説明

音声通知装置

【課題】 設置の手間の煩雑性を解消することができる、小型の音声通知装置を提供する。
【解決手段】 音声通知装置1は、受光した光により発電する板状の光発電部3と、前記光発電部で発電された電力を蓄積する蓄電部11と、音声を出力する音声出力部8と、人の接離を検出する人感センサ9と、前記人感センサ9により所定の範囲内に人が近接したときに前記蓄電部11に蓄えられた電力により音声信号を生成し、前記音声信号に基づいて前記音声出力部により音声を発生するように制御する制御部10と、前記蓄電部11、音声出力部8、制御部10を収容するケーシング5と、を備える

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近隣に存在する人物に音声情報を通知するための音声通知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来所定の検知エリア内に人物が侵入すると、警告音を発生する装置が知られている。このような装置は、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に記載のセキュリティシステムは、所定のエリア内に浸入した被検知体を検知するセンサと、警報を発する警報器と、システムの電源となる太陽電池と、システムを制御し太陽電池から出力される電気エネルギーを蓄電するための蓄電池を収納する制御盤を備え、制御盤と太陽電池とセンサと警報器がそれぞれモジュラーケーブルで接続されたものである。
【0004】
上記システムは、それぞれの機器を別々に適した箇所へ設置でき、機能に適した設置位置を設定することができ、また、太陽電池を利用することでシステムに必要な電力を得るため、外部電源が不要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−191187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記装置は、システムを構成するそれぞれの装置が別々に構成されており、装置ごとに取り付ける必要があるため、設置の手間が煩雑であり、システム全体として大型なものとなり、コスト上の問題もある。
【0007】
また、上記セキュリティシステムは、それぞれの装置を別に設けることで、防犯を強化するものであるが、所定エリア内に存在する人物を検知して音声を発生する装置としては、必ずしも防犯目的に使用されるものである必要はない。上記装置は、防犯目的として使用される場合にはより高度な目的を実現することができる場合もあるが、上記の設置の手間の煩雑性、装置の大型化、高コスト化は問題となる場合がある。
【0008】
本発明は、上記設置の手間の煩雑性を解消することができる、小型の音声通知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の構成の音声通知装置を提供する。
【0010】
本発明の第1態様によれば、受光した光により発電する板状の光発電部と、
前記光発電部で発電された電力を蓄積する蓄電部と、
音声を出力する音声出力部と、
人の接離を検出する人感センサと、
前記人感センサにより所定の範囲内に人が近接したときに前記蓄電部に蓄えられた電力により音声信号を生成し、前記音声信号に基づいて前記音声出力部により音声を発生するように制御する制御部と、
前記蓄電部、音声出力部、制御部を収容するケーシングと、
を備えることを特徴とする、音声通知装置を提供する。
【0011】
本発明の第2態様によれば、前記ケーシングは、開口を有する有底容器状に形成され、
前記光発電部は、前記ケーシングの開口を密閉するように前記ケーシングに固定されていることを特徴とする、第1態様の音声通知装置を提供する。
【0012】
本発明の第3態様によれば、前記人感センサは、前記ケーシング外にケーブルを介して設けられていることを特徴とする、第1又は第2態様の音声通知装置を提供する。
【0013】
本発明の第4態様によれば、受光した光により発電する板状の光発電部と、
前記光発電部で発電された電力を蓄積する蓄電部と、
音声を出力する音声出力部と、
予め決められたタイミングで前記蓄電部に蓄えられた電力により音声信号を生成し、前記音声信号に基づいて前記音声出力部により音声を発生するように制御する制御部と、
前記蓄電部、音声出力部、制御部を収容するケーシングと、
を備えることを特徴とする、音声通知装置を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、受光した光により発電する板状(フィルム状又はパネル状)の光発電部によって発電された電力を蓄積する蓄電部を備えており、当該蓄電部の電力により装置を駆動させるため、装置駆動を安定化させることができる。したがって、外部電源の設置の必要がない。また、蓄電部と制御部と音声出力部とが1つのケーシングに収納されていることにより、ケーシングを含む本体部分を所望の位置に設置し、光源に向けて板状の光発電部を設けるだけでよい。したがって、装置駆動のための電力供給をより効率よく行ないながら、装置全体の設置を簡単にすることができる。
【0015】
本発明の第2態様によれば、ケーシングに光発電部が一体的に構成されているため、単一の装置を設置するだけでより簡単に取り付けを行うことができる。
【0016】
本発明の第3態様によれば、人感センサがケーシングに収納されておらず、ケーブルを介して自由な方向に設置することができるので、検出エリアの設定をより自由に行う事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係る音声通知装置の全体概略図である。
【図2】図1の音声通知装置の機能ブロック図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る音声通知装置の全体概略図である。
【図4】図3の音声通知装置の分解図である。
【図5】図3の音声通知装置の裏面側から見た斜視図である。
【図6】図3の音声通知装置の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態にかかる音声通知装置の全体概略図である。図1に示す音声通知装置1は、箱状の本体2と太陽電池パネル3とを備えており、これらがケーブル4で接続された構成である。
【0020】
音声通知装置1は、小型の本体2を通路近辺などに設置し、当該通路を人間が通る際に音声により当該人間に情報を提供するものである。例えば、工事現場の入口などに設けることにより、入口から現場に入場する作業員に「ヘルメットはつけましたか。」、「安全に注意しましょう。」等の注意を喚起する音声を発生させることができる。また、例えば、動物園、水族館、美術館などの展示を行なう場所において、展示物の簡単な説明の音声を発生させることができる。
【0021】
音声通知装置1の本体2は、おおむね幅寸法が10cm程度の厚み方向に扁平な箱形状のケーシング5を備えており、ケーシング5の正面6に音声発生部の一例としてのスピーカ8が設けられている。本実施形態にかかる音声通知装置1では、人間が所定の領域内に存在するかどうかを検知するための人感センサ9がさらに設けられている。
【0022】
また、太陽電池パネル3は、本実施形態では、アモルファスシリコンの太陽電池モジュール2枚を並列に接続し、エネルギーやコスト的に効果を持たせている。なお、太陽電池の種類及び設置枚数は限定されるものではなく、結晶シリコンの太陽電池や薄膜系太陽電池を用いてもよい。
【0023】
ケーシング5に接続されたケーブル4は、太陽電池パネル3で発電された電力を本体2に収容されている内部回路に供給するものである。ケーシング5内に収納されている回路については、後述する。
【0024】
スピーカ8は、小型のものが用いられており、後述する内部回路により生成された音声信号に基づいて音声を発生する。
【0025】
人感センサ9としては、赤外線センサ又は光センサ等を用いることができる。赤外線センサは、所定の検知エリア内の人体から放射される熱線を検知することで、人間の在否を検出する焦電型のセンサが用いられている。ケーシング5の表面6には、人感センサ9の検出端子が露出した状態に設けられている。また、光センサは、周囲の明るさを測定するものであり、所定以上の明度を検知すると、信号を出力する。たとえば、光センサの前を人物が横切った場合、これによりセンサへの光の照射が途切れて明度の閾値を超えることにより、人の存在を検知することができる。
【0026】
図2は、図1の音声通知装置の機能ブロック図である。音声通知装置1には、本体2のケーシング5内部に、スピーカ8、人感センサ9,制御部10,コンデンサ11,音声合成部12、アンプ部13が設けられている。
【0027】
制御部10は、人感センサ9からの検出信号を受信して、後述するとおり、装置全体の動作制御を行なう。本実施形態では、制御部10は、集積回路で構成されており、予め動作プログラムが内部に記憶されている。
【0028】
蓄電部の一例としてのコンデンサ11は、太陽電池パネル3により発電された電力を蓄積する。本実施形態で用いられているコンデンサ11は、小型のものであり、静電容量としては、1F程度のものが好適に用いられる。コンデンサ11の容量は、音声合成部12により出力される音声信号の長さ、アンプ13による増幅率、スピーカの種類などに応じて適宜変更することができる。
【0029】
音声合成部12は、音声信号を合成する。合成された音声信号はスピーカ8から出力される。発生音声は、予め記録されており、制御部10からのトリガ信号により、音声信号を出力する。
【0030】
本実施形態の音声通知装置1は、ケーシング5の正面に設けられている人感センサ9の検出端子が検知エリアを向くように配置し、太陽電池パネル3の角度を調整して設置する。本実施形態では、太陽電池パネル3に照射される光の照度が3000ルクス程度であれば、十分に動作できる程度に構成されており、野外であれば天候に関係なく白昼時には動作可能である。太陽電池パネル3により発電された電力は、コンデンサ11に蓄電されており、各ブロックは当該コンデンサ11の電力を利用して動作する。
【0031】
検知エリアに人が存在しない状態では、音声通知装置1は、スタンバイ状態となっており、人感センサ9からの出力信号をトリガとして、下記の動作を行なう。
【0032】
検知エリアに人が浸入すると、人感センサ9がこれを検出し、制御部10に信号を送信する。なお、人感センサ9に光センサと赤外線センサを共用した場合は、夜間に人物が検知エリアに浸入した場合に音声を発生させないようにすることができる。すなわち、工事現場など、作業員が出入りしない夜間に注意を喚起する必要もなく、また、太陽電池による蓄電も行なわれないことから、一定以上の明るさがある場合にのみ動作するようにしたものである。
【0033】
人感センサ9からの出力信号を受けた制御部10は、音声合成部12に信号を送り、音声合成部12に予め記憶されている音声信号の出力を行なう。音声合成部12から出力された音声信号は、アンプ部13により増幅され、予め設定された音量でスピーカから出力される。
【0034】
スピーカ8からの音声再生が終了すると、制御部10はスタンバイ状態に戻り、人感センサ9からの検出信号を受信すると上記動作を繰り返し行なう。
【0035】
以上、本実施形態にかかる音声通知装置によれば、本体の赤外線センサを検出エリアに向け、さらに太陽電池パネルを光源方向に向けて設置するだけでよく、外部電源などを設ける必要がないため、設置の手間を簡単にすることができる。
【0036】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態にかかる音声通知装置について説明する。第2実施形態にかかる音声通知装置は、その構成を第1実施形態にかかる音声通知装置と共通にする部分があるため、以下、相違点を中心として説明する。
【0037】
図3は、本発明の第2実施形態にかかる音声通知装置の全体概略図である。図4は、第2実施形態にかかる音声通知装置の分解図である。図3に示す音声通知装置21は、箱状の本体2と人感センサの一例としての赤外線センサ29とを備えており、これらがケーブル24で接続された構成である。
【0038】
音声通知装置21の本体22は、おおむね幅寸法が10cm程度の厚み方向に扁平な箱形状のケーシング25を備えている。図4に示すように、ケーシング25は、有底容器状の箱形形状であり、後述する回路を収納する。また、ケーシング25の底壁26内面には、音声発生部の一例としての圧電ブザー28が取り付けられている。
【0039】
太陽電池パネル23は、ケーシング25の開口部分を密閉することができる寸法に構成されており、蓋として機能する。なお、太陽電池パネルのみでは十分に密閉できない場合は、ケーシングの内部にさらに密閉用の蓋体を別途設けてもよい。太陽電池パネルをケーシングに取り付けることで、例えば、ケーシング内部への水の浸入を防止することができ、内部の回路を保護することができる。
【0040】
ケーシング25に接続されたケーブル24は、赤外線センサ29に接続されている。赤外線センサ29は、所定の検知エリア内の人体から放射される熱線を検知することで、人間の在否を検出する焦電型のセンサが用いられている。
【0041】
図5に示すように、音声通知装置21の本体2の裏面には、圧電ブザー28及び本体22を固定するための取付部材30が設けられている。
【0042】
圧電ブザー28は、小型のものが用いられており、後述する内部回路により生成された信号に基づいて音声を発生する。圧電ブザー28は、音声発生時の消費電力が小さく、太陽電池パネル23の発電量が小さくても、長時間にわたり装置を動作させることができる。
【0043】
取付部材30は、本体22を取り付けるための部材であり、特にその構成については限定されるものではない。ただし、本体の上面に設けられている太陽電池パネル23へ光が効率よく入射できるように本体22の取付角度を調整することができるように構成されていることが好ましい。
【0044】
図6は、図3の音声通知装置の機能ブロック図である。音声通知装置21には、本体22のケーシング25内部に、圧電ブザー28、制御部31、コンデンサ32、アンプ部33が設けられている。
【0045】
制御部31は、人感センサ29からの検出信号を受信して、後述するとおり、装置全体の動作制御を行なう。本実施形態では、制御部31は、集積回路で構成されており、予め動作プログラムが内部に記憶されている。
【0046】
蓄電部の一例としてのコンデンサ32は、太陽電池パネル23により発電された電力を蓄積する。本実施形態で用いられているコンデンサ32は、小型のものであり、静電容量としては、1F程度のものが好適に用いられる。コンデンサ32の容量は、圧電ブザー28の駆動電力が小さいため、第1実施形態のものと比較して容量を小さくすることができる。
【0047】
本実施形態の音声通知装置21は、赤外線センサ29が検知エリアを向くように配置し、太陽電池パネル23の角度を調整して本体22を設置する。太陽電池パネル23により発電された電力は、コンデンサ32に蓄電されており、各ブロックは当該コンデンサ32の電力を利用して動作する。
【0048】
検知エリアに人が存在しない状態では、音声通知装置21は、スタンバイ状態となっており、赤外線センサ29からの出力信号をトリガとして、下記の動作を行なう。
【0049】
検知エリアに人が浸入すると、赤外線センサ29がこれを検出し、制御部31に信号を送信する。これを受けた制御部31は、音声信号を出力する。制御部31から出力された音声信号は、アンプ部33により増幅され、予め設定された音量で圧電ブザー28から出力される。
【0050】
圧電ブザー28からの音声再生が終了すると、制御部31はスタンバイ状態に戻り、赤外線センサ29からの検出信号を受信すると上記動作を繰り返し行なう。
【0051】
以上、本実施形態にかかる音声通知装置によれば、赤外線センサを検出エリアに向けて自由に設定することができ、さらに本体22の表面に設けられている太陽電池パネルを光源方向に向けて設置するだけでよく、また、外部電源などを設ける必要がないため、設置の手間を簡単にすることができる。また、太陽電池パネル23はケーシングの蓋としての機能を有し、水の浸入などを防止して内部に収納されている回路を保護することができる。
【0052】
上記の通り、本発明の音声通知装置によれば、本体が小型に構成されているため、取り付けが簡易であり、また、太陽電池パネルと人感センサが自由な方向を向いて設置することができるため、検出エリアの設定及び太陽電池による電力の発生を効率よくすることができる。
【0053】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施可能である。たとえば、上記実施形態では音声発生部が設けられている本体に、太陽電池パネル及び人感センサのうちいずれか1つが搭載された例が開示されているが、双方とも本体に搭載せず、ケーブルを介して設けるようにしてもよい。
【0054】
また、例えば、頻繁に人が通過するような場所などに設置する場合は、人感センサを設けることなく、予め設定されたタイミングで音声を発生させるように構成することもできる。
【0055】
さらに、ケーシングの形状は、厚み方向に扁平な箱形形状に限らず、円型等の任意の形状を採用することができる。また、工事用足場などに取り付けるために細長い形状等にしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の音声通知装置は、人間が通過する通路などに設置して、当該通路を通る人間に音声による通知を行なうことで、広範な用途に利用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1、21 音声通知装置
2、22 本体
3、23 太陽電池パネル
4、24 ケーブル
5、25 ケーシング
6 ケーシング正面
7、27 ケーシング側面
8 スピーカ
9、29 赤外線センサ
10、31 制御部
11、32 コンデンサ
12 音声合成部
13、33 アンプ
26 ケーシング底壁
28 圧電ブザー
30 取付部材



【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光した光により発電する板状の光発電部と、
前記光発電部で発電された電力を蓄積する蓄電部と、
音声を出力する音声出力部と、
人の接離を検出する人感センサと、
前記人感センサにより所定の範囲内に人が近接したときに前記蓄電部に蓄えられた電力により音声信号を生成し、前記音声信号に基づいて前記音声出力部により音声を発生するように制御する制御部と、
前記蓄電部、音声出力部、制御部を収容するケーシングと、
を備えることを特徴とする、音声通知装置。
【請求項2】
前記ケーシングは、開口を有する有底容器状に形成され、
前記光発電部は、前記ケーシングの開口を密閉するように前記ケーシングに固定されていることを特徴とする、請求項1に記載の音声通知装置。
【請求項3】
前記人感センサは、前記ケーシング外にケーブルを介して設けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の音声通知装置。
【請求項4】
受光した光により発電する板状の光発電部と、
前記光発電部で発電された電力を蓄積する蓄電部と、
音声を出力する音声出力部と、
予め決められたタイミングで前記蓄電部に蓄えられた電力により音声信号を生成し、前記音声信号に基づいて前記音声出力部により音声を発生するように制御する制御部と、
前記蓄電部、音声出力部、制御部を収容するケーシングと、
を備えることを特徴とする、音声通知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−3645(P2012−3645A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−140072(P2010−140072)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(393000445)株式会社三共 (10)
【Fターム(参考)】