説明

音声再生装置

【課題】入力音声信号レベルの相違、印加しているDC電圧値の変化、バッテリ又は外部電源の相違を全て考慮し、最終段である電力増幅手段の最大出力を最適化する音声再生装置を提供する。
【解決手段】「AUX IN」又は「TUNER」の入力音声信号でかつ外部電源12に係るDC電圧が供給されている場合は、「テーブルC」を用いてリミッタレベルを得、また「CD/DVD」の入力音声信号でかつ外部電源12に係るDC電圧が供給されている場合には、「テーブルD」を用いてリミッタレベルを得、一方、「AUX IN」又は「TUNER」の入力音声信号でかつバッテリ10に係るDC電圧が供給されている場合は、「テーブルA」を用いてリミッタレベルを得、また「CD/DVD」3の入力音声信号でかつバッテリ10の電圧が検出された場合には、「テーブルB」を用いてリミッタレベルを得るように、リミッタ制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内蔵電池(以下「バッテリ」と記す)又は外部電源(ACアダプタから得られる電源)の切替え使用する携帯型の音声再生装置に係り、特に電源切替え後の電源電圧の増減、あるいは、電池の消耗による電圧低下に追従して、最終段である電力増幅器の最大出力を最適化する音声再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリ又は外部電源の2電源切替え使用が可能な携帯型の音声再生装置における最終段の電力増幅器の最大出力は、バッテリから外部電源への切替えあるいは外部電源からバッテリへの切替え後の電源電圧、即ち直流電圧(以下「DC電圧」と記す)の増減、あるいは、電池の消耗によるDC電圧の降下に追従して変化する。この変化を生じさせないためには、バッテリの消耗前のDC電圧と外部電源のDC電圧とを一致させておくことが必要である。
【0003】
さて、電圧値が異なる複数の電池パックを取替え使用しても、音声を無歪で再生可能とするオーディオパワーコントロール方式がある(下記特許文献1)。即ち、電圧が異なる複数の電池パックを着脱して使用する携帯型通信機において、高電圧の電池パックと低電圧の電池パックとのいずれを装着した場合でも、これに応じて再生音量を無歪で可変できるように電圧範囲(Vrディーレンジ)を広くしたオーディオパワーコントロール方式である。
【特許文献1】特開平7−193444号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したように、バッテリのDC電圧と外部電源のDC電圧とを一致させるためには、乾電池の本数を増減して、外部電源の電圧値にバッテリの電圧値を一致させる調整作業が必要となる。しかし、乾電池を多数本使用すると、再生装置に占める乾電池の占有エリアが増加してしまい、これによって、装置全体のデザインやその大きさ、構造、コストダウンに制限を受ける不都合が生じてしまう。
【0005】
また、こうした電源電圧の変化に依存せずに、電力増幅器の最大出力を常時一定とする場合には、バッテリ又は外部電源が過負荷状態になり発熱する場合がある。この過負荷状態が生じないようにするためには、電源の電力容量を増加することが必要であるが、更なるバッテリの重量増加や外部電源の大型化を招くことになり、この結果、音声再生装置の小型化の妨げや、コストアップに繋がる欠点があった。
【0006】
そこで本発明は、かかる問題に鑑みて創案されたものであり、大略、バッテリ又は外部電源の切替え後の電源電圧(DC電圧)の増減変化、あるいは、電池の消耗によるDC電圧降下に追従して、最終段の電力増幅器の最大出力を最適化する音声再生装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
詳しくは、電源の切替えによるDC電圧の増減変化に追従して電力増幅器の最大出力を可変するように、電力増幅器へ供給する音声信号を前もって振幅制限する可変のリミッタレベルを有する可変リミッタ回路は、電力増幅器の前段(入力側)に配置しており、かつこのリミッタレベルは、次の3条件(a)〜(c)に基づいて、設定される。
【0008】
(a)再生すべき音声信号の系統の違い(消費電力の違い)
即ち、後述する図3、図4に示すように、消費電力が比較的低い「AUX IN」又は「TUNER」の系統と、消費電力が比較的高い「CD/DVD(コンパクト・ディスク又はデジタル・バーサタイル・ディスク)」の系統とのいずれか。詳しくは、「AUX IN」又は「TUNER」の系統と「CD/DVD」の系統との違いは、消費電力の大小である。「CD/DVD」は「AUX IN」又は「TUNER」に比較して消費電流が大きいので、電源の最大消費電流を抑えるために電力増幅器の最大出力を小さくする。バッテリの場合も同様でバッテリの負担を軽減し、バッテリ寿命を延ばすために同様の操作をしている。
(b)電源の種別の違い(バッテリ又は外部電源の違い)
(c)電源を切替えた後のDC電圧の増減、あるいは、電池の消耗によるDC電圧降下によるDC電圧値の違い
【0009】
このように、可変リミッタ回路のリミッタレベルは上記した3条件(a)〜(c)に基づいて設定されるから、電力増幅器へ供給する音声信号をこうしたリミッタレベルをもって振幅制限することができるので、電源の切替えによるDC電圧の増減変化に追従して電力増幅器の最大出力を可変することができる音声再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明は、次の(1)、(2)の構成を有する音声再生装置を提供する。
【0011】
(1)図1、図3、図4に示すように、装置本体Aに内蔵(収納)されるバッテリ(内蔵電池、例えば市販の電池を多数本縦続接続したもの)10から供給されるDC電圧又は前記装置本体A外の外部電源12から供給されるDC電圧を、前記装置本体Aの電源電圧として用い、かつ複数の入力系統(「AUX IN(外部入力音声)」1、「TUNER(チューナ入力音声)」2、「CD/DVD(CD再生又はDVD再生入力音声)」3から)の音声信号を択一して得た音声信号を増幅して再生する音声再生装置であって、
前記入力系統の消費電力の違いにより第1の入力グループ(消費電力が比較的高い「AUX IN」1、「TUNER」2の入力グループ)と第2の入力グループ(消費電力が比較的低い「CD/DVD」3の入力グループ)とにグループ分け設定される前記複数の入力系統を切替えて1つの入力系統の音声信号を選択する入力切替手段4と、
前記入力切替手段4から出力する音声信号の振幅レベルを調整する調整手段(電子ボリウム(VOL))5と、
前記調整手段5から振幅レベルが調整された音声信号が供給され、供給された音声信号の振幅レベルが所定のリミッタレベル(テーブルA〜テーブルDにそれぞれあるリミッタレベル値)に達していない場合は、音声信号をスルー出力し、一方、供給された音声信号の振幅レベルが前記所定のリミッタレベルに達している場合には、所定のリミッタカーブに応じて音声信号の振幅レベルをリミッタして出力するリミッタ手段(可変リミッタ)6と、
前記バッテリ10又は前記外部電源12から電源電圧が供給されており、前記リミッタ手段6から出力する音声信号を電力増幅する電力増幅手段(電力増幅器)7と、
前記入力切替手段4における切替制御、前記調整手段5における調整制御、前記リミッタ手段6におけるリミッタ制御を、それぞれ行う制御手段9とを有しており、
前記リミッタ手段6は、前記リミッタ制御に応じて前記リミッタレベルを可変し、
前記制御手段9は、
前記電源電圧値を検出しており、
前記入力切替手段4が前記第1の入力グループ側を選択しており、かつ前記外部電源12による駆動と判断した場合、検出された電源電圧値に応じた第1のリミッタレベルを設定するための前記リミッタ制御を行い、
前記入力切替手段4が前記第2の入力グループ側を選択しており、かつ前記外部電源12による駆動と判断した場合、検出された電源電圧値に応じて、第2のリミッタレベルを設定するための前記リミッタ制御を行い、
前記入力切替手段4が前記第1の入力グループ側を選択しており、かつ前記バッテリ10による駆動と判断した場合、検出された電源電圧値に応じた第3のリミッタレベルを設定するための前記リミッタ制御を行い、
前記入力切替手段4が前記第2の入力グループ側を選択しており、かつ前記バッテリ10による駆動と判断した場合、検出された電源電圧値に応じた第4のリミッタレベルを設定するための前記リミッタ制御を行い、
前記電源電圧値の変動に追従して前記リミッタ手段6の前記リミッタレベルを可変することにより、前記電力増幅手段7の最大出力を最適化することを特徴とする音声再生装置。
【0012】
(2)装置本体Aに内蔵されるバッテリ10から供給されるDC電圧又は前記装置本体A外の外部電源12から供給されるDC電圧を、前記装置本体Aの電源電圧として用い、かつ複数の入力系統の音声信号を択一して得た音声信号を増幅して再生する音声再生装置であって、
前記入力系統の消費電力の違いにより複数の入力グループのうちのいずれかにグループ分け設定される前記複数の入力系統を切替えて、1つの入力系統の音声信号を選択する入力切替手段4と、
前記入力切替手段4から出力する音声信号の振幅レベルを調整する調整手段5と、
前記調整手段5から振幅レベルが調整された音声信号が供給され、供給された音声信号の振幅レベルが所定のリミッタレベルに達していない場合は、音声信号をスルー出力し、一方、供給された音声信号の振幅レベルが前記所定のリミッタレベルに達している場合には、所定のリミッタカーブに応じて音声信号の振幅レベルをリミッタして出力するリミッタ手段6と、
前記バッテリ10又は前記外部電源12から電源電圧が供給されており、前記リミッタ手段6から出力する音声信号を電力増幅する電力増幅手段7と、
前記リミッタ手段6におけるリミッタ制御を行う制御手段9とを有しており、
前記制御手段9は、
前記入力切替手段4が選択している入力系統の属する入力グループ、前記電源電圧の供給源、及び検出した電源電圧値の3つのファクターの組み合わせに応じて前記リミッタ手段6の前記リミッタレベルを可変することにより、前記電力増幅手段7の最大出力を最適化することを特徴とする音声再生装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明の音声再生装置によれば、最終段の電力増幅手段の最大出力を最適化するためのリミッタ手段を当該電力増幅手段の直前の位置に設け、かつ前記リミッタ手段のリミッタレベルは、(a)再生すべき音声信号の系統の違い(消費電力の違い)(即ち消費電力が比較的低い「AUX IN」「TUNER」の系統と消費電力が比較的高い(「CD/DVD」の系統とのいずれか)、(b)バッテリ又は外部電源の違い、(c)供給されるDC電圧値の違い、に基づいて設定することによって、電源の切替えによるDC電圧値の相違や増減変動に追従して前記リミッタ手段のリミッタレベルを可変することにより、前記電力増幅手段の最大出力を最適化する音声再生装置を提供することができ、またバッテリのDC電圧と外部電源のDC電圧とを一致させなくても、異なった電圧値のまま前記電力増幅手段をはじめとする装置各部の最適設計が可能となり、使用回路部品の制約がなくなり、さらに外部電源の過負荷回避が容易にできるので、不要な発熱をすることもないから不要な電力消費を招くことがなく、これによって、装置自体の小型化実現やコストダウンをすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の音声再生装置の実施の形態を、図1〜図5を用いて説明する。
【0015】
図1は,本発明装置の実施の形態を示すブロック図である。
【0016】
本発明の音声再生装置は、大略、最終段の電力増幅器(パワーアンプ)に供給する電源電圧値の増減変化に追従して、電力増幅器に入力する音声信号の振幅を前もって振幅制限するためのリミッタレベルを可変することにより、電力増幅器の最大出力を最適化する音声再生装置である。
【0017】
まず、本発明のひとつの要部である、電力増幅器と外部電源との関係について説明する。
【0018】
本発明の音声再生装置は、いわゆるポータブル(携帯型)CD/DVD再生装置である。こうした携帯型CD/DVD再生装置には、バッテリを着脱自在に内部に収納(内蔵)可能であり、またバッテリを内蔵した再生装置を持ち運ぶには、再生装置が小型であることや軽量であること、また消費電力が小さいことの制約がある。また、外部電源(ACアダプタ)を使用している場合も多い。
【0019】
ところで近年は、前記した電力増幅器としてデジタルアンプを内蔵し、また装置内の各回路への外部電源から電源電圧供給のために内蔵スイッチング電源(以下「レギュレータ」と記す)を用いて、音質の向上とパワーアップとを共に計ることが一般的になりつつある。
【0020】
デジタルアンプとレギュレータとが共にスイッチング方式の場合は、電源電圧が高くなっても回路や放熱設計上は問題が出にくく、広い範囲の電源電圧で動作させることが容易である。
【0021】
しかし、大きな音量を得ようとして音量ボリウムを大きく増加方向へ回した場合には、外部電源から電力増幅器に対して大きな電流が流入することになり、この結果、電力容量が小さい外部電源は次第に発熱による温度上昇が生じることになるから、外部電源の電流容量や放熱設計などに十分な余力を求められる。このため、外部電源には出力電力制限手段が必要となる。こうした不都合なことを全て解決したのが本発明装置であり、デジタルアンプとレギュレータがスイッチング方式の場合に特に有効である。アナログアンプとシリーズレギュレータの場合では電源電圧が大きく変わった場合、効率が悪化するため放熱設計などの現実性で問題が出やすい。
【0022】
一般に、デジタルアンプとレギュレータとがスイッチング方式を用いている機器の場合、供給電圧を上げると入力(消費)電流は減少する。外部電源がスイッチング電源を用いている場合は出力電圧を上げることで電流値が低下し、整流ダイオードやスイッチングトランスの損失が低下する、機器との接続の電流値(必要容量)が下がる等、の利点がある。
【0023】
さて、本発明の音声再生装置(装置本体A)は、図1に示すように、3音声入力部(「AUX IN」(外部入力))1、「TUNER」(チューナ)2、「CD/DVD」(CD又はDVD再生)3)1〜3、3音声入力部1〜3を択一出力する入力セレクタである入力切替回路4、音量調整用の電子ボリウム5、リミッタレベルが可変制御される可変リミッタ6、パワーアンプである電力増幅器7、スピーカ8、装置本体A全体の再生制御を行うシステムMCU9、AC電源を平滑化してDC電圧を出力する外部電源12から出力するDC電圧を供給する入力JACK11を有している。
【0024】
10は、例えば1.5Vの単一乾電池を8個を縦続接続したDC12Vのバッテリ。12は、例えばDC18Vの外部電源(ACアダプタ)、13はACコンセント、14は逆接続防止ダイオードである。
【0025】
入力切替回路4は、「AUX IN」1、「TUNER」2、「CD/DVD」3から出力する音声信号を択一して電子ボリウム5側へ出力する。「AUX IN」1、「TUNER」2、「CD/DVD」3からそれぞれ出力する音声信号の消費電力は異なり、「AUX IN」1、「TUNER」2の消費電力が比較的低い系統と、「CD/DVD」3の消費電力が比較的高い系統とに、消費電力の高低の相違によって分けることができる。
【0026】
「AUX IN」1の消費電力 < 「CD/DVD」3の消費電力
「TUNER」2 の消費電力 < 「CD/DVD」3の消費電力
「AUX IN」1の消費電力 = 「TUNER」2 の消費電力
【0027】
本実施の形態では、上記3音声入力部1〜3について述べたが、この音声に有力の数は必要に応じて増減できることは言うまでもないが、上記したように、一方及び他方の2系統に集約できることが必要である。
【0028】
電子ボリウム5は、入力切替回路4から供給される音声信号の振幅レベルを調整(音量調整)した後、その音声信号を可変リミッタ6側へ出力する。
【0029】
可変リミッタ6は、システムMCU9の出力端子9cから供給される、リミッティングレベル制御信号(可変リミッタ制御電圧)に応じて、リミッタレベルを可変する。即ち、可変リミッタ6は電子ボリウム5で振幅レベルが調整された音声信号が供給されており、供給された音声信号の振幅レベルが各種の所定のリミッタレベル(テーブルA〜テーブルD(図3、図4に図示)に示す各可変リミッタ制御電圧)に達していない場合は、音声信号を電力増幅器7側へスルー出力する。
【0030】
一方、供給された音声信号の振幅レベルが前記所定のリミッタレベル(第1のリミッタレベル(テーブルA(図3),テーブルC(図4)、又は、第2のリミッタレベル(テーブルB(図3),テーブルD(図4))に達している場合には、図示せぬリミッタカーブに応じて音声信号の振幅レベルをリミッタした後、電力増幅器7へ出力する。
【0031】
電力増幅器7は、バッテリ10又は外部電源12からDC電圧が供給されており、可変リミッタ6から供給されるスルー又はリミッタされた音声信号を電力増幅して、スピーカ8へ出力する。スピーカ8は、電力増幅手段7から出力する音声信号を放音する。電力増幅手段7は最大出力で音声信号を放音する場合もある。
【0032】
システムMCU9は、その出力端子9dから出力するシステムコントロール信号によって、入力切替回路4における切替制御、電子ボリウム5における音量調整制御を行い、また、その入力端子9aに印加する電源電圧(DC電圧)の値を逐次監視している。
【0033】
システムMCU9は、入力切替回路4に対して、「AUX IN」1又は「TUNER」2の消費電力が比較的低い側に切替える旨の切替制御を行い、かつ、その入力端子9bに外部電源12が印加されていると判定(外部電源判定)した場合は、その入力端子9aに印加したDC電圧値に応じた第1のリミッタレベル(テーブルC、図4)を設定するための可変リミッタ制御電圧であるリミッティングレベル制御信号を、出力端子9dから可変リミッタ6へ出力する。
【0034】
この結果、可変リミッタ6は、図4のテーブルCに示すように、DC電圧が17.0V以上の場合は、そのリミッタレベルを、3Vに設定する。同様に、DC電圧が16.5V、16.0V、15.5V以下の場合は、そのリミッタレベルを、2.5V、2.0V、1.5Vにそれぞれ設定する。
【0035】
一方、システムMCU9は、入力切替回路4に対して、「CD/DVD」3の消費電力が比較的高い側に切替える旨の切替え制御を行い、かつその入力端子9bに外部電源12が印加されていると判定した場合は、その入力端子9aに印加したDC電圧値に応じた第1のリミッタレベルCよりも低いレベルの第2のリミッタレベル(テーブルD、図4)を設定するためのリミッティングレベル制御信号を、出力端子9dから可変リミッタ6へ出力する。
【0036】
この結果、可変リミッタ6は、図4のテーブルDに示すように、DC電圧が17.0V以上の場合は、そのリミッタレベルを、2.5Vに設定する。同様に、DC電圧が16.5V、16.0V、15.5V以下の場合は、そのリミッタレベルを、2.0V、1.5V、1.0Vにそれぞれ設定する。
【0037】
さらに、システムMCU9は、入力切替回路4に対して、「AUX IN」1又は「TUNER」2の消費電力が比較的低い側に切替える旨の切替制御を行い、かつ、その入力端子9bに外部電源12が印加されていないと判定した場合(即ち、バッテリ10に係るDC電圧値が検出された場合)は、その入力端子9aに印加した電圧値に応じた第1のリミッタレベル(テーブルA、図3)を設定するためのリミッティングレベル制御信号を、出力端子9dから可変リミッタ6へ出力する。
【0038】
この結果、可変リミッタ6は、図3のテーブルAに示すように、DC電圧が11.5V以上の場合は、そのリミッタレベルを、3Vに設定する。同様に、DC電圧が10.0V、9.0V、8.0以下の場合は、そのリミッタレベルを、2.5V、2.0V、1.5Vにそれぞれ設定する。
【0039】
さらにまた、システムMCU9は、入力切替回路4に対して、「CD/DVD」3の消費電力が比較的高い側に切替える旨の切替制御を行い、かつ、その入力端子9bに外部電源12が印加されていないと判定した場合(即ち、バッテリ10に係るDC電圧値が検出された場合)は、その入力端子9aに印加した電圧値に応じた第2のリミッタレベル(テーブルB、図3)を設定するためのリミッティングレベル制御信号を、出力端子9dから可変リミッタ6へ出力する。
【0040】
この結果、可変リミッタ6は、図3のテーブルBに示すように、DC電圧が11.5V以上の場合は、そのリミッタレベルを、2.5Vに設定する。同様に、DC電圧が10.0V、9.0V、8.0以下の場合は、そのリミッタレベルを、2.0V、1.5V、1.0Vにそれぞれ設定する。
【0041】
このように可変リミッタ6は、システムMCU9の出力端子9cから供給される、リミッティングレベル制御信号(可変リミッタ制御電圧)に応じて、リミッタレベルを可変し、電子ボリウム5側から供給された音声信号の振幅レベルが各種の所定のリミッタレベル(テーブルA〜テーブルD(図3、図4に図示)に示す各可変リミッタ制御電圧)に達していない場合は、音声信号を電力増幅器7へスルー出力し、また、各種の所定のリミッタレベルに達している場合には、上記したように所定のリミッタレベル(テーブルA〜テーブルD)で振幅制限した音声信号を電力増幅器7へ出力する。
【0042】
上述したことを換言するならば、システムMCU9は、装置本体Aの動作モードと現在の電圧供給源、現在の電源電圧(DC電圧)を判断の入力として、電源供給源がバッテリ10の場合は、図3に従い、また、電源供給源が外部電源12動作時は図4に従って、可変リミッタ6(通過する音声信号に対するリミッタ回路であるが、そのリミッティング電圧値を外部から直流電圧などによって可変できるもの)を制御する直流電圧を発生することは既に述べたとおりである。
【0043】
本実施の形態では可変リミッタ6のリミッティングレベル制御電圧(可変リミッタ制御電圧)は小さくなるに従って、リミッティングレベルも小さくなるように設計されている。電力増幅器7は前述した可変リミッタ6の動作によって決してクリップすることがないように設計されており、この結果電力増幅器7の最大出力は可変リミッタ6の制御電圧(リミッティングレベル)によって決定される。
【0044】
可変リミッタ6の制御電圧の制御テーブル(図3、図4)について
本実施の形態では、外部電源12にスイッチング電源(図示せず)を使用している。バッテリ10および外部電源12のいずれの場合でも、電源電圧の減少(増加)に応じて、可変リミッタ6のリミッティングレベルを変更し、電力増幅器7に供給する音声信号の振幅制限を行い、電力増幅器7の最大出力を制限する。
【0045】
即ち、システムMCU9は、各電源電圧値に対するリミッティングレベル値(リミッタ制御電圧値)のデータを有する制御テーブル(図3、図4)を備えており、電源電圧の変動(減少又は増加)を逐次検知すると、上記制御テーブルを参照し、検知した電源電圧値に応じたリミッティングレベルを可変リミッタ6が設定するように、可変リミッタ6に対してリミッティングレベル制御を行う。こうして、電源電圧値に応じて電力増幅器7の最大出力を制限することができる。
【0046】
電源電圧値に応じて電力増幅器7の最大出力の制限値を切替えているのは、従来の電力増幅器の電源電圧低下によりクリップする状態を模倣するように動作させることを目標としている。
【0047】
ところで外部電源12は、過負荷を予防する機能を有している。例えば、外部電源(図2)12は電子ボリウム5を増加方向に調整して電力増幅器7へ供給する音声信号の振幅を増幅すると、これに応じて電力増幅器7は最大出力近くで電力増幅すると、これにより大きな電流が電力増幅器7(負荷側)へ流出することにより、発熱して、電源内部の温度は急上昇が起こる。この温度変化を抵抗値の変化として検出するのが、図中の「サーミスタ」である。これにより、「サーミスタ」は「フィードバック回路」を介して、「整流回路」から出力する電源電圧(出力電圧)が徐々に低下する。こうして、外部電源12の過負荷使用を回避できる。
【0048】
電源電圧の減少については、バッテリ10の場合は、電源電圧の減少に応じて比較的小さな比率で出力電圧は減少するが、外部電源12の場合には、比較的大きな比率で前記出力電圧は減少するように設計されている。
【0049】
図5は、システムMCU9がリミッタレベル(リミッタ制御電圧)を可変するための動作判断フローチャートである。
【0050】
まず、動作判断フローを開始すると(S1)、電源の判定を行う(S2)。
【0051】
外部電源12を用いて駆動されていると、次に、入力切替回路4が「CD/DVD」3側に切替えられていることを判定する(S3)。
【0052】
入力切替回路4が「CD/DVD」3に切替えられていると、電源電圧(DC電圧)を読み込み(S4)、続いて、「テーブルD」を参照し(S5)、リミッタ制御電圧を出力する(S6)。こうして、動作判断フローは終了する(S7)。
【0053】
一方、外部電源12を用いて駆動されているが、入力切替回路4が「CD/DVD」3側に切替えられていないと、電源電圧を読み込み(S8)、続いて、「テーブルC」を参照し(S9)、リミッタ制御電圧を出力する(S6)。こうして、動作判断フローは終了する(S7)。
【0054】
これに対して、動作判断フローの開始後、電源の判定によって(S1,S2)、外部電源12を用いて駆動されていない(つまりバッテリ10を用いて駆動されている)と、次に、入力切替回路4が「CD/DVD」3側に切替えられていることを判定する(S10)。
【0055】
入力切替回路4が「CD/DVD」3に切替えられていると、電源電圧を読み込み(S11)、続いて、「テーブルB」を参照し(S12)、リミッタ制御電圧を出力する(S6)。こうして、動作判断フローは終了する(S7)。
【0056】
一方、外部電源12を用いて駆動されておらず、入力切替回路4が「CD/DVD」3側に切替えられていないと、電源電圧を読み込み(S13)、「テーブルA」を参照し(S14)、リミッタ制御電圧を出力する(S6)。こうして、動作判断フローは終了する(S7)。
【0057】
なお、上記の説明では、リミッタレベルのテーブルAとテーブルCとを同一の内容とし、リミッタレベルのテーブルBとテーブルDとを同一の内容としたが、もちろんそれぞれのテーブルで異なる内容のリミッタレベルとしてもよい。
【0058】
また、上記の説明では、複数の入力系統をその入力系統の消費電力により2つの入力グループにグループ分けしたが、入力系統をより多くの入力グループにグループ分けし各入力グループ毎に、もしくは各入力系統毎(音声信号入力毎)にそれぞれに応じたリミッタレベルのテーブルを設けて制御を行ってもよい。即ち、入力切替回路で選択している入力グループ(入力系統)、内蔵電池駆動か外部電源駆動かの電圧供給源、電源電圧値の3つのファクターの組み合わせに応じて、システムMCU9によりリミッタ制御を行うようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明装置の一実施の形態を示す主要ブロック図である。
【図2】外部電源回路の構成を示すブロック図である。
【図3】内蔵電池動作時の可変リミッタ制御電圧例を示す図である。
【図4】外部電源動作時の可変リミッタ制御電圧例を示す図である。
【図5】制御部の動作判断フローチャートである。
【符号の説明】
【0060】
1…AUX IN
2…TUNER
3…CD/DVD
4…入力切替回路(入力切替手段)
5…電子ボリウム(調整手段)
6…可変リミッタ(リミッタ手段)
7…電力増幅器(電力増幅手段)
8…スピーカ
9…システムMPU(制御手段)
10…内蔵電池(バッテリ)
12…外部電源
13…電源コンセント
A…装置本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に内蔵されるバッテリから供給されるDC電圧又は前記装置本体外の外部電源から供給されるDC電圧を、前記装置本体の電源電圧として用い、かつ複数の入力系統の音声信号を択一して得た音声信号を増幅して再生する音声再生装置であって、
前記入力系統の消費電力の違いにより第1の入力グループと第2の入力グループとにグループ分け設定される前記複数の入力系統を切替えて1つの入力系統の音声信号を選択する入力切替手段と、
前記入力切替手段から出力する音声信号の振幅レベルを調整する調整手段と、
前記調整手段から振幅レベルが調整された音声信号が供給され、供給された音声信号の振幅レベルが所定のリミッタレベルに達していない場合は、音声信号をスルー出力し、一方、供給された音声信号の振幅レベルが前記所定のリミッタレベルに達している場合には、所定のリミッタカーブに応じて音声信号の振幅レベルをリミッタして出力するリミッタ手段と、
前記バッテリ又は前記外部電源から電源電圧が供給されており、前記リミッタ手段から出力する音声信号を電力増幅する電力増幅手段と、
前記入力切替手段における切替制御、前記調整手段における調整制御、前記リミッタ手段におけるリミッタ制御を、それぞれ行う制御手段とを有しており、
前記リミッタ手段は、前記リミッタ制御に応じて前記リミッタレベルを可変し、
前記制御手段は、
前記電源電圧値を検出しており、
前記入力切替手段が前記第1の入力グループ側を選択しており、かつ前記外部電源による駆動と判断した場合、検出された電源電圧値に応じた第1のリミッタレベルを設定するための前記リミッタ制御を行い、
前記入力切替手段が前記第2の入力グループ側を選択しており、かつ前記外部電源による駆動と判断した場合、検出された電源電圧値に応じて、第2のリミッタレベルを設定するための前記リミッタ制御を行い、
前記入力切替手段が前記第1の入力グループ側を選択しており、かつ前記バッテリによる駆動と判断した場合、検出された電源電圧値に応じた第3のリミッタレベルを設定するための前記リミッタ制御を行い、
前記入力切替手段が前記第2の入力グループ側を選択しており、かつ前記バッテリによる駆動と判断した場合、検出された電源電圧値に応じた第4のリミッタレベルを設定するための前記リミッタ制御を行い、
前記電源電圧値の変動に追従して前記リミッタ手段の前記リミッタレベルを可変することにより、前記電力増幅手段の最大出力を最適化することを特徴とする音声再生装置。
【請求項2】
装置本体に内蔵されるバッテリから供給されるDC電圧又は前記装置本体外の外部電源から供給されるDC電圧を、前記装置本体の電源電圧として用い、かつ複数の入力系統の音声信号を択一して得た音声信号を増幅して再生する音声再生装置であって、
前記入力系統の消費電力の違いにより複数の入力グループのうちのいずれかにグループ分け設定される前記複数の入力系統を切替えて、1つの入力系統の音声信号を選択する入力切替手段と、
前記入力切替手段から出力する音声信号の振幅レベルを調整する調整手段と、
前記調整手段から振幅レベルが調整された音声信号が供給され、供給された音声信号の振幅レベルが所定のリミッタレベルに達していない場合は、音声信号をスルー出力し、一方、供給された音声信号の振幅レベルが前記所定のリミッタレベルに達している場合には、所定のリミッタカーブに応じて音声信号の振幅レベルをリミッタして出力するリミッタ手段と、
前記バッテリ又は前記外部電源から電源電圧が供給されており、前記リミッタ手段から出力する音声信号を電力増幅する電力増幅手段と、
前記リミッタ手段におけるリミッタ制御を行う制御手段とを有しており、
前記制御手段は、
前記入力切替手段が選択している入力系統の属する入力グループ、前記電源電圧の供給源、及び検出した電源電圧値の3つのファクターの組み合わせに応じて前記リミッタ手段の前記リミッタレベルを可変することにより、前記電力増幅手段の最大出力を最適化することを特徴とする音声再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−10895(P2009−10895A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−172766(P2007−172766)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】