説明

音声出力装置

【課題】ユーザにより操作される操作部の位置と、音声が聞こえてくる向きと、を連動させる。
【解決手段】携帯端末装置100は、ユーザに操作される複数の操作部(例えば複数の操作キー11)と、複数の操作部のうちの何れの操作部が操作されたかを検出する検出部20と、指向性スピーカ(例えば、パラメトリックスピーカ30)を有する。携帯端末装置100は、更に、複数の操作部のうち、ユーザに操作された操作部の位置と対応する位置に音像が形成されるように、指向性スピーカを制御する音声制御部41を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パラメトリックスピーカは、指向性スピーカなどとも呼ばれ、出力される音の指向性が高いという特徴がある。このため、パラメトリックスピーカを用いることにより、特定の領域に選択的に音像(音場)を形成することが可能である。
【0003】
例えば、特許文献1には、パラメトリックスピーカを用いて、音像を所定位置に定位させる技術が記載されている。
また、特許文献2には、パラメトリックスピーカを用いて、映像内の物体の位置に音像を定位する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−68023号公報
【特許文献2】特開2007−274061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般的な音声出力装置では、ユーザの操作に連動させて音声出力する場合、スピーカから一定の指向性で音声を出力するだけである。
また、特許文献2の技術でも、映像内の物体の位置に音像を定位するに過ぎない。
【0006】
本発明の目的は、ユーザにより操作される操作部の位置と、音声が聞こえてくる向きと、を連動させることが可能な音声出力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ユーザに操作される複数の操作部と、
前記複数の操作部のうちの何れの前記操作部が操作されたかを検出する検出部と、
指向性スピーカと、
前記複数の操作部のうち、ユーザに操作された前記操作部の位置と対応する位置に音像が形成されるように、前記指向性スピーカを制御する音声制御部と、
を有することを特徴とする音声出力装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザにより操作される操作部の位置と、音声が聞こえてくる向きと、を連動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施形態に係る音声出力装置としての携帯端末装置を示す正面図である。
【図2】図1の携帯端末装置のブロック図である。
【図3】図1の携帯端末装置が備える発振装置の模式図である。
【図4】振動子の層構造を示す断面図である。
【図5】第1の実施形態の動作の流れを示すフローチャートである。
【図6】第2の実施形態の動作の流れを示すフローチャートである。
【図7】第3の実施形態に係る音声出力装置としての携帯端末装置を折り畳んだ状態での正面図である。
【図8】第4の実施形態に係る音声出力装置としての携帯端末装置を示す正面図である。
【図9】第5の実施形態に係る音声出力装置としての携帯端末装置が備える発振装置の振動子として用いられるMEMSアクチュエータの構成を示す分解斜視図である。
【図10】第6の実施形態に係る音声出力装置としての携帯端末装置を示す正面図である。
【図11】図10の携帯端末装置のブロック図である。
【図12】第6の実施形態において音像の形成位置を変化させる動作を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0011】
〔第1の実施形態〕
図1は第1の実施形態に係る音声出力装置としての携帯端末装置100を示す正面図、図2は携帯端末装置100のブロック図である。
【0012】
本実施形態に係る携帯端末装置100は、ユーザに操作される複数の操作部(例えば、複数の操作キー11)と、複数の操作部のうちの何れの操作部が操作されたかを検出する検出部20と、指向性スピーカ(例えば、パラメトリックスピーカ30)と、複数の操作部のうち、ユーザに操作された操作部の位置と対応する位置に音像が形成されるように、指向性スピーカを制御する音声制御部41と、を有する。なお、携帯端末装置は、例えば、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、小型ゲーム機器、ラップトップ型パーソナルコンピュータなどである。以下、詳細に説明する。
【0013】
図1に示すように、携帯端末装置100は、複数の操作キー11を有するキーボード(操作部群)10と、パラメトリックスピーカ30と、を有している。
【0014】
複数の操作キー11は、それぞれユーザに押下された場合に操作の入力を受け付けるものであり、例えば、マトリクス状に配列されている。
【0015】
パラメトリックスピーカ30は、例えば、それぞれ超音波を発振する複数の発振装置31をアレイ状に備えて構成されている。これら発振装置31は、例えばマトリクス状に配置されている。更に、パラメトリックスピーカ30は、各発振装置31に入力する電気信号を生成する。パラメトリックスピーカ30は、例えば、キーボード10の近傍に配置することができる。
【0016】
携帯端末装置100は、他に、複数のLED(発光部材)51を有するLED群(発光部材群)50と、液晶表示装置等により構成される表示部60と、を有している。
【0017】
携帯端末装置100は、例えば、第1及び第2の筐体101、102と、これら第1及び第2の筐体101、102を相互に開閉可能に連結したヒンジ部103と、を有している。
例えば、キーボード10及びパラメトリックスピーカ30は第1の筐体101に設けられ、LED群50及び表示部60は第2の筐体102に設けられている。キーボード10、パラメトリックスピーカ30、LED群50及び表示部60は、何れも、第1及び第2の筐体101、102を閉じたときに内側になる面に配置されている。
【0018】
LED群50は、表示部60の配置領域の脇(例えば右上)に配置され、複数(例えば3つ)のLED51を、例えば、一列に横並びの配置で有している。
【0019】
図2に示すように、携帯端末装置100は、キーボード10、パラメトリックスピーカ30、LED群50及び表示部60の他に、検出部20及び制御部40を有している。
【0020】
検出部20は、例えば、操作キー11と同数の検出スイッチ21を有する。各検出スイッチ21は、対応する操作キー11に対する操作を検出すると、その旨を示す信号(以下、検出信号)を制御部40に出力する。
【0021】
制御部40は、パラメトリックスピーカ30の各発振装置31の動作を個別に制御する音声制御部41と、LED群50の各LED51の動作を個別に制御する発光制御部42と、表示部60の動作を制御する表示制御部43と、を有している。
【0022】
音声制御部41によってパラメトリックスピーカ30の各発振装置31を制御することにより、音像を所望の領域に形成することができる。すなわち、音像を所望の領域に定位させることができる。
より具体的には、音声制御部41は、複数の操作キー11のうちユーザに操作された操作キー11の位置と対応する位置(例えば、当該操作キー11の上方)に音像が形成されるように、各発振装置31を制御する。すなわち、例えば操作キー11a(図1)が操作された場合には、操作キー11aの上方に音像を形成する。また、操作キー11b(図1)が操作された場合には、操作キー11bの上方に音像を形成する。
【0023】
図3は発振装置31の模式図である。
【0024】
発振装置31は、例えば、シート状の振動部材32と、振動子33と、支持部材34と、を備えている。振動子33は例えば圧電振動子であり、振動部材32の一方の面に取り付けられている。支持部材34は、振動部材32の縁を支持している。また、支持部材34は、例えば、携帯端末装置100の回路基板(図示略)或いは筐体に固定されている。
信号生成部35及び音声制御部41は、振動子33に発振信号を入力することによって振動子33を振動させて、振動子33及び振動部材32より音波を発振させる発振回路を構成している。
【0025】
振動部材32は、振動子33から発生した振動によって振動し、例えば周波数が20kHz以上の音波を発振する。なお、振動子33も、自身が振動することによって、例えば周波数が20kHz以上の音波を発振する。また振動部材32は、振動子33の基本共振周波数を調整する。機械振動子の基本共振周波数は、負荷重量と、コンプライアンスに依存する。コンプライアンスは振動子の機械剛性であるため、振動部材32の剛性を制御することで、振動子33の基本共振周波数を制御できる。なお、振動部材32の厚みは5μm以上500μm以下であることが好ましい。また、振動部材32は、剛性を示す指標である縦弾性係数が1Gpa以上500GPa以下であることが好ましい。振動部材32の剛性が低すぎる場合や、高すぎる場合は、機械振動子として特性や信頼性を損なう可能性が出てくる。なお、振動部材32を構成する材料は、金属や樹脂など、脆性材料である振動子33に対して高い弾性率を持つ材料であれば特に限定されないが、加工性やコストの観点からリン青銅やステンレスなどが好ましい。
【0026】
本実施形態において振動子33の平面形状は円形である。ただし振動子33の平面形状は円形に限定されない。振動子33は、振動部材32に対向する面の全面が接着剤によって振動部材32に固定されている。これにより、振動子33の片面の全面が振動部材32によって拘束される。
【0027】
信号生成部35は、振動子33に入力する電気信号、すなわち発振装置31における変調信号を生成する。変調信号の輸送波は、例えば、周波数が20kHz以上の超音波であり、具体的には、例えば100kHzの超音波である。音声制御部41は、外部から入力される音声信号に応じて、信号生成部35を制御する。
【0028】
図4は、振動子33の厚さ方向の層構造を示す断面図である。振動子33は、圧電体36、上面電極37及び下面電極38を有している。
【0029】
圧電体36は厚さ方向に分極している。圧電体36を構成する材料は、圧電効果を有する材料であれば、無機材料及び有機材料のいずれであってもよい。ただし、電気機械変換効率が高い材料、例えばジルコン酸チタン酸塩(PZT)やチタン酸バリウム(BaTiO)であるのが好ましい。圧電体36の厚さh1は、例えば10μm以上1mm以下である。厚さh1が10μm未満の場合、発振装置31の製造時に振動子33が破損する可能性が生じる。また厚さh1が1mm超の場合、電気機械変換効率が低くなりすぎてしまい、十分な大きさの振動を得られない可能性がある。その理由は、振動子33の厚さが厚くなると、圧電振動子内における電界強度は反比例して小さくなるためである。
【0030】
上面電極37及び下面電極38を構成する材料は特に限定されないが、例えば、銀や銀/パラジウムを使用することができる。銀は低抵抗で汎用的な電極材料として使用されているため、製造プロセスやコストなどに利点がある。銀/パラジウムは耐酸化に優れた低抵抗材料であるため、信頼性の観点から利点がある。また、上面電極37及び下面電極38の厚さh2は特に限定されないが、その厚さh2が1μm以上50μm以下であるのが好ましい。厚さh2が1μm未満では、上面電極37及び下面電極38を均一に成形することが難しくなり、その結果、電気機械変換効率が低下する可能性がある。また、上面電極37及び下面電極38の膜厚が100μmを超える場合は、上面電極37及び下面電極38が圧電体36に対して拘束面となり、エネルギー変換効率を低下させてしまう可能性が生じる。
【0031】
振動子33は、外径=φ18mm、内径=φ12mm、厚み=100μmとすることができる。また上面電極37及び下面電極38としては、例えば厚み8μmの銀/パラジウム合金(重量比は例えば7:3)を用いることができる。また振動部材32は、外径=φ20mm、厚み=50μm(0.3mm)のリン青銅を用いることができる。支持部材34は発振装置31のケースとして機能するものであり、例えば、外径=φ22mm、内径=φ20mmの筒状(例えば円筒状)に形成されている。
【0032】
パラメトリックスピーカ30は、複数の発振装置31それぞれからAM変調やDSB変調、SSB変調、FM変調をかけた超音波(輸送波)を空気中に放射し、超音波が空気中に伝播する際の非線形特性により、可聴音を出現させるものである。ここでの非線形とは、流れの慣性作用と粘性作用の比で示されるレイノルズ数が大きくなると、層流から乱流に推移することを示す。音波は流体内で微少にじょう乱しているため、音波は非線形で伝播している。特に超音波周波数帯では音波の非線形性が容易に観察できる。そして超音波を空気中に放射した場合、音波の非線形性に伴う高調波が顕著に発生する。また音波は、空気中において分子密度に濃淡が生じる疎密状態である。そして空気分子が圧縮よりも復元するのに時間が生じた場合、圧縮後に復元できない空気が、連続的に伝播する空気分子と衝突し、衝撃波が生じる。この衝撃波により可聴音が発生する、つまり可聴音が再生(復調)される。パラメトリックスピーカ30は、音の指向性が高いという利点がある。
【0033】
次に、一連の動作を説明する。
【0034】
図5は第1の実施形態において制御部40が実行する制御動作の流れを示すフローチャートである。
【0035】
先ず、ユーザが複数の操作キー11のうちの何れかの操作キー11(例えば、操作キー11a)を操作する。すると、制御部40は、操作キー11aと対応する検出スイッチ21から入力される検出信号により、操作キー11aが操作されたことを認識する(ステップS11のY)。
【0036】
次に、制御部40の音声制御部41は、操作キー11aの位置と対応する位置、例えば操作キー11aの上方に音像が形成されるように、すなわち、その位置で可聴音が復調されるように、パラメトリックスピーカ30を制御する。例えば、各発振装置31から出力される超音波の位相を制御することにより、パラメトリックスピーカ30の指向性を制御し、音像の位置を調節する。
その結果、ユーザが操作した操作キー11(例えば操作キー11a)の上方に音像が定位される(ステップS12)。
【0037】
よって、ユーザには、自身が操作キー11を操作したタイミングで、自身が操作した操作キー11の位置(向き)から音声(操作音)が聞こえる。よって、操作キー11の位置と操作音が聞こえる位置とが連動する感覚が得られるといった、斬新な操作感が得られる。
【0038】
このような動作を実現するために、例えば、音声制御部41は、予め、各操作キー11毎に、各発振装置31から出力される超音波の位相の値(或いは、各発振装置31から出力される超音波の位相の相対的なずれ量の値)をテーブルとして記憶している。そして、音声制御部41は、そのテーブルの中から、操作された操作キー11と対応する値を抽出し、その値に基づいて各発振装置31の位相を制御する。
なお、テーブルは、例えば、X座標(表示画面と平行な第1の方向)における音像の形成位置を決定するための第1テーブルと、Y座標(表示画面と平行で、第1の方向に対して直交する方向)における音像の形成位置を決定するための第2テーブルと、に分かれていても良い。
【0039】
また、ステップS12において再生される音声は、例えば、操作キー11が操作されたことを認識させるための単純な音声(例えば、ピッという音など)であって、各操作キー11に共通の音声であることが挙げられる。
或いは、ステップS12において再生される音声は、操作キー11毎に異なる音声であっても良い。すなわち、音声制御部41は、ユーザに操作された操作キー11に応じた音声が出力されるように、パラメトリックスピーカ30を制御しても良い。操作キー11毎に異なる音声としては、例えば、操作キー11と対応付けられた文字の発音と同じ音声が挙げられる。具体的には、例えば、文字「a」と対応する操作キー11の場合に、「ア」という音声を出力するなどが挙げられる。
【0040】
また、ステップS12において音像を定位する位置の解像度は、パラメトリックスピーカ30により実現可能な解像度(発振装置31の数などに依存する)に応じて、適宜に変更することができる。各操作キー11毎に異なる位置に音像を形成できるような細かい解像度が得られる場合、各操作キー11毎に異なる位置に音像を形成することができる。
或いは、それほど細かく音像の位置を制御できない場合は、ひとまとまりに配置された複数の操作キー11の配置領域を1つのゾーンとして、各ゾーン毎(例えば、図1に示す3つのゾーンZ1、Z2、Z3毎)に、音像を定位するようにしても良い。すなわち、ゾーンZ1に含まれる何れかの操作キー11が操作された場合にはゾーンZ1に音像を定位させ、ゾーンZ2に含まれる何れかの操作キー11が操作された場合にはゾーンZ2に音像を定位させ、ゾーンZ3に含まれる何れかの操作キー11が操作された場合にはゾーンZ3に音像を定位させるようにしても良い。なお、この場合、少なくとも2つのゾーンを設定する。
【0041】
ステップS12に続くステップS13では、操作に応じたその他の処理(ステップS12での処理以外の処理)を行う。具体的には、例えば、発光制御部42により、所定の発光態様(点灯、点滅など)でLED51を発光させたり、表示制御部43により、表示部60に所定の情報、画像などを表示させたりする。
なお、操作がなされない場合(ステップS11のN)、音像の形成(ステップS12)も、操作に応じたその他の処理(ステップS13)も行わない。
【0042】
以上のような第1の実施形態によれば、複数の操作キー11のうちの何れの操作キー11がユーザに操作されたかを検出部20により検出し、ユーザに操作された操作キー11の位置と対応する位置に音像が形成されるように、音声制御部41によりパラメトリックスピーカ30を制御するので、ユーザにより操作される操作キー11の位置と、ユーザに対して音声が聞こえてくる向きと、を連動させることができる。よって、操作キー11が複数の場合における操作位置の確認を、視覚や触覚だけでなく聴覚によっても行うことができる。
【0043】
〔第2の実施形態〕
図6は第2の実施形態において制御部40が実行する制御動作の流れを示すフローチャートである。図6は、第1の実施形態で説明したステップS13(図5)の具体的な処理の一例を示す。本実施形態の場合、携帯端末装置100の構成は、図1及び図2に示す通りである。
【0044】
上述のように、図5のステップS13では、操作に応じた処理(ステップS12での処理を除く)を行う。
具体的には、例えば、図6に示すように、発光制御部42により所定の発光態様(点灯、点滅など)でLED51を発光させる発光制御(ステップS131)を行いながら、発光位置に音像が形成されるように音声制御部41によりパラメトリックスピーカ30を制御する(ステップS132)。発光位置とは、複数のLED51のうち発光制御により発光しているLED51と対応する位置であり、例えば、該発光しているLED51の上方である。音像の位置の調整の仕方は、ステップS12と同様である。
また、ステップS131及びS132の処理と並行して、或いは、これらの処理に続いて、操作に応じた更にその他の処理(例えば、表示制御部43により表示部60に所定の情報、画像などを表示させる処理など)を行う(ステップS133)。
【0045】
このように、第2の実施形態では、携帯端末装置100は、LED(発光部材)51と、LED51を制御する発光制御部42と、を有し、音声制御部41は、LED51の発光動作と連動(同期)させて、LED51の位置と対応する位置に音像が形成されるように、パラメトリックスピーカ30を制御する。
このため、ユーザには、LED51が発光するタイミングで、その発光動作するLED51の位置(向き)から音声が聞こえる。つまり、発光動作するLED51の位置と、ユーザに対して音声が聞こえてくる向きと、を連動させることができる。よって、発光と音声による斬新な装飾を実現できる。
【0046】
〔第3の実施形態〕
図7は第3の実施形態に係る音声出力装置としての携帯端末装置100を折り畳んだ状態での正面図である。なお、第3の実施形態でも、携帯端末装置100のブロック構成は図2と同様である。
【0047】
本実施形態に係る携帯端末装置100の構造は、以下に説明する点で、上記の第2の実施形態に係る携帯端末装置100と相違する。
【0048】
先ず、第2の実施形態では、複数のLED51が一列に配列されているのに対し、第2の実施形態では、複数のLED51がマトリクス状に配置されている。具体的には、例えば、LED群50は、7列7行の合計49個のLED51を有している。
【0049】
また、第2の実施形態では、第1及び第2の筐体101、102を折り畳んだときに内側となる面にLED群50及びパラメトリックスピーカ30が配置されているのに対し、第3の実施形態では、第1及び第2の筐体101、102を折り畳んだときに外側となる面(例えば第2の筐体102を手前側にしたときに手前側となる面)にLED群50及びパラメトリックスピーカ30が配置されている。すなわち、本実施形態の場合、例えば、第2の筐体102にLED群50及びパラメトリックスピーカ30が設けられている。
ただし、本実施形態においても、LED群50とは別に、第1及び第2の筐体101、102を折り畳んだときに内側となる面にも別のLED群(例えば、第1の実施形態におけるLED群50と同様のもの)が設けられていても良い。
同様に、本実施形態においても、パラメトリックスピーカ30とは別に、第1及び第2の筐体101、102を折り畳んだときに内側となる面にも別のパラメトリックスピーカ30(例えば、第1の実施形態におけるパラメトリックスピーカ30と同様のもの)が設けられていても良い。
【0050】
なお、第2の実施形態では、第1及び第2の筐体101、102が横長形状、すなわちヒンジ部103を介して第1及び第2の筐体101、102を相互に開閉するときの第1及び第2の筐体101、102の旋回半径が、ヒンジ部103の軸方向(図1の左右方向)における第1及び第2の筐体101、102の長さよりも短い形状である例を示した。
これに対し、第3の実施形態では、例えば、第1及び第2の筐体101、102が縦長形状、すなわち第1及び第2の筐体101、102の旋回半径が、ヒンジ部103の軸方向(図7の左右方向)における第1及び第2の筐体101、102の長さよりも長い形状となっている。
【0051】
本実施形態の場合、音声制御部41は、マトリクス状に配置された複数のLED51のうち、発光動作を行うLED51の位置と対応する位置に音像が形成されるように、パラメトリックスピーカ30を制御する。なお、操作キー11に対応させて音像を形成する場合(図5のステップ12)と同様に、個別のLED51と対応する位置に音像を形成しても良いし、複数のLED51を含むゾーン毎に音像を形成しても良い。
【0052】
また、発光制御部42は、例えば、複数のLED51を所定の順序(発光パターン)で発光させる一連の発光制御を行い、これにより、複数のLED51の発光によるイルミネーションを実現できるようになっている。
そして、音声制御部41は、このような発光制御に連動(同期)させて、発光動作を行うLED51の位置と対応する位置に音像が形成されるように、パラメトリックスピーカ30を制御する。具体的には、例えば、発光するLED51が移動するような発光パターンの発光制御を行うときに、その移動につれて音像の位置が移動するような制御を行うことができる。
【0053】
なお、例えば、第1及び第2の筐体101、102を折り畳んだときに、上述のような発光制御に連動したパラメトリックスピーカ30の制御を行うことができる。
或いは、携帯端末装置100は、例えば、携帯電話機などの通信機能を有するタイプのものであることが挙げられ、この場合に、通話や電子メールなどの着信時に、発光制御に連動したパラメトリックスピーカ30の制御を行うことができる。
【0054】
以上のような第3の実施形態によれば、第2の実施形態よりも一層複雑で斬新な、発光と音声による装飾を実現できる。
【0055】
〔第4の実施形態〕
図8は第4の実施形態に係る音声出力装置としての携帯端末装置100を示す正面図である。上記の各実施形態では、個々の操作部(操作キー11)が別体に形成されて、個別に押圧操作されることを前提とした例を示したが、例えば図8に示す十字キー12のように、複数の操作部(例えば4つの操作部12a、12b、12c、12d)が一体的に形成されていても良い。一般の十字キー12のように、例えば、操作部12aは上への移動などを指示する操作、操作部12bは下への移動などを指示する操作、操作部12cは左への移動などを指示する操作、操作部12dは右への移動などを指示する操作に、それぞれ用いることができる。また、携帯端末装置100は、キーボード10(図1)の操作キー11に限らず、その他の操作ボタン13(図8)を有していても良い。
【0056】
そして、本実施形態の場合、十字キー12の各操作部12a〜12dが操作されたときに、該操作された操作部12a〜12dと対応する位置に音像を形成することができる。或いは、何れかの操作ボタン13が操作されたときに、該操作された操作ボタン13と対応する位置に音像を形成することができる。
【0057】
〔第5の実施形態〕
本実施形態に係る携帯端末装置100の発振装置31は、振動子33(図3)の代わりに、図9に示したMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)アクチュエータ70を有している。その他の点では、本実施形態に係る携帯端末装置100は、第1乃至第4の実施形態に係る携帯端末装置100と同様に構成されている。
【0058】
図9に示す例において、MEMSアクチュエータ70の駆動方式は圧電方式であり、圧電薄膜層72を上部可動電極層74及び下部可動電極層76ではさんだ構造を有している。MEMSアクチュエータ70は、信号生成部35から上部可動電極層74及び下部可動電極層76に信号が入力されることにより動作する。MEMSアクチュエータ70の製造には、例えばエアロゾルデポジション法が用いられるが、この方法に限定されない。ただしエアロゾルデポジション法を用いた場合、圧電薄膜層72、上部可動電極層74及び下部可動電極層76をそれぞれ曲面上にも成膜できるため好ましい。なおMEMSアクチュエータ70の駆動方式は、静電方式、電磁方式、又は熱伝導方式であってもよい。
【0059】
〔第6の実施形態〕
図10は第6の実施形態に係る音声出力装置としての携帯端末装置100を示す正面図、図11は図10の携帯端末装置100のブロック図、図12は本実施形態において音像の形成位置を変化させる動作を説明するための模式図である。
【0060】
上記の各実施形態では、パラメトリックスピーカ30の各発振装置31から出力される超音波の位相を制御することによって、音像が形成される位置を制御する例を説明した。
これに対し、本実施形態では、発振装置31からの音波の出力方向をアクチュエータ39によって変化させることにより、パラメトリックスピーカ30の指向性を制御し、音像が形成される位置、すなわち可聴音が復調される位置を制御する。
【0061】
本実施形態の場合、パラメトリックスピーカ30は、例えば、単一の(1個の)発振装置31と、この発振装置31の向きを変化させるための複数のアクチュエータ39と、これらアクチュエータ39が固定された支持部39aと、を有している。
【0062】
支持部39aは、携帯端末装置100の筐体(例えば第1の筐体101)に直接的又は間接的に固定されている。支持部39aは、例えば、平板状に形成されている。
【0063】
アクチュエータ39は、例えば、圧電素子であり、印加する電圧を制御することによって、伸縮する。各アクチュエータ39の一端は、それぞれ支持部39aに固定され、他端は発振装置31の例えば支持部材34にそれぞれ固定されている。例えば、図12に示すように、各アクチュエータ39は、支持部39aの一方の面上からそれぞれ垂直に起立するように設けられている。
【0064】
アクチュエータ39の数は2つ又は3つとすることができる。3つのアクチュエータ39を設ける場合の方が、発振装置31の向きの調節の自由度が高まる。このため、本実施形態では、図11に示すように、3つのアクチュエータ39を有していることが好ましい。これらアクチュエータ39の伸縮動作は、制御部40のアクチュエータ制御部44(図11)が行う。
【0065】
図12では、説明を簡単にするため、アクチュエータ39が2つの場合の動作を示す。
【0066】
各アクチュエータ39の長さが等しいとき、発振装置31からの超音波の出力方向は、支持部39aに対して反対方向となるようになっている(つまり、発振装置31の振動部材32と支持部39aとが互いに平行となるようになっている)。よって、音像1が支持部39aの正面方向に形成される(図12(a))。
【0067】
また、何れか一方のアクチュエータ39を縮める(又は何れか一方のアクチュエータ39を伸ばす)ことにより、支持部39aに対する発振装置31の角度を変更し、発振装置31からの超音波の出力方向を変化させることができる(つまり支持部39aに対して振動部材32を傾斜させた状態とすることができる)。よって、支持部39aの正面からオフセットした位置に音像1が形成される(図12(b)、図12(c))。
【0068】
従って、本実施形態では、各アクチュエータ39を適宜に伸縮させることにより、音像1を所望の操作キー11の上方に形成したり、所望のLED51の上方に形成したりすることができる。
【0069】
第6の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
また、第6の実施形態の場合、発振装置31からの音波の出力方向をアクチュエータ39により変化させることによって、音像1の形成位置を変化させるので、パラメトリックスピーカ30は複数の発振装置31をアレイ状に有する必要が無く、例えば、単一の発振装置31を有するだけでも構わない。
【0070】
上記の各実施形態では、表示部60とは別の位置に配置された操作部の位置と、音声が聞こえてくる向きと、を連動させる例を説明したが、表示部60がタッチパネルの場合に、表示部60に形成された操作部の位置と、音声が聞こえてくる向きと、を連動させるようにしても良い。
【符号の説明】
【0071】
1 音像
51 LED
10 キーボード
11 操作キー
11a 操作キー
11b 操作キー
12 十字キー
12a 操作部
12b 操作部
12c 操作部
12d 操作部
13 操作ボタン
20 検出部
21 検出スイッチ
30 パラメトリックスピーカ
31 発振装置
32 振動部材
33 振動子
34 支持部材
35 信号生成部
36 圧電体
37 上面電極
38 下面電極
39 アクチュエータ
39a 支持部
40 制御部
41 音声制御部
42 発光制御部
43 表示制御部
44 アクチュエータ制御部
50 LED群
60 表示部
70 アクチュエータ
72 圧電薄膜層
74 上部可動電極層
76 下部可動電極層
100 携帯端末装置
101 第1の筐体
102 第2の筐体
103 ヒンジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに操作される複数の操作部と、
前記複数の操作部のうちの何れの前記操作部が操作されたかを検出する検出部と、
指向性スピーカと、
前記複数の操作部のうち、ユーザに操作された前記操作部の位置と対応する位置に音像が形成されるように、前記指向性スピーカを制御する音声制御部と、
を有することを特徴とする音声出力装置。
【請求項2】
前記音声制御部は、ユーザに操作された前記操作部に応じた音声が出力されるように、前記指向性スピーカを制御することを特徴とする請求項1に記載の音声出力装置。
【請求項3】
前記複数の操作部のうちの少なくとも何れか1つは、操作キーであることを特徴とする請求項1又は2に記載の音声出力装置。
【請求項4】
前記指向性スピーカは、パラメトリックスピーカであることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の音声出力装置。
【請求項5】
当該音声出力装置は、
発光部材と、
前記発光部材を制御する発光制御部と、
を更に有し、
前記音声制御部は、前記発光部材の発光動作と連動させて、前記発光部材の位置と対応する位置に音像が形成されるように、前記指向性スピーカを制御することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の音声出力装置。
【請求項6】
複数の前記発光部材をマトリクス状の配置で有し、
前記音声制御部は、前記複数の発光部材のうち、発光動作を行う前記発光部材の位置と対応する位置に音像が形成されるように、前記指向性スピーカを制御することを特徴とする請求項5に記載の音声出力装置。
【請求項7】
前記発光制御部は、複数の前記発光部材を所定の順序で発光させる一連の発光制御を行うことを特徴とする請求項6に記載の音声出力装置。
【請求項8】
当該音声出力装置は、携帯端末装置であることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の音声出力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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