号に含まれるレガシー音声信号に相当する部分のデコードを行う。すなわち、DSP12は、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号がDD+方式で圧縮された圧縮音声信号である場合、DD+方式で圧縮された圧縮音声信号をDD方式で圧縮された圧縮音声信号に変換し、IEC60958伝送ラインL2を経由してSPDIF端子15に出力し、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号がDTS-HD HRA方式で圧縮された圧縮音声信号である場合、DTS-HD HRA方式で圧縮された圧縮音声信号のコアストリームを取り出し、そのコアストリームを、IEC60958伝送ラインL2を経由してSPDIF端子15に出力する。
【0041】
ここで、ステップS60の処理を行う仕様とした理由について説明する。
【0042】
DSP12は、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号がIEC60958に準拠したビットストリーム形式である場合、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号に含まれるレガシー音声信号に相当する部分のデコードしか行えない。したがって、DSP12が、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号全体をデコードできるようにするためには、MPEGデコーダ11が、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号をIISフォーマットで出力しなければならない。すなわち、アナログ出力を可能とするためには、MPEGデコーダ11が、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号をIISフォーマットで出力する必要がある。
【0043】
拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号は、ロスレス音声信号に比べてデータ量が少ないため、IIS伝送ラインの4線全てを用いて伝送するにはMPEGデコーダ11の動作クロックの変更が必要となるが、MPEGデコーダ11の動作クロックの変更はできない。このため、MPEGデコーダ11が拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号をIISフォーマットで出力する場合、4線からなるIIS伝送ラインL4中の特定の1線に出力することになる。一方、HDMIトランスミッタ13は、4線からなるIIS伝送ラインL5中の4線全てを用いて伝送されてきた信号は処理することができるが、4線からなるIIS伝送ラインL5中の特定の1線を用いて伝送されてきた信号を処理することはできない。すなわち、HDMIコネクタ14からの外部出力を可能とするためには、MPEGデコーダ11が、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号をIISフォーマットではなくIEC60958に準拠したビットストリーム形式で出力する必要がある。
【0044】
本発明に係るBD再生装置からのアナログ出力を必要とする場合、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号に対応しているHDMI機器を接続することは稀であると考えられる。このため、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号に対応しているHDMI機器が接続されている場合は、HDMIコネクタ14からの外部出力を優先し、ステップS60の処理を行うようにする。
【0045】
本発明に係るBD再生装置は、MPEG11が上述した図2に示すフローチャートの動作を行うことにより、HDMI機器が接続されていない場合、及び、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号に対応していないHDMI機器が接続されている場合のいずれにおいても、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号のアナログ出力が可能となっている。
【0046】
上述した図2に示すフローチャートは、本発明に係るBD再生装置からのアナログ出力を必要とする場合、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号に対応しているHDMI機器を接続することは稀であるとの考えの下で決定した仕様である。しかしながら、本発明に係るBD再生装置からのアナログ出力を必要とする場合に、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号に対応しているHDMI機器を接続することは皆無であるとは言えないので、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号に対応しているHDMI機器が接続されている場合にもユーザ設定に応じて本発明に係るBD再生装置からのアナログ出力ができるように、MPEGデコーダ11が図2に示すフローチャートの動作の代わりに図3に示すフローチャートの動作を行うようにしてもよい。なお、図3において図2と同一のステップには同一の符号を付し説明を省略する。
【0047】
図3に示すフローチャートは、図2に示すフローチャートにステップS55とステップS65とを追加したものである。
【0048】
ステップS40での判定の結果、HDMI機器が拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号に対応している機器であれば(ステップS40のYES)、MPEGデコーダ11は、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号に対応しているHDMI機器接続時のアナログ出力設定が有効であるか否かを判定する(ステップS55)。拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号に対応しているHDMI機器接続時のアナログ出力設定を有効にするか無効にするかは、ユーザのリモコン操作によって予め決定されており、フラッシュメモリ19に記憶されている。MPEGデコーダ11は、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号に対応しているHDMI機器接続時のアナログ出力設定の内容を、システムコンとロータ10を介して、フラッシュメモリ19から読み出す。
【0049】
拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号に対応しているHDMI機器接続時のアナログ出力設定が有効でなければ(ステップS55のNO)、MPEGデコーダ11は、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号をIEC60958に準拠したビットストリーム形式で、IEC60958伝送ラインL1に出力する(ステップS60)。MPEGデコーダ11から出力される拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号は、IEC60958伝送ラインL1、DSP12、IEC60958伝送ラインL3、及びHDMIトランスミッタ13を経由してHDMIコネクタ14からそのまま外部出力される。このとき、DSP12は、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号に含まれるレガシー音声信号に相当する部分のデコードを行う。すなわち、DSP12は、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号がDD+方式で圧縮された圧縮音声信号である場合、DD+方式で圧縮された圧縮音声信号をDD方式で圧縮された圧縮音声信号に変換し、IEC60958伝送ラインL2を経由してSPDIF端子15に出力し、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号がDTS-HD HRA方式で圧縮された圧縮音声信号である場合、DTS-HD HRA方式で圧縮された圧縮音声信号のコアストリームを取り出し、そのコアストリームを、IEC60958伝送ラインL2を経由してSPDIF端子15に出力する。
【0050】
一方、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号に対応しているHDMI機器接続時のアナログ出力設定が有効であれば(ステップS55のYES)、MPEGデコーダ11は、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号をIISフォーマットで、4線からなるIIS伝送ラインL4中の特定の1線に出力する(ステップS65)。これにより、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号が、MPEGデコーダ11から4線からなるIIS伝送ラインL4中の特定の1線を経由してDSP12に供給され、DSP12によって7.1chのリニアPCM信号に変換され、その7.1chのリニアPCM信号がデジタルアンプ16によって増幅され、さらに、デジタルアンプ16内のDACで7.1chのアナログ音声信号に変換されるので、アナログ出力することが可能となる。
【0051】
本発明に係るBD再生装置は、MPEG11が上述した図3に示すフローチャートの動作を行うことにより、HDMI機器が接続されていない場合、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号に対応していないHDMI機器が接続されている場合、及び拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号に対応しているHDMI機器が接続されていて且つ拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号に対応しているHDMI機器接続時のアナログ出力設定が有効である場合のいずれにおいても、拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号のアナログ出力が可能となっている。
【0052】
なお、図2に示すフローチャートの動作、或いは、図3に示すフローチャートの動作はMPEGデコーダのソフトウェア部分で対応できるため、MPEGデコーダ及びDPSのハードウェア部分は従来のものをそのまま利用することができる。
【0053】
また、図2に示すフローチャート又は図3に示すフローチャートにおいて、ステップS10、ステップS30、及びステップS40の動作主体を、MPEGデコーダ11ではなく、システムコントローラ10に変更し、システムコントローラ10がステップS10及びステップS40の判定結果をMPEGデコーダ11に送るようにしても同様の効果を得ることができる。
【0054】
また、デジタルアンプ12の代わりに、DAC単体を設けても構わない。
【0055】
また、本発明に係る音声信号出力装置は、BD再生装置に限定されることはなく、例えばBD記録再生装置なども含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1 スピンドルモータ
2 光ピックアップ
3 スレッドモータ
4 LDドライバ
5 RF信号処理部
6 エラー信号生成部
7 サーボ処理部
8 アクチュエータドライバ
9 スレッドドライバ
10 システムコントローラ
11、101 MPEGデコーダ
12、102 DSP
13、103 HDMIトランスミッタ
14、104 HDMIコネクタ
15、105 SPDIFコネクタ
16、106 デジタルアンプ
17、107 アナログ出力端子群
18 リモコン受信部
19 フラッシュメモリ
L1〜L3、L101〜L103 IEC60958伝送ライン
L4、L5、L104、L105 IIS伝送ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レガシー音声信号で用いられている圧縮方式の拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号を、IISフォーマット又はIEC60958に準拠したビットストリーム形式で出力する集積回路と、
DSPと、
HDMI1.3規格以降のいずれかに対応しているHDMIトランスミッタと、
デジタル/アナログ変換部とを備える音声信号再生装置であって、
HDMI接続時の前記HDMIトランスミッタの接続先が、レガシー音声信号で用いられている圧縮方式の拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号に対応しているHDMI機器である場合、前記集積回路が、レガシー音声信号で用いられている圧縮方式の拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号を、IEC60958に準拠したビットストリーム形式で出力し、前記集積回路の出力信号が前記DSPを経由して前記HDMIトランスミッタに送られ、
HDMI接続時の前記HDMIトランスミッタの接続先が、レガシー音声信号で用いられている圧縮方式の拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号に対応していないHDMI機器である場合、及び、HDMI未接続の場合のいずれにおいても、前記集積回路が、レガシー音声信号で用いられている圧縮方式の拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号を、IISフォーマットで出力し、前記DSPが前記集積回路の出力信号をデコードし、前記デジタル/アナログ変換部が前記DSPによってデコードされた信号又はそれに基づく信号をデジタル/アナログ変換してアナログ出力することを特徴とする音声信号再生装置。
【請求項2】
HDMI接続時の前記HDMIトランスミッタの接続先が、レガシー音声信号で用いられている圧縮方式の拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号に対応しているHDMI機器である場合であっても、
レガシー音声信号で用いられている圧縮方式の拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号に対応しているHDMI機器接続時のアナログ出力設定が有効であれば、
前記集積回路が、レガシー音声信号で用いられている圧縮方式の拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号を、IISフォーマットで出力し、前記DSPが前記集積回路の出力信号をデコードし、前記デジタル/アナログ変換部が前記DSPによってデコードされた信号又はそれに基づく信号をデジタル/アナログ変換してアナログ出力する請求項1に記載の音声信号出力装置。
【請求項3】
IISフォーマットの音声信号を伝送する4線からなる伝送ラインが前記集積回路と前記DSPとの間に設けられ、
HDMI接続時の前記HDMIトランスミッタの接続先が、レガシー音声信号で用いられている圧縮方式の拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号に対応していないHDMI機器である場合、及び、HDMI未接続の場合のいずれにおいても、前記集積回路が、レガシー音声信号で用いられている圧縮方式の拡張規格で圧縮されたロッシー音声信号をIISフォーマットで、前記4線からなる伝送ライン中の特定の1線に出力する請求項1又は請求項2に記載の音声信号出力装置。
【請求項4】
BD再生装置又はBD記録再生装置である請求項1〜3のいずれか1項に記載の音声信号出力装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−161440(P2010−161440A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−614(P2009−614)
【出願日】平成21年1月6日(2009.1.6)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】