説明

音声送受信システム、及び音声送受信方法

【課題】不特定多数がいる環境で単純な機能を使用し、特定のユーザ間で手軽に音声データの送受信を実現する。
【解決手段】音声データ送信側端末1は、乱数発生機能2−1により、人間の非可聴音域となる乱数を発生し、音声データ暗号化機能2−2により、上記乱数を共通鍵として用いて、対象となる音声データを暗号化する。スピーカ3−2は、乱数を周波数とする音波を無音部分で出力するとともに、暗号化された音声データを音波として出力する。音声データ受信側端末10は、エンコード機能11−2により、マイク11−1により入力した音声をエンコードし、サンプリング周波数と共通鍵(復号鍵)とを取り出す。音声データ復号化機能12−1は、サンプリング周波数と復号鍵を用いて、入力された暗号化された音声を復号し、スピーカ13−2から出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声送受信システム、及び音声送受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
不特定多数が集まる集会などで、ある音声ファイルを特定の相手、あるいは特定のグループにだけ聞かせたい場合、通信が可能な環境であれば、相手にファイルを直接送信し、相手側の環境で再生してもらうなどの手段が取れる。例えば、特許文献1、2には、音楽保護方式、及びこれを利用したオーディオデータ配信システムとして、非可聴音域を共通鍵として暗号化/復号化を行わせる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−312299号公報
【特許文献2】特許第23329448号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1、2では、共通鍵を1つしか使っていないため暗号化の堅牢性が弱い。また、暗号化にも正弦波を重ね合わせるという方式を採用しているため完全に別の音とはならない。更に、伝達手段としてはインターネットを前提としており、圏外など、どうしても通信を使うことができない状況や、ファイルサイズが大きい場合に、通信を使わずに特定の相手、あるいは特定のグループにだけ音声ファイルの内容を伝えることは不可能であった。
【0005】
そこで本発明は、不特定多数がいる環境でマイクとスピーカという単純な機能を使用し、特定のユーザ間で手軽に音声データの送受信を実現することができる音声送受信システム、及び音声送受信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の音声送受信システムは、暗号化された音声を出力する送信側端末と暗号化された音声を受信し復号化して再生出力する受信側端末とからなる音声送受信システムであって、前記送信側端末は、乱数を発生する乱数発生手段と、前記乱数発生手段により発生された乱数を共通鍵として用いて、対象となる音声データを暗号化する音声データ暗号化手段と、前記乱数発生手段により発生された乱数を、人間の非可聴音域の音波として出力するとともに、前記音声データ暗号化手段で暗号化された音声データを音波として出力する第1音声出力手段とを備え、前記受信側端末は、音声を入力する音声入力手段と、前記音声入力手段で入力された音声から、人間の非可聴音域に埋め込まれた乱数を復号鍵として取り出す復号鍵取出手段と、前記復号鍵取出手段によって取り出された復号鍵を用いて、前記音声入力手段で入力された暗号化された音声を復号する復号手段と、前記復号手段によって復号された音声を音波として出力する第2音声出力手段とを備えることを特徴とする音声送受信システムである。
【0007】
本発明の音声送受信方法は、送信側端末と受信側端末との間で暗号化された音声を送受信する音声送受信方法であって、前記送信側端末が、発生した値を周波数とする音波を出力した際に、人間の非可聴音域となる乱数を発生する乱数発生ステップと、前記送信側端末が、前記乱数発生ステップで発生された乱数を共通鍵として用いて、対象となる音声データを暗号化する音声データ暗号化ステップと、前記送信側端末が、前記乱数発生ステップで発生された乱数の値を周波数とする音波を、暗号化した音声データの先頭に設けた無音部分で出力するとともに、前記音声データ暗号化ステップで暗号化された音声データを音波として出力する第1の音声出力ステップと、前記受信側端末が、前記送信側端末から出力される音声を入力する音声入力ステップと、前記受信側端末が、前記音声入力ステップで入力される音声の先頭に設けられた無音部分に人間の非可聴音域の音波として埋め込まれた乱数を、復号鍵として取り出す復号鍵取出ステップと、前記受信側端末が、前記復号鍵取出ステップで取り出された復号鍵を用いて、前記音声入力ステップで入力された暗号化された音声を復号する復号ステップと、前記復号ステップで復号された音声を音波として出力する第2の音声出力ステップとを含む音声送受信方法である。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、不特定多数がいる環境でマイクとスピーカという単純な機能を使用し、特定のユーザ間で手軽に音声データの送受信を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態による音声データ送受信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態による音声データ送信側端末1の動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】本実施形態による音声データ送信側端末1の暗号化処理の動作を説明するための概念図である。
【図4】本実施形態による音声データ受信側端末10の動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】本実施形態による音声データ受信側端末10による復号化処理の動作を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、音声データの再生を可能とし、それを外部に出力するためのスピーカ及びマイクを備えた装置において、通信技術を使うことなく、不特定多数の人間がいる状況においても、特定の人間にだけ音声データの情報を直接伝えることを可能としたことを特徴としている。
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態による音声データ送受信システムの構成を示すブロック図である。図において、音声データ送受信システムは、音声データを暗号化して発信する音声データ送信側端末1と、受信した音声データを復号化する音声データ受信側端末10とから構成される。
【0013】
音声データ送信側端末1は、暗号化処理部2、及び音声データ送信部3から構成される。暗号化処理部2は、共通鍵を作るために乱数発生機能2−1を用いて25,000以上の値の乱数を発生させる。25,000という数値の理由は、乱数発生機能2−1で発生させた数値は、そのままスピーカから音波として出力されるため、人間の可聴領域以上の周波数を取っておくことで、共通鍵となる音が鳴っていることを人間に感知できないようにするためである。
【0014】
乱数発生機能2−1で出力された数値は、共通鍵として音声データ暗号化機能2−2に渡される。音声データ暗号化機能2−2は、この共通鍵を使用して対象となる音声データ(暗号化前)2−3を暗号化し、音声データ(暗号化後)2−4として出力する。なお、暗号化の詳細については後述する。
【0015】
音声データ送信部3は、デコード機能3−1を用いて、暗号化処理部2で暗号化された音声データ(暗号化後)2−4を音波として再生できるようデコードを行い、デコードされた音声データをスピーカ3−2から出力する。
【0016】
音声データ受信側端末10は、音声データ受信部11、復号化処理部12、及び音声データ再生部13から構成されている。音声データ受信部11は、エンコード機能11−2を用いて、マイク11−1から入力されたアナログデータをデジタルデータとして処理できるようエンコード処理を行う。それ以外にも、音声データ受信部11は、エンコードを行う際のサンプリング周波数を記録しておくためのサンプリング周波数記録部11−3と、エンコード後のデータを復号化するための共通鍵を記録しておくための共通鍵記録部11−4とを有する。
【0017】
なお、エンコードは、毎秒行われ、エンコードされたデータに対しては、後述する復号化処理部12にて復号化が行われる。復号化処理部12では、音声データ復号化機能12−1を用いて、上述した共通鍵を使用して音声データ(復号化前)12−2の復号化を行い、音声データ(復号化後)12−2として出力する。なお、復号化の詳細については後述する。
【0018】
音声データ再生部13では、デコード機能13−1を用いて、復号化処理部12で復号化された音声データを音波として再生できるようデコードを行い、デコードされた音声データをスピーカ13−2から任意の音量で出力する。
【0019】
次に、上述した実施形態の動作について説明する。
図2は、本実施形態による音声データ送信側端末1の動作を説明するためのフローチャートである。音声データ送信側端末1は、まず、暗号化前の音声データ2−3をメモリ上に展開する(ステップS10)。その後、音声データ2−3のヘッダ部と実音データ部との間に、1秒間の無音データを挿入する(ステップS12)。次に、実音データを秒単位で暗号化する。暗号化の開始位置を、上記無音データ終了位置(t=1)とし(ステップS14)、暗号化を行う前に、まず、t〜t+1秒間に実音データが存在するか判定を行う(ステップS16)。
【0020】
そして、実音データが存在する場合には(ステップS16のYES)、乱数発生機能2−1を用いて25,000以上の数値を発生させる(ステップS18)。続いて、発生させた乱数を使用し、t〜t+1秒間の実音データを暗号化する(ステップS20)。ここで暗号化処理について図3を参照して説明する。
【0021】
図3は、本実施形態による音声データ送信側端末1の暗号化処理の動作を説明するための概念図である。なお、図3の右側には、実例としてサンプリング周波数が26Hz、各サンプル値がA〜Z、発生させた乱数が25126個のデータを暗号化する場合の手順を示している。
【0022】
まず、サンプリング周波数S(つまり、サンプル数がS個)のサンプルデータを発生させた乱数の桁数nで区切る(ステップS200)。続いて、サンプルデータを区切り位置で改行し、m×nの行列に並び替える(ステップS202)。その後、発生させた乱数の各位を昇順に並び替え、その際、対応する列についても同様に列ごと並び替える(ステップS204)。
【0023】
並び替えが完了したら、今度は、列ごとに横方向に一行に並び替える(ステップS206)。すると、元の実音データは、サンプルの順番が並び替えられたことにより、音声データとして聞いても理解できない暗号化されたデータとして振舞うことが可能となる(ステップS208)。
【0024】
以上により、暗号化が完了したら乱数発生機能2−1で発生させた値を、t−1〜t秒間の実音データに周波数として重ね合わせ(ステップS22)、tをインクリメントし(ステップS24)、ステップS16に戻ることで、次の実音データの暗号化処理を行う。
【0025】
以上の処理を繰り返し、全ての実音データを暗号化することが完了したら(ステップS16のNO)、デコード機能3−1を用いて、暗号化後の音声データをデコードし(ステップS26)、サンプリング周波数がいくつであるかを音声データ受信側端末10に通知するために、サンプリング周波数を音波として、1秒間、スピーカ3−2から再生し(ステップS28)、その後、デコードした暗号化後の音声データを、スピーカ3−2から再生する(ステップS30)。以上で、音声データ送信側端末1の処理は完了となる。
【0026】
図4は、本実施形態による音声データ受信側端末10の動作を説明するためのフローチャートである。音声データ受信側端末10は、まず、マイク11−1から入力される音波を音声データの開始位置(t=0)から秒単位で記録する(ステップS40、S42)。次いで、t=0であるか否かを判断し(ステップS44)、t=0の場合には(ステップS44のYES)、その位置から1秒間鳴動する音波は、対象データのサンプリング周波数なので、復号化処理を行わず、鳴動する音波をサンプリング周波数として、サンプリング周波数記録部11−3に記録する(ステップS46)。その後、tをインクリメントし(ステップS64)、ステップS42に戻る。
【0027】
続いて、次のt〜t+1秒間を記録した際、25,000Hz以上の音波(振動音)が含まれているか否かを判断する(ステップS48)。そして、そのt〜t+1秒間に25,000Hz以上の音波が含まれている場合には(ステップS48のYES)、t+1〜t+2秒間の音声データを復号化するための復号鍵として、この25,000Hz以上の音波を共通鍵記録部11−4に記録する(ステップS50)。
【0028】
次いで、t=1であるか否かを判断し(ステップS52)、t=1の場合には(ステップS52のYES)、t〜t+1秒間に25,000Hz以上の音波(振動音)が含まれているか否かを判断する(ステップS62)。そして、25,000Hz以上の音波が含まれている場合には(ステップS62のYES)、tをインクリメントし(ステップS64)、ステップS42に戻る。
【0029】
一方、t〜t+1秒間に25,000Hz以上の音波(振動音)が含まれていない場合(ステップS48のNO)、あるいは、t=1でない場合には(ステップS52のNO)、その位置から1秒間鳴動する音波、すなわち、t〜t+1秒間のアナログデータを、エンコード機能11−2を用いて、記録したサンプリング周波数を使ってデジタルデータにエンコードする復号化処理を行う(ステップS56)。ここで復号化について図5を参照して説明する。
【0030】
図5は、本実施形態による音声データ受信側端末10による復号化処理の動作を説明するための概念図である。なお、図5の右側には、実例として図3の右側で暗号化した音声データを復号化する場合の手順を示している。
【0031】
まず、サンプリング周波数Sの空のサンプルデータ(S個のサンプルデータ)を用意し、そのデータを復号鍵として記録した25,000Hz以上の非可聴音域周波数の桁数で区切る(ステップS560)。続いて、サンプルデータを区切り位置で改行し、m×nの行列に並び替える(ステップS562)。その後、非可聴音域周波数の各位を昇順に並び替え、その際、対応する列についても同様に列ごと並び替える(ステップS564)。
【0032】
並び替えが済んだら、並び替えた行列の列の要素数ごとに復号化前の音声データを区切る(ステップS566)。そして、区切り位置ごとに前もって並び替えておいた空のサンプリデータに値を入れる(ステップS568)。値が挿入された行列は、昇順に並び替える前の状態に戻し(ステップS570)、今度は行単位で一列に並び替えることで、暗号化前のデータに復元することが可能となる(ステップS572)。
【0033】
以上により復号化が完了したら、デコード機能13−1を用いて、そのデータをデコードし(ステップS58)、スピーカ13−2にて再生を行う(ステップS60)。次いで、t〜t+1秒間に25,000Hz以上の音波(振動音)が含まれているか否かを判断する(ステップS62)。そして、25,000Hz以上の音波が含まれている場合には(ステップS62のYES)、tをインクリメントし(ステップS64)、ステップS42に戻る。一方、25,000Hz以上の音波が含まれていない場合には(ステップS62のNO)、全ての実音データの復号化が完了したと判断し、音声データ受信側端末10の処理を完了する。
【0034】
上述した実施形態によれば、再生する音声データを暗号化しているので、不特定多数の人間が大勢いる状況でも、特定の人間にだけに、伝えたい情報を伝えることができる。
【0035】
また、上述した実施形態によれば、スピーカとマイクとを使って情報の送受信を行っているので、電波が届かない圏外でも情報の送受信を行うことができる。
【0036】
さらに、上述した実施形態によれば、暗号の共通鍵を人間の非可聴音域に埋め込んでいるので、復号化するための端末を持たない人間にとっては復号鍵が鳴動していることすら感知することができず、秘匿性を高めることができる。
【0037】
なお、上述した実施形態では、音声データを画像データ、非可聴音域を非可視領域に変更することで、画像データについても同様に暗号/複合化を行うことが可能である。
【0038】
また、本実施形態は、音声データ送信側端末1、音声データ受信側端末10として、専用の端末以外にも、例えば、携帯電話や、デジタルカメラ、携帯情報端末、パーソナルコンピュータ、通信機、その他の電子機器等にも幅広く適用できる。
【0039】
以下、本発明の特徴を付記する。
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
図1は、付記1の構成図である。この図に示すように、付記1記載の発明は、
暗号化された音声を出力する送信側端末1と暗号化された音声を受信し復号化して再生出力する受信側端末10とからなる音声送受信システムであって、
前記送信側端末1は、
乱数を発生する乱数発生手段2−1と、
前記乱数発生手段2−1により発生された乱数を共通鍵として用いて、対象となる音声データを暗号化する音声データ暗号化手段2−2と
前記乱数発生手段2−1により発生された乱数を、人間の非可聴音域の音波として出力するとともに、前記音声データ暗号化手段2−2で暗号化された音声データを音波として出力する第1音声出力手段3−2と
を備え、
前記受信側端末10は、
音声を入力する音声入力手段11−1と、
前記音声入力手段11−1で入力された音声から、人間の非可聴音域に埋め込まれた乱数を復号鍵として取り出す復号鍵取出手段11−2と、
前記復号鍵取出手段11−2によって取り出された復号鍵を用いて、前記音声入力手段11−1で入力された暗号化された音声を復号する復号手段12−1と、
前記復号手段12−1によって復号された音声を音波として出力する第2音声出力手段13−2と
を備えることを特徴とする音声送受信システムである。
【0040】
(付記2)
前記乱数発生手段は、前記乱数の値を周波数とする音波を出力した際に、人間の非可聴音域となる値を有する乱数を発生し、
前記第1音声出力手段は、前記乱数発生手段により発生された乱数を、暗号化した音声データの先頭に設けた無音部分で出力する
ことを特徴とする付記1に記載の音声送受信システムである。
【0041】
(付記3)
前記音声データ暗号化手段は、
所定のサンプリング周波数の音声データを、前記乱数発生手段により発生された乱数の桁数で区切り、
該区切った音声データを、区切り位置で改行し、m×nの行列に並び替え、
発生させた乱数の各行が昇順となるように、対応する列ごと並び替え、並び替えた行列を列毎に改行し、一行のデータ列に並び替え、
該並び替えたデータ列を暗号化済みの音声データとして出力する
ことを特徴とする付記1に記載の音声送受信システムである。
【0042】
(付記4)
前記第1音声出力手段は、前記音声データ暗号化手段によって暗号化された音声データを音波として出力するのに先だって、前記音声データ暗号化手段で用いたサンプリング周波数の音波を出力することを特徴とする付記3に記載の音声送受信システムである。
【0043】
(付記5)
前記受信側端末は、
前記音声入力手段で入力された音声から、前記音声を暗号化する際に用いたサンプリング周波数を取り出すサンプリング周波数取出手段を更に具備し、
前記復号手段は、前記復号鍵取出手段によって取り出された復号鍵、及び前記サンプリング周波数取出手段によって取り出されたサンプリング周波数を用いて、前記音声入力手段で入力された暗号化された音声を復号する
ことを特徴とする付記4に記載の音声送受信システムである。
【0044】
(付記6)
前記復号手段は、
前記サンプリング周波数の空の音声データを、前記復号鍵の桁数で区切り、
前記サンプリング周波数の空の音声データを前記区切り位置で改行し、m×nの行列に並び替え、
前記復号鍵の各位を昇順に並び替え、対応する列についても同様に列ごと並び替え、
並び替えた行列の列の要素数ごとに復号化前音声データを区切り、
前記区切り位置ごとに昇順に並び替えた空の行列に値を入れ、
前記昇順に並び替えた行列を前記復号鍵の元の順序に並びに戻し、
前記並び替えたデータを暗号化済みデータとして出力する
ことを特徴とする付記5に記載の音声送受信システムである。
【0045】
(付記7)
付記7記載の発明は、
送信側端末と受信側端末との間で暗号化された音声を送受信する音声送受信方法であって、
前記送信側端末が、発生した値を周波数とする音波を出力した際に、人間の非可聴音域となる乱数を発生する乱数発生ステップと、
前記送信側端末が、前記乱数発生ステップで発生された乱数を共通鍵として用いて、対象となる音声データを暗号化する音声データ暗号化ステップと、
前記送信側端末が、前記乱数発生ステップで発生された乱数の値を周波数とする音波を、暗号化した音声データの先頭に設けた無音部分で出力するとともに、前記音声データ暗号化ステップで暗号化された音声データを音波として出力する第1の音声出力ステップと、
前記受信側端末が、前記送信側端末から出力される音声を入力する音声入力ステップと、
前記受信側端末が、前記音声入力ステップで入力される音声の先頭に設けられた無音部分に人間の非可聴音域の音波として埋め込まれた乱数を、復号鍵として取り出す復号鍵取出ステップと、
前記受信側端末が、前記復号鍵取出ステップで取り出された復号鍵を用いて、前記音声入力ステップで入力された暗号化された音声を復号する復号ステップと、
前記復号ステップで復号された音声を音波として出力する第2の音声出力ステップと
を含む音声送受信方法である。
【符号の説明】
【0046】
1 音声データ送信側端末
2 暗号化処理部
2−1 乱数発生機能
2−2 音声データ暗号化機能
2−3 音声データ(暗号化前)
2−4 音声データ(暗号化後)
3 音声データ送信部
3−1 デコード機能
3−2 スピーカ
10 音声データ受信側端末
11 音声データ受信部
11−1 マイク
11−2 エンコード機能
11−3 サンプリング周波数記録部
11−4 共通鍵記録部
12 復号化処理部
12−1 音声データ復号化機能
12−2 音声データ(復号前)
12−3 音声データ(復号後)
13 音声データ再生部
13−1 デコード機能
13−2 スピーカ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
暗号化された音声を出力する送信側端末と暗号化された音声を受信し復号化して再生出力する受信側端末とからなる音声送受信システムであって、
前記送信側端末は、
乱数を発生する乱数発生手段と、
前記乱数発生手段により発生された乱数を共通鍵として用いて、対象となる音声データを暗号化する音声データ暗号化手段と
前記乱数発生手段により発生された乱数を、人間の非可聴音域の音波として出力するとともに、前記音声データ暗号化手段で暗号化された音声データを音波として出力する第1音声出力手段と
を備え、
前記受信側端末は、
音声を入力する音声入力手段と、
前記音声入力手段で入力された音声から、人間の非可聴音域に埋め込まれた乱数を復号鍵として取り出す復号鍵取出手段と、
前記復号鍵取出手段によって取り出された復号鍵を用いて、前記音声入力手段で入力された暗号化された音声を復号する復号手段と、
前記復号手段によって復号された音声を音波として出力する第2音声出力手段と
を備えることを特徴とする音声送受信システム。
【請求項2】
前記乱数発生手段は、前記乱数の値を周波数とする音波を出力した際に、人間の非可聴音域となる値を有する乱数を発生し、
前記第1音声出力手段は、前記乱数発生手段により発生された乱数を、暗号化した音声データの先頭に設けた無音部分で出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の音声送受信システム。
【請求項3】
前記音声データ暗号化手段は、
所定のサンプリング周波数の音声データを、前記乱数発生手段により発生された乱数の桁数で区切り、
該区切った音声データを、区切り位置で改行し、m×nの行列に並び替え、
発生させた乱数の各行が昇順となるように、対応する列ごと並び替え、並び替えた行列を列毎に改行し、一行のデータ列に並び替え、
該並び替えたデータ列を暗号化済みの音声データとして出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の音声送受信システム。
【請求項4】
前記第1音声出力手段は、前記音声データ暗号化手段によって暗号化された音声データを音波として出力するのに先だって、前記音声データ暗号化手段で用いたサンプリング周波数の音波を出力することを特徴とする請求項3に記載の音声送受信システム。
【請求項5】
前記受信側端末は、
前記音声入力手段で入力された音声から、前記音声を暗号化する際に用いたサンプリング周波数を取り出すサンプリング周波数取出手段を更に具備し、
前記復号手段は、前記復号鍵取出手段によって取り出された復号鍵、及び前記サンプリング周波数取出手段によって取り出されたサンプリング周波数を用いて、前記音声入力手段で入力された暗号化された音声を復号する
ことを特徴とする請求項4に記載の音声送受信システム。
【請求項6】
前記復号手段は、
前記サンプリング周波数の空の音声データを、前記復号鍵の桁数で区切り、
前記サンプリング周波数の空の音声データを前記区切り位置で改行し、m×nの行列に並び替え、
前記復号鍵の各位を昇順に並び替え、対応する列についても同様に列ごと並び替え、
並び替えた行列の列の要素数ごとに復号化前音声データを区切り、
前記区切り位置ごとに昇順に並び替えた空の行列に値を入れ、
前記昇順に並び替えた行列を前記復号鍵の元の順序に並びに戻し、
前記並び替えたデータを暗号化済みデータとして出力する
ことを特徴とする請求項5に記載の音声送受信システム。
【請求項7】
送信側端末と受信側端末との間で暗号化された音声を送受信する音声送受信方法であって、
前記送信側端末が、発生した値を周波数とする音波を出力した際に、人間の非可聴音域となる乱数を発生する乱数発生ステップと、
前記送信側端末が、前記乱数発生ステップで発生された乱数を共通鍵として用いて、対象となる音声データを暗号化する音声データ暗号化ステップと、
前記送信側端末が、前記乱数発生ステップで発生された乱数の値を周波数とする音波を、暗号化した音声データの先頭に設けた無音部分で出力するとともに、前記音声データ暗号化ステップで暗号化された音声データを音波として出力する第1の音声出力ステップと、
前記受信側端末が、前記送信側端末から出力される音声を入力する音声入力ステップと、
前記受信側端末が、前記音声入力ステップで入力される音声の先頭に設けられた無音部分に人間の非可聴音域の音波として埋め込まれた乱数を、復号鍵として取り出す復号鍵取出ステップと、
前記受信側端末が、前記復号鍵取出ステップで取り出された復号鍵を用いて、前記音声入力ステップで入力された暗号化された音声を復号する復号ステップと、
前記復号ステップで復号された音声を音波として出力する第2の音声出力ステップと
を含む音声送受信方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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