説明

音声調整装置、音声調整方法及び音声調整用プログラム

【課題】 音像を定位させた際に、聴取者に自然な広がり感を与えることが可能な音声調整装置、音声調整方法及び音声調整用プログラムを提供する。
【解決手段】 DSP30に、音像処理部60、混合部70を備える。音像処理部60は、複数の音源毎に設けられ、音像定位部61、ハイパスフィルタ(HPF)62、ローパスフィルタ(LPF)63、音像拡張部64,65、加算器66,67を有する。音像処理部60の入力側を、音像定位部61に直接入力される経路(X2)と、ハイパスフィルタ62に入力される経路と、ローパスフィルタ63に入力される経路とに分岐する。ハイパスフィルタ62、音像拡張部64を経由した音声信号と、ローパスフィルタ63、音像拡張部65を経由した音声信号を、それぞれ加算して音像定位部61に入力し(X1、X3)、X2の左右に定位するように出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の音声信号を合成して出力する音声調整技術に係り、特に、音像を定位させるとともに広がりを与える音声調整装置、音声調整方法並びに音声調整用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の音声信号に種々の調整を行って出力する音声調整装置の技術は、例えば、ホール、映画館、スタジオ等の施設に設置された音声調整卓として実用化されている。音声調整卓は、マイクや記録媒体から入力された音声信号の周波数成分や信号レベルを、操作卓に設けられたスイッチ等の切替手段やボリューム等の可変手段を操作することによって変化させ、ミキサー等の混合手段によって合成し、施設に配設されたスピーカから音声として出力させるものである。
【0003】
このような音声調整卓は、スピーカの設置された位置によって決まる領域のいずれかに、特定の音像を定位させる音像定位機能を有している。この機能は、pan−potと呼ばれる音像定位手段を用いて、入力された左右のスピーカの音声信号の増幅率等を調整することによって実現される(特許文献1参照)。例えば、映画の映像等において画面に登場している人物に合わせて、その人物が発する音声を、人物の位置に合わせて定位させることができる。
【0004】
複数のスピーカを聴取者の周囲に配置してサラウンド効果を狙った場合であっても、かかる音像定位技術を適用することができる。つまり、あらかじめ設定されたパラメータに基づいて、各スピーカから出力される音声信号の増幅率が調整され、聴取者の周囲のいずれかの位置に、音像を定位させることができる。また、手動により可変手段を操作して増幅率を変化させたり、あらかじめ設定されたタイミングに従って増幅率を変化させることによって、定位させた音像が移動する効果を得ることもできる。
【特許文献1】特開2003−280643号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、入力された複数の音声信号について、それぞれの音像を特定の位置に定位させた場合、各定位位置は非常に狭い領域、いわば点になる傾向がある。これは、現実に存在する音としては、不自然になりがちである。これに対処するため、正面側の中央に定位している状態で、左右の出力を調整することによって音像の解像度を変え、左右へ広がっているような感じを与えることができるダイバージェンスと呼ばれる技術が存在する。
【0006】
しかし、ダイバージェンスでは、正面側の特定の点の音像に左右の広がりを与えるに過ぎないため、必ずしも、個々の音に適した自然な広がり感が得られるわけではない。一般的に、高音域と低音域の音声は方向性は異なっており、特に低音域については、点で特定されるような方向性を持たない。このため、例えば、サラウンド効果を得る場合に、後方において特定の音像が点で定位すると、低音域が方向性を持ってしまう不自然な状態となる。このように定位させた音像に対して、単純に広がりを持たせたとしても、高音域成分と低音域成分に自然な広がり感を得ることはできない。
【0007】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、その目的は、音像を定位させた際に、聴取者に自然な広がり感を与えることができる音声調整装置、音声調整方法及び音声調整用プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、請求項1の発明は、外部から入力された元音声信号の音像を調整し、複数の出力手段に対応する複数の経路で出力する音像処理部を有する音声調整装置において、前記音像処理部は、前記元音声信号の周波数帯域ごとの利得を選択的に制御する周波数特性制御部と、前記元音声信号及び前記周波数特性制御部から出力された音声信号を、それぞれ異なる位置に定位させる音像定位部と、を有することを特徴とする。
【0009】
請求項6の発明は、音像処理部が、外部から入力された元音声信号を調整し、複数の出力手段に対応する複数の経路で出力する音声調整方法において、前記音像処理部が備える周波数特性制御部が、外部から入力された元音声信号の周波数帯域ごとの利得を選択的に制御し、前記音像処理部が備える音像定位部が、前記元音声信号及び前記周波数特性制御部から出力された音声信号を、それぞれ異なる位置に定位させることを特徴とする。
【0010】
請求項7の発明は、コンピュータを制御することにより、外部から入力された元音声信号を調整させ、複数の出力手段に対応する複数の経路で出力させる音声調整用プログラムにおいて、前記コンピュータに、外部から入力された元音声信号の周波数帯域ごとの利得を選択的に制御し、この周波数帯域ごとの利得を選択的に制御された音声信号と前記元音声信号を、それぞれ異なる位置に定位させることを特徴とする。
【0011】
以上のような請求項1、6及び7の発明では、元音声信号から透過若しくは増強された周波数成分を、元音声信号とは異なる位置に定位させることにより、元音声信号を単純に点で定位させたり拡張したりする場合に比べて、出力音声に自然な広がりを与えることができる。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の音声調整装置において、前記周波数特性制御部は、ローパスフィルタ及びハイパスフィルタの双方若しくは一方を含むことを特徴とする。
【0013】
以上のような請求項2の発明では、ローパスフィルタ及びハイパスフィルタの双方若しくは一方によって、元音声信号の低音域及び高音域の双方若しくは一方を抽出し、これを元音声信号と異なる位置に定位させることにより、自然な広がりを与えることができる。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の音声調整装置において、前記周波数特性制御部と前記音像定位部との間に、前記周波数特性制御部から出力された音声信号の音像を拡張する音像拡張部が設けられていることを特徴とする。
【0015】
以上のような請求項3の発明では、フィルタによって抽出された周波数の音声信号を拡張するので、これを元音声信号と異なる位置に定位させることにより、自然な広がりを与えることができる。特に、ローパスフィルタ及びハイパスフィルタの双方を備えている場合には、高音域成分と低音域成分の音像の広がりを、それぞれ別に調整できるので、音像全体の広がり感が自然な感じとなる。
【0016】
請求項4の発明は、請求項1又は請求項2に記載の音声調整装置において、前記周波数特性制御部は、ローパスフィルタとハイパスフィルタを含み、外部から入力された前記元音声信号の経路は、前記音像定位部へ入力される経路と、前記ローパスフィルタへ入力される経路と、前記ハイパスフィルタへ入力される経路とに分岐され、前記ローパスフィルタの出力側には、前記ハイパスフィルタからの出力を加算して前記音像定位部へ出力する加算器が設けられ、前記ハイパスフィルタの出力側には、前記ローパスフィルタからの出力を加算して前記音像定位部へ出力する加算器が設けられていることを特徴とする。
【0017】
以上のような請求項4の発明では、ハイパスフィルタ及びローパスフィルタによって抽出された周波数成分の音声信号が、互いに加算された経路が2つあり、これが、元音声信号と異なる位置に定位するように出力されるので、音声に自然な広がりを与えることができる。
【0018】
請求項5の発明は、請求項4の音声調整装置において、前記ハイパスフィルタ及び前記ローパスフィルタと前記加算器との間には、音声信号の音像を拡張する音像拡張部が設けられていることを特徴とする。
【0019】
以上のような請求項5の発明では、ハイパスフィルタ及びローパスフィルタによって抽出された周波数成分の音声信号が、拡張されて加算されるので、音声に自然な広がりを与えることができる。特に、高音域成分と低音域成分の音像の広がりを、それぞれ別に調整できるので、音像全体の広がり感が自然な感じとなる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、音像を定位させた際に、聴取者に自然な広がり感を与えることが可能な音声調整装置、音声調整方法及び音声調整用プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態(実施形態)について、図1〜6を参照して説明する。
[構成]
まず、本実施形態の全体構成の概略は以下の通りである。すなわち、図1に示すように、本実施形態は、操作卓20、DSP(Digital Signal Processor)30、A/D変換部40及びD/A変換部50等を備えた音声調整卓10として構成されている。操作卓20は、スライドボリュームやスイッチ等の入力手段、LCDやLED等の表示手段を備えており、操作者が、所望の入力操作を行うことができる。DSP30は、マイクMC等の音声入力手段や、テープ装置TPやハードディスク装置HDD等の記録媒体から入力された各種音源に対応する音声信号を、操作卓20からの操作入力に応じて調整し、スピーカSP1〜8へ出力する手段である。
【0022】
入力される音声信号がアナログ信号の場合には、A/D変換部40によるディジタル変換後、DSP30に入力される。また、DSP30から出力されるディジタル信号は、D/A変換部50によりアナログ変換後、スピーカSP1〜8に出力される。DSP30、A/D変換部40、D/A変換部50を実現するための回路は、例えば、これらの機能を実現するASICやCPU等のICチップやその他の周辺回路によって構成したり、複数の機能を集約したシステムLSIによって構成する等、種々考えられるものであり、特定のものには限定されない。ハードウェア処理とソフトウェア処理の範囲も自由である。
【0023】
また、パーソナルコンピュータやサーバ装置のような汎用のコンピュータを、プログラムで制御することで実現することもできる。この場合のプログラムは、コンピュータのハードウェアを物理的に活用することで、本実施形態における各部の機能を実現するものであり、かかるプログラム及びプログラムを記録したハードディスク、CD−ROM、DVD−ROMその他の種々の記録媒体は単独でも本発明の一態様である。従って、例えば、コンピュータにアプリケーションプログラムをインストールすることにより、本実施形態を構成することもできる。
【0024】
上記のようなDSP30の機能の一部として、音声調整装置が構成されている。すなわち、DSP30は、図2に示すように、音像処理部60、混合部70としての機能を有している。音像処理部60は、複数の音源毎に設けられ、それぞれに入力された音声信号に対して、音像定位と広がりを与えるものである。なお、音源は、上記のように、マイクMC等の入力手段からリアルタイムに入力されるものであっても、テープ装置TPやハードディスク装置HDD等の記録媒体にあらかじめ録音されたものであってもよい。映画やTV番組のように、映像信号とは論理的若しくは物理的に異なる領域(トラック、ファイル等)に記録された音声信号であってもよい。
【0025】
各音像処理部60は、音像定位部61、ハイパスフィルタ(HPF)62、ローパスフィルタ(LPF)63、音像拡張部64,65、加算器66,67を有している。音像定位部61は、各スピーカSP1〜8に対応するbus1〜8に出力する音声信号のレベルを調整して、音像を定位させる手段である。かかる音像の定位は、例えば、あらかじめ設定されたパラメータに従って、若しくは操作卓20からの制御信号に従って、各bus1〜8に対応する音声信号の増幅率を変えることによって実現できる。
【0026】
このような音像処理部60の入力側は、音声信号が、音像定位部61に直接入力される経路(X2)と、ハイパスフィルタ62に入力される経路と、ローパスフィルタ63に入力される経路とに分岐している。ハイパスフィルタ62は、入力された音声信号の低音域をカットして、高音域を選択的に通過させる手段である。ローパスフィルタ63は、入力された音声信号の高音域をカットし、低音域を選択的に通過させる手段である。
【0027】
音像拡張部64,65は、それぞれハイパスフィルタ62及びローパスフィルタ63の出力側に接続されている。この音像拡張部64,65は、入力された音声信号に対して音像を拡張する手段であり、例えば、図3に示すように、外部入力によって制御される増幅器によって構成されている。音像拡張部64,65における増幅率は、あらかじめ設定されたパラメータ若しくは操作卓20からの制御信号に従うが、互いに独立して調整可能である。なお、互いに連動するように設定してもよい。ここで、ハイパスフィルタ62は、高域増強型のシェルピングタイプのイコライザ、ローパスフィルタ63は低域増強型のシェルピングタイプのイコライザとしてもよい。つまり、請求項に記載の周波数特性制御部は、いわゆるフィルター、イコライザ等、音声信号の周波数帯域ごとの利得を選択的に制御できるものを広く含むものである。
【0028】
加算器66,67は、音像拡張部64,65の出力側に接続されている。この加算器66,67は、入力された音声信号を加算する手段である。本実施形態においては、加算器66は、音像拡張部64からの出力と、音像拡張部65からの出力を加算する。加算器67は、音像拡張部65からの出力と音像拡張部64からの出力を加算する。加算器66,67からの出力は、それぞれ音像定位部61に入力される(X1、X3)。
【0029】
混合部70は、複数の音像処理部60から出力される音声信号を、bus1〜8毎に混合して、BUS1〜8に出力する手段である。BUS1〜8は、各スピーカSP1〜8に対応している。スピーカSP1〜8は、サラウンド効果を得るために、聴取者の周囲に配設されており、BUS1〜8の出力に応じて特定の音像が定位するように、音声が出力される。
【0030】
[作用]
以上のような本実施形態の処理を、図2及び図4〜6を参照して説明する。すなわち、操作卓20の入力手段を操作することにより、各スピーカSP1〜8に対応するBUS1〜8の間のいずれに、音像を定位させるかを決定する。例えば、図4に示すように、フィルタ及び拡張処理を経ていない音声信号(X2)の音像を、BUS1とBUS2の間の位置に定位させるように設定する。
【0031】
本実施形態の音像定位部61は、各入力X1、X2及びX3に対応する音像を、それぞれ所望の位置に定位させることができる。例えば、X1とX3を、X2の左右に定位させることが考えられる。この場合、図5に示すように、X2からのX1、X3の左右の開き量を一定とすることにより、X2の定位位置(BUS1からの回転角度θ)が決まると、X1及びX3の定位位置(BUS8からの回転角度θ、BUS2からの回転角度θ)も決まるように設定してもよい。または、X1,X3のθを独立に設定するようにしてもよい。
【0032】
各音像処理部60に入力された音声信号は、一つは直接音像定位部61に入力される(X2)。また、ハイパスフィルタ62によって高音域を選択された音声信号は、音像拡張部64によって拡張される。ローパスフィルタ63によって低音域を選択された信号は、音像拡張部65によって拡張される。音像拡張部64によって増幅された音声信号と音像拡張部65によって増幅された音声信号は、加算器66によって加算され、音像定位部61のX1に入力される。音像拡張部65によって増幅された音声信号と、音像拡張部64によって増幅された音声信号とは、加算器66によって加算され、音像定位部61のX3に入力される。
【0033】
音像定位部61は、X2、X1とX3が、上記のような設定に従って定位するように、各bus1〜8に音声信号を出力する。そして、各音像処理部60から出力された音声信号は、混合部70において、各bus1〜8毎に混合され、それぞれに対応するBUS1〜8に出力される。なお、図6は、BUSnとBUSn+1間に定位させた場合の出力電圧特性の例である。この図6において、横軸は、BUSn=0を基準としたときの定位位置のBUSn+1=1のポジションに対する比率であり、音圧レベルの総和が一定となるように制御されている。BUS1〜8からの出力は、D/A変換部50により変換され、各スピーカSP1〜8に出力される。BUS1〜8からの出力は、D/A変換部50により変換され、各スピーカSP1〜8に出力される。これにより、各スピーカSP1〜8から出力される音声は、入力信号のままの音像がX2の位置に定位し、その左右に高音域及び低音域が拡張された音像が定位したものとなる。
【0034】
[効果]
以上のような本実施形態によれば、定位させた音像の左右に、その高音域及び低音域を拡張した音像が定位するので、単に特定の音像を点で定位させたり、広がりを与えたりする場合に比べて、周波数に応じた広がりを与えることができ、聴取者に対して自然な音声を出力することができる。
【0035】
また、ハイパスフィルタ62として高域増強型のシェルピングタイプのイコライザを用い、ローパスフィルタ63として低域増強型のシェルピングタイプのイコライザとした場合、通常のダイバージェンスと相乗した効果が得られる。各音像拡張部64,65のゲインの増減で音像の幅を変えることができる。この場合、例えば、X1、X3のθが固定であっても、広がり感を簡単に調整することができる(つまりθを変えるのと同じ効果が得られる)。
【0036】
[他の実施形態]
本発明は、上記のような実施形態に限定されるものではない。例えば、上記の実施形態における音像拡張部を省略してもよい。すなわち、第1の実施形態における音像拡張部のいずれか一方若しくは双方を省略しても、X1〜X3の定位位置の調整によって、自然な広がりを得ることが可能である。また、高音域は方向性を有しているため、必ずしも選択的に拡張させる必要はない。このため、上記の実施形態において、ハイパスフィルタを省略することもできる。音源の数及びこれに対応する入力手段や音像処理部の数、スピーカの数及びこれに対応する経路の数も、自由に増減変更可能である。スピーカの配置位置も自由である。
【0037】
なお、上記の説明は、DSPによる音声信号の処理の一部を説明したに過ぎず、音声調整卓としての種々の機能を実現するために、DSPは、エコーやリバーブその他多くの処理を行うことができる。従って、上記の本実施形態による音声処理に加えて、各信号の周波数特性、位相等を調整する等の処理を行うことも可能である。フィルタによってどの程度の高音域若しくは低音域の周波数をカットオフするかは自由である。さらに、音像の拡張や定位のための演算処理も、現在又は将来において利用可能なあらゆる手法を適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施形態の全体構成を示す概略図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図3】図2の実施形態の音像拡張部を示すブロック図である。
【図4】図2の実施形態の元の音声信号の音像定位位置を示す説明図である。
【図5】図2の実施形態のフィルタ処理後の音声信号の音像定位位置を示す説明図である。
【図6】図2の実施形態のBUS間の出力電圧特性を示す説明図である。
【符号の説明】
【0039】
10…音声調整卓
20…操作卓
40…A/D変換部
50…D/A変換部
60…音像処理部
61…音像定位部
62…ハイパスフィルタ
63…ローパスフィルタ
64,65…音像拡張部
66,67…加算器
70…混合部
MC…マイク
SP1〜8…スピーカ
TP…テープ装置
HDD…ハードディスク装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から入力された元音声信号の音像を調整し、複数の出力手段に対応する複数の経路で出力する音像処理部を有する音声調整装置において、
前記音像処理部は、
前記元音声信号の周波数帯域ごとの利得を選択的に制御する周波数特性制御部と、
前記元音声信号及び前記周波数特性制御部から出力された音声信号を、それぞれ異なる位置に定位させる音像定位部と、
を有することを特徴とする音声調整装置。
【請求項2】
前記周波数特性制御部は、ローパスフィルタ及びハイパスフィルタの双方若しくは一方を含むことを特徴とする請求項1記載の音声調整装置。
【請求項3】
前記周波数特性制御部と前記音像定位部との間に、前記周波数特性制御部から出力された音声信号の音像を拡張する音像拡張部が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の音声調整装置。
【請求項4】
前記周波数特性制御部は、ローパスフィルタとハイパスフィルタを含み、
外部から入力された前記元音声信号の経路は、前記音像定位部へ入力される経路と、前記ローパスフィルタへ入力される経路と、前記ハイパスフィルタへ入力される経路とに分岐され、
前記ローパスフィルタの出力側には、前記ハイパスフィルタからの出力を加算して前記音像定位部へ出力する加算器が設けられ、
前記ハイパスフィルタの出力側には、前記ローパスフィルタからの出力を加算して前記音像定位部へ出力する加算器が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の音声調整装置。
【請求項5】
前記ハイパスフィルタ及び前記ローパスフィルタと前記加算器との間には、音声信号の音像を拡張する音像拡張部が設けられていることを特徴とする請求項4記載の音声調整装置。
【請求項6】
音像処理部が、外部から入力された元音声信号を調整し、複数の出力手段に対応する複数の経路で出力する音声調整方法において、
前記音像処理部が備える周波数特性制御部が、外部から入力された元音声信号の周波数帯域ごとの利得を選択的に制御し、
前記音像処理部が備える音像定位部が、前記元音声信号及び前記周波数特性制御部から出力された音声信号を、それぞれ異なる位置に定位させることを特徴とする音声調整方法。
【請求項7】
コンピュータを制御することにより、外部から入力された元音声信号を調整させ、複数の出力手段に対応する複数の経路で出力させる音声調整用プログラムにおいて、
前記コンピュータに、
外部から入力された元音声信号の周波数帯域ごとの利得を選択的に制御し、
この周波数帯域ごとの利得を選択的に制御された音声信号と前記元音声信号を、それぞれ異なる位置に定位させることを特徴とする音声調整用プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−101257(P2006−101257A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−285712(P2004−285712)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(390005223)株式会社タムラ製作所 (526)
【Fターム(参考)】