説明

音量制御装置、楽音制御装置、再生装置及びプログラム

【課題】利用者が指揮棒等の操作子を向けた方向に応じて、楽曲等の演奏のダイナミクスを制御する。
【解決手段】音量制御装置は、指揮棒2が利用者によって向けられた方位を指揮棒2において逐次検出して携帯電話機4に送信し、携帯電話機4は指揮棒2から送信された方位情報を受信する。携帯電話機4は、利用者によって設定された基準方位と受信した方位情報とに基づいて、基準方位から指揮棒2が向けられた方位の変化量に応じて音量を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、楽曲等の音データを再生する際の音量を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加速度センサを内蔵した指揮棒を利用者が振る動作を検出し、その動作に応じて自動演奏装置等による演奏のテンポや音量等を制御する技術が提案されている(下記特許文献1参照)。この技術は、利用者の指揮棒を振り下ろす角度や加速度のピーク値等により、どのような手振り動作であるかを特定し、利用者の手振り動作に応じたテンポや音量の制御を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−339181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、実際のオーケストラの指揮において、ある楽器演奏者の方向に指揮棒を向けて指揮棒が振られ、楽器のパート部分に個別に演奏の表情を与えようとする場合がある。上記従来技術の場合、指揮棒が上下方向に振られた動作によってテンポや音量等を制御することはできるが、実際のオーケストラを指揮するようにある方向を指して音量を制御することはできなかった。
本発明は、利用者による指揮棒等の動作方向に応じて演奏のダイナミクスを制御する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る音量制御装置は、方位を検出して方位情報を出力する方位検出手段を有し、操作者により把持または装着されて移動可能な操作子と、基準方位を設定する基準方位設定手段と、前記基準方位設定手段により設定された基準方位と前記方位検出手段により出力された方位情報に基づいて、前記基準方位に対する前記操作子の方位の変化量を検出する検出手段と、音信号の再生経路に設けられ、前記検出手段により検出される前記変化量に応じて前記音信号の音量を制御する音量制御手段とを備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、操作者は操作子の方位を変化させるだけで音量を容易に変えることができる。
【0007】
また、前記音量制御装置の構成において、角度量と音量との関係を定義づけた音量条件を記憶する記憶手段を備え、前記音量制御手段は、前記記憶手段に記憶された前記音量条件に基づいて、前記変化量に対応する前記角度量と定義づけられている前記音量を特定し、特定した音量で前記音信号を再生するよう制御することとしてもよい。この構成によれば、操作子の方位に対応する音量を一意に特定することができる。
【0008】
また、本発明に係る楽音制御装置は、楽音信号を再生する楽音再生手段と、方位を検出して方位情報を出力する方位検出手段と、運動量を検出する運動量検出手段とを有し、操作者により把持または装着されて移動可能な操作子と、基準方位を設定する基準方位設定手段と、前記基準方位設定手段により設定された基準方位と前記方位検出手段により出力された方位情報に基づいて、前記基準方位からの前記操作子の方位の変化量を検出する検出手段と、前記楽音再生手段により再生される楽音信号の音量を、前記検出手段により検出される前記変化量に応じて制御する音量制御手段と、前記運動量検出手段により検出された運動量に応じて、前記楽音再生手段により再生される前記楽音信号のテンポを制御するテンポ制御手段とを備える。この構成によれば、操作子の方位に応じて再生される楽音の音量を制御することができると共に、操作子の運動量に応じて再生する楽音のテンポを変化させることができる。
【0009】
また、本発明に係る再生装置は、上記いずれかの音量制御装置と、前記音信号を再生する再生手段とを備える。この構成によれば、操作者は操作子の方位が変化するように動かすだけで、再生装置によって再生される音の音量を制御することができる。
【0010】
また、本発明に係るプログラムは、方位を検出して方位情報を出力し、操作者により把持または装着されて移動可能な操作子と接続され、入力された音信号を出力するコンピュータに、前記操作子により出力される前記方位情報を取得する取得ステップと、基準方位を設定する基準方位設定ステップと、前記基準方位設定ステップにより設定された基準方位と、前記取得ステップにより取得された前記方位情報に基づいて、前記基準方位からの前記操作子の方位の変化量を検出する検出ステップと、前記検出ステップにより検出される前記変化量に応じて、前記音信号の音量を制御する音量制御ステップとを実行させる。この構成によれば、操作子の方位を変化させるだけで、再生される音信号の音量を容易に変えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態1に係る音量制御装置の構成を示す図である。
【図2】実施形態1に係る音量制御装置における音量制御を説明する図である。
【図3】実施形態1に係る指揮棒の外観を示す図である。
【図4】実施形態1に係る音量制御装置のブロック図である。
【図5】(a)は、実施形態1における音量制御情報の例を示す図である。(b)は、実施形態1における楽曲情報の例を示す図である。
【図6】実施形態1の音量制御を説明する図である。
【図7】(a)は、実施形態1における方位変換テーブルの例を示す図である。(b)は、実施形態1におけるデフォルト基準方位情報の例を示す図である。
【図8】実施形態1における初期設定処理を示す動作フロー図である。
【図9】実施形態1における音量制御処理を示す動作フロー図である。
【図10】実施形態2に係る指揮棒のブロック図である。
【図11】実施形態2に係る指揮棒の内部を説明する図である。
【図12】(a)は、実施形態2における音量割合情報の例を示す図である。(b)は、実施形態2におけるピーク音量情報の例を示す図である。
【図13】実施形態2における音量制御処理を示す動作フロー図である。
【図14】実施形態2における音量レベル特定処理を示す動作フロー図である。
【図15】変形例(4)の音量制御タイミングを説明する図である。
【図16】(a)は、変形例(5)の音量制御を説明する図である。(b)は、変形例(6)の音量制御を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態1>
以下、本発明の実施形態1に係る音量制御装置ついて図面を参照して説明する。
<概要>
図1は、本実施形態に係る音量制御装置の外観を示している。図1に示すように、音量制御装置1は、操作子である指揮棒2と携帯電話機4で構成されており、指揮棒2と携帯電話機4はBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信により接続されている。携帯電話機4は、再生する音楽等を予め設定された音量で再生する通常モードと、ユーザが指揮棒2を振る方向に応じて、再生中の楽曲等の音量を制御する音量制御モードを有しており、ユーザの設定操作に応じて各モードを切り換える。図2は、音量制御モードにおける音量の制御例を示す図である。図2において、指揮棒2は、重力方向Gに対して垂直な平面Aにおいて水平に保持されているものとする。この例では、指揮棒2の先端部2aが向けられたP0方向が基準方位、つまり、指揮棒2が振られた方位に応じた音量制御を行う際の基準となる方位を示している。ユーザは、音量制御モードを設定の際に、所望する水平方向の方位に指揮棒2を向けて基準方位を設定することができる。図2の場合、基準方位のP0方向に指揮棒2を向けると音量Vp0、基準方位から矢印B方向に方位角90°に向けると音量Vp1、基準方位から矢印B方向に方位角180°に向けると音量Vp2に各々音量が変化する。このように、音量制御装置は、基準方位に対する指揮棒2の方位角に応じて音量を変化させることができる。以下、音量制御装置1の詳細について説明する。
【0013】
<構成>
まず、指揮棒2の構成について説明を行う。図3は、指揮棒2の外観を示している。図示するように、指揮棒2は、先端部2aとユーザが手に持つ柄の部分2bとで構成されており、先端部2aは柄の部分2bより細い棒形状を有し、柄の部分2bは略直方体の形状を有する。柄の部分2bの表面上部には、指揮棒2の電源のオン/オフを切り換える電源スイッチ2cと、後述する基準方位の設定を指示するための基準方位設定スイッチ2dが設けられており、柄の部分2bの内部には地磁気センサ2eが設けられている。指揮棒2の先端部2aは、ユーザが基準方位として設定したい方位、及び音量を変化させたい方位を指し示す。
【0014】
図4は、音量制御装置1のブロック図である。指揮棒2は、操作部21、方位検出部22、通信部23、及び制御部24を含んで構成されている。操作部21は、電源スイッチ2cと基準方位設定スイッチ2dを有しており、ユーザからのスイッチ操作を受付ける。この基準方位設定スイッチ2dは、上記音量制御モードの設定時に、ユーザによって指揮棒2が保持されている水平方向の方位を基準方位として設定するスイッチであり、基準方位設定スイッチ2dが押下されると基準方位の設定操作が行われたことを示す情報を出力する。
【0015】
方位検出部22は、上記地磁気センサ2eで構成されている。この地磁気センサ2eは、3軸の地磁気センサである。図3に示すように、指揮棒2の長手方向をy軸、基準設定スイッチ2dが設けられている面を上面とする場合の上下方向をz軸、左右方向をx軸として定義されており、各地磁気センサは、各地磁気センサの軸が互いに直交するxyz軸方向となるように設けられている。各地磁気センサは地磁気変化に応じて抵抗値が変化する素子で構成されており、各地磁気センサに一定のバイアス電流を流すことにより、指揮棒2の先端部2aが向けられた方向に応じて、xyz軸の各軸方向の地磁気を検出して各地磁気センサで得られる磁界を示す電圧値g(gx,gy,gz)を一定時間毎に出力する。
【0016】
通信部23は、Bluetooth(登録商標)の無線通信インタフェースであり、制御部24の制御の下、予め設定された指揮棒2を識別するためのID番号を送信データに含めて携帯電話機4に送信し、携帯電話機4によるID番号の認証によって通信を確立し、携帯電話機4とデータ通信を行う。
【0017】
制御部24は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read only Memory)及びRAM(Random Access Memory)のメモリを含んで構成されている。CPUは、RAMをワーキングエリアとして、ROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、制御部24に接続された各部を制御する。具体的には、基準方位設定操作がなされた時に方位検出部22により出力された磁界を示す電圧値を基準方位情報として通信部23を介して携帯電話機4へ送信する。また、基準方位設定操作後に方位検出部22によって逐次出力される磁界を示す電圧値を方位情報として一定時間毎に通信部23を介して携帯電話機4へ送信する。
【0018】
次に、携帯電話機4の構成について説明する。携帯電話機4は、操作部40、通信部41、音源42、アンプ43、スピーカ44、記憶部45、マイク46、電話通信部47、表示部48、及び制御部49を含んで構成されている。
操作部40は、数字キー、方向キー、実行キー等の各種操作ボタンを有しており、ユーザからのボタン操作を受付け、受付けたボタン操作を示す情報を制御部49へ送出する。通信部41は、Bluetooth(登録商標)の無線通信インタフェースであり、制御部49の制御の下、指揮棒2から送信されるID番号を認証して指揮棒2との接続を確立し、指揮棒2との間でデータ通信を行う。
【0019】
音源42は、MIDI(Musical Instruments Digital Interface)等の楽曲データを再生する音源回路であり、後述する記憶部45に記憶された楽曲データをオーディオ帯域の音声信号に変換して再生する。アンプ43は、制御部49の制御の下、電話通信における会話の音声データや楽曲データの音声信号の振幅を調整する。スピーカ44は、アンプ43によって調整された音声信号を発音する。
【0020】
記憶部45は、ユーザによって設定及び生成されたユーザデータや、楽曲データ、音量制御モード時に参照される音量条件としての音量制御情報を記憶する。ここで、音量制御情報及び楽曲データについて説明する。図5(a)は、音量制御情報の構成及びデータ例を示している。音量制御情報100は、予め定められた角度量、即ち、ある基準方位からの方位角と、各方位角に対応する音量レベルとが対応づけられている。この例では、図6に示すように、基準方位からの方位角0〜60°の間は音量レベル0、方位角60°を超えてから120°までは音量レベル64、方位角120°を超えてから180°までは音量レベル128となるように段階的に音量を制御する。なお、この各方位角の数値(角度)は、ある所定方位を基準として時計回りに定義する。本実施形態では、ある基準方位から時計回り方向の方位角が0から180°までを制御し、方位角が180°〜360°の間に指揮棒2が向けられた場合には、180°〜360°の間に向けられる直前に制御されていた音量レベルを維持するように音量を制御するが、180°を超えて360°までの方位角と音量レベルを設定するようにしてもよい。また、音量レベルが0の場合は音圧を0デシベルに制御するが、音声信号の出力を一時停止するように制御してもよい。
【0021】
図5(b)は、楽曲情報の構成及びデータ例を示している。楽曲情報110は、楽曲名と、各楽曲名に対応する楽曲データの識別情報が対応づけて記憶されている。この楽曲情報110は、ユーザによって楽曲を再生する指示がなされたときに音源42により読み出される。
【0022】
図4の説明に戻る。マイク46は、電話通信時におけるユーザ等の音声を収音する。電話通信部47は、図示しないアンテナを介して移動体通信網の基地局と無線接続を行い、マイク46によって収音された音声信号をA/D変換して送信し、また、基地局を介して音声データを受信してD/A変換した音声信号をスピーカ44から出力する。
【0023】
表示部48は、液晶等のディスプレイで構成されており、待ち受け画像やメニュー画像、ユーザデータ等の表示を行う。制御部49は、CPUと、ROM及びRAMのメモリとを含んで構成されている。CPUは、RAMをワーキングエリアとして、ROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、制御部49に接続された各部を制御する。ROMには、制御プログラムのほか、図7(a)に示す方位変換テーブル120と同図(b)に示すデフォルト方位情報130が記憶されている。
【0024】
図7(a)において、この方位変換テーブル120は、地磁気センサ2eの各軸方向の各磁界を示す電圧値Gと、各電圧値と対応する絶対方位を示す情報とを予め対応づけて記憶しており、方位変換テーブル120は指揮棒2の基準方位情報及び方位情報に対応する方位を求める際に参照される。なお、絶対方位を示す情報としては絶対方位とその角度(方位角)を記憶するようにしてもよい。
また、図7(b)のデフォルト基準方位情報130は、デフォルトの基準方位として設定された絶対方位を記憶しており、音量制御モードが設定された際に、この絶対方位がデフォルトの基準方位として読み出される。
制御部49は、ユーザからの楽曲再生指示に応じて楽曲の再生を行うと共に、音量制御モード時において、再生中の楽曲の音量を、通信部41により指揮棒2から受信した基準方位情報や方位情報に基づき、基準方位に対して指揮棒2が向けられている方位角に応じた音量レベルに制御する。
【0025】
<動作>
以下、上述した音量制御装置1の動作について説明する。図8は、楽曲データを再生する前の初期設定処理の動作フローを示している。なお、以下の説明において、指揮棒2は電源がオンに設定されて方位検出部22により地磁気の検出を開始し、携帯電話機4は、ユーザにより楽曲再生指示の機能が割当てられた操作ボタンが操作されて、記憶部45に記憶された楽曲情報110の楽曲名を選択する選択画面が表示部48に表示されているものとする。
【0026】
ユーザが、携帯電話機4の操作部40を操作して表示部48に表示された楽曲名から所望する楽曲名を選択する操作を行うと(ステップS10:YES)、携帯電話機4の制御部49は、通常モードと音量制御モードのいずれかを選択する操作を受付けるためのモード選択画面を表示部48に表示し、ユーザからモード選択操作を受付ける(ステップS11)。ステップS11において、ユーザが操作部40を介して音量制御モードを選択すると(ステップS11:YES)、制御部49は、ROMに記憶されているデフォルト基準方位情報130の絶対方位「北」をデフォルト基準方位として読み出して、RAMの所定領域に書き込み、通信部41を起動して待機する(ステップS12)。
【0027】
そして、ユーザが、指揮棒2の先端部2aをある方向、例えば、南に向けて、操作部40の基準方位設定スイッチ2dを押下すると(ステップS20:YES)、指揮棒2の制御部24は、基準方位設定スイッチ2dから出力された基準方位の設定操作が行われたことを示す情報を取得し、方位検出部22により検出された磁界を示す電圧値と、指揮棒2に設定されたID番号とを含む基準方位情報を通信部23を介して携帯電話機4に対して送信する(ステップS21)。
【0028】
携帯電話機4の制御部49は、指揮棒2から送信されたID番号を含む基準方位情報を通信部41を介して受信すると(ステップS13)、受信した基準方位情報に含まれる各地磁気センサから出力された磁界を示す電圧値と、ROMに記憶されている方位変換テーブル120を参照して基準方位「南」を特定する(ステップS14)。制御部49は、RAMの所定領域に記憶されたデフォルト基準方位「北」を、特定した基準方位の絶対方位を示す「南」に置き換える (ステップS15)。
【0029】
なお、携帯電話機4のステップS10において、ユーザにより楽曲名を選択する操作が行わなければ(ステップS10:NO)、制御部49は、所定時間の経過後に初期設定処理を終了する。また、ステップS11において、ユーザが通常モードを選択した場合には(ステップS11:NO)、制御部49は、初期設定処理を終了する。なお、この初期設定処理を終了した場合には、ユーザが選択した楽曲名の楽曲データを音源42により記憶部45から読み出して楽曲データの音声信号を再生し、ユーザによって予め設定されている音量で音声信号をスピーカ44から出力する。
また、指揮棒2のステップS20において、ユーザが基準方位設定スイッチ2dの押下操作を行わなければ(ステップS20:NO)、制御部24は、所定時間経過後に基準方位設定処理を終了する。
【0030】
次に、楽曲データの再生時における動作について説明する。図9は、楽曲データの再生時における音量制御処理の動作フローである。携帯電話機4の制御部49は、音源42により、図8のステップS10においてユーザによって選択された楽曲データを記憶部45から読み出して楽曲データの音声信号を再生する(ステップS30)。
【0031】
そして、基準方位設定後の楽曲データの再生中に、例えば、ユーザが、基準方位「南」から「西」方向に指揮棒2の先端部2aを向けて動かした場合、指揮棒2の方位検出部22により、ユーザの動作に応じて変化する指揮棒2の各位置における地磁気が検出され、検出した電圧値が逐次出力される(ステップS40)。指揮棒2の制御部24は、方位検出部22によって出力された磁界を示す電圧値を指揮棒2の方位情報として通信部23を介して携帯電話機4へ一定時間毎に送信する(ステップS41)。
【0032】
携帯電話機4の制御部49は、通信部41を介して指揮棒2から送信されてくる方位情報を順次受信し(ステップS31)、ROMに記憶されている方位変換テーブル120を参照して、受信した方位情報に含まれる各地磁気センサの磁界を示す電圧値に対応する方位を特定する。そして、RAMの所定領域から基準方位情報を読み出し、基準方位と特定した方位の角度に応じて、基準方位に対する特定した方位の方位角を変方位の変化量として求める(ステップS32)。
【0033】
続いて、制御部49は、記憶部45から音量制御情報100を読み出し(ステップS33)、ステップS32において求めた方位角に対応する音量レベルを特定する(ステップS34)。制御部49は、ステップS34において特定した音量レベルとなるようにアンプ43により再生中の音声信号を増幅させてスピーカ44から出力する(ステップS35)。この場合、指揮棒2の先端部2aが基準方位「南(=0゜)」から方位角60°の間に向けられている間は音量レベルを0にして再生している楽曲データの音声信号を出力し、方位角60°を超えた直後から指揮棒2が向けられた「西(=90゜)」までの間は音量レベル64で音声信号を出力する。
【0034】
また、指揮棒2の制御部24は、ユーザによって指揮棒2の電源がオフにされるまではステップS40からステップS41までの処理を繰り返し行い(ステップS42:NO)、電源がオフにされた場合には(ステップS42:YES)、音量制御処理の終了を示す終了情報を通信部23を介して携帯電話機4に送信し(ステップS43)、方位検出処理を終了する。
【0035】
また、携帯電話機4の制御部49は、ユーザによって音量制御モードを解除するモード解除操作がなされるまで、又は、指揮棒2から終了情報を受付けるまでは、ステップS31からステップS35までの処理を繰り返し行い(ステップS36:NO)、モード解除操作がなされた場合、又は、終了情報を受信した場合には(ステップS36:YES)、音量制御処理を終了する。
【0036】
上記した実施形態1では、ユーザによって設定された基準方位に対する、指揮棒2の先端部2aが向けられた方位に応じて、携帯電話機4で再生中の楽曲の音量を制御することができる。従って、例えば、楽曲中のある部分の演奏時において現在の音量より大きい又は小さい音量となる方向に指揮棒2の先端部2aを向けるだけで、ユーザはその演奏部分のダイナミクスを変化させることができ、指揮者の感覚を体感することができる。
【0037】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2に係る音量制御装置について説明する。上述した実施形態1の音量制御装置1は、指揮棒2に方位検出部22を備え、指揮棒2が向けられた方位に応じて携帯電話機4から発せられる音の音量を制御するものとして説明した。本実施形態では、指揮棒2に、実施形態1の構成に加えて、運動量検出手段としての加速度検出部25を備え、指揮棒2が振られた際の加速度と方位に応じて、携帯電話機4において音量を制御する。なお、本実施形態における音量制御装置は、実施形態1と同様の音量制御装置1を用い、以下の説明において、実施形態1と同じ構成については同じ符号を用い、実施形態1と異なる部分について説明する。
【0038】
<構成>
図10は、本実施形態に係る指揮棒2のブロック図である。上記したように、本実施形態に係る指揮棒2は、実施形態1の構成に加えて運動量検出手段として加速度検出部25を備えている。加速度検出部25は、図11に示す加速度センサ2fを有する。この加速度センサ2fは、3つの各軸方向の加速度を各々検出する3つの加速度センサが含まれており、各加速度センサの軸が、図11に示す直交するxyz軸方向となるように設けられている。各加速度センサは、xyz軸方向の各加速度を検出し、検出した加速度の値を示す加速度情報α(αx,αy,αz)を逐次出力する。
なお、運動量検出手段として、本実施形態では加速度センサを用いる例を説明するが、速度センサ、変位センサ、圧力センサ、歪みセンサ、傾き(角度)センサ、角速度センサ、角加速度センサ、衝撃センサ等の各種の運動量センサを用いてもよい。また、上記した運動量検出手段は、3軸方向の運動量を検出するセンサでもよいし、2軸(x軸とy軸)又は1軸の運動量を検出するセンサであってもよい。
【0039】
本実施形態では、指揮棒2の制御部24は、方位検出部22によって検出された方位情報に加えて、加速度検出部25によって出力された加速度情報αを携帯電話機4に一定時間毎に送信する。
【0040】
本実施形態における携帯電話機の構成は、図4において説明した実施形態1の携帯電話機4と同じである。以下、実施形態1と異なる機能の説明を行う。制御部49は、実施形態1と同様に指揮棒2が向けられた方位に応じた音量レベルの特定処理を行うと共に、以下の処理を行う。
【0041】
制御部49は、指揮棒2から受信した加速度情報の各成分に基づく加速度ベクトルの値(以下、加速度データと言う)を時系列でRAMに順次記憶し、RAMに記憶された所定時間分の各加速度データが極大値となる加速度ピークを検出してその加速度ピークのタイミングを特定し、加速度ピークのタイミングで、当該タイミングにおける加速度データ(以下、加速度ピーク値と言う)及び方位角に対応する音量レベルとなるように再生中の楽曲の音量を制御する。本実施形態では、図12(a)に示すように、加速度ピーク値に応じた音量レベル(以下、ピーク値音量と言う)と方位角に応じた音量レベル(以下、方位角音量と言う)を7対3の割合で組み合わせた音量に制御するよう定義された音量割合情報200がROMに記憶されている。なお、ピーク値音量と方位角音量を組み合わせる割合はユーザが任意に設定又は変更できる。
【0042】
また、携帯電話機4の記憶部45は、上述した音量制御情報100に加え、図12(b)に示すピーク値音量が定義されたピーク音量情報210を記憶している。図に示すように、ピーク音量情報210は、加速度ピーク値(AP)の閾値範囲を示すピーク値条件と、各ピーク値条件に対応する音量レベルとを対応づけて記憶している。本実施形態では、加速度ピーク値が大きいほど音量レベルを大きくするように設定されている。
【0043】
<動作>
以下、本実施形態に係る音量制御装置1の動作について説明する。図13は、楽曲データの再生時における音量制御処理を示す動作フローである。以下、実施形態1と異なる動作を中心に説明する。携帯電話機4は、実施形態1と同様、ユーザによって選択された楽曲データの再生を開始する(ステップS30)。
【0044】
実施形態1と同様に、ユーザが、指揮棒2の先端部2aを基準方位から振って動かすと、ユーザの動作に応じて変化する指揮棒2における地磁気を方位検出部22により検出すると共に、加速度検出部25により指揮棒2が動かされた加速度の検出を行う(ステップS400)。指揮棒2の制御部24は、指揮棒2のID番号と、方位検出部22から出力された電圧値を示す方位情報と、加速度検出部25から出力された加速度を示す加速度情報とを通信部23を介して携帯電話機4へ一定時間毎に送信する(ステップS410)。
【0045】
携帯電話機4の制御部49は、指揮棒2から送信された指揮棒2のID番号を含む方位情報と加速度情報とを通信部41を介して受信し(ステップS310)、受信した方位情報と加速度情報を用いて、音量レベルを特定する音量レベル特定処理を行う(ステップS320)。
【0046】
ここで、ステップS320の音量レベル特定処理について、図14の動作フローを用いて説明する。制御部49は、まず、ステップS310において受信した方位情報について、実施形態1と同様に、ステップS32〜34の各処理を行い、指揮棒2が向けられた方位に対応する方位角音量レベルを特定し、特定した方位角音量レベルの情報をRAMに記憶する(ステップS32〜34)。
【0047】
そして、制御部49は、ステップS310において受信した各加速度情報に含まれている各軸の加速度の成分から、重力加速度の成分を除去し、高周波数成分を除去する処理を行った後、その処理後の加速度の成分(αx′,αy′,αz′)を合成して加速度ベクトルを求め、加速度ベクトルの値を示す加速度データα′及びその加速度成分(αx′,αy′,αz′)を時系列でRAMに記憶する。そして、RAMに記憶された指揮棒2の各加速度データα′に基づいて、加速度が極大となる加速度ピークを検出する(ステップS51)。具体的には、各時刻における加速度データα′の絶対値の経時的変化を表す曲線において、各時刻における傾き(微分値)が正から負に変わる時刻を特定する。
【0048】
制御部49は、加速度ピークを検出した場合には(ステップS51:YES)、ピーク音量情報210を記憶部45から読み出し(ステップS52)、加速度ピーク値を含むピーク値条件に対応する音量レベルをピーク値音量レベルとして特定する(ステップS53)。
【0049】
制御部49は、RAMに記憶されている方位角音量レベルの情報を読み出し、ステップS53において特定したピーク値音量レベルと方位角音量レベルとを、ROMに記憶されている音量割合情報200で定義された割合に応じて各々乗算し、各々乗算した結果を加算した音量レベルを、加速度ピークのタイミングにおける再生音量レベルとして特定する(ステップS54)。
【0050】
また、ステップS51において、制御部49が、受信した加速度情報に基づく加速度ピークを検出できなかった場合(ステップS51:NO)、実施形態1と同様、ステップS34において特定した方位に対応する音量レベルを再生音量レベルとして特定する(ステップS55)。
【0051】
図13に戻り、制御部49は、音源42により再生されている楽曲データの音声信号をステップS320において特定した再生音量レベルとなるようにアンプ43により増幅してスピーカ44から出力する(ステップS35)。
【0052】
上記実施形態2では、指揮棒2が振られた際の加速度のピーク値と方位とに基づいて、所定の割合に応じた音量に制御することができる。そのため、指揮棒2を振る方向に加え、指揮棒2を振る強さに応じて音量を制御することができ、実際に演奏の指揮を行っているように演奏のダイナミクスを制御することができる。
【0053】
<変形例>
本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば、上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよく、各変形例を組み合わせて実施してもよい。以下、本発明に係る実施形態の変形例について説明する。
【0054】
(1)上述した実施形態1では、音量制御情報100において各方位角に対応する音量レベルが予め定義されている例であったが、基準方位に対する音量レベル(以下、基準方位音量と言う)を設定し、指揮棒2が指し示された方位に対応する方位角に応じて基準方位音量を調整するようにしてもよい。この場合、基準方位音量や基準方位音量を調整する調整量をユーザが任意に設定してもよいし、予め記憶されるように構成してもよい。例えば、ユーザが任意に設定する場合には、基準方位の設定操作を行った際に、携帯電話機4において基準方位音量の値を設定し、方位角毎に基準方位音量の調整量を設定する。
【0055】
(2)また、上述した実施形態1では、基準方位設定操作時に特定された方位を基準方位として設定する例であったが、特定された方位を所定角度だけずらした方位を基準方位として設定するように構成してもよい。この場合には、所定角度の値を予めROMなどに記憶するように構成してもよいし、ユーザが任意に設定するように構成する。
【0056】
(3)また、上述した実施形態1では、指揮棒2において基準方位設定操作を行うものとして説明したが、携帯電話機4において基準方位設定操作を行うようにしてもよい。この場合には、携帯電話機4において、基準方位の選択入力を受付ける選択画面を表示部48に表示してユーザが選択した方位を基準方位として設定してもよいし、携帯電話機4に地磁気センサが設けられている場合には、携帯電話機4を所望する方向に向け、基準方位設定の機能を予め割当てた操作ボタンをユーザが押下することにより基準方位の設定を行うようにしてもよい。
実施形態及び上記変形例は、基準方位設定の指示をユーザから受付ける場合の例であるが、ユーザから基準方位設定の指示を受付けない場合の例として、予め携帯電話機4に基準方位が設定されているように構成してもよいし、携帯電話機4の電源スイッチがONにされた時に携帯電話機4が向けられている方位を検出し、その方位を基準方位として設定するように構成してもよい。
【0057】
(4)また、上述した実施形態1では、指揮棒2が向けられたタイミングで、その向けられた方位に対応する音量に制御するものとして説明したが、以下に説明するように、例えば、楽曲の小節、フレーズ、拍、音符等の予め定めた楽曲データの再生単位に基づいて音量を制御するタイミングを決定してもよい。このような場合の例について図15を用いて説明する。
図15において、楽曲の再生時間軸tにおけるF1〜F4は、当該楽曲のフレーズを示している。また、指揮棒方位は、楽曲の再生中に指揮棒2が向けられた方位を表しており、この図では楽曲の再生開始時には指揮棒2が東に向けられ、その後、南に向けられた場合の例を表している。なお、この場合の基準方位は「北」に設定されているものとして、以下説明する。携帯電話機4は、実線30aに示すように、楽曲の再生時間軸tにおいてフレーズF1から順に各フレーズ(F2、F3、F4)の楽曲データを再生し、指揮棒2が東に向けられている間は、基準方位「北」からの方位角に対応する音量レベル64に維持した状態で楽曲の再生を行う。そして、フレーズF2の楽曲データを再生中、時刻t1のタイミングで指揮棒2が東から南へ向けられた場合、フレーズF2の楽曲データが再生し終わるまでは音量レベルを変更せずに音量レベル64で再生を継続し、次のフレーズであるフレーズF3の楽曲データの再生を開始するタイミングで音量レベル128に変更するように制御する。このように、楽曲のフレーズ単位で音量制御を行うようにしてもよい。さらに、図15の破線30bに示すように、指揮棒2が「南」へ向けられたt1のタイミングがフレーズF2中の小節f21の再生中である場合には、小節f21の再生が終了するまで音量レベル64を変更せずに維持して再生し、次の小節f22の再生を開始するタイミングで音量レベル128に変更して制御するようにしてもよい。要するに、音量を変更するタイミングを、予め定められた楽曲データの再生単位に基づいて決定し、その再生単位の途中では音量を変更せず、次の再生単位に入るタイミングで音量を変更するように制御する。
【0058】
(5)また、上述した実施形態1では、図6に示すように予め定めた方位角毎に設定された音量レベルで音量を制御する例であったが、角度量と音量との関係を示す数式等の音量条件を予め定義しておき、その音量条件に基づいて各方位角に対応する音量レベルを求めて音量を制御するようにしてもよい。例えば、図16(a)に示すように基準方位からの方位角と音量の関係を示す直線や曲線で表された数式により定義しておく。この数式の例としては、図16(a)の直線50aに示す所定の一次関数で表される数式でもよいし、放物線50b及び50cで示す所定の2次関数で表される数式でもよく、また、曲線50dに示す所定の3次関数で表される数式でもよい。
【0059】
(6)また、上述した実施形態1では、基準方位に対する各方位角に応じた音量レベルに音量を制御する例であったが、また、図16(b)の実線50eで示すように、一定の角度単位で音量レベルを制御するように構成してもよい。この場合、携帯電話機4において、角度単位と、角度単位で音量レベルを調整する調整量とをユーザが設定できるようにしてもよいし、予め携帯電話機4に設定されるように構成してもよい。例えば、角度単位として22.5°、調整量として+16を設定した場合において、指揮棒2が基準方位(方位角0°)の方向から方位角180°までのある方向に動かされたとき、0°から動かされた方位角までの音量レベルを22.5°単位に調整量+16だけ増加させて変化させるように制御する。
【0060】
(7)また、上述した実施形態2では、加速度ピーク値が検出されたタイミングで、ピーク値音量レベルと指揮棒2の方位角音量レベルとを所定割合で組み合わせた音量レベルに制御するものとして説明したが、加速度ピーク値だけでなく、加速度に応じた音量レベルで音量を制御するようにしてもよい。この場合、例えば、各方位に対応する音量を基準とし、その各音量を当該方位において検出された加速度の大きさに応じて調整する調整量を予め設定する。
【0061】
(8)また、上述した実施形態2では、加速度ピーク値と方位に応じて音量を制御するものとして説明したが、音量制御以外に、加速度ピーク値の時間間隔が短いほど楽曲のテンポを早くしたり、音高を高く又は低く変化させるなど、加速度ピーク値の時間間隔に応じて楽曲の演奏態様(テンポ、音高、音色等)を制御するようにしてもよい。この場合、例えば加速度ピーク値の時間間隔に応じて、予め定められた楽曲のテンポを制御するためのテンポ係数を楽曲データ中のデルタタイムの値に乗算する等の方法により再生中の楽曲のテンポを制御すると共に、指揮棒2が振られた方位に応じて音量を制御するように構成する。指揮棒2を振るタイミングの時間間隔(加速度ピーク値の時間間隔)と指揮棒2を振る強さ(加速度ピーク値)に基づいて、テンポと音量を制御するのは難しい場合があるが、このように、指揮棒2が振られた加速度に応じてテンポを制御し、指揮棒2を振る方位で音量を制御することでテンポと音量を容易に制御しうる。
【0062】
(9)また、上述した実施形態1では、方位検出部22は3軸の地磁気センサを用いるものとして説明したが、2軸の地磁気センサを用いるようにしてもよい。また、例えば、指揮棒2において所定の指向性をもつ信号(音、赤外線等)を送信できるように構成すると共に、指揮棒2から送信される当該信号を受信し、受信した信号の強さやタイミング等を含む信号情報を出力する機能を有する2つの装置をユーザが指揮棒2を振る空間に設け、携帯電話機4は、これらの装置から出力される信号情報を取得し、その信号の強さから信号の指向性パターンを特定し、各信号が受信されたタイミングから指揮棒2の位置(方位)を求めるなどの方法を用いるなど、地磁気センサ以外の方法を用いて方位を検出するようにしてもよい。
【0063】
(10)上述した実施形態では、音量制御装置1は、指揮棒2と携帯電話機4で構成されているものとして説明したが、携帯電話機4が指揮棒2の機能を備えるようにしてもよい。この場合には、携帯電話機4に方位検出手段を備え、携帯電話機4において方位を検出し、ユーザによって携帯電話機4が動かされた位置に対応する音量で発音させる。また、指揮棒2と接続する装置は、例えば、ゲーム機、パソコン、携帯情報端末、スポーツ等のトレーニングマシン、マッサージチェア等のリラクゼーション効果をもたらす装置、テレビ、ラジオなど、楽曲等の音信号を再生する再生装置であれば携帯電話機に限らない。また、携帯電話機4を含む上記装置と接続する操作子は手に把持する指揮棒2に限られず、例えば、ユーザの手足などの身体や衣服に装着可能な操作子であってもよい。
【0064】
(11)また、上述した実施形態1では、指揮棒2の方位検出部22によって検出された方位情報から指揮棒2が向けられている方位を携帯電話機4により特定する構成する例であったが、指揮棒2において方位変換テーブル120を記憶するよう構成し、指揮棒2により、検出された方位情報と方位変換テーブル120に基づいて方位を特定し、特定した絶対方位を示す情報を携帯電話機4に送信するようにしてもよい。
【0065】
(12)また、上述した実施形態1では、携帯電話機4の内部のスピーカ44から出力する再生経路の音声信号に対して音量制御を行うものとして説明したが、携帯電話機4に出力端子を設け、オーディオケーブルを介してその出力端子に外部スピーカやイヤホンを接続し、外部スピーカやイヤホンから出力する再生経路の音声信号に対し、音量制御を行うようにしてもよい。
【0066】
(13)また、上述した実施形態1では、楽曲データの再生時に指揮棒2が向けられた方位に応じてその再生音量を制御するものとして説明したが、再生する音声データは楽曲データに限らず、ユーザが任意に設定した音声データの音量を制御するようにしてもよい。
【0067】
(14)また、上述した実施形態1では、基準方位に対して指揮棒2が移動した方位の方位角に応じて音量を制御する例について説明したが、指揮棒2が移動した方位の変化量として、基準方位と指揮棒2の方位の差分や比率に応じて音量レベルを設定するようにしてもよいし、例えば、指揮棒2が移動した方位を時間関数θ(t)で表した場合の時間変化量(角速度)ω(t)=dθ(t)/dtや、更に、その時間変化量としての角加速度α(t)=dω(t)/dtを指揮棒2の変化量として用いてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1・・・音量制御装置、2・・・指揮棒、4・・・携帯電話機、21,40・・・操作部、22・・・方位検出部、23,41・・・通信部、24,49・・・制御部、25・・・加速度検出部、42・・・音源、43・・・アンプ、44・・・スピーカ、45・・・記憶部、46・・・電話通信部、47・・・マイク、48・・・表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
方位を検出して方位情報を出力する方位検出手段を有し、操作者により把持または装着されて移動可能な操作子と、
基準方位を設定する基準方位設定手段と、
前記基準方位設定手段により設定された基準方位と前記方位検出手段により出力された方位情報に基づいて、前記基準方位に対する前記操作子の方位の変化量を検出する検出手段と、
音信号の再生経路に設けられ、前記検出手段により検出される前記変化量に応じて前記音信号の音量を制御する音量制御手段と
を備えることを特徴とする音量制御装置。
【請求項2】
角度量と音量との関係を定義づけた音量条件を記憶する記憶手段を備え、
前記音量制御手段は、前記記憶手段に記憶された前記音量条件に基づいて、前記変化量に対応する前記角度量と定義づけられている前記音量を特定し、特定した音量で前記音信号を再生するよう制御することを特徴とする請求項1に記載の音量制御装置。
【請求項3】
楽音信号を再生する楽音再生手段と、
方位を検出して方位情報を出力する方位検出手段と、運動量を検出する運動量検出手段とを有し、操作者により把持または装着されて移動可能な操作子と、
基準方位を設定する基準方位設定手段と、
前記基準方位設定手段により設定された基準方位と前記方位検出手段により出力された方位情報に基づいて、前記基準方位からの前記操作子の方位の変化量を検出する検出手段と、
前記楽音再生手段により再生される楽音信号の音量を、前記検出手段により検出される前記変化量に応じて制御する音量制御手段と、
前記運動量検出手段により検出された運動量に応じて、前記楽音再生手段により再生される前記楽音信号のテンポを制御するテンポ制御手段と
を備えることを特徴とする楽音制御装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の音量制御装置と、
前記音信号を再生する再生手段と
を備えることを特徴とする再生装置。
【請求項5】
方位を検出して方位情報を出力し、操作者により把持または装着されて移動可能な操作子と接続され、入力された音信号を出力するコンピュータに、
前記操作子により出力される前記方位情報を取得する取得ステップと、
基準方位を設定する基準方位設定ステップと、
前記基準方位設定ステップにより設定された基準方位と、前記取得ステップにより取得された前記方位情報に基づいて、前記基準方位からの前記操作子の方位の変化量を検出する検出ステップと、
前記検出ステップにより検出される前記変化量に応じて、前記音信号の音量を制御する音量制御ステップと
を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−123248(P2011−123248A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−280284(P2009−280284)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】